JP3551201B2 - 変色の防止された抗菌性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明の抗菌性樹脂組成物は、無毒性で、機械的性質、熱的性質、耐熱水性、電気的性質、寸法精度、成形時の熱安定性に優れ、成形品の外観が良好な組成物であって、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、建築部品、家庭用雑貨などの幅広い分野で使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリフェニレンエーテル(以下PPEと略記)とスチレン系重合体(以下PSと略記)および/またはポリアミド(以下PAと略記)からなる組成物は電気的性質、機械的性質、耐熱性、耐熱水性、寸法精度、成形時の熱安定性などに優れているので、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、建築部品、家庭用雑貨などの分野で使用されている。しかしながら、該組成物が10〜80℃で、特に相対湿度が40%以上の高湿度雰囲気中で使用される場合、例えば、衣類などの収納箱、排水トラップ、洗面器、温水便座、浄水器、加湿器、掃除機、エアコン、クーリングタワー、冷蔵庫、食器類、食器乾燥機、衣類乾燥機などのハウジング、ギヤー、プーリ、取っ手などとして使用される場合、空気中の酵母菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌などが付着・増殖し、成形品の外観不良を引き起こしたり、増殖した菌が人体内に入り、病気の原因になることがある。
【0003】
このような問題を解決するため、特公平5−45628号公報には、各種樹脂に抗菌性ゼオライトを配合する方法が開示されている。しかしながら、特公平5−45628号公報記載の方法を、PPE/PSおよび/またはPAからなる樹脂組成物に適用した場合、熱安定性不足で成形品表面にシルバーと称される模様が発生して外観不良を生じたり、アイゾット衝撃強度などの機械的性質が低く、実用性の低い成形品しか得られなかった。
特公平5−80954号公報には、変色防止剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、およびヒドラジン系化合物からなる群から選ばれた1種以上の化合物を添加することが開示されているが、必ずしも十分ではなかった。なぜなら、上記変色防止剤は比較的分子量が低いので、多量に配合すると成形品表面にブリードアウトしやすく、成形品外観を損い、商品価値を著しく低下させるものであった。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、機械的性質、熱的性質、耐熱水性、電気的性質、寸法精度、成形時の熱安定性、成形品の外観を損なうことなく、特に耐光性および抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、PPE、PSおよび/またはPAと抗菌性ゼオライトおよび熱安定剤の組合せにつき鋭意検討した結果、電気的性質、機械的性質、耐熱性、耐熱水性、寸法精度、成形時の熱安定性、耐光性などの諸特性に優れた抗菌性樹脂組成物を見出だし、本発明を完成させた。
【0006】
本発明に使用されるPPEは、例えば特開昭63−286464号公報に記載されている方法に準じて製造できる。特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチル−1,4−フェノール/2,3,6−トリメチル−1,4−フェノール共重合体および前二者にそれぞれスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体が本発明に用いられるPPEとして好ましい。
本発明に好適なPPEの極限粘度は25℃クロロホルム溶液で測定し、0.35〜0.60dl/gの範囲にあるのが好ましい。極限粘度が0.60dl/gより高いと組成物の溶融粘度が高くなり、バーフロー値が低下して特に大型薄肉成形品の成形が困難になる。逆に、極限粘度が0.35dl/gより低くなると機械的強度の低下が大きく実用成形品としての価値を損なうので、本発明の樹脂組成物には使用できない。
PPEが20重量部より低いと、荷重撓み温度やアイゾット衝撃強度のような機械的性質が低く、80重量部より高いと溶融粘度が高く成形性に劣るので、PPEは20〜80重量部配合される。
【0007】
本発明に使用されるPSは、ポリスチレン、HIPS、MS、MBS、AS、AAS、AES、AMBS、スチレン・マレイン酸共重合樹脂(アメリカ・アーコケミカル社製、商品名ダイラーク)などが好適に使用できるが、特に好ましくはポリスチレン、HIPSである。
【0008】
本発明に使用されるPAは、PA4、PA6、PA66、PA610、PA11、PA12のような脂肪族PA、ポリヘキサジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサジアミンイソフタルアミド、メタキシレンジアミンとアジピン酸から得られるような芳香族ポリアミドから選ばれた、1種類以上のPAが好適に使用できる。また、PSとPAを併用しても良く、両者の配合比は0〜100%で任意に選択される。
【0009】
PPE/PA系またはPPE/PS/PA系では、分子内にカルボキシル基および二重結合もしくは水酸基を含有する化合物、またはそれらの化合物の誘導体を相溶化剤として使用することが好ましい。特に好ましい相溶化剤は、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、アセトキシコハク酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラマル酸、ヒドロキシグルタル酸、ブロモコハク酸、クロロコハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびこれらのアミド、エステル、芳香族炭化水素・ホルムアルデヒド樹脂などの樹脂との反応物から選ばれた1種以上の相溶化剤が使用できる。好ましい相溶化剤の配合比率は0.1〜5重量部である。相溶化剤が0.1重量部より少ないと相溶性不足のため、成形品で層状剥離が生じたり機械的性質が低下して実用性を損なう。5重量部を越えると、未反応の相溶化剤が揮散して環境汚染や溶融混練機の腐食を引き起こしたり、耐衝撃性が低下するなどの問題を生じる。
【0010】
抗菌性ゼオライトの水分吸着量は2〜15%のものが使用される。水分吸着量が15%を越える抗菌性ゼオライトを使用すると、抗菌性樹脂組成物から得られる成形品表面にシルバーが発生したり、成形品の経時変色を起こす。水分吸着量が2%未満の抗菌性ゼオライトを使用すると、成形品の経時変色が生じるので好ましくない。成形品の変色を防止するためには、水分吸着量が5〜12%の抗菌性ゼオライトが好ましく、さらに水分吸着量が9〜11%の抗菌性ゼオライトの使用が好ましい。
本発明に用いられる抗菌性ゼオライトは、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を、銀、銅および亜鉛から選ばれた1種以上のイオンで置換したものである。ゼオライト中の銀イオンの含有率は0.1〜15%、経済性と抗菌力の点から銀イオンの含有率は0.1〜5%が好ましい。銅イオン又は亜鉛イオンの含有率は0.1〜8%が好ましい。本発明では、銀イオン及び銅イオンの両者でゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を交換した抗菌性ゼオライトを用いることが特に好ましい。このような抗菌性ゼオライトとしては、(株)シナネンゼオミックスからゼオミックスの商品名で販売されているもの、またはゼオミックスのポリスチレンを混合したマスターバッチ品を使用することができる。
【0011】
本発明に用いられる抗菌性ゼオライトは、次のような方法で製造できる。すなわち、予め調整したアンモニウムイオンおよび抗菌性金属イオン、例えば、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンを含有する混合水溶液にゼオライトを接触させ、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと上記イオンとを置換させる。接触は10〜70℃、好ましくは40〜60℃で3〜24時間、より好ましくは10〜24時間バッチ式または連続式によって行うことができる。上記混合水溶液のpHは3〜10、好ましくは5〜7に調整する。該調整により銀の酸化物等のゼオライト表面または細孔内への析出を防止できるので好ましい。また、混合水溶液中の各イオンは、通常いずれも塩として供給される。例えばアンモニウムイオンは、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど、銀イオンは、硝酸銀、硫酸銀など、銅イオンは硝酸銅、硫酸銅など、亜鉛イオンは硝酸亜鉛、硫酸亜鉛などを用いることができる。イオン交換が終了したゼオライトは、十分に水洗後、乾燥は常圧で105〜115℃または1〜30torrの減圧下70〜90℃で行うことが好ましい。
このようにして得られた抗菌性ゼオライトは、乾燥後、必要に応じ粉砕、分級などを行った後に本発明の樹脂組成物に配合される。抗菌性ゼオライトの平均粒子径は、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
【0012】
本発明に使用される燐系熱安定剤、チオエーテル系熱安定剤、高度立体障害フェノール系熱安定剤の分子量は300以上、好ましくは400以上である。分子量が300より低いと、成形時に熱安定剤がブリードアウトし、成形品外観を著しく損なうので好ましくない。
【0013】
本発明の抗菌性樹脂組成物に使用できる分子量300以上の有機燐系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4´−ビフェニレンジホスフオナイトが例示される。このうち特に好ましい有機燐系化合物は、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4´−ビフェニレンジホスフオナイトである。
【0014】
