JP3550452B2 - 無線警報システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車運行時間帯に線路保守作業を行う際に、線路保守作業者に列車接近を知らせて退避させるための無線警報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、列車運行時間帯に線路保守作業を行う際は、列車の接近を見張る見張り員を一人置き、この見張り員が列車の接近を目視にて監視し、列車が接近してきた場合に、線路保守作業者に列車の接近を知らせて危険回避のための退避行動を取らせていた。このような人間による列車接近の確認は、見張り員の失念により列車接近を見落とすことがあり、列車接近の警報が遅れて線路保守作業者を重大な危機に陥らすことがあった。このため、人間による列車接近の確認を補完するものとして列車接近警報システムが開発された。
【0003】
図6はこのような従来の列車接近警報システムの一例を示すものである。このシステムは定置式と呼ばれるもので、列車が接近すると接近信号を出力する軌道回路からの信号により信号機101の表示を変化させるとともに、警報送信機102を作動させて、見張り員が携帯している警報受信機103に警報信号を送出する。
【0004】
図7は従来の列車接近警報システムの別の例を示し、これは仮設式と呼ばれるもので、レール105に列車の車輪を検知する車輪センサ106を仮設し、その検知信号により制御装置107を作動させ、警報信号を増幅装置108で増幅してトランペットスピーカ109から警報音を送出するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示した定置式の列車接近警報システムでは、無線受信機を携帯した見張り員が無線送信機のエリア内にいる時は安全が確保されるが、移動しながらの作業のために見張り員が無線エリアの外側に出た時は安全が確保されないため、移動作業には適さないという問題があった。また、高出力の無線により広範囲なエリアをカバーするため、エリアの両端では警報が聞こえてから列車が接近するまでに時間差が生じるという問題があった。
【0006】
また図7に示した仮設式の列車接近警報システムでは、任意の場所に設置することができるため移動作業には適しているが、作業場所を変更する場合、装置の撤去と仮設を繰り返して行わなければならず、煩わしいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、列車の接近に応じてリアルタイムに接近警報を送出することができ、かつ移動作業に適した無線警報システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、列車運行時間帯に線路保守作業が発生する線区の全線に対し、所定の区間毎に制御局と送信局を設置し、それぞれを沿線電話回線で接続して送信局情報を循環させ、送信局情報の中に列車接近情報を検出した場合は、直ちに警報信号を無線で送出して、見張り員が携帯している無線受信機で受信して、線路保守作業者に警報を発するようにしたものである。
【0009】
したがって本発明によれば、システム内の各送信局は、常に最新の送信局情報を入手しながら列車接近情報を監視することができ、送信局情報内に列車接近情報を検出した場合は、直ちに無線回線を通じて無線受信機を携帯している見張り員にリアルタイムで警報を発生することができ、線路保守作業者を遅滞なく線路から退避させることができる。また、列車運行時間帯に線路保守作業が発生する線区の全線に対し、所定の区間毎に制御局と送信局を設置しているので、区間をどのように移動しても、警報システムを直ちに立ち上げることができ、移動作業に適した警報システムを構築することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、列車線路のあらかじめ設定された区間毎の境界付近にそれぞれ設けられた制御局と、前記それぞれの制御局の間に配置されて前記制御局および相互に沿線電話回線により接続されて、前記制御局および相互に軌道回路状態情報を含む送信局情報を送受信するとともに、受け取った送信局情報の中に列車接近情報を検出した場合に警報信号を無線で発信する複数の送信局と、前記複数の送信局のそれぞれに接続されて列車の接近を検出する軌道回路と、見張り員が携帯して前記送信局から受信した警報信号を基に警報を発する無線受信機とを備え、前記送信局情報の中に送信元アドレスと送信先アドレスを含め、前記送信局情報を、前記制御局と複数の送信局で構成される自区間内で循環させる無線警報システムであり、列車接近情報をリアルタイム送出することができ、線路保守作業員を安全に退避させることができるとともに、移動作業に適したシステムを構築することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の発明は、前記送信局情報に隣接上位区間送信局情報または隣接下位区間送信局情報を含め、前記制御局が、隣接する区間の送信局に対しても送信局情報を送受信するようにしたものであり、例えば下位隣接送信局が列車の接近を検知したときは、下位隣接送信局は、隣接する区間の制御局に列車有りの送信局情報を送信するので、その制御局から送信局情報を受信した送信局は、列車の接近を知ることができる。したがって、区間の境界部に位置する送信局に対しても送信局情報の伝達を確実に行うことができる。
