JP3550937B2 - ポンプ注液式液体容器 - Google Patents
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Description
【0002】
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、ポンプ注液式液体容器に関し、さらに詳しくはポンプ注液式液体容器における転倒止水機構に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
ポンプ注液式液体容器としては、蓋体あるいは容器本体側の適所(例えば、肩部)等に配設されたポンプ装置により内容器内の液体を液体注出通路を介して外部へ注出するように構成したものが従来から良く知られている。
【0005】
上記のような構成のポンプ注液式液体容器の場合、液体注出通路を常時連通状態となしていると、誤って液体容器を転倒させた場合に、内容器内の液体が液体注出通路を介して外部へ流出してしまうという事態が発生するところから、前記液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により作動して液体注出通路を閉状態となす転倒止水弁を配設するようにしている。
【0006】
一方、ポンプ注液式液体容器には、ポンプ装置の誤作動により内容器内の液体が不用意に注出されることを防止するために、ポンプ装置の作動をロックする機構が付設されており、ポンプ装置のロック状態においては、蓋体等に「出ない」の表示がなされることとなっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した構成のポンプ注液式液体容器の場合、ポンプ装置をロック状態としたとしても、液体注出通路に介設された転倒止水弁は、液体容器の転倒時にのみ作動することとなっていて、通常の正立姿勢においては液体注出通路は連通状態となっている。従って、液体容器を上下に激しく振ったりすると、ポンプ装置がロック状態にあって「出ない」の表示が出ているにもかかわらず、液体注出通路を介して内容器内の液体が注出される場合がある。これは、ユーザの「出ない」という認識とは大きく相異するという不具合が存する。
【0008】
なお、液体注出通路の途中に、常時閉弁状態を保持されていて、ポンプ装置の作動時にのみこれと連動して開弁作動される止水弁を設けたものも提案されている(例えば、実公昭58−2255号公報参照)。ところが、この公知例の場合、ポンプ装置のロックを忘れた場合に、ポンプ装置が不用意に作動せしめられると、これと連動して止水弁が開弁されてしまい、内容器内の液体が不用意に注出されてしまうおそれがある。
【0009】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、液体容器の転倒時・非転倒時にかかわらず、内容器内の液体の不用意な流出を防止し得るようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の基本構成では、上記課題を解決するための手段として、開閉自在な蓋体を備えた容器本体と、該容器本体内に配設された内容器と、該内容器内の液体を外部へ注出するための液体注出通路と、前記内容器内の液体を前記液体注出通路を介して外部へ注出するエアーポンプと、該エアーポンプを作動不能状態に保持するロック部材とを備え、該液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路を閉状態とするとともに注液時においては開状態とされる転倒止水弁を配設してなるポンプ注液式液体容器において、前記転倒止水弁を外部操作により開状態から閉状態に移行させた後閉状態を保持するロック手段と、前記ロック部材による前記エアーポンプのロック時において前記ロック手段により前記転倒止水弁を強制的に閉状態に保持する連動機構とを付設している。
【0011】
上記のように構成したことにより、ロック部材によるエアーポンプのロック時においてロック手段により転倒止水弁を強制的に閉状態に保持するようにしておけば、液体容器の転倒時あるいは非転倒時にかかわらず、液体注出通路が強制的に閉塞されることとなり(即ち、ユーザの認識と液体容器の実状態とが一致することとなり)、例えば液体容器を激しく振ったりした場合にも、不用意な液体流出を確実に防止することができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0013】
第1の実施の形態
図1ないし図5には、本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器が示されている。
【0014】
このポンプ注液式液体容器は、エアーポンプにより圧送される加圧空気により液体注出を行う保温専用のエアーポットとされており、図1に示すように、容器本体1と、該容器本体1の上部を開閉自在に覆蓋する蓋体2とにより構成されている。
【0015】
前記容器本体1は、内周面を構成する内容器3と、該内容器3の外周側を覆い且つ円筒形状を有する板金製の外ケース4と、該外ケース4の上端と前記内容器3の口部3aとの間を覆う合成樹脂製の肩部材5と、前記外ケース4の下端を覆う合成樹脂製の底部材6とからなっている。なお、前記肩部材5の一側には、後述する液体注出通路Lの出口である注出管58の外側をカバーするためのパイプカバー9が一体に形成されている。
【0016】
前記肩部材5の上面中央部には、給液用開口7が形成されている。該給液用開口7の口縁には、前記内容器3の口部3aに連通する連通筒8が取り付けられている。
【0017】
前記内容器3は、口部3aが胴部3bに比して小径とされた真空二重瓶からなっており、前記連通筒8の下端に対して後述するエアーポンプ21におけるポンプ上板22を介設した状態で前記口部3aを対応させ、前記底部材6の中央部に螺合されるネジ部材73(後述する)の押し上げ力によって固定されている。符号10は前記ポンプ上板22と内容器口部3aとの間の気密を保持するためのシールパッキンである。従って、前記内容器3の口部3aの外周側には外ケース4との間に環状余剰空間S1が形成されることとなっている。
【0018】
前記蓋体2は、前記容器本体1の上端一側(換言すれば、パイプカバー9の反対側)に対してヒンジピン11を介して開閉自在に枢支されており、その下板2aには、前記連通筒8内に挿入され、前記給液用開口7を気密状態で閉塞する栓部12が一体に形成されている。この蓋体2は、前記肩部材5の前部上方に設けられたロックレバー13によりロックされることとなっている。符号14は蓋体2の閉塞時に蓋体栓部12と給液用開口7との間の気密を保持するためのシールパッキンである。
【0019】
そして、前記蓋体2内には、前記内容器3内と連通路15を介して連通され、液体容器の転倒時に前記連通路15を介して流入する液体を一時的に貯溜する液貯溜部16が形成されている。
【0020】
前記連通路15は、前記蓋体2の栓部12下端から上向きに一体に立設された円筒体17内に形成されている。
【0021】
一方、前記液貯溜部16は、前記円筒体17の上端に接続されるとともに前記蓋体2の下板2aの外周部に対して高周波溶着により固着された底板18と、該底板18の上面に対して高周波溶着により固着された断面逆U字状の天板19との間に形成されている。この液貯溜部16は、液体容器の転倒時において、液体が連通路15を介して液貯溜部16に一時的に貯溜できるだけの容積を有している。
【0022】
また、前記底板18と天板19との接合部には、前記液貯溜部16に連通するとともに後述するエアーポンプ21から吐出される加圧空気の通路となる空気通路20が形成されている(図2参照)。
【0023】
前記液貯溜部16の底面となる底板18の上面は、前記連通路15を形成する円筒体17の接続部に向かって下り勾配となる傾斜面18aとされている。このようにすると、通常使用時において液貯溜部16に流入した水蒸気が凝縮して生じた凝縮水が、前記傾斜面18aに案内された後、連通路15を介して内容器3内へ還流し、液貯溜部16への液残りを確実に防止することができるのである。
【0024】
なお、上記下板18および天板19は、抗菌剤を練り込んだ合成樹脂材料により成形されている。このようにすると、構造上雑菌等が付着し易い連通路15(即ち、円筒体17の内壁)および液貯溜部16(即ち、底板18および天板19)において雑菌等が繁殖しにくくなり、衛生的となる。
【0025】
そして、前記環状余剰空間S1には、前記内容器3内の液体を外部へ注出するためのポンプ装置であるエアーポンプ21が配設されている。該エアーポンプ21は、内容器3内へ加圧空気を圧送するものであり、前記環状余剰空間S1に適合するように環状を呈している。このようにすれば、従来無駄な空間となっていた環状余剰空間S1の有効利用が可能となるとともに、容器本体1の上部(例えば、蓋体2内)にエアーポンプを配設するタイプのものに比べて製品の全高を大幅に低くできる。
【0026】