本発明の抗菌性樹脂組成物に使用できる分子量300以上のチオエーテル系化合物としては、ジラウリル−3,3´−チオジプロピオネート、ジトデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミルスチル−3,3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3´−チオジプロピオネート、ビス{2−メチル−4−[3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル}スルフィド、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンが例示される。ビス{2−メチル−4−[3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル}スルフィドのアルキルチオ基の炭素数は12〜14が好ましい。
【0015】
本発明に使用できる分子量300以上の高度立体障害フェノール系化合物の一部を具体的に例示する。すなわち(a)テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、(b)オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、(c)N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、(d)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、(e)2,4−ビス−(オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(f)2,2´−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(g)1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(h)2,2´−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、(i)2,2´−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール、(j)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、(k)1,3,5−トリス{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}イソシアヌレートなどである。これらのうちで (a),(b),(e),(h),(i)が好ましく、(a),(e),(h)が特に好ましい。
【0016】
本発明に使用できる酸化亜鉛、硫化亜鉛は、平均粒径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒径が0.08〜0.8μmのものがより好ましく、平均粒径が0.2〜0.5μmのものが最も好ましい。
特に、酸化亜鉛を使用すると、成形品使用中の光による変色を防止する効果を高めることができるので好ましい。
【0017】
本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えば、各種のエラストマー、PC、PE、PP、マレイン化PP、POM、PMMA、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッソ系重合体、場合によっては前記樹脂のオリゴマーなども添加できる。
【0018】
本発明の目的を損なわない範囲で使用できるエラストマーとして、ポリブタジエン、SBR、EPDM、EVA、ポリアクリル酸エステル、ポリイソプレン、水添イソプレン、アクリル系エラストマー、ポリスチレン相と水素添加ポリイソプレン相からなるジブロックもしくはトリブロック共重合体(たとえば、クラレ(株)製、商品名セプトン)、ポリエステル・ポリエーテルコエラストマー、PA系エラストマー(たとえば、東レ(株)製、商品名ペバックス)、PA系エラストマー(たとえば、大日本インキ化学(株)製、商品名グリラックスA)、エチレン・ブテン1共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボネン共重合体、熱可塑性ポリエステルエラストマー、水添SEBSエラストマー(たとえば、シェル化学(株)製、商品名クレイトンG)、エチレン−αオレフィンコポリマーおよびプロピレン−αオレフィンコポリマー(たとえば、三井石油化学(株)製、商品名タフマー)、エチレンメタクリル酸系特殊エラストマー(たとえば、三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名タフリットT3000)、コア層がゴム質でシェル層が硬質樹脂からなるコア・シェルタイプのエラストマー(たとえば、武田薬品(株)製、商品名スタフロイド)、アクリル系(反応タイプ)のエラストマー(たとえば、クレハ化学(株)製、商品名パラロイドEXL)、MBS系エラストマーやクレハBTAエラストマー、コア・シェルタイプのエラストマー(たとえば、三菱レーヨン(株)製、商品名メタブレンS)、コアがシリコンゴム、シェルがアクリルゴムまたはアクリル系樹脂からなるコア・シェルタイプのエラストマー(たとえば、三菱レーヨン(株)製、グレード名S2001)などが例示される。
