JP3550425B2 - 除塵機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水力発電所の発電機用水の取り入れ口等に配置されたスクリーンバーで捕捉された塵を掬い上げて除去する除塵機に関するものである。更に詳しくは、このような除塵機においてスクリーンバーの表面に沿って昇降するレーキの支持機構およびレーキの位置および姿勢を変更するための機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水力発電所等の発電機用水の取り入れ口等には、そこから流入する水に含まれている塵を捕捉するために、スクリーンバーが配置されている。そして、このスクリーンバーに捕捉された塵を取り除くために、除塵機が使用されている。除塵機としては、固定配置されたもの、あるいは走行式のものがあり、いずれも、スクリーンバーの表面に沿って、レーキを昇降させて、そこに捕捉されている塵を掬い上げて除去している。レーキの支持機構としては、油圧シリンダ駆動式のアーム方式のもの、ロープによる支持方式のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の除塵機においては次のような問題点がある。
【0004】
まず、レーキと、スクリーンバー表面との間隔を簡単に調整できない。このため、レーキの昇降を適切に行うことができない場合がある。また、レーキは、塵の掬い上げが可能な状態(本明細書では、塵の掬い上げが可能な姿勢を「閉口姿勢」といい、塵を放出可能な姿勢を「開口姿勢」というものとする。)のままで降下させると、スクリーンバー上の塵に降下するレーキが衝突等して、レーキの降下が速やかにできないといった弊害がある。さらには、スクリーンバー上に捕捉されている塵の量は、場所によって異なるので、レーキをスクリーンバー表面に平行な状態に保持していたのでは、塵の掬い上げを適切に行うことができない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、レーキとスクリーンとの間隔を簡単に調整可能な機構を備えた除塵機を提案することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、レーキの姿勢を、開口姿勢および閉口姿勢、並びにそれらの間の姿勢となるように容易に変更可能な機構を備えた除塵機を提案することにある。
【0007】
さらに、本発明の課題は、レーキを、スクリーンバー表面に追従させて、前後、左右に移動可能に支持している機構を備えた除塵機を提案することにある。
【0008】
さらにまた、本発明の課題は、外部から作用する力同志を利用して、これらを相互にバランスさせることにより、力学的に安定したレーキ支持機構を備えた除塵機を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用】
上記の課題を解決するために、本発明は、用水路等に設置されているスクリーンバーに沿ってレーキを上下させて、当該スクリーンバーに捕捉された塵を掬い上げて除去する除塵機において、伸縮自在なアームによってレーキを支持すると共に、このレーキを、開口姿勢の状態に保持した状態で、昇降用ロープによって吊り下げるようにしている。そして、昇降用ロープを、ロープ巻取り機構を用いて巻取り・繰り出すことにより、伸縮自在なアームを伸縮させながら、レーキの昇降を行うようにしている。さらに、アームを、その上端側を中心としてスクリーンバーに対して前後に揺動させることにより、当該アームに取付けられているレーキのスクリーンバーとの間隔を変更できるようにしてある。
【0010】
このように構成した本発明の除塵機では、アームおよび昇降用ロープを併用してレーキの支持機構を構成してあるので、その構成部材であるアームを、アーム揺動機構により前後に揺動させることにより、簡単に、レーキを、スクリーンバー表面に接近させ、あるいは離れる方向に移動させることができる。
【0011】
また、本発明は、このように伸縮自在なアームおよび昇降用ロープによりレーキを支持した構成の除塵機において、更に、レーキの姿勢を変更可能な姿勢変更機構を備えた構成を採用している。この姿勢変更機構は、レーキに連結された姿勢変更用ロープと、この姿勢変更用ロープを上下に移動させる移動機構とを備え、前記姿勢変更用ロープの上下に連動して、レーキの姿勢が、塵を掬い上げ可能な閉口姿勢と、塵を放出可能な開口姿勢、およびこれらの間の姿勢に切り換わるようになっている。
【0012】
このように、姿勢変更用ロープを利用することにより、除塵機本体から離れた位置にあるレーキの姿勢を簡単に変更することができる。
【0013】