該エアーポンプ21は、前記連通筒8と内容器口部3aとの間に挟持した状態で固定された略円盤状のポンプ上板22と、該ポンプ上板22の外周部下面に固定された断面U字状の環状のポンプ下板23と、該ポンプ下板23と前記ポンプ上板22との間に上端が挟持固定され且つ前記ポンプ下板23内において伸縮作動する環状のベローズ24とからなっている。
【0027】
前記ポンプ上板22の適所(例えば、パイプカバー9から見て直角方向となるエアーポンプ21の中央部)には、図2に示すように、後述する駆動レバー39が臨む開口25が形成されており、ベローズ24において前記開口25に臨む位置には、前記駆動レバー39の押圧力により閉弁状態となる吸気弁26が設けられている。該吸気弁26は、前記ベローズ24の下面に設けられた吸気口27に対して上下動自在に装着されており、上動時に前記吸気口27を閉塞し、下動時に前記吸気口27を開放することとなっている。符号28は前記吸気弁26を開弁方向に付勢するスプリング29の下端を支持するスプリング受けである。
【0028】
また、前記ポンプ上板22の適所(例えば、パイプカバー9から見て直角方向となるエアーポンプ21の中央部)には、前記肩部材5の上面に形成された開口30から該肩部材5の上面5aより寸法Aだけ突出する筒体31が一体に形成されており、該筒体31の上面には、エアーポンプ21の吐出口32が形成されている。該吐出口32には、前記ベローズ24の収縮作動時に開弁する吐出弁33が上下動自在に装着されている。この吐出弁33と前記スプリング受け28との間には、前記吸気弁26の開作動時には前記吐出弁33に対して付勢力を作用させることなく、吸気弁28の閉作動時に前記吐出弁33を開作動させる方向に付勢するスプリング34が介設されている。つまり、吸気弁28の開・閉作動と連動して吐出弁33が閉・開作動されることとなっているのである。
【0029】
前記吐出口32は、前記蓋体2の閉塞時において該蓋体2側に設けられている空気通路20の入口20aと対向せしめられることとなっており、両者間は、前記蓋体2の閉塞時において該蓋体2の下板2aに取り付けられたシールパッキン35により気密保持されている。つまり、前記空気通路20、液貯溜部16および連通路15によりエアーポンプ21から吐出される加圧空気を内容器3へ圧送する空気圧送通路Pを構成することとなっているのである。このようにすると、エアーポンプ21の吐出口32と蓋体2内側の空気通路20とを気密保持状態で直接連通させることができることとなり、容器本体1側と蓋体2側とに分離した構成となる空気圧送通路Pの途中(即ち、容器本体1側と蓋体2側との接続部)での空気漏れを可及的に少なくできる。
【0030】
また、前記空気通路入口20aには、前記吐出弁33の開・閉作動と連動して開・閉作動される開閉弁36が配設されている。さらに、前記空気通路20の入口側において前記天板19には、前記開閉弁36と対応する位置に前記内容器3の内圧上昇を防止するための排気通路37が形成されており、該排気通路37は、前記開閉弁36により開閉されることとなっている。つまり、開閉弁36は、空気通路入口20aを開放した時排気通路37を閉塞し、空気通路入口20aを閉塞した時排気通路37を開放することとなっているのである。符号38は開閉弁36を空気通路入口20aを閉塞する方向に付勢するスプリングである。なお、前記エアーポンプ21は、環状のものに限定されず、U字状のものとしてもよい。
【0031】
前記エアーポンプ21を押圧駆動するポンプ駆動機構Mは、前記エアーポンプ21における吸気弁26,26(図1および図3参照)を押圧する駆動レバー39と、該駆動レバー39を揺動させる中間操作レバー40と、該中間操作レバー40を容器本体1外方から揺動操作する操作レバー41(図4参照)とからなっている。
【0032】
前記駆動レバー39は、図1および図3に示すように、容器本体1における外ケース4において相対向する位置に枢支ピン42,42を介して回動自在に枢支され、自由端39a,39aを前記エアーポンプ21の吸気弁26,26に下方から当接されるコ字状の枠体からなっており、その基端部には、前記パイプカバー9側に向かって延び且つ上面に前記中間操作レバー40が係合する係合溝44をそれぞれ有する一対の逆への字状の係合片43,43が一体に形成されている。
【0033】
一方、前記中間操作レバー40は、図4に示すように、前記パイプカバー9の両側壁に対して回動自在に枢支される軸体45と、該軸体45から一体に突設され且つ前記駆動レバー39の係合片43,43における係合溝44,44に係合する一対の係合アーム46,46とからなっている。なお、前記軸体45の中心には、断面長円形状の軸穴47が形成されている。また、この軸体45の一端側には、後述するロック部材49に対して係合される断面長円形状の係合軸48が一体に突設されている。
【0034】
また、前記操作レバー41は、前記中間操作レバー40の軸体45における軸穴47に嵌挿される断面長円形状の軸部41aと、該軸部41aの一端に突設されたレバー部41bとからなっており、該レバー部41bは、前記パイプカバー9の側壁外方に突出せしめられている。
【0035】
上記のような構成において、操作レバー41を図4に矢印Xで示す方向に揺動させると、中間操作レバー40が、図1に鎖線で示すように揺動せしめられ、該中間操作レバー40の係合片43,43と駆動レバー39の係合アーム46,46との係合により、駆動レバー39が図1に鎖線で示すように枢支ピン42,42を揺動中心として揺動し、その自由端39a,39aにより吸気弁26,26が押し上げられ、エアーポンプ21は圧縮される。この時、エアーポンプ21の吸気弁26,26は閉塞される一方、吐出弁33は開放されるため、エアーポンプ21内の空気は圧縮されて吐出口32から吐出される。また、吐出弁33の上動により開閉弁36は、空気通路20の入口20aを開放し且つ排気通路37を閉塞している。従って、エアーポンプ21から吐出された加圧空気は、空気通路20、液貯溜部16および連通路15からなる空気圧送通路Pを介して内容器3内へ圧送されるのである。
【0036】
ところで、前記中間操作レバー40は、非注液時においてはロック部材49により揺動不可能なようにロックされる。前記ロック部材49は、図4に示すように、前記中間操作レバー40における軸体45の一端側に突設された係合軸48が回動不能となるように係合する係合溝50aと、該係合溝50aの上方に連続し且つ前記係合軸48の回動を許容する矩形開口50bとからなる開口部50を有する板状部材とされており、前記パイプカバー9の一方の側壁に形成された窓穴51に臨むようにして上下動自在に取り付けられている。つまり、ロック部材49の上動操作時において係合溝50aに対して係合軸48が係合してロック状態が保持され、ロック部材49の下動操作時において矩形開口50bに対して係合軸48が挿入されてロック解除状態とされることとなっているのである。符号52はロック部材49を上下動操作するための操作ツマミである。
【0037】
前記ロック部材49の一側には、該ロック部材49の上動操作時において後述する転倒止水弁59を閉弁状態に保持するように押し上げるためのロック手段Kと該ロック部材49とを連動させるための連動機構Rとして作用するロック片53が一体に突設されている。該ロック片53は、前記ロック部材49から一体に突設されたL字状のアーム部53aと、該アーム部53aの先端に転倒止水弁59を押し上げるべく一体形成された押圧部53bとからなっている。
【0038】
さらに、前記内容器3内の液体は、液体注出通路Lを介して外部へ注出されるが、該液体注出通路Lは、前記連通筒8に対して横向きに貫通支持された逆L字状の接続管54と、該接続管54の下端から内容器3の底部近くまで垂設された汲み上げ管55と、前記接続管54の外端から横向きに延設された水平管56と、該水平管56の外端に接続されて下向きに延び且つ前記パイプカバー9内に臨む口先管57と、該口先管57の先端が挿入されるとともに前記パイプカバー9の下端に対して係合支持された注出管58とからなっている。
【0039】
そして、前記水平管56の先端部には、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路Lの途中を閉塞する逆円錐台形状の転倒止水弁59を配設した弁室60が形成されている。該弁室60には、前記水平管56側に連通する入口60aと、前記口先管57側に連通する出口60bとを有しており、内部には、液体容器の転倒時に前記転倒止水弁59を前記出口60bを閉塞する方向に案内するガイドリブ61が形成されている。
【0040】
前記弁室60の下部には、該弁室60の底面60cにより区画され且つゴム等からなる弾性キャップ62により覆蓋された液溜め部63が形成されており、該液溜め部63と前記弁室60とは底面60cの中央部に形成された連通孔64を介して連通されている。該連通孔64には、前記転倒止水弁59を上下動させるための作動杆65が上下動自在に挿通されている。該作動杆65の下端は、前記弾性キャップ62に支持されており、該弾性キャップ62の上下動に伴って作動杆65が上下動せしめられることとなっている。つまり、本実施の形態においては、弾性キャップ62および作動杆65が、転倒止水弁59を開状態から閉状態へ移動させて強制的に閉状態を保持するロック手段Kを構成することとなっているのである。
【0041】
