JP3552818B2 - プラズマディスプレイ用パネル基板の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板へのパターンの形成方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体や薄膜デバイスなどでは、通常、フォトリソグラフィとエッチングにより、基板の表面に設けられたパターン形成層に微細加工を施している。
【0003】
すなわち、基板上に薄膜からなるパターン形成層を真空蒸着法やスパッタリング法などにより設け、この基板上に設けたパターン形成層にレジストを塗布し、フォトマスクを介して露光して現像したのち、これをマスクにパターン形成層にエッチングを施し、レジストを剥離することにより、パターンを形成している。
【0004】
ところが、このようなパターン形成法では、処理工程数が多く、煩雑で処理時間がかかるため、例えば微細な加工を大面積に施さなければならないカラーのプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)の隔壁形成加工などでは、従来、厚膜印刷法やサンド・ブラスト法などが用いられている。
【0005】
ここで、PDPについて簡単に説明すると、PDPには、交流方式と直流方式とがあって、交流方式のPDPは、図12に示すようにストライプ状のアドレス電極1を設けた背面ガラス基板(ソーダライム)2と、表示電極3を設けた表面ガラス基板4間に誘電体層5を設け、前記アドレス電極1と表示電極3の間で、交流放電の形で動作させるもので、その際、背面ガラス基板2のアドレス電極1間に隔壁6を設け、その隔壁6よって仕切った電極1に、それぞれ順に赤、青、緑の蛍光体を塗布し、その赤、青、緑の蛍光体を塗布した電極1を表示に応じて放電させることにより、カラー表示が行えるようになっている。
【0006】
一方、直流方式のPDPでは図13に示すように、背面ガラス基板2に隔壁6を設けて表示セルごとに分離し、その分離したセルごとにアノード電極7を設け、前記アノード電極7を放電空間に露出させるとともに、その露出させた前記アノード電極7と表面ガラス基板4に設けたカソード電極8との間で直流放電の形で動作させるというものである。
【0007】
このことから、前記隔壁6は、交流方式あるいは直流方式を問わず、画素に対応させるため、幅が20μm〜30μmで、高さ約200μmのパターンを多数形成しなければならなかった。
【0008】
このため、厚膜印刷法では、ガラス基板2の表面にスクリーンを使ってガラスペーストを印刷し、そのペーストを印刷した基板を焼成することにより、隔壁を形成するというものであり、また、サンド・ブラスト法では、ガラスペーストを基板2全体に厚く塗布して乾燥させ、画素以外の部分を覆うようにフォトリソグラィによってレジストを形成し、レジストで覆われていない部分を細かい硬質粒子で掘削し、焼成して隔壁部分を形成するというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の厚膜印刷方法では、化学エッチングを伴わず処理時間は短縮できるが、一度の印刷で20μm程度の厚さしか隔壁を形成できないので、ペーストを数回〜十数回印刷することで、高さ200μmの隔壁を形成しなければならないという問題がある。
【0010】
また、スクリーンが金属線で編んだ網であるため、基板が大きくなると、網に撓みや,ネジレなどが発生しやすくなり、パターンの欠陥が発生するという問題があった。
【0011】
一方、サンド・ブラスト法では、フォトリソグラフィを使うため、厚膜印刷法に比べて工程が複雑になるという問題があるが、スクリーンに代えてフォトマスクを使うため、安定して大面積に微細パターンを作ることができるという特長がある反面、硬質粒子でもって掘削をするため、掘削した際の隔壁精度が粒子の大きさで決定され、粒子の大きさ以上の精度を出すことができないという問題がある。
【0012】
