JP3552847B2 - リラクタンスモータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリラクタンスモータは、図10と図11に示すようにステータ1の内側に高透磁率のコアシート材2を積層したロータ3を配置して構成されている。各コアシート材2には図12にも示すように多数のスリット4が穿設されており、コアシート材2をロータ軸5の方向に積層する際には、上層と下層のコアシート材2のスリット4が連通するように位置合わせして積層されている。
【0003】
リラクタンスモータの動作原理を簡単に説明する。
ロータ3には、ステータ1の磁束が通過し易いd軸方向フラックスパス(第1のパス)と、通過し難いq軸方向フラックスパス(第2のパス)が形成されるように前記のスリット4が形成されている。極対数をPn ,d軸インダクタンスをLd ,q軸インダクタンスをLq ,d軸電流をid ,q軸電流をiqとすると、リラクタンストルクTrは、下記のように表せる。
【0004】
Tr = Pn ・( Ld − Lq )・id ・iq
したがって、リラクタンストルクTrは( Ld − Lq )に比例するので、d軸インダクタンスLd を大きく、q軸インダクタンスLq を小さくなるようにすれば大きなリラクタンストルクTrが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ロータ3の詳細は図12に示すように、半径方向に多層のスリット4が形成されている。q軸方向の磁束に注目すると、ステータ1のコイルで作られた磁束Φは、ステータ1のティース7から出てロータ3に入ってq軸の方向スリット4を横切って通過する磁束Φ1と、外周部6を通過する漏れ磁束Φ2とで構成されている。
【0006】
このように、q軸方向は、漏れ磁束Φ2が存在し、リラクタンストルクTrの低下が発生している。
理論的には、外周部6の幅Wを狭くすることによって漏れ磁束Φ2を小さくしてリラクタンストルクTrを改善することが考えられるが、外周部6の幅Wを小さくした場合にはロータ3の強度が極端に低下して好ましくない。
【0007】
そこで本発明はロータの外周部の幅Wを小さくしなくてもリラクタンストルクTrの改善を実現できるリラクタンスモータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のリラクタンスモータは、ロータの外周部またはその近傍位置に永久磁石を配設してロータの外周部を通過する漏れ磁束を低減する。
【0009】
この発明によりリラクタンストルクの改善されたリラクタンスモータが得られる。
本発明の請求項1に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部にのみ永久磁石を配設して、該ロータの外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外 周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部及び前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、該ロータの外周部の前記多層のスリットの両端部近傍に該両端部から間隔を空けて窓を穿設し、前記窓にのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
図1は〔実施の形態1〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0014】
このロータ3は、従来と同じ高透磁率のコアシート材2をロータ軸5の方向に積層して構成されており、上層と下層のコアシート材2のスリット4が連通するように位置合わせして積層されている。この半径方向に形成された多層のスリット4によってロータ3には、ステータ1の磁束が通過し易いd軸方向フラックスパス(第1のパス)と通過し難いq軸方向フラックスパス(第2のパス)が形成される。
【0015】
さらに、この〔実施の形態1〕では積層されたロータ3に形成されているスリット4の内で外周部6に近接した特定スリット41 には、ロータ3の一端から他端にわたって永久磁石7が挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。この4極のリラクタンスモータでは、機械角90°で永久磁石7がロータ3に挿入されており、0°と180°の位置の永久磁石7はロータ3の外周側にN極、ロータ3の内周側にS極が着磁されている。90°と270°の位置の永久磁石7はロータ3の内周側にN極、ロータ3の外周側にS極が着磁されている。
【0016】
このように外周部6に近接して永久磁石7を配置することによって、永久磁石石7の磁束8が外周部6を通過してこの外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6には、従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0017】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
〔実施の形態2〕
図3〜図5は〔実施の形態2〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0018】
この〔実施の形態2〕は〔実施の形態1〕とは永久磁石7の位置が異なるだけでその他は〔実施の形態1〕と同様である。
(実施例1)
図3と図4は(実施例1)を示す。
【0019】
この例では最外周から2番目のスリット42 の両端部にロータ3の前記外周部6に近接して永久磁石7がロータ3の一端から他端にわたって挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
【0020】
(実施例2)
図5は(実施例2)を示す。
この例では最外周から4番目のスリット44 の両端部にロータ3の前記外周部6に近接して永久磁石7がロータ2の一端から他端にわたって挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
【0021】
この(実施例1)(実施例2)のように永久磁石7の配設位置を変更した場合であっても、永久磁石7の磁束8が外周部6を通過してこの外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6を従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0022】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
