JP3551574B2 - 内燃機関の故障診断装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気通路と、排気通路に介装された排気浄化触媒をバイパスして設けられた通路との切換えを行う制御弁を備えた内燃機関において、排気浄化触媒の下流側からの空燃比検出信号に基づいて制御弁の故障を診断する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関の故障診断装置としては、例えば特開平58−135324号に開示されたものある。このものは図8に示すように、過給機のタービン羽根車13への排気導入通路2に、バイパス制御弁15を介して分岐させた排気放出用バイパス通路5に、排気放出用バイパス通路内のガス状態を検出する温度センサ等の検出手段14を設けた構成としている。この検出手段14の出力信号は、コントロールユニット10に送られ、検出手段14の出力信号によってバイパス通路5へ流入されるはずの排気が流入しないことを検出した際に、バイパス制御弁の故障として報知を発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の内燃機関の故障診断装置にあっては、バイパス制御弁の異常を検知するために、バイパス通路に通路内の排気状態の検出手段として温度センサを増設する構成となっているため、排気状態の検出手段を新たに付加することによるコスト増大が問題となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、既存のデュアルO2 センサシステムのリアO2 センサを、排気浄化触媒の劣化診断の本来の目的とは別途に、バイパス通路内における排気の状態の検出に流用することにより、新たに装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断する内燃機関の故障診断装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に介装された排気浄化触媒の上流側と下流側に夫々備えられ、排気中の特定成分から空燃比の所定空燃比に対するリッチ,リーンを検出する空燃比検出手段を備え、該排気浄化触媒の劣化を診断する装置において、前記排気浄化触媒の上流側の排気通路から分岐され、該排気浄化触媒をバイパスして設けられたバイパス通路と、排気流を排気の低温状態で前記排気浄化触媒が介装された排気通路に流し、排気の高温状態で前記バイパス通路に流すように切り換えるバイパス制御弁と、前記バイパス通路の前記排気通路との合流部より下流側に設けられた空燃比検出手段の出力に基づいて、該下流側の空燃比検出手段が活性化したかを判断する活性化判断手段と、該空燃比活性判断手段により活性化したと判断するまでの活性進行状態に基づいて前記バイパス制御弁の故障を診断する故障診断手段と、を含んで構成するようにした。
【0006】
このように前記排気浄化触媒の下流側の空燃比検出手段を利用して、該空燃比検出手段が活性化するまでの期間を検出し、該期間に応じてバイパス制御弁の故障を診断することにより、新たな装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断することができ、簡単な構成でコストアップすることなく内燃機関の故障診断を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記故障診断手段は、機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまでの活性化時間と、予め設定された空燃比検出手段の標準活性化時間とを比較し、前記活性化時間が前記標準活性化時間より短い場合に前記バイパス制御弁の故障が生じたと判断するようにした。
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を、機関の始動時からの経過時間により設定し、この経過時間と、予め実験的に設定された標準活性化時間との比較から前記バイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く故障を診断することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記故障診断手段は、運転状態を表す運転状態パラメータを機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまで積算した積算パラメータと、予め設定された標準積算パラメータとを比較し、前記積算パラメータが前記標準積算パラメータより小さい場合にバイパス制御弁の故障が生じたと判断するようにした。
【0009】
