JP3550760B2 - だし製品の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品の製造法、その一例を挙げれば、鰹節より抽出した麺汁用だしの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
公知の常法により製造された魚介類または魚介類加工品、例えば魚節あるいは煮干しから熱水抽出により取得されるだしは、抽出後、空気中に放置すると、時間の経過とともに、抽出直後のだし本来の好ましい風味を速やかに消失してしまう。
【0003】
この様な、だしの品質劣化を回避するために、低酸素雰囲気下、不活性ガス置換包装、例えば窒素置換包装による保存が行われてきた(特開昭62−210961号公報参照)。あるいは脱気包装することにより低酸素雰囲気下に置くなどの処置が施されてきた。これらの保存方法を実施することにより、だしの風味の劣化をある程度抑制可能である。しかしながら、これらの方法の実施にあたっては、相当に大規模な設備投資を必要とするため、生産コストの制約上、実施困難であった。また、その効果についても充分に満足できるものではなかった。
【0004】
さらに、だしの風味を強調する目的から、だし、魚介類または魚介加工品の製造時に発生する香気成分を捕捉、回収した副生物を魚介類原料または中間原料に添加する方法(特開昭55−58493号公報参照)、同副生物を液化二酸化炭素により抽出した精製香気成分を添加する方法(特開昭59−232064号公報参照)などが知られている。しかしながら、これらの方法の実施にあたっても特殊な装置を必要とするなど、生産コストの制約上、実施困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、だし製品の製造工程において、その風味をバランスよく強化し、且つ、製造後においては風味の劣化を抑制することにある。また、だし製品を利用する各種の加工食品の風味を強化し、且つ、それら加工食品の変化を抑制することにより、好ましい各種の加工食品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するための方法に関し、鋭意、研究を重ねた結果、
(1)魚介類加工品、特に魚節、煮干しあるいはこれらを風味原料として含有する各種のだし製品を製造する際に、特定の成分を添加することにより、だしが有する本来の風味が強化され、且つ、製造後においては風味の劣化を抑制できること、
(2)その成分としては、魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品中の呈味、香味成分の呈味性および香味性ならびに呈味成分間および香味成分間のバランスを変化せしめる成分は回避すべきこと、すなわち、成分自体の呈味は無味あるいは可及的低味であるべきこと、
(3)その成分の有効な添加量には、特定の添加量比範囲の存在すること、
を見出した。
【0007】
さらに、これらの要件に適合する成分について、広範囲に及ぶ多種類の成分を検索、検討の結果、
(4)含硫化合物または同化合物を含有する物品が最も適当であること、
(5)加えて、含硫化合物または同化合物を含有する物品の添加効果は、何れの種類の魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品にあっても有効であるが、特に、魚節または素干品、就中、煮干しおよび焼干しを原料とするだし製品あるいはそれらを含有するだし製品に添加した場合には、それらに存在する異味を感知ぜず、本来のバランスのとれた好ましい呈味および香味を強調し、而も、保存安定性を向上せしめる効果を顕著に認め得ることを見出した。
本発明は、これらの発見に基づいて完成された。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の第1発明は、呈味、香味が改善され、而も、保存安定性の高い魚介類加工品を原料とするだし製品の製造法に関し、魚節および素干品、煮干し、焼干しよりなる群より選択された魚介類加工品を原料としてだしを熱水抽出する工程において、この熱水中に前記原料と共にグルタチオン、タウリン、システイン、シスチン、メチオニン、グルタミルシステインおよびチアミンならびにそれらの塩からなる群から選択される含硫化合物を添加することを特徴とする液状又はペースト状のだし製品の製造法である。
【0011】
請求項2に記載の第2発明は、請求項1に記載のだし製品の製造法において、前記含硫化合物の添加量が、だし製品中の乾物重量に対する該含硫化合物中の硫黄の重量比で0.0001%以上5%以下の範囲であることを特徴とするだしの製造方法である。
【0014】
【作用】
含硫化合物としては、その化合物が食品に添加可能である限り、その化学構造あるいはその物性に制限されない。すなわち、その分子構造中にチオ−ル、スルフィド、ジスルフィド、スルフォキシド、スルホン、チアゾ−ル、チアゾリン、チアゾリジンあるいはスルフォニウムなどの部分構造を有する含硫化合物が例示される。また、これらの部分構造を有するアミノ酸、含硫アミノ酸を構成アミノ酸とするペプチドあるいは含硫ビタミン類が例示される。
さらに、含硫化合物は単一であっても、複数種の含硫化合物を混合して使用してもよい。加えて、烏賊肉加工時に副生するタウリンを高濃度に含有する濃縮物あるいは本来の含有量以上にグルタチオンを添加した酵母エキス粉末混合物などを使用してもよい。
【0015】
含硫化合物の内、グルタチオン、タウリン、システイン、シスチン、メチオニン、グルタミルシステインおよびチアミンならびにそれらの塩からなる群から選択される化合物は、本発明で使用する含硫化合物として特に有効であって、魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品の呈味、香味を改善し、それらの保存安定性を向上せしめる効果が大きい。
【0016】
本発明の方法において使用する原料は、多くの場合、生鮮の魚介類よりも魚介類加工品が使用される。魚介類加工品としては、魚節、素干品あるいは塩干品の何れも使用されるが、特に魚節または素干品が適当である。就中、煮干しあるいは焼干しが適当である(第1発明)。
【0017】
魚節としては、「鰹節」、「宗太節」、「鯖節」、「鯵節」、「鰯節」、「鮪節」、「雑魚節」、「削り節」、「粉末節」、「荒節」などが挙げられる。
【0018】
素干品としては、「うるめ鰯の煮干し」、「うるめ鰯の焼干し」、「かたくち鰯の煮干し」、「かたくち鰯の焼干し」、「まいわしの煮干し」、「まいわしの焼干し」、「帆立貝の貝柱の乾物」、「剥き乾燥海老」などが例示される。
【0019】
本発明の方法において対象とする魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品の特に好ましい性状は、液状あるいはペ−スト状である(第1発明)。
