JPH1159421A - バックアップ系を有した無線通信利用列車制御方式 - Google Patents

バックアップ系を有した無線通信利用列車制御方式

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JPH1159421A
JPH1159421A JP9232110A JP23211097A JPH1159421A JP H1159421 A JPH1159421 A JP H1159421A JP 9232110 A JP9232110 A JP 9232110A JP 23211097 A JP23211097 A JP 23211097A JP H1159421 A JPH1159421 A JP H1159421A
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JP9232110A
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Inventor
Yasushi Yokosuka
靖 横須賀
Keiji Maekawa
景示 前川
Keisuke Totsugi
圭介 戸次
Masayuki Shoji
雅幸 庄司
Naohiro Kasuya
直大 糟谷
Noriharu Amitani
憲晴 網谷
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無線信号方式システムにおいて、地上側処理装
置が故障した場合、無線制御を開放して有視界運転しよ
うとしても、進路が引けないと、結局分岐機手前で停止
しなければならず、運転できないことになる制御システ
ムにある。 【解決手段】列車側で、地上側の異常の発生を検知する
と、無線通信をバックアップ系の通信に切り替え、分岐
がある所では、列車から分岐を制御する装置に対して直
接進路を申告し、進路を確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御情報を無線で
伝送して列車を運行させる鉄道システムにおいて、バッ
クアップ系を簡単に構築でき異常時の列車運転停止障害
を軽減する列車制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道では列車の安全運行を確保す
るためにレールを伝送媒体として使用し、線路脇に設置
した信号機を用いて、速度制御情報などを車上に伝送す
る方式が用いられてきた。これらの方式はいずれも、閉
塞という考えに基づいて安全確保がなされている。閉塞
とは路線をある一定の長さに分割し、閉塞区間として定
義したものであり、1閉塞区間には、同時に2編成以上
の進入を禁ずることにより、列車間隔を保って安全を確
保している。
【0003】この閉塞は、軌道回路によって実現されて
いる。軌道回路とは、線路をある一定の長さで電気的に
切断し、両方のレールに電流を流す方式である。列車が
該当区間に進入していないときには、送信端よりレール
に流された電流は受信端において検知される。列車が該
当区間に進入した場合には、レールが車輪によって短絡
されるため、受信端に電流が流れなくなり、在線と認識
される。
【0004】ところが、この軌道回路はレールを電気的
に切断し、各軌道回路の境界に設備を設置するため、設
備や保守の費用が高くなるという欠点を持っている。
【0005】低コストを実現する方式として、軌道回路
によらずに列車の位置を検知し、列車に対して安全確保
のための制御情報を伝送する方式として、無線信号方式
が検討されている。無線信号方式では、車上で検知した
自列車位置を無線によって地上側制御装置に伝送し、地
上側では、その列車が安全に進行できる目標地点を求め
列車に伝送する。目標地点を受け取った列車は、その目
標地点までに安全に停止できるよう、自列車の制御を行
う。列車の進行に合わせて目標地点も前方に移動するの
で、前方列車に接近したりしない限り、支障なく前進す
ることが可能となる。
【0006】ここで、移動体、つまり列車上に無線通信
設備を設けた端末装置を「移動局」と呼び、その移動体
との通信を行うために地上側に無線設備を設けた端末装
置を「基地局」と呼ぶ。
【0007】鉄道において無線通信を用いて制御を行う
場合には、沿線に複数の基地局を配置して、全線を隈無
く手分けして被う方式が有力である。全ての移動局は何
れかの基地局の無線到達範囲に必ず含まれるような設計
である。移動局は、進行するにつれて次々と基地局を渡
り歩く事になる。
【0008】この種の方式としては、例えば、「次世代
運転制御システム(CARAT)の間隔制御の仕組みと
伝送方式」鉄道と技術 1995.2 VOL.6 No.