【0019】
本発明の樹脂組成物の機械的強度、剛性、寸法安定性改良のため、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維クロス、ガラス繊維マット、グラファイト、炭素繊維、炭素繊維クロス、炭素繊維マット、カーボンブラック、炭素フレーク、アルミ、ステンレス、真鍮および銅から作った金属繊維や金属フレーク、金属粉末、有機繊維、針状チタンサンカリウム、マイカ、タルク、クレー、(針状)酸化チタン、ウオラストナイト、炭酸カルシュウム、から選ばれた1種以上の強化剤を添加しても良い。
剛性・強度を上げて、さらに成形品の外観や平滑性を向上するためには、繊維の径を細くすれば良い。繊維径の細いガラス繊維としては、日本無機(株)製のE−FMW−800(平均繊維径0.8μm)やE−FMW−1700(平均繊維径0.6μm)を例示できる。
【0020】
上記強化剤の表面を公知の表面処理剤、例えばビニルアルキルシラン、メタクリロアルキルシラン、エポキシアルキルシラン、アミノアルキルシラン、メルカプトアルキルシラン、クロロアルキルシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートのようなチタネート系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤などで表面処理を行ってもよい。さらに繊維類の集束剤として、公知のエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、スチレン系などの集束剤で集束しても良い。
【0021】
さらに必要に応じて、鉱物油などのしゅう動性改良剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤なども添加することができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、一般に熱可塑性樹脂組成物の製造に用いられる設備と方法により製造することができる。例えば、本発明の樹脂組成物を構成する成分を一括して、一軸や二軸の押出機を使用して溶融混練し、押出して成形用ペレットを製造しても良い。また、PPEまたはPPEとエラストマーと相溶化剤を先に溶融混練後、次にPAを配合し溶融混練し押出して成形用ペレットを製造しても良い。
【0023】
本発明の抗菌性樹脂組成物は無毒性のため、食品と接触するような用途に使用できる。また、本発明の抗菌性樹脂組成物は成形時の熱安定性に優れており、射出成形以外に押出成形、ブロー成形、フィルムやシート成形も可能であり、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、建築部品、家庭用雑貨などの分野に使用できる。
【0024】
【実施例】
次に実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例と比較例における試験片の成形方法、試験方法は次の通りである。表1〜表3に実施例、比較例を示す。なお、表1〜表3の樹脂組成物を構成する各成分の配合比率は重量部で示す。
【0025】
(1)使用原材料
PPEは三菱ガス化学(株)製で25℃クロロホルム中の極限粘度が0.45dl/gのものを使用する。PSとして電気化学(株)製のハイインパクトポリスチレンHI−S−3(HIPSと略記)、PAとしては東レ(株)製・アミラン1017・ナイロン6(PAと略記)を、相溶化剤として試薬一級のフマル酸を使用した。
抗菌性ゼオライトは、(株)シナネンゼオミック社から発売されているポリスチレン80wt%と抗菌性ゼオライト20wt%を溶融混練したマスターバッチゼオミック・MJ2PS(以下抗菌剤Aと略記)、A型ゼオライト中に含まれるアンモニウムイオン1.3%、銀イオン3%、亜鉛イオン4.5%のもの(以下抗菌剤Bと略記)、A型ゼオライト中に含まれるアンモニウムイオン1.0%、銀イオン2%、銅イオン5%のもの(以下抗菌剤Cと略記)を使用した。
エラストマーは(株)クラレ製・SEPS・セプトン2002(以下セプトンと略記)、難燃剤はトリフェニールホスフェート(TPPと略記)を使用した。
安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4´−ビフェニレンジホスホナイト(安定剤1と略記)、2,4−ビス−(オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(安定剤2と略記)および試薬一級の硫化亜鉛(安定剤3と略記)を使用した。ガラス繊維として旭グラスファイバー(株)製・長さ3mm・CS03−JA404(以下GFと略記)を、ポリテトラフルオロエチレンとして(株)ダイキン製・ルブロンL5F(以下PTFEと略記)を使用した。
【0026】
(2)組成物の混合方法
PPE/HIPS系は(1)の各試料を表1、表2の比率で混合後、スクリュウー径30mmの2軸押出機により、シリンダー設定温度240〜300℃、スクリュウー回転速度30〜100rpmで、溶融混練後、ペレット化して成形用に使用する。