また、前記液溜め部63には、後述する液量管69の上端に接続された接続パイプ66が接続されている。該接続パイプ66の内径は、前記水平管56の内径より相当に小径とされている。このようにしたことにより、注液時においては液量管69側からの液量を可及的に少なくできるところから、水平管56を流れる液量を十分確保することができる。符号67は水平管56から弁室60に入る水流の圧力が転倒止水弁59に直接及ぼすことのないように弁室入口60aの直内方に立設した邪魔板、68は弾性キャップ62を復帰させるためのリターンスプリングである。
【0042】
前記内容器3の底部には、該内容器3内の液量を表示するための液量管69に連通する接続管70を接続するための第2の開口71が形成されている。該接続管70は、前記内容器3の下部外周を保護する保護枠72に取り付けられた状態で前記開口71に水密状態で接続されている。なお、該保護枠72は、前記容器本体1における底部材6の中央部に対して螺合されるネジ部材73の押し上げ力により前記内容器3の下部外周を覆うように取り付けられることとなっている。
【0043】
前記液量管69の上端は、前述したように、接続パイプ66を介して前記弁室60(具体的には、液溜め部63)に接続されている。つまり、液量管69内の液体は、エアーポンプ21の作動時において接続パイプ66を介して液溜め部63に流出されることとなっているのである。従って、液量管69をその直上方位置にある液溜め部63に接続する構造となり、従来の連通筒8に接続するタイプのものに比べて配管が短くなるとともに、連通筒8の上下寸法を短くできるため保温性能が向上する。しかも、液溜め部63に残湯が生じた場合にも、該残湯は接続パイプ66を介して液量管69に還流せしめられることとなり、冷えたお湯が内容器3内へ戻るということがなくなる。
【0044】
ところで、注出管58の下端の注出口58aが比較的低位に位置する低注出口型のポンプ注液式液体容器の場合、サイフォン効果により内容液が連続して注出されることのないように、口先管57の先端を注出管58の上端に挿入することにより、注出管58に空気を取り入れるようにしているが、このような構造とした場合、内容器3内に残った液体を捨てる際に口先管57と注出管58との接続部分から液が漏れ出ることがあり、漏れでた液が容器本体1内に入り、サビを発生させることがある。
【0045】
そこで、本実施の形態においては、図5に示すように、口先管57の先端部外周にシール用のパッキン74を取り付けて、残液を捨てる時に両者の接続部分から液が漏れ出ることのないようにしている。前記パッキン74により完全にシールされると、サイフォン現象が生ずるため、注出管58の上端部内周におけるパッキン74の接触する部分には、完全シールを防止するために空気取り入れ用の溝75が形成されている。なお、溝に代えて凸条としてもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態の場合、液体容器を持ち運ぶためのU字状の把手76が容器本体1の両側面(即ち、パイプカバー9側から見て直交する方向の両側面)に対して回動自在に枢支されているが、該把手76は非使用時においては、容器本体1の後部(即ち、蓋体2を枢支するヒンジピン11側)に形成された段部77に係止されることとなっている。この状態において、蓋体2を開作動させると、蓋体2の後端部が把手76と干渉するため、蓋体2の開度が大きくとれないという不具合がある。そこで、本実施の形態においては、前記把手76の頂部76aには、当該部分を所定寸法だけ除肉することにより、前記蓋体2の開放時に該蓋体2の後端部との干渉を回避するための切欠凹部78が形成されている。このようにすると、蓋体2の開度を大きくすることができる。
【0047】
上記のように構成されたポンプ注液式液体容器は次のように作用する。
【0048】
非注液時には、ロック部材49は上動位置にあり、係合軸48はロック部材49の開口部50における係合溝50aに係合されて中間操作レバー40は揺動不能とされている。この時、ロック部材49のロック手段53は上動位置にあり、弾性キャップ62が押し上げられて作動杆65が上動し、それに伴って転倒止水弁59が上動し、弁室出口60bを強制的に閉塞する。つまり、液体注出通路Lが非連通状態とされるのである。従って、液体容器が転倒した場合に、液体注出通路Lを介して液体が流出するという現象を防止することができる。しかも、転倒時においては液体が蓋体2内に形成された液貯溜部16に一時的に貯溜されるため、転倒止水弁59が作動不良を起こしたとしても、液体が液体注出通路Lを介して外部へ流出するまでに時間がかかることとなる。したがって、その間に液体容器を起こせば、転倒時の液体流出を防止することができる。
【0049】
一方、注液時においては、ロック部材49は下動させると、係合軸48はロック部材49の開口部50における矩形開口50bに係合されて中間操作レバー40は揺動可能とされる。この時、ロック部材49のロック手段53は下動位置にあり、弾性キャップ62への押し上げ力が解除され、弾性キャップ62がリターンスプリング68の付勢力により押し下げられて作動杆65が下動し、それに伴って転倒止水弁59が下動し、弁室出口60bが開放される。つまり、液体注出通路Lが連通状態とされるのである。
【0050】
上記状態から、操作レバー41を下向きに揺動させて中間操作レバー40を下向きに揺動させると、中間操作レバー41により駆動レバー39の係合片43が下向き揺動され、図1に鎖線で示すように、その自由端39aが上向きに揺動し、エアーポンプ21が圧縮作動され、エアーポンプ21から吐出された加圧空気が空気圧送通路Pを介して内容器3内に圧送される。すると、該加圧空気により内容器3内に収容された液体が液体注出通路Lを通って注出口58aから注出される。
【0051】
つまり、エアーポンプ21から吐出される加圧空気は、吐出口32から直接蓋体2内の液貯溜部16および連通路15を含む空気圧送通路Pに圧送され、該空気圧送通路Pを介して内容器3内へ直接圧送されることとなり、空気圧送通路Pにおける出口側での空気漏れが確実に防止できるのである。しかも、液体を入れ過ぎたとしても空気圧送通路Lの出口が塞がれるということがなくなるため、内容器3の内圧上昇による液漏れを確実に防止できる。
【0052】
ところで、図6に示すように、液量管69と液溜め部63とを接続する接続パイプ66を弾性キャップ62における外周寄り位置に接続するとともに、前記弁室60の底面60cから前記弾性キャップ62の外周部に向かって環状のリブ79を一体に延設すれば、弾性キャップ62の上下動時に接続パイプ66の接続部位がリブ79により大きく変位しないように動きが規制されることとなり、接続パイプ66の接続部位が外れたりすることがなくなる。
【0053】
第2の実施の形態
図7および図8には、本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器が示されている。
【0054】
このポンプ注液式液体容器は、図7に示すように、容器本体81と、該容器本体81の上部を開閉自在に覆蓋する蓋体82とにより構成されており、該蓋体82内に配設されたポンプ装置であるエアーポンプ83により圧送される加圧空気により液体注出を行う保温専用のエアーポットとされている。
【0055】
前記容器本体81は、内周面を構成する真空二重瓶からなる内容器84と、該内容器84の外周側を覆い且つ円筒形状を有する板金製の外ケース85と、該外ケース85の上端と前記内容器84の口部84aとの間を覆う合成樹脂製の肩部材86と、前記外ケース85の下端を覆う合成樹脂製の底部材(図示省略)とからなっている。なお、前記肩部材86の一側には、後述する液体注出通路Lの出口である注出管109の外側をカバーするためのパイプカバー87が一体に形成されている。
【0056】
前記肩部材86の上面中央部には、給液用開口88が形成されている。該給液用開口88の口縁には、前記内容器84の口部84aに連通する連通筒89が取り付けられている。符号90は前記連通筒89と内容器口部84aとの間の気密を保持するためのシールパッキンである。
【0057】
前記蓋体82は、前記容器本体81の上端一側(換言すれば、パイプカバー87の反対側)に対してヒンジピン91を介して開閉自在に枢支されており、その下板82aには、前記連通筒89内に挿入され、前記給液用開口88を気密状態で閉塞する栓部92が一体に形成されている。符号93は蓋体82の閉塞時に蓋体栓部92と給液用開口88との間の気密を保持するためのシールパッキン、94は前記栓部92内に配設された断熱材である。
【0058】
そして、前記蓋体82内には、前述したように、内容器84内へ加圧空気を圧送するためのエアーポンプ83が配設されるが、該エアーポンプ83は、前記蓋体82の上板82bから垂設された円筒状の垂下壁95内に臨むようにして前記蓋体下板82aから立設されたベローズ96と、該ベローズ96の上端に固定されたベローズ天板97とからなっている。該ベローズ天板96には、ベローズ96の膨張時に空気を吸入する吸気弁98が開閉自在に設けられている。また、前記垂下壁95内には、前記エアーポンプ83を圧縮させるための押圧部材99が上下動自在に嵌挿されている。符号100は前記ベローズ天板97に係止されたガイド部材、101はベローズ96および吸気弁98を復帰させるためのリターンスプリング、102はエアーポンプ83からの加圧空気を内容器84内へ吐出するための吐出口である。
【0059】
さらに、前記蓋体82には、前記エアーポンプ83の作動(即ち、ベローズ96の圧縮作動)を規制するロック部材103が付設されている。該ロック部材103は、前記垂下壁95の外周側に回動自在に配設された円筒体103aと、該円筒体103aの内周面に形成され、円筒体103aの回動位置により前記ガイド部材100の係止部100aと係合してエアーポンプ83を作動規制する規制部103bと、前記円筒体103aの上端一側から上向きに延設され、前記蓋体上板82bに形成されたガイド溝104から上方に突出された操作部103cとからなっている。
【0060】
前記円筒体103aの外周には、後述する転倒止水弁ロック用のロック手段Kと前記ロック部材103とを連動させるための連動機構Rの一部を構成するカム片105が一体に突設されている。
【0061】
前記内容器84内の液体は、液体注出通路Lを介して外部へ注出されるが、該液体注出通路Lは、前記連通筒89に対して横向きに貫通支持された逆L字状の接続管106と、該接続管106の下端から内容器84の底部近くまで垂設された汲み上げ管107と、前記接続管106の外端から横向きに延設された水平管108と、該水平管108の外端に接続されて下向きに延び且つ前記パイプカバー87の下端に形成された開口110に臨む注出管109とからなっている。
【0062】
そして、前記水平管108の先端部には、液体容器の転倒時に自重により移動して液体注出通路Lの途中を閉塞する逆円錐台形状の転倒止水弁111を配設した弁室112が形成されている。該弁室112には、前記水平管108側に連通する入口112aと、前記注出管109側に連通する出口112bとを有しており、内部には、液体容器の転倒時に前記転倒止水弁111を前記出口112bを閉塞する方向に案内するガイドリブ113が形成されている。
【0063】
前記弁室112の下部には、該弁室112の底面112cにより区画され且つゴム等からなる弾性キャップ114により覆蓋された液溜め部115が形成されており、該液溜め部115と前記弁室112とは底面112cの中央部に形成された連通孔116を介して連通されている。該連通孔116には、前記転倒止水弁111を上下動させるための作動杆117が上下動自在に挿通されている。該作動杆117の下端は、前記弾性キャップ114に支持されており、該弾性キャップ114の上下動に伴って作動杆117が上下動せしめられることとなっている。つまり、本実施の形態においては、弾性キャップ114および作動杆117が、転倒止水弁111を開状態から閉状態に移行させて閉状態を保持するためのロック手段Kを構成することとなっているのである。符号118は水平管108から弁室112に入る水流の圧力が転倒止水弁111に直接及ぼすことのないように弁室入口112aの直内方に立設した邪魔板、119は弾性キャップ114を復帰させるためのリターンスプリングである。
【0064】
しかして、前記ロック部材103とロック手段Kとを連動させるための連動機構Rは、図8に示すように、前記ロック部材103を構成する円筒体103aの外周面に突設されたカム片105と、該カム片105の下面のカム面105aに対して当接される蓋体2側に位置する第1昇降杆120と、該第1昇降杆120の下端に連結される容器本体1側に位置する第2昇降杆121と、該第2昇降杆121の下端に対して一端が回動自在に連結され且つ容器本体1に対して揺動ピン124により揺動自在に枢支されている揺動杆122と、該揺動杆122の他端に対して回動自在に連結され且つ前記弾性キャップ114に対して上端が当接される第3昇降杆123とにより構成されている。符号125は第1昇降杆120を第2昇降杆121に押し付けるためのスプリングである。
【0065】
上記構成において、ロック部材103によるエアーポンプ83のロック状態(換言すれば、作動不能状態)は、操作部103cをガイド溝104に沿って回動させた場合に、規制部103bに対してエアーポンプ83のガイド部材100の係止部100aが係合することにより得られる。この時、円筒体103aは矢印N1(図8参照)方向に回動せしめられ、カム片105下面のカム面105aにより第1昇降杆120がスプリング125の付勢力に抗して押し下げられ、それに伴って第2昇降杆121も押し下げられる。すると、揺動杆122が揺動ピン124を揺動中心として第3昇降杆123を押し上げる方向に揺動せしめられる。かくして、該第3昇降杆123が押し上げられると、ロック手段Kを構成する弾性キャップ114および作動杆117が押し上げられ、転倒止水弁111が弁室112の出口112bを閉塞することとなる。従って、エアーポンプ83がロック状態にあるときには、転倒止水弁111も強制的に閉弁状態とされることとなる。つまり、液体注出通路Lが非連通状態とされ、液体容器の転倒・非転倒にかかわらず(例えば、液体容器を激しく振った場合にも)、液体注出通路Lを介して流出するという現象を防止することができるのである。
【0066】
一方、エアーポンプ83のロックを解除する際には、ロック部材103の円筒体103aを前記と逆に矢印N2方向(図8参照)に回動させれば、スプリング125の付勢力によりカム片105のカム面105aに当接された状態で第1昇降杆120および第2昇降杆121が上昇せしめられ、揺動杆122が前記と逆の方向(即ち、第3昇降杆123を押し下げられる方向)に揺動せしめられる。その結果、弾性キャップ114および作動杆117が押し下げられて、転倒止水弁111がフリー状態(即ち、転倒時に閉弁する状態)となる。つまり、液体注出通路Lが連通状態とされるのである。
【0067】
上記状態から、押圧部材99を押圧させてエアーポンプ83を圧縮作動させると、エアーポンプ83から吐出された加圧空気が吐出口102から内容器84内に圧送される。すると、該加圧空気により内容器84内に収容された液体が液体注出通路Lを通って注出される。
【発明の効果】
【0068】
本願発明によれば、開閉自在な蓋体を備えた容器本体と、該容器本体内に配設された内容器と、該内容器内の液体を外部へ注出するための液体注出通路と、前記内容器内の液体を前記液体注出通路を介して外部へ注出するエアーポンプと、該エアーポンプを作動不能状態に保持するロック部材とを備え、該液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路を閉状態とするとともに注液時においては開状態とされる転倒止水弁を配設してなるポンプ注液式液体容器において、前記転倒止水弁を外部操作により開状態から閉状態に移行させた後閉状態を保持するロック手段と、前記ロック部材による前記エアーポンプのロック時において前記ロック手段により前記転倒止水弁を強制的に閉状態に保持する連動機構とを付設して、ロック部材によるエアーポンプのロック時においてロック手段により転倒止水弁を強制的に閉状態に保持し得るようにしたので、液体容器の転倒時あるいは非転倒時にかかわらず、液体注出通路が閉塞されることとなり(即ち、ユーザの認識と液体容器の実状態とが一致することとなり)、不用意な液体流出を確実に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の要部拡大断面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器におけるエアーポンプおよび駆動レバーを示す平面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における中間操作レバーおよびロック部材の関係を示す分解斜視図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における口先管と注出管との関係を示す拡大断面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における転倒止水弁部の他の構造例を示す拡大縦断面図である。
【図7】本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の上部縦断面図である。
【図8】本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における連動機構を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1,81は容器本体、2,82は蓋体、3,84は内容器、3aは口部、3bは胴部、5,86は肩部材、21,83はエアーポンプ、49はロック部材、59,111は転倒止水弁、Lは液体注出通路、Mはポンプ駆動機構、Kはロック手段、Rは連動機構。
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、ポンプ注液式液体容器に関し、さらに詳しくはポンプ注液式液体容器における転倒止水機構に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