そこで、この発明の課題は、高い精度で安価に短時間に加工できるPDP用基板の製造方法及びその製造装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明では、光励起によって反応性のラジカルを生成するエッチングガス流中に前記反応性のガスより比重の大きな堆積性を有するエッチングガスを混合し、その混合ガス流中にPDP用ガラス基板を配置し、そのガス流中に配置した前記PDP用ガラス基板上に、基板パターンの形成されたフォトマスクを介してレーザービームを照射し、前記PDP用ガラス基板上にパターンを形成する方法を採用したのである。
【0014】
また、その際、上記PDP用ガラス基板の表面にパターン形成膜層を設け、そのパターン形成膜層を設けた上記PDP用ガラス基板を上記ガス流中に配置し、前記ガス流中に配置したPDP用ガラス基板上にパターンを形成するという方法を採用したのである。
【0016】
このとき、窓を有し、その窓と並行になるようにPDP用ガラス基板が内部に配置されるチャンバーと、レーザービームを発振するレーザー発振手段間に、前記チャンバーの窓へパターンの形成されたフォトマスクを介して並行なレーザービームを入射する光学手段を設けるとともに、前記チャンバーと接続される供給用のパイプと吸気用のパイプとを有し、前記チャンバー内のPDP用ガラス基板の一端から他端へ向けて光励起されるエッチングガスを供給し、その供給した前記ガスをチャンバー内から吸気するガス供給手段と、前記チャンバー内の空気を排出する排気手段を備えた構成を採用したのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明することにする。
【0018】
図1に第1実施形態としてPDP用基板の製造装置についての一形態を示し、次に、その装置を用いてPDP用基板の製造方法を説明することにする。
【0019】
図1に模式的に示すように、第1実施形態のPDP用基板の製造装置は、チャンバー11とレーザービームを発振するレーザー発振手段12間に光学手段13を設け、前記チャンバー11に光励起される反応性のガスと堆積性のガスを供給するガス供給手段14と排気手段15を設けた構成となっている。
【0020】
前記チャンバー11は、透明な石英ガラスで閉塞された窓10が側部に設けられ、その窓を介して外部からレーザービームを入射することができるようになっている。また、前記窓10は、不純物を含まない強度の高い石英ガラスで形成することにより、チャンバー11内の真空や高温に耐えることができるようになっている。
【0021】
一方、チャンバー11内には、PDP用ガラス基板(以下、ガラス基板)2を載置する可動式の試料台16が設けられている。
【0022】
前記試料台16は、図2に示すように、前記窓に対して直交させて設けたレール17とそのレール17に係合するL型の支持部材18とからなり、前記支持部材18はレール17上を進退自在に移動できるようになっている。そのため、支持部材18に載置されたガラス基板2を、窓10と平行に支持することができるようになっている。
【0023】
レーザー発振手段12は、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザーなどの波長の違う出力の大きなレーザー発振器からなり、この発振器は使用するガラス基板2の大きさや材質及びガスの種類に応じて選択する。
【0024】
光学手段13は、この形態の場合、レーザービームを反射してチャンバー11の窓10へ入射するためのミラー系と、そのミラー系にフォトマスク19を介してレーザー発振手段12の出力ビームを入射するための投影装置20とからなっている。
【0025】
ミラー系は、凹面鏡21と凸面鏡22とからなり、凹面鏡21はその反射面をレーザー発振手段12と対向させて設け、一方、凸面鏡22は、前記凹面鏡21の光軸上の焦点にその反射面を凹面鏡21の反射面に対向させて配置してある。また、このとき、凹面鏡21と凸面鏡22との曲率半径は同じとしてある。そのため、図1に示すように凹面鏡21の光軸の両側に、レーザー発振手段12とチャンバー11とを配置し、レーザー発振手段12から光軸に対して平行に凹面鏡21にレーザービームを入射すると、入射したビームは焦点に向けて反射され、焦点に配置した凸面鏡22で再び凹面鏡21に反射されて回折の少ない並行な光線となってチャンバー11の窓10に入射できるようになっている。
【0026】
この際、上記凸面鏡22には調整機構を設け、鏡面を上下左右に動かせるようにすれば、平行光線の調整が行えるようにできる。
