JP3552924B2 - 拡底シリンダの油圧回路 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベースマシンのリーダやアームに取付けられた駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着して拡底掘削を行うことを可能としたアースドリルにおいて、その拡底翼を開閉する油圧シリンダに圧油を供給する油圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
基礎打杭施工等のための縦穴を掘削するアースドリルは、ケリーバの下端に軸掘用バケットにより所定の深さに縦穴を掘削した後、その軸堀用バケットを拡底バケットに換えて穴底部をテーパー形に拡大掘削する。拡底バケットは、バケットの側面に、油圧シリンダ(以下拡底シリンダと称す)により開閉される掘削爪付きの拡底翼が設けられ、該拡底シリンダには、ベースマシンに搭載した専用の油圧ポンプからの圧油の供給を受けて開閉される。
【0003】
該拡底シリンダに圧油を供給する油圧ポンプの油圧回路は、ベースマシンの各油圧モータや油圧シリンダとこれらを作動させるポンプからなるベースマシンの油圧回路的には独立に構成される。該拡底シリンダ専用の油圧ポンプは、エンジンにより駆動されるベースマシンの油圧ポンプに連結し、該ベースマシンの油圧ポンプと拡底シリンダ専用の油圧ポンプ間には、ポンプ相互間の作動油の混入を防止するためのシール材が設けられ、拡底シリンダ専用の油圧ポンプの油タンクは、ベースマシン用の油圧ポンプの油タンクとは別に備える。
【0004】
このように拡底翼用油圧ポンプや油タンク等の油圧回路をベースマシン用の油圧回路に対して独立させる理由は、拡底バケットによる掘削中には、拡底バケットの前記油圧シリンダと、該油圧シリンダに接続される油圧ホースと、油圧ホース間を接続するセルフシールジョイントとが縦穴内の泥水中に浸漬した状態となるため、万一これらが破損する等の理由によりこれらから泥水が拡底シリンダの油圧回路に浸入しても、ベースマシンの油圧回路には泥水が混入することがなく、したがってベースマシンの油圧回路が泥水により破損することがないようにするためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の拡底シリンダの油圧回路は、拡底シリンダ駆動用の専用の油圧回路を構成しなければならないため、ベースマシンのエンジンで拡底シリンダ回路の油圧ポンプを駆動するには、該ベースマシン用油圧ポンプの軸に拡底シリンダ用油圧ポンプ連結のための動力伝達装置を設けて該油圧ポンプを結合するか、あるいはベースマシン用の油圧ポンプの軸に対して結合できる特別の油圧ポンプを設計する必要がある。
【0006】
また、市販の油圧ポンプを拡底シリンダ用に用いる場合、ベースマシンの油圧ポンプ側の動力伝達部の構造によっては結合できる拡底シリンダ用油圧ポンプの構造が制約され、このような理由から拡底シリンダ用の油圧ポンプが追加できない場合がある。
【0007】
このような理由から、拡底バケットによる拡底掘削機能がない機械に拡底機能を追加するか、あるいは油圧ショベル等のフロントをアースドリル用のフロントに取り換えて拡底掘削機能を持たせようとしても、前記拡底シリンダ用油圧ポンプが追加できないためにこの拡底掘削機能が追加できない場合があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、ベースマシンの拡底シリンダ専用の油圧ポンプを設ける必要がなく、拡底掘削機能の新たな追加が可能となる構成の拡底シリンダの油圧回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の拡底シリンダの油圧回路は、ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダの油圧回路を、ベースマシンの油圧回路から独立して設け、
前記圧油供給装置を、前記ベースマシンに搭載した油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
前記油圧駆動装置を駆動する前記油圧ポンプとして、アースドリルに搭載される他の装置駆動にも兼用される油圧ポンプを用いた
ことを特徴とする。
【0010】
このように、ベースマシンに搭載された油圧ポンプからの圧油により油圧駆動装置を駆動し、該油圧駆動装置により圧油供給装置を駆動することにより、ベースマシンには、エンジンにより駆動される拡底シリンダ専用の油圧ポンプを設ける必要はなくなる。
【0011】
請求項2の拡底シリンダの油圧回路は、ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダに圧油を供給する圧油供給装置およびその圧油供給管路からなる油圧回路を、ベースマシンに搭載された油圧ポンプを含む油圧回路から独立して設け、
前記拡底シリンダへの圧油供給装置を、ベースマシンに搭載した前記油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
前記油圧駆動装置が駆動シリンダでなり、前記圧油供給装置が前記駆動シリンダに結合されて連動するポンプシリンダからなる
ことを特徴とする。
【0012】
この請求項2の構成においては、油圧駆動装置である駆動シリンダがベースマシンに搭載された油圧ポンプからの圧油により駆動されると、これに連動する従動側のポンプシリンダが作動し、そのロッド室あるいはボトム室からの圧油が拡底シリンダに供給されて拡底シリンダが伸縮し、拡底翼が開閉される。
【0013】
請求項3の拡底シリンダの油圧回路は、ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダに圧油を供給する圧油供給装置およびその圧油供給管路からなる油圧回路を、ベースマシンに搭載された油圧ポンプを含む油圧回路から独立して設け、
前記拡底シリンダへの圧油供給装置を、ベースマシンに搭載した前記油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
前記油圧駆動装置が油圧モータでなり、前記圧油供給装置が油圧ポンプでなる
ことを特徴とする。
【0014】
この請求項3の構成においては、油圧駆動装置である油圧モータがベースマシンに搭載された油圧ポンプからの圧油により駆動されると、これに機械的に結合された油圧ポンプが駆動され、その油圧ポンプから吐出する圧油により拡底シリンダが伸縮し、拡底翼が開閉される。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による拡底シリンダの油圧回路を適用するアースドリルの一例を示す側面図、図2はその拡底バケットおよびその支持部の側面図、図3は拡底シリンダによる拡底翼の開閉を示す平面図である。図1に示すアースドリルは、ベースマシン1として、クレーン形式の本体2を使用しており、ウインチ3に巻かれた吊りロープ4に支持されたケリーバ5を、本体2に起伏自在なフロントフレーム6の上端に取付けたケリードライブ装置7に貫挿し、ケリーバ5の下端に拡底バケット8が取付けられる。
【0016】
図2、図3に示すように、拡底バケット8は軸9を中心として開閉される拡底翼10を有し、拡底翼10はそれぞれ対応する拡底シリンダ11により開閉される。図3は拡底翼10は最大掘削径Dに拡大された状態を示す。図1に示すように、ケリードライブ装置7の下部には、ベースマシン本体2側、すなわち非回転側の油圧回路と、拡底バケット8の拡底シリンダ11、すなわち回転側の油圧ホース(13は油圧ホースを巻くホースリールである。)との間を接続するセンタ−ジョイント14が設けられる。
【0017】
図4は本発明による拡底シリンダ11の油圧回路の一実施の形態を示す油圧回路である。15は前記本体2に搭載されたベースマシン用の油圧ポンプであり、ベースマシン1用の各部の油圧モータや油圧シリンダ等の作動用に備えられたものであり、ベースマシン用の他の油圧駆動装置への圧油の供給回路は省略している。16は該油圧ポンプ15用に備えられた油タンクである。17は前記拡底シリンダ11用の油圧駆動装置として設けられた駆動シリンダ、19は該駆動シリンダ17に並べて配置され、連結部材20によりロッドどうしが連結されたポンプシリンダであり、駆動シリンダ17に連動して拡底シリンダ11への圧油供給を行うものである。21は前記駆動シリンダ17と前記油圧ポンプ15との間に設けられたコントロール弁である。
【0018】
前記従動側のポンプシリンダ19のロッド室a、ボトム室bはそれぞれセルフシールジョイント23、24を有する油圧管路25、26および前記センタージョイント14を介して、前記拡底シリンダ11のボトム室c、ロッド室dにそれぞれ接続される。27、29は拡底シリンダ11用の油圧回路に作動油を補給するアキュムレータであり、これらはポンプシリンダ19のロッド室a、ボトム室bにそれぞれチェック弁30、31を介して接続される。32もまた作動油補給用の油タンクであり、該油タンクは前記ベースマシン用の油タンク16と別に設けられ、前記アキュムレータ27、29に対してチェック弁33を介して接続される。
【0019】
この構成において、コントロール弁21を左位置に切り換えると、駆動シリンダ17のボトム室eに油圧ポンプ15からの圧油が供給されるので、駆動シリンダ17が伸長し、これに連動してポンプシリンダ19も伸長する。これにより、ポンプシリンダ19のロッド室aの圧油が油圧管路25を介して拡底シリンダ11のボトム室cに供給され、また、ロッド室dの油は油圧管路26を介してポンプシリンダ19のボトム室bに供給される。これにより、拡底翼11が開く方向に動作する。反対に、前記コントロール弁21を右位置に切り換えると、駆動シリンダ17のロッド室fに圧油が供給され、これらのシリンダ17、19が収縮し、拡底シリンダ11も収縮して拡底翼10が閉じる方向に動作する。
【0020】
上記シリンダ19、11の動作において、両シリンダ19、11のロッド室a、dおよびボトム室b、cの断面積の差によって生じる不足分はアキュムレータ27、29や油タンク32からチェック弁30、31あるいはさらにチェック弁33を介して補給される。油圧管路25、26と油タンク32との間に設けられたリリーフ弁34、35は、これらの油圧管路25、26が過剰圧になることを防止する。
【0021】
なお、図4の実施の形態において、ポンプシリンダ19のロッド室a、ボトム室bをそれぞれ拡底シリンダ11のロッド室d、ボトム室cに接続しても良く、この接続関係は、拡底バケット8のサイズによって決まる圧油の流量と圧力とによって選択される。また、駆動シリンダ17やポンプシリンダ19のサイズを変更することにより、必要な圧力、流量を容易に得ることができる。
【0022】
