JP3550930B2 - 流量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力舵取ギヤ等に使用して好適な流量制御装置、特にポンプの高回転時に動力舵取ギヤに供給する流量を低減できる回転数感応形の流量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポンプの高回転時においては、動力舵取ギヤに供給する流量を低減してエンジン動力の損失を軽減するとともに、ポンプの高回転時(高速走行時)の操舵を重くして高速安定性を図った回転数感応形の流量制御装置は、例えば特公昭63−37749号公報に記載されているように公知である。
【0003】
従来のこの種の流量制御装置においては、流量制御用オリフィスの前後差圧に応じて摺動し、バイパス通路を開閉して動力舵取ギヤへの流量を所定流量に制御する流量制御用スプールと、回転数感応用オリフィスの前後差圧に応じて摺動し、前記流量制御用オリフィスの開口面積を制御するオリフィス制御用スプールとを別個に備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の回転数感応の流量制御装置においては、流量制御用スプールとオリフィス制御用スプールとを別々に設けなければならないことから、通常の流量制御装置に比べて部品点数が増加し、コスト高となる問題があった。
本発明は、1つのスプールによって流量制御機能と回転数感応機能を実現できるようにした流量制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、ポンプより吐出された作動油を所定流量に制御して動力舵取ギヤに供給する流量制御装置にして、この流量制御装置は、前記ポンプの吐出ポートに接続された第1圧力室および前記動力舵取ギヤに接続された第2圧力室と、これら第1圧力室および第2圧力室の差圧に応じて摺動し低圧側に接続されたバイパス通路を開閉制御する流量制御用スプールと、この流量制御用スプールを前記バイパス通路を閉止する方向に付勢するスプリングとを有し、この流量制御用スプールには前記第1圧力室と第2圧力室とを連通する通路中に回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスとを直列に配置するとともに、これら回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間を前記バイパス通路に連通する連通路に接続したものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記回転数感応用オリフィスは、前記ポンプの回転数が上昇してポンプより吐出された作動油の流量が多くなった場合に前記第1圧力室と第2圧力室との差圧を大きくするように、前記流量制御用オリフィスの絞り開度より大きく形成したものである。
また、請求項3に記載の発明は、ポンプより吐出された作動油を所定流量に制御して動力舵取ギヤに供給する流量制御装置にして、この流量制御装置は、前記ポンプの吐出ポートに接続された第1圧力室および前記動力舵取ギヤに接続された第2圧力室と、これら第1圧力室および第2圧力室の差圧に応じて摺動し低圧側に接続されたバイパス通路を開閉制御する流量制御用スプールと、この流量制御用スプールを前記バイパス通路を閉止する方向に付勢するスプリングとを有し、この流量制御用スプールには前記第1圧力室と第2圧力室とを連通する通路中に回転数感応用オリフィスと絞り開度が可変の流量制御用オリフィスとを直列に配置するとともに、これら回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間を前記バイパス通路に連通する連通路に接続するとともに、前記流量制御用オリフィスの絞り開度をポンプの負荷圧が低いときは縮小し負荷圧が高くなると拡大する負荷圧感応用スプールを前記流量制御用スプール内に組み込んだものである。
【0007】
上記した請求項1の構成によれば、自動車エンジンによりポンプが駆動されると、作動油がポンプの吐出ポートより吐出された作動油が第1圧力室に供給され、回転数感応用オリフィスおよび流量制御用オリフィスを通過して動力舵取ギヤに送出される。
ポンプの回転が低速で吐出流量が少ない間は、回転数感応用オリフィスが絞りとして殆ど機能しないため、流量制御用スプールには専ら流量制御用オリフィス前後の差圧が作用する。この差圧によって流量制御用スプールは差圧を一定に維持するようにバイパス通路の開度を制御し、余剰の作動油を回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間よりバイパス通路を介してポンプの低圧側にバイパスする。これによって、動力舵取ギヤに供給される流量が所定量に制御される。
【0008】