【0027】
投影装置20は、フォトマスク19を支持する支持部23と投影レンズ24とで構成され、レーザー発振手段12と前記凹面鏡21間に設けられている。
【0028】
投影レンズ24は、図3(a),(b)に示すように例えば凸レンズ24’とエフシーダレンズ24”などの特殊レンズを組み合わせ、球面収差を生じないようにレーザー発振手段12のレーザービームをビーム幅を広げた拡大ビームにできるようになっており、支持部23によって支持されるフォトマスク19のパターンを投影できるようになっている。
【0029】
ちなみに、図3(a)のものでは、レーザーを使った場合に、光学系内で焦点を結ばないので、空気のイオン化を生じ無いようにできる。また、組み合わせるレンズの数を少なくできるので、サイズの小型軽量化を図りやすいなどの特長がある。一方、(b)のものでは、レーザービームは一度焦点に集光され、この焦点で空間的フィルタリングが行われ、位相の揃ったビームを作ることができるなどの特長がある。
【0030】
また、この投影装置20には、図示はしていないが、前記支持部23を前後左右に移動できる調整装置が設けられ、凸面鏡22に対する投射位置を調整して像のピントを調整できるようにしてある。
【0031】
ガス供給手段14は、図1に示すように、前記チャンバー11と供給用のパイプ25と吸気用のパイプ26とが接続された反応性ガス循環装置27からなっており、前記供給用のパイプ25は図4の断面図に示すように、その先端の吐出口28がラッパ形に形成され、チャンバー11の外壁に取り付けられている。
【0032】
すなわち、図2に示すように、試料台16上のガラス基板2の一端側に設けた複数の貫通孔29と連通するようにラッパ状の吐出口28が取り付けられている。
【0033】
一方、ガラス基板2の他端側には吸気用のパイプ26の吸引口30が設けられており、前記供給されたガスを排出できるようになっている。
【0034】
反応性ガス循環装置27は、供給用のパイプ25から純度99.99%以上の高純度の反応性の高いエッチング用ガスと堆積性のガスをチャンバー11へ供給するガス原料供給部とその供給部から供給した前記ガスを吸気用のパイプ26によりチャンバー11から吸引するガス排気部とからなっている。
【0035】
原料供給部は流量制御装置とミキサー装置を備え、一定量のガスを供給する。一方、ガス排気部は、乾式除外装置(スクライバー)を備え、その乾式除外装置によってチャンバー11から排出したガスを酸素を含んだ不活性気体として大気中へ放出できるようになっている。
【0036】
そのため、ガス原料供給部から供給された前記ガスは、供給用のパイプ25の吐出口28から前記貫通孔29を介し、前記PDP用ガラス基板2の表面にシャワー状に供給され、図2の矢印に示すように、基板2の表面にガス流をむらなく流せる気道を形成し、前記試料台16のガラス基板2上を流れて吸引口30で吸引され、ガス排気部によって排出される。
【0037】
排気手段15は、チャンバー11と排気パイプ31で接続されたロータリー真空ポンプからなり、前記ポンプによってチャンバー内を所定の真空状態に減圧する。
【0038】
この実施形態は、以上のように構成され、次にこの装置を用いて従来例で述べたPDPの背面ガラス基板2(ガラス基板)のエッチングについて説明することにより、レーザーエッチングによる基板パターンの製造方法について説明することにする。
【0039】
この製造方法では、ガラス基板2に直接エッチングを行うというものであって、まず、ガス供給手段14に、エッチングの準備のため、光励起される反応性の高いエッチング用ガスとして、例えばフッカ水素ガス(HF)を充填する。また、投影装置20には、支持部23に隔壁6パターンの描かれたフォトマスク19をセットする。
【0040】
つぎに、ガラス基板2として基板厚さが隔壁高さを有する基板を試料台16に載置し、チャンバー11内を移動させて試料台16上のガラス基板2をチャンバー11の窓10と平行にセットする。
【0041】