図5は本発明の他の実施の形態を示す油圧回路図である。本実施の形態は、前記駆動シリンダ17とポンプシリンダ19の代わりに、軸どうしがカップリング37により互いに機械的に結合された油圧モータ39と油圧ポンプ40とを備えたものである。この場合も油圧ポンプ40用の油タンク42はベースマシン用の油タンク16と別に設けられる。前記拡底シリンダ11に接続される油圧管路25、26と前記油圧ポンプ40との間にはコントロール弁41が設けられる。該コントロール弁41を左右に切り換えることにより、拡底シリンダ11が伸長、収縮して拡底翼10が開き動作、閉じ動作を行う。
【0023】
本発明は、ベースマシンとして油圧ショベルを用い、そのフロントとしてリーダを取付け、リーダに昇降自在にケリーバの駆動装置を装着した構成のもの等により構成することもできる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダの油圧回路を、ベースマシンの油圧回路から独立して設け、前記圧油供給装置を、前記ベースマシンに搭載した油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成としたので、拡底シリンダ専用の油圧ポンプは不要となる。このため、特別の油圧ポンプを準備することなく、機種の異なる種々のアースドリルに対して、拡底シリンダへの圧油の供給装置を容易に構成することが可能となる。また、既存のベースマシンに新たに拡底バケットによる拡底掘削機能を付ける場合、この拡底掘削機能を容易に実現することが可能となる。
【0025】
また、請求項2のように、本発明の油圧駆動装置と圧油供給装置として駆動シリンダとポンプシリンダを用いれば、これらのシリンダのサイズの設定により、種々の機種の拡底バケットに対して好適な圧力、流量を容易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するアースドリルの一例を示す側面図である。
【図2】図1の拡底バケットおよびその支持部の側面図である。
【図3】図2の拡底シリンダによる拡底翼の開閉を示す平面図である。
【図4】本発明の拡底シリンダの油圧回路の一実施の形態を示す油圧回路図である。
【図5】本発明の拡底シリンダの油圧回路の他の実施の形態を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1:ベースマシン、2:本体、3:ウインチ、4:吊りロープ、5:ケリーバ、6:フロントフレーム、7:ケリードライブ装置、8:拡底バケット、10:拡底翼、11:拡底シリンダ、14:センタ−ジョイント、15:ベースマシン用油圧ポンプ、16:油タンク、17:駆動シリンダ、19:ポンプシリンダ、20:連結部材、21:コントロール弁、23、24:セルフシールジョイント、25、26:油圧管路、27、29:アキュムレータ、30、31、33:チェック弁、32:作動油補給用油タンク、34、35:リリーフ弁、37:カップリング、39:油圧モータ、40:油圧ポンプ、41:コントロール弁

Claims (3)

  1. ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
    前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダに圧油を供給する圧油供給装置およびその圧油供給管路からなる油圧回路を、ベースマシンに搭載された油圧ポンプを含む油圧回路から独立して設け、
    前記拡底シリンダへの圧油供給装置を、ベースマシンに搭載した前記油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
    前記油圧駆動装置を駆動する前記油圧ポンプとして、アースドリルに搭載される他の装置駆動にも兼用される油圧ポンプを用いた
    ことを特徴とする拡底シリンダの油圧回路。
  2. ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
    前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダに圧油を供給する圧油供給装置およびその圧油供給管路からなる油圧回路を、ベースマシンに搭載された油圧ポンプを含む油圧回路から独立して設け、
    前記拡底シリンダへの圧油供給装置を、ベースマシンに搭載した前記油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
    前記油圧駆動装置が駆動シリンダでなり、前記圧油供給装置が前記駆動シリンダに結合されて連動するポンプシリンダからなる
    ことを特徴とする拡底シリンダの油圧回路。
  3. ベースマシンに取付けられる駆動装置により回転されるケリーバの下端に拡底バケットを装着するアースドリルにおいて、
    前記拡底バケットの拡底翼を開閉する拡底シリンダに圧油を供給する圧油供給装置およびその圧油供給管路からなる油圧回路を、ベースマシンに搭載された油圧ポンプを含む油圧回路から独立して設け、
    前記拡底シリンダへの圧油供給装置を、ベースマシンに搭載した前記油圧ポンプにより駆動される油圧駆動装置によって駆動する構成とし、
    前記油圧駆動装置が油圧モータでなり、前記圧油供給装置が油圧ポンプでなる
    ことを特徴とする拡底シリンダの油圧回路。
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