さらに、本発明では、レーキを、左右2本の伸縮自在なアームおよび左右2本の昇降用ロープで支持すると共に、アームの下端側を次のようにした構成を採用している。すなわち、各アームを、レーキが自在継ぎ手を介して取付けられている下端アーム部分と、この下端アーム部分を、左右への回転が可能な軸継ぎ手を介して、支持しているアーム本体部分とから構成している。さらには、アーム本体部分の下端部分を、連結機構を介して、前後に相対移動が可能な状態で相互に連結している。
【0014】
この構成によれば、レーキは、軸継ぎ手によって、スクリーンバーに対して左右に揺動可能である。また、レーキは、連結機構によって、スクリーンバーに対して左右いずれの側も前後に移動可能である。したがって、レーキは、その姿勢、位置が、スクリーンバーに対して、三次元的に前後左右に移動可能である。よって、スクリーンバー表面に追従して移動できるので、塵の掬い上げが常に確実に行われる。
【0015】
一方の本発明の除塵機においては、アームの揺動機構の構成部材であるスイングアームと、ロープ巻取り機構の構成部材であるローラ支持アーム部材とを、これらに対して作用する旋回力を、それぞれ他方の側の旋回力を抑制するように、相互に伝達可能な力伝達部材を介して連結した構成としてある。
【0016】
この構成を採用すれば、双方の部材に作用する力が、相互にバランスを取り合うことにあるので、力学的に安定したレーキ支持機構を構成できる。
【0017】
【実施例】
以下に、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0018】
(第1の実施例)
図1および図2には、本発明の第1の実施例の全体構成を示してある。本例の除塵機1は、水力発電所の発電機用水の取り入れ口2に配置されたスクリーンバー3に捕捉された塵を掬い上げて除去するためのものである。
【0019】
本例の除塵機1は走行式であり、前後にそれぞれ一対の走行輪41a、41bbおよび42a、42bが取付けられた除塵機車体4と、スクリーンバー3から塵を掬い上げるためのレーキ(熊手装置)5と、このレーキ5を支持して昇降等の動作をさせるための支持機構6から基本的に構成されている。車体4には、掬い上げた塵を収納するためのバケット45が配置されている。この底の部分はコンベヤ46により規定されており、ここに回収された塵を、コンベヤ46によって外部に排出できるようになっている。
【0020】
本例においては、この支持機構6は、一対の伸縮自在な左右アーム11、12と、同じく一対の左右ワイヤーロープ13、14(昇降用ロープ)とを備えている。左アーム11は、その上端部分を形成しているアームガイド111と、このアームガイド111の内部に装着され、この下端から伸縮自在となっている上端アーム112と、このアームに対して下端から伸縮自在に装着されている中間アーム113と、このアームに対して下端から伸縮自在に装着されている先端アーム114から構成されており、この先端アーム114の先端には、自在継ぎ手15を介して、レーキ5が連結されている。右アーム12も、同様に、アームガイド121、上端アーム122、中間アーム123、先端アーム124から構成され、その先端には、自在継ぎ手16を介して、レーキ5が連結されている。
【0021】
左右のアーム11、12は、アーム揺動機構7を介して、除塵機車体4の側に支持されている。このアーム揺動機構7は、各アームのアームガイド111、121を支持しているスイングアーム71、72と、これらのスイングアームの旋回中心を規定している支点軸73と、スイングアームの他方の端に連結された駆動シリンダ75、76とを備えている。支点軸73は、車体4に形成されている支持壁41の上端に固定支持されている。また、シリンダ75、76も、この支持壁41の側面に形成した支持ブラケット42の上に固定支持されている。さらに、スイングアーム71、72の上側の中程の位置と、アームガイドの上端部分とは、それぞれ、連結ロッド77、78によって連結されている。
【0022】
一方、左右のワイヤロープ13、14は、その下端が、それぞれレーキ5に連結され、左右のアーム11、12の内側の位置を、これらと略平行に配置されている。各アームガイド111、112の下端部分の内側の位置には、それぞれ、ロープガイドローラ81、82が配置されており、これらのローラは、それぞれ、ローラガイドアーム83、84の先端に回転自在の状態で支持されている。各ワイヤロープ13、14は、これらのロープガイドローラ81、82に巻き掛けられて、車体4の側に案内され、車体の支持壁41に設置したロープ巻取り機構8を構成しているワイヤードラム85、86に巻かれて、ここに連結された状態にある。
【0023】
ロープ巻取り機構8は、ワイヤードラム85、86と、これらの回転駆動源である駆動モータ87と、ここからの回転を減速してワイヤードラムに伝達するための減速機構88から構成されている。