2p.3〜,特開平2−109770号公報「無線による自動列
車制御装置」がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術で
は、信頼性の点でまだ不十分であったり、方式的な向上
が必要なところがあり、さらに改良することで、より高
信頼低コストな制御システムとすることができる。
【0010】列車の進路は地上側の制御装置が在線位置
を受けて、この列車は何番線に進行する列車であるか判
断して進路を引く制御になるが、通信障害が発生したり
地上側の制御装置が故障すると、正しく進路が引けない
ことになってしまう。故障した装置が回復するまで列車
の進行が不可能となり、定時運行に対して重大な障害を
引き起こすことになる。
【0011】地上側処理装置が故障した場合、無線制御
を開放して有視界運転しようとしても、進路が引けない
と、結局分岐箇所の手前で停止しなければならず、運転
できないことになる。
【0012】本発明の目的は、地上側制御装置との通信
が途絶えたり、地上側装置が故障しても、列車の進路制
御を行うことができる無線を利用した列車制御システム
を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、無線を用いた列車制
御システムにおいて、重要な制御箇所を効率良くバック
アップし、信頼性が高い無線列車制御システムを、効率
良く実現する方式を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的は、以下の手段
を用いることで実現できる。
【0015】列車が、通信や地上側の進路制御装置が異
常を起こした場合でも進行しようとすると、制御システ
ムを開放し、車上側は自分の予定した進路に従い有視界
運転で進行しなければならなくなる。
【0016】本発明では、列車制御装置に当該列車の予
定進路を運転開始前に予め入力して、蓄積する機構を持
たせてある。そして、列車側で、地上側の前述の異常の
発生を検知すると、無線通信をバックアップ系の通信に
切り替え、分岐がある所では、列車から分岐を制御する
装置に対して進路を直接申告し、分岐を制御する機器か
らの応答を受信して、分岐の内方への進入を許可する制
御としている。また、各分岐を制御する装置は、専用の
通信装置と直結できる機能を具備してある。
【0017】このようにすることで、列車から分岐を制
御する機器に対して直接進路を要求できるので、地上側
の進路制御装置や通常の通信装置が故障しても、ある程
度制御スループットは低下するが、全く列車の進行が停
止することは防止でき、信頼性を向上させることができ
る。
【0018】一方、地上側でも各装置の生死を互いに監
視できるようにしているので、無線装置のバックアップ
系への切り替えは、分岐を制御する地上側の装置から、
列車に対して呼びかけることも可能である。
【0019】駅中間に置かれた無線装置のバックアップ
は、システムの稼働率を確保するために2重化したり、
無線領域をオーバーラップして配置する等の対策が考え
られる。これらは、無線装置の信頼性に依存するもので
あり、特に地上側の制御装置のシステム的なバックアッ
プを図る本発明とは直接関係がない。
【0020】本発明では、進行に重大な支障をきたす可
能性のある分岐を制御する装置にバックアップ系を配置
することで、効率的にシステムの信頼性を向上させるこ
とを可能にしている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明の一実施例を図面を用
いて説明する。図1は、本発明のシステムの全体概要を
示している。列車1は、障害のない通常時では、通信装
置2を通して地上側装置と通信しながら、線路9上を進
行する。地上側装置の一つである進路制御装置4は、ダ
イヤデータと追跡している列車番号に従って、進路設定
要求を連動装置等の分岐制御装置6に対して信号ライン
5を通して出力する。転てつ機7−1,7−2は、分岐
制御装置6の出力にしたがって、駅8で列車を進入させ
るべき進路を適切に設定する。
【0022】ここで、通信装置2や進路制御装置4が故
障したとすると、駅8での進路が適切に確保できなくな
る。また、信号ライン5を、LAN等のネットワークで
接続していたとすると、どこかのノードが故障したとき
に地上側通信系が停止してしまい、転てつ機7−1や7
−2に適切に信号が伝わらない可能性がある。これらの
以上が発生した場合に、列車側の制御システムを開放し
て、運転士の目視運転で運転を継続したとしても、駅8
の進入時に正しく進路が引かれなければ、駅の手前で列
車は停止せざるを得ない。もし、駅8で手動で進路を引
ける機能があれば、駅員に手動で進路を設定してもらい
進入することはできるが、労力と異常時に安全確保のた