また、最外周から2番目,4番目のスリット42 ,44 の他のスリットに同様に永久磁石7を配設した場合であっても同様の効果を確認できた。
【0023】
〔実施の形態3〕
図6と図7は〔実施の形態3〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
この〔実施の形態3〕は、〔実施の形態1〕と〔実施の形態2〕との組み合わせに相当し、積層されたロータ3の最外周のスリット41 の部分に永久磁石7を挿入し、さらに、それ以外の各スリット42 〜46 の両端部にもロータ3の外周部6に近接してそれぞれ永久磁石7が挿入されている。
【0024】
このように構成することによって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLq を小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
【0025】
なお、この〔実施の形態3〕におけるスリット41 に永久磁石7を設けない構成によっても同様の効果を期待できる。
〔実施の形態4〕
図8は〔実施の形態4〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0026】
〔実施の形態1〕〜〔実施の形態3〕の実施の形態においては、ロータ3の外周部6に近接して永久磁石7を配設して漏れ磁束Φ2を無くしたが、この〔実施の形態4〕では、コアシート材2はスリット42 〜46 とは別に外周部6の中に窓9を穿設したものを積層してロータ3が構成され、このロータ3の窓9の部分にロータ3の一端から他端にわたってそれぞれ永久磁石7が挿入されている点が先の実施の形態とは異なっている。
【0027】
“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
このように構成した場合であっても永久磁石7の磁束8によって外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6を従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0028】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
この〔実施の形態4〕ではスリット42 〜46の端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入したが、スリット41とは間隔を空けて外周部6に永久磁石7を挿入しても同様の効果を期待できる。
【0029】
また、外周部6において前記スリット42 〜46の端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入するとともに、スリット41とは間隔を空けて外周部6に永久磁石7をさらに挿入しても同様の効果を期待できる。
【0030】
〔実施の形態4〕では外周部6において前記スリット42 〜46 の端部とは間隔を空けてそれぞれに永久磁石7を挿入したが、スリット42 〜46 の何れかの特定スリットについてだけ、この特定スリットの端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入することによっても同様の効果を期待できる。
【0031】
上記の〔実施の形態1〕〜〔実施の形態4〕では、ロータ3の外周部6を永久磁石7の磁束で磁気飽和させるとして説明したが、何れの実施の形態においてもロータ3の外周部6を完全に磁気飽和させるには至らない磁気力の永久磁石を使用した場合であっても、ロータ3の外周部7を通過する漏れ磁束を減少させてリラクタンストルクTrの改善を期待できる。
【0032】
図9は1極あたりのスリット層数に対する( Ld − Lq )の変化を示す。これによると、本発明の構成を採用することによって、層数を多くすると従来例のものに比べて( Ld − Lq )が急激に大きくなり、少ない層数でもリラクタンストルクTrの向上が期待できることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明のリラクタンスモータでは、ロータの外周部またはその近傍位置に永久磁石を配設することにより、ロータの強度を保ちつつロータの外周部を通過する漏れ磁束を低減することができ、スリット数をあまり多くしなくてもリラクタンストルクの向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】〔実施の形態1〕のリラクタンスモータのロータの断面図
【図2】同実施の形態の要部の拡大図
【図3】〔実施の形態2〕のリラクタンスモータの(実施例1)のロータの断面図
【図4】(実施例1)のリラクタンスモータの要部の拡大図
【図5】〔実施の形態2〕のリラクタンスモータの(実施例2)のロータの断面図
【図6】〔実施の形態3〕のリラクタンスモータのロータの断面図
【図7】同実施の形態の要部の拡大図
【図8】〔実施の形態4〕のリラクタンスモータの要部断面図
【図9】従来品と本発明の実施品の1極あたりのスリット層数に対する( Ld − Lq )の変化を示す特性図
【図10】従来のリラクタンスモータの縦断面図
【図11】従来のリラクタンスモータの断面図
【図12】従来のリラクタンスモータの磁束線図
【符号の説明】
1 ステータ
2 コアシート材
3 ロータ
4 スリット
5 ロータ軸
6 ロータの外周部
7 永久磁石
8 永久磁石の磁束
【発明の属する技術分野】
本発明はリラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリラクタンスモータは、図10と図11に示すようにステータ1の内側に高透磁率のコアシート材2を積層したロータ3を配置して構成されている。各コアシート材2には図12にも示すように多数のスリット4が穿設されており、コアシート材2をロータ軸5の方向に積層する際には、上層と下層のコアシート材2のスリット4が連通するように位置合わせして積層されている。
【0003】
リラクタンスモータの動作原理を簡単に説明する。
ロータ3には、ステータ1の磁束が通過し易いd軸方向フラックスパス(第1のパス)と、通過し難いq軸方向フラックスパス(第2のパス)が形成されるように前記のスリット4が形成されている。極対数をPn ,d軸インダクタンスをLd ,q軸インダクタンスをLq ,d軸電流をid ,q軸電流をiqとすると、リラクタンストルクTrは、下記のように表せる。
【0004】
Tr = Pn ・( Ld − Lq )・id ・iq
したがって、リラクタンストルクTrは( Ld − Lq )に比例するので、d軸インダクタンスLd を大きく、q軸インダクタンスLq を小さくなるようにすれば大きなリラクタンストルクTrが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ロータ3の詳細は図12に示すように、半径方向に多層のスリット4が形成されている。q軸方向の磁束に注目すると、ステータ1のコイルで作られた磁束Φは、ステータ1のティース7から出てロータ3に入ってq軸の方向スリット4を横切って通過する磁束Φ1と、外周部6を通過する漏れ磁束Φ2とで構成されている。
【0006】
このように、q軸方向は、漏れ磁束Φ2が存在し、リラクタンストルクTrの低下が発生している。
理論的には、外周部6の幅Wを狭くすることによって漏れ磁束Φ2を小さくしてリラクタンストルクTrを改善することが考えられるが、外周部6の幅Wを小さくした場合にはロータ3の強度が極端に低下して好ましくない。
【0007】
そこで本発明はロータの外周部の幅Wを小さくしなくてもリラクタンストルクTrの改善を実現できるリラクタンスモータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のリラクタンスモータは、ロータの外周部またはその近傍位置に永久磁石を配設してロータの外周部を通過する漏れ磁束を低減する。
【0009】
この発明によりリラクタンストルクの改善されたリラクタンスモータが得られる。
本発明の請求項1に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部にのみ永久磁石を配設して、該ロータの外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外 周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部及び前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、該ロータの外周部の前記多層のスリットの両端部近傍に該両端部から間隔を空けて窓を穿設し、前記窓にのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
図1は〔実施の形態1〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0014】
このロータ3は、従来と同じ高透磁率のコアシート材2をロータ軸5の方向に積層して構成されており、上層と下層のコアシート材2のスリット4が連通するように位置合わせして積層されている。この半径方向に形成された多層のスリット4によってロータ3には、ステータ1の磁束が通過し易いd軸方向フラックスパス(第1のパス)と通過し難いq軸方向フラックスパス(第2のパス)が形成される。
【0015】
さらに、この〔実施の形態1〕では積層されたロータ3に形成されているスリット4の内で外周部6に近接した特定スリット41 には、ロータ3の一端から他端にわたって永久磁石7が挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。この4極のリラクタンスモータでは、機械角90°で永久磁石7がロータ3に挿入されており、0°と180°の位置の永久磁石7はロータ3の外周側にN極、ロータ3の内周側にS極が着磁されている。90°と270°の位置の永久磁石7はロータ3の内周側にN極、ロータ3の外周側にS極が着磁されている。
【0016】
このように外周部6に近接して永久磁石7を配置することによって、永久磁石石7の磁束8が外周部6を通過してこの外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6には、従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0017】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
〔実施の形態2〕
図3〜図5は〔実施の形態2〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0018】
この〔実施の形態2〕は〔実施の形態1〕とは永久磁石7の位置が異なるだけでその他は〔実施の形態1〕と同様である。
(実施例1)
図3と図4は(実施例1)を示す。
【0019】
この例では最外周から2番目のスリット42 の両端部にロータ3の前記外周部6に近接して永久磁石7がロータ3の一端から他端にわたって挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
【0020】
(実施例2)
図5は(実施例2)を示す。
この例では最外周から4番目のスリット44 の両端部にロータ3の前記外周部6に近接して永久磁石7がロータ2の一端から他端にわたって挿入されている。“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
【0021】
この(実施例1)(実施例2)のように永久磁石7の配設位置を変更した場合であっても、永久磁石7の磁束8が外周部6を通過してこの外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6を従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0022】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
また、最外周から2番目,4番目のスリット42 ,44 の他のスリットに同様に永久磁石7を配設した場合であっても同様の効果を確認できた。
【0023】
〔実施の形態3〕
図6と図7は〔実施の形態3〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
この〔実施の形態3〕は、〔実施の形態1〕と〔実施の形態2〕との組み合わせに相当し、積層されたロータ3の最外周のスリット41 の部分に永久磁石7を挿入し、さらに、それ以外の各スリット42 〜46 の両端部にもロータ3の外周部6に近接してそれぞれ永久磁石7が挿入されている。
【0024】