【0020】
例えば液状のだし製品としては、「鰹節より抽出した麺汁用だし」、「鰹節及び宗太節より抽出した蕎麦汁用だし」、「荒節より抽出した煮物用濃縮だし」、「亀節より抽出したすまし汁用濃縮だし」が例示される。
【0021】
また、ペ−スト状のだし製品としては、「鰹せんじ」、「アンチョビ・ペ−スト」が例示される。
【0023】
含硫化合物の結晶あるいは粉末を散布、添加する方法、含硫化合物の結晶あるいは粉末を含有する希釈物粉末を散布、添加する方法、含硫化合物の高濃度水性溶液を噴霧、添加する方法、含硫化合物を溶存する溶液に浸漬後乾燥するなどの任意の添加方法が採用されるが、添加終了時に含硫化合物が魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品の原料または中間原料に均一に分布していることが望ましい。
【0024】
魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品に対する含硫化合物の添加量は、魚介類または魚介類加工品を原料とするだし製品中の乾物重量に対する含硫化合物中の硫黄の重量比で0.0001%以上5%以下の範囲、好ましくは0.001%以上0.5%以下の範囲である。
【0025】
この添加量範囲以下では、含硫化合物の添加効果は明瞭でない。また、この添加量範囲を越える場合には、異風味が強くなり過ぎて、だし本来の風味を損ねる可能性がある。
【0026】
以下、実施例により本発明の方法を詳細に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。また、実施例の記載中、特記のない限り「部」は重量部を、「%」は「重量/重量%」を示す。
【0027】
【実施例】
(実施例1)===濃厚鰹節だしの製造
標準の大きさの静岡県産の鰹荒本節を、家庭用の鰹節削り器を使用し、可及的均一な大きさのフレ−クになるように切削して削り節を取得した。該削り節25部およびグルタチオンまたはL−システイン塩酸塩一水和物(以下、システインと記載)0.1部を、沸騰中のイオン交換樹脂処理水(以下、水と記載)100部に添加、そのまま10分間保持、抽出した後、熱時、濾布上に注ぎ、「試験だし1」および「試験だし2」を取得した。同様にしてグルタチオンまたはシステインを添加することなく「対照だし」を取得した。得量は「試験だし1」、「試験だし2」、「対照だし」共に60部である。なお、濾過後のだし中に固体の分散物の存在は認められなかった。
【0028】
(実施例2)===すまし汁の調製および評価
実施例1で取得した「試験だし1」、「試験だし2」および「対照だし」の各10部に水90部を添加し、沸騰水浴上3分間保持後、市販の醤油0.3部および食塩0.8部を添加して、すまし汁を調製した。すまし汁の液温が60℃まで低下した時、直ちに、すまし汁の好ましさを評価する官能評価試験に付した。パネラ−は5名、評価時間は10分であり、試験品あるいは対照品の表示を伏せ、自由会話=円卓方式に依った。評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示す通り、「試験だし1」、「試験だし2」より調製したすまし汁の方が、有意義な差を以て、「対照だし」より調製したすまし汁よりも好ましいと評価された。
【0031】
(実施例3)===濃厚鰹節だしの保存および評価
実施例1で取得した「試験だし1」、「試験だし2」および「対照だし」の各30部を1L容のアルミパウチに収容し、ヘッドスペ−スのないようにして密封した。これらのパウチを80℃で10分間、加熱殺菌した。室温(25℃)に一週間保存後、開封し濃厚だしの好ましさを評価する官能評価試験に付した。パネラ−は5名、評価時間は10分であり、試験品あるいは対照品の表示を伏せ、自由会話=円卓方式に依った。評価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2に示す通り、「試験だし1」保存品または「試験だし2」保存品の方が、有意義な差を以て、「対照だし」保存品よりも好ましいと評価された。「試験だし1」保存品または「試験だし2」保存品には抽出時の風味が認められたのに対し、「対照だし」保存品には、やや、生臭さが認められた。
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明による魚介類加工品を原料とするだし製品には、だし風味が強化され、長期間に亙り好ましい呈味および香味を安定に保存できるという効果を有する。
Claims (2)
- 魚節および素干品、煮干し、焼干しよりなる群より選択された魚介類加工品を原料としてだしを熱水抽出する工程において、この熱水中に前記原料と共にグルタチオン、タウリン、システイン、シスチン、メチオニン、グルタミルシステインおよびチアミンならびにそれらの塩からなる群から選択される含硫化合物を添加することを特徴とする液状又はペースト状のだし製品の製造法。
- 前記含硫化合物の添加量が、だし製品中の乾物重量に対する該含硫化合物中の硫黄の重量比で0.0001%以上5%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のだし製品の製造法。
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JP27308194A JP3550760B2 (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | だし製品の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP27308194A JP3550760B2 (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | だし製品の製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP27308194A Expired - Lifetime JP3550760B2 (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | だし製品の製造法 |
Country Status (1)
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- 1994-10-13 JP JP27308194A patent/JP3550760B2/ja not_active Expired - Lifetime
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