ポンプの回転速度が上昇してポンプ吐出流量が多くなると、回転数感応用オリフィスの絞り作用により、回転数感応用オリフィス前後の差圧も上昇し、この差圧の上昇分だけ流量制御用スプールの両端に作用する差圧が増大し、流量制御用スプールはバイパス通路の開度をより大きくする方向に変位される。従ってバイパス通路を介してポンプの低圧側にバイパスされる流量が増加し、動力舵取ギヤに供給される流量が降下される。
【0009】
また請求項3の構成によれば、請求項1の構成による作用に加え、負荷圧が低いハンドルの中立時(直進走行時)においては、負荷圧感応用スプールによって流量制御用オリフィスの絞り開度が縮小され、動力舵取ギヤに供給される制御流量が低減されて省エネルギ効果が発揮される。ハンドルの操作に伴って負荷圧が上昇すると、負荷圧感応用スプールの摺動により流量制御用オリフィスの絞り開度が拡大され、動力舵取ギヤに供給される制御流量がハンドルの操作をアシストするに十分な流量まで増加される。
【0010】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、10は自動車エンジンによって駆動されるポンプ、11はステアリング操作により作動する制御弁およびパワーシリンダを内蔵した動力舵取ギヤ、12はポンプ10より吐出された作動油を流量制御して動力舵取ギヤ11に供給する流量制御装置を示す。
【0011】
前記ポンプ10のハウジング13には弁収納穴14が形成され、この弁収納孔14にポンプ10の吐出ポートに連通する供給通路15とポンプ10の吸入ポートに連通するバイパス通路16が弁収納孔14の軸線方向に離間して開口されている。弁収納孔14の両端は蓋部材17、18によって閉塞され、一方の蓋部材17に前記動力舵取ギヤ11の供給ポートに連通する送出通路19が形成されている。
【0012】
前記弁収納穴14には流量制御用スプール20が摺動可能に嵌装され、この流量制御用スプール20の一端側に前記供給通路15に連通する第1圧力室21が、他端側に前記送出通路19に連通する第2圧力室22が形成されている。流量制御用スプール20の外周にはこのスプール20の摺動によって前記バイパス通路16に開口する環状溝23が形成され、流量制御用スプール20は第2圧力室22に設けた流量制御用ばね24のばね力により通常環状溝23とバイパス通路16との連通を遮断する方向に付勢されている。
【0013】
前記流量制御用スプール20には、前記第1圧力室21と第2圧力室22とを連通する通路31が形成されている。かかる通路31中には第1圧力室21側に回転数感応用オリフィス32が、また第2圧力室22側に流量制御用オリフィス33がそれぞれ配置され、これら直列配置された回転数感応用オリフィス32および流量制御用オリフィス33を介して前記第1圧力室21と第2圧力室22が互いに接続される。
【0014】
ここで、回転数感応用オリフィス32の絞り面積は流量制御用オリフィス33の絞り面積に対して大きめに設定され、ポンプ10の低速ないしは中速回転時、すなわちポンプ吐出流量が比較的少ない間は回転数感応用オリフィス32が絞りとして殆ど機能せず、回転数感応用オリフィス32の前後には差圧が殆ど発生しないようになっている。
【0015】
前記流量制御用スプール20には、前記回転数感応用オリフィス32と流量制御用オリフィス33との間において前記通路31を前記環状溝23に連通する連通路34が形成されている。
次に上記した構成に基づいて作動を説明する。
自動車エンジンによりポンプ10が駆動されると、作動油がポンプ10の吐出ポートより吐出され、供給通路15を介して第1圧力室21に供給される。第1圧力室21に供給された作動油は回転数感応用オリフィス32および流量制御用オリフィス33を通過して送出通路19から動力舵取ギヤ11に送出される。これにより流量制御用スプール20の一端には両オリフィス32,33を通過する前の作動油の圧力が作用され、他端には両オリフィス32,33を通過した後の作動油の圧力が作用される。
【0016】
この際、回転数感応用オリフィス32の絞り面積は流量制御用オリフィス33の絞り面積に対して大きいため、ポンプ10の低速ないしは中速回転時、すなわちポンプ吐出流量が比較的少ない間は回転数感応用オリフィス32が絞りとして殆ど機能せず、流量制御用スプール20には専ら流量制御用オリフィス33前後の差圧が作用し、この差圧によって図2に示すように、流量制御用スプール20が摺動して差圧を一定に維持するようにバイパス通路16の開度を制御する。これにより余剰の作動油が回転数感応用オリフィス32と流量制御用オリフィス33の間より連通路34、環状溝23およびバイパス通路16を介してポンプ10の低圧側にバイパスされ、動力舵取ギヤ11に供給される流量が図3に示すように所定流量Q1に制御される。
【0017】
