JP3550335B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光−電気変換、音−電気変換等の集積回路が構成可能な半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路に組み込まれている受光素子としては、ダイオード、ラテラルバイポーラトランジスタ、MOSトランジスタ構造が用いられている。
【0003】
図10は従来のMOSトランジスタ構造の受光素子を示す断面図である。図において、1はP型シリコン基板、2はN+のソース領域、3はN+のドレイン領域、4はN+ポリシリコンよりなるゲート電極、5はゲート酸化膜、6はSiO2、7は配線、8はAlよりなる光反射膜、9は光である。前記ソース領域2、ドレイン領域3、ゲート電極4、ゲート酸化膜5はMOS構造のトランジスタを構成する。すなわち、光9はチップ上方から受光部に入射させるため、これをさえぎる多層配線を設けることが出来ない。このため、大規模なLSIの中にイメージセンサ等の多数個の受光素子を組み込む場合、その設計に大きな制限が生じ、チップが大きくなる等の問題があった。
【0004】
特に、最近のLSIは4層から5層と大規模化にともないますます多層配線化が進んでおり、マイクロプロセッサ、メモリ、ロジック、イメージセンサを1チップ化する場合、イメージセンサ部のところに多層配線を構成出来ないことは、チップ全体の設計に大きな障害となってきている。
【0005】
図11は従来のLSIのレイアウトを示す構成説明図である。図において、11はマイクロプロセッサ、12は論理(ロジック),メモリ、13はイメージセンサである。すなわち、高集積化にともないイメージセンサ13の上にも3,4,5層等の配線を設けたいが、従来の受光素子構成では光をシリコン基板に対し多層配線側から入射させるため、イメージセンサ13の上に多層配線を設けることができない。
【0006】
また、論理LSI、メモリLSI等の上に積層構成で光センサやイメージセンサが組み込まれたLSIを実装する場合、上部のLSIはフェイスダウンで下部のLSIに接続されるので、光センサ、イメージセンサが従来のように組み込まれたLSIでは、このような積層構成の実装は出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、多層配線が設けられている側に対して反対側から受光素子に光、音等を入力することにより、光、音等の入力経路を考慮することなく多層配線を形成し得る半導体装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の半導体装置は、第1のシリコン層上に第1の絶縁膜を設け、この第1の絶縁膜の上に第2の単結晶シリコン層を設けて半導体素子を形成し、この半導体素子を多層配線により接続したSOI基板からなる半導体装置において、前記第1のシリコン層を部分的に除去して1個以上の受光のための穴を設け、前記受光のための穴の中の光を入射させない部分には第1の絶縁膜の下にP+領域を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は上記半導体装置において、第1の絶縁膜の下のP+領域の表面をシリサイド化したことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は上記半導体装置において、第1の絶縁膜の下のP+領域の表面にメタルを形成したことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は上記半導体装置において、光を入射させない第1の絶縁膜の下のP+領域に対応した表面と、光を入射させる半導体素子に対応した第1の絶縁膜表面に透明電極を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は上記半導体装置において、光が入射する穴の部分を透明な膜で覆ったことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態例を示す断面図である。図において、21はP型シリコン層、22は光の透過を防止するP+領域、23は埋込みSiO2の絶縁層、24はN+型ソース領域、25はN+型ドレイン領域、26はポリシリコンよりなるゲート電極、27は空乏層領域、28はチャネル領域、29はSiO2よりなるゲート酸化膜、30はシリコン層21を部分的に除去して設けられた穴、31は穴30に入射される光である。前記シリコン層21および絶縁層23はSOI基板を構成する。また前記ソース領域24、ドレイン領域25、ゲート電極26、空乏層領域27、チャネル領域28、ゲート酸化膜29は単結晶シリコン層を設けて形成された完全空乏型MOSトランジスタを構成する。この完全空乏型MOSトランジスタは多層配線により接続される。すなわち、受光素子として完全空乏型MOSトランジスタを用いる。光31は穴30よりゲート酸化膜29直下のチャネル領域28と空乏層領域27に直接入射させ、これらの領域で電気信号に変換させる。光31の強度変化にともないドレイン領域25とソース領域24間に流れる電流が変化し、光31の強度の増加とともに電流が増加する。