【0024】
ここで、各ローラガイドアーム83、84は、車体4の支持壁41の上端に支持されている支点軸73を中心として旋回可能となっている。これらのローラガイドアーム83、84の後端側は、後述するように、バランス機構9(図4参照)によって支持されている。
【0025】
また、本例においては、レーキ5は、これを開口姿勢および閉口姿勢に変更するためのワイヤーロープ20(姿勢変更用ロープ)に連結されている。このワイヤーロープ20は、図に示すように、左右のワイヤーロープ13、14の中心に位置しており、その下端がレーキ5の中心に連結されている。また、このワイヤーロープ20は、上端側において、ロープガイドローラ21に巻き掛けられて、車体4の側に案内され、上記の左右の巻取りドラム85、86の中間位置に同軸状に配置された巻取りドラム22に巻き取られ、ここに連結されている。この巻取りドラム22は、左右のドラム85、86と一体となって回転する。
【0026】
ロープガイドローラ21は、支持アーム23の先端に回転自在の状態で支持されており、この支持アーム23は、左右のロープガイドアーム83、84の旋回中心を規定している支点軸73を中心に旋回可能の状態となっている。しかるに、この支持アーム23の後端は、駆動シリンダ24に連結されており、この駆動シリンダ24によって、支点軸73を中心として旋回可能である。支持アーム23が旋回すると、それに伴って、先端側に支持されているロープガイドローラ21が上下に揺動して、ここに巻き掛けれらているロープ20を上下に移動させることになる。このロープ20の上下動によって、レーキ5の姿勢が、開口姿勢から閉口姿勢、あるいはその逆に切り換わる。
【0027】
次に、図3を参照して、本例の除塵機1におけるレーキ5の部分の構造を説明する。レーキ5は、各アーム11、12の下端に連結されたL型の支持アーム51、52によって、支持されている。これらの支持アーム51、52の先端には、支点軸53を中心として、レーキを構成している湾曲した側面形状の本体枠54が回転自在に支持されている。この本体枠54の先端側の部分には、支点軸55を中心として、レーキの鋤刃56が回転自在に支持されている。ここで、本体枠54は、図3(A)に示す状態から、支点軸53を中心として矢印Aの方向には、それ以上回転しないように、回り止め機構(図示せず)が配置されている。同様に、鋤刃56も、支点軸55を中心として矢印Aの方向にはそれ以上回転しないように回り止め機構(図示せず)が配置されている。
【0028】
ここで、左右のロープ13、14および中央のロープ20は、支持アーム51、52の間に支持されているロープガイドローラ57の下側に巻き掛けられ、これによってレーキ先端側に案内されている。そして、レーキの鋤刃56の支点軸55の上方位置を迂回して、その下端部分58に連結されてている。
【0029】
この構成のレーキ5は、3本のロープ13、14、20によって吊り下げられているので、これらの張力によって、レーキを構成している本体枠54および鋤刃56は、図3(A)に示す状態に保持される。この状態では、鋤刃56が、スクリーンバー3に対して、斜め上方に傾斜し、本体枠54はスクリーンバー3に対してほぼ直角な姿勢となっている。この状態のレーキ5をスクリーンバー3に沿って上昇させれば、スクリーン3の表面から塵を掬い上げることができる。したがって、この状態がレーキ5の「閉口姿勢」である。
【0030】
ここで、図3(B)に示すように、中央のロープ20の下端部分は、左右のロープ13、14と同様にレーキ5に対して連結されていると共に、レーキ5の姿勢を変更可能なリンク機構30にも連結されている。このリンク機構30は連結金具31を備え、この上端がロープ20に連結されている。連結金具31の下端は回転自在に第1のリンク32に連結され、第1のリンク32の下端は、回転自在に、第2のリンク33に連結されている。この第2のリンク33の他方の端は二股に分岐しており、分岐した一方の端は回転自在に、レーキの本体枠54に連結され、他方の端は、第4のリンク34の先端に回転自在に連結されている。この第4のリンク34の他端は、レーキの鋤刃56におけるロープ連結位置58に対して回転自在に連結されている。
【0031】
このように構成した本例においては、左右のロープ13、14をそのままに保持して、中央のロープ20のみを引き上げると、リンク機構30の働きにより、まず、鋤刃56が、その支点軸55を中心として矢印B方向に強制的に回転させれらる。鋤刃56のB方向への回転量は、不図示の回り止め機構によって規制され、図3(C)で示すように、レーキの本体枠54と平行な状態で止まる。この状態から、更にロープ20が引き上げられると、リンク機構30の働きにより、本体枠54および鋤刃56は、一体となって、本体枠先端の支点軸53を中心として矢印B方向に旋回する。この結果、図3(C)において想像線で示すように、スクリーン3に対して略平行に立った姿勢となる。この姿勢のレーキ5を引き上げても、スクリーン上の塵を掬い上げることができない。また、図3(A)に示す開口状態のレーキ5の上に溜まっている掬い上げた塵は、図3(C)に示す姿勢にすることにより放出される。したがって、この姿勢がレーキの「開口姿勢」である。
