JP3551559B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電機子コイルに印加する電圧を制御して、最適効率で運転できるモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラシレスDCモータとしては、特公平5−72197号に記載のものがある。このブラシレスDCモータは、図37に示すように、複数極の永久磁石を有する回転子70と、3相Y結線された電機子コイル71a,71b,71cを有する固定子71と、上記電機子コイル71a,71b,71cに並列状態で3相Y結線された抵抗72a,72b,72cからなる抵抗回路72と、上記電機子コイル71a,71b,71cに対する回転子70の相対的な回転位置を検出する回転位置検出器73と、上記回転位置検出器73からの回転子70の回転位置を表わす位置信号を受けて、電機子コイル71a,71b,71cに対する電圧パターンを切り換えるスイッチング信号を出力するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)74と、上記マイコン74からのスイッチング信号を受けて、電機子コイル71a,71b,71cの電圧パターンを切り換え制御する転流制御信号を出力するベース駆動回路75と、上記ベース駆動回路75からの転流制御信号を受けて、電機子コイル71a,71b,71cの電圧パターンを切り換えるインバータ部80とを備えている。
【0003】
上記インバータ部80は、直流電源76の正極側にスイッチ77を介して夫々接続された3つのトランジスタ80a,80b,80cと、直流電源76の負極側に夫々接続された3つのトランジスタ80d,80e,80fとから構成されている。上記トランジスタ80aとトランジスタ80dのコレクタを互いに接続し、トランジスタ80bとトランジスタ80eのコレクタを互いに接続し、トランジスタ80cとトランジスタ80fのコレクタを互いに接続している。上記トランジスタ80a,80dの互いに接続された部分にU相の電機子コイル71aを接続し、トランジスタ80b,80eの互いに接続された部分にV相の電機子コイル71bを接続し、トランジスタ80c,80fの互いに接続された部分にW相の電機子コイル71cを接続している。そして、上記ベース駆動回路75からの転流制御信号をインバータ部80の各トランジスタ80a〜80fのベースに夫々入力している。
【0004】
また、上記回転位置検出器73は、上記抵抗回路72の中性点の電圧VMと電機子コイル71a,71b,71cの中性点の電圧VNとが入力され、抵抗回路72の中性点と電機子コイル71a,71b,71cの中性点との電位差を表わす電位差信号VMNを出力する差動増幅器81と、上記差動増幅器81からの電位差信号VMNを受けて、その電位差信号VMNを積分する積分器82と、上記積分器82からの電位差信号VMNを積分した積分信号を受けて、位置信号を出力する零クロスコンパレータ83とを備えている。また、コンパレータ84は、上記電機子コイル71cの両端が入力端子に夫々接続され、誘起電圧EWの極性を表わす信号をマイコン74に出力する。
【0005】
上記構成のブラシレスDCモータにおいて、インバータ部80からの各U相,V相,W相のモータ端子電圧をVU,VV,VW、電機子コイル71a,71b,71cの各U相,V相,W相の誘起電圧をEU,EV,EWとすると、抵抗回路72の中性点の電圧VMと電機子コイル71a,71b,71cの中性点の電圧VNは、
VM = (1/3)(VU+VV+VW)
VN = (1/3){(VU−EU)+(VV−EV)+(VW−EW)}
となる。したがって、上記抵抗回路72の中性点と電機子コイル71a,71b,71cの中性点との電位差を表わす電位差信号VMNは、
VMN = VM−VN = (1/3)(EU+EV+EW)
となり、電機子コイル71a,71b,71cの誘起電圧EU,EV,EWの和に比例する。
【0006】
上記電機子コイル71a,71b,71cの誘起電圧EU,EV,EWは、120deg毎に位相の異なる台形状の波形となり、電位差信号VMNは、誘起電圧EU,EV,EWに対して3倍の基本波周波数成分を有する略三角波となる。この電位差信号VMNの三角波のピーク点が電圧パターンの切り換え点となる。上記積分器82は、差動増幅器81からの電位差信号VMNを積分して、略正弦波状の積分信号∫VMNdtを出力する。そして、上記零クロスコンパレータ83は、積分信号∫VMNdtのゼロクロス点を検出して、位置信号をマイコン74に出力する。すなわち、この電位差信号VMNのピーク点は、回転速度によって振幅が変動するため、電位差信号VMNを積分して、ゼロクロス点を検出するようにしているのである。上記位置信号は、上記固定子71の電機子コイル71a,71b,71cに対する回転子70の相対的な位置を示すものである。次に、上記マイコン74は、零クロスコンパレータ83からの位置信号を受けて、ベース駆動回路75にスイッチング信号を出力する。上記ベース駆動回路75は、マイコン74からのスイッチング信号を受けて、インバータ部80の各トランジスタ80a〜80fのベースに転流制御信号を出力する。そして、上記インバータ部80の各トランジスタ80a〜80fは、順次オンオフして、電機子コイル71a,71b,71cに対する電圧パターンを切り換える。
【0007】
こうして、上記ブラシレスDCモータは、電機子コイル71a,71b,71cの誘起電圧EU,EV,EWより回転子70の回転位置を表わす位置信号を検出して、インバータ部80は、その位置信号によって電機子コイル71a,71b,71cの電圧パターンの切り換えを行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ブラシレスDCモータを用いて、圧縮機のようなトルクの変動幅が大きい負荷を駆動したとき、ブラシレスDCモータの性能を十分に発揮すれば、圧縮機に要求される運転エリア(図38に示す)内での高効率な運転が可能である。しかしながら、上記ブラシレスDCモータでは、上記負荷を駆動した場合、モータの誘起電圧に対する電圧パターンの位相を調整することができないため、最大効率運転ができないか、あるいはトルクが大きいエリアで脱調するという欠点がある。
【0009】
そこで、上記運転エリア内において、インバータ部80の入力電流を検出しながら、その入力電流が最小になるように、誘起電圧に対する電機子コイル71a,71b,71cの電圧パターンの位相を調整することによって、モータ効率を最大にすることが考えられている。ところが、上記ブラシレスDCモータは、図39に示すように、ピーク効率点近傍の遅れ位相側にモータが脱調する脱調領域を有し、インバータ部80の入力電流が最小になるように電圧パターンの位相を追い込んでいく段階で、誤ってその限界点を越えてしまい、モータが脱調するという問題ある。
【0010】
そこで、この発明の目的は、脱調を防止しつつ、最大効率で運転できるモータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1のモータは、回転子と、電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、上記電機子コイルの中性点の電圧に基づく信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記インバータ部の出力を制御するインバータ出力制御手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記請求項1のモータによれば、例えばDCモータまたはACモータの上記電機子コイルの中性点の電圧に基づく信号のレベルが上記所定のレベル未満になるとモータが脱調するような場合、上記インバータ出力制御手段は、中性点の電圧に基づく信号レベルを上記所定のレベル以上に保ちつつ、モータ効率が最大になるように、上記インバータ部の出力を制御する。つまり、上記インバータ出力制御手段により、中性点の電圧に基づく信号のレベルが上記所定のレベル未満にならないように、インバータ部の出力の位相すなわち電機子コイルに印加する電圧のパターンの位相を補正し、あるいはインバータ部の出力電圧を補正して、モータの脱調を防止する。
したがって、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。
【0013】
また、請求項2のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段とを備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
上記請求項2のモータによれば、上記回転位置検出手段は、回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。上記レベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定する。上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記位相補正指令手段は、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する。そして、上記位相補正手段は、位相補正指令手段からの位相補正角を表わす指令信号を受けて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正して、上記インバータ部は、上記位相補正角に基づいて電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換える。
【0015】
したがって、上記電位差信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転できる。
【0016】
また、請求項3のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段とを備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
上記請求項3のモータによれば、上記回転位置検出手段は、回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。上記レベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定する。上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記位相補正指令手段は、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する。そして、上記位相補正手段は、位相補正指令手段からの位相補正角を表わす指令信号を受けて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正して、上記インバータ部は、上記位相補正角に基づいて電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換える。
【0018】
したがって、上記積分信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転できる。また、上記電位差信号を積分することによって、運転周波数が変化してもピーク効率点における積分信号のレベルが略一定となる場合は、運転周波数の変化の影響を受けないので、容易に最大効率でモータを運転できる。
【0019】
また、請求項4のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路を備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記インバータ部の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
上記請求項4のモータによれば、上記レベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定する。そして、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電圧補正指令手段は、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する。そして、上記電圧補正手段は、電圧補正指令手段からの電圧補正値を表わす指令信号を受けて、上記電圧補正値に基づいてインバータ部の出力電圧を補正する。
【0021】
したがって、上記電位差信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転できる。
【0022】
また、請求項5のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路を備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記インバータ部の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0023】
上記請求項5のモータによれば、上記レベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定する。そして、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電圧補正指令手段は、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する。そして、上記電圧補正手段は、電圧補正指令手段からの電圧補正値を表わす指令信号を受けて、上記電圧補正値に基づいてインバータ部の出力電圧を補正する。
【0024】
したがって、上記積分信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転できる。また、上記電位差信号を積分することによって、運転周波数が変化してもピーク効率点における積分信号のレベルが略一定となる場合は、運転周波数の変化の影響を受けないので、容易に最大効率でモータを運転できる。
【0025】
また、請求項6のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段と、上記電位差検出手段からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号を積分して、積分信号を出力する積分手段と、上記積分手段からの上記積分信号を受けて、上記積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記積分手段からの上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0026】
上記請求項6のモータによれば、上記回転位置検出手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、複数極の磁石を有する回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。そして、上記電位差検出手段は、電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力し、上記積分手段は、電位差検出手段からの電位差信号を積分して、積分信号を出力する。上記位相補正指令手段は、モータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力し、位相補正手段は、上記位相補正角に基づいて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する。このとき、上記位相補正指令手段は、上記レベル判定手段により積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定した結果に基づいて、積分手段からの積分信号のレベルが上記所定のレベル以上になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する。そして、上記位相補正手段からの位相補正された電圧のパターンを表わす信号に基づいて、上記インバータ部は、電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換える。
【0027】