【0015】
図3は本発明の一実施形態例に係る完全空乏型MOSトランジスタの光波長とドレイン電流特性を示す説明図である。すなわち、ゲート長4μm、ドレイン−ソース間電圧VDが2.0V、ゲート電圧VGが0.2Vにおいて、光がない場合はドレイン電流IDが68.25pA、光の波長が白色の場合はドレイン電流IDが4086.0pA、光の波長が800nmの場合はドレイン電流IDが771.5pA、光の波長が700nmの場合はドレイン電流IDが834.0pA、光の波長が600nmの場合はドレイン電流IDが755.5pA、光の波長が500nmの場合はドレイン電流IDが737.0pAである。
【0016】
図2は本発明の他の実施形態例を示す断面図であり、受光素子がLSIに組み込まれた断面図である。図中、図1と同一部分に対応する部分は同一符号を付してその説明を省略する。図において、32はP+型ソース領域、33はP+型ドレイン領域、34はポリシリコンよりなるゲート電極、35はSiO2よりなるゲート酸化膜、36はN領域、37は絶縁膜、38は多層配線を形成するメタル配線である。前記P+型ソース領域32、P+型ドレイン領域33、ポリシリコンよりなるゲート電極34、SiO2よりなるゲート酸化膜35、N領域36はpチャネルMOSトランジスタを構成する。各MOSトランジスタは絶縁膜37を介在してメタル配線38により多層配線で接続される。また各MOSトランジスタにおいて、受光素子でないMOSトランジスタに対応した絶縁層23の下にはシリコン層21のP+領域22が設けられ、穴30より入力される光31が受光素子でないMOSトランジスタに入射させないように構成される。
【0017】
以上のように、光は多層配線が設けられている側ではなく、多層配線に対して反対側から受光素子の完全空乏型MOSトランジスタに入射させるため、多層配線と光の入射経路とは全く独立であり、入射経路を考慮することなく多層配線を形成することができる。
【0018】
また、完全空乏型MOSトランジスタを受光素子として使わない場合は、光の入射は回路の正常な動作の障害となることから、受光素子として使用する以外の完全空乏型MOSトランジスタの埋め込み酸化シリコン膜の下部にはシリコン部を設けて光を反射、吸収して光が回路動作に悪影響を与えないようにしている。
【0019】
以下、実施例に従い本発明を詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
図4は本発明の第1の実施例を示す断面図であり、完全空乏型MOSトランジスタをメッシュ状に平面的に配置し、これを並列接続した構成の受光素子を組み込んだLSIの製造方法において、異方性エッチング前の状態を示す断面図であり、図5〜図8は同じく、異方性エッチングにより穴を開けた後の状態を示す断面図である。図中、図2と同一部分に対応する部分は同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、図4に示すように、P型シリコン層21及び埋込みSiO2の絶縁層23よりなるSIMOX(SOI)基板の埋込みSiO2(酸化シリコン)の絶縁層23上のシリコン単結晶層を酸化しこれをエッチングで除去することにより、このシリコン単結晶層の厚さを30〜120nm程度にする。LOCOS技術を用いて素子間分離後、受光素子としての完全空乏型MOSトランジスタを作り込む部分以外の部分で、後で受光のための穴があけられる領域の中にあるところの埋込みSiO2の絶縁層23直下のP型シリコン層21の領域にイオン注入法を用いてボロンを、例えば、360KeV,1×1014〜4×1015個/cm2でイオン注入し、その後のアニールで活性化し、光の透過を防止するP+領域22を形成する。以後、メタル配線38による多層配線形成までは、従来のCMOS/SIMOX LSI製造工程に従い製造する。前記SIMOX基板の多層配線がない裏面側のP型シリコン層21を研磨し薄層化し、例えば、100〜300μm程度にする。
【0021】
