JP3596431B2 - 動力舵取装置における流量制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車等に使用される動力舵取装置における流量制御装置に関するもので、特に、低負荷時にポンプから制御弁に供給される流量を低減して省エネルギ化を図った動力舵取装置における流量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハンドルを操作していない低負荷時にポンプから制御弁に供給される流量を低減して省エネルギ化を図った動力舵取装置における流量制御装置は、例えば特開平6−8840号公報に記載されているように公知である。かかる流量制御装置においては、流量調整弁のばね室と低圧側との間に、負荷圧に応じて絞り開度が変化される負荷圧感応弁を設け、低負荷時においては、負荷圧感応弁を介して流量調整弁のばね室を低圧側に開放して制御弁に供給される流量を低減させ、省エネルギ化を達成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の流量制御装置においては、ポンプのハウジングに、制御弁に供給する流量を制御する流量調整弁を収納するための収納穴と、低負荷時にその流量を低減する負荷圧感応弁を収納するための収納穴とを設けなければならず、省エネルギ化のためのポンプハウジングを別個に設計、製造しなければならず、従来一般のポンプハウジングとの互換性がない問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたもので、ポンプとパワーシリンダの両油室とリザーバとにそれぞれ接続する流路に可変絞りをそれぞれ設けた制御弁と、前記ポンプの吐出通路中に設けられたメータリングオリフィスの前後差圧に応じてバイパス通路を開閉し前記制御弁に供給する流量を所定流量に制御する流量調整用のバイパスバルブとを備えた動力舵取装置において、前記バイパスバルブに、両端に受圧面積差をもつ負荷圧感応弁を摺動可能に貫通させ、この負荷圧感応弁の後端に、負荷圧感応弁およびバイパスバルブをバイパス通路が閉止される方向に付勢する流量調整用ばねを作用させるとともに、低負荷時には、負荷圧感応弁の先端がバイパスバルブから突出する突出量が最大となる位置に負荷圧感応弁が保持され、ステアリング操作により負荷圧が上昇すると、前記突出量が減少する方向に負荷圧感応弁が変位されるようにしたものである。
【0005】
【作用】
上記の構成により、操舵の中立状態においては、負荷圧が低いので、負荷圧感応弁の両端に作用する油圧推力差は小さく、従って負荷圧感応弁は流量調整用ばねのばね力によって摺動端に保持されて負荷圧感応弁の先端がバイパスバルブから最大量突出しており、この状態においては流量調整用ばねのばね力は小さいので、メータリングオリフィス前後の差圧は小さく、小さな差圧でバイパス通路が開口制御される。従って、制御弁に供給される作動油の供給流量が減少され、エネルギー損失を低減できる。
【0006】
その状態でステアリング操作により負荷圧が上昇すると、負荷圧感応弁の左右受圧面積差により、負荷圧感応弁の両端に作用する油圧推力差が増大し、しかしてその油圧推力差が流量調整用ばねのばね力に打ち勝つと、負荷圧感応弁は、その先端のバイパスバルブからの突出量が減少する方向に流量調整用ばねを圧縮しながら変位する。これにより流量調整用ばねのばね力が増大される。その結果、メータリングオリフィス前後の差圧が高くなるので、バイパス通路は大きな差圧でしか開口せず、制御弁に供給される作動油の供給流量が最大供給流量まで増大され、アシスト作用に寄与する。
【0007】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は油圧式の動力舵取装置の全体構成を示し、この動力舵取装置は、主として、自動車エンジンによって駆動されるポンプ10と、リザーバ11と、ステアリング操作をパワーアシストするパワーシリンダ12と、ステアリングホイール13の回転により作動して前記ポンプ10からパワーシリンダ12に供給される作動油を絞り制御するロータリ式の制御弁14とによって構成されている。
【0008】
前記ポンプ10のポンプハウジング15には、図2に示すように弁収納穴16が形成され、この弁収納孔16の一端にはユニオン17が液密的に螺着され、他端はキャップ18によって閉塞されている。弁収納孔16にはポンプ10の吐出ポートに連通する供給通路19とポンプ10の吸入ポートに連通するバイパス通路20が弁収納孔16の軸線方向に離間して開口されている。
【0009】