【0032】
次に、図4を参照して、バランス機構9の構造を説明する。バランス機構は左右に形成されているが、同一構成であるので、アーム12の側のバランス機構を説明する。本例のバランス機構9は、車体4の支持壁41の側面に取り付けたブラケット91によって回転自在に支持されているガイドローラ92と、これの下側を通して巻き掛けられた連結部材93とを備えている。連結部材93の一方の端は、連結金具94によって、スイングアーム72の下面に連結されている。連結部材93の他方の端は、連結金具95によって、支持アーム84の下面に連結されている。これらの連結位置は、支点軸73よりも後方側とされている。
【0033】
各アーム72、84は、その先端側に下方に向かう力が常時作用している。したがって、支点軸73を中心として矢印Cの方向に旋回する旋回力が作用している。本例では、バランス機構9によって、支点軸73よりも後方側の位置において、一方のアームの旋回力によって、他方のアームの旋回力を抑制する方向に力を作用させている。したがって、相互の旋回力により、相互のアームに作用する力の平衡状態が形成される。よって、力学的に安定した構成を実現できる。なお、バランス機構9を、他のリンク機構等によって構成して、本例と同様な効果を得るようにすることもできる。
【0034】
このように構成した本例の走行式除塵機1の動作を説明する。
【0035】
除塵機1は、初期状態において、3本のロープ13、14、20を巻き取ることにより、アーム11、12の先端のレーキ5を引き上げた状態としてある。この状態で、除塵機1をクリーンバー3の所定の位置まで移動して停止させ、しかる後に、ロープ13、14、20を繰り出す。これにより、アーム11、12が伸びて、その先端のレーキ5がスクリーンバー3に沿って降下する。ここで、スクリーンバー3と、レーキ5の間隔を調整したい場合には、スイングアーム71、72を所定の角度だけ旋回すればよい。この動作に応じて、アーム11、12が揺動して、その先端に連結されているレーキ5が、スクリーンバー3に対して接近、あるいは離れる方向に移動する。この状態を、図2において想像線で示してある。したがって、本例では、レーキ5を任意の位置で昇降させることができ、また、任意の開口幅で、塵を掬うことができる。
【0036】
また、中央のロープ20を支持アーム23によって引き上げると、図3において説明したように、レーキ5を、閉口姿勢から開口姿勢に切り換えることができる。ロープ20の引上げ量を調整することにより、これらの姿勢の間の姿勢にもすることができる。したがって、図2において想像線Dで示すように、塵を掬い上げたレーキ5を上端まで移動した後、閉口姿勢に切り換えることにより、レーキ5に捕捉されている塵を、簡単に、バケット45内に放出することができる。また、レーキ5の昇降が円滑に出来ない場合等においても、開口姿勢から閉口姿勢に切り換えることにより、レーキの昇降を速やかに行うことができる。
【0037】
(第2の実施例)
図5、6、7には、本発明の第2の実施例を示してある。本例の全体的な構造は、上記の第1の実施例と同一であるが、アーム11、12とレーキ5との連結部分に工夫を凝らし、レーキ5を、スクリーンバー表面に対して、三次元的に前後、左右に姿勢を変更できるようにした点が異なっている。したがって、以下の説明では、この異なる部分の構造のみを説明し、それ以外の部分の説明は省略する。
【0038】
アーム11、12の下端においてレーキ5を支持している支持アーム51、52は、調芯軸受201、202を介して、レーキ5に連結されている。また、これらの支持アーム51、52は、中間の位置において、2分割されて、レーキ側の先端アーム片511、521と、アーム側のアーム片512、522から構成されている。先端アーム片511とアーム片512は、ピン継ぎ手513を介して連結され、先端アーム片511は、このピン継ぎ手513を中心として、左右に旋回可能となっている。同様に、先端アーム片521とアーム片522もピン継ぎ手523を介して連結され、先端アーム片521は左右に旋回可能となっている。したがって、レーキ5は、左右に揺動可能な状態となっている。
【0039】
また、左右のアーム片512、522は、相互に連結機構210を介して連結されている。この連結機構210は、各アーム片512、522の裏面に取付けたブラケット211、212によって支持されている第1の軸213、214と、これらの軸の先端に取り付けた連結用ブラケット215、216と、これらの連結用ブラケット215、216を相互に連結している連結軸217を有している。ここで、連結用ブラケット215、216は、第1の軸213、214に対して、それらの軸線に直交する方向に延びており、また、これらの第1の軸に対して回転自在に連結されている。これらのブラケット215、216を連結している連結軸217は、第1の軸213、214と平行に配置されていると共に、両端が回転自在の状態でブラケット215、216に支持されている。
【0040】
このように構成した連結機構210によって連結されている左右のアーム片512、522は、スクリーンバー3に対して相対的に前後に移動可能となっている。
【0041】
したがって、本例においては、レーキ5は、スクリーンバー3の表面に対して、前後および左右に移動可能な状態でアーム11、12によって支持されている。したがって、レーキ5を、スクリーンバーの表面に対して正確に平行な状態に位置決めできなくても(例えば、レーキ5の左右におけるスクリーンバー表面に対する開口幅が異なっていても)、ロープによって支持されているレーキ自体の自重や塵の重量により、レーキ5は自動的に、スクリーンバーの表面に追従するように移動して、正しく位置合わせされた状態にもなるし、スクリーンバーに対して斜めに作動させることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の除塵機は、伸縮自在なアームによってレーキを支持すると共に、このレーキを、閉口姿勢の状態に保持した状態で、昇降用ロープによって吊り下げるようにしている。また、昇降用ロープを、ロープ巻取り機構を用いて巻取り・繰り出すことにより、伸縮自在なアームを伸縮させながら、レーキの昇降を行うようにしている。さらに、アームを、その上端側を中心としてスクリーンバーに対して前後に揺動させることにより、当該アームに取付けられているレーキのスクリーンからの間隔を変更するようにしている。したがって、本発明によれば、アームおよび昇降用ロープを併用してレーキの支持機構を構成してあるので、レーキを深い場所に対しても簡単に降下させて塵の掬い上げを行うことができ、また、その構成部材であるアームを前後に揺動させることにより、簡単に、レーキのスクリーンバー表面に対する間隔を調整することができる。
【0043】
また、本発明は、このように伸縮自在なアームおよび昇降用ロープによりレーキを支持した構成の除塵機において、更に、レーキに連結された姿勢変更用ロープと、この姿勢変更用ロープを上下に移動させる移動機構とを備え、姿勢変更用ロープの上下に連動して、レーキの姿勢を、塵を掬い上げ可能な閉口姿勢と、塵を放出可能な開口姿勢、およびこれらの間の姿勢に切り換えることができるようにしてある。したがって、レーキにより掬い上げた塵の放出、レーキの昇降動作等を円滑に行うことができる。
【0044】
さらに、本発明では、レーキを、スクリーンバー表面に対して、三次元的に前後および左右に移動可能に支持した構成を採用している。したがって、レーキを正確にスクリーンバーに位置合わせしなくとも、レーキを自動的にスクリーン表面に追従した姿勢にすることができ、塵の掬い上げ動作等を常に確実に行うことが可能になる。
【0045】
さらにまた、本発明の除塵機においては、アームの揺動機構の構成部材であるスイングアームと、ロープ巻取り機構の構成部材であるローラ支持アーム部材とを、これらに対して作用する旋回力を、それぞれ他方の側の旋回力を抑制するように、相互に伝達可能な力伝達部材を介して連結した構成としてある。したがって、双方の部材に作用する力が、相互にバランスを取り合うことにあるので、力学的に安定した機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である走行式除塵機の構成を示す概略正面図である。
【図2】図1の除塵機の概略側面図である。
【図3】図1の除塵機のレーキの姿勢変更のための機構を示す図であり、(A)はレーキが開口姿勢にある状態を示す説明図、(B)はレーキの姿勢を変更するためのリンク機構の部分を示す説明図、(C)はレーキが閉口姿勢に切り換わる状態を示す説明図である。
【図4】図1の除塵機のバランス機構を示す概略側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例である除塵機におけるアームとレーキの連結部分を示す部分側面図である。
【図6】図5の矢印Zの方向から見た矢視図であり、中心を境にして、一方の側にレーキ開口姿勢の状態を示し、他方の側にレーキ閉口姿勢の状態を示してある。
