JP3552234B2 - 歯車設計方法、歯車製造方法、およびその製造方法で製造された歯車 - Google Patents
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Description
本発明は歯車設計方法、歯車製造方法、およびその製造方法で製造された歯車に係り、特に、ギヤノイズが小さい歯車を短時間で簡単に設計、製造する技術に関するものである。
背景技術
歯車の歯面はインボリュート歯形を成しているのが理想であるが、熱処理などで誤差を有するのが普通で、このような歯面の誤差によってかみあい伝達誤差が生じ、ギヤノイズの原因となっている。また、歯車を配設する際の歯車軸にミスアライメントが存在すると、一方の歯車の歯の端縁が他方の歯車の歯面に当接する片当たり(稜かみあい)などにより比較的大きなかみあい伝達誤差を生じることがある。歯車軸のミスアライメントは、歯車箱の製造誤差や組付誤差などに起因するもので、歯車軸の軸線が傾斜する平行度誤差と、歯車軸がねじれの関係となる食い違い誤差とがある。なお、上記かみあい伝達誤差は、互いにかみあう一対の歯車の回転誤差で、例えば駆動側歯車を一定速度で回転させた場合の従動側歯車の進み遅れ量で表される。
これに対し、ギヤノイズが負荷に依存することから、負荷撓みを考慮したシミュレーションを行ったり、或いは実際に試作して種々の条件下で試験を行ったりすることにより、かみあい伝達誤差(ギヤノイズ)が小さい歯車諸元および修整歯面を選択するようにしているのが普通である。ところが、負荷がかみあい伝達誤差に与える影響のメカニズムが解明されていないため、その影響を正確に計算することができず、使用される全負荷領域においてシミュレーションを行ったり実際に試作して試験したりする必要があった。
また、誤差や修整のない歯面を前提としたかみあい率を用いて歯車を選定することが行われているが、歯面修整方法の相違などによってかみあい伝達誤差(ギヤノイズ)の大きさが異なるため、歯車諸元や修整歯面の設定に際しては、やはりシミュレーションを行ったり実際に試作して種々の条件下で試験を行ったりする必要があった。
しかしながら、このようにシミュレーションを行ったり実際に試作して試験したりする場合、膨大な計算時間や試作費用、評価工数などが必要であるとともに、最適解が得られる確率は検討数に依存するため、限られたケースの比較では必ずしも十分に満足できる歯車が得られなかった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、ギヤノイズが小さい歯車を短時間で簡単に設計できるようにすることにある。
発明の開示
かかる目的を達成するために、本発明は、歯車の実かみあい率に基づいて、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする。
すなわち、実かみあい率がかみあい伝達誤差(ギヤノイズ)に与える影響を正確に計算できることが初めて分かったため、実かみあい率に基づいて歯車諸元や修整歯面、具体的には諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することにより、シミュレーションや試験などを行うことなくかみあい伝達誤差が小さい歯車を短時間で簡単に設計できるのである。
上記実かみあい率は、一対の歯の歯面が実際に接触する角度範囲θrを歯車の角ピッチθpで除した値θr/θpで表され、その実かみあい率θr/θpが1.0の無負荷の時のかみあい伝達誤差が一番大きいことが初めて分かったため、実かみあい率θr/θpが1.0の無負荷の時のかみあい伝達誤差をできるだけ小さくすれば、全負荷領域でかみあい伝達誤差を小さくすることができる。
また、本発明の別の手法は、歯車の有効かみあい率に基づいて、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする。
すなわち、有効かみあい率が負荷時のかみあい伝達誤差(ギヤノイズ)に影響を与えることが初めて分かったため、有効かみあい率に基づいて歯車諸元や修整歯面、具体的には諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することにより、シミュレーションや試験などを行うことなく負荷時のかみあい伝達誤差が小さい歯車を短時間で簡単に設計できるのである。
具体的には、有効かみあい率が高いほど負荷時のかみあい伝達誤差は小さくなるため、バイアスインのバイアス修整などにより有効かみあい率を高くすることが望ましい。また、有効かみあい率は、接触点の軌跡のうち歯先または歯幅端で稜かみあいとなる部分を除いた角度範囲θnを歯車の角ピッチθpで除した値θn/θpで表され、その有効かみあい率θn/θpが略2.4以上、更に好ましくは2.5程度以上となるようにすれば、負荷時のかみあい伝達誤差の上昇が防止され、ギヤノイズを効果的に低減できる。
また、好適には、諸元かみあい率の高い歯車諸元を選択し、歯面にバイアス修整を追加することで上記有効かみあい率θn/θpを高くしたり、無負荷の時のかみあい伝達誤差振幅が小さくなるとともに上記有効かみあい率θn/θpが高くなるように、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定したりすることが望ましい。
このような歯車設計方法により、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定し、その設定通りの諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、またはバイアス修整量が得られるように歯車を製造する歯車製造方法、或いはその製造方法に従って製造された歯車についても、実質的に上記と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、3次元接線極座標で歯面を表現した図である。
図2は、歯形修整および歯すじ修整の定義を説明する図である。
図3は、複数の歯がかみあっている場合の各歯の分担荷重を説明する図である。
図4は、回転角θ1において3対の歯がかみあう時の各歯対の撓み量δ、歯面修整量S、およびかみあい伝達誤差量eの関係を説明する図である。
図5は、負荷かみあい伝達誤差を算出する際の手順を説明するフローチャートである。
図6は、曲げ撓みを算出する際の撓み分布と近似式との関係を説明する図である。
図7は、相当平歯車のFEMモデルを説明する図である。
図8は、FEMによって求めた曲げ撓み分布の一例を説明する図である。
図9は、係数Uz,Ua,Uh,Ubと歯数z、圧力角α、歯だけh、歯幅bとの関係の一例を示す図である。
図10は、近似式を使って歯先に集中荷重を作用させたときの曲げ撓み分布の計算結果の一例を示す図である。
図11は、接触楕円の一部が歯面からはみ出す稜かみあいの一例を説明する図である。
図12は、測定したかみあい伝達誤差をフーリエ解析して求めたかみあい1次成分,2次成分を、計算結果とともに示す図である。
図13は、図12の横軸を実かみあい率εrとした場合のグラフである。
図14は、図12、図13の実測値の元となるかみあい伝達荷重の実測の波形を示す図である。
図15は、負荷毎に計算したかみあい伝達荷重の波形と修整量Sの波形を重ねて示す図である。
図16は、かみあい1次成分,2次成分のかみあい伝達誤差振幅と実かみあい率εrとの関係を例示した図である。
図17は、接触点の軌跡上で稜かみあいとなる部分を除いた角度範囲θnを説明する図である。
図18は、有効かみあい率εnと諸元かみあい率εtとの関係を説明する図である。
図19は、有効かみあい率εnが異なる3種類の歯面修整を施した場合の接触点の軌跡を説明する図である。
図20は、表3に示すa〜dの歯面修整を施した場合のかみあい伝達誤差振幅と実かみあい率εrとの関係を示す図である。
図21は、諸元が異なる複数の歯車対に関するかみあい伝達誤差振幅と実かみあい率εrとの関係を示す図である。
図22は、諸元が異なる別の歯車対に関するかみあい伝達誤差振幅と実かみあい率εrとの関係を示す図である。
図23は、表2のNo1の歯車対に表3のaの歯面修整を施した歯車対のかみあい伝達誤差波形の計算結果を示す図である。
図24は、有効かみあい率εnが異なる3種類の歯面修整を施した歯車対のかみあい伝達誤差波形の計算結果を示す図である。
図25は、図21および図22の歯車対を用いて所定の歯面修整を加えた場合の有効かみあい率εnと諸元かみあい率εtとの関係をまとめた図である。
図26は、バイアス修整による接触点の軌跡の変化を説明する図である。
図27は、表2のNo1の歯車対を例として求めたバイアス稜、ミスアライメントがある場合の歯形丸み量とクラウニング量の必要最小量、および有効かみあい率εnとの関係を示す図である。
図28は、表4のNo1の歯車を用い、歯形丸み量とクラウニング量を変えてかみあい伝達誤差のかみあい1次成分を計算した結果を示す図である。
図29は、表4のNo1の歯車に60μmの圧力角誤差と10μmの歯形丸みを与えた場合の接触点の軌跡とかみあい伝達誤差波形の計算結果を示す図である。
図30は、表4のNo1の歯車に60μmのねじれ角誤差と10μmのクラウニングを与えた場合の接触点の軌跡とかみあい伝達誤差波形の計算結果を示す図である。
図31は、圧力角誤差がある場合、ねじれ角誤差がある場合、ミスアライメントがない場合について、それぞれかみあい伝達誤差のかみあい1次と2次の周波数成分の変化を実かみあい率εrを横軸として示した図である。
図32は、ミスアライメントによりかみあい終了位置で接触点が歯先の歯幅端の点Enを通過する場合の軌跡を示す図である。
図33は、表4のNo1の歯車について、一定量の平行度誤差と食い違い誤差を与えて歯面修整量を最適化した場合の接触点の軌跡とかみあい伝達誤差波形の計算結果を示す図である。
図34は、図33の場合において、かみあい伝達誤差のかみあい1次成分とかみあい2次成分の負荷による変化を計算し、実かみあい率εrで修理した図である。
図35は、歯数と歯直角モジュールが同じで歯たけh、歯幅b、圧力角α、ねじれ角βが異なる歯車について、同じ量の平行度誤差と食い違い誤差に対して修整歯面を最適化した場合の歯形丸み,クラウニングの係数d0,c0を規格化して示す図である。
図36は、稜かみあいにならないためのクラウニングの必要量と歯幅との関係を説明する図である。
図37は、ミスアライメント量が異なる場合のクラウニングの係数c0と、それをねじれ角β=27゜のもので基準化したものを示す図である。
図38は、角ピッチの異なる歯車のかみあい伝達誤差を比較して示す図である。
図39は、角ピッチとかみあい伝達誤差振幅との関係を説明する図である。
図40は、新しい歯車設計の流れを説明する図である。
図41は、図40の設計法により最適な歯車を得る過程の各段階でのかみあい伝達誤差の一例を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。
《負荷かみあい伝達誤差の計算方法》
歯の弾性変形を無視すると、修整歯面を持つ歯車のかみあいは点接触となる。これを負荷時の接触楕円の中心と考え、接触点における歯対の曲げ撓み量δb、近寄り撓み量δc、歯面修整量Sの和として負荷かみあい伝達誤差量eを求める。式(1)は、一対の歯のかみあい伝達誤差量を表す。θM.φMは接触点の座標を示し、Pnjは分担荷重を示す。近寄り撓み量δcの計算にはヘルツの3次元接触の式を用い、曲げ撓み量δbは歯のFEM(有限要素法)に基づいて作成した近似式を使って求める。歯車の性能の評価にはかみあい伝達誤差量eの回転に伴う変化の振幅を用いる。
e=δb(θM.φM.Pn1)+δc(θM.φM.Pnj)+S(θM.φM) ・・(1)
〔基本座標〕
ヘリカルギヤの歯形は、歯すじ位置ごとに一定の割合で回転させて位相差を持たせたものと考えられるので、歯すじ位置を位相角で表すことにより、歯幅を考慮した3次元の接線極座標を構成することができる。位相角φを使って歯すじを表す座標系O−uvwを図1の(a)に示す。φは歯幅中央断面から各歯すじ位置の歯形までの距離wとリードLcを使って式(2)で定義する。φは歯のねじれによる歯形の位相差を表すものであり、θは回転角(ころがり角)である。曲げ撓み計算には、図1(b)に示すように相当平歯車の歯の座標系Ot−xyを使い、接触点の座標Osによって両座標を対応させる。図1(a)のrb0は歯車諸元の基礎円半径を表し、qsは歯面修整量を考慮した接線長さを表す。
φ=2πw/Lc ・・・(2)
〔修整歯面の定義〕
歯形修整と歯すじ修整を図2のように定義する。歯形修整は歯幅中央のピッチ点を基準として修整量を放物線で表した歯形丸みと、直線で表した圧力角誤差の加算で表現する。d0を歯形丸みの係数、a1を圧力角誤差の係数とし、diとa1iをそれぞれの指示量とする。歯すじ修整におけるクラウニングとねじれ角誤差についても同様に係数c0とa2、指示量ciとa2iを用いて示す。圧力角誤差は歯先が厚くなる方向を正とし、ねじれ角誤差はねじれ角が大きくなる方向を正とする。また、従動側歯車のみ修整歯面とし、修整量を一方の歯車で代表するが、これによって一般性を損なうことはない。
〔接触面の座標〕
各歯すじ位置の歯形上での接触の条件を満たす点を求め、それ等の点のうち相手歯面との距離が最小となるものが接触点となる。回転角θのときの接触面の座標(θM,φM)はθの関数fとgを使って式(3)、(4)により表せる。負荷時には、これを接触楕円の中心とする。なお、acは中心間距離、αは圧力角を表す。ATM、AFI、ASTは歯面修整のない場合からのずれ量を表す係数である。b0は歯幅両端の歯形に互いに逆方向の圧力角修整を施すバイアス修整の係数である。
但し、
〔歯対の分担荷重〕
同時にかみあう歯対の歯面修整量と撓み量の関係から分担荷重の計算式を導出する。図3は、任意の回転角において3対の歯がかみあう例である。分担荷重Pnjは各歯対の作用線上にあり、その方向は歯面修整量に依存して変化する。トルクの釣り合いから同時にm対の歯がかみあう場合の分担荷重と伝達荷重の関係は式(5)となる。ここで、rbSjは瞬間基礎円半径を示し、図1の歯面修整量を考慮した接線長さqSから式(6)を使って求められる。
Pn1rbS1+Pn2rbS2+・・+PnmrbSm=Pnrb0 ・・・(5)
rbS=dqS/dθ ・・・(6)
回転角θ1において3対の歯がかみあうとき、接触点における歯対の撓み量δ、歯面修整量S、かみあい伝達誤差量eは、図4の関係にある。図は、接触点における修整量Sを一対の歯のかみあい始めから終わりまでの範囲で計算し、3対の歯について角ピッチの間隔で示したものである。縦軸はかみあい伝達誤差量、横軸は回転角を示す。図4の変位量の関係より式(7)が得られる。
e=S1+δ1=S2+δ2=・・・=Sm+δm ・・・(7)
曲げ撓みと近寄り撓みを合成した撓みの影響関数をKjとすると、δjはKjとPnjの積により求められるから、式(5)と式(7)より、j番目の歯対の分担荷重Pnjの式(8)が得られる。
〔計算の流れ〕
分担荷重とかみあい歯対の決定には、荷重に対する歯対の撓みの非線形性を考慮する必要がある。負荷かみあい伝達誤差の計算の流れを図5に示す。一対の歯の撓み量から同時にかみあう歯対を特定し、まず等分配した荷重を使って各歯対の撓みの影響関数を求める。式(8)により分担荷重を求め、それを使って撓みの影響関数と分担荷重を再計算する。このとき分担荷重が負の値となる場合が出てくるのでかみあう歯対を補正して再度分担荷重を求め、かみあい歯対と分担荷重を決定する。
〔近寄り撓みの計算法〕
近寄り撓みの計算にはヘルツの3次元接触の式を用いる。接触楕円の中心OSにおける修整歯面の曲率半径は以下の手順で求める。図1の座標系により修整歯面を表すと、接線長さqSと基礎円半径rb0を使って式(9)、(10)となる。接線長さqSは誤差のない場合の長さqに歯面修整量Sを加えることで式(11)より得られる。また、式(5)中の瞬間基礎円半径rbSは式(12)になる。
x(θ,φ)={u(θ,φ)、v(θ,φ)、w(θ,φ)}・・・(9)
qs(θ,φ)=q(θ,φ)+S(θ,φ) ・・・(11)
但し、
式(10)と式(11)を使って第1基礎量E,F,G、および第2基礎量L,M,Nを求め、OSにおける主曲率半径r,r'を式(13)により求める。
但し、
接触楕円上の荷重分布は、ヘルツの圧力分布に従うものとし、近寄り撓み量をヘルツの3次元接触の式(14)を用いて求める。なお、ri,ri'は主曲率半径、Eiは歯車材料の縦弾性係数、νiはポアソン比、K(ε)は第1種完全楕円積分、μはヘルツ定数を表す。また、駆動側、従動側をそれぞれ添字1と2で表す。
但し、
〔曲げ撓みの計算法〕
曲げ撓み量δbは曲げの影響関数Kbiと分担荷重Pnjを使って式(15)より求める。Pnjはヘルツの圧力分布と仮定して式(16)を用いる。なお、x'−y'座標を接触楕円の軸方向にとり、2aH、2bHを長軸と短軸の長さとする。また、Kb1は駆動側でKb2は従動側である。
但し、
Kbiは集中荷重が点(x,y)に負荷されたときの(ξ,η)における1歯の曲げ撓みの影響関数であり、x'−y'座標をx−y座標に変換して用いる。式(15)は、座標(ξ,η)を接触楕円の中心としたときの歯対の曲げ撓み量を与える。Kbiは、歯幅中央の歯先に荷重を負荷した場合の撓みU、荷重点直下の撓みの分布w1と荷重点まわりの撓み分布w2の積として式(17)で表す。撓み分布と近似式の関係を図6に示す。w1は歯形方向の撓み量の関数Gと歯すじ方向の撓み量の関数Fの積で表し、w2は歯すじと歯形の撓み分布を表す関数VxとVyの積により表す。GとFは歯幅中央の歯先の撓みUで規格化し、VxとVyは荷重点直下の撓み量で規格化したものである。負荷位置の座標を(x,y)とするとき、(ξ,η)における関数w1、w2は式(18)となる。
Kbi(x,y,ξ,η)=Uw1(ξ,η)w2(x,y,ξ,η)・・・(17)
式(18)を構成する各関数の形とその係数はFEMにより求めた歯の撓みを使って決定した。FEMには図7に示す相当平歯車のモデルを使用した。歯たけを10分割、歯幅を20分割して3自由度のソリッド要素を用いた。基礎部は歯たけの6倍のブロックとし、上下面と背面を拘束するものとした。単位集中荷重を鉛直方向に作用させて歯の中央面上の撓みから近似式を作成し、撓み量の計算の際に歯面法線方向に換算する。
関数G,F,Vx,Vyの形状および係数は、約20種類の自動車用歯車を用いて決定した。各関数はxまたはyの関数として指数関数を基本とした式(19)で表す。なお、Vxについては、FEMの結果を踏まえてxとyの関数とした。
ここで、
図8は、歯数が40枚、歯直角モジュールが2、圧力角が20゜、歯たけと歯幅がそれぞれ4.9mmと22.5mmの歯車を用いてFEMによって曲げ撓みの分布を求めた例である。図8(a)は歯幅中央の歯形上の位置yを荷重点とした時の歯すじ方向の撓み分布を示し、図8(b)は歯幅位置xの歯先を荷重点としたときの歯形方向の撓み分布を示す。x,yは歯幅と歯たけで規格化し、撓み量は荷重点直下の撓みで規格化した量である。図より歯すじ方向の分布はyに依存して形状が変化し、歯形方向の分布に対するxの影響は小さいことが分かる。他の歯車諸元でも同様の結果であったため、Vxはxとyの関数とし、Vyはyのみの関数とした。
各関数の係数はFEM計算結果から歯幅中央付近の撓みの精度を重視して決定した。式(17)のUおよび式(19)の係数Ciは歯車諸元の影響を表す係数の積で表す。Uを例にとると、歯数z、歯たけh、歯幅b、圧力角αの影響を表す係数Uz,Uh,Ub,Ua(便宜的にαの代わりにaを使用)、および歯数無限大の場合のU0を用いて式(20)で表す。更に、係数Uz,Uh,Ub,Uaは、z,h,b,αを使った多項式によって表す。係数Uz,Uh,Ub,Uaと各歯車諸元は図9に示す関係となる。破線は基準とした諸元を示す。なお、図9(c)のmnは歯直角モジュールである。
U=U0Uz(z)Ua(α)Uh(h)Ub(b) ・・・(20)
近似式を使って歯先に集中荷重を作用させたときの曲げ撓み分布を計算した例を図10に示す。実線が近似式による撓みを示し、破線はFEM結果を示す。図の矢印は負荷位置を示す。近似式を用いた結果には、歯幅端に近い部分においてFEM結果よりも小さくなる傾向がみられるが、かみあいが行われる歯幅中央部分では荷重点直下の撓み、およびその分布ともFEMとの対応はよい。
〔稜かみあいの扱い〕
歯先や歯幅端周辺でかみあう場合には、図11のように接触楕円の一部が歯面上にない状態が発生する。この場合には分担荷重PnjからΔPを除く荷重によって歯対の撓みが発生したと考え、式(21)を用いるこによって撓みの影響関数Kjを補正する方法とした。これにより、歯先や歯幅端周辺での歯対の剛性の低下を表現する。
Kj=δj/(Pnj−ΔP) ・・・(21)
《実験検証》
高剛性のケースを持つ1段減速機を用いてかみあい伝達誤差を測定し、計算結果と比較した。入出力軸端部のプーリを介して取り付けた錘りによって負荷をかけ、ゆっくり回転させて測定機の振動の影響を極力少なくした状態で測定した。測定は、表1のNo1とNo2に示す減速比(ギヤ比)1の歯車対について行った。歯ごとのばらつきを低減するため、歯面には浸炭焼入れ後にマーグ歯研を施してある。歯面の測定結果の平均値を図中(図12)に示す。このとき、各個別誤差の歯ごとの測定値の標準偏差は0.5μm以下であった。測定したかみあい伝達誤差をフーリエ解析し、かみあい1次成分、2次成分を計算結果とともに図12に示す。測定結果は数μradの範囲のばらつきを持つが、図はそのうちの略中央のものである。
実測にみられるように、両試験歯車ともかみあい1次成分は負荷とともに変化して極小値と極大値をとる。計算結果も同様の傾向を示し、定性的な対応がみられる。しかし、図に矢印で示すようにかみあい伝達誤差振幅が極小となる負荷量については実測と計算の差は無視できない。原因として、計算では歯車本体、歯車軸、更に軸受の撓みを無視していることが考えられる。実測では減速機の構成要素の撓みが含まれるために、計算よりも剛性が低くなり、図に見られるように極値が低負荷側に現れる。
《実かみあい率εrの定義》
実かみあい率εrは、一対の歯の歯面が実際に接触する角度範囲θrを角ピッチθp(図15参照)で除したものとして定義する。添字1,2で示す駆動側歯車,従動側歯車について、式(22)で表せる。
εr=θr1/θp1=θr2/θp2 ・・・(22)
以後、歯面修整に対応して従動側歯車について考える。実かみあい率εrは負荷によって変化するため、歯車諸元により決まる諸元かみあい率(全かみあい率)εtと区別する。
かみあい伝達誤差振幅の負荷による変化を実かみあい率εrで整理することにより、実測結果と計算結果に共通した特徴が明らかになる。図12の実測値を、実かみあい率εrについて整理したものを図13に示す。計算結果には滑らかでない部分があるが、負荷や角ピッチの刻みを小さくすることにより滑らかな曲線となる。実測の実かみあい率εrは、図14に示すかみあい伝達誤差の実測の波形より求めた。図は試験歯車No1の例で、かみあい歯数の変化によって現れる谷の位置が修整量Sの曲線上となるように、各負荷の測定結果を並べて示す。図の例に示すように、かみあい歯数の変化する位置からθrを求めて実かみあい率εrを算出した。なお、図中の負荷は実測の際の値であり、修整量Sの曲線は図4と同様にして求めた。図13の2種類の歯車の結果から、かみあい伝達誤差が極値となるときの実かみあい率εrは実測結果と計算結果ともに略同じ値となること、かみあい1次成分の場合、極小となるときの実かみあい率εrは1.6付近、極大となるときは2.1付近となることが分かる。計算の誤差振幅はやや大きくなる傾向にあるが、負荷域全般において実測値とよい対応を示す。かみあい2次成分についても同様に実測値と計算値の対応が確認できる。
《かみあい伝達誤差に及ぼす負荷の影響》
かみあい伝達誤差の波形、および振幅の両面より負荷の影響を考察する。
〔かみあい伝達誤差波形〕
試験歯車No2を例として、各回転角度位置において負荷毎に計算したかみあい伝達誤差の波形と、図4と同様にして求めた修整量Sの波形を重ねて図15に示す。無負荷のかみあいは修整量Sの波形のうち遅れ量の最も少ない歯対のものに沿って進み、実かみあい率εrは1.0となる。負荷時には歯対の撓みによって接触する角度範囲θrが増加し、実かみあい率εrも増加する。かみあい歯対の数は、修整量Sの波形と交わる位置において変化し、それに対応してかみあい伝達誤差の波形も変化する。図のaの例では、1対かみあいと2対かみあいの波形が交互に現れる。このときの誤差振幅は無負荷のものより小さい。図のbの例のように1対かみあいと2対かみあいの波形が略同じ振幅となるとき、かみあい伝達誤差の振幅は極小となる。このときの実かみあい率εrの値は約1.6である。負荷が増加して実かみあい率εrが2.0となる場合には、かみあい歯数の数に変化がなく、かみあい伝達誤差の振幅は極大となる。実際には1.5,2.0からややずれた位置で極値をとるが、これはかみあい伝達誤差の波形が1対かみあいと2対かみあいの場合で異なることが原因である。これらの特徴は、更に高い負荷でかみあいが2対と3対の繰り返しとなる場合にも見られる。
〔かみあい伝達誤差振幅〕
歯車諸元と修整歯面の異なる歯車対を用いて、実かみあい率εrとかみあい伝達誤差の振幅との関係を考察する。歯だけの異なる表1のNo3、No4の歯車対、および諸元かみあい率の更に高いNo5の歯車対を用いてかみあい1次,2次成分を計算し、実かみあい率εrとの関係を図16に示す。No5の歯車対については、歯形丸み量とクラウニング量の異なる2例について検討した。図の白丸は極値の位置を示し、かみあい2次成分については極大値の例のみを示す。図より、かみあい伝達誤差の振幅と実かみあい率εrの関係には以下の特徴があることが分かる。
(i)実かみあい率εrは、負荷によって1.0から諸元かみあい率εtの間で変化し、それに伴って誤差振幅も変化する。
(ii)かみあい1次成分が極大値と極小値を示すとき、実かみあい率εrの値はいずれの歯車対でも略同じ値となり、2および3付近で極大、1.6付近で極小となる。諸元かみあい率εtが高い場合には実かみあい率εrが2.7から2.8でも極小となる。無負荷の振幅を極大値のひとつと考えると、かみあい伝達誤差の1次成分は実かみあい率εrが整数となる付近で極大となり、中間の値で極小値が現れる性質を持つ。
(iii)かみあい2次成分の極大値は、かみあい1次の場合の半分の間隔で現れ、1次成分が極値となる位置に略対応して極大値が現れる。かみあい1次成分が極小となる位置ではかみあい2次成分が支配的になる。
(iv)かみあい1次、2次成分ともに無負荷の振幅が大きいと負荷域に現れる極大値も大きい。
(v)各極大値は無負荷のものが最も大きく、実かみあい率εrが高い(大きい)位置に現れるものほど小さくなる。これは伝達荷重を複数歯対で分担することで各歯対のかみあい伝達誤差量が平均化されるためと考えられる。
(vi)したがって、無負荷の振幅が負荷かみあい伝達誤差振幅の極大値を代表するものとなる。
以上の特徴は、図13の実測の結果にも見られ、かみあい伝達誤差の一般的な性質であると考えられる。
本検討結果を踏まえると、実かみあい率εrが1.0の無負荷の時のかみあい伝達誤差振幅ができるだけ小さくなるように歯車諸元および修整歯面を設定することにより、シミュレーションや試験などを行うことなく全負荷領域でかみあい伝達誤差が小さい歯車を短時間で簡単に設計できる。
《有効かみあい率εnの定義》
かみあい伝達誤差は接触点の軌跡上で考えた誤差量であるから、かみあい率についても接触点の軌跡を用いて定義する。歯先や歯幅端で稜かみあい(片当たり)となる部分を除いた角度範囲θnを角ピッチθpで除して有効かみあい率εnと定義する。添字1,2で表す駆動側歯車,従動側歯車について式(23)で表す。
εn=θn1/θp1=θn2/θp2 ・・・(23)
以後、実かみあい率εrと歯面修整に対応して従動側歯車について考える。
有効かみあい率εnは無負荷の接触点の軌跡を用いて求めるものであるから、歯車諸元と修整歯面より成る歯車対の幾何学形状のみに依存し、負荷によらない指標である。また、かみあい伝達誤差と歯車諸元を直接対応させることを目的として、諸元かみあい率εtに歯面修整の影響を考慮した指標である。かみあい伝達誤差に対応して角度により有効かみあい率εnを定式化する。図17は、接触点の軌跡と有効かみあい率εnとの関係を示すものである。図には軌跡の異なるaおよびa'の例が示してあり、接触点が点Stから点Enへ進行する場合について考える。
接触点歯面上に存在するかみあい区間を太い実線で示し、歯先や歯幅端で稜かみあい(片当たり)となる区間を破線で示してある。aの軌跡を使って説明すると、点Aと点Bはかみあい区間の変化点を示し、対応する回転角をθmin,θmaxとする。θmin,θmaxは、接触点が歯先,歯元,および歯幅端部に達する位置によりa,a'の例を含めて4つの組合せが存在する。θnは点Aから点Bに至る角度範囲であり、式(24)により求められる。なお、角ピッチθpは、従動側の歯車の歯数z2を使って式(25)で表せる。図のaの例では、点Stから点Enに対応する角度θs,θeを境界条件として式(26)、a'の例では位相角φmax,φminを境界条件として式(27)を解くことによりθmax,θminが得られ、角度範囲θnおよび有効かみあい率εnが求められる。以上の式は従動側の歯車が右ねじれの場合のものであるが、左ねじれの場合には位相角φの符号が変わるのみであり、計算方法は同じである。
θn=θmax−θmin ・・・(24)
θp=2π/22 ・・・(25)
f(θmin)=θs,f(θmax)=θe ・・・(26)
g(θmin')=φmin,g(θmax')=φmax ・・・(27)
有効かみあい率εnの定義を諸元かみあい率εtと比較すると、作用平面上で図18のように示すことができる。有効かみあい率εnの定義では、図のaの例に示すかみあい開始点Stから点A、および点Bから点Enの区間で示す稜かみあい部分を除いてかみあい長さをLnとする。接触点の軌跡が歯面修整に依存するため、同じ歯車諸元でも有効かみあい率εnは歯面によって異なるものとなる。これに対して、諸元かみあい率εtの定義では誤差のない歯面を前提として点Stから点Enまでをかみあい長さLtとする。図には正面かみあい率εaと重なりかみあい率εbのかみあい長さLa,Lbを示すが、何れも誤差のない歯面を前提としている。図のβbは基礎円筒上ねじれ角で、数式の中のPbは法線ピッチである。このように有効かみあい率εnは接触点の軌跡に基づいて歯面修整の影響を考慮したものであり、歯車諸元の新しい指標である。
《εnとかみあい伝達誤差の関係》
有効かみあい率εnは歯車諸元とともに修整歯面にも依存するため、修整歯面と歯車諸元が有効かみあい率εnとかみあい伝達誤差振幅に及ぼす影響を個別に調べ、その関係を有効かみあい率εnとかみあい伝達誤差の波形の関係から考察する。
〔修整歯面の影響〕
図19は、表2のNo1の歯車対を用いて接触点の軌跡を計算したものである。歯面修整量とそれを用いて計算した有効かみあい率εnの値を表3に示し、そのうちa,b,cの場合について接触点の軌跡を示す。図19の(a),(b),(c)はそれぞれ表3の歯面修整a,b,cに対応する。図は誤差のない歯面を平面として歯面修整量を平面からの距離として表したもので、接触点の軌跡を一対の歯のかみあい開始点Stからかみあい終了点Enの範囲について示す。接触点の軌跡のうち実線は接触点が歯面上に存在する範囲、破線は稜かみあいの範囲を示す。点Cから点Dの区間は無負荷の際の一対の歯のかみあい範囲を示す。波形丸み量とクラウニング量は無負荷のかみあい伝達誤差の振幅が同じになるように設定してある。図19より、歯形丸み量が多く、クラウニング量が少ないcの歯面の歯車対では、接触点の軌跡が歯すじ方向に長くなり、有効かみあい率εnが高く(大きく)なることが分かる。
図20は、図19の3つの歯車に表3のdの歯車対を加えてかみあい伝達誤差を計算し、そのかみあい1次成分を示したものである。横軸は実かみあい率εrとし、実かみあい率εrが負荷とともに増加して有効かみあい率εnおよび諸元かみあい率εtと一致する点をそれぞれ白丸で示す。無負荷の振幅が同じになるように歯面修整量を設定したため、実かみあい率εrが低い領域での有意差はないが、実かみあい率εrが2.0を越える負荷域では有効かみあい率εnの高い歯車対程かみあい伝達誤差振幅が小さくなる。
このように、歯車諸元が同じ場合でも歯面修整によって接触点の軌跡が変わると有効かみあい率εnが異なり、負荷域のかみあい伝達誤差振幅も異なることが分かる。
〔歯車諸元の影響〕
図21および図22は、諸元の異なる歯車対を用いてかみあい伝達誤差のかみあい1次成分を計算したものである。歯車諸元の影響を比較するため、歯形丸みおよびクラウニングの係数d0,c0はすべて同じ値とし、圧力角誤差およびねじれ角誤差はないものとした。図21(a)は表2のNo1の歯車対(歯たけh=5.6mm)と、歯たけhのみを5.0mm、6.2mmとした歯車対を比較したものである。図より、かみあいで達誤差振幅は図20と同様に実かみあい率εrが2.0を越える領域で差が現れることが分かる。この差は、実かみあい率εrが有効かみあい率εnに達する付近より顕著になるため、実かみあい率εrが有効かみあい率εnと一致する負荷量が境界になっていると理解できる。また、誤差振幅は有効かみあい率εnの高い歯車ほど小さい。図21(b)は、同じく表2のNo1の歯車対(圧力角α=18゜)と、圧力角αのみを21゜、15゜とした歯車対を比較したものである。圧力角αの異なる歯車の場合にも、同様の傾向が確認できる。
図21(a),(b)では、諸元かみあい率εtの高い歯車対は有効かみあい率εnも高くなっているため、諸元かみあい率εtと有効かみあい率εnは共にかみあい伝達誤差振幅の変化と対応している。しかし、図22では諸元かみあい率εtと誤差振幅は対応しない。図22(a)は、表2のNo1の歯車対(歯幅b=18mm)と、歯幅bのみを24mmとした歯車対を比較したものである。歯形丸みおよびクラウニングの係数d0,c0を同じにしているため、有効かみあい率εnは同じ値となっている。諸元かみあい率εtに15%程度の差があるにも拘らず、両歯車対のかみあい伝達誤差振幅に有意差は見られない。図22(b)では、かみあい伝達誤差は有効かみあい率εnに対応し、諸元かみあい率εtには対応しない。図22(b)は、表2のNo1の歯車対、および歯数とモジュールを固定してねじれ角を変えたNo2、No3の歯車対を比較したものである。負荷域では、諸元かみあい率εtが低いにも拘らず有効かみあい率εnの高い歯車ほど誤差振幅は小さくなる関係にある。図21(a)、図22(a)の歯だけh、歯幅bのみが異なる歯車対の比較では、歯面修整の係数を同じとしているため、実かみあい率εrが小さい領域の誤差振幅に有意差はない。この範囲の図に差が見られるのは、計算の際の負荷や角ピッチの刻みによるものである。なお、図21(b)、図22(b)の圧力角α、ねじれ角βが異なる歯車対では軸直角圧力角が異なり、基礎円が同じでないために、この領域の誤差振幅は一致しない。
有効かみあい率εnの値は、歯の撓みの計算精度に依存し、緻密に扱うことはできないが、実かみあい率εrが2を越える負荷域で誤差振幅の増加がないことを条件とすると限界値を見いだすことができる。図20,図21,図22を含む各種の歯車対の検討より、図に太い実線で示すように有効かみあい率εnが2.5程度の歯車対が略限界のものとなることが分かった。
〔εnとかみあい伝達誤差波形の関係〕
有効かみあい率εnとかみあい伝達誤差振幅との対応は誤差の波形により説明できる。図23は、表2のNo1の歯車対に表3のaの歯面修整を施した歯車対のかみあい伝達誤差波形の計算結果を示したものである。回転角を横軸とし、各角度位置で負荷ごとに計算したかみあい伝達誤差量の波形と歯面の修整量Sの波形を重ねて示したものである。負荷を増加させていく場合について考えると、負荷Tにより角度範囲θrは点C,点Dの範囲から点A,点Bの範囲に向かって増加し、それに対応してかみあい伝達誤差波形も変化する。この負荷域での波形は実かみあい率εrが指標となる。負荷T1において角度範囲θrが角度範囲θnと一致し、実かみあい率εrと有効かみあい率εnとが等しくなると、図のT2,T3の例に示すように、それを越える負荷での波形は負荷T1の場合と同じ周期で振幅のみが変化するものとなる。これは、同時にかみあう3対の歯のうち1対が稜かみあいとなることが原因である。例えば、回転角θ1で示すかみあい位置では、3対の歯のうちcの歯対が稜かみあいとなって分担荷重が小さく、主にa,bの歯対によってかみあい伝達誤差量e1が決定される。そのため、かみあい伝達誤差の波形はaとbの歯対が荷重を分担する負荷T1の場合と同じ周期になる。この状態は図に影を付して示すように実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える範囲で発生し、この負荷域では有効かみあい率εnがかみあい伝達誤差波形の指標となる。この特徴は、歯車諸元や修整歯面の異なる歯車にも見られる。
かみあい伝達誤差の波形は、有効かみあい率εnの値によって図24の例のように変化する。図は、表2のNo1の歯車対に表3のb,d,cの歯面修整を施した歯車対について示したものである。各かみあい伝達誤差波形は、対応する同じ負荷で計算したものである。但し、負荷T1は実かみあい率εrが有効かみあい率εnと一致する負荷であり、歯車対ごとに異なる値である。同じ歯車諸元を用いた図23の結果を含め、有効かみあい率εnは図23の場合の2.07を最小として図24の(a),(b),(c)の順に大きい。実かみあい率εrが有効かみあい率εnに達する負荷T1の波形と負荷T2,T3の波形を比較すると、図23の場合には負荷が高くなるにつれて振幅が増加するのに対して図24(a)では増加幅が小さくなり、図24(b)では殆ど変化しない。更に図24(c)の負荷T3の波形では誤差振幅が減少傾向を示す。
この結果を誤差波形の形状に着目して考える。図に影を付した範囲は各歯対が稜かみあいとなる範囲であり、この状態の歯対を除いた数は図の角度範囲θaにおいて3対、θbにおいて2対である。θaの範囲では伝達荷重を3対で分担するため、かみあい伝達誤差量が平均化されてなだらかな波形となり、負荷による変化も小さい。したがって、θaが広いほど負荷T1における振幅も負荷による変化も少ない。有効かみあい率εnが高いと、角度範囲θaが広くなるため、誤差振幅と負荷による変化は少ないもとのとなる。
以上を要約すると、ある歯車対において負荷を増加させていく場合、かみあい伝達誤差波形は角度範囲θrとθnが一致する負荷、すなわち実かみあい率εrと有効かみあい率εnが一致する負荷を境に誤差波形の特徴が異なり、実かみあい率εrが有効かみあい率εnよりも低い(小さい)範囲において実かみあい率εrに依存し、実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える領域では有効かみあい率εnに依存すること、有効かみあい率εnが高いほど誤差振幅と負荷による変化は少ないことが分かった。
修整歯面が同等である場合には、有効かみあい率εnは歯車諸元によって決まるから、以上の結果より歯車諸元がかみあい伝達誤差に影響を及ぼすのは実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える負荷域であり、軽負荷域での影響は少ないと言える。
《εnを指標とした歯車設計》
以上の結果を踏まえると、有効かみあい率εnを指標とすることにより負荷域のかみあい伝達誤差の小さい歯車諸元を選ぶことができる。しかし、有効かみあい率εnは歯面にも依存するため、修整歯面をどのように設定するかについて明らかにしておくことが必要である。特開平8−197332号公報には、無負荷のかみあい伝達誤差を指標として最適修整歯面を得る方法が示されており、その量は、軸にミスアライメントがある場合に歯先や歯幅端が稜かみあいにならないことを条件とした場合の必要最小量である。この方法で修整歯面を決定し、有効かみあい率εnを指標として歯車諸元を決定することにより負荷域のかみあい伝達誤差の小さい歯車を設計できる。
歯面修整量を必要最小量とした場合には、有効かみあい率εnと諸元かみあい率εtの間に大まかな対応があり、諸元かみあい率εtの高い歯車諸元を選ぶことにより有効かみあい率εnの高い歯車諸元とすることができる。図21と図22の歯車対を用い、ミスアライメントとして各0.01radの平行度誤差と食い違い誤差を与えて歯面修整量を決定したときの諸元かみあい率εtと有効かみあい率εnとの関係を図25に示す。図にはバイアス修整を施したものについても白丸で示す。図より、諸元かみあい率εtと有効かみあい率εnは全体の傾向が合うことが分かる。従来から諸元かみあい率εtの高い歯車により低振動化が実現されてきたのは、歯面を個別にチューニングした結果として有効かみあい率εnも高くなったためと考えることができる。但し、図のAとBのように諸元かみあい率εtが略同じでも有効かみあい率εnが異なるもの、Cのように有効かみあい率εnが低くなる場合があるため、詳細な設計では有効かみあい率εnを指標とすることが必要である。
歯車諸元によって有効かみあい率εnの高い歯車を得る方法は、減速機のスペースや歯車強度の制約を受ける場合が多く、必ずしも自由度の大きいものではない。このような場合には、歯面によって接触点の軌跡に補正を加える方法が考えられる。歯形丸みとクラウニングの量がミスアライメント量に応じて決まる場合でも、歯面にバイアス修整を追加すると接触点の軌跡が歯すじ方向に長くなり、有効かみあい率εnを高くすることができる。バイアス修整は、歯幅両端で逆方向の圧力角誤差を与えるものである。歯面と接触点の軌跡の関係を図26に示す。図には、バイアス修整のない場合、接触点の軌跡を対角方向に傾ける所謂バイアスインの場合、その逆方向に傾けるバイアスアウトの場合を示す。バイアス量は、歯幅両端での圧力角誤差量を加算して(b1+b2)で表し、式(4)などに用いられているバイアス修整の係数b0は歯すじに沿って変化するバイアス量を直線で表したときの傾きである。図を比較すると、バイアスインとすることにより接触点の軌跡が歯すじ方向に長くなり、その結果として有効かみあい率εnが高くなることが分かる。
修整歯面は、バイアス量を決めた後に歯形丸みとクラウニングの最適値を決定して得られる。表2のNo1の歯車対を例として求めたバイアス量、ミスアライメントがある場合の歯形丸み量とクラウニング量の必要最小量、および有効かみあい率εnとの関係を図27に示す。各0.01radの平行度誤差と食い違い誤差を与え、歯形丸み量とクラウニング量の必要最小量を求めて実線と破線で示し、そのときの有効かみあい率εnを太い実線で示す。バイアス量はバイアスインの場合を正の値とする。図より、バイアス修整のない場合には2.2程度であった有効かみあい率εnの値が、15μmのバイアスインとすることにより約2.5となることが分かる。
これ等の結果から、歯車設計に関して以下の所見が得られた。
(i)かみあい伝達誤差振幅は歯車諸元や歯面修整によらず実かみあい率εrが整数となる付近で極大となり、各極大値のうち無負荷のものが最も大きい。したがって、無負荷の誤差振幅の小さい歯車は負荷域のかみあい伝達誤差振幅も小さい。
(ii)実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える負荷域では、有効かみあい率εnが高いほど誤差振幅が小さく、歯車諸元と修整歯面の設定により有効かみあい率εnの高い歯車とすることができる。
したがって、無負荷のかみあい伝達誤差振幅と有効かみあい率εnを指標として歯車諸元と修整歯面を設定することにより、広い負荷域に亘ってかみあい伝達誤差振幅の小さい歯車を設計することができる。
結局、諸元かみあい率εtに歯面修整の影響を考慮して有効かみあい率εnを定義し、かみあい伝達誤差との関係を考察した結果、以下の結論が得られた。
(i)負荷かみあい伝達誤差は実かみあい率εrと有効かみあい率εnの関係から二つの負荷領域に分けて考えることが必要である。
(ii)実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える負荷域では、有効かみあい率εnがかみあい伝達誤差振幅の指標となり、有効かみあい率εnが高いほどかみあい伝達誤差振幅が小さい。これにより、シミュレーションや試験などを行うことなくギヤノイズが小さい歯車を短時間で簡単に設計できる。特に、有効かみあい率εnが略2.4以上、更に好ましくは2.5程度以上となるようにすれば、負荷域のかみあい伝達誤差の上昇が防止され、ギヤノイズを効果的に低減できる。
(iii)実かみあい率εrが有効かみあい率εnに達しない軽負荷ではかみあい伝達誤差は有効かみあい率εnに依存せず、歯面の影響が支配的である。
(iv)修整歯面が同等である場合には、有効かみあい率εnは歯車諸元によって決まるから、歯車諸元がかみあい伝達誤差に影響を及ぼすのは実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える負荷域であり、軽負荷域での影響は少ない。
(v)諸元かみあい率εtの高い歯車諸元とし、歯面にバイアス修整を追加することにより、有効かみあい率εnの高い歯車とすることができる。
(vi)無負荷のかみあい伝達誤差振幅と有効かみあい率εnを用いることにより、広い負荷域に亘ってかみあい伝達誤差振幅の小さい歯車を設計することができる。
《かみあい伝達誤差に及ぼす歯面修整の影響》
特開平8−197332号公報には、歯を剛体と仮定した場合に歯面の修整量が少ないほどかみあい伝達誤差は小さくなることが開示されている。ここでは、歯の負荷撓みを考慮した場合について解析する。できるだけ歯車諸元の影響を受けないように諸元かみあい率εtの高い表4のNo1の歯車を用い、歯形丸み量とクラウニング量を変えてかみあい伝達誤差のかみあい1次成分を計算した結果を図28に示す。負荷の範囲と刻みはすべて同じとし、各負荷での実かみあい率εrを横軸として示す。その結果、歯形丸み量、クラウニング量が10μmと6.3μmの場合から分かるように、かみあい伝達誤差は実かみあい率εrが1.0となる無負荷の振幅を含めて各極大値は歯面修整量が少ないほど小さい。同じ諸元の歯車では、負荷撓みを考慮した場合にも歯面修整量が少ない程かみあい伝達誤差は小さくなることが分かる。歯形丸み量とクラウニング量が各1μmの例のように誤差のない歯車に近い場合には、全般的にかみあい伝達誤差振幅は小さくなる。但し、同じ負荷では実かみあい率εrが高くなり諸元かみあい率εtを越えると振幅は増加する。実際には、歯車軸のミスアライメントが存在し、それを許容する一定量の歯面修整が必要である。そのような場合に、かみあい伝達誤差振幅を小さくするためには歯面修整量をできるだけ少なくすることが有効である。
《圧力角誤差とねじれ角誤差による片当たり》
歯車軸のミスアライメントにより一対の歯のかみあい区間で歯先または歯幅端での稜かみあいとなる片当たりが発生すると、かみあい伝達誤差は増加するが、ここでは歯の負荷撓みを考慮した場合の片当たりについて考察する。
表4のNo1の歯車に過大なミスアライメントを想定してそれぞれ60μmの圧力角誤差、ねじれ角誤差を与え、片当たりを発生させた場合を例として考察する。歯面にはそれぞれ10μmの歯形丸みとクラウニングを与えている。修整歯面上の接触点の軌跡とかみあい伝達誤差波形を計算した結果を図29、図30に示す。図29は圧力角誤差がある場合で、図30はねじれ角誤差がある場合である。接触点の軌跡は、図の点Aから点Bの範囲が歯面上に存在し、これを越える範囲では歯先または歯幅端での稜かみあいとなる。かみあい伝達誤差波形は、圧力角誤差がある場合(図29)には無負荷において点Bを最高点としてのこぎり歯状となって振幅が増加し、負荷が増加すると稜かみあい区間での撓みが大きくなることによって誤差振幅が大きくなる。ねじれ角誤差がある場合(図30)には、圧力角誤差がある場合に比べて影響は少ない。これは、歯幅端でかみあう場合には歯形丸み量に相当する誤差がかみあい伝達誤差として現れ、圧力角誤差のある場合のようなのこぎり歯状の波形にはならないからである。
図31は、かみあい伝達誤差のかみあい1次と2次の周波数成分の変化を実かみあい率εrを横軸として示したものである。圧力角誤差がある場合には、かみあい1次成分、2次成分ともに全域で大きく、片当たりの影響が大きいことが分かる。ねじれ角誤差のある場合にも、振幅の増加は少ないもののかみあい伝達誤差は増加傾向となる。このように、特にかみあい区間で歯先稜かみあいとなって片当たりの状態になると、かみあい伝達誤差振幅の増加幅が大きく、歯幅端でのかみあいの影響も無視できないことから、負荷によらず片当たりを避ける歯面設定が必要であることが分かる。
《修整歯面の最適化》
歯面修整は、歯車減速機の歯車軸のミスアライメントによって稜かみあいが発生しない量とする必要があり、かみあい伝達誤差を小さくするためにはできるだけその量を少なくする必要がある。この結果を踏まえると、稜かみあいの発生しない必要最小量の修整を施した歯面が最適であると考えることができる。歯車対にミスアライメントを与えた時に、一対の歯のかみあい区間で接触点の軌跡が歯面上に存在することを条件として最適修整歯面が得られる。
図32は、ミスアライメントによりかみあい終了位置で接触点が歯先の歯幅端の点Enを通過する場合の軌跡である。かみあい終了位置で接触点OSが歯面上の点Enに一致する条件は式(28)となり、歯形丸みの係数d0とクラウニングの係数c0を未知数として式を解くことにより、最適歯面修整量が得られる。かみあい開始側についても、式(29)から同様の手順で係数d0,c0が得られる、式(28)と式(29)で得られたd0,c0の大きい値が最適修整歯面の係数となる。
f(θe+φmax)=θe,g(θe+φmax)=φmax・・・(28)
f(θs+φmin)=θs,g(θs+φmin)=φmin・・・(28)
表4のNo1の歯車について、一定量の平行度誤差と食い違い誤差を与えて歯面修整量を最適化した例を図33に示す。接触点の軌跡はかみあい終了位置で歯先の歯幅端を通り、無負荷のかみあい伝達誤差波形はかみあい区間で稜かみあいとなることがなく振幅の増加はない。負荷時の振幅の増加も少ない。図34は、このときのかみあい伝達誤差のかみあい1次とかみあい2次成分の負荷による変化を計算し、実かみあい率εrで整理したものである。平行度誤差と食い違い誤差がそれぞれ最大量の3分の1、3分の2の場合を併せて示す。平行度誤差と食い違い誤差が最大の場合は、実かみあい率εrが2付近に現れる極大値の増加量が大きいが、3分の1、3分の2の場合はかみあい1次、2次ともに低く抑えられていることが分かる。
《歯車諸元の最適化》
実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越える負荷領域では、歯車諸元と修整歯面から決まる有効かみあい率εnがかみあい伝達誤差の指標となる。更に、歯面修整量は歯車諸元とミスアライメント量に対して最適化するため、最適歯面修整量がより少なくなる歯車諸元を選ぶことにより、かみあい伝達誤差の小さい歯車が得られる。また、角ピッチはかみあい伝達誤差振幅を決定づける要因となるため、その影響についても考察し、歯車諸元の最適化のための指針を得る。
〔最適歯面修整量に及ぼす歯車諸元の影響〕
最適歯面修整量と歯たけh、歯幅b、圧力角α、ねじれ角βの関係を調べ、最適歯面修整量が小さくなる歯車諸元について考察する。歯数と歯直角モジュールが同じで歯たけh、歯幅b、圧力角α、ねじれ角βの異なる歯車について、同じ量の平行度誤差と食い違い誤差に対して修整歯面を最適化した場合の歯形丸み,クラウニングの係数d0,c0を規格化して図35に示す。係数が小さいほど歯面はなだらかとなり、かみあい伝達誤差振幅は小さい。結果より、歯たけhは5mm以上とすると歯形丸みの最適値は小さくなる。この場合にはモジュールの約2.5倍にあたることから、歯たけhは標準歯車よりもやや高歯とするのが有利である。歯幅bは大きいほどクラウニングの最適値が小さくなる。歯たけh,歯幅bと稜かみあいにならないための歯形丸み,クラウニングの必要量の関係は、図36に示す歯すじ修整のモデルを使って説明できる。接触位置A,Bでの傾きが等しいので、放物線の傾きより式(30)が成立し、それを変形して係数c2は式(31)で表せる。定義より、φ1<φ2であるから、c2<c1となり、歯幅bの広い場合のほうがクラウニングの係数が小さくなる。
2c1φ1=2c2φ2 ・・・(30)
c2=c1(φ1/φ2) ・・・(31)
図35に戻って、圧力角αは主に歯形丸みに影響し、圧力角αが小さい方が小さく設定できることが分かる。ねじれ角βは、特にクラウニングに対してねじれ角βが大きいほど係数を小さく設定でき、20゜程度を越えるとあまり差がなくなる。図37は、ミスアライメント量が異なる場合のクラウニングの係数の最適値を示す。平行度誤差と食い違い誤差をそれぞれ0.015rad、0.01rad、0.005radとして計算した係数c0と、これをねじれ角β=27゜のもので基準化したものを示す。異なるミスアライメント量に対してもねじれ角が係数に及ぼす影響は同様な傾向を示すことが分かる。このように歯面修整量を少なくできる歯車諸元が明らかになった。また、それは従来の諸元かみあい率εtを高める歯車諸元と一致するものであることが分かった。
以上では、歯面修整係数の大きさを比較して説明したが、各諸元の値の組合せは無負荷のかみあい伝達誤差振幅を比較することで検討する。ミスアライメントのない場合の一対の歯の無負荷のかみあい伝達誤差振幅を表すと式(32)となり、式(33)がかみあい伝達誤差波形の全振幅(p−p値)の式となる。この式により最もかみあい伝達誤差振幅の小さい歯車諸元の組合せを選択し、歯車諸元を最適化する。
ΔE(θ)=α2θ2 ・・・(32)
但し、
〔角ピッチの影響〕
かみあい伝達誤差振幅は歯面修整量とともに角ピッチの影響を受ける。角ピッチの異なる表4のNo1とNo2の歯車のかみあい伝達誤差を図38に示す。No1の歯車はNo2の歯車に対してピッチ径を変えずにモジュール(歯直角モジュールmn)を小さくして歯数(z)を増やし、角ピッチを小さくしたものである。図より角ピッチの小さい歯車は全般的にかみあい伝達誤差振幅が小さいことが分かる。これは、図39の模式図に示すように、角ピッチが小さくなることにより誤差波形の交点までの距離がE1からE2に減少するためである。それに伴って負荷領域の極大値も減少し、略全域でかみあい伝達誤差振幅が小さくなる。このように角ピッチを小さくすることは、かみあい伝達誤差振幅の低減に有効な手段であり、歯車強度が成立する範囲でできるだけ小モジュールで歯数の多い諸元とすることが望ましい。負荷との関係については、図39に示す実かみあい率εr=1.5となる場合の例のように、撓み量がδ1からδ2に減少するため角ピッチの小さい歯車の場合には軽負荷で実かみあい率εrが高くなる。
《新しい歯車設計の手順》
最適歯面修整量の計算、かみあい伝達誤差振幅と有効かみあい率εnの計算を従来の歯車諸元設計に追加し、歯車諸元設計段階で歯面修整量を決定できる新しい設計法を示す。設計条件、設計変数、計算結果と評価指標の関係を図40に示す。設計条件として、減速機の変速比i,中央距離a,最大外径Dmax,最大歯幅bmax,軸受の許容荷重より決まる最大ねじれ角βmaxに加えて、平行度誤差と食い違い誤差の最大量λmaxとγmaxを与える。設計変数として歯数z,歯直角モジュールmt,歯たけh,圧力角α,歯幅b,ねじれ角βを選び、λmaxとγmaxより歯形丸み量とクラウニング量の最適値dmin,cminを計算する。設計指標として無負荷のかみあい伝達誤差振幅T.E.,有効かみあい率εnを最適修整歯面を使って計算し、応力指標とともに条件を満たす歯車諸元の組合せを選ぶ。有効かみあい率εnが低い場合は歯車諸元を変更する方法以外にバイアス修整を追加する方法がある。最適歯面修整量,かみあい伝達誤差振幅,有効かみあい率は式によって得られ、各指標を使って最適な歯車諸元と修整歯面を得ることができる。