PPE/PA系は、表3、表6の配合比率で、まずPPEとセプトンとフマル酸をスクリュウー径30mmの2軸押出機により、シリンダー設定温度280〜380℃、スクリュウー回転速度30〜100rpmで、溶融混練後ペレット化した。このペレットに表3、表6の残りの成分を追加配合し、スクリュウー径30mmの2軸押出機により、シリンダー設定温度260〜330℃、スクリュウー回転速度30〜100rpmで、溶融混練後ペレットを得た。
【0027】
(3)試験片の成形条件
(2)で製造したペレットを100℃で5時間乾燥後、住友重機械製SG125型射出成形機により金型温度90℃、シリンダー設定温度260〜320℃、射出圧力98MPaで、ASTM−D638規定タイプ1の3.2mm厚引張試験片と、63.5×12.7×3.2mmのアイゾット衝撃試験片、63.5×12.7×6.35mmの荷重撓み温度試験片を20ショット(各40本)成形し、初めの10ショットを捨て、終りの10ショットで(5)、(6)、(7)の試験に使用した。
【0028】
(4)滞留試験
(3)の試験終了後、シリンダー温度と金型温度をそのままにして、成形を15分中断し、その後4ショット(8本)成形し、成形品の外観(滞留外観と略記する)とアイゾット衝撃強度(滞留衝撃と略記)を測定する。滞留後の成形品の外観で、滞留前後の色の変化のほとんどないものをA、わずかに変化したものをB、少し変化したものをC、かなり変化したものをDとする。
【0029】
(5)引張試験
ASTM−D638に準じ、引張速度5mm/分、試験温度23℃で5本試験を行い、5本の平均の引張強さ(単位はMpa)、破断伸び(単位は%)を求めた。
【0030】
(6)アイゾット衝撃強度(単位はJ/m)
ASTM−D256に準じ、試験片厚み3.2mmの試験片に0.25Rのノッチを切削加工により切り込み、23℃で5本づつ測定し、5本の平均値で示し、未処理衝撃と表示する。
【0031】
(7)抗菌性試験
食パン200gと水道水100ccをミキサーで混合・撹拌した液体に、アイゾット衝撃試験片を浸漬してすぐ引上げ、該試験片を相対湿度85±5%、温度40±2℃の恒温槽中で240時間処理し、目視によりカビの発生状態を調べた。カビの発生の全くないものをA、僅かに発生したものをB、カビの発生の多いものをCとした。
(8)耐光性試験
アイゾット衝撃試験片を6.5Kwキセノンアーク式フェードメーター(アトラス(株)製Ci−65型)に取り付け、ブラックパネル温度63℃、降雨スプレーなしの条件で100時間処理後、日本電色工業(株)Σ−80型色差計にて
色差ΔEを測定し、ΔEの大小により変色の度合いを判定した。
【0032】
【発明の効果】
本発明よれば、無毒性で、機械的性質、熱的性質、耐熱水性、電気的性質、寸法精度、成形時の熱安定性、成形品の外観に優れ、特に耐光性および抗菌性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
Claims (7)
- (A)ポリフェニレンエーテル20〜80重量部、
(B)スチレン系重合体、ポリアミドまたはスチレン系重合体とポリアミドの組成物80〜20重量部、
(C)水分吸着量2〜15%の抗菌性ゼオライト0.1〜10重量部、
(D)分子量300以上の燐系熱安定剤、分子量300以上のチオエーテル系熱安定剤及び分子量300以上の高度立体障害フェノール系熱安定剤及び硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種の熱安定剤0.05〜5重量部および
(E)酸化亜鉛0.1〜10重量部からなる抗菌性樹脂組成物。 - (D)熱安定剤が、分子量400以上の燐系熱安定剤、分子量400以上のチオエーテル系熱安定剤及び分子量400以上の高度立体障害フェノール系熱安定剤の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1の抗菌性樹脂組成物。
- (E)熱安定剤が、平均粒径が0.02〜1μmの酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1の抗菌性樹脂組成物。
- (C)抗菌性ゼオライトが、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を、銀、銅および亜鉛から選ばれた1種以上のイオンで置換することを特徴とする請求項1の抗菌性樹脂組成物。
- (C)抗菌性ゼオライト中の銀イオンの含有率が0.1〜15%、銅イオン又は亜鉛イオンの含有率が0.1〜8%である請求項1の抗菌性樹脂組成物。
- (C)抗菌性ゼオライト中の銀イオンの含有率が0.1〜5%、銅イオン又は亜鉛イオンの含有率が0.1〜8%である請求項1の抗菌性樹脂組成物。
- (C)抗菌性ゼオライトが、アンモニウムイオン0.5〜5%、銀イオン0.1〜15%、銅イオン0.1〜8%、亜鉛イオン0.1〜8%を含有することを特徴とする請求項1の抗菌性樹脂組成物。
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