したがって、上記積分信号のレベル判定の条件を、例えばモータが脱調する限界点の積分信号のレベルとならない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ位相側に存在する脱調領域に電圧のパターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転できる。
【0028】
また、請求項7のモータは、請求項6のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記位相補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記位相補正角調整手段の上記位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴としている。
【0029】
上記請求項7のモータによれば、上記位相補正指令手段の位相補正角調整手段は、例えば上記位相補正角を所定の位相角毎に増加方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定して、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角の調整方向を増加方向から減少方向に反転させる。一方、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定して、かつレベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角の調整方向を減少方向から増加方向に反転させる。また、上記レベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする。すなわち、上記位相補正角調整手段により位相補正角を逐次調整するとき、レベル判定手段のレベル判定の条件をピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ補正側の脱調領域に位相補正角を調整する手前で、減少方向にするのである。
【0030】
したがって、上記電流判定手段,位相補正角調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点に位相補正角を調整することができる。また、上記位相補正角の増減によって、位相補正角をピーク効率点に追い込むとき、位相補正角を遅れ側に補正しすぎて脱調するということがない。
【0031】
また、請求項8のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段と、上記電位差検出手段からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0032】
上記請求項8のモータによれば、上記回転位置検出手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、複数極の磁石を有する回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。そして、上記電位差検出手段は、電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する。上記位相補正指令手段は、モータ効率が最大になるように、上記位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力し、位相補正手段は、上記位相補正角に基づいて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する。このとき、上記位相補正指令手段は、上記レベル判定手段により電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定した結果に基づいて、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力する。そして、上記位相補正手段からの位相補正された電圧のパターンを表わす信号に基づいて、上記インバータ部は、電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換える。
【0033】
したがって、上記電位差信号のレベル判定の条件を、例えばモータが脱調する限界点の電位差信号のレベルとならない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ位相側に存在する脱調領域に電圧のパターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転できる。
【0034】
また、請求項9のモータは、請求項8のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記位相補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記位相補正角調整手段の上記位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴としている。
【0035】
上記請求項9のモータによれば、上記位相補正指令手段の位相補正角調整手段は、例えば上記位相補正角を所定の位相角毎に増加方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加したと判定して、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角を調整方向を増加方向から減少方向に反転させる。一方、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向に逐次調整すると、電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加したと判定して、かつレベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角を調整方向を減少方向から増加方向に反転させる。また、上記レベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする。すなわち、上記位相補正角調整手段により位相補正角を逐次調整するとき、レベル判定手段のレベル判定の条件をピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ補正側の脱調領域に位相補正角を調整する手前で、減少方向にするのである。
【0036】
したがって、上記電流判定手段,位相補正角調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点に位相補正角を調整することができる。また、上記位相補正角の増減によって、位相補正角をピーク効率点に追い込むとき、位相補正角を遅れ側に補正しすぎて脱調するということがない。
【0037】
また、請求項10のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段と、上記電位差検出手段からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号を積分して、積分信号を出力する積分手段と、上記積分手段からの上記積分信号を受けて、上記積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記インバータ部の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記積分手段からの上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0038】
上記請求項10のモータによれば、上記回転位置検出手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、複数極の磁石を有する回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。そして、上記電位差検出手段は、電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力し、上記積分手段は、電位差検出手段からの電位差信号を積分して、積分信号を出力する。上記電圧補正指令手段は、モータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力し、電圧補正手段は、上記電圧補正値に基づいて、インバータ部の出力電圧を補正する。このとき、上記電圧補正指令手段は、上記レベル判定手段により積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定した結果に基づいて、積分手段からの積分信号のレベルが上記所定のレベル以上になるように、電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する。
【0039】
したがって、上記積分信号のレベル判定の条件を、例えばモータが脱調する限界点の積分信号のレベルとならない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側に存在する脱調領域にインバータ部の出力電圧が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転できる。
【0040】
また、請求項11のモータは、請求項10のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記電圧補正値調整手段の上記電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴としている。
【0041】
上記請求項11のモータによれば、上記電圧補正指令手段の電圧補正値調整手段は、例えば上記電圧補正値を所定の電圧値毎に増加方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定して、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧補正値の調整方向を増加方向から減少方向に反転させる。一方、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定して、かつレベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧補正値の調整方向を減少方向から増加方向に反転させる。また、上記レベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする。すなわち、上記電圧補正値調整手段により電圧補正値を逐次調整するとき、レベル判定手段のレベル判定の条件をピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側の脱調領域に電圧補正値を調整する手前で、減少方向にするのである。
【0042】
したがって、上記電流判定手段,電圧補正値調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点にインバータ部の出力電圧を調整することができる。また、上記電圧補正値の増減によって、インバータ部の出力電圧をピーク効率点に追い込むとき、電圧補正値を高い電圧側に補正しすぎて脱調するということがない。
【0043】
また、請求項12のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段と、上記電位差検出手段からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記インバータ部の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴としている。
【0044】
上記請求項12のモータによれば、上記回転位置検出手段は、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差に基づいて、複数極の磁石を有する回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する。そして、上記電位差検出手段は、電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する。上記電圧補正指令手段は、モータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力し、電圧補正手段は、上記電圧補正値に基づいて、インバータ部の出力電圧を補正する。このとき、上記電圧補正指令手段は、上記レベル判定手段により電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定した結果に基づいて、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上になるように、電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する。
【0045】
したがって、上記電位差信号のレベル判定の条件を、例えばモータが脱調する限界点の電位差信号のレベルとならない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側に存在する脱調領域にインバータ部の出力電圧が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転できる。
【0046】
また、請求項13のモータは、請求項12のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記電圧補正値調整手段の上記電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴としている。
【0047】
上記請求項13のモータによれば、上記電圧補正指令手段の電圧補正値調整手段は、例えば上記電圧補正値を所定の電圧値毎に増加方向に逐次調整すると、上記電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、上記電流判定手段が上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流が増加したと判定して、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧補正値を調整方向を増加方向から減少方向に反転させる。一方、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向に逐次調整すると、電流検出手段からの電流検出信号に基づいて、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加したと判定して、かつレベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧値を調整方向を減少方向から増加方向に反転させる。また、上記レベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする。すなわち、上記電圧補正値調整手段により電圧補正値を逐次調整するとき、レベル判定手段のレベル判定の条件をピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側の脱調領域に電圧補正値を調整する手前で、減少方向にするのである。
【0048】
したがって、上記電流判定手段,電圧補正値調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点にインバータ部の出力電圧を調整することができる。また、上記電圧補正値の増減によって、インバータ部の出力電圧をピーク効率点に追い込むとき、電圧補正値を高い電圧側に補正しすぎて脱調するということがない。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0050】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態のブラシレスDCモータの構成を示しており、1は電機子コイル1a,1b,1cがY結線され、複数の永久磁石を有する回転子10を回転磁界により回転させる固定子、2は上記電機子コイル1a,1b,1cに並列状態に接続され、抵抗2a,2b,2cをY結線した抵抗回路、3は上記抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出して、その電位差信号VMNに基づいて、回転子10の相対的な位置を検出して、回転子10の相対的な位置を表わす位置信号を出力する回転位置検出手段としての回転位置検出器、4は上記回転位置検出器3からの位置信号を受けて、スイッチング信号を出力するインバータ出力制御手段としてのマイコン、5は上記マイコン4からのスイッチング信号を受けて、転流制御信号を出力するベース駆動回路である。上記ベース駆動回路5からの転流制御信号をインバータ部20に夫々入力している。なお、上記固定子1と回転子10でモータ部11を構成している。