【0013】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態による無線警報システムの構成を示すものである。図1において、1は上り線路、2は下り線路、3は上り線路1上を通過中の列車である。以下の説明では、説明の簡略化のため、上り線路1についてだけ説明するが、下り線路2においても同様であるので、下り線路についての説明は省略する。またここでは、上り線路1の下流側である右側を下位とし、上流側である左側を上位とする。本システムでは、列車運行時間帯に線路保守作業が発生する線区の全線を、あらかじめ定めた区間毎に区切っており、線路保守作業が行われている区間を自システム区間4とし、その下流側を下位隣接区間5とし、上流側を上位隣接区間6とする。それぞれの区間の境界付近には、制御局7、8が配置されている。また、各制御局7、8の間には複数の送信局が配置され、図では2つの送信局9、10が示されている。上位隣接区間6および下位隣接区間5においても同様に送信局が配置され、図では隣接送信局11および下位隣接送信局12が示されている。そして、各制御局7、8および送信局9、10、11、12は、沿線電話回線13により接続されている。
【0014】
また、線路1、2の沿線には、各送信局11、9、10、12に対応して、列車の接近を検出する軌道回路14から21が設置されて、それぞれ送信局11、9、10、12に接続されている。線路保守作業が行われている自システム区間4には、無線受信機22を携帯した下り線路2監視用の見張り員と、無線受信機23を携帯した上り線路1監視用の見張り員が配置されている。
【0015】
次に本システムの動作について説明する。図2は制御局と送信局との間で送受信される送信局情報のデータ構造を示している。送信局情報は、BSビット31と、FSビット32と、送信元アドレス33と、送信先アドレス34と、区間送信局情報34と、隣接上位区間送信局情報36と、隣接下位区間送信局情報37と、隣接上位区間故障情報38と、隣接下位区間故障情報39と、CRCビット40とからなる。区間送信局情報35、隣接上位区間送信局情報36、隣接下位区間送信局情報37は、それぞれの区間内に設置されたn個の送信局についての送信局情報41、42、43からなる。各送信局情報41、42、43は、それぞれ列車接近の有無を示す軌道回路状態情報44を含んでいる。
【0016】
図3は各制御局7、8と送信局9、10とがこのような送信局情報を送受信する様子を示している。図3において、制御局7は、上記のような送信局情報▲1▼を自己の送信元アドレスおよび送信局9の送信先アドレスを設定して送信局9に送信する。送信局情報▲1▼を受信した送信局9は、送信元アドレスおよび送信先アドレスをそれぞれ自己の送信元アドレスおよび送信局10の送信先アドレスに設定して送信局情報▲2▼を送信局10に送信する。同様にして、送信局10は送信局情報▲3▼を制御局8に送信する。送信局情報▲3▼を受信した制御局8は、今度は逆方向に送信局10に送信局情報▲4▼を送信し、送信局10から送信局9に送信局情報▲5▼が送信され、送信局9から制御局7に送信局情報▲6▼が送信されて元に戻り、制御局7は再び送信局情報▲1▼を送信して、送信局情報が自システム区間4内を循環する。
【0017】
同様にして、制御局7と上位隣接送信局11との間、および制御局8と下位隣接送信局12との間においても、送信局情報のやり取りが行われ、送信局情報に含まれている隣接上位区間送信局情報や隣接下位区間送信局情報等から送信局9や10においても、上位隣接送信局11や下位隣接送信局12の状態を知ることができる。
【0018】
このように送信局情報が自システム区間4内を循環している状態において、列車3が送信局10に接近してくると、軌道回路19がそれを検知して列車接近信号を送信局10に出力する。送信局10は、送信局9から送られてきた送信局情報の中の軌道回路状態情報を列車無しから列車有りに変更して制御局8に送り、制御局8から送信局10を通って送信局9に受信され、送信局9は、列車有り情報を受け取ると、警報信号を無線で送出し、これを無線受信機23が受信することにより、見張り員が列車の接近を認識し、線路作業者に線路から退避するように警告する。
【0019】