ポンプ注液式液体容器としては、蓋体あるいは容器本体側の適所(例えば、肩部)等に配設されたポンプ装置により内容器内の液体を液体注出通路を介して外部へ注出するように構成したものが従来から良く知られている。
【0005】
上記のような構成のポンプ注液式液体容器の場合、液体注出通路を常時連通状態となしていると、誤って液体容器を転倒させた場合に、内容器内の液体が液体注出通路を介して外部へ流出してしまうという事態が発生するところから、前記液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により作動して液体注出通路を閉状態となす転倒止水弁を配設するようにしている。
【0006】
一方、ポンプ注液式液体容器には、ポンプ装置の誤作動により内容器内の液体が不用意に注出されることを防止するために、ポンプ装置の作動をロックする機構が付設されており、ポンプ装置のロック状態においては、蓋体等に「出ない」の表示がなされることとなっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した構成のポンプ注液式液体容器の場合、ポンプ装置をロック状態としたとしても、液体注出通路に介設された転倒止水弁は、液体容器の転倒時にのみ作動することとなっていて、通常の正立姿勢においては液体注出通路は連通状態となっている。従って、液体容器を上下に激しく振ったりすると、ポンプ装置がロック状態にあって「出ない」の表示が出ているにもかかわらず、液体注出通路を介して内容器内の液体が注出される場合がある。これは、ユーザの「出ない」という認識とは大きく相異するという不具合が存する。
【0008】
なお、液体注出通路の途中に、常時閉弁状態を保持されていて、ポンプ装置の作動時にのみこれと連動して開弁作動される止水弁を設けたものも提案されている(例えば、実公昭58−2255号公報参照)。ところが、この公知例の場合、ポンプ装置のロックを忘れた場合に、ポンプ装置が不用意に作動せしめられると、これと連動して止水弁が開弁されてしまい、内容器内の液体が不用意に注出されてしまうおそれがある。
【0009】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、液体容器の転倒時・非転倒時にかかわらず、内容器内の液体の不用意な流出を防止し得るようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の基本構成では、上記課題を解決するための手段として、開閉自在な蓋体を備えた容器本体と、該容器本体内に配設された内容器と、該内容器内の液体を外部へ注出するための液体注出通路と、前記内容器内の液体を前記液体注出通路を介して外部へ注出するエアーポンプと、該エアーポンプを作動不能状態に保持するロック部材とを備え、該液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路を閉状態とするとともに注液時においては開状態とされる転倒止水弁を配設してなるポンプ注液式液体容器において、前記転倒止水弁を外部操作により開状態から閉状態に移行させた後閉状態を保持するロック手段と、前記ロック部材による前記エアーポンプのロック時において前記ロック手段により前記転倒止水弁を強制的に閉状態に保持する連動機構とを付設している。
【0011】
上記のように構成したことにより、ロック部材によるエアーポンプのロック時においてロック手段により転倒止水弁を強制的に閉状態に保持するようにしておけば、液体容器の転倒時あるいは非転倒時にかかわらず、液体注出通路が強制的に閉塞されることとなり(即ち、ユーザの認識と液体容器の実状態とが一致することとなり)、例えば液体容器を激しく振ったりした場合にも、不用意な液体流出を確実に防止することができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0013】
第1の実施の形態
図1ないし図5には、本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器が示されている。
【0014】
このポンプ注液式液体容器は、エアーポンプにより圧送される加圧空気により液体注出を行う保温専用のエアーポットとされており、図1に示すように、容器本体1と、該容器本体1の上部を開閉自在に覆蓋する蓋体2とにより構成されている。
【0015】
前記容器本体1は、内周面を構成する内容器3と、該内容器3の外周側を覆い且つ円筒形状を有する板金製の外ケース4と、該外ケース4の上端と前記内容器3の口部3aとの間を覆う合成樹脂製の肩部材5と、前記外ケース4の下端を覆う合成樹脂製の底部材6とからなっている。なお、前記肩部材5の一側には、後述する液体注出通路Lの出口である注出管58の外側をカバーするためのパイプカバー9が一体に形成されている。
【0016】
前記肩部材5の上面中央部には、給液用開口7が形成されている。該給液用開口7の口縁には、前記内容器3の口部3aに連通する連通筒8が取り付けられている。
【0017】
前記内容器3は、口部3aが胴部3bに比して小径とされた真空二重瓶からなっており、前記連通筒8の下端に対して後述するエアーポンプ21におけるポンプ上板22を介設した状態で前記口部3aを対応させ、前記底部材6の中央部に螺合されるネジ部材73(後述する)の押し上げ力によって固定されている。符号10は前記ポンプ上板22と内容器口部3aとの間の気密を保持するためのシールパッキンである。従って、前記内容器3の口部3aの外周側には外ケース4との間に環状余剰空間S1が形成されることとなっている。
【0018】
前記蓋体2は、前記容器本体1の上端一側(換言すれば、パイプカバー9の反対側)に対してヒンジピン11を介して開閉自在に枢支されており、その下板2aには、前記連通筒8内に挿入され、前記給液用開口7を気密状態で閉塞する栓部12が一体に形成されている。この蓋体2は、前記肩部材5の前部上方に設けられたロックレバー13によりロックされることとなっている。符号14は蓋体2の閉塞時に蓋体栓部12と給液用開口7との間の気密を保持するためのシールパッキンである。
【0019】
そして、前記蓋体2内には、前記内容器3内と連通路15を介して連通され、液体容器の転倒時に前記連通路15を介して流入する液体を一時的に貯溜する液貯溜部16が形成されている。
【0020】
前記連通路15は、前記蓋体2の栓部12下端から上向きに一体に立設された円筒体17内に形成されている。
【0021】
一方、前記液貯溜部16は、前記円筒体17の上端に接続されるとともに前記蓋体2の下板2aの外周部に対して高周波溶着により固着された底板18と、該底板18の上面に対して高周波溶着により固着された断面逆U字状の天板19との間に形成されている。この液貯溜部16は、液体容器の転倒時において、液体が連通路15を介して液貯溜部16に一時的に貯溜できるだけの容積を有している。
【0022】
また、前記底板18と天板19との接合部には、前記液貯溜部16に連通するとともに後述するエアーポンプ21から吐出される加圧空気の通路となる空気通路20が形成されている(図2参照)。
【0023】
前記液貯溜部16の底面となる底板18の上面は、前記連通路15を形成する円筒体17の接続部に向かって下り勾配となる傾斜面18aとされている。このようにすると、通常使用時において液貯溜部16に流入した水蒸気が凝縮して生じた凝縮水が、前記傾斜面18aに案内された後、連通路15を介して内容器3内へ還流し、液貯溜部16への液残りを確実に防止することができるのである。
【0024】
なお、上記下板18および天板19は、抗菌剤を練り込んだ合成樹脂材料により成形されている。このようにすると、構造上雑菌等が付着し易い連通路15(即ち、円筒体17の内壁)および液貯溜部16(即ち、底板18および天板19)において雑菌等が繁殖しにくくなり、衛生的となる。
【0025】
そして、前記環状余剰空間S1には、前記内容器3内の液体を外部へ注出するためのポンプ装置であるエアーポンプ21が配設されている。該エアーポンプ21は、内容器3内へ加圧空気を圧送するものであり、前記環状余剰空間S1に適合するように環状を呈している。このようにすれば、従来無駄な空間となっていた環状余剰空間S1の有効利用が可能となるとともに、容器本体1の上部(例えば、蓋体2内)にエアーポンプを配設するタイプのものに比べて製品の全高を大幅に低くできる。
【0026】
該エアーポンプ21は、前記連通筒8と内容器口部3aとの間に挟持した状態で固定された略円盤状のポンプ上板22と、該ポンプ上板22の外周部下面に固定された断面U字状の環状のポンプ下板23と、該ポンプ下板23と前記ポンプ上板22との間に上端が挟持固定され且つ前記ポンプ下板23内において伸縮作動する環状のベローズ24とからなっている。
【0027】
前記ポンプ上板22の適所(例えば、パイプカバー9から見て直角方向となるエアーポンプ21の中央部)には、図2に示すように、後述する駆動レバー39が臨む開口25が形成されており、ベローズ24において前記開口25に臨む位置には、前記駆動レバー39の押圧力により閉弁状態となる吸気弁26が設けられている。該吸気弁26は、前記ベローズ24の下面に設けられた吸気口27に対して上下動自在に装着されており、上動時に前記吸気口27を閉塞し、下動時に前記吸気口27を開放することとなっている。符号28は前記吸気弁26を開弁方向に付勢するスプリング29の下端を支持するスプリング受けである。