【0051】
上記回転位置検出器3は、反転入力端子に抵抗回路2の中性点の電圧VMを入力すると共に、非反転入力端子に抵抗R1を介してグランドGNDを接続し、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R2とコンデンサC1とを並列に接続した増幅器IC1と、上記増幅器IC1の出力端子に抵抗R3を介して反転入力端子が接続され、非反転入力端子に抵抗R4を介してグランドGNDが接続されると共に、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R5を接続した増幅器IC2と、上記増幅器IC2の出力端子に反転入力端子が接続され、非反転入力端子に抵抗R6を介してグランドGNDが接続されると共に、出力端子と非反転入力端子との間に抵抗R7を接続した増幅器IC3とを備えている。上記増幅器IC1,抵抗R1,抵抗R2およびコンデンサC1で差動増幅器21と積分手段としての積分器22の両方を兼ねる構成をしている。また、上記増幅器IC2と抵抗R3,R4,R5で反転増幅器23を構成し、増幅器IC3と抵抗R6,R7で零クロスコンパレータ24を構成している。そして、上記電機子コイル1a,1b,1cの中性点は、グランドGNDと抵抗R1を介して増幅器IC1の非反転入力端子に接続されているので、差動増幅器21(積分器22)は、抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出すると共に、電位差信号VMNを積分して、積分信号∫VMNdtを出力する。
【0052】
また、上記ブラシレスDCモータは、回転位置検出器3の積分器22からの積分信号∫VMNdtを受けて、レベル検出信号をマイコン4に出力する脱調予測レベル検出器6を備えている。この脱調予測レベル検出器6は、図2に示すように、回転位置検出器3の積分器22からの積分信号∫VMNdtを増幅器IC4の反転入力端子に接続すると共に、増幅器IC4の非反転入力端子をグランドGNDに抵抗R8を介して接続して、増幅器IC4の出力端子と非反転入力端子を抵抗R9を介して接続している。上記増幅器IC4と抵抗R8,R9でヒステリシス特性を有するヒステリシスコンパレータを構成している。上記ブラシレスDCモータが位置信号に従って駆動され、図4に示すように、脱調予測レベル検出器6の増幅器IC4の反転入力端子に入力された積分信号∫VMNdt(図4(A)に示す)が基準値E1を越えると、増幅器IC4の出力端子はLレベルとなり、積分信号∫VMNdtが基準値E2未満になると、増幅器IC4の出力端子はHレベルとなる。すなわち、上記脱調予測レベル検出器6のレベル検出信号(図4(C)に示す)は、位置信号(図4(B)に示す)と位相の異なる同一周期の信号となる。ところが、上記回転位置検出器3からの積分信号∫VMNdtのレベルが小さくなると、積分信号∫VMNが基準値E1を越えなかったり、積分信号∫VMNdtが基準値E2未満にならなかったりして、レベル検出信号は、位置信号に比べて周波数が低くなると共に、デューティ比が異なる。すなわち、上記積分信号∫VMNが所定のレベル以上か否かをレベル検出信号が所定の周期で連続するか否かによって検出することができる。
【0053】
また、上記インバータ部20は、図1に示すように、交流電源9の両出力端子に接続され、交流電圧を全波整流するダイオードD1,D2,D3,D4からなるダイオードブリッジ12と、上記ダイオードブリッジ12の正極側出力端子に一端が接続されたリアクトルLと、そのリアクトルLの他端と一端が接続され、他端がダイオードブリッジ12の負極側出力端子に接続されたコンデンサC0と、コンデンサC0の一端に夫々コレクタが接続された3つのトランジスタ20a,20b,20cと、コンデンサC0の他端に夫々エミッタが接続された3つのトランジスタ20d,20e,20fとで構成されている。上記トランジスタ20aのエミッタとトランジスタ20dのコレクタを互いに接続し、トランジスタ20bのエミッタとトランジスタ20eのコレクタを互いに接続し、トランジスタ20cのエミッタとトランジスタ20fのコレクタを互いに接続している。また、上記トランジスタ20a,20dの互いに接続された部分にU相の電機子コイル1aを接続し、トランジスタ20b,20eの互いに接続された部分にV相の電機子コイル1bを接続し、トランジスタ20c,20fの互いに接続された部分にW相の電機子コイル1cを接続している。そして、上記各トランジスタ20a〜20fのコレクタとエミッタとの間にダイオードを夫々逆並列接続している。なお、上記リアクトルLとコンデンサC0は、平滑回路を構成し、ダイオードブリッジ12からの全波整流された脈流電圧を平滑にされた直流電圧にしている。
【0054】
また、上記ブラシレスDCモータは、交流電源9の一端とダイオードブリッジ12との間に設けられた電流センサ7と、その電流センサ7からの入力電流を表わす信号を受けて、上記マイコン4に電流検出信号を出力する電流レベル検出器8を備えている。上記電流センサ7と電流レベル検出器8でインバータ部20の入力電流を検出する電流検出手段を構成している。
【0055】
また、上記マイコン4は、図3に示すように、図1に示す回転位置検出器3からの位置信号が外部割込端子を介して接続された位相補正タイマT1と、上記位置信号を受けて、電機子コイル1a,1b,1cの電圧パターンの周期を測定する周期測定タイマT2と、周期測定タイマT2からの測定されたタイマ値を受けて、そのタイマ値から電機子コイル1a,1b,1cの電圧パターンの周期を演算して、周期を表わす周期信号を出力する周期演算部41と、周期演算部41からの周期信号を受けて、その周期から位相補正角に相当するタイマ値を演算して、位相補正タイマT1にタイマ値設定信号を出力するタイマ値演算部42とを備えている。さらに、上記マイコン4は、位相補正タイマT1からの割込信号IRQを受けて、電圧パターン信号を出力するインバータモード選択部43と、周期演算部41からの周期信号を受けて、回転速度を演算して現在速度信号を出力する速度演算部44と、速度演算部44からの現在速度信号と外部からの速度指令信号とを受けて、電圧指令信号を出力する速度制御部45と、上記回転位置検出器3からの位置信号と脱調予測レベル検出器6からのレベル検出信号とを受けて、レベル判定結果を表わす信号を出力する脱調予測レベル判定部51と、上記脱調予測レベル判定部51からのレベル判定結果を表わす信号と図1に示す電流レベル検出器8からの電流検出信号とを受けて、位相補正角指令信号をタイマ値演算部42に出力する位相補正指令手段としてのモータ効率最大制御部53と、インバータモード選択部43からの電圧パターン信号と速度制御部45からの電圧指令信号を受けて、スイッチング信号を出力するPWM(パルス幅変調)部52とを備えている。
【0056】
なお、上記モータ効率最大制御部53は、電流レベル検出器8からの電流検出信号に基づいて、インバータ部20の入力電流の増減を判定する電流判定手段53aと、タイマ値演算部42に出力する位相補正角指令信号の位相補正角を1deg毎に進み方向または遅れ方向に逐次調整する位相補正角調整手段53bと、上記電流判定手段53aがインバータ部20の入力電流が増加傾向であると判定し、かつ脱調予測レベル判定部51が積分信号∫VMNdtが所定値以上であると判定すると、位相補正角調整手段53bの位相補正角を調整する増減方向を反転させる共に、位相補正角調整手段53bの位相補正角の調整方向が増加方向のとき、脱調予測レベル判定部51が積分信号∫VMNdtが所定値未満であると判定すると、位相補正角調整手段53bの位相補正角の調整方向が増加方向のとき、その調整方向を増加方向から減少方向に反転させる調整方向反転手段53cとを有している。また、上記位相補正タイマT1,周期測定タイマT2,周期演算部41およびタイマ値演算部42で位相補正手段を構成している。また、上記脱調予測レベル検出器6と脱調予測レベル判定部51でレベル判定手段を構成している。
【0057】
上記構成において、ブラシレスDCモータが位置検出に従って駆動されているとき、電機子コイル1a,1b,1cの各U相,V相,W相の誘起電圧EU,EV,EWは、図5(A)〜(C)に示すように、120deg毎に位相の異なる台形状の波形となる。そして、図1に示す回転位置検出器3の増幅器IC1は、反転入力端子に入力された抵抗回路2の中性点の電圧VMと、増幅器IC1の非反転入力端子に入力された電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMN(図5(D)に示す)を検出すると共に、その電位差信号VMNを積分して、積分信号∫VMNdt(図5(E)に示す)を出力する。上記積分信号∫VMNdtは、誘起電圧周波数の3倍の周波数の略正弦波形となる。そして、上記反転増幅器23は、増幅器IC2の反転入力端子に入力された積分信号∫VMNdtを所定の振幅に増幅し、零クロスコンパレータ24は、その増幅された積分信号∫VMNdtのゼロクロスを検出し、位置信号(図5(F)に示す)を出力する。
【0058】
次に、上記回転位置検出器3からの位置信号は、マイコン4の外部割込端子から周期測定タイマT2に入力される。そして、上記周期測定タイマT2は、位置信号のリーディングエッジからトレイリングエッジまでの期間とトレイリングエッジからリーディングエッジまでの期間とを測定して、測定されたタイマ値を出力する。上記周期測定タイマT2からのタイマ値を表わす信号を受けて、周期演算部41は、電機子コイル1a,1b,1cの電圧パターンの周期を求める。すなわち、上記位置信号のトレイリングエッジからリーディングエッジまでの期間とリーディングエッジからトレイリングエッジまでの期間は、60deg毎に繰り返され、測定された各期間のタイマ値を6倍することによって、上記電圧パターンの一周期分のタイマ値を求めるのである。
【0059】
そして、上記周期演算部41からの周期を表わす周期信号を受けて、タイマ値演算部42はタイマ値設定信号を出力する。上記タイマ値演算部42からのタイマ値設定信号を受けて、位相補正タイマT1は、位置信号から電圧パターンを切り換えるまでの時間を計時する。すなわち、上記位相補正タイマT1は、カウントが終了するとインバータモード選択部43に割込信号IRQを出力し、インバータモード選択部43は、位相補正された電圧パターン信号(図5(I)〜(N)に示す)をPWM部52に出力するのである。そして、上記PWM部52は、スイッチング信号を図1に示すベース駆動回路5に出力して、ベース駆動回路5はインバータ部20に転流制御信号を出力すると、インバータ部20の各トランジスタ20a〜20fは夫々オンオフする。なお、図5(G)の位置信号番号は、説明を容易にするために位置信号の一周期分に対して0〜5の番号を割り当てたものである。また、図5(I)〜(N)の電圧パターン信号は、トランジスタ20a〜20fをオンオフさせるタイミングを表している。また、図5(P)に示すインバータモードは、インバータモード選択部43において選択された電圧パターン信号(図5(I)〜(N)に示す)に対応するように0〜5の番号を割り当てたものである。
【0060】
以下、上記マイコン4の動作を図6,7,8,9のフローチャートに従って説明する。なお、上記マイコン4の外部割込端子に入力される位置信号の立ち上がり,立ち下がり毎に割込処理1を行う。
【0061】
まず、図6において、割込処理1がスタートすると、ステップS100で電流レベル検出器8からの電流検出信号を受けて、モータ効率最大制御部53は、インバータ部20に入力された入力電流の電流値を今回電流値とする。次に、ステップS101で前回レベル検出信号がHレベルか否かを判定して、前回レベル検出信号がHレベルと判定すると、ステップS111に進み、今回レベル検出信号がHレベルか否かを判定する。そして、ステップS111で今回レベル検出信号がHレベルと判定すると、ステップS113に進み、脱調予測フラグをセットして、ステップS102に進む。一方、ステップS111で今回レベル検出信号がHレベルでないと判定すると、ステップS114に進み、脱調予測フラグをリセットして、ステップS102に進む。
【0062】
一方、ステップS101で前回レベル検出信号がHレベルでないと判定すると、ステップS112に進み、今回レベル検出信号がLレベルか否かを判定する。そして、ステップS112で今回レベル検出信号がLレベルであると判定すると、ステップS115に進み、脱調予測フラグをセットして、ステップS102に進む。一方、ステップS112で今回レベル検出信号がLレベルでないと判定すると、ステップS116に進み、脱調予測フラグをリセットして、ステップS102に進む。
【0063】
次に、ステップS102に進み、前回位相補正角指令が進み補正であるか否かを判定し、前回位相補正角指令が進み補正であると判定すると、ステップS121に進む。次に、ステップS121で前回電流値が今回電流値を越えるか否かを判定し、前回電流値が今回電流値を越えると判定すると、ステップS123に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)して、ステップS103に進む。一方、ステップS121で前回電流値が今回電流値以下と判定すると、ステップS124に進み、脱調予測フラグをリセットしているか否かを判定する。そして、ステップS124で脱調予測フラグをリセットしていると判定すると、ステップS125に進み、前回位相補正角指令を+1deg(遅れ補正側)にして、ステップS103に進む。一方、ステップS124で脱調予測フラグをリセットしていないと判定すると、ステップS126に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS103に進む。
【0064】
一方、ステップS102で前回位相補正角指令が進み補正でないと判定すると、ステップS122に進み、前回電流値が今回電流値を越えるか否かを判定し、前回電流値が今回電流値を越えると判定すると、ステップS127に進む。そして、ステップS127で脱調予測フラグをリセットしているか否かを判定して、脱調予測フラグをリセットしていると判定すると、ステップS129に進み、前回位相補正角指令を+1deg(遅れ補正側)にして、ステップS103に進む。一方、ステップS127で脱調予測フラグをリセットしていないと判定すると、ステップS130に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS103に進む。また、ステップS122で前回電流値が今回電流値以下と判定すると、ステップS128に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS103に進む。
【0065】
次に、ステップS103で今回電流値を前回電流値に設定した後、図7に示すステップS104に進む。
【0066】
次に、図7に示すステップS104で位相補正タイマT1(図7ではタイマT1とする)がカウント中か否かを判別して、タイマT1がカウント中と判別すると、ステップS131に進み、タイマT1をストップさせる。すなわち、上記タイマT1がカウント中の場合、次のスタートに備えて、タイマT1をストップさせるのである。次に、ステップS132で電圧パターンを出力して、ステップS105に進む。一方、ステップS104でタイマT1がカウント中でないと判別すると、ステップS105に進む。
【0067】
次に、ステップS105で補正角(脱調予測レベル判定部51からの位相補正角指令信号に基づく位相補正角)が60deg以上であるか否かを判別して、補正角が60deg以上である場合、ステップS141に進み、補正角が120deg以上か否かを判別する。そして、ステップS141で補正角が120deg以上の場合、ステップS142に進み、位相補正E(図7では補正Eとする)とし、ステップS143に進む。そして、ステップS143で前回が位相補正C(図7では補正Cとする)または位相補正D(図7では補正Dとする)か否かを判別して、前回が位相補正Cまたは位相補正Dであると判別すると、ステップS144に進み、補正切替要求を行った後、ステップS106に進む。一方、ステップS143で前回が位相補正Cまたは位相補正Dでないと判別すると、ステップS106に進む。