この状態で、ポンプ10の回転速度が上昇し、ポンプ吐出流量が増加すると、回転数感応用オリフィス32を通過する流量も増加するので、回転数感応用オリフィス32の絞り作用により、回転数感応用オリフィス32前後の差圧が上昇し、この差圧の上昇分だけ流量制御用スプール20の両端に作用する差圧が大きくなる。かかる差圧の増大に伴い、流量制御用スプール20はバイパス通路16の開度をより大きくする方向に変位され、連通路34より環状溝23およびバイパス通路16を介してポンプ10の低圧側にバイパスされる流量を増加させる。従って、動力舵取ギヤ11に供給される流量が図3に示すようにポンプ回転速度の上昇につれて漸次降下される。
【0018】
このように本実施の形態によれば、ポンプ10の低速ないしは中速回転時、すなわち車両の低速走行時においては、動力舵取ギヤ11に供給される流量が所定量に制御されるので、ハンドル操作によりアシストパワーが敏速に働き、軽快な操舵が行い得る。一方、ポンプ10の高速回転時、すなわち車両の高速走行時においては、動力舵取ギヤ11に供給される流量が降下されるので、ポンプ10を高速回転するに要するエンジン動力の損失が軽減されるとともに、流量降下によって高速走行時における操舵力が重くなり、高速走行時の操向安定性が高められる。
【0019】
しかも上記した実施の形態によれば、ポンプ10のハウジング13には供給通路15およびバイパス通路16以外に連通路等を形成する必要がないので、ポンプ10の構成を簡素化できるようになる。
図4は本発明の別の実施の形態を示すもので、上記した流量制御機能および回転数感応機能に加えて、負荷圧感応機能をもたせ、省エネ効果も得られるようにしたものである。以下に先の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0020】
同図において、流量制御用スプール120に形成した通路131には、先の実施の形態と同様の回転数感応用オリフィス132と、絞り開度が可変の流量制御用オリフィス133が設けられている。かかる流量制御用オリフィス133は、前記通路131内に摺動可能に嵌挿された負荷圧感応用スプール150に突設した異径の外周部をもつ制御ロッド151の外周と、流通路131内に嵌着した絞りリング152の内周との間に形成され、負荷圧感応用スプール150の摺動作用によって流量制御用オリフィス133の絞り開度を変化させるようになっている。
【0021】
前記負荷圧感応用スプール150は両端の受圧面積が異なり、流量制御用スプール120との間に介挿したばね153により大受圧面積側に付勢されて通常は前記絞りリング152に当接する摺動端に保持されている。この状態においては、前記制御ロッド151の大径部が絞りリング152の内周に対応し、流量制御用オリフィス133の絞り開度を小さくしている。
【0022】
上記した構成の別の実施の形態によれば、流量制御機能および回転数感応機能においては先の実施の形態と同様であるが、負荷圧が低いハンドルの中立時(直進走行時)においては、負荷圧感応用スプール150がばね153の付勢力によって摺動端に保持され、前述したように流量制御用オリフィス133の絞り開度が縮小されている。この状態においては、流量制御用オリフィス133を介して動力舵取ギヤ11に供給される制御流量が図5の破線で示すようにQ2に低減され、省エネルギ効果が発揮される。
【0023】
しかる状態において、ハンドルの操作に伴って負荷圧が上昇すると、この負荷圧が作用する負荷圧感応用スプール150の両端の受圧面積が異なるため、負荷圧感応用スプール150に作用する推力が増大し、この推力がばね153の付勢力に打ち勝つと、負荷圧感応用スプール150が摺動して制御ロッド151の小径部が絞りリング152の内周に対応し、流量制御用オリフィス133の絞り開度が拡大される。これにより動力舵取ギヤ11に供給される制御流量が図5の実線で示すようにQ1に増加され、ハンドル操作を敏速にアシストする。
【0024】
この実施の形態によれば、流量制御機能、回転数感応機能および負荷圧感応機能を1つの流量制御用スプール20と、そのスプール20内に嵌挿した負荷圧感応用スプール150との簡単な構成によって実現でき、省エネルギ化に寄与できるようになる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、流量制御用スプールに設けた通路中に、回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスとを直列に配置し、これら回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間をバイパス通路に接続した構成であるので、ポンプの回転速度が上昇してポンプの吐出流量が多くなると、回転数感応用オリフィス前後の差圧が上昇して、流量制御用スプールがバイパス通路をより開く方向に変位されるので、ポンプの高速回転時におけるエンジン動力の損失を軽減できるとともに、高速走行時における走行安定性を向上できる効果がある。
【0026】
しかも本発明は、流量制御機能と回転数感応機能を、1つのスプールによって達成できるので、部品点数の減少によるコスト低減を達成できる効果もある。