また、下位隣接送信局12の軌道回路21が列車の接近を検知したときは、下位隣接送信局12は、制御局8に列車有りの送信局情報を送信するので、送信局10は、列車の接近を知ることができ、送信局10から警報信号を無線で送出して、無線受信機を携帯した見張り員に列車の接近を伝えることができる。
【0020】
図4は制御局7、8の構成を示している。51、52は線路入出力部であり、各区間毎の沿線電話回線13に接続されている。各線路入出力部51、52は、沿線電話回線13から受信した送信局情報について、線路損失補正を行った後、信号を分解して各データを制御部53へ渡す。制御部53は、各データの内容を判断して必要な書き換えを行って線路入出力部51、52へ渡し、線路入出力部51、52は、送信局情報を組み立てて沿線電話回線13へ送出する。54は各部に電源を供給するための電源部である。
【0021】
図5は送信局9、10、11、12の構成を示している。61は線路入出力部であり、沿線電話回線13に接続されている。62は軌道回路入力部であり、それぞれ自局の軌道回路14〜21に接続されている。線路入出力部61は、沿線電話回線13から受信した送信局情報について、線路損失補正を行った後、信号を分解して各データを制御部63へ渡す。また軌道回路入力部62は、軌道回路14〜21から列車接近信号を受け取ると、制御部63に通知する。制御部63は、列車接近信号を受け取ると、データの内容を更新して線路入出力部61へ送出し、線路入出力部61は、送信局情報を組み立てて沿線電話回線13へ送出する。制御部63はまた、受け取ったデータの中に列車接近信号が含まれている場合には、送信先アドレスを自局アドレスと照合して、一致した場合は送信部64から警報信号を無線回線に送出する。65は各部に電源を供給するための電源部である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、上記実施の形態から明らかなように、システム内の各送信局は、常に最新の送信局情報を入手しながら列車接近情報を監視することができ、送信局情報内に列車接近情報を検出した場合は、直ちに無線回線を通じて無線受信機を携帯している見張り員にリアルタイムで警報を発生することができ、線路保守作業者を遅滞なく線路から退避させることができる。また、列車運行時間帯に線路保守作業が発生する線区の全線に対し、所定の区間毎に制御局と送信局を設置しているので、区間をどのように移動しても、警報システムを直ちに立ち上げることができ、移動作業に適した警報システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による無線警報システムの構成を示すブロック図
【図2】同システムにおける送信局情報のデータ構造を示す模式図
【図3】同システムにおける送信局情報の伝送状態を示す模式図
【図4】同システムにおける制御局の構成を示すブロック図
【図5】同システムにおける送信局の構成を示すブロック図
【図6】従来の列車接近警報システムの一例を示す模式図
【図7】従来の列車接近警報システムの別の例を示す模式図
【符号の説明】
1 上り線路
2 下り線路
3 列車
4 自システム区間
5 下位隣接区間
6 上位隣接区間
7、8 制御局
9、10 送信局
11 上位隣接送信局
12 下位隣接送信局
13 沿線電話回線
14、15、16、17、18、19、20、21 軌道回路
22、23 無線受信機
Claims (2)
- 列車線路のあらかじめ設定された区間毎の境界付近にそれぞれ設けられた制御局と、前記それぞれの制御局の間に配置されて前記制御局および相互に沿線電話回線により接続されて、前記制御局および相互に軌道回路状態情報を含む送信局情報を送受信するとともに、受け取った送信局情報の中に列車接近情報を検出した場合に警報信号を無線で発信する複数の送信局と、前記複数の送信局のそれぞれに接続されて列車の接近を検出する軌道回路と、見張り員が携帯して前記送信局から受信した警報信号を基に警報を発する無線受信機とを備え、前記送信局情報の中に送信元アドレスと送信先アドレスを含め、前記送信局情報を、前記制御局と複数の送信局で構成される自区間内で循環させることを特徴とする無線警報システム。
- 前記送信局情報に隣接上位区間送信局情報または隣接下位区間送信局情報を含め、前記制御局が、隣接する区間の送信局に対しても送信局情報を送受信する請求項1記載の無線警報システム。
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- 1995-10-13 JP JP26578795A patent/JP3550452B2/ja not_active Expired - Fee Related
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