前記ユニオン17には前記制御弁14の入口ポートに通ずる送出口21が開口されているとともに、メータリングオリフィス22が形成され、このメータリングオリフィス22を介して送出口21が前記供給通路19に連通されている。また、前記弁収納穴16には流量調整用のバイパスバルブ23が摺動可能に嵌挿され、このバイパスバルブ23の一端に前記供給通路19に連通する供給室24が形成され、他端にばね室25が形成されている。バイパスバルブ23には負荷圧感応弁30が一定量ΔLだけ相対摺動可能に貫通され、この負荷圧感応弁30はバイパスバルブ23との間に介挿した位置保持用ばね31のばね力により通常供給室24側に先端が最大量突出した位置に保持されている。また前記ばね室25側に突出する負荷圧感応弁30の突出端(後端)と前記キャップ18との間には流量調整用ばね32が介挿され、この流量調整用ばね32のばね力により前記負荷圧感応弁30およびバイパスバルブ23を通常バイパス通路20を閉止する方向に付勢している。
【0010】
前記ばね室25はポンプハウジング15に形成した連通路33を介して前記メータリングオリフィス22の下流側に連通されている。これによりバイパスバルブ23の両端にはメータリングオリフィス22の前後差圧が導入され、バイパスバルブ23はこの前後差圧を一定に維持するようにバイパス通路20の開度を調整するようになっている。上記したメータリングオリフィス22、バイパスバルブ23および流量調整用ばね32により、流量調整弁35を構成している。
【0011】
前記負荷圧感応弁30の供給室24側に突出する受圧面積A1(直径D1)と、ばね室25側に突出する受圧面積A2(直径D1)とは差をもたせてあり、供給室24側受圧面積のほうがばね室25側受圧面積より大きく設定(A1>A2)されている。しかして供給室24側受圧面積にはメータリングオリフィス22を通過する前の圧力P1が作用し、またばね室25側受圧面積にはメータリングオリフィス22を通過した後の圧力P2が作用する。これにより負荷圧感応弁30をばね室25側(図2の右方向)に押圧する推力F1は、F1=P1×A1となり、供給室24側(図2の左方向)に押圧する推力F2は、F2=P2×A2+Fsとなる。ここでFsは流量調整用ばね32のばね力を示す。
【0012】
かかる負荷圧感応弁30は、負荷圧(ポンプ圧)が低いときは、前記推力F1、F2の関係がF1<F2となっているが、負荷圧が高くなると、前記受圧面積差によりその関係が逆転してF1>F2となり、負荷圧感応弁30が、その先端のバイパスバルブ23からの突出量が減少する方向に流量調整用ばね32に抗して前記一定量ΔLだけ変位される。前記負荷圧感応弁30に作用する前記流量調整用ばね32は、負荷圧感応弁30の変位に応じてばね力Fsが図3のAに示すように比例的に変化する。これにより無負荷時においては、ばね力Fsは図3のA1に示すようになり、負荷圧感応弁30が一定量だけ変位した負荷時においては、同図のA2に示すようになる。従って無負荷時においてはばね力Fs1は比較的低いが、負荷時においてはばね力Fs2が高くなる。なお、同図において、変位量L0は流量調整用ばね32の初期セット位置、L1はバイパスバルブ23によるバイパス通路開口開始位置を示す。
【0013】
これによって負荷圧感応弁30に作用する推力は、供給室24内の圧力が低い無負荷時においては、前記左右推力の関係はF1<F2となり、負荷圧感応弁30は前記流量調整用ばね32のばね力により供給室24側に先端が最大量突出した位置に保持されている。しかるに、供給室24内の圧力が高くなる負荷時においては、左右推力の関係はF1>F2となり、負荷圧感応弁30が、その先端のバイパスバルブ23からの突出量が減少する方向に流量調整用ばね32のばね力に抗して変位され、流量調整用ばね32が圧縮されてばね力が高められる。
【0014】
前記制御弁14は、図1に簡略図示するように、ポンプ10とパワーシリンダ12の両油室とリザーバ11とにそれぞれ接続する4つの流路L1、L2、L3、L4にセンタオープン形の可変絞りV1、V2、V3、V4を設けた構成からなっている。なお、図1中40は、前記負荷圧感応弁30内に組み込まれたレリーフ弁で、このレリーフ弁40は前記バイパスバルブ23のばね室25の圧力が設定圧以上になったときに作動して、圧力を負荷圧感応弁30およびバイパスバルブ23に形成されたレリーフ通路41を介してバイパス通路20に逃がすようになっている。
【0015】
次に上述した構成に基づいて作動を説明する。自動車エンジンによりポンプ10が駆動されると、作動油がポンプ10の吐出ポートから供給通路19に吐出される。供給通路19に吐出された作動油はメータリングオリフィス22を経て送出口21から制御弁14に供給される。また、作動油はメータリングオリフィス22を通過した後、ばね室25に導入される。従ってバイパスバルブ23および負荷圧感応弁30には、メータリングオリフィス22前後の差圧が作用する。
【0016】