このように構成することによって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLq を小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
【0025】
なお、この〔実施の形態3〕におけるスリット41 に永久磁石7を設けない構成によっても同様の効果を期待できる。
〔実施の形態4〕
図8は〔実施の形態4〕のリラクタンスモータのロータ3を示す。
【0026】
〔実施の形態1〕〜〔実施の形態3〕の実施の形態においては、ロータ3の外周部6に近接して永久磁石7を配設して漏れ磁束Φ2を無くしたが、この〔実施の形態4〕では、コアシート材2はスリット42 〜46 とは別に外周部6の中に窓9を穿設したものを積層してロータ3が構成され、このロータ3の窓9の部分にロータ3の一端から他端にわたってそれぞれ永久磁石7が挿入されている点が先の実施の形態とは異なっている。
【0027】
“N”“S”は永久磁石7の着磁の極性を表している。
このように構成した場合であっても永久磁石7の磁束8によって外周部6を磁気飽和させることができ、ステータ1の内側にこのロータ3を配置してリラクタンスモータを構成した場合には、ロータ3の外周部6を従来のような漏れ磁束Φ2が流れない。
【0028】
したがって、外周部6の幅Wを小さくしなくても従来よりインダクタンスLqを小さくすることができ、リラクタンストルクTrの改善を実現できる。
この〔実施の形態4〕ではスリット42 〜46の端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入したが、スリット41とは間隔を空けて外周部6に永久磁石7を挿入しても同様の効果を期待できる。
【0029】
また、外周部6において前記スリット42 〜46の端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入するとともに、スリット41とは間隔を空けて外周部6に永久磁石7をさらに挿入しても同様の効果を期待できる。
【0030】
〔実施の形態4〕では外周部6において前記スリット42 〜46 の端部とは間隔を空けてそれぞれに永久磁石7を挿入したが、スリット42 〜46 の何れかの特定スリットについてだけ、この特定スリットの端部とは間隔を空けて永久磁石7を挿入することによっても同様の効果を期待できる。
【0031】
上記の〔実施の形態1〕〜〔実施の形態4〕では、ロータ3の外周部6を永久磁石7の磁束で磁気飽和させるとして説明したが、何れの実施の形態においてもロータ3の外周部6を完全に磁気飽和させるには至らない磁気力の永久磁石を使用した場合であっても、ロータ3の外周部7を通過する漏れ磁束を減少させてリラクタンストルクTrの改善を期待できる。
【0032】
図9は1極あたりのスリット層数に対する( Ld − Lq )の変化を示す。これによると、本発明の構成を採用することによって、層数を多くすると従来例のものに比べて( Ld − Lq )が急激に大きくなり、少ない層数でもリラクタンストルクTrの向上が期待できることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明のリラクタンスモータでは、ロータの外周部またはその近傍位置に永久磁石を配設することにより、ロータの強度を保ちつつロータの外周部を通過する漏れ磁束を低減することができ、スリット数をあまり多くしなくてもリラクタンストルクの向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】〔実施の形態1〕のリラクタンスモータのロータの断面図
【図2】同実施の形態の要部の拡大図
【図3】〔実施の形態2〕のリラクタンスモータの(実施例1)のロータの断面図
【図4】(実施例1)のリラクタンスモータの要部の拡大図
【図5】〔実施の形態2〕のリラクタンスモータの(実施例2)のロータの断面図
【図6】〔実施の形態3〕のリラクタンスモータのロータの断面図
【図7】同実施の形態の要部の拡大図
【図8】〔実施の形態4〕のリラクタンスモータの要部断面図
【図9】従来品と本発明の実施品の1極あたりのスリット層数に対する( Ld − Lq )の変化を示す特性図
【図10】従来のリラクタンスモータの縦断面図
【図11】従来のリラクタンスモータの断面図
【図12】従来のリラクタンスモータの磁束線図
【符号の説明】
1 ステータ
2 コアシート材
3 ロータ
4 スリット
5 ロータ軸
6 ロータの外周部
7 永久磁石
8 永久磁石の磁束
Claims (4)
- ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、
前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とするリラクタンスモータ。 - ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、
前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部にのみ永久磁石を配設して、該ロータの外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とするリラクタンスモータ。 - ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されており、前記多層のスリットのうちの該ロータの外周部に最近接する特定スリットはその前記外周部側の形状が前記外周部に沿うように形成されているリラクタンスモータにおいて、
前記多層のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの両端部及び前記特定スリットにのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とするリラクタンスモータ。 - ロータとステータとを有し、該ロータには、該ステータの磁束が通過し易い第1のパスと該ステータの磁束が通過し難い第2のパスが形成されるように該ロータの半径方向に多層のスリットが形成されているリラクタンスモータにおいて、
該ロータの外周部の前記多層のスリットの両端部近傍に該両端部から間隔を空けて窓を穿設し、前記窓にのみ永久磁石を配設して、前記外周部に形成されるパスに前記永久磁石の磁束を通過させそのパスを通過する該ステータの漏れ磁束を減少させることを特徴とするリラクタンスモータ。
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