め細心の注意が必要になる。
【0023】本発明では、図1に示すように、通信装置
2や進路制御装置4が故障した場合や、信号ライン5の
通信が切断された場合は、連動装置等の分岐制御装置6
に直結した予備の通信装置3を通して、列車と自動的に
通信を開始できる構成となっている。列車から進路を要
求できるようにしておけば、前述の様なシステム故障が
発生したとしても、進路を自動的に確保することが可能
となる。以下図2〜図5と表1を用いて、まず列車搭載
用の制御装置の制御方式を説明する。その次に地上側の
制御方式を説明する。
【0024】図2は、車上制御装置の概略を示してい
る。車上制御装置10は、概略図示するような機能部か
ら構成される。地上からの走行を制御する制御伝文を受
信してから、応答を返す順に従って、各部分を説明す
る。
【0025】障害のない通常時は、地上側の通信装置2
を通して送られた制御伝文は、車上通信装置20で受信
し復調され、デジタルデータに変換されて、通信制御部
13に伝達される。通信制御部13では、通信エリアを
認識して正しく通信周波数を設定したり、通信装置から
データを受け取ったり、送信データを車上通信装置20
にセットする処理を行う。通信制御部20の出力は、通
信監視部14と車上全体制御部11に入力される。通信
監視部14では、受信伝文が正しく受信できたかどうか
判定して、十分高品質な伝送路が確保されているかや、
地上側のシステムが異常を起こしていないか等を監視し
ている。後ほど図5を用いて、処理フローを説明する。
【0026】車上全体制御部11は、車上システム全体
をコントロールしている。前述の通信伝文の送受信管
理、及び位置検出装置22で検出した位置情報や、速度
検出装置23で検出した速度情報を走行インターフェイ
ス15通して入力し、必要な機能部へデータを渡す等の
管理をする。さらに、位置情報と速度情報及び路線情報
データベース(DB)17,運転ダイヤ情報蓄積装置1
8に保持されたデータ等から速度パターンを生成し、必
要であれば、ブレーキ制御部16を通してブレーキ装置
21を作動させる。また、マンマシンインターフェイス
19を通して、運転士等列車を操作する人物と必要なデ
ータの授受をする。例えば、グラフィック情報として、
列車の位置や方向、地上から送信された走行を許可され
た位置情報等を、表示装置26を通して表示する。
【0027】さらに、何か異常が発生した場合は、警報
装置25を通して、視覚的或いは聴覚的に警報を報知す
る。警報の解除や知りたい情報の選択は、入力装置24
を通して入力され、マンマシンインターフェイス19を
経由して車上全体制御部11へ伝えられ、適切に表示の
切り替えや音による応答等が出力される。地上側への応
答伝文も、車上全体制御部11に集められた情報を用い
て、伝文生成部12で作成される。地上側への応答伝文
の中心は、後ほど表1に示すように主体は列車の位置情
報である。
【0028】
【表1】
【0029】即ち、地上装置側で列車の間隔を制御する
ため列車の位置を正確に把握する必要があるためであ
る。この位置情報以外には、列車の速度や列車番号、列
車の各種装置状態等がある。装置状態情報の取り扱いに
ついては後ほど説明するが、その他の情報については、
本発明と直接関係ないので詳細説明は割愛する。生成さ
れた伝文は、通信制御部13を通して通信装置20へ送
られ、地上側装置に伝えられることになる。制御伝文を
受信してから応答伝文を送信するまでの処理は、地上側
の制御周期に同期しサイクリックに行われる。
【0030】次に本発明のポイントとなる伝文の生成
と、異常の発生を検知した場合の処理の設定について図
3,図4を用いて説明する。図3は、通信制御部13,
伝文生成部12の内部処理構造をもう少し詳しく説明し
ている。前段では、通常通信の場合で説明したが、本発
明のポイントは、以下説明する地上側の異常や通常通信
では伝文が届かない場合に特徴がある。障害のない通常
時、伝文生成部12内のスイッチ31は、制御ライン3
0を通して、通常伝文生成部32側に接続される。ま
た、通信制御部13内のスイッチ34も、制御ライン3
0を通して、通常通信35側に接続される。制御ライン
30を通して流れるコントロール信号は、車上全体制御
部11で生成される。地上側システムの異常が検知さ
れ、運転士等列車を操作する人物が確認して、制御開放
を指示した場合は、スイッチ31とスイッチ34は両方
とも下側へ接続される。
【0031】即ち、制御開放モード伝文生成部33で伝
文が生成され、制御開放モード通信36で通信が行われ
ることになる。制御開放モード伝文生成部33で生成さ
れる伝文は、後ほど説明するが、表1で示すように、通
常時伝文と比較して、伝文フォーマット情報の異常を示
すデータに変更し、連動装置等の分岐制御装置6に対し
て直接進路の方向を要求する情報である進路要求情報が
追加される。地上側装置の制御経路の切り替えについて
は後ほど説明する。
【0032】図4は、車上全体制御部11で地上側のシ
ステム異常を検知して、制御ライン30を通して流れる
コントロール信号を生成する伝文通信制御フローであ
る。次の図である図5に示すフローで、異常を検知した
か判定処理40で判断し、異常がなければ、通常側への
接続指示47を出力する。異常がセットされていた場合
は、図2に示す警報装置25を通して、運転士等列車を
操作する人物へ、異常を警報で報知する処理41を起動
する。
【0033】次に、本発明のバックアップ処理で対策が
可能か判断するため、通信伝送路或いは地上側システム
異常を検知したか、即ち、図5処理56の処理が実行さ
れたか判定処理42で判断し、もし対策ができない異常
であれば、個別に異常情報を判断して、適切な対策を取
るよう処理46で結果をセットする。もし、本発明の対
策が可能な異常であれば、運転士が制御開放を指示した
か判断処理43で判定する。操作者がまだ開放を指示し
ていない場合は、通常側への接続を処理44で指示し、
地上側のシステムの回復を監視する。操作者が、制御開
放を指示した場合は、制御開放モードへの接続を処理4
5で指示する。該指示にしたがって、図3のスイッチ3
1,34は適切な方向に接続される。
【0034】図5は、通信監視部14での通信伝送路
と、地上側システムの異常検知処理フローである。通信
監視部14では、表1に示す伝文の地上側各装置の状態
情報の中に、地上側装置の異常を知らせる伝文がある
か、或いは通信品質が制御に必要なレベル以下に落ちて
いないかを監視する。異常があるか判定処理51で判断
し、ない場合は、通常に稼働しているとして、処理55
で処理結果をセットする。判定処理51,52,53,
54の処理でイエスとなった場合は、本発明のバックア
ップ処理での対策が可能な状態であり、処理56で通信
伝送路或いは地上側システム異常ありと処理結果をセッ
トする。
【0035】即ち、通信機異常は判定処理51で検出
し、進路制御装置異常は判定処理52,ネットワーク異
常は判定処理53,通信品質の劣化は判定処理54で検
出する。それ以外の場合は、その他の異常であるとし
て、処理57でセットする。即ち、処理56,57で異
常が設定された場合は、図4の判定処理40で異常有り
と判断されることになる。前述したように、本発明のバ
ックアップが可能な場合は、制御開放モード側へスイッ
チするように図4の処理45で設定することになる。
【0036】表1は、伝文内容の概略を示している。本
発明の方式を説明することを中心に示しているので、表
1に示した伝文は厳密な伝文フォーマットを規している
わけではない。表1の網かけ部分に示すように、図4で
制御開放モードが指示された場合は、異常時に車上装置
では、制御開放モード伝文生成部33で伝文が追加,修
正される。伝文フォーマット情報を異常時フォーマット
に変更し、自車位置と路線情報から必要に応じて進路要
求情報を出力する。地上側は、以下の段落で説明する
が、やはり伝文フォーマット情報を異常時に変更し、通
信装置番号をバックアップ系の番号に変更する。
【0037】さらに、装置異常が復帰して、通常時に戻
った場合に、バックアップ系から通常通信系への回復を
指示するために用いられる通信機切り替え情報が送信さ
れる。この通信機切り替え情報に関しては、後ほど図8
を用いてさらに説明する。通常時の伝文内容に関して
は、表に示すような情報を授受すれば、通常の列車制御
は可能であろうと考えらる内容を示しており、特に本発
明と直接関係はない。通常伝文時に対して、異常時は、
異常時伝文を示す情報を明示し、進路の方向を要求する
情報が車上装置から投げかけられるように変更できる所
にポイントがある。
【0038】図6は、地上側で各装置の稼働状態を確認
する方式概要を示している。その結果は、表1に示す通
信装置2、或いは3から送信される伝文の中で、装置状
態情報にセットされることになる。即ち、通信伝文は、
進路制御装置4,連動装置等の分岐制御装置6の何れの
装置でも作成できる構成になっている。通常は、通信装
置2を経由して、進路制御装置4で伝文を授受し、受信
伝文の列車位置情報などから、必要な進路要求を分岐制
御装置6に要求し、進路の確保状況や支障条件等を判断
して送信伝文を作成している。通常は、進路制御装置4
で伝文を作成することから、各装置の稼働状態は進路制
御装置4に知らされる事になるが、分岐制御装置6でも
把握できる方式となっている。
【0039】分岐制御装置6は、該装置の配下にある装
置の稼働状態を把握するため、配下の無線装置3に対し
て、稼働状態確認信号60−2を出力する、通信装置3