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を、機関の始動時から運転状態パラメータを積算した積算パラメータにより設定し、この積算パラメータと、予め実験的に設定された標準積算パラメータとの比較から前記バイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く故障を診断することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記運転状態パラメータは、燃料噴射量に機関回転速度を乗じた値とした。
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を表す運転状態パラメータに運転状態を考慮した値を用いているため、故障診断の精度をより向上させることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記標準積算パラメータは、機関の冷却水温に対応して設定するようにした。
これにより、機関の暖機状態に対応した標準積算パラメータを設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
まず、O2 センサの活性化時間からバイパス制御弁の故障を検出する第1の実施の形態における構成を図1に示した。内燃機関1の排気管2の途中にフロント触媒3とリア触媒4を配設し、フロント触媒3をバイパスしてリア触媒4の上流部に合流するバイパス通路5を配設する。そして、このバイパス通路5の上流側分岐点に、排気の流れをフロント触媒3側とバイパス通路5側に切り替えるバイパス制御弁6を配置する。このバイパス制御弁6は駆動装置7(例えばステップモータ等)により駆動され、フロント触媒3側のバルブ6a と、バイパス通路5側のバルブ6b とがそれぞれほぼ直交する状態でシャフト6c に固定されている。即ち、バルブ6a が全開の場合はバルブ6b が全閉となり、逆にバルブ6a が全閉の場合には、バルブ6a が全開となる。
【0013】
また、フロント触媒3の直上流に配設される上流側酸素センサ(フロントO2 センサ)8は、高温排気温度による劣化を防止するためにバルブ6aの下流側に配設している。一方、フロント触媒3の下流側のバイパス通路5との合流部近傍に下流側酸素センサ(リアO2 センサ)9を配設している。これらのO2 センサの信号をコントロールユニット(C/U)10に入力し、この信号に基づいて、基準空燃比からのずれを表す空燃比補正係数αを演算する。
【0014】
ここで、フロント触媒3側に排気を流す場合は、フロントO2 センサ8の信号に基づいて空燃比補正係数αを演算すると共に、リアO2 センサ9の周波数(反転周期)との比較により触媒の劣化診断を行う。一方、バイパス通路5側に排気を流す場合はリアO2 センサ9の信号に基づいて空燃比補正係数αを演算する。
C/U10には、吸入空気流量、機関回転速度が入力され、それらの結果から基本燃料噴射パルス幅Tp を演算し、燃料噴射パルス幅Ti (=Tp ×α)を、基本燃料噴射パルス幅Tp を空燃比補正係数αで補正することにより求める。この燃料噴射パルス幅Ti に基づいて、吸気管11に設置されたインジェクタ12から燃料を噴射する。さらに、C/U10においては機関回転速度NRPM、基本燃料噴射パルス幅Tp 、および冷却水温から排気温度を予測し、低速負荷時等の低排気温度時に対しては、フロント触媒3側に排気を流し、また、高速高負荷時等の高排気温度時に対しては、排気流の圧力損失を軽減するためバイパス通路5側に排気を流すようにC/U10で判断し、駆動装置7によりバイパス制御弁6を駆動して排気流の流路を切り替える。
【0015】
次に、バイパス制御弁の故障診断の手順を図2に示すフローチャートに従い説明する。
まず、ステップ1(S1)においてはスタートスイッチがオンとなっているかを調べ、オンとなった場合にS2において始動時における機関の冷却水温TWINTを調べる。この冷却水温TWINTが所定値、例えば25℃以下の冷機時始動の場合にS3へ進み、以下のステップに示す故障診断を行う。
【0016】
S3においては、バイパス通路5側のバイパス制御弁6bを閉じる条件かを前述の機関回転速度NRPM、基本燃料噴射パルス幅Tp 、および冷却水温から予測される排気温度から判断し、バイパス制御弁6bを閉じる場合に対してはS4へ進む。以降、リアO2 センサが活性化するまでにバイパス制御弁6bが開く条件となった場合は、このルーチンを終了する。
【0017】
S4においては、リアO2 センサが活性化したか否かを判断する。リアO2 センサが活性化するまではS3に戻り、活性化したと判断した場合にS5へ進む。