その後、図5に示すように、受光用に使う完全空乏型MOSトランジスタの直下付近の裏側のP型シリコン層21を異方性エッチング液を用いて除去して穴30を形成する。エッチング液としては、ジメチルアミン、KOH系等である。このとき、埋め込みSiO2の絶縁層23はエッチングされず、また、先に設けたP+領域22のエッチング速度は2桁以上遅いので、所望の所にP+領域22が残る。
【0022】
その後、図6に示すように、チャージアップ防止のために導電性の透明電極39を穴30の内面部分を覆うように形成する。この場合、使用する光31の強度にもよるが穴30のP+領域22の光の透過を一段と防ぐ必要がある場合はP+領域22の表面にチタンシリサイド等のシリサイド40を形成する。
【0023】
また、図7に示すように、穴30のP+ 領域22の光の透過を一段と防ぐために、P+領域22の表面にメッキ等を用い銅等のメタル(合金)41等を形成する。その後、ケース等に実装し出来上がる。必要があればゴミ等から受光部を保護するために穴30の部分に透明フィルム42の保護膜等を設ける。
【0024】
図8は本発明の第1の実施例に係るセル(受光素子+電子回路)をアレー状に組み込んだLSIを示す断面図である。なお、多層配線は省略してある。すなわち、受光用のメッシュ状に配置された完全空乏型MOSトランジスタは多層配線で並列接続されており、光ビームの光軸が少しずれても問題なく、実装が容易で経済的である。
【0025】
なお、受光素子としては、完全空乏型MOSトランジスタの代りに部分空乏型MOSトランジスタ、ショットキーダイオード、PN接合ダイオード、バイポーラトランジスタ、PINダイオードでもよい。
【0026】
[実施例2]
図9(a)は本発明の第2の実施例を示す断面図であり、MOSトランジスタをアレー状に配置し、これを並列接続した構成の音−電気変換素子を組み込んだLSIを示す断面図であり、図9(b)は図9(a)の1個のMOSトランジスタに対応した部分の等価回路図である。図中、図2と同一部分に対応する部分は同一符号を付してその説明を省略する。図において、91はポリシリコン抵抗、92は導電膜の一例としてのエレクトレットフィルム、93は音、94はエレクトレットフィルムの電極、Cはコンデンサ、Rは抵抗、FETは電界効果MOSトランジスタで、ゲートG,ドレインD,ソースSより構成される。すなわち、実施例lと同様にSIMOX基板を用いて、CMOS/SIMOX LSIを製造し、裏面側を研磨しウエハの厚さを薄くする。例えば、200μm程度にする。音−電気変換素子として用いるMOSトランジスタの直下付近の裏面側のP型シリコン層21を異方性エッチング液を用いて除去する。エッチング液としてはジメチルアミン、KOH系等を用いる。このとき、埋込みSiO2の絶縁層23はエッチングされず、エッチング速度の遅いP+領域22が残る。該P+領域22はLSIの製造の段階で上部MOSトランジスタのゲート電極26にメタル配線38で接続される。このメタル配線38は例えば、従来の多層配線形成技術を用いる。また、LSIの製造の段階で基板のP型シリコン層21と該上部MOSトランジスタのゲート電極26との間に抵抗91を形成する。この抵抗91は、従来の手法でポリシリコンまたは埋込みSiO2の絶縁層23上のシリコン単結晶層等を抵抗として用いる。裏面側の穴30の開口部にエレクトレットフィルム92を張りつけ、P型シリコン層21とエレクトレットフィルムの電極94とを電気的に接続する。前記エレクトレットフィルム92で塞がれた孔30は内部と外部との間で気体が流通するような孔(図示せず)が設けられる。前記エレクトレットフィルム92及びP+領域22よりコンデンサCが構成される。以上の手法により、音−電気変換素子がLSIの中に組み込まれる。この構成の電気的等価回路を図9(b)に示す。すなわち、電界効果MOSトランジスタのゲートGにはポリシリコン抵抗91よりなる抵抗Rとエレクトレットフィルム92及びP+領域22よりなるコンデンサCとが並列に接続される。
【0027】
以上のように、音−電気変換回路用MOSトランジスタをアレー状に配置し、並列接続されており、音93は裏面側の穴30の部分のエレクトレットフィルム92とP+領域22とで構成されているコンデンサで検出するので表側の音−電気変換回路用のMOSトランジスタの上には3、4、5層等の多層配線を設けることが出来る。
【0028】
尚、前記P+領域22の表面をシリサイド化あるいはメッキ等によりメタルを形成してもよい。
【0029】
また、音−電気変換素子をLSIチップ内に本実施例のように一体化し構成することにより、実装面積が1/2以下と大幅に低減化される。ところで、携帯電話はますます小型化、軽量化されