JP3551607B2 - GaAs単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GaAs単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaAs(ガリウム砒素)の単結晶は、磁電変換素子、FET(電界効果トランジスタ)、IC、LSI、HEMT(High Electron Mobility Transistor) 等の高速高周波素子等の基板として広い用途で使用されている。これらの素子に用いられる基板材料の単結晶は主にLEC法(Liquid Encapsulated Czochralski :液体封止引上法)によって製造される。LEC法では、以下のように単結晶を製造する。圧力容器内に設置したpBNルツボに原料及び原料元素と反応性の低い液体封止剤を収容して、容器内部に不活性ガス(例えばArガス)を所定の圧力だけ封入する。ルツボの外周部に位置するヒータで加熱して、GaAs融液をつくる。GaAs融液に種結晶を付け、徐々に種結晶を引上げ、所定の径に制御しながら引き上げていくことによりGaAsの種結晶が得られる。
【0003】
このLEC法による単結晶の製造では、炭素が結晶中に不純物として混入する。GaAs結晶中の炭素は浅いアクセプタとなり、その濃度の高低で結晶の電気的特性が変化する。GaAsウェハに求められる電気特性は、ウェハが基板として使われる素子の種類によって異なる。このため、結晶中に含まれる炭素濃度は、結晶の先端から後端にわたって均一であることが望ましい。また、このような単結晶を再現性よく成長する方法が必要とされている。
【0004】
LEC法によるGaAs単結晶に混入する炭素は、結晶成長中に、圧力容器内の雰囲気ガス中の一酸化炭素から供給される。このため結晶成長中の容器内の一酸化炭素濃度を所定の値に制御することで、単結晶に含まれる炭素濃度を希望する値にする方法が行われている。
【0005】
一酸化炭素濃度を制御する方法としては、図6に示すような結晶成長炉を用いて行われている。図6は従来のGaAs単結晶の製造方法を適用した結晶成長炉の概念図であり、GaAs単結晶の製造途中を示している。
【0006】
同図に示すように、圧力容器1内には圧力容器1の底部を貫通したルツボ支持軸2によって有底無蓋の筒状のルツボ3が支持されている。ルツボ3の周囲には筒状のヒータ4が配置されている。ルツボ3内にはヒータ4の熱で溶融したGaAs(GaAs融液)5が収容され、GaAs融液5の表面は液体封止剤6で封止されている。ルツボ3の上方には、圧力容器1の蓋部を貫通すると共に鉛直方向に移動自在な結晶引上げ軸7が設けられている。結晶引上げ軸7の下端にはGaAsの種結晶8が取り付けられている。圧力容器1の下方の側壁には略F字状の配管9の一端が接続されている。この配管9の一方の他端にはバルブ10を介してCO(一酸化炭素)ガス混入Arガスボンベ11が接続され、配管9の他方の他端にはバルブ12を介して純Ar(アルゴン)ガスボンベ13が接続されている。
【0007】
圧力容器1の上方の側壁には余分なガスを排出するためのバルブ14付きの配管15が接続されている。圧力容器1の蓋部にはバルブ16付きの配管17を介してCO濃度計18が接続されている。尚、19はガス排出用の配管である。
【0008】
結晶成長炉21は、主に圧力容器1、ルツボ3、ヒータ4及び結晶引上げ軸7で構成されている。
【0009】
このような結晶成長炉21を用いてGaAs単結晶20を製造するには、ヒータ4でルツボ3内のGaAs融液5を加熱すると共に、バルブ10,12,14を開いてArガスとCOガス混入Arガスとを圧力容器1内に導入し、余分なガスを排出すると共に、結晶引上げ軸7を降下させ、種結晶8をGaAs融液5に付けた後、結晶引上げ軸7を回転させながら徐々に引き上げると炭素を含むGaAs単結晶20が得られる。
【0010】
このとき結晶成長炉21内のガス中の一酸化炭素ガス濃度(以下「CO濃度」という)は、CO濃度計18でモニターされており、CO濃度が所定の値より高い場合には、COガスを含まない不活性なArガスを結晶成長炉21内に導入し、かつ、結晶成長炉21内の余分なガスを排出することによりCO濃度が下がる。また、CO濃度が所定の値より低い場合には、COガスが混じったガスを結晶成長炉21内に導入し、かつ結晶成長炉21内の余分なガスを排出することによりCO濃度が上がる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法によって、GaAs単結晶成長中のガス中のCO濃度を所定の濃度に制御する場合、ArガスとCOガス混入Arガスとのガス封入、排出を1回だけで行おうとすると、結晶成長炉21内のCO濃度が所定の濃度を超えたり、所定の濃度に達しないことが多い。
【0012】
このため、CO濃度を所定の濃度に制御するのに結晶成長炉21内に何回もガスを封入したり、排出したりしなければならない。これは結晶成長炉21内に封入するガスの濃度が、GaAs単結晶成長中の結晶成長炉21内のCO濃度に比べて、かなり高かったり、低かったりするため、ガスの封入や排出による結晶成長炉21内のガス置換を短時間で行わなければならないことが一因であると考えられる。このようなガスの封入、排出による結晶成長炉21内のガス置換を行った場合、ヒータ4のパワー制御が不十分となりGaAs融液5の温度が変動することがある。GaAs融液5の温度が変動すると、GaAs単結晶20の径が変動し、単結晶を成長することが困難となる。また、短時間ではあるが、結晶成長炉21内のCO濃度が所定の濃度より高くなったり低くなったりするため、成長したGaAs単結晶20の軸方向の炭素濃度が、希望する炭素濃度に対して高くなったり低くなったりするという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、先端から後端にわたって希望する炭素濃度に対して均一なGaAs単結晶の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、液体封止引上げ法によってGaAs単結晶を製造すると共に、GaAs単結晶に含まれる炭素濃度を、結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度を測定し、一酸化炭素ガスを適宜導入することにより制御するGaAs単結晶の製造方法において、結晶成長炉内に封入するガス中の一酸化炭素濃度C1を、結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度C2に対して、0.8×C2≦C1≦1.2×C2を満足させるよう調節するものである。
【0016】
上記構成によって、結晶成長炉内に封入するガス中の一酸化炭素濃度を所定の範囲内になるように調節するので、一酸化炭素濃度調節後のガスを結晶成長炉内に導入しても結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素の濃度が所定の範囲を上回ることがない。また、一酸化炭素濃度調節後のガスを結晶成長炉内に導入するときに結晶成長炉内の余分な雰囲気ガスを排出することにより結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素の濃度が所定の範囲を下回ることがない。従って結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度が均一となり、先端から後端にわたって希望する炭素濃度に対して均一なGaAs単結晶が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1は本発明のGaAs単結晶の製造方法を適用した結晶成長炉の一実施の形態を示す概念図であり、GaAs単結晶の製造途中を示している。
【0019】
同図に示すように圧力容器30内には圧力容器30の底部を貫通したルツボ支持軸31によって有底無蓋の筒状のpBNルツボ32が支持されている。pBNルツボ32の周囲には筒状のヒータ33が配置されている。pBNルツボ32内にはヒータ33の熱で溶融したGaAs融液34が収容され、GaAs融液34の表面は液体封止剤35で封止されている。pBNルツボ32の上部には、圧力容器30の蓋部を貫通すると共に鉛直方向に移動自在な結晶引上げ軸36が設けられている。結晶引上げ軸36の下端にはGaAsの種結晶37が取り付けられている。
【0020】
圧力容器1の下方の一方(図では左側)の側壁にはバルブ38付きの配管39を介して高濃度COガス供給容器40が接続されている。高濃度COガス供給容器40の上方には配管41を介してCO濃度計42が接続され、高濃度COガス供給容器40の側壁には略F字形状の配管43の一端が接続されている。配管43の一方(図では左側)の他端にはバルブ44を介してCOガスが混入したArガスボンベ45が接続され、配管43の他方(図では右側)の他端にはバルブ46を介して純Arガスボンベ47が接続されている。
【0021】
圧力容器30の下方の他方(図では右側)の側壁にはバルブ48付きの配管49を介して低濃度COガス供給容器50が接続されている。低濃度COガス供給容器50の上方には配管51を介してCO濃度計52が接続され、低濃度COガス供給容器50の側壁には略F字形状の配管53の一端が接続されている。配管53の一方(図では左側)の他端にはバルブ54を介してCOガス混入Arガスボンベ55が接続され、配管53の他方(図では右側)の他端にはバルブ56を介して純Arガスボンベ57が接続されている。
【0022】
圧力容器30の上方の側壁には余分な雰囲気ガスを排出するためのバルブ58付きの配管59が接続されている。圧力容器30の蓋部にはバルブ60付きの配管61を介してCO濃度計62が接続されている。尚、63,64,65はCO濃度測定時にガスを排出するための配管である。
【0023】
結晶成長炉66は、主に圧力容器30、pBNルツボ32、ヒータ33及び結晶引上げ軸36で構成されている。
【0024】
このような結晶成長炉66を用いてGaAs単結晶を製造するには、結晶成長炉66の圧力容器30内に封入する雰囲気ガス中のCOの濃度C1を、圧力容器30内の雰囲気ガスのCOの濃度C2に対して式(1)
0.8×C2≦C1≦1.2×C2 …(1)
を満足させるように各バルブ38,44,46,48,54,56,58を開閉すると共に、結晶引上げ軸36を降下させ、種結晶37をGaAs融液34に付けた後、結晶引上げ軸36を回転させながら徐々に引き上げると、先端から後端(図の上下方向)にわたって希望する炭素濃度に対して均一なGaAs単結晶67が得られる。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す結晶成長炉を用いてGaAs単結晶を10本引き上げた。
【0026】
まず、結晶成長炉66のpBNルツボ32内に、20Kg/cm2 の圧力下で、pBNルツボ32にAsが過剰組成となるような約20KgのGaAs融液34を収容し、バルブ38,44,46の開閉により、圧力容器30内のCO濃度が約500ppmになるようにする。また、高濃度COガス供給容器40内のCO濃度が約600ppmになるようにバルブ44,46の開閉によって調節し、かつ高濃度COガス供給容器40内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにする。同様にバルブ54,56の開閉により低濃度COガス供給容器50内のCO濃度が約400ppmになるように調節し、かつ低濃度COガス供給容器50内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにする。圧力容器30内のガスの圧力調節の際、これらの両COガス供給容器40,50内のCO濃度は、それぞれCO濃度計42,52で測定した。
【0027】
この後、結晶引上げ軸36を降下させ、種結晶37をGaAs融液34に付けた後、結晶引上げ軸36を回転させながら徐々に引き上げ、結晶径約110mmのGaAs単結晶に成長させた。尚、単結晶成長中、圧力容器30内の圧力は約20Kg/cm2 になるように保持した。
【0028】
本実施例1では結晶成長炉66の圧力容器30内のCO濃度を約500ppmになるように保持し、引き上げられるGaAs単結晶の炭素濃度を約2.0×1015/cm3 とするため、結晶成長中は圧力容器30内のCO濃度をCO濃度計62で測定し、圧力容器30内のCO濃度が500ppmより高い場合には、バルブ48を開けて、低濃度COガス供給容器50よりCOガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分なガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が500ppmになるように調節した。
【0029】
一方、CO濃度が500ppmより低い場合には、バルブ38を開けて、高濃度COガス供給容器40よりCOガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分なガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が500ppmになるように調節した。
【0030】
このようにして直径約110mm、長さ約350mmのGaAs単結晶を10本引き上げた。
【0031】
(実施例2)
図1に示す結晶成長炉66のpBNルツボ32内に、20Kg/cm2 の圧力下で、pBNルツボ32にAsが過剰組成となるような約20KgのGaAs融液34を収容し、バルブ38,44,46の開閉により、圧力容器30内のCO濃度が約1200ppmになるようにする。また、高濃度COガス供給容器内のCO濃度が約1400ppmになるようにバルブ44,46の開閉によって調節し、かつ高濃度COガス供給容器40内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにする。同様にバルブ54,56の開閉により低濃度COガス供給容器50内のCO濃度が約1000ppmになるように調節し、かつ低濃度COガス供給容器50内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにする。圧力容器30内の雰囲気ガスの圧力調節の際、これら両COガス供給容器40,50内のCO濃度は、それぞれCO濃度計42,52で測定した。
【0032】
この後、結晶引上げ軸36を降下させ、種結晶37をGaAs融液34に付けた後、結晶引上げ軸36を回転させながら徐々に引き上げ、結晶径約110mmのGaAs単結晶に成長させた。成長中、圧力容器30内の圧力を約20Kg/cm2 になるように保持した。
【0033】
本実施例2では圧力容器30内のCO濃度が約1200ppmになるように保持して、引き上げられるGaAs単結晶67の炭素濃度を約3.5×1015/cm3 とするために、結晶成長中は圧力容器30内のCO濃度をCO濃度計62で測定し、CO濃度が1200ppmより高い場合には、バルブ48を開けて、低濃度COガス供給容器50よりCOガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分な雰囲気ガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるように調節した。
【0034】
一方、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmより低い場合には、バルブ38を開けて、高濃度COガス供給容器40よりCOガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分な雰囲気ガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるように調節した。
【0035】
このようにして直径約110mm、長さ約350mmのGaAs単結晶を10本引き上げた。
【0036】
(比較例1)
図1に示す結晶成長炉66を用いてGaAs単結晶を10本引き上げた。
【0037】
ガスボンベ45,55にはArガスにCOガスが5%混入したガスが、ガスボンベ47,57にはArガスがそれぞれ入っている。
【0038】
20Kg/cm2 の圧力下で、pBNルツボ32にAsが過剰組成となるような20KgのGaAs融液34を作製した後、バルブ38,44,46の開閉により、圧力容器30内のCO濃度が500ppmになるようにした。また、高濃度COガス供給容器40内のCO濃度が650ppmになるように、バルブ44,46の開閉によって調節し、かつ、高濃度COガス供給容器40内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにした。同様に、バルブ54,56の開閉により低濃度COガス供給容器50内のCO濃度が350ppmになるように調節し、かつ、低濃度COガス供給容器50内の圧力が圧力容器内30の圧力より高くなるように調節した。圧力調節の際、両COガス供給容器40,50内のCO濃度は、それぞれCO濃度計42,52で測定した。
【0039】
この後、GaAs融液34に種結晶37を付け、結晶引上げ軸36を回転させながら引上げ、結晶径110mmのGaAs単結晶67に成長させた。成長中、結晶成長炉66内の圧力は、20Kg/cm2 に保持した。
【0040】
本比較例1では、結晶成長炉66の圧力容器30内のCO濃度が500ppmになるように保持し、引き上げられるGaAs単結晶67の炭素濃度を2.0×1015/cm3 とするため、成長中は圧力容器30内のCO濃度をCO濃度計62で測定し、圧力容器30内のCO濃度が500ppmより高い場合には、バルブ48を開けて、低濃度COガス供給容器50よりCOガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分な雰囲気ガスを排出することにより、結晶成長炉66内のCO濃度が500ppmになるように調節した。
【0041】
このようにして直径110mm、長さ350mmのGaAs単結晶67を10本引き上げた。
【0042】
(比較例2)
図1に示す結晶成長炉66を用いてGaAs単結晶を10本引き上げた。
【0043】
ガスボンベ45,55には、ArガスにCOガスを5%混入したガスが、ガスボンベ47,57にはArガスがそれぞれ入っている。
【0044】
20Kg/cm2 の圧力下でpBNルツボ32にAsが過剰組成となるような20KgのGaAs融液34を作成した後、バルブ38,44,46の開閉により、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるようにした。また高濃度COガス供給容器40内のCO濃度が1500ppmになるように、バルブ44,46の開閉によって調節し、かつ高濃度COガス供給容器40内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにした。同様に、バルブ54,56の開閉により低濃度COガス供給容器50内のCO濃度が900ppmになるように調節し、かつ低濃度COガス供給容器50内の圧力が圧力容器30内の圧力より高くなるようにした。圧力容器30内の圧力調節の際、両COガス供給容器40,50内のCO濃度は、それぞれCO濃度計42,52で測定した。
【0045】
この後、GaAs融液34に種結晶37を付け、結晶引上げ軸36を回転させながら引上げ、結晶径110mmのGaAs単結晶67に成長させた。成長中、結晶成長炉66内の圧力は、20Kg/cm2 に保持した。
【0046】
本比較例2では結晶成長炉66の圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるように保持し、引き上げられるGaAs単結晶67のCO濃度を3.5×1015/cm3 とするために、成長中は圧力容器30内のCO濃度をCO濃度計62で測定し、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmより高い場合には、バルブ48を開けて、低濃度COガス供給容器50より、COガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分な雰囲気ガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるように調節した。
【0047】
一方、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmより低い場合には、バルブ38を開けて、高濃度COガス供給容器40より、COガスを圧力容器30内に導入し、かつバルブ58を開けて圧力容器30内の余分な雰囲気ガスを排出することにより、圧力容器30内のCO濃度が1200ppmになるように調節した。
【0048】
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の方法によって成長したGaAs単結晶の中から無作為にGaAs単結晶を1本ずつ選び、それぞれのGaAs単結晶の先端から30mmおきに各位置で5mmの厚さの試料を採取し、各試料の両面を研磨して鏡面にした。この後、赤外線吸収法により、それぞれの試料の炭素濃度を測定し、GaAs結晶中の炭素濃度の分布を調べた。その結果を、表1〜表4、図2〜図5に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
表1は実施例1の方法により成長した結晶の番号、多結晶発生位置及び結晶形状の変動の関係を示している。同様に表2は実施例2の方法に対応し、表3は比較例1、表4は比較例2に対応している。
【0054】
図2は、実施例1の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示し、図3は実施例2の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。図4は、比較例1の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示し、図5は比較例2の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。図2〜図5において、横軸は引上げ長さ軸であり、縦軸は炭素濃度軸である。
【0055】
表1〜表4、図2〜図5より実施例1及び実施例2で得られたGaAs単結晶は、比較例1及び比較例2で得られたGaAs単結晶に比べて、GaAs単結晶中の炭素濃度の目標値からのずれが小さいことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0057】
液体封止引上げ法によってGaAs単結晶を製造すると共に、GaAs単結晶に含まれる炭素濃度を、結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度により制御するGaAs単結晶の製造方法において、結晶成長炉内に封入するガス中の一酸化炭素濃度を所定の範囲内になるように調節することにより、先端から後端にわたって希望する炭素濃度に対して均一なGaAs単結晶を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGaAs単結晶の製造方法を適用した結晶成長炉の一実施の形態を示す概念図である。
【図2】実施例1の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。
【図3】実施例2の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。
【図4】比較例1の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。
【図5】比較例2の方法により成長した結晶の軸方向の炭素濃度を示す図である。
【図6】従来のGaAs単結晶の製造方法を適用した結晶成長炉の概念図である。
【符号の説明】
30 圧力容器
32 pBNルツボ
33 ヒータ
36 結晶引上げ軸
38,44,46,48,54,56,58 バルブ
66 結晶成長炉
67 GaAs単結晶
Claims (1)
- 液体封止引上げ法によってGaAs単結晶を製造すると共に、GaAs単結晶に含まれる炭素濃度を、結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度を測定し、一酸化炭素ガスを適宜導入することにより制御するGaAs単結晶の製造方法において、上記結晶成長炉内に封入するガス中の一酸化炭素濃度C1を、結晶成長炉内の雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度C2に対して下記式
0.8×C2≦C1≦1.2×C2
を満足させるよう調節することを特徴とするGaAs単結晶の製造方法。
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