【0068】
一方、ステップS141で補正角が120deg未満の場合、ステップS145に進み、位相補正Dとして、ステップS146に進む。そして、ステップS146で前回が位相補正Cまたは位相補正Eか否かを判別して、前回が位相補正Cまたは位相補正Eであると判別すると、ステップS147に進み、補正切替要求を行った後、ステップS106に進む。一方、ステップS146で前回が位相補正Cまたは位相補正Eでないと判別すると、ステップS106に進む。また、ステップS105で補正角が60deg未満であると判別すると、ステップS151に進み、位相補正Cとして、ステップS152に進む。そして、ステップS152で前回が位相補正Dまたは位相補正Eか否かを判別して、前回が位相補正Dまたは位相補正Eであると判別すると、ステップS153に進み、補正切替要求を行った後、ステップS106に進む。一方、ステップS152で前回が位相補正Dまたは位相補正Eでない場合、ステップS106に進む。
【0069】
次に、ステップS106でタイマ値TISOUを位相補正C,D,E毎に計算する。すなわち、位相補正Cでは、タイマ値TISOUに位相補正角に応じたタイマ値をセットし、位相補正Dでは、タイマ値TISOUに位相補正角から60deg減算した位相角に応じたタイマ値をセットし、位相補正Eでは、タイマ値TISOUに位相補正角から120deg減算した位相角に応じたタイマ値をセットする。そして、ステップS107に進み、インバータモードを1ステップ進める。
【0070】
次に、図8に示すステップS108に進み、補正切替要求が有るか否かを判別し、補正切替要求が有る場合、ステップS161に進み、補正切替が位相補正C(図8では補正Cとする)から位相補正D(図8では補正Dとする)または位相補正Dから位相補正E(図8では補正Eとする)に切替わるか否かを判別して、補正切替が位相補正Cから位相補正Dまたは位相補正Dから位相補正Eに切替わると判別すると、ステップS162に進み、補正切替要求を解除し、ステップS162-1でインバータモードを1ステップ戻して、ステップS109に進む。
【0071】
一方、ステップS161で補正切替が位相補正Cから位相補正Dまたは位相補正Dから位相補正Eに切替わらない場合、すなわち位相補正Dから位相補正Cまたは位相補正Eから位相補正Dに切替わる場合、ステップS163に進み、電圧パターンを出力する。そして、ステップS164に進み、ステップS106で計算したタイマ値TISOUをタイマT1に設定した後、ステップS165でタイマT1をスタートさせる。次に、ステップS166に進み、補正切替要求を解除して、ステップS109に進む。
【0072】
また、ステップS108で補正切替要求がないと判別すると、ステップS168に進み、ステップS106で計算したタイマ値TISOUをタイマT1に設定し、ステップS169でタイマT1をスタートさせ、ステップS109に進む。
【0073】
次に、ステップS109で周期測定タイマT2をストップし、周期測定タイマT2のタイマ値を読み込み、ステップS110に進む。次に、ステップS110で周期測定タイマT2をセットしてスタートさせ、次の周期測定を開始する。そして、ステップS111で周期演算部41により周期測定タイマT2の値から周期演算を行い、その演算結果から速度演算部44によりモータの回転速度を演算する。次に、ステップS112で速度制御部45は外部からの速度指令信号に基づき速度制御を行って、電圧指令信号を出力する。
【0074】
そして、図9に示すように、タイマT1のカウントが終了して、タイマT1より割込信号IRQを出力すると、割込処理2がスタートし、ステップS170で電圧パターンを出力して、割込処理2を終了する。
【0075】
こうして、上記位相補正Cは0deg〜60degの位相補正を行い、位相補正Dは60deg〜120degの位相補正を行い、位相補正Eは120deg〜180degの位相補正を行う。なお、図5(A)〜(P)は、位相補正Dの80degの位相補正におけるこのブラシレスDCモータの各部の信号を示している。
【0076】
図5(H)に示すように、タイマT1は、位置信号番号(図5(G)に示す)毎に順次スタートする。そして、例えば位置信号番号の2から3に替わる点を基準点として、位相補正角を80degにすると、基準点から位置信号番号を一つ遅らせて、位置信号番号の3から4に替わる点でタイマT1がスタートして、基準点より80deg遅れてインバータモード(図5(P)に示す)を1ステップ進めて[0]にする。
【0077】
このように、上記割込処理1が行われる毎に、レベル検出信号が前回レベルと同じであれば脱調予測フラグをセットすると共に、前回電流値と今回電流値を比較して、インバータ部20の入力電流の増減を検出する。そして、図10に示すように、上記インバータ部20の入力電流の増減に応じて位相補正角指令を1deg毎に遅れ進みさせることによって、入力電流を最小にする。これにより、モータ効率がほぼ最大となる。ただし、脱調予測フラグがセットされている場合は、位相補正角指令を進み位相側に−1degする。すなわち、上記インバータ部20の入力電流が最小になるように最大効率運転を行うときに、ピーク効率点より遅れ位相側に存する脱調領域に電圧パターンの位相が調整されないようにするのである。
【0078】
また、上記積分信号∫VMNdtのレベルは、モータ効率に対して略反比例の関係を有し、負荷の大小および運転周波数の高低に係わらず、積分信号∫VMNdtのレベルが略一定であることが後述する実験により確かめられた。そこで、このことに着目して、上記脱調予測レベル検出器6の基準値E1,E2を、最大モータ効率点とその最大モータ効率点の遅れ補正側の脱調限界点との間の積分信号∫VMNdtの振幅値に設定する。すなわち、上記脱調予測レベル検出器6の基準値E1,E2を脱調予測レベルに設定するのである。そして、上記モータ効率最大制御部53によって、積分信号∫VMNdtのレベルが脱調予測レベル以下にならないようにしながら、位置信号の切り換わり時点から電圧パターンが切り換わるまでの位相を追い込んで、最大モータ効率点で運転する。そして、駆動系が定常状態になると、位相補正角を調整せず、最大モータ効率点で安定な運転を行う。
【0079】
したがって、ピーク効率点より遅れ補正側に存在する脱調領域に電圧パターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、最大効率でモータを運転することができる。
【0080】
以下、上記積分信号∫VMNdtのレベルが、負荷の大小および運転周波数の高低に係わらず、略一定であることを確認した実験について説明する。なお、実験は、上記抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNの振幅特性と、その電位差信号VMNを積分した積分信号∫VMNdtの振幅特性について行った。
【0081】
図11はこの実験に用いたブラシレスDCモータの構成を示しており、1は電機子コイル1a,1b,1cがY結線され、複数の永久磁石を有する回転子10を回転磁界により回転させる固定子、2は上記電機子コイル1a,1b,1cに並列状態に接続され、抵抗2a,2b,2cをY結線した抵抗回路、30は上記抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出して、その電位差信号VMNに基づいて、回転子10の相対的な位置を検出して、回転子10の相対的な位置を表わす位置信号を出力する回転位置検出手段としての回転位置検出器、14は上記回転位置検出器3からの位置信号を受けて、スイッチング信号を出力するマイコン、5は上記マイコン14からのスイッチング信号を受けて、転流制御信号を出力するベース駆動回路である。上記ベース駆動回路5からの転流制御信号をインバータ部120に夫々接続している。そして、上記インバータ部120は、直流電源109の正極側に夫々接続された3つのトランジスタ120a,120b,120cと、直流電源109の負極側に夫々接続された3つのトランジスタ120d,120e,120fとで構成されている。
【0082】
また、図12は上記マイコン14の構成を示しており、図3のマイコン4から脱調予測レベル判定部51とモータ効率最大制御部53を除いた構成をしており、同一の構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。なお、上記マイコン14の位相補正を行う割込処理は、図6に示すフローチャートのステップS100〜103,ステップS111〜116,ステップS121〜130を除いて、図7,8,9に示すフローチャートと同一の処理を行う。
【0083】
上記回転位置検出器30は、図11に示すように、増幅器IC11の非反転入力端子に抵抗回路2の中性点の電圧VMを入力すると共に、増幅器IC11の反転入力端子に抵抗R11を介してグランドGNDを接続し、増幅器IC11の出力端子と反転入力端子との間に抵抗R12を接続した差動増幅器31と、上記差動増幅器31の出力端子に一端が接続された抵抗R13とその抵抗R13の他端とグランドGNDとの間に接続されたコンデンサC11とからなる積分器32と、上記積分器32の抵抗R13の他端と非反転入力端子が接続され、反転入力端子にグランドGNDが接続された増幅器IC12からなる零クロスコンパレータ33とを備えている。そして、上記電機子コイル1a,1b,1cの中性点は、グランドGNDを介して差動増幅器31の反転入力端子に接続されているので、差動増幅器31は、抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出する。
【0084】
上記構成において、ブラシレスDCモータが位置検出に従って駆動されているとき、回転位置検出器30の差動増幅器31は、抵抗回路2の中性点の電圧VMと電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出する。そして、上記積分器32は、電位差信号VMNを積分して、積分信号∫VMNdtを出力し、その積分信号∫VMNdtを零クロスコンパレータ33の非反転入力に入力する。そして、上記零クロスコンパレータ33は、積分信号∫VMNdtとグランドGNDの基準電圧とを比較して、位置信号を出力する。
【0085】
次に、上記零クロスコンパレータ33からの位置信号は、マイコン14の外部割込端子から周期測定タイマT2に入力される。そして、上記周期測定タイマT2は、上記位置信号のリーディングエッジからトレイリングエッジまでの期間とトレイリングエッジからリーディングエッジまでの期間とを測定して、測定されたタイマ値を出力する。上記周期測定タイマT2からのタイマ値を表わす信号を受けて、周期演算部41は、電機子コイル1a,1b,1cの電圧パターンの周期を求める。
【0086】
そして、上記周期演算部41からの周期を表わす周期信号と外部からの位相補正角指令信号とを受けて、タイマ値演算部42はタイマ値設定信号を出力する。上記タイマ値演算部42からのタイマ値設定信号を受けて、位相補正タイマT1は、順に位置信号から電圧パターンを切り換えるまでの時間を計時する。すなわち、上記位相補正タイマT1は、カウントが終了するとインバータモード選択部43に割込信号IRQを出力し、インバータモード選択部43は、位相補正された電圧パターン信号をPWM部52に出力するのである。そして、上記PWM部52は、スイッチング信号を図11に示すベース駆動回路5に出力して、ベース駆動回路5はインバータ部120に転流制御信号を出力すると、インバータ部120の各トランジスタ120a〜120fは、夫々オンオフする。
【0087】
まず、運転周波数を一定にして、負荷を変化させた場合、図13に示すように、位相補正角に対するモータ効率の特性曲線は、負荷が大きいほど位相補正角の進み補正側となる一方、負荷が小さいほど位相補正角の遅れ補正側となる。そして、負荷が大きいとき位相補正角φ1でピーク効率点となり、負荷が小さいとき位相補正角φ2でピーク効率点となった。
【0088】
このとき、図14に示すように、位相補正角に対する電位差信号VMNの特性は、位相補正角が進み補正側から遅れ補正側に電位差信号VMNのレベルが徐々に小さくなる略直線となり、負荷が大きいほど位相補正角の進み補正側となる一方、負荷が小さいほど位相補正角の進み補正側から遅れ補正側にほぼ平行に移動する。なお、図14の横軸は位相補正角を示し、縦軸は電位差信号VMNのピーク点からゼロ点までのレベルを示している。そして、図13に示すモータの脱調領域の限界点に対応して、負荷が大きいときに位相補正角φ11で電位差信号VMNのレベルはV20となる一方、負荷が小さいときに位相補正角φ12で電位差信号VMNのレベルはV20となった。つまり、負荷の変化に係わらず、電位差信号VMNの脱調レベルV20は、略一定であることが分かる。
【0089】
また、図15に示すように、位相補正角に対する積分信号∫VMNdtの特性は、位相補正角が進み補正側から遅れ補正側に積分信号∫VMNdtのレベルが徐々に小さくなる略直線となり、負荷が大きいほど位相補正角の進み補正側となる一方、負荷が小さいほど位相補正角の進み補正側から遅れ補正側にほぼ平行に移動する。なお、図15の横軸は位相補正角を示し、縦軸は積分信号∫VMNdtのピーク点からゼロ点までのレベルを示している。そして、図13に示すモータの脱調領域の限界点に対応して、負荷が大きいときに位相補正角φ11で積分信号∫VMNdtのレベルはV21となる一方、負荷が小さいときに位相補正角φ12で積分信号∫VMNdtのレベルはV21となった。つまり、負荷の変化に係わらず、積分信号∫VMNdtの脱調レベルV21は、略一定であることが分かる。
【0090】
また、負荷を一定にして、運転周波数を変化させた場合、図16に示すように、位相補正角に対するモータ効率の特性曲線は、運転周波数が高いほどモータ効率が高くなる一方、運転周波数が低いほどモータ効率が低くなる。そして、運転周波数の高低に係わらず、ピーク効率点の位相補正角はφ3となった。
【0091】
このとき、位相補正角に対する電位差信号VMNの特性は、図17に示すように、位相補正角が進み補正側から遅れ補正側に電位差信号VMNのレベルが徐々に小さくなる略直線となり、運転周波数が高いほど位相補正角の遅れ補正側となる一方、運転周波数が低いほど位相補正角の進み補正側にほぼ平行に移動する。なお、図17の横軸は位相補正角を示し、縦軸は電位差信号VMNのピーク点からゼロ点までのレベルを示している。そして、図16に示すモータの脱調領域の限界点に対応して、運転周波数が高いときに位相補正角φ13で電位差信号VMNのレベルはV22となる一方、運転周波数が低いときに位相補正角φ13で電位差信号VMNのレベルはV23となった。
【0092】
また、図18に示すように、位相補正角に対する積分信号∫VMNdtの特性は、位相補正角が進み補正側から遅れ補正側に徐々に積分信号∫VMNdtのレベルが小さくなる略直線となり、運転周波数の変化に係わらず、特性はほぼ変化しないことが分かった。なお、図18の横軸は位相補正角を示し、縦軸は積分信号∫VMNdtのピーク点からゼロ点までのレベルを示している。そして、図16に示すモータの脱調領域の限界点に対応して、位相補正角φ13で電位差信号VMNのレベルはV21となる。
【0093】
このように、負荷を一定にして、運転周波数を変化させたとき、電位差信号VMNのレベルが変化するのに対して、積分信号∫VMNdtのレベルが一定に維持されるのは、回転位置検出器30の積分器32の積分特性によるためである。すなわち、上記回転位置検出器30の積分器32は、図19に示す正規化周波数に対する振幅特性と図20に示す正規化周波数に対する位相特性とを有し、図38の圧縮機の運転エリアおいてモータを4極とする場合、誘起電圧の周波数は20〜300Hz(モータ回転周波数は10〜150rps)程度となり、電位差信号VMNの周波数は、この誘起電圧の周波数20〜300Hzの3倍の60〜900Hzとなる。上記積分器32のカットオフ周波数を略5Hzにすると、使用範囲は、図19,20に示すように、正規化周波数12〜180の範囲となり、ほぼ理想的な積分器として動作する。上記電位差信号VMNを
VMN = (1/3)(EU+EV+EW)
= (1/3)(−k(dΦU/dt+dΦV/dt+dΦW/dt))
ΦU,ΦV,ΦW : 各相鎖交磁束
とすると、積分信号∫VMNdtは、
∫VMNdt = −(k/3)(ΦU+ΦV+ΦW))
となる。このことから、上記電位差信号VMNは運転周波数によって変化するが、積分信号∫VMNdtは運転周波数によって変化しないことが分かる。
【0094】
したがって、上記電位差信号VMNのレベルを例えば図14に示す脱調レベルV20より大きい脱調予測レベルV10以上か否かを判別して、電位差信号VMNが脱調予測レベルV10未満にならないように監視しつつ、インバータ部20の入力電流または出力電流が最小になるように、位相補正手段によって位相補正角を調整して、最大効率運転ができるのである。
【0095】
また、上記積分信号∫VMNdtのレベルが例えば図15,図18に示す脱調レベルV21より大きい脱調予想レベルV11以上か否かを判別して、積分信号∫VMNdtが脱調予想レベルV11未満にならないように監視しつつ、インバータ部の入力電流または出力電流が最小になるように、位相補正手段によって位相補正角を調整して、最大効率運転ができるのである。
【0096】
(第2実施形態)
図21はこの発明の第2実施形態のブラシレスDCモータの要部構成図を示し、図1のブラシレスDCモータとマイコン,脱調予測レベル検出器を除いて同一の構成をしており、マイコン100と脱調予測レベル検出器6A,6B,…以外は図と説明を省略する。また、図22は上記ブラシレスDCモータのマイコン100のブロック図を示している。このブラシレスDCモータのマイコン100は、第1実施形態のマイコン4の脱調予測レベル判定部51とモータ効率最大制御部53を除く他の構成部を備えると共に、速度演算部44からの現在速度信号およびトルク信号を受けて、切替信号を出力するレベル検出信号切替部102と、レベル検出信号切替部102からの切替信号を受けて、脱調予測レベル検出器6A,6B,…からのレベル検出信号を切り替えるスイッチSWと、そのスイッチSWからのレベル検出信号と回転位置検出器3からの位置信号を受けて、レベル判定結果を表わす信号を出力する脱調予測レベル判定部101と、上記脱調予測レベル判定部101のレベル判定結果を表わす信号と電流レベル検出器8からのインバータ部20の入力電流を表わす電流検出信号を受けて、タイマ値演算部42に位相補正角指令信号を出力するモータ効率最大制御部103とを備えている。
【0097】
なお、この第2実施形態のブラシレスDCモータは、図23,24に示すように、第1実施形態のブラシレスDCモータとは、以下に述べるように特性が異なる。
【0098】
図23は、上記ブラシレスDCモータにおいて、運転周波数を一定にして、負荷を変化させたときの位相補正角に対する積分信号∫VMNdtの特性を示している。上記ブラシレスDCモータの特性は、位相補正角の進み補正側から遅れ補正側に積分信号∫VMNdtのレベルが徐々に小さくなる略直線となり、負荷が大きいほど位相補正角の進み補正側となる一方、負荷が小さいほど位相補正角の進み補正側から遅れ補正側にほぼ平行に移動する。そして、負荷が大きいときにピーク効率点の位相補正角はφ5となり、φ5より遅れ補正側の脱調限界点の位相補正角はφ15となって、この位相補正角φ15のときの積分信号∫VMNdtのレベルすなわち脱調レベルはV15となった。一方、負荷が小さいときにピーク効率点の位相補正角はφ6となり、φ6より遅れ補正側の脱調限界点の位相補正角はφ16となって、この位相補正角φ16のときの積分信号∫VMNdtのレベルすなわち脱調レベルはV16となった。
【0099】
また、図24は、上記ブラシレスDCモータにおいて、負荷を一定にして、運転周波数を変化させたときの位相補正角に対する積分信号∫VMNdtの特性を示している。上記ブラシレスDCモータの特性は、位相補正角の進み補正側から遅れ補正側に積分信号∫VMNdtのレベルが徐々に小さくなる略直線となり、運転周波数が高いほど位相補正角の進み補正側となる一方、運転周波数が低いほど位相補正角の進み補正側から遅れ補正側にほぼ平行に移動する。そして、運転周波数が高いときにピーク効率点の位相補正角はφ7となり、φ7より遅れ補正側の脱調限界点の位相補正角はφ17となって、この位相補正角φ17のときの積分信号∫VMNdtのレベルすなわち脱調レベルはV17となった。一方、運転周波数が低いときにピーク効率点の位相補正角はφ8となり、φ8より遅れ補正側の脱調限界点の位相補正角はφ18となって、この位相補正角φ18のときの積分信号∫VMNdtのレベルすなわち脱調レベルはV18となった。
【0100】
すなわち、負荷の大小および運転周波数の高低に従ってピーク効率点において積分信号のレベルが一定とならないブラシレスDCモータについて、この発明を適用する。
【0101】
上記構成のブラシレスDCモータにおいて、回転位置検出器3からの位置信号と、速度演算部44からの現在速度信号と外部からの負荷に応じたトルク値を表わすトルク信号とに基づいて、レベル検出信号切替部102は、切替信号をスイッチSWに出力する。すなわち、負荷の変化および運転周波数の変化に応じて、脱調予測レベル検出器6A,6B,…のうちの一つを選択して、積分信号∫VMNdtのレベルを判定する基準値を切り替えるのである。例えば、負荷の変化に対しては、図23に示すように、負荷が大きいとき、脱調レベルV15とピーク効率点におけるレベルとの間の脱調予測レベルV25とする一方、負荷が小さいとき、脱調レベルV16とピーク効率点におけるレベルとの間の脱調予測レベルV26とする。また、運転周波数の変化に対しては、図24に示すように、運転周波数が高いとき、脱調レベルV17とピーク効率点におけるレベルとの間の脱調予測レベルV27とする一方、運転周波数が低いとき、脱調レベルV18とピーク効率点におけるレベルとの間の脱調予測レベルV28とする。その後、上記マイコン100は、第1実施形態の図6,7,8,9のフローチャートに示す割込処理を行って、モータ効率最大制御部103は、積分信号∫VMNdtが所定値以上でかつインバータ部20の入力電流が最小となるように位相補正角を調整して、位相補正角指令信号をタイマ値演算部42に出力する。したがって、脱調を防止しつつ、最大効率でモータを運転することができる。
【0102】
(第3実施形態)
また、図25はこの発明の第3実施形態のブラシレスDCモータに用いたマイコンのブロック図を示し、マイコン,脱調予測レベル検出器を除いて図1のブラシレスDCモータと同一の構成をしており、マイコン200と脱調予測レベル検出器に代わるA/D変換器202以外は図と説明を省略する。なお、回転位置検出器3からの積分信号を受けて、A/D変換器202はA/D変換された積分信号を出力する。
【0103】
また、上記ブラシレスDCモータのマイコン200は、回転位置検出器3からの位置信号と、速度演算部44からの現在速度信号と、外部からの負荷トルク値を表わすトルク信号と、A/D変換器202からのA/D変換された積分信号とを受けて、レベル判定結果を表わす信号を出力する脱調予測レベル判定部201と、レベル判定部201からのレベル判定結果を表わす信号と電流レベル検出器8からの電流検出信号とを受けて、位相補正角指令信号をタイマ値演算部42に出力するモータ効率最大制御部203とを備えている。なお、上記ブラシレスDCモータも、第2実施形態と同様に、負荷の大小および運転周波数の高低に従ってピーク効率点において積分信号のレベルが一定とならない。
【0104】
上記構成のブラシレスDCモータにおいて、脱調予測レベル判定部201は、速度演算部44からの現在速度信号と外部からのトルク信号とに基づいて、予め設定されたテーブルから基準値を選択して、A/D変換された積分信号のピーク値がその基準値以上か否かを判別する。そして、上記第1実施形態の図6,7,8,9のフローチャートに示す割込処理を行って、モータ効率最大制御部203は、積分信号∫VMNdtが所定値以上でかつインバータ部20の入力電流が最小となるように位相補正角を調整して、位相補正角指令信号をタイマ値演算部42に出力する。したがって、負荷の変化および運転周波数の変化に応じて脱調レベルを設定し、すなわち積分信号∫VMNdtのレベルを判定する基準値を設定して、積分信号∫VMNdtのレベルを監視することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図26はこの発明の第4実施形態のブラシレスDCモータの構成を示しており、301は電機子コイル301a,301b,301cがY結線され、複数の永久磁石を有する回転子310を回転磁界により回転させる固定子、302は上記電機子コイル301a,301b,301cに並列状態に接続され、抵抗302a,302b,302cをY結線した抵抗回路、303は上記抵抗回路302の中性点の電圧VMと電機子コイル301a,301b,301cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出し、その電位差信号VMNを積分して、積分信号∫VMNdtを出力する積分信号検出器、304は上記積分信号検出器303からの積分信号を受けて、スイッチング信号を出力するインバータ出力制御手段としてのマイコン、305は上記マイコン304からのスイッチング信号を受けて、転流制御信号を出力するベース駆動回路である。上記ベース駆動回路305からの転流制御信号をインバータ部320に夫々入力している。なお、上記固定子301と回転子310でモータ部311を構成している。また、上記マイコン304は、第1実施形態のマイコン4と同一の構成をしている。
【0106】
上記積分信号検出器303は、増幅器IC211の非反転入力端子に抵抗回路302の中性点の電圧VMを入力すると共に、増幅器IC211の反転入力端子に抵抗R211を介してグランドGNDを接続し、増幅器IC211の出力端子と反転入力端子との間に抵抗R212を接続した差動増幅器331と、上記差動増幅器331の出力端子に一端が接続された抵抗R213とその抵抗R213の他端とグランドGNDとの間に接続されたコンデンサC211とからなる積分器332とを備えている。そして、上記電機子コイル301a,301b,301cの中性点は、グランドGNDと抵抗R211を介して差動増幅器331の反転入力端子に接続されているので、差動増幅器331は、抵抗回路302の中性点の電圧VMと電機子コイル301a,301b,301cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMNを検出する。
【0107】
また、上記ブラシレスDCモータは、積分信号検出器303の積分器332からの積分信号∫VMNdtを受けて、レベル検出信号をマイコン304に出力するレベル検出器306を備えている。このレベル検出器306は、図27に示すように、積分器332からの積分信号∫VMNdtを増幅器IC121の反転入力端子に抵抗R121を介して入力すると共に、増幅器IC121の非反転入力端子をグランドGNDに接続している。また、上記増幅器IC121の出力端子にダイオードD101のアノードを接続し、そのダイオードD101のカソードを増幅器IC121の反転入力端子に接続している。また、上記増幅器IC121の出力端子にダイオードD102のカソードを接続し、そのダイオードD102のアノードを抵抗R122を介して増幅器IC121の反転入力端子に接続している。上記ダイオードD102のアノードと抵抗R122の接続点に増幅器IC122の反転入力端子を抵抗R123介して接続している。また、上記増幅器IC122の反転入力端子と抵抗R121の積分信号∫VMNdt側の一端との間に抵抗R124を接続し、増幅器IC122の非反転入力端子をグランドGNDに接続している。さらに、上記増幅器IC122の出力端子に抵抗R126を介してコンパレータIC123の反転入力端子を接続し、コンパレータIC123の反転入力端子をコンデンサC110を介してグランドGNDに接続している。一方、上記コンパレータIC123の非反転入力端子に抵抗R127を介して電源を接続すると共に、抵抗R128を介してグランドGNDを接続している。上記抵抗R127と抵抗R128でコンパレータIC123の基準値E3を設定している。
【0108】
また、上記インバータ部320は、図26に示すように、交流電源309の両出力端子に接続され、交流電圧を全波整流するダイオードD21,D22,D23,D24からなるダイオードブリッジ340と、上記ダイオードブリッジ340の正極側出力端子に一端が接続されたリアクトルL300と、そのリアクトルL300の他端と一端が接続され、他端がダイオードブリッジ340の負極側出力端子に接続されたコンデンサC300と、コンデンサC300の一端に夫々コレクタが接続された3つのトランジスタ320a,320b,320cと、コンデンサC300の他端に夫々エミッタが接続された3つのトランジスタ320d,320e,320fとで構成されている。上記トランジスタ320aのエミッタとトランジスタ320dのコレクタを互いに接続し、トランジスタ320bのエミッタとトランジスタ320eのコレクタを互いに接続し、トランジスタ320cのエミッタとトランジスタ320fのコレクタを互いに接続している。また、上記トランジスタ320a,320dの互いに接続された部分にU相の電機子コイル301aを接続し、トランジスタ320b,320eの互いに接続された部分にV相の電機子コイル301bを接続し、トランジスタ320c,320fの互いに接続された部分にW相の電機子コイル301cを接続している。そして、上記各トランジスタ320a〜320fのコレクタとエミッタとの間にダイオードを夫々逆並列接続している。なお、上記リアクトルL300とコンデンサC300は、平滑回路を構成し、ダイオードブリッジ340からの全波整流された脈流電圧を平滑にされた直流電圧にしている。
【0109】
また、上記ブラシレスDCモータは、交流電源309の一端とダイオードブリッジ340との間に設けられた電流センサ307と、その電流センサ307からの入力電流を表わす信号を受けて、上記マイコン304に電流検出信号を出力する電流レベル検出器308を備えている。上記電流センサ307と電流レベル検出器308でインバータ部320の入力電流を検出する電流検出手段を構成している。
【0110】
また、上記ブラシレスDCモータは、モータ部311の回転子310の磁石の磁気により、回転子310の回転位置を検出するホール素子312a,312b,312cと、上記ホール素子312a,312b,312cの各出力信号を受けて、回転子310の回転位置を表わす位置信号を出力する回転位置検出手段としての回転位置検出器313とを備えている。上記回転位置検出器313は、ホール素子312aの出力信号を増幅する増幅器IC112と、ホール素子312bの出力信号を増幅する増幅器IC113と、ホール素子312cの出力信号を増幅する増幅器IC114とを備えると共に、上記増幅器IC112,IC114の両出力信号が夫々入力された論理和回路OR1と、上記増幅器IC112,IC113の両出力信号が夫々入力された論理和回路OR2と、上記増幅器IC113,IC114の両出力信号が夫々入力された論理和回路OR3と、上記論理和回路OR1,OR2,OR3の各出力信号が入力された論理積回路AND1とを備えている。
【0111】
上記構成において、ブラシレスDCモータが位置検出に従って駆動されているとき、回転子310の回転位置を検出するホール素子312a,312b,312cの出力は、図29(A)〜(C)に示すように、120deg毎に位相の異なる台形状の波形となる。そして、図26に示す回転位置検出器313は、図29(D)に示すように、60deg毎にレベルが切り換わる位置信号を出力する。また、上記積分信号検出器303の増幅器IC211は、非反転入力端子に入力された抵抗回路302の中性点の電圧VMと、増幅器IC211の反転入力端子に入力された電機子コイル301a,301b,301cの中性点の電圧VNとの電位差を表わす電位差信号VMN(図29(E)に示す)を検出すると共に、積分器332によりその電位差信号VMNを積分して、積分信号∫VMNdt(図29(F)に示す)を出力する。上記積分信号∫VMNdtは、回転周波数の3倍の周波数の略正弦波形となる。そして、上記積分器332からの積分信号∫VMNdtを受けて、レベル検出器306は積分信号∫VMNdtを全波整流する(図29(G)に示す)。そして、全波整流された信号を平滑にした後、その平滑信号(図29(H)に示す)と基準値E3をコンパレータIC123で比較し、レベル検出信号(図29(J)に示す)を出力する。すなわち、上記平滑信号のレベルが基準値E3以下のとき、レベル検出信号をHレベルとする一方、平滑信号のレベルが基準値E3を越えるとき、レベル検出信号をLレベルとするのである。
【0112】
図28は上記マイコン304の割込処理11を示しており、図28のフローチャート以外は、第1実施形態の図7,8,9に示すフローチャートと同様の動作を行う。なお、上記マイコン304の外部割込端子に入力される位置信号の立ち上がり,立ち下がり毎に割込処理11を行う。
【0113】
まず、図28において、割込処理11がスタートすると、ステップS200で電流レベル検出器8からの電流検出信号を受けて、モータ効率最大制御部53は、インバータ部320に入力された入力電流の電流値を今回電流値とし、ステップS201に進む。
【0114】
次に、ステップS201に進み、前回位相補正角指令が進み補正であるか否かを判定し、前回位相補正角指令が進み補正であると判定すると、ステップS221に進む。次に、ステップS221で前回電流値が今回電流値を越えるか否かを判定し、前回電流値が今回電流値を越えると判定すると、ステップS223に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)して、ステップS202に進む。一方、ステップS221で前回電流値が今回電流値以下と判定すると、ステップS224に進み、レベル検出信号がLレベルか否かを判定する。そして、ステップS224でレベル検出信号がLレベルであると判定すると、ステップS225に進み、前回位相補正角指令を+1deg(遅れ補正側)にして、ステップS202に進む。一方、ステップS224でレベル検出信号がLレベルでないと判定すると、ステップS226に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS202に進む。
【0115】
一方、ステップS201で前回位相補正角指令が進み補正でないと判定すると、ステップS222に進み、前回電流値が今回電流値を越えるか否かを判定し、前回電流値が今回電流値を越えると判定すると、ステップS227に進む。そして、ステップS227でレベル検出信号がLレベルか否かを判定して、レベル検出信号がLレベルであると判定すると、ステップS229に進み、前回位相補正角指令を+1deg(遅れ補正側)にして、ステップS202に進む。一方、ステップS227でレベル検出信号がLレベルでないと判定すると、ステップS230に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS202に進む。また、ステップS222で前回電流値が今回電流値以下と判定すると、ステップS228に進み、前回位相補正角指令を−1deg(進み補正側)にして、ステップS202に進む。
【0116】
次に、ステップS202で今回電流値を前回電流値に設定した後、図7に示すステップS104に進む。
【0117】
以下、第1実施形態と同様に、ピーク効率点より遅れ補正側に存在する脱調領域に電圧パターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、最大効率でモータを運転することができる。
【0118】
上記第1〜第4実施形態では、インバータ出力電圧を調整することにより回転速度を制御し、インバータ出力の電圧パターンの位相を調整することにより、モータを最大効率で運転する最適効率制御を行ったが、インバータ出力電圧を調整することにより最適効率制御し、インバータ出力の電圧パターンの位相を調整することにより回転速度の制御を行ってもよい。
【0119】
また、上記第1〜第4実施形態では、ブラシレスDCモータを用いたが、モータはDCモータに限らず、リラクタンスモータ等のACモータにこの発明を適用してもよいのは勿論である。
【0120】
上記第1〜第4実施形態では、積分信号のレベルが所定値以上になるように、位相補正角を調整して、最大効率運転を行ったが、電位差信号のレベルが所定値以上になるようにしてもよい。また、上記積分信号または電位差信号のレベルが所定範囲内で、かつモータ効率が最大になるように、インバータ部の出力を制御してもよい。
【0121】
また、上記第1〜第4実施形態では、位相補正手段として位相補正タイマT1,周期測定タイマT2,周期演算部41およびタイマ値演算部42を用いたが、位相補正手段はこれに限らないのは勿論である。
【0122】
また、上記第1〜第4実施形態では、位相補正角指令は、1deg毎に変更したが、位相補正角指令は1deg毎に限らず、適宜な値毎に変更してもよい。
【0123】
また、上記第1〜第4実施形態では、、マイコン4(14,100,200,304)を用いたが、マイコンの代りに論理回路等により構成してもよい。
【0124】
また、上記第1〜第4実施形態では、電機子コイル1a,1b,1c(301a,301b,301c)の電圧パターンの切り換え方式を180度通電方式としたが、電圧パターンの切り換えは180度に限らず、120〜180度の通電方式であればよい。
【0125】
また、第1〜第4実施形態では、電流検出手段としての電流センサ7(307)を用いて、交流電源9(309)からインバータ部20(320)に入力される入力電流を検出して、その入力電流が最小となるようにインバータ部20(320)の電圧パターンの位相を調整したが、インバータ部の入力電流を検出する電流検出手段はこれに限らない。また、上記電流検出手段は、インバータ部の出力電流やインバータ部の直流部電流を検出してもよい。
【0126】
例えば、図30(A)に示すように、インバータ部20のいずれか一つの出力端子と電機子コイルとの間に電流センサ501を設けて、電流センサ501により検出されたインバータ部20の出力電流を表わす信号を電流レベル検出器502に入力してもよい。上記電流センサ501は、図31に示すように、交流(AC)電流変流器(CT)を用いており、その電流センサ501の両端に抵抗R101を並列接続し、抵抗R101の一端をダイオードD11〜D14からなるダイオードブリッジ310の一方の入力端子に接続する一方、抵抗R101の他端をそのダイオードブリッジ310の他方の入力端子に接続する。そして、上記ダイオードブリッジ310の正極側出力端子に抵抗R102の一端を接続し、その抵抗R102の他端とダイオードブリッジ310の負極側出力端子との間に抵抗R103,コンデンサC101を夫々並列接続し、ダイオードブリッジ310の負極側出力端子をグランドGNDに接続している。上記抵抗R101,R102,R103とダイオードブリッジ310およびコンデンサC101で電流レベル検出器502を構成して、コンデンサC101の正極側より電流検出信号を出力する。
【0127】
また、図30(B)に示すように、インバータ部20の平滑回路のコンデンサC0の一端とトランジスタ20d,20e,20fとの間に電流センサ503を設けて、電流センサ503により検出されたインバータ部20の直流部電流を表わす信号を電流レベル検出器504に入力してもよい。上記電流センサ503は、図32に示すように、直流(DC)電流変成器(CT)としてホール素子を用いており、その電流センサ503の一端に定電流源111の出力端子を接続し、電流センサ503の他端にグランドGNDを接続している。そして、上記電流センサ503の一方のホール端子に抵抗R111を接続し、他方のホール端子に抵抗R112を接続している。そして、上記抵抗R111の他端に増幅器IC100の反転入力端子を接続する一方、抵抗R112の他端に増幅器IC100の非反転入力端子を接続している。上記増幅器IC100の非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R113を接続し、増幅器IC100の出力端子と反転入力端子との間に抵抗R114を接続している。そして、上記増幅器IC100の出力端子に抵抗R115の一端を接続し、抵抗R115の他端とグランドGNDとの間に抵抗R116,コンデンサC102を夫々並列接続している。上記定電流源111と抵抗R111〜R116と増幅器IC100とコンデンサC102で電流レベル検出器504を構成して、コンデンサC102のグランドGND側と反対側の一端より電流検出信号を出力する。
【0128】
また、第1〜第3実施形態では、回転位置検出手段として回転位置検出器3を用いたが、回転位置検出手段の回路構成はこれに限らず、他の回路構成でもよいのは勿論である。
【0129】
すなわち、図33に示すように、抵抗回路2の中性点の電圧VMが反転入力端子に接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R21が接続されると共に、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R22とコンデンサC21が並列に接続された増幅器IC21と、上記増幅器IC21の出力端子に反転入力端子が接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R23が接続されると共に、出力端子と非反転入力端子との間に抵抗R24を接続して増幅器IC22とを備えたものでもよい。
【0130】
また、図34に示すように、抵抗回路2の中性点の電圧VMが反転入力端子に接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R31が接続されると共に、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R32が接続された増幅器IC31と、その増幅器IC31の出力端子と抵抗R33を介して反転入力端子が接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R34が接続されると共に、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R35とコンデンサC31が並列に接続された増幅器IC32と、上記増幅器IC32の出力端子に反転入力端子が接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R36が接続されると共に、出力端子と非反転入力端子との間に抵抗R37を接続して増幅器IC33とを備えたものでもよい。
【0131】
また、図35に示すように、電機子コイル1a,1b,1cがY結線され、複数の永久磁石を有する回転子10を回転磁界により回転させる固定子1と、上記電機子コイル1a,1b,1cに並列状態に接続され、抵抗2a,2b,2cをY結線した抵抗回路2と、トランジスタ20a〜20fとから構成され、トランジスタ20d,20e,20fのエミッタがグランドGNDに接続されたインバータ部20を備えたモータにおいて、電機子コイル1a,1b,1cの中性点の電圧VNが抵抗R41を介して反転入力端子に接続され、抵抗2a,2b,2cの中性点の電圧VMが非反転入力端子に接続されると共に、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R42が接続され、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R43が接続された増幅器IC41と、その増幅器IC41の出力端子と抵抗R44を介して反転入力端子が接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R45が接続されると共に、出力端子と反転入力端子との間に抵抗R46とコンデンサC41とが並列に接続された増幅器IC42と、上記増幅器IC42の出力端子に反転入力端子が接続され、非反転入力端子とグランドGNDとの間に抵抗R47が接続されると共に、出力端子と非反転入力端子との間に抵抗R48が接続された増幅器IC43とを備えたものでもよい。
【0132】
また、上記第1実施形態では、回転位置検出器3の積分器22を積分手段として用いたが、積分手段は、回転位置検出器の積分器とは別に構成してもよい。
【0133】
また、上記第3実施形態では、積分信号∫VMNdtをA/D変換したが、電位差信号または電位差信号を平滑した信号あるいは積分信号∫VMNdtを平滑した信号をA/D変換して、そのA/D変換された信号を用いてレベル判定を行ってもよい。
【0134】
また、上記第4実施形態では、ホール素子312a,312b,312cと回転位置検出器313により回転子310の回転位置を検出したが、回転位置検出手段はこれに限らない。例えば、図36に示すように、モータ600の回転子601の回転軸に連結されたロータリーエンコーダ602と、上記ロータリーエンコーダ602からの回転位置を表わす信号を受けて、位置信号を出力するインターフェース603とを備えたものでもよい。
【0135】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明のモータは、回転子と、電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、電機子コイルの中性点の電圧に基づく信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、インバータ出力制御手段によりインバータ部の出力を制御するものである。
【0136】
したがって、請求項1の発明のモータによれば、例えばDCモータやACモータの電機子コイルの中性点の電圧に基づく信号のレベルが上記所定のレベル未満になるとモータが脱調するような場合、上記インバータ出力制御手段により中性点の電圧に基づく信号のレベルを上記所定のレベル以上に保ちつつ、最大効率になるように、インバータ部の出力の位相制御または電圧制御を行うので、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。
【0137】
また、請求項2の発明のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段とを備え、上記インバータ出力制御手段のレベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定し、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、上記インバータ出力制御手段の位相補正指令手段により、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力して、位相補正角を表わす指令信号により、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正するものである。
【0138】
したがって、請求項2の発明のモータによれば、上記電位差信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。
【0139】
また、請求項3の発明のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段とを備え、上記インバータ出力制御手段のレベル判定手段により、上記電機子コイルの中性点と抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定し、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、上記インバータ出力制御手段の位相補正指令手段により、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力して、位相補正手段により位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正するものである。
【0140】
したがって、請求項3の発明のモータによれば、上記積分信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。また、上記電位差信号を積分することによって、運転周波数が変化してもピーク効率点における積分信号のレベルが略一定となる場合は、運転周波数の変化に関わらず積分信号のレベルを上記所定のレベル以上にできるので、容易に最大効率でモータを運転することができる。
【0141】
また、請求項4の発明のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路を備え、上記インバータ出力制御手段のレベル判定手段により、電機子コイルの中性点と抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定し、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、上記インバータ出力制御手段の電圧補正指令手段により、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、電圧補正手段に電圧補正指令信号を出力して、電圧補正手段によりインバータ部の出力電圧を補正するものである。
【0142】
したがって、請求項4の発明のモータによれば、上記電位差信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。
【0143】
また、請求項5の発明のモータは、請求項1のモータにおいて、上記電機子コイルは3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路を備え、上記インバータ出力制御手段のレベル判定手段により、電機子コイルの中性点と抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定し、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、上記インバータ出力制御手段の電圧補正指令手段により、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、電圧補正手段に電圧補正指令信号を出力して、電圧補正手段によりインバータ部の出力電圧を補正するものである。
【0144】
したがって、請求項5の発明のモータによれば、上記積分信号のレベル判定の条件を脱調するときのレベルとならない範囲内にすることによって、脱調することなく、最大効率でモータを運転することができる。また、上記電位差信号を積分することによって、運転周波数が変化してもピーク効率点における積分信号のレベルが略一定となる場合は、運転周波数の変化に関わらず積分信号を上記所定のレベル以上にできるので、容易に最大効率でモータを運転することができる。
【0145】
また、請求項6の発明のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号を検出し、その電位差信号に基づいて、回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、積分手段は、上記回転位置検出手段により検出された上記電位差信号を積分して、積分信号を出力すると共に、レベル判定手段は、積分手段からの積分信号を受けて、積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定し、位相補正指令手段は、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力し、位相補正手段は、上記位相補正角に基づいて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正するものである。
【0146】
したがって、請求項6の発明のモータによれば、上記積分信号のレベル判定の条件を、例えばピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ位相側に存在する脱調領域に電圧のパターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転することができる。
【0147】
また、請求項7の発明のモータは、請求項6のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、入力電流または出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記位相補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段と、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、レベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有するものである。
【0148】
したがって、請求項7の発明のモータによれば、上記位相補正角調整手段により位相補正角を増加方向に逐次調整すると、ピーク効率点より遅れ補正側の脱調領域に位相補正角を調整する手前で、減少方向に反転するように、上記レベル判定手段のレベル判定の条件を、例えば脱調限界点の積分信号のレベルを含まず、かつピーク効率点の積分信号のレベルを含む範囲内にすることによって、脱調領域に位相補正角を調整しない。したがって、上記電流判定手段,位相補正角調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点に位相補正角を調整することができると共に、上記位相補正角の増減によって、位相補正角をピーク効率点に追い込むとき、位相補正角を遅れ側に補正しすぎて脱調するのを防止することができる。
【0149】
また、請求項8の発明のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号を検出し、その電位差信号に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、レベル判定手段は、回転位置検出手段により検出された電位差信号を受けて、電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定し、位相補正指令手段は、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、位相補正手段に位相補正角を表わす指令信号を出力し、位相補正手段は、上記位相補正角に基づいて、位置信号の切り換わり時点から電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正するものである。
【0150】
したがって、請求項8の発明のモータによれば、上記電位差信号のレベル判定の条件を、例えばピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より遅れ位相側に存在する脱調領域に電圧のパターンの位相が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転することができる。
【0151】
また、請求項9の発明のモータは、請求項8のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、入力電流または出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記位相補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段と、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、位相補正角調整手段の位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、レベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有するものである。
【0152】
したがって、請求項9の発明のモータによれば、上記位相補正角調整手段により位相補正角を増加方向に逐次調整するとき、ピーク効率点より遅れ補正側の脱調領域に位相補正角を調整する手前で、減少方向に反転するように、上記レベル判定手段のレベル判定の条件を、例えば脱調限界点の電位差信号のレベルを含まず、かつピーク効率点の電位差信号のレベルを含む範囲内にすることによって、脱調領域に位相補正角を調整しない。したがって、上記電流判定手段,位相補正角調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点に位相補正角を調整することができると共に、上記位相補正角の増減によって、位相補正角をピーク効率点に追い込むとき、位相補正角を遅れ側に補正しすぎて脱調するのを防止することができる。
【0153】
また、請求項10の発明のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号を検出し、その電位差信号に基づいて、回転子と固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、積分手段は、上記回転位置検出手段により検出された上記電位差信号を積分して、積分信号を出力すると共に、レベル判定手段は、積分手段からの積分信号を受けて、積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定し、電圧補正指令手段は、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力し、電圧補正手段は、上記電圧補正値に基づいて、インバータ部の出力電圧を補正するものである。
【0154】
したがって、請求項10の発明のモータによれば、上記積分信号のレベル判定の条件を、例えばピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側に存在する脱調領域にインバータの出力電圧が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転することができる。
【0155】
また、請求項11の発明のモータは、請求項10のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、入力電流または出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、レベル判定手段が積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有するものである。
【0156】
したがって、請求項11の発明のモータによれば、上記電圧補正値調整手段により電圧補正値を増加方向に逐次調整すると、ピーク効率点より高い電圧側の脱調領域に電圧補正値を調整する手前で、減少方向に反転するように、上記レベル判定手段のレベル判定の条件を、例えば脱調限界点の積分信号のレベルを含まず、かつピーク効率点の積分信号のレベルを含む範囲内にすることによって、脱調領域に電圧補正値を調整しない。したがって、上記電流判定手段,電圧補正値調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点にインバータ部の出力電圧を調整することができると共に、上記電圧補正値の増減によって、インバータ部の出力電圧をピーク効率点に追い込むとき、電圧補正値を高い電圧側に補正しすぎて脱調するのを防止することができる。
【0157】
また、請求項12の発明のモータは、複数極の磁石を有する回転子と、3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子と、上記電機子コイルに対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路と、上記電機子コイルの中性点と上記抵抗回路の中性点との電位差を表わす電位差信号を検出し、その電位差信号に基づいて、上記回転子と上記固定子との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段と、上記回転位置検出手段の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイルに印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部とを備えるモータにおいて、レベル判定手段は、回転位置検出手段により検出された電位差信号を受けて、電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定し、電圧補正指令手段は、そのレベル判定手段の判定結果に基づいて、電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力し、電圧補正手段は、上記電圧補正値に基づいて、インバータ部の出力電圧を補正するものである。
【0158】
したがって、請求項12の発明のモータによれば、上記電位差信号のレベル判定の条件を、例えばピーク効率点を含み脱調限界点を含まない範囲内にすることによって、ピーク効率点より高い電圧側に存在する脱調領域にインバータ部の出力電圧が調整されることがないので、脱調を防止しつつ、モータを最大効率で運転することができる。
【0159】
また、請求項13の発明のモータは、請求項12のモータにおいて、上記インバータ部の入力電流または出力電流を検出して、入力電流または出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、電流判定手段がインバータ部の入力電流または出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、電圧補正値調整手段の電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、レベル判定手段が電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有するものである。
【0160】
したがって、請求項13の発明のモータによれば、上記電圧補正値調整手段により電圧補正値を増加方向に逐次調整するとき、ピーク効率点より高い電圧側の脱調領域に電圧補正値を調整する手前で、減少方向に反転するように、上記レベル判定手段のレベル判定の条件を、例えば脱調限界点の電位差信号のレベルを含まず、かつピーク効率点の電位差信号のレベルを含む範囲内にすることによって、脱調領域に電圧補正値を調整しない。したがって、上記電流判定手段,電圧補正値調整手段および調整方向反転手段を用いて、モータを最大効率で運転できるピーク効率点にインバータ部の出力電圧を調整することができると共に、上記電圧補正値の増減によって、インバータ部の出力電圧をピーク効率点に追い込むとき、電圧補正値を高い電圧側に補正しすぎて脱調するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態のブラシレスDCモータの構成図である。
【図2】図2は上記ブラシレスDCモータのレベル検出器の回路図である。
【図3】図3は上記ブラシレスDCモータのマイコンのブロック図である。
【図4】図4は上記レベル検出器を用いた場合の各部の信号を示す図である。
【図5】図5は上記ブラシレスDCモータの各部の信号を示す図である。
【図6】図6は上記マイコンの割込処理1を示すフローチャートである。
【図7】図7は上記マイコンの割込処理1を示すフローチャートである。
【図8】図8は上記マイコンの割込処理1を示すフローチャートである。
【図9】図9は上記マイコンの位相補正用タイマのタイマ割り込みによる割込処理2を示すフローチャートである。
【図10】図10は入力電流を最小にするモータ効率最大制御を説明する図である。
【図11】図11は電位差信号と積分信号の特性について実験を行ったブラシレスDCモータの構成図である。
【図12】図12は上記ブラシレスDCモータのマイコンのブロック図である。
【図13】図13は上記ブラシレスDCモータにおいて、運転周波数一定で負荷を変化させたときの位相補正角に対するモータ効率の特性を示す図である。
【図14】図14は上記ブラシレスDCモータにおいて、運転周波数一定で負荷を変化させたときの位相補正角に対する電位差信号の特性を示す図である。
【図15】図15は上記ブラシレスDCモータにおいて、運転周波数一定で負荷を変化させたときの位相補正角に対する積分信号の特性を示す図である。
【図16】図16は上記ブラシレスDCモータにおいて、負荷一定で運転周波数を変化させたときの位相補正角に対するモータ効率の特性を示す図である。
【図17】図17は上記ブラシレスDCモータにおいて、負荷一定で運転周波数を変化させたときの位相補正角に対する電位差信号の特性を示す図である。
【図18】図18は上記ブラシレスDCモータにおいて、負荷一定で運転周波数を変化させたときの位相補正角に対する積分信号の特性を示す図である。
【図19】図19は上記ブラシレスDCモータの回転位置検出器の積分器の正規化周波数に対する振幅特性を示す図である。
【図20】図20は上記ブラシレスDCモータの回転位置検出器の積分器の正規化周波数に対する位相特性を示す図である。
【図21】図21はこの発明の第2実施形態のブラシレスDCモータの要部構成図である。
【図22】図22は上記ブラシレスDCモータのマイコンのブロック図である。
【図23】図23は上記ブラシレスDCモータにおいて、周波数一定で負荷を変化させたときの位相補正角に対する積分信号の特性を示す図である。
【図24】図24は上記ブラシレスDCモータにおいて、負荷一定で周波数を変化させたときの位相補正角に対する積分信号の特性を示す図である。
【図25】図25はこの発明の第3実施形態のブラシレスDCモータのマイコンのブロック図である。
【図26】図26はこの発明の第4実施形態のブラシレスDCモータの構成図である。
【図27】図27は上記ブラシレスDCモータのレベル検出器の回路図である。
【図28】図28は上記ブラシレスDCモータのマイコンの割込処理11を示すフローチャートである。
【図29】図29は上記ブラシレスDCモータの各部の信号を示す図である。
【図30】図30(A)はインバータ部の出力電流を検出する場合の概略図であり、図30(B)はインバータ部の直流部電流を検出する場合の概略図である。
【図31】図31は図30(A)の電流レベル検出器の回路図である。
【図32】図32は図30(B)の電流レベル検出器の回路図である。
【図33】図33は他の例の回転位置検出器の回路図である。
【図34】図34は他のもう一つの例の回転位置検出器の回路図である。
【図35】図35は他のもう一つの例の回転位置検出器の回路図である。
【図36】図36はロータリーエンコーダを用いた回転位置検出器の回路図である。
【図37】図37は従来のブラシレスDCモータの構成図である。
【図38】図38は上記ブラシレスDCモータの運転周波数とトルクとの関係における圧縮機の運転エリアを示す図である。
【図39】図39はインバータ部の入力電流と位相補正角の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…固定子、1a,1b,1c…電機子コイル、2…抵抗回路、
3…回転位置検出器、4…マイコン、5…ベース駆動回路、
6…脱調予測レベル検出器、7…電流センサ、
8…電流レベル検出器、9…交流電源、
10…回転子、12…ダイオードブリッジ
20…インバータ部、20a〜20f…トランジスタ、
41…周期演算部、42…タイマ値演算部、
43…インバータモード選択部、44…速度演算部、
45…速度制御部、51…脱調予測レベル判定部、
52…PWM部、53…モータ効率最大制御部、
T1…位相補正タイマ、T2…周期測定タイマ。
Claims (13)
- 回転子(10)と、電機子コイル(1a,1b,1c)を有する固定子(1)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部(20)とを備えるモータにおいて、
上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点の電圧に基づく信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記インバータ部(20)の出力を制御するインバータ出力制御手段(4,14,100,200,304)を備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のモータにおいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)は3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)とを備えると共に、上記インバータ出力制御手段(4,14,100,200,304)は、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段(T1,T2,41,42)と、上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段(T1,T2,41,42)に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段とを備えたことを特徴とするモータ。
- 請求項1に記載のモータにおいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)は3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)とを備えると共に、上記インバータ出力制御手段(4,14,100,200,304)は、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段(6,51)と、上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段(T1,T2,41,42)と、上記レベル判定手段(6,51)の判定結果に基づいて、上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段(T1,T2,41,42)に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段(53)とを備えたことを特徴とするモータ。
- 請求項1に記載のモータにおいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)は3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)を備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を表わす電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段(6,51)と、上記インバータ部(20)の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段(6,51)の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴とするモータ。
- 請求項1に記載のモータにおいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)は3相Y結線に接続されたものであって、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)を備えると共に、上記インバータ出力制御手段は、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を表わす電位差信号が積分された積分信号のレベルが上記所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段(6,51)と、上記インバータ部(20)の出力電圧を補正する電圧補正手段と、上記レベル判定手段(6,51)の判定結果に基づいて、上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴とするモータ。
- 複数極の磁石を有する回転子(10)と、3相Y結線に接続された電機子コイル(1a,1b,1c)を有する固定子(1)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差に基づいて、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)と、上記回転位置検出手段(3)の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部(20)とを備えるモータにおいて、
上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段(21)と、
上記電位差検出手段(21)からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号を積分して、積分信号を出力する積分手段(22)と、
上記積分手段(22)からの上記積分信号を受けて、上記積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段(6,51)と、
上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段(T1,T2,41,42)と、
上記レベル判定手段(6,51)の判定結果に基づいて、上記積分手段(22)からの上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段(T1,T2,41,42)に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段(53)とを備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項6に記載のモータにおいて、上記インバータ部(20)の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段(7,8)を備えると共に、上記位相補正指令手段(53)は、上記電流検出手段(7,8)からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段(53a)と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段(53b)と、上記電流判定手段(53a)が上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段(6,51)が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記位相補正角調整手段(53b)の上記位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段(6,51)が上記積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段(53c)とを有することを特徴とするモータ。
- 複数極の磁石を有する回転子(10)と、3相Y結線に接続された電機子コイル(1a,1b,1c)を有する固定子(1)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差に基づいて、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)と、上記回転位置検出手段(3)の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部(20)とを備えるモータにおいて、
上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段(21)と、
上記電位差検出手段(21)からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、
上記位置信号の切り換わり時点から上記電圧のパターンを切り換えるまでの位相を補正する位相補正手段(T1,T2,41,42)と、
上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記位相補正手段(T1,T2,41,42)に位相補正角を表わす指令信号を出力する位相補正指令手段(53)とを備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項8に記載のモータにおいて、上記インバータ部(20)の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段(7,8)を備えると共に、上記位相補正指令手段(53)は、上記電流検出手段(7,8)からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段(53a)と、上記位相補正角を所定の位相角毎に減少方向または増加方向に逐次調整する位相補正角調整手段(53b)と、上記電流判定手段(53a)が上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記位相補正角調整手段(53b)の上記位相補正角を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段(53c)とを有することを特徴とするモータ。
- 複数極の磁石を有する回転子(10)と、3相Y結線に接続された電機子コイル(1a,1b,1c)を有する固定子(1)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差に基づいて、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)と、上記回転位置検出手段(3)の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部(20)とを備えるモータにおいて、
上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段(21)と、
上記電位差検出手段(21)からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号を積分して、積分信号を出力する積分手段(22)と、
上記積分手段(22)からの上記積分信号を受けて、上記積分信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段(6,51)と、
上記インバータ部(20)の出力電圧を補正する電圧補正手段と、
上記レベル判定手段(6,51)の判定結果に基づいて、上記積分手段(22)からの上記積分信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項10に記載のモータにおいて、上記インバータ部(20)の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段(7,8)を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段(7,8)からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段(6,51)が上記積分信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記電圧補正値調整手段の上記電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段(6,51)が上記積分信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴とするモータ。
- 複数極の磁石を有する回転子(10)と、3相Y結線に接続された電機子コイル(1a,1b,1c)を有する固定子(1)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に対して並列状態で3相Y結線された抵抗回路(2)と、上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差に基づいて、上記回転子(10)と上記固定子(1)との間の相対的な回転位置を検出して、位置信号を出力する回転位置検出手段(3)と、上記回転位置検出手段(3)の上記位置信号に基づいて、上記電機子コイル(1a,1b,1c)に印加する電圧のパターンを切り換えるインバータ部(20)とを備えるモータにおいて、
上記電機子コイル(1a,1b,1c)の中性点と上記抵抗回路(2)の中性点との電位差を検出して、その電位差を表わす電位差信号を出力する電位差検出手段(21)と、
上記電位差検出手段(21)からの上記電位差信号を受けて、上記電位差信号のレベルが脱調領域の限界点である脱調レベルよりも大きい所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定手段と、
上記インバータ部(20)の出力電圧を補正する電圧補正手段と、
上記レベル判定手段の判定結果に基づいて、上記電位差信号のレベルが上記所定のレベル以上で、かつモータ効率が最大になるように、上記電圧補正手段に電圧補正値を表わす指令信号を出力する電圧補正指令手段とを備えたことを特徴とするモータ。 - 請求項12に記載のモータにおいて、上記インバータ部(20)の入力電流または出力電流を検出して、上記入力電流または上記出力電流を表わす電流検出信号を出力する電流検出手段(7,8)を備えると共に、上記電圧補正指令手段は、上記電流検出手段(7,8)からの上記電流検出信号に基づいて、上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流の増減を判定する電流判定手段と、上記電圧補正値を所定の電圧値毎に減少方向または増加方向に逐次調整する電圧補正値調整手段と、上記電流判定手段が上記インバータ部(20)の上記入力電流または上記出力電流が増加傾向であると判定し、かつ上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル以上であると判定すると、上記電圧補正値調整手段の上記電圧補正値を調整する増減方向を反転させると共に、上記レベル判定手段が上記電位差信号が上記所定のレベル未満であると判定すると、その調整方向を減少方向にする調整方向反転手段とを有することを特徴とするモータ。
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