このようにガラス基板2をセットすると、チャンバー11を密閉し、排気手段15により、その内部を10−7Torr程度の高真空状態にしたのち、ガス供給手段14から前記ガスをチャンバー11内に供給することにより、10−2〜102 Torr程度の低真空状態に保ち、前記ガスをガラス基板2表面上に流しながら、レーザー発振手段12を作動する。すると、出力されたレーザービームは、フォトマスク19を介して凹面鏡21と凸面鏡22で三回反射し、平行なビームとなってチャンバー11の窓10からガラス基板2表面に対して直角に入射する。このため、入射したレーザービームは、フォトマスク19でマスクされないガラス基板2の表面を照射し、照射された部分のフッカ水素ガスのラジカルを励起する。
【0042】
すなわち、フッカ水素ガスはレーザービームにて光分解し、ラジカルが生成され、この生成されたラジカルとの化学反応により、ガラス基板2のエッチングが進行する。
【0043】
このとき、エッチングに用いられるフッカ水素ガスは、ガス供給手段14からガラス基板2表面に生じさせたガス流によって供給されており、そのガラス基板2表面に供給される高純度のガス流により、ガラス基板2の表面が被われ、ガス密度の高い状態でエッチングが行われる。また、前記ガス流との反応によりガラス基板2表面に生じた反応生成物はガス流によってチャンバー11外へ排出され、常に新しいガス流によりエッチングが行われる。そのため、例えば、チャンバー11内にガスを充満させたガス雰囲気中で前記エッチングを行う場合に比べ、反応に必要、かつ、十分で濃度が均一で温度も均一なエッチング用ガスを供給することができるので、エッチングの均一性、再現性を確保し、エッチングの速度、精度とも向上させることができる。
【0044】
なお、このとき、上記ガスの供給量と排出量の流量は同じ速度で行うようにすれば、容易にガス気道を維持できる。
【0045】
この際、ガラス基板2のエッチングされた部分では、側面にもビームが当たっているように見えるが、それは、ガラス基板2に直角にレーザービームを入射するようにしているので、エッチングされた加工部分の表面に当たったビームが反射しているだけで、この反射ビームは、すでに、エッチングされた加工部分表面でビームの持つエネルギーは吸収されており、原理的に垂直方向のエッチングができるようになっている。そのため、側面に対するサイドエッチングが少なくなっており、高い加工精度が得られる。
【0046】
このようにこの製造方法によれば、レーザーを用いてフォトリソグラフィを行わずに直接エッチングが行えるため、ガラス基板2を高い精度で安価に、しかも、短時間でエッチングできる。
【0047】
このとき、上記のものでも十分にサイドエッチングが少なく異方向性が高いが、エッチングされた隔壁6は、図5に示すように、上部がテーパー状に形成される。このため、このテーパー状のエッチングを防ぐ方法として請求項2に係る発明を次に説明する。
【0048】
この発明では、上記第1実施形態のガス流中に上記光励起を起こす反応性の高いガスより比重の大きな堆積性を有する例えば、SiCl4 やO2 などのエッチング用ガスを混合し、その混合ガス流中にガラス基板2を配置し、上記ガラス基板2上にパターンを形成することにより、上記テーパー状のエッチングを防ぐという方法である。
【0049】
すなわち、上記のように比重の大きなガスを混合し、ガスの比重を大きくして垂直方向に異方向性が生ずるようにする。
【0050】
そのため、このようにして異方向性を付与した前記ガスは、例えば図5の場合、前記ガスの大部分は隔壁6と隔壁6間のエッチングされた部分のガラス基板面2に沿って堆積するようにして流れるため、隔壁6の上部をエッチングしないというものである。
【0051】
これにより、図6に示すようにガラス基板2の隔壁6を垂直形状にすることができ、より高精細度の加工を可能にすることができる。
【0052】
ところで、上記述べてきたPDP用の基板パターンの製造方法及びその製造装置においては、ガス流中にガラス基板2を置いてレーザービームを照射するという方法を用いてエッチングを行うため、エッチング用ガスの選択によりエッチングの材料選択性(同一条件のエッチングに対して、エッチング材料によるエッチング速度の大小で、この差が大きいほど有利)が容易に得られる。
【0053】
そのため、上記実施形態では、PDP用の背面ガラス基板2を直接ガラス基板2をエッチングして製造する場合について説明したが、図7乃至9に第3実施形態として、エッチング材として上述のガラス基板2に直接エッチングを施すものの他、ガラス基板2に酸化シリコン膜や他の厚膜などのパターン形成層32を設けた物について、そのエッチング材料に対するエッチングガスなどをまとめて表に示す。
【0054】
なお、この製造方法及び装置はPDPの前記背面ガラス基板2を製造する場合以外の、例えばICやLSIなどのエッチングを行う基板など、どのようなものにでも適用できることは明らかである。
【0055】
図10に第4実施形態として、チャンバー11とレーザー発振手段12間にスキャニング装置40と反射鏡41からなる光学手段13を設け、また、フォトマスク19をチャンバー11の窓10に取り付け、レーザービームをフォトマスク19を介してチャンバー11内のガラス基板2に照射できるようにして、第1実施形態の製造装置における投影装置20と凸面鏡22を用いないでエッチングを行なえるようにし、回折による精度の低下と、ビーム径の拡大によるエネルギー密度の低下による生産性の低下を防ぐようにしたものを示す。
【0056】
上記スキャニング装置40は、例えばポリゴンミラーをモータなどのアクチュエターなどで回転させ、レーザー発振手段12からのレーザービームを反射して500KHz程度の掃引速度で走査ビームを反射鏡41に入射させるようになっている。
【0057】
反射鏡41は、この形態の場合、パラボラ形状のミラーリフレクターで、前記走査ビームを放物面状の鏡面で反射することにより、チャンバー11へ前記走査ビームを入射できるようになっている。
【0058】
チャンバー11は図11に示すように窓10を有し、その窓10に治具42によりフォトマスク19を直接取り付けるようになっている。
【0059】
前記治具42は、例えば額縁型のもので、周囲に取り付け用のボルト43が嵌入されている。また、内側にはフォトマスク19を支持する取り付け部が設けられており、前記ボルト43を窓10の周囲に設けられた取り付け孔にネジ込むことにより、フォトマスク19を前記窓10に圧接するようになっている。
【0060】
このとき、前記窓10は、この形態の場合、石英ガラスが取り付けられておらず、前記フォトマスク19が石英ガラスに代わって前記窓10を閉塞するようになっている。そのため、フォトマスク19の内側は、腐食防止のための薄膜コーティングを施すのが好ましい。
【0061】
また、チャンバー11内には、図11に示すように、第1実施例で述べたのと同じように試料台16が設けられている。
【0062】
すなわち、図11に示すように、前記窓に直交して設けられたレール17とそのレール17に係合したL型の支持部材18とからなり、前記支持部材18はレール17上を進退自在に移動できるようになっており、窓と平行にガラス基板2を支持することができるようになっている。
【0063】
また、前記チャンバー11には、前記試料台16に載置されるガラス基板2の一端側に第1実施例で述べたのと同様に、ガス供給手段14の供給用のパイプ25と連通する貫通孔29が設けられ、エッチングガスが供給できるようになっている。一方、基板2の他端側には、吸引口30を設けて、前記供給されたガスを排出できるようになっている。
【0064】
そのため、試料台16を窓10に近づけると、基板2と窓10との間に小さな空間(部屋)が形成され、上方の貫通孔29からガスを注入し、下方の吸引口30から排気することにより、図11の矢印に示すように、ガスの流れ(気道)をガラス基板2の表面に形成できるようになっている。
【0065】
このため、このようにガス流の形成されるチャンバー11内のガラス基板2に対しスキャニング装置40を用いてレーザービームによるエッチングを行うと、第1実施例で述べたように加工精度の高いエッチングを行うことができる。しかも、このとき、レンズを用いないので、収差による誤差による加工精度の低下を来さなくできる。
【0066】
さらに、その際、径の絞られたエネルギー密度の高いビームでもって光励起を行うので、エッチングを効率良く行え、生産性の向上を図れる。
【0067】
他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同じであるので、その説明は省略することにする。
【0068】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成し、基板上にガス流を形成し、そのガス流を形成した基板上にフォトマスクを介してレーザービームを照射し、エッチングを行なえるようにしたので、製造工程を減らしコストを低減させることができる。
【0069】
また、光励起の際、ガス流を用いるようにしたので、常に新しいガスによりエッチングを行えるので、加工精度の向上を図ることができる。
【0070】
特に、ガラス基板に直接エッチングを施すことができるので、カラープラズマディスプレーの背面基板に用いるのに最適である。
【0071】
また、比重の大きな堆積性のガスを混合することにより、エッチングに異方向性を付与して加工精度を高めることができる。
【0072】
また、ガラス基板にパターン形成層を設けることにより、いろいろな用途の基板に対するエッチングを行うことができる。
【0073】
また、例えば光学手段にスキャニング装置を用いるようにすれば、レンズを用いないので、収差による誤差による加工精度の低下を来さなくできる。また、その際、径の絞られたビームでもって光励起を行うので、エッチングを効率良く行え、生産性の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のブロック図
【図2】第1実施形態の要部断面図
【図3】第1実施形態の作用を説明するための作用説明図
【図4】図2を説明するための要部断面図
【図5】第2実施形態の作用を説明するための作用説明図
【図6】第2実施形態の作用を説明するための作用説明図
【図7】第3実施形態を説明するための表の図
【図8】第3実施形態を説明するための表の図
【図9】第3実施形態を説明するための表の図
【図10】第4実施形態のブロック図
【図11】第4実施形態の要部断面図
【図12】従来例を説明するための作用説明図
【図13】従来例を説明するための作用説明図
【符号の説明】
2 プラズマディスプレイ用ガラス基板
10 窓
11 チャンバー
12 レーザー発振手段
13 光学手段
14 ガス供給手段
15 排気手段
16 試料台
19 フォトマスク
20 投影装置
21 凹面鏡
22 凸面鏡
32 パターン形成層
40 スキャニング装置
41 反射鏡
Claims (3)
- 光励起によって反応性のラジカルを生成するエッチングガス流中に前記反応性のガスより比重の大きな堆積性を有するエッチングガスを混合し、その混合ガス流中にプラズマディスプレイパネル用ガラス基板を配置し、そのガス流中に配置した前記プラズマディスプレイパネル用ガラス基板上に、基板パターンの形成されたフォトマスクを介してレーザービームを照射し、上記プラズマディスプレイパネル用ガラス基板上にパターンを形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用パネル基板の製造方法。
- 上記プラズマディスプレイパネル用ガラス基板の表面にパターン形成膜層を設け、そのパターン形成膜層を設けた上記プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を上記ガス流中に配置し、前記ガス流中に配置したプラズマディスプレイパネル用ガラス基板上にパターンを形成することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ用パネル基板の製造方法。
- 窓を有し、その窓と並行になるようにプラズマディスプレイパネル用ガラス基板が内部に配置されるチャンバーと、レーザービームを発振するレーザー発振手段間に、前記チャンバーの窓へパターンの形成されたフォトマスクを介して並行なレーザービームを入射する光学手段を設けるとともに、前記チャンバーと接続される供給用のパイプと吸気用のパイプとを有し、前記チャンバー内のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の一端から他端へ向けて光励起されるエッチングガスを供給し、その供給した前記ガスをチャンバー内から吸気するガス供給手段と、前記チャンバー内の空気を排出する排気手段を備えたプラズマディスプレイ用パネル基板の製造装置。
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