【0028】
また、前記ポンプ上板22の適所(例えば、パイプカバー9から見て直角方向となるエアーポンプ21の中央部)には、前記肩部材5の上面に形成された開口30から該肩部材5の上面5aより寸法Aだけ突出する筒体31が一体に形成されており、該筒体31の上面には、エアーポンプ21の吐出口32が形成されている。該吐出口32には、前記ベローズ24の収縮作動時に開弁する吐出弁33が上下動自在に装着されている。この吐出弁33と前記スプリング受け28との間には、前記吸気弁26の開作動時には前記吐出弁33に対して付勢力を作用させることなく、吸気弁28の閉作動時に前記吐出弁33を開作動させる方向に付勢するスプリング34が介設されている。つまり、吸気弁28の開・閉作動と連動して吐出弁33が閉・開作動されることとなっているのである。
【0029】
前記吐出口32は、前記蓋体2の閉塞時において該蓋体2側に設けられている空気通路20の入口20aと対向せしめられることとなっており、両者間は、前記蓋体2の閉塞時において該蓋体2の下板2aに取り付けられたシールパッキン35により気密保持されている。つまり、前記空気通路20、液貯溜部16および連通路15によりエアーポンプ21から吐出される加圧空気を内容器3へ圧送する空気圧送通路Pを構成することとなっているのである。このようにすると、エアーポンプ21の吐出口32と蓋体2内側の空気通路20とを気密保持状態で直接連通させることができることとなり、容器本体1側と蓋体2側とに分離した構成となる空気圧送通路Pの途中(即ち、容器本体1側と蓋体2側との接続部)での空気漏れを可及的に少なくできる。
【0030】
また、前記空気通路入口20aには、前記吐出弁33の開・閉作動と連動して開・閉作動される開閉弁36が配設されている。さらに、前記空気通路20の入口側において前記天板19には、前記開閉弁36と対応する位置に前記内容器3の内圧上昇を防止するための排気通路37が形成されており、該排気通路37は、前記開閉弁36により開閉されることとなっている。つまり、開閉弁36は、空気通路入口20aを開放した時排気通路37を閉塞し、空気通路入口20aを閉塞した時排気通路37を開放することとなっているのである。符号38は開閉弁36を空気通路入口20aを閉塞する方向に付勢するスプリングである。なお、前記エアーポンプ21は、環状のものに限定されず、U字状のものとしてもよい。
【0031】
前記エアーポンプ21を押圧駆動するポンプ駆動機構Mは、前記エアーポンプ21における吸気弁26,26(図1および図3参照)を押圧する駆動レバー39と、該駆動レバー39を揺動させる中間操作レバー40と、該中間操作レバー40を容器本体1外方から揺動操作する操作レバー41(図4参照)とからなっている。
【0032】
前記駆動レバー39は、図1および図3に示すように、容器本体1における外ケース4において相対向する位置に枢支ピン42,42を介して回動自在に枢支され、自由端39a,39aを前記エアーポンプ21の吸気弁26,26に下方から当接されるコ字状の枠体からなっており、その基端部には、前記パイプカバー9側に向かって延び且つ上面に前記中間操作レバー40が係合する係合溝44をそれぞれ有する一対の逆への字状の係合片43,43が一体に形成されている。
【0033】
一方、前記中間操作レバー40は、図4に示すように、前記パイプカバー9の両側壁に対して回動自在に枢支される軸体45と、該軸体45から一体に突設され且つ前記駆動レバー39の係合片43,43における係合溝44,44に係合する一対の係合アーム46,46とからなっている。なお、前記軸体45の中心には、断面長円形状の軸穴47が形成されている。また、この軸体45の一端側には、後述するロック部材49に対して係合される断面長円形状の係合軸48が一体に突設されている。
【0034】
また、前記操作レバー41は、前記中間操作レバー40の軸体45における軸穴47に嵌挿される断面長円形状の軸部41aと、該軸部41aの一端に突設されたレバー部41bとからなっており、該レバー部41bは、前記パイプカバー9の側壁外方に突出せしめられている。
【0035】
上記のような構成において、操作レバー41を図4に矢印Xで示す方向に揺動させると、中間操作レバー40が、図1に鎖線で示すように揺動せしめられ、該中間操作レバー40の係合片43,43と駆動レバー39の係合アーム46,46との係合により、駆動レバー39が図1に鎖線で示すように枢支ピン42,42を揺動中心として揺動し、その自由端39a,39aにより吸気弁26,26が押し上げられ、エアーポンプ21は圧縮される。この時、エアーポンプ21の吸気弁26,26は閉塞される一方、吐出弁33は開放されるため、エアーポンプ21内の空気は圧縮されて吐出口32から吐出される。また、吐出弁33の上動により開閉弁36は、空気通路20の入口20aを開放し且つ排気通路37を閉塞している。従って、エアーポンプ21から吐出された加圧空気は、空気通路20、液貯溜部16および連通路15からなる空気圧送通路Pを介して内容器3内へ圧送されるのである。
【0036】
ところで、前記中間操作レバー40は、非注液時においてはロック部材49により揺動不可能なようにロックされる。前記ロック部材49は、図4に示すように、前記中間操作レバー40における軸体45の一端側に突設された係合軸48が回動不能となるように係合する係合溝50aと、該係合溝50aの上方に連続し且つ前記係合軸48の回動を許容する矩形開口50bとからなる開口部50を有する板状部材とされており、前記パイプカバー9の一方の側壁に形成された窓穴51に臨むようにして上下動自在に取り付けられている。つまり、ロック部材49の上動操作時において係合溝50aに対して係合軸48が係合してロック状態が保持され、ロック部材49の下動操作時において矩形開口50bに対して係合軸48が挿入されてロック解除状態とされることとなっているのである。符号52はロック部材49を上下動操作するための操作ツマミである。
【0037】
前記ロック部材49の一側には、該ロック部材49の上動操作時において後述する転倒止水弁59を閉弁状態に保持するように押し上げるためのロック手段Kと該ロック部材49とを連動させるための連動機構Rとして作用するロック片53が一体に突設されている。該ロック片53は、前記ロック部材49から一体に突設されたL字状のアーム部53aと、該アーム部53aの先端に転倒止水弁59を押し上げるべく一体形成された押圧部53bとからなっている。
【0038】
さらに、前記内容器3内の液体は、液体注出通路Lを介して外部へ注出されるが、該液体注出通路Lは、前記連通筒8に対して横向きに貫通支持された逆L字状の接続管54と、該接続管54の下端から内容器3の底部近くまで垂設された汲み上げ管55と、前記接続管54の外端から横向きに延設された水平管56と、該水平管56の外端に接続されて下向きに延び且つ前記パイプカバー9内に臨む口先管57と、該口先管57の先端が挿入されるとともに前記パイプカバー9の下端に対して係合支持された注出管58とからなっている。
【0039】
そして、前記水平管56の先端部には、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路Lの途中を閉塞する逆円錐台形状の転倒止水弁59を配設した弁室60が形成されている。該弁室60には、前記水平管56側に連通する入口60aと、前記口先管57側に連通する出口60bとを有しており、内部には、液体容器の転倒時に前記転倒止水弁59を前記出口60bを閉塞する方向に案内するガイドリブ61が形成されている。
【0040】
前記弁室60の下部には、該弁室60の底面60cにより区画され且つゴム等からなる弾性キャップ62により覆蓋された液溜め部63が形成されており、該液溜め部63と前記弁室60とは底面60cの中央部に形成された連通孔64を介して連通されている。該連通孔64には、前記転倒止水弁59を上下動させるための作動杆65が上下動自在に挿通されている。該作動杆65の下端は、前記弾性キャップ62に支持されており、該弾性キャップ62の上下動に伴って作動杆65が上下動せしめられることとなっている。つまり、本実施の形態においては、弾性キャップ62および作動杆65が、転倒止水弁59を開状態から閉状態へ移動させて強制的に閉状態を保持するロック手段Kを構成することとなっているのである。
【0041】
また、前記液溜め部63には、後述する液量管69の上端に接続された接続パイプ66が接続されている。該接続パイプ66の内径は、前記水平管56の内径より相当に小径とされている。このようにしたことにより、注液時においては液量管69側からの液量を可及的に少なくできるところから、水平管56を流れる液量を十分確保することができる。符号67は水平管56から弁室60に入る水流の圧力が転倒止水弁59に直接及ぼすことのないように弁室入口60aの直内方に立設した邪魔板、68は弾性キャップ62を復帰させるためのリターンスプリングである。