操舵の中立状態においては、制御弁14に供給された作動油は可変絞りV1、V2より可変絞りV3、V4を介してリザーバ11に等分的に排出され、パワーシリンダ12の両油室は均等な低圧状態に保持される。この状態においては負荷圧が低いので、負荷圧感応弁30の両端に作用する油圧推力差は小さく、流量調整用ばね32のばね力の作用によりF1(P1×A1)<F2(P2×A2+Fs)の関係が成り立つ。従って、負荷圧感応弁30は供給室24側に先端が最大量突出した位置に保持され、この状態においては流量調整用ばね32のばね力は比較的小さなFs1となっている。
【0017】
従ってバイパスバルブ23はメータリングオリフィス22前後の差圧が比較的低い状態でバイパス通路20を開口制御し、その結果、メータリングオリフィス22を介して送出口21から制御弁14に供給される作動油の供給流量は、図4のAに示す流量Q1に減少される。これにより、ポンプ動力のエネルギー損失を低減できる。
【0018】
なお、この際、バイパスバルブ23によるバイパス通路20の開口面積の拡大により流量調整用ばね32が圧縮され、流量調整用ばね32のばね力が増大されるが、この際の増加分は上記した負荷圧の変化による負荷圧感応弁30の一定量の変位によるばね力の変化に比べれば僅かであり、流量調整機能には殆ど影響を及ぼさないものである。
【0019】
この状態より、ステアリングホイール13が回転操作されると、ステアリングホイール13の回転方向に応じて、可変絞りV1、V3と可変絞りV2、V4のいずれか一方が拡大され、他方が縮小されるため、負荷圧が上昇してパワーシリンダ12の両油室に差圧が発生する。この負荷圧がある圧力まで上昇すると、負荷圧感応弁30の受圧面積差により、負荷圧感応弁30の両端に作用する油圧推力差が増大し、しかしてその油圧推力差が流量調整用ばね32のばね力Fsに打ち勝つと、つまり、F1(P1×A1)>F1(P2×A2+Fs)になると、負荷圧感応弁30は、その先端のバイパスバルブ23からの突出量が減少する方向にばね34に抗してバイパスバルブ23に対し一定量ΔL相対変位され、流量調整用ばね32を圧縮する。これにより流量調整用ばね32のばね力FsはΔFs増大されてFs1からFs2に変化する。
【0020】
従ってバイパスバルブ23はメータリングオリフィス22前後の差圧が高くならないとバイパス通路20が開口制御されず、この差圧の増大により、メータリングオリフィス22を介して送出口21から制御弁14に供給される作動油の供給流量は、図4のBに示す流量Q2まで増加され、アシスト作用に寄与する。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、流量調整用のバイパスバルブに、両端に受圧面積差をもつ負荷圧感応弁を摺動可能に貫通させ、この負荷圧感応弁の後端に、負荷圧感応弁およびバイパスバルブをバイパス通路が閉止される方向に付勢する流量調整用ばねを作用させるとともに、低負荷時には、負荷圧感応弁の先端がバイパスバルブから突出する突出量が最大となる位置に負荷圧感応弁が保持され、ステアリング操作により負荷圧が上昇すると、前記突出量が減少する方向に負荷圧感応弁が変位されるようにした構成であるので、低負荷時に制御弁に供給する作動油の流量を低減する省エネルギ化をポンプハウジングを何ら変更することなく行い得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す動力舵取装置における流量制御装置の全体構成図である。
【図2】流量制御装置の詳細を示す図1のB部の詳細断面図である。
【図3】流量調整用ばねの変位に対するばね力の変化を示すグラフである。
【図4】回転数に対する制御流量特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ポンプ
11 リザーバ
12 パワーシリンダ
15 ポンプハウジング
19 供給通路
20 バイパス通路
22 メータリングオリフィス
23 バイパスバルブ
30 負荷圧感応弁
32 流量調整用ばね
V1〜V4 可変絞り
Claims (1)
- ポンプとパワーシリンダの両油室とリザーバとにそれぞれ接続する流路に可変絞りをそれぞれ設けた制御弁と、前記ポンプの吐出通路中に設けられたメータリングオリフィスの前後差圧に応じてバイパス通路を開閉し前記制御弁に供給する流量を所定流量に制御する流量調整用のバイパスバルブとを備えた動力舵取装置において、前記バイパスバルブに、両端に受圧面積差をもつ負荷圧感応弁を摺動可能に貫通させ、この負荷圧感応弁の後端に、負荷圧感応弁およびバイパスバルブをバイパス通路が閉止される方向に付勢する流量調整用ばねを作用させるとともに、低負荷時には、負荷圧感応弁の先端がバイパスバルブから突出する突出量が最大となる位置に負荷圧感応弁が保持され、ステアリング操作により負荷圧が上昇すると、前記突出量が減少する方向に負荷圧感応弁が変位されるようにしてなる動力舵取装置における流量制御装置。
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