また、本発明は、流量制御用スプール内に負荷圧に応じて前記流量制御用オリフィスの開度を可変制御する負荷圧感応用スプールを設けることにより、上記した流量制御機能と回転数感応機能に加えて、負荷圧感応機能を持たせることもでき、これによって省エネルギ化にも寄与できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す流量制御装置の全体構成図である。
【図2】流量制御装置の作動状態を示す図である。
【図3】ポンプ回転数に対する流量特性を示すグラフである。
【図4】本発明の別の実施の形態を示す流量制御装置の全体構成図である。
【図5】図4における流量特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ポンプ
11 動力舵取ギヤ
12 流量制御装置
15 供給通路
16 バイパス通路
20 流量制御用スプール
21 第1圧力室
22 第2圧力室
23 環状溝
24 流量調整用ばね
31 通路
32 回転数感応用オリフィス
33 流量制御用オリフィス
Claims (3)
- ポンプより吐出された作動油を所定流量に制御して動力舵取ギヤに供給する流量制御装置にして、この流量制御装置は、前記ポンプの吐出ポートに接続された第1圧力室および前記動力舵取ギヤに接続された第2圧力室と、これら第1圧力室および第2圧力室の差圧に応じて摺動し低圧側に接続されたバイパス通路を開閉制御する流量制御用スプールと、この流量制御用スプールを前記バイパス通路を閉止する方向に付勢するスプリングとを有し、この流量制御用スプールには前記第1圧力室と第2圧力室とを連通する通路中に回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスとを直列に配置するとともに、これら回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間を前記バイパス通路に連通する連通路に接続したことを特徴とする流量制御装置。
- 前記回転数感応用オリフィスは、前記ポンプの回転数が上昇してポンプより吐出された作動油の流量が多くなった場合に前記第1圧力室と第2圧力室との差圧を大きくするように、前記流量制御用オリフィスの絞り開度より大きく形成されてなる請求項1に記載の流量制御装置。
- ポンプより吐出された作動油を所定流量に制御して動力舵取ギヤに供給する流量制御装置にして、この流量制御装置は、前記ポンプの吐出ポートに接続された第1圧力室および前記動力舵取ギヤに接続された第2圧力室と、これら第1圧力室および第2圧力室の差圧に応じて摺動し低圧側に接続されたバイパス通路を開閉制御する流量制御用スプールと、この流量制御用スプールを前記バイパス通路を閉止する方向に付勢するスプリングとを有し、この流量制御用スプールには前記第1圧力室と第2圧力室とを連通する通路中に回転数感応用オリフィスと絞り開度が可変の流量制御用オリフィスとを直列に配置するとともに、これら回転数感応用オリフィスと流量制御用オリフィスの間を前記バイパス通路に連通する連通路に接続するとともに、前記流量制御用オリフィスの絞り開度をポンプの負荷圧が低いときは縮小し負荷圧が高くなると拡大する負荷圧感応用スプールを前記流量制御用スプール内に組み込んだことを特徴とする流量制御装置。
Priority Applications (1)
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JP01640697A JP3550930B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 流量制御装置 |
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JP01640697A JP3550930B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 流量制御装置 |
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JPH10211884A JPH10211884A (ja) | 1998-08-11 |
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JP5276088B2 (ja) * | 2010-12-24 | 2013-08-28 | 日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 | パワーステアリング装置 |
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1997
- 1997-01-30 JP JP01640697A patent/JP3550930B2/ja not_active Expired - Fee Related
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