従来の歯車設計では歯車諸元と修整歯面を別個に検討する必要があるから、できるだけ多くの歯車諸元と修整歯面についてかみあい伝達誤差を計算して比較する必要がある。修整歯面の決定方法も明らかでないため、最適な歯車諸元と修整歯面を得るにはたいへん時間のかかる作業となっている。新しい設計法では歯車諸元設計の段階で修整歯面を同時に決定でき、歯車設計の品質を向上させるだけでなく、開発時間の大幅な短縮となる。
新しい設計法により最適な歯車を得る過程の各段階でのかみあい伝達誤差を図41に示す。表4のNo2の歯車の歯形丸み量とクラウニング量を各10μmとしたものを基本としてAで示す。Bは平行度誤差と食い違い誤差を各0.01radとして修整歯面を最適化した例で、軽負荷域のかみあい伝達誤差振幅を低減できるが、有効かみあい率εnが低いために実かみあい率εrが有効かみあい率εnを越えるbの負荷域でのかみあい伝達誤差振幅は増加することが分かる。Cは歯たけを5.6mmから6.2mmに増やし、圧力角を18゜から16゜に減少させて歯面を最適化した例で、歯形丸みとクラウニングの最適値が減少したことによりかみあい伝達誤差は小さくなる。同時に有効かみあい率εnは2.4を超え、b領域のかみあい伝達誤差も減少する。さらにDで示すように歯数を増やして最適修整歯面としたものでは、全負荷領域でかみあい伝達誤差が小さくなることが分かる。なお、実かみあい率εrが諸元かみあい率εtに近づくような高負荷では、かみあい伝達誤差振幅は増加するが、歯車騒音が比較的軽負荷で顕著になり易いことを考えると、一般的には問題ない。
《歯面の製造ばらつきの影響》
無負荷のかみあい伝達誤差と歯ごとの歯面誤差のばらつきの関係について研究が為されている。かみあい伝達誤差波形は歯面のばらつきにより変化し、側帯波を含むかみあい次数以外の成分が現れる。しかし、稜かみあいのない正常なかみあいを前提にかみあい1次成分に着目するのであれば、ばらつきを考慮したかみあい伝達誤差振幅は全歯の平均の歯面を使って計算した値を超えることがないことが分かっている。これは無負荷の場合とかみあい伝達誤差振幅が極大値となる実かみあい率εrが整数の場合に言えることである。本発明者等の歯車設計法では、実かみあい率εrが整数となる付近で現れるかみあい伝達誤差振幅の極大値に注目し、そのなかでも最大の値をとる無負荷の振幅に着目しているため、全歯の歯面の平均値を使って検討することにより誤りを生じることはない。
《結論》
最適歯面修整量、かみあい伝達誤差振幅、有効かみあい率εnの計算を従来の歯車諸元設計に追加し、歯車諸元設計段階で歯面修整量を決定できる新しい設計法を提案した。新しい設計法では歯車諸元設計の段階で修整歯面を同時に決定でき、歯車設計の品質を向上させるだけでなく開発時間の大幅な短縮となる。さらに歯車設計の指針として以下の結論が得られた。
(i)ミスアライメントにより歯面が稜かみあいとなるとかみあい伝達誤差振幅は全負荷域で大幅に増加する。
(ii)公差上限のミスアライメント量に対して稜かみあいのない歯面修整量を設定すると、最適修整歯面が得られる。
(iii)歯たけ,歯幅,ねじれ角の大きい歯車、および圧力角の小さい歯車では、歯面修整量の最適値が小さくなり、かみあい伝達誤差振幅が小さくなる。
(iv)歯たけは歯直角モジュールの2.5倍以上、ねじれ角は20゜以上とするとかみあい伝達誤差振幅を効果的に減少させることができる。
(v)強度の許容範囲で小モジュールとし、歯数を増やして角ピッチを小さくすると全負荷域でかみあい伝達誤差振幅を効果的に減少させることができる。
以上、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもできる。
例えば、実際の歯車の歯面形状などからかみあい伝達誤差振幅を算出して実かみあい率εrで整理することにより、試験などを行うことなくギヤノイズなどの性能評価を行うこともできる。実際の歯車の歯面形状などから有効かみあい率εnを算出することにより、試験などを行うことなくギヤノイズなどの性能評価を行うこともできる。
また、実かみあい率εrが角度範囲θrおよび角ピッチθpを用いて定義されていたが、ピッチ円上の長さ寸法で定義しても実質的に同じであるなど、実かみあい率の定義の仕方は趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更され得る。
有効かみあい率εnについても、角度範囲θnおよび角ピッチθpを用いて定義されていたが、ピッチ円上の長さ寸法で定義しても実質的に同じであるなど、有効かみあい率の定義の仕方は趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更され得る。
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明は、ギヤノイズが小さい歯車を短時間で簡単に設計したり製造したりする場合、或いはその歯車を用いる種々の産業分野で好適に利用され得る。
Claims (9)
- 一対の歯の歯面が実際に接触する角度範囲θrを歯車の角ピッチθpで除した値θr/θpを実かみあい率とし、該実かみあい率θr/θpが1.0となる無負荷の時のかみあい伝達誤差振幅が小さくなるように、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする歯車設計方法。
- 接触点の軌跡のうち歯先または歯幅端で稜かみあいとなる部分を除いた角度範囲θnを歯車の角ピッチθpで除した値θn/θpを有効かみあい率とし、該有効かみあい率θn/θpに基づいて、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする歯車設計方法。
- 前記有効かみあい率θn/θpが高くなるように、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする請求項2に記載の歯車設計方法。
- 前記有効かみあい率θn/θpを高くするために、歯面にバイアスインのバイアス修整を施すことを特徴とする請求項3に記載の歯車設計方法。
- 前記有効かみあい率θn/θpが略2.4以上となるように、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする請求項3に記載の歯車設計方法。
- 諸元かみあい率の高い歯車諸元を選択し、歯面にバイアス修整を追加することで前記有効かみあい率θn/θpを高くすることを特徴とする請求項3に記載の歯車設計方法。
- 無負荷の時のかみあい伝達誤差振幅が小さくなるとともに前記有効かみあい率θn/θpが高くなるように、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定することを特徴とする請求項3に記載の歯車設計方法。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の設計方法に従って、諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、およびバイアス修整量の少なくとも一つを設定し、その設定通りの諸元かみあい率、歯形丸み量、クラウニング量、またはバイアス修整量が得られるように歯車を製造することを特徴とする歯車製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法に従って製造されたことを特徴とする歯車。
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