は稼働状態応答信号61−2を出力する。尚、60で代
表される信号は、全て稼働状態確認信号であり、61で
代表される信号は、稼働状態応答信号である。番号7で
代表される転てつ機(複数ある場合がありここでは仮に
n個とした)にも稼働状態確認信号60−3,60−m
(m=n+2)を出力し、稼働状態応答信号61−3,
61−mを受信する。これらの状態と、分岐制御装置6
自身の稼働状態を纏めて、稼働状態信号63を進路制御
装置4に出力する。
【0040】進路制御装置4では、配下の無線装置2に
対して、稼働状態確認信号60−1を出力し、稼働状態
応答信号61−1を受信する。該状態と、進路制御装置
4自身の稼働状態を纏めて、稼働状態信号62として分
岐制御装置6に出力する。このように、相互監視した情
報を定期的にお互いに交換して、全ての機器状態を把握
する。
【0041】図6では、進路制御装置4或いは分岐制御
装置6に接続された機器の稼働状態の監視には、進路制
御装置4或いは分岐制御装置6がマスタとなりポーリン
グにより機器状態を把握する方式を説明したが、特にポ
ーリング方式とする必要は無く、機器状態を申告する装
置が定期的に独自のタイミングで報告したり、状態が変
化したときに申告するイベント型にしても本発明には特
に関係ない。また、進路制御装置4或いは分岐制御装置
6の間の通信も互いの装置からのポーリング方式にする
こともできるし、前述のように申告方式,イベント方式
でも構わない。また、接続形態に関しては、番号70で
代表される転てつ機への接続もネットワーク接続でも構
わないし、無線装置3の接続形態も本発明に関しては、
どのように接続されていても特に本発明では問題にしな
い。例えば、各装置までも無線で接続するような形態で
もよい。さらに、各装置の接続個数が、本発明を特に限
定するものではないことは明らかである。
【0042】また、通信装置2或いは3は、列車へ出力
する最後の装置であるので、もし、通信機能自体が故障
した場合は、列車へ故障を伝達する手段が無くなるの
で、列車側で通信品質を基に、地上側装置の故障と判断
する処理も組み込んである。何らかの外からの無線区間
における外乱であれば、通信が回復した時点で障害が発
生していないことがわかるので、通常通信に復帰する。
復帰に関しては、後ほど説明する。また、進路制御装置
4やネットワーク5が故障しても、通信伝文が作成でき
なかったり、無線装置まで伝達できない場合もあるの
で、その場合も列車側では無線通信障害と同様の手順を
とることになる。やはり、故障が回復した時点で、通常
制御に戻ることになる。但し、連動装置等の分岐制御装
置6や転てつ機70が故障した場合は、本発明のバック
アップ方式では対策を取れないので、列車に故障を伝達
し、故障装置の手前で安全に停止できるように、停車指
示が送信される。
【0043】図7は、通信装置3から通信を開始するた
めの分岐制御装置6に組み込まれている判定処理を示し
ている。バックアップ通信で対策できる場合を抽出し、
処理76でバックアップ通信の開始を指示することにな
る。最初に、異常が検知されたかどうか、判定処理70
で判断し、異常がなければ通常通信の継続を処理75で
継続するようにセットする。異常が検知された場合は、
判定処理71,72,73でバックアップ可能な異常で
ある場合を抽出、即ち判定処理71で通常通信装置異
常、判定処理72で地上側ネットワーク異常、判定処理
73で進路制御装置異常を検出すると、処理76でバッ
クアップ通信開始を通信機3に出力する。もしその他の
異常であれば、処理74で個別に異常対応できるように
指示をセットする。例えば、転てつ機の異常であれば、
通信伝文に転てつ機異常をセットし、安全に停止できる
位置に走行許可位置をセットする。
【0044】バックアップ通信を開始しても、通常通信
機2から通信可能な状態であれば、電波の送受信は継続
する。電波を出力し続けていたほうが、回復した場合の
切り替えが早く行える。但し、切り替え時間が問題にな
らない場合は、不要な電波の送信を押さえたり、電力コ
ストを押さえるために、電波の送受信を停止させても構
わない。
【0045】図8は、一旦バックアップ系で通信を開始
し、バックアップ系から通常通信系へ戻る場合の地上側
装置の判定処理を示している。地上側装置は、各装置が
正常に戻ったか判定処理80で判断する。通常復帰して
いれば、処理81で、通常通信開始を自動的に指示する
が、これは処理82に示すように、表1に示す伝文への
データのセットを実際には行う。即ち、伝文中の装置状
態情報は復帰するに従い随時正常にセットされていくの
で、本判定ルーチンでは、伝文フォーマット情報と通信
機切替情報を通常側へ復帰す用に処理82でセットす
る。異常がまだ継続していれば、当然のことであるが、