このO2 センサの活性化挙動は温度に依存しており、O2 のリーンとリッチに対する出力値の差が特定の温度から徐々に拡大する傾向がある。図3にO2 センサの温度に対する出力を示した。ここでは、O2 センサの出力がある所定値VSLSR 以上、またはVCLSL 以下となったときに制御可能温度に達した、即ち活性化したと判断するようにした。
【0018】
S5においては、スタートスイッチのオン時からリアO2 センサが活性化されるまでのリアO2 センサ活性化時間と、予め実験的に求めたリアO2 センサ標準活性化時間とを比較する。ここで、バイパス制御弁からのバイパス通路側への排気の漏れが発生している場合は、漏れた排気が直接リアO2 センサに触れO2 センサを加熱させるため、図4に示すように、リアO2 センサが制御可能温度に達するまでの活性化時間がバイパス制御弁からの漏れがない場合と比較して早まっている。
【0019】
このため、実際のリアO2 センサの活性化時間が標準活性化時間より早くなっている場合は、S6でバイパス制御弁6の故障を示す報知を発生させて終了する。一方、S5で実際のリアO2 センサ活性化時間が標準活性化時間にほぼ等しい場合は、バイパス制御弁6に異常はないと判断し、このルーチンを終了する。
以上説明したように、バイパス通路内の排気状態をデュアルO2 センサシステムのリアO2 センサを流用することにより、新たに装置を付加することなく、且つ、コストアップすることなく、バイパス制御弁の故障(漏れ)を診断することができる。
【0020】
次に、前記O2 センサの活性化時間によるバイパス制御弁の故障判定を、他の方法で行う第2の実施の形態を以下に説明する。本実施の形態の構成は、第1の実施の形態における図2のフローチャートのS5が異なっている。まず、このS5の処理の概略を以下に説明する。
S4でリアO2 センサが活性化したと判断した後、S5においては、スタートスイッチのオン時からリアO2 センサが活性化するまでの間の運転状態(基本燃料噴射パルス幅Tp ×機関回転速度NRPM)からリアO2 センサの活性状態を推測する。そして、リアO2 センサがまだ活性していないと判断した場合は、バイパス制御弁に漏れが生じたために実際のリアO2 センサの活性化時間が早まったと判断し、バイパス制御弁の故障を示す報知を発生させる。一方、リアO2 センサが活性化していると判断した場合は、バイパス制御弁の異常はないとして、このルーチンを終了する。
【0021】
次に、リアO2 センサ活性状態の具体的な判定方法を説明する。O2 センサの温度は運転状態に依存する。そこで、運転状態、即ち、排気温度、排気量、始動からの経過時間t等を表すパラメータとして、スタートスイッチのオン時からのTp ,NRPMの積算値を合計したΣ(Tp×NRPM)を用いると、リアO2 センサの温度とは図6に示す関係となる。この図から、リアO2 センサが制御可能温度に達する、つまり活性化するΣ(Tp×NRPM)の値であるTPNRPMを求めることができる。
【0022】
また、TPNRPMは機関の始動時における冷却水温TWINTに対して、図7に示す関係をもつ。この関係より、S5においてリアO2 センサが活性化したと判断した時点のΣ(Tp×NRPM)と、TWINTから参照したリアO2 センサの標準活性値TPNRPMを比較し、Σ(Tp×NRPM)よりTPNRPMの方が大きい場合は、バイパス制御弁6のバイパス通路側5への排気の漏れによりリアO2 センサの活性化が早まったものと判断し、S6でバイパス制御弁故障報知装置により報知を発生させる。一方、Σ(Tp×NRPM)がTPNPRMにほぼ等しい場合は、バイパス制御弁からの漏れはなかったと判断する。
【0023】
以上のように、本実施の形態においては、リアO2 センサの標準活性値として運転状態を考慮した値を用いるため、故障診断の精度をより向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、排気浄化触媒の下流側の空燃比検出手段を利用してバイパス制御弁の故障を診断することにより、新たな装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断することができ、簡単な構成でコストアップすることなく内燃機関の故障診断を行うことができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、空燃比検出手段が活性化するまでの期間を機関の始動時からの経過時間により設定してバイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く診断することができる。
請求項3に記載の発明によれば、空燃比検出手段が活性化するまでの期間を積算パラメータにより設定してバイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く診断することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、運転状態パラメータに運転状態を考慮した値を用いているため、故障診断の精度をより向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、機関の暖機状態に対応して標準積算パラメータを設定することができ、以て、運転状態に即した診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のおけるシステム構成図。
【図2】第1の実施の形態のおける故障診断のフローチャート図。
【図3】O2 センサの温度に対する出力の変化を示す図。
【図4】O2 センサの活性化時間のバイパス制御弁の状態による変化を説明する図。
【図5】第2の実施の形態のおける故障診断のフローチャート図。
【図6】Σ(Tp ×NRPM)に対するO2 センサの温度変化を示す図。
【図7】始動時の冷却水温度に対するTPNRPMの変化を示す図。
【図8】従来の技術における排気通路の構成を示す図。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 排気管
3 フロント触媒
4 リア触媒
5 バイパス通路
6,6a,6b バイパス制御弁
8 上流側酸素センサ
9 下流側酸素センサ
10 コントロールユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気通路と、排気通路に介装された排気浄化触媒をバイパスして設けられた通路との切換えを行う制御弁を備えた内燃機関において、排気浄化触媒の下流側からの空燃比検出信号に基づいて制御弁の故障を診断する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関の故障診断装置としては、例えば特開平58−135324号に開示されたものある。このものは図8に示すように、過給機のタービン羽根車13への排気導入通路2に、バイパス制御弁15を介して分岐させた排気放出用バイパス通路5に、排気放出用バイパス通路内のガス状態を検出する温度センサ等の検出手段14を設けた構成としている。この検出手段14の出力信号は、コントロールユニット10に送られ、検出手段14の出力信号によってバイパス通路5へ流入されるはずの排気が流入しないことを検出した際に、バイパス制御弁の故障として報知を発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の内燃機関の故障診断装置にあっては、バイパス制御弁の異常を検知するために、バイパス通路に通路内の排気状態の検出手段として温度センサを増設する構成となっているため、排気状態の検出手段を新たに付加することによるコスト増大が問題となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、既存のデュアルO2 センサシステムのリアO2 センサを、排気浄化触媒の劣化診断の本来の目的とは別途に、バイパス通路内における排気の状態の検出に流用することにより、新たに装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断する内燃機関の故障診断装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に介装された排気浄化触媒の上流側と下流側に夫々備えられ、排気中の特定成分から空燃比の所定空燃比に対するリッチ,リーンを検出する空燃比検出手段を備え、該排気浄化触媒の劣化を診断する装置において、前記排気浄化触媒の上流側の排気通路から分岐され、該排気浄化触媒をバイパスして設けられたバイパス通路と、排気流を排気の低温状態で前記排気浄化触媒が介装された排気通路に流し、排気の高温状態で前記バイパス通路に流すように切り換えるバイパス制御弁と、前記バイパス通路の前記排気通路との合流部より下流側に設けられた空燃比検出手段の出力に基づいて、該下流側の空燃比検出手段が活性化したかを判断する活性化判断手段と、該空燃比活性判断手段により活性化したと判断するまでの活性進行状態に基づいて前記バイパス制御弁の故障を診断する故障診断手段と、を含んで構成するようにした。
【0006】
このように前記排気浄化触媒の下流側の空燃比検出手段を利用して、該空燃比検出手段が活性化するまでの期間を検出し、該期間に応じてバイパス制御弁の故障を診断することにより、新たな装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断することができ、簡単な構成でコストアップすることなく内燃機関の故障診断を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記故障診断手段は、機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまでの活性化時間と、予め設定された空燃比検出手段の標準活性化時間とを比較し、前記活性化時間が前記標準活性化時間より短い場合に前記バイパス制御弁の故障が生じたと判断するようにした。
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を、機関の始動時からの経過時間により設定し、この経過時間と、予め実験的に設定された標準活性化時間との比較から前記バイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く故障を診断することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記故障診断手段は、運転状態を表す運転状態パラメータを機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまで積算した積算パラメータと、予め設定された標準積算パラメータとを比較し、前記積算パラメータが前記標準積算パラメータより小さい場合にバイパス制御弁の故障が生じたと判断するようにした。
【0009】
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を、機関の始動時から運転状態パラメータを積算した積算パラメータにより設定し、この積算パラメータと、予め実験的に設定された標準積算パラメータとの比較から前記バイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く故障を診断することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記運転状態パラメータは、燃料噴射量に機関回転速度を乗じた値とした。
このように前記空燃比検出手段が活性化するまでの期間を表す運転状態パラメータに運転状態を考慮した値を用いているため、故障診断の精度をより向上させることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記標準積算パラメータは、機関の冷却水温に対応して設定するようにした。
これにより、機関の暖機状態に対応した標準積算パラメータを設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
まず、O2 センサの活性化時間からバイパス制御弁の故障を検出する第1の実施の形態における構成を図1に示した。内燃機関1の排気管2の途中にフロント触媒3とリア触媒4を配設し、フロント触媒3をバイパスしてリア触媒4の上流部に合流するバイパス通路5を配設する。そして、このバイパス通路5の上流側分岐点に、排気の流れをフロント触媒3側とバイパス通路5側に切り替えるバイパス制御弁6を配置する。このバイパス制御弁6は駆動装置7(例えばステップモータ等)により駆動され、フロント触媒3側のバルブ6a と、バイパス通路5側のバルブ6b とがそれぞれほぼ直交する状態でシャフト6c に固定されている。即ち、バルブ6a が全開の場合はバルブ6b が全閉となり、逆にバルブ6a が全閉の場合には、バルブ6a が全開となる。
【0013】
また、フロント触媒3の直上流に配設される上流側酸素センサ(フロントO2 センサ)8は、高温排気温度による劣化を防止するためにバルブ6aの下流側に配設している。一方、フロント触媒3の下流側のバイパス通路5との合流部近傍に下流側酸素センサ(リアO2 センサ)9を配設している。これらのO2 センサの信号をコントロールユニット(C/U)10に入力し、この信号に基づいて、基準空燃比からのずれを表す空燃比補正係数αを演算する。
【0014】
ここで、フロント触媒3側に排気を流す場合は、フロントO2 センサ8の信号に基づいて空燃比補正係数αを演算すると共に、リアO2 センサ9の周波数(反転周期)との比較により触媒の劣化診断を行う。一方、バイパス通路5側に排気を流す場合はリアO2 センサ9の信号に基づいて空燃比補正係数αを演算する。
C/U10には、吸入空気流量、機関回転速度が入力され、それらの結果から基本燃料噴射パルス幅Tp を演算し、燃料噴射パルス幅Ti (=Tp ×α)を、基本燃料噴射パルス幅Tp を空燃比補正係数αで補正することにより求める。この燃料噴射パルス幅Ti に基づいて、吸気管11に設置されたインジェクタ12から燃料を噴射する。さらに、C/U10においては機関回転速度NRPM、基本燃料噴射パルス幅Tp 、および冷却水温から排気温度を予測し、低速負荷時等の低排気温度時に対しては、フロント触媒3側に排気を流し、また、高速高負荷時等の高排気温度時に対しては、排気流の圧力損失を軽減するためバイパス通路5側に排気を流すようにC/U10で判断し、駆動装置7によりバイパス制御弁6を駆動して排気流の流路を切り替える。
【0015】
次に、バイパス制御弁の故障診断の手順を図2に示すフローチャートに従い説明する。
まず、ステップ1(S1)においてはスタートスイッチがオンとなっているかを調べ、オンとなった場合にS2において始動時における機関の冷却水温TWINTを調べる。この冷却水温TWINTが所定値、例えば25℃以下の冷機時始動の場合にS3へ進み、以下のステップに示す故障診断を行う。
【0016】
S3においては、バイパス通路5側のバイパス制御弁6bを閉じる条件かを前述の機関回転速度NRPM、基本燃料噴射パルス幅Tp 、および冷却水温から予測される排気温度から判断し、バイパス制御弁6bを閉じる場合に対してはS4へ進む。以降、リアO2 センサが活性化するまでにバイパス制御弁6bが開く条件となった場合は、このルーチンを終了する。
【0017】
S4においては、リアO2 センサが活性化したか否かを判断する。リアO2 センサが活性化するまではS3に戻り、活性化したと判断した場合にS5へ進む。
このO2 センサの活性化挙動は温度に依存しており、O2 のリーンとリッチに対する出力値の差が特定の温度から徐々に拡大する傾向がある。図3にO2 センサの温度に対する出力を示した。ここでは、O2 センサの出力がある所定値VSLSR 以上、またはVCLSL 以下となったときに制御可能温度に達した、即ち活性化したと判断するようにした。
【0018】
S5においては、スタートスイッチのオン時からリアO2 センサが活性化されるまでのリアO2 センサ活性化時間と、予め実験的に求めたリアO2 センサ標準活性化時間とを比較する。ここで、バイパス制御弁からのバイパス通路側への排気の漏れが発生している場合は、漏れた排気が直接リアO2 センサに触れO2 センサを加熱させるため、図4に示すように、リアO2 センサが制御可能温度に達するまでの活性化時間がバイパス制御弁からの漏れがない場合と比較して早まっている。
【0019】
このため、実際のリアO2 センサの活性化時間が標準活性化時間より早くなっている場合は、S6でバイパス制御弁6の故障を示す報知を発生させて終了する。一方、S5で実際のリアO2 センサ活性化時間が標準活性化時間にほぼ等しい場合は、バイパス制御弁6に異常はないと判断し、このルーチンを終了する。
以上説明したように、バイパス通路内の排気状態をデュアルO2 センサシステムのリアO2 センサを流用することにより、新たに装置を付加することなく、且つ、コストアップすることなく、バイパス制御弁の故障(漏れ)を診断することができる。
【0020】
次に、前記O2 センサの活性化時間によるバイパス制御弁の故障判定を、他の方法で行う第2の実施の形態を以下に説明する。本実施の形態の構成は、第1の実施の形態における図2のフローチャートのS5が異なっている。まず、このS5の処理の概略を以下に説明する。
S4でリアO2 センサが活性化したと判断した後、S5においては、スタートスイッチのオン時からリアO2 センサが活性化するまでの間の運転状態(基本燃料噴射パルス幅Tp ×機関回転速度NRPM)からリアO2 センサの活性状態を推測する。そして、リアO2 センサがまだ活性していないと判断した場合は、バイパス制御弁に漏れが生じたために実際のリアO2 センサの活性化時間が早まったと判断し、バイパス制御弁の故障を示す報知を発生させる。一方、リアO2 センサが活性化していると判断した場合は、バイパス制御弁の異常はないとして、このルーチンを終了する。
【0021】
次に、リアO2 センサ活性状態の具体的な判定方法を説明する。O2 センサの温度は運転状態に依存する。そこで、運転状態、即ち、排気温度、排気量、始動からの経過時間t等を表すパラメータとして、スタートスイッチのオン時からのTp ,NRPMの積算値を合計したΣ(Tp×NRPM)を用いると、リアO2 センサの温度とは図6に示す関係となる。この図から、リアO2 センサが制御可能温度に達する、つまり活性化するΣ(Tp×NRPM)の値であるTPNRPMを求めることができる。
【0022】
また、TPNRPMは機関の始動時における冷却水温TWINTに対して、図7に示す関係をもつ。この関係より、S5においてリアO2 センサが活性化したと判断した時点のΣ(Tp×NRPM)と、TWINTから参照したリアO2 センサの標準活性値TPNRPMを比較し、Σ(Tp×NRPM)よりTPNRPMの方が大きい場合は、バイパス制御弁6のバイパス通路側5への排気の漏れによりリアO2 センサの活性化が早まったものと判断し、S6でバイパス制御弁故障報知装置により報知を発生させる。一方、Σ(Tp×NRPM)がTPNPRMにほぼ等しい場合は、バイパス制御弁からの漏れはなかったと判断する。
【0023】
以上のように、本実施の形態においては、リアO2 センサの標準活性値として運転状態を考慮した値を用いるため、故障診断の精度をより向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、排気浄化触媒の下流側の空燃比検出手段を利用してバイパス制御弁の故障を診断することにより、新たな装置を付加することなくバイパス制御弁の故障を診断することができ、簡単な構成でコストアップすることなく内燃機関の故障診断を行うことができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、空燃比検出手段が活性化するまでの期間を機関の始動時からの経過時間により設定してバイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く診断することができる。
請求項3に記載の発明によれば、空燃比検出手段が活性化するまでの期間を積算パラメータにより設定してバイパス制御弁の故障を診断することにより、簡単な計算で精度良く診断することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、運転状態パラメータに運転状態を考慮した値を用いているため、故障診断の精度をより向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、機関の暖機状態に対応して標準積算パラメータを設定することができ、以て、運転状態に即した診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のおけるシステム構成図。
【図2】第1の実施の形態のおける故障診断のフローチャート図。
【図3】O2 センサの温度に対する出力の変化を示す図。
【図4】O2 センサの活性化時間のバイパス制御弁の状態による変化を説明する図。
【図5】第2の実施の形態のおける故障診断のフローチャート図。
【図6】Σ(Tp ×NRPM)に対するO2 センサの温度変化を示す図。
【図7】始動時の冷却水温度に対するTPNRPMの変化を示す図。
【図8】従来の技術における排気通路の構成を示す図。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 排気管
3 フロント触媒
4 リア触媒
5 バイパス通路
6,6a,6b バイパス制御弁
8 上流側酸素センサ
9 下流側酸素センサ
10 コントロールユニット
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に介装された排気浄化触媒の上流側と下流側に夫々備えられ、排気中の特定成分から空燃比の所定空燃比に対するリッチ,リーンを検出する空燃比検出手段を備え、該排気浄化触媒の劣化を診断する装置において、
前記排気浄化触媒の上流側の排気通路から分岐され、該排気浄化触媒をバイパスして設けられたバイパス通路と、
排気流を排気の低温状態で前記排気浄化触媒が介装された排気通路に流し、排気の高温状態で前記バイパス通路に流すように切り換えるバイパス制御弁と、
前記バイパス通路の前記排気通路との合流部より下流側に設けられた空燃比検出手段の出力に基づいて、該下流側の空燃比検出手段が活性化したかを判断する活性化判断手段と、
該空燃比活性判断手段により活性化したと判断するまでの活性進行状態に基づいて前記バイパス制御弁の故障を診断する故障診断手段と、
を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の故障診断装置。 - 前記故障診断手段は、機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまでの活性化時間と、予め設定された空燃比検出手段の標準活性化時間とを比較し、前記活性化時間が前記標準活性化時間より短い場合に前記バイパス制御弁の故障が生じたと判断する請求項1に記載の内燃機関の故障診断装置。
- 前記故障診断手段は、運転状態を表す運転状態パラメータを機関の始動時から前記下流側の空燃比検出手段が活性化するまで積算した積算パラメータと、予め設定された標準積算パラメータとを比較し、前記積算パラメータが前記標準積算パラメータより小さい場合にバイパス制御弁の故障が生じたと判断する請求項1に記載の内燃機関の故障診断装置。
- 前記運転状態パラメータは、燃料噴射量に機関回転速度を乗じた値である請求項3に記載の内燃機関の故障診断装置。
- 前記標準積算パラメータは、機関の冷却水温に対応して設定する請求項3または請求項4に記載の内燃機関の故障診断装置。
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