【0042】
前記内容器3の底部には、該内容器3内の液量を表示するための液量管69に連通する接続管70を接続するための第2の開口71が形成されている。該接続管70は、前記内容器3の下部外周を保護する保護枠72に取り付けられた状態で前記開口71に水密状態で接続されている。なお、該保護枠72は、前記容器本体1における底部材6の中央部に対して螺合されるネジ部材73の押し上げ力により前記内容器3の下部外周を覆うように取り付けられることとなっている。
【0043】
前記液量管69の上端は、前述したように、接続パイプ66を介して前記弁室60(具体的には、液溜め部63)に接続されている。つまり、液量管69内の液体は、エアーポンプ21の作動時において接続パイプ66を介して液溜め部63に流出されることとなっているのである。従って、液量管69をその直上方位置にある液溜め部63に接続する構造となり、従来の連通筒8に接続するタイプのものに比べて配管が短くなるとともに、連通筒8の上下寸法を短くできるため保温性能が向上する。しかも、液溜め部63に残湯が生じた場合にも、該残湯は接続パイプ66を介して液量管69に還流せしめられることとなり、冷えたお湯が内容器3内へ戻るということがなくなる。
【0044】
ところで、注出管58の下端の注出口58aが比較的低位に位置する低注出口型のポンプ注液式液体容器の場合、サイフォン効果により内容液が連続して注出されることのないように、口先管57の先端を注出管58の上端に挿入することにより、注出管58に空気を取り入れるようにしているが、このような構造とした場合、内容器3内に残った液体を捨てる際に口先管57と注出管58との接続部分から液が漏れ出ることがあり、漏れでた液が容器本体1内に入り、サビを発生させることがある。
【0045】
そこで、本実施の形態においては、図5に示すように、口先管57の先端部外周にシール用のパッキン74を取り付けて、残液を捨てる時に両者の接続部分から液が漏れ出ることのないようにしている。前記パッキン74により完全にシールされると、サイフォン現象が生ずるため、注出管58の上端部内周におけるパッキン74の接触する部分には、完全シールを防止するために空気取り入れ用の溝75が形成されている。なお、溝に代えて凸条としてもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態の場合、液体容器を持ち運ぶためのU字状の把手76が容器本体1の両側面(即ち、パイプカバー9側から見て直交する方向の両側面)に対して回動自在に枢支されているが、該把手76は非使用時においては、容器本体1の後部(即ち、蓋体2を枢支するヒンジピン11側)に形成された段部77に係止されることとなっている。この状態において、蓋体2を開作動させると、蓋体2の後端部が把手76と干渉するため、蓋体2の開度が大きくとれないという不具合がある。そこで、本実施の形態においては、前記把手76の頂部76aには、当該部分を所定寸法だけ除肉することにより、前記蓋体2の開放時に該蓋体2の後端部との干渉を回避するための切欠凹部78が形成されている。このようにすると、蓋体2の開度を大きくすることができる。
【0047】
上記のように構成されたポンプ注液式液体容器は次のように作用する。
【0048】
非注液時には、ロック部材49は上動位置にあり、係合軸48はロック部材49の開口部50における係合溝50aに係合されて中間操作レバー40は揺動不能とされている。この時、ロック部材49のロック手段53は上動位置にあり、弾性キャップ62が押し上げられて作動杆65が上動し、それに伴って転倒止水弁59が上動し、弁室出口60bを強制的に閉塞する。つまり、液体注出通路Lが非連通状態とされるのである。従って、液体容器が転倒した場合に、液体注出通路Lを介して液体が流出するという現象を防止することができる。しかも、転倒時においては液体が蓋体2内に形成された液貯溜部16に一時的に貯溜されるため、転倒止水弁59が作動不良を起こしたとしても、液体が液体注出通路Lを介して外部へ流出するまでに時間がかかることとなる。したがって、その間に液体容器を起こせば、転倒時の液体流出を防止することができる。
【0049】
一方、注液時においては、ロック部材49は下動させると、係合軸48はロック部材49の開口部50における矩形開口50bに係合されて中間操作レバー40は揺動可能とされる。この時、ロック部材49のロック手段53は下動位置にあり、弾性キャップ62への押し上げ力が解除され、弾性キャップ62がリターンスプリング68の付勢力により押し下げられて作動杆65が下動し、それに伴って転倒止水弁59が下動し、弁室出口60bが開放される。つまり、液体注出通路Lが連通状態とされるのである。
【0050】
上記状態から、操作レバー41を下向きに揺動させて中間操作レバー40を下向きに揺動させると、中間操作レバー41により駆動レバー39の係合片43が下向き揺動され、図1に鎖線で示すように、その自由端39aが上向きに揺動し、エアーポンプ21が圧縮作動され、エアーポンプ21から吐出された加圧空気が空気圧送通路Pを介して内容器3内に圧送される。すると、該加圧空気により内容器3内に収容された液体が液体注出通路Lを通って注出口58aから注出される。
【0051】
つまり、エアーポンプ21から吐出される加圧空気は、吐出口32から直接蓋体2内の液貯溜部16および連通路15を含む空気圧送通路Pに圧送され、該空気圧送通路Pを介して内容器3内へ直接圧送されることとなり、空気圧送通路Pにおける出口側での空気漏れが確実に防止できるのである。しかも、液体を入れ過ぎたとしても空気圧送通路Lの出口が塞がれるということがなくなるため、内容器3の内圧上昇による液漏れを確実に防止できる。
【0052】
ところで、図6に示すように、液量管69と液溜め部63とを接続する接続パイプ66を弾性キャップ62における外周寄り位置に接続するとともに、前記弁室60の底面60cから前記弾性キャップ62の外周部に向かって環状のリブ79を一体に延設すれば、弾性キャップ62の上下動時に接続パイプ66の接続部位がリブ79により大きく変位しないように動きが規制されることとなり、接続パイプ66の接続部位が外れたりすることがなくなる。
【0053】
第2の実施の形態
図7および図8には、本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器が示されている。
【0054】
このポンプ注液式液体容器は、図7に示すように、容器本体81と、該容器本体81の上部を開閉自在に覆蓋する蓋体82とにより構成されており、該蓋体82内に配設されたポンプ装置であるエアーポンプ83により圧送される加圧空気により液体注出を行う保温専用のエアーポットとされている。
【0055】
前記容器本体81は、内周面を構成する真空二重瓶からなる内容器84と、該内容器84の外周側を覆い且つ円筒形状を有する板金製の外ケース85と、該外ケース85の上端と前記内容器84の口部84aとの間を覆う合成樹脂製の肩部材86と、前記外ケース85の下端を覆う合成樹脂製の底部材(図示省略)とからなっている。なお、前記肩部材86の一側には、後述する液体注出通路Lの出口である注出管109の外側をカバーするためのパイプカバー87が一体に形成されている。
【0056】
前記肩部材86の上面中央部には、給液用開口88が形成されている。該給液用開口88の口縁には、前記内容器84の口部84aに連通する連通筒89が取り付けられている。符号90は前記連通筒89と内容器口部84aとの間の気密を保持するためのシールパッキンである。
【0057】
前記蓋体82は、前記容器本体81の上端一側(換言すれば、パイプカバー87の反対側)に対してヒンジピン91を介して開閉自在に枢支されており、その下板82aには、前記連通筒89内に挿入され、前記給液用開口88を気密状態で閉塞する栓部92が一体に形成されている。符号93は蓋体82の閉塞時に蓋体栓部92と給液用開口88との間の気密を保持するためのシールパッキン、94は前記栓部92内に配設された断熱材である。
【0058】
そして、前記蓋体82内には、前述したように、内容器84内へ加圧空気を圧送するためのエアーポンプ83が配設されるが、該エアーポンプ83は、前記蓋体82の上板82bから垂設された円筒状の垂下壁95内に臨むようにして前記蓋体下板82aから立設されたベローズ96と、該ベローズ96の上端に固定されたベローズ天板97とからなっている。該ベローズ天板96には、ベローズ96の膨張時に空気を吸入する吸気弁98が開閉自在に設けられている。また、前記垂下壁95内には、前記エアーポンプ83を圧縮させるための押圧部材99が上下動自在に嵌挿されている。符号100は前記ベローズ天板97に係止されたガイド部材、101はベローズ96および吸気弁98を復帰させるためのリターンスプリング、102はエアーポンプ83からの加圧空気を内容器84内へ吐出するための吐出口である。
【0059】
さらに、前記蓋体82には、前記エアーポンプ83の作動(即ち、ベローズ96の圧縮作動)を規制するロック部材103が付設されている。該ロック部材103は、前記垂下壁95の外周側に回動自在に配設された円筒体103aと、該円筒体103aの内周面に形成され、円筒体103aの回動位置により前記ガイド部材100の係止部100aと係合してエアーポンプ83を作動規制する規制部103bと、前記円筒体103aの上端一側から上向きに延設され、前記蓋体上板82bに形成されたガイド溝104から上方に突出された操作部103cとからなっている。
【0060】
前記円筒体103aの外周には、後述する転倒止水弁ロック用のロック手段Kと前記ロック部材103とを連動させるための連動機構Rの一部を構成するカム片105が一体に突設されている。
【0061】
前記内容器84内の液体は、液体注出通路Lを介して外部へ注出されるが、該液体注出通路Lは、前記連通筒89に対して横向きに貫通支持された逆L字状の接続管106と、該接続管106の下端から内容器84の底部近くまで垂設された汲み上げ管107と、前記接続管106の外端から横向きに延設された水平管108と、該水平管108の外端に接続されて下向きに延び且つ前記パイプカバー87の下端に形成された開口110に臨む注出管109とからなっている。
【0062】
そして、前記水平管108の先端部には、液体容器の転倒時に自重により移動して液体注出通路Lの途中を閉塞する逆円錐台形状の転倒止水弁111を配設した弁室112が形成されている。該弁室112には、前記水平管108側に連通する入口112aと、前記注出管109側に連通する出口112bとを有しており、内部には、液体容器の転倒時に前記転倒止水弁111を前記出口112bを閉塞する方向に案内するガイドリブ113が形成されている。
【0063】
前記弁室112の下部には、該弁室112の底面112cにより区画され且つゴム等からなる弾性キャップ114により覆蓋された液溜め部115が形成されており、該液溜め部115と前記弁室112とは底面112cの中央部に形成された連通孔116を介して連通されている。該連通孔116には、前記転倒止水弁111を上下動させるための作動杆117が上下動自在に挿通されている。該作動杆117の下端は、前記弾性キャップ114に支持されており、該弾性キャップ114の上下動に伴って作動杆117が上下動せしめられることとなっている。つまり、本実施の形態においては、弾性キャップ114および作動杆117が、転倒止水弁111を開状態から閉状態に移行させて閉状態を保持するためのロック手段Kを構成することとなっているのである。符号118は水平管108から弁室112に入る水流の圧力が転倒止水弁111に直接及ぼすことのないように弁室入口112aの直内方に立設した邪魔板、119は弾性キャップ114を復帰させるためのリターンスプリングである。
【0064】
しかして、前記ロック部材103とロック手段Kとを連動させるための連動機構Rは、図8に示すように、前記ロック部材103を構成する円筒体103aの外周面に突設されたカム片105と、該カム片105の下面のカム面105aに対して当接される蓋体2側に位置する第1昇降杆120と、該第1昇降杆120の下端に連結される容器本体1側に位置する第2昇降杆121と、該第2昇降杆121の下端に対して一端が回動自在に連結され且つ容器本体1に対して揺動ピン124により揺動自在に枢支されている揺動杆122と、該揺動杆122の他端に対して回動自在に連結され且つ前記弾性キャップ114に対して上端が当接される第3昇降杆123とにより構成されている。符号125は第1昇降杆120を第2昇降杆121に押し付けるためのスプリングである。
【0065】
上記構成において、ロック部材103によるエアーポンプ83のロック状態(換言すれば、作動不能状態)は、操作部103cをガイド溝104に沿って回動させた場合に、規制部103bに対してエアーポンプ83のガイド部材100の係止部100aが係合することにより得られる。この時、円筒体103aは矢印N1(図8参照)方向に回動せしめられ、カム片105下面のカム面105aにより第1昇降杆120がスプリング125の付勢力に抗して押し下げられ、それに伴って第2昇降杆121も押し下げられる。すると、揺動杆122が揺動ピン124を揺動中心として第3昇降杆123を押し上げる方向に揺動せしめられる。かくして、該第3昇降杆123が押し上げられると、ロック手段Kを構成する弾性キャップ114および作動杆117が押し上げられ、転倒止水弁111が弁室112の出口112bを閉塞することとなる。従って、エアーポンプ83がロック状態にあるときには、転倒止水弁111も強制的に閉弁状態とされることとなる。つまり、液体注出通路Lが非連通状態とされ、液体容器の転倒・非転倒にかかわらず(例えば、液体容器を激しく振った場合にも)、液体注出通路Lを介して流出するという現象を防止することができるのである。
【0066】
一方、エアーポンプ83のロックを解除する際には、ロック部材103の円筒体103aを前記と逆に矢印N2方向(図8参照)に回動させれば、スプリング125の付勢力によりカム片105のカム面105aに当接された状態で第1昇降杆120および第2昇降杆121が上昇せしめられ、揺動杆122が前記と逆の方向(即ち、第3昇降杆123を押し下げられる方向)に揺動せしめられる。その結果、弾性キャップ114および作動杆117が押し下げられて、転倒止水弁111がフリー状態(即ち、転倒時に閉弁する状態)となる。つまり、液体注出通路Lが連通状態とされるのである。
【0067】
上記状態から、押圧部材99を押圧させてエアーポンプ83を圧縮作動させると、エアーポンプ83から吐出された加圧空気が吐出口102から内容器84内に圧送される。すると、該加圧空気により内容器84内に収容された液体が液体注出通路Lを通って注出される。
【発明の効果】
【0068】
本願発明によれば、開閉自在な蓋体を備えた容器本体と、該容器本体内に配設された内容器と、該内容器内の液体を外部へ注出するための液体注出通路と、前記内容器内の液体を前記液体注出通路を介して外部へ注出するエアーポンプと、該エアーポンプを作動不能状態に保持するロック部材とを備え、該液体注出通路の途中に、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路を閉状態とするとともに注液時においては開状態とされる転倒止水弁を配設してなるポンプ注液式液体容器において、前記転倒止水弁を外部操作により開状態から閉状態に移行させた後閉状態を保持するロック手段と、前記ロック部材による前記エアーポンプのロック時において前記ロック手段により前記転倒止水弁を強制的に閉状態に保持する連動機構とを付設して、ロック部材によるエアーポンプのロック時においてロック手段により転倒止水弁を強制的に閉状態に保持し得るようにしたので、液体容器の転倒時あるいは非転倒時にかかわらず、液体注出通路が閉塞されることとなり(即ち、ユーザの認識と液体容器の実状態とが一致することとなり)、不用意な液体流出を確実に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の要部拡大断面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器におけるエアーポンプおよび駆動レバーを示す平面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における中間操作レバーおよびロック部材の関係を示す分解斜視図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における口先管と注出管との関係を示す拡大断面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における転倒止水弁部の他の構造例を示す拡大縦断面図である。
【図7】本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器の上部縦断面図である。
【図8】本願発明の第2の実施の形態にかかるポンプ注液式液体容器における連動機構を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1,81は容器本体、2,82は蓋体、3,84は内容器、3aは口部、3bは胴部、5,86は肩部材、21,83はエアーポンプ、49はロック部材、59,111は転倒止水弁、Lは液体注出通路、Mはポンプ駆動機構、Kはロック手段、Rは連動機構。
Claims (1)
- 開閉自在な蓋体を備えた容器本体と、該容器本体内に配設された内容器と、該内容器内の液体を外部へ注出するための液体注出通路と、前記内容器内の液体を前記液体注出通路を介して外部へ注出するエアーポンプと、該エアーポンプを作動不能状態に保持するロック部材とを備え、該液体注出通路の途中には、液体容器の転倒時に自重により移動して前記液体注出通路を閉状態とするとともに注液時においては開状態とされる転倒止水弁を配設してなるポンプ注液式液体容器であって、前記転倒止水弁を外部操作により開状態から閉状態に移行させた後閉状態を保持するロック手段と、前記ロック部材による前記エアーポンプのロック時において前記ロック手段により前記転倒止水弁を強制的に閉状態に保持する連動機構とを付設したことを特徴とするポンプ注液式液体容器。
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