処理83でバックアップ通信の継続を指示し、伝文フォ
ーマットも通信機切替情報も異常側に処理84でセット
する。
【0046】そして、全ての列車が、通信を通常側に切
り替えた時点で、バックアップ系の伝文送信を停止す
る。バックアップ系は殆ど稼働しない状態が多いので、
送受信動作は停止させているほうが、コスト的にも、不
要電波の送信を停止する意味からも好都合である。但
し、どうしても瞬時にバックアップ系への切り替えが必
要な場合は、通信処理の継続もありえる。復旧後の切り
替えは、可能なかぎり速いほうが望ましく、電波の通常
系の通信装置から電波の送信が可能であれば出力を継続
するほうが、早期復旧の観点からは有利である。使用中
でない通信機の電波の出力の入り切りは、システムの機
能の重要性の度合いから決定されるべきものであり、本
発明のポイントとは特に関係はない。
【0047】前段で説明したように、復旧することによ
って、伝文内容が適切にセットされてくるので、車上側
では、該伝文内容に従って、送信伝文と送信先の通信装
置を変更すればよい。即ち、回復が指示されていなけれ
ば、当然バックアップ通信系での通信継続する。回復が
指示されれば、通信先通信機を通常通信機に切り替え、
表1に示した伝文フォーマット情報を通常時に自動的に
変更する。このような手順で、復旧も地上側装置と車上
装置間で自動的に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、通信障害が発生したり
地上側の通信装置が故障しても、連動装置等分岐制御装
置が正常動作していれば、列車側から正しく進路転換要
求が自動的に発せられるので、進路が取れずに列車が停
止することを避けることが可能である。また、列車の停
止を防ぐために手動で進路を引くなどの処理の変更が不
要であり、異常時に地上側の操作者に負担が増大するこ
とを防止できる効果がある。
【0049】また、無線を用いた列車制御システムにお
いて、重要な制御箇所である進路を転換する装置に絞
り、効率良くバックアップしているので、低コストで信
頼性の高い無線を利用した列車制御システムを提供する
ことが可能である。
【0050】さらに、列車が停止しなければならない事
象を低減できるので、定時運行をバックアップ可能であ
り、乗客に対するサービスの向上が図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である列車運行システム全体概
要を示す図。
【図2】図1の車上制御装置の構成を示す図。
【図3】図2の車上装置の伝文生成部の構成を示す図。
【図4】図3の車上装置の伝文通信制御処理フローを示
す図。
【図5】図4の車上装置の異常検知処理フローを示す
図。
【図6】地上側各装置間での稼働状態監視概要を示す
図。
【図7】図6の地上側装置のバックアップ通信開始判定
フローを示す図。
【図8】図7の車上装置の通常通信再開判定フローを示
す図。
【符号の説明】
1…列車、2…通信装置、4…進路制御装置、5…信号
ライン、6…分岐制御装置、7−1,7−2…転てつ
機、8…駅。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 庄司 雅幸 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 糟谷 直大 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 網谷 憲晴 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車上制御装置と地上側の制御装置の間で、
    列車を運行させる信号データを無線を用いて伝送するシ
    ステムにおいて、通常通信系とは別に、地上側制御装置
    の一つである連動装置等の分岐を制御する装置は、バッ
    クアップ通信装置として、通常の通信装置とは別に、列
    車と直接通信するための専用通信装置を有していること
    を特徴とするバックアップ系を有した無線通信利用列車
    制御方式。
  2. 【請求項2】車上制御装置と地上側の制御装置の間で、
    列車を運行させる信号データを無線を用いて伝送するシ
    ステムにおいて、車上に搭載される列車の制御装置は、
    運転開始前にダイヤ等の運転に関する進路データを予め
    セットできる蓄積装置を有し、地上側からの制御データ
    の異常情報に従い、該蓄積してあったデータを用いて、
    自動的に進路要求を含む列車情報を送信することができ
    るバックアップ系を有した無線通信利用列車制御方式。
  3. 【請求項3】請求項2の制御方式において、地上側の制