【図7】図6に示すレーキが移動した状態を示すための説明図である。
【符号の説明】
1・・・除塵機
3・・・スクリーンバー
4・・・車体
5・・・レーキ
6・・・支持機構
7・・・アーム揺動機構
11、12・・・昇降用ロープ
13、14・・・伸縮自在なアーム
20・・・姿勢変更用ロープ
Claims (4)
- 用水路等に設置されているスクリーンバーに沿ってレーキを上下させて、当該スクリーンバーに捕捉された塵を掬い上げて除去する除塵機において、
前記レーキが下端部分に取付けられている2本の伸縮自在なアームと、
前記アームに取付けられた前記レーキを、塵の掬い上げのできる姿勢に保持した状態で吊り下げている2本の昇降用ロープと、
前記レーキを昇降させるために前記昇降用ロープの巻取り・繰り出しを行うロープ巻取り機構と、
前記アームを、その上端側を中心として前記スクリーンバーに対して前後に揺動させることにより、当該アームに取付けられている前記レーキの前記スクリーンバーからの距離を変更可能なアーム揺動機構を有し、
各昇降用ロープは、それぞれ前記レーキを左右両端で支持しており、
各アームは、それぞれ前記レーキを左右両端で支持しており、
各アームは、前記レーキが自在継ぎ手を介して取付けられている下端アーム部分と、この下端アーム部分を、左右への回転が可能な軸継ぎ手を介して、支持しているアーム本体部分とを備えており、
各アームの前記アーム本体部分の下端部分は、連結機構を介して、前後に相対移動が可能な状態で相互に連結されていることを特徴とする除塵機。 - 用水路等に設置されているスクリーンバーに沿ってレーキを上下させて、当該スクリーンバーに捕捉された塵を掬い上げて除去する除塵機において、
前記レーキが下端部分に取付けられている伸縮自在なアームと、
前記アームに取付けられた前記レーキを、塵の掬い上げのできる姿勢に保持した状態で吊り下げている昇降用ロープと、
前記レーキを昇降させるために前記昇降用ロープの巻取り・繰り出しを行うロープ巻取り機構と、
前記アームを、その上端側を中心として前記スクリーンバーに対して前後に揺動させることにより、当該アームに取付けられている前記レーキの前記スクリーンバーからの距離を変更可能なアーム揺動機構を有し、
前記アーム揺動機構は、一方の端が前記アームに連結されているスイングアームと、このスイングアームの旋回中心を規定している固定支持部と、この旋回中心を挟み他方の端に連結され、当該スイングアームを揺動させるための駆動源とを備えており、
前記ロープ巻取り機構は、前記アームの上端側に取り付けたロープガイドローラと、このロープガイドローラを先端で支持していると共に、前記の固定支持部によって旋回可能に支持されているローラ支持部材と、前記ロープガイドローラを介して前記昇降用ロープの巻取り・繰り出しを行うワイヤードラムとを備えており、
前記スイングアームと前記ローラ支持部材とは、これらに対して作用している旋回力を、それぞれ他方の側の旋回力を抑制するように、相互に伝達可能な力伝達部材を介して連結されていることを特徴とする除塵機。 - 請求項1において、
前記アーム揺動機構は、一方の端がアームに連結されているスイングアームと、このスイングアームの旋回中心を規定している固定支持部と、この旋回中心を挟み他方の端に連結され、当該スイングアームを揺動させるための駆動源とを備えており、
前記ロープ巻取り機構は、前記アームの上端側に取り付けたロープガイドローラと、このロープガイドローラを先端で支持していると共に、前記の固定支持部によって旋回可能に支持されているローラ支持部材と、前記ロープガイドローラを介して前記昇降用ロープの巻取り・繰り出しを行うワイヤードラムとを備えており、
前記スイングアームと前記ローラ支持部材とは、これらに対して作用している旋回力を、それぞれ他方の側の旋回力を抑制するように、相互に伝達可能な力伝達部材を介して連結されていることを特徴とする除塵機。 - 請求項1、2または3において、
更に、前記レーキの姿勢を変更可能な姿勢変更機構を有し、
この姿勢変更機構は、前記レーキに連結された姿勢変更用ロープと、この姿勢変更用ロープを上下に移動させる移動機構とを備え、前記姿勢変更用ロープの上下に連動して、前記レーキの姿勢が、塵を掬い上げ可能な閉口姿勢と、塵を放出可能な開口姿勢、およびこれらの間の姿勢に切り換わるようになっていることを特徴とする除塵機。
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1994
- 1994-08-29 JP JP22726794A patent/JP3550425B2/ja not_active Expired - Lifetime
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