    御データの異常情報を、一旦警報情報として運転士等列
    車を制御する操作者に知らせ、該操作者の確認が得られ
    た時点で、前記蓄積してあったデータを用いて、自動的
    に進路要求を含む列車情報を送信することができるバッ
    クアップ系を有した無線通信利用列車制御方式。
  4. 【請求項4】請求項2の制御方式において、地上側から
    の制御データの異常情報に加え、通信品質の低下を検知
    した場合でも、該蓄積してあったデータを用いて、自動
    的に進路要求を含む列車情報を送信することができるバ
    ックアップ系を有した無線通信利用列車制御方式。
  5. 【請求項5】請求項4の制御方式において、地上側から
    の制御データの異常情報に加え、通信品質の低下を検知
    したことを、一旦警報情報として運転士等列車を制御す
    る操作者に知らせ、該蓄積してあったデータを用いて、
    自動的に進路要求を含む列車情報を送信することができ
    るバックアップ系を有した無線通信利用列車制御方式。
  6. 【請求項6】請求項1の制御方式において、連動装置等
    の分岐を制御する装置は、常に配下の進路を転換する転
    てつ機や専用の通信装置の稼働状態を確認し、通常の通
    信を制御する装置との間で、通常の通信を制御する装置
    が監視する各装置やネットワーク等の稼働状態を相互に
    監視することを特徴とするバックアップ系を有した無線
    通信利用列車制御方式。
  7. 【請求項7】請求項6の制御方式において、連動装置等
    の分岐を制御する装置が、通常の通信を制御する装置か
    ら受信する監視情報の中に、監視している各装置やネッ
    トワーク等の異常を示すデータを検出すると、分岐を制
    御する装置に接続された通信装置から列車を制御する情
    報を送信することを特徴とするバックアップ系を有した
    無線通信利用列車制御方式。
  8. 【請求項8】請求項6の制御方式において、分岐を制御
    する装置に接続された通信装置から送信される列車制御
    情伝文は、少なくとも地上側装置に異常があることを示
    す情報,通信機が通常時の通信機から切り替わったこと
    を示す情報,復旧した場合に自動的に列車側に通常通信
    機への復帰を促すことができる情報を含むことを特徴と
    するバックアップ系を有した無線通信利用列車制御方
    式。
  9. 【請求項9】車上制御装置と地上側の制御装置の間で、
    列車を運行させる信号データを無線を用いて伝送するシ
    ステムにおいて、通常通信系とは別に、地上側制御装置
    の一つである連動装置等の分岐を制御する装置は、バッ
    クアップ通信装置として、通常の通信装置とは別に、列
    車と直接通信するための専用通信装置を有し、該連動装
    置等の分岐を制御する装置が、通常通信を制御している
    装置から各装置やネットワーク等の異常を示すデータを
    受信すると、分岐を制御する装置に接続された通信装置
    から自動的に列車制御情報を送信し、車上に搭載される
    列車の制御装置は、運転開始前にダイヤ等の運転に関す
    る進路データを予めセットできる蓄積装置を有し、地上
    側からの制御データに地上側装置の異常情報を示す情報
    を受信した場合、或いは通信品質の低下を検知した場合
    に、自動的に分岐を制御する装置に接続された通信装置
    と通信を開始し、該蓄積してあったデータを用いて進路
    要求を含む列車情報を送信することができるバックアッ
    プ系を有した無線通信利用列車制御方式。
  10. 【請求項10】請求項9の制御方式において、地上側か
    らの制御データの異常情報を受信した場合、或いは通信
    品質の低下を検知した場合に、車上制御装置は該情報を
    運転士等列車を制御する操作者に知らせ、該操作者の確
    認が得られた時点で、該蓄積してあったデータを用い
    て、自動的に進路要求を含む列車情報を送信することが
    できるバックアップ系を有した無線通信利用列車制御方
    式。
  11. 【請求項11】請求項9の制御方式において、監視して
    いる各装置やネットワーク等の異常が復旧すると、地上
    側制御装置は通常の通信装置からの伝文送信を自動的に
    再開し、車上装置側にも復帰を促す制御信号を送信し、
    車上装置側でも通常通信装置に対して通信を開始し、伝
    文内容も自動的に復旧することを特徴とするバックアッ
    プ系を有した無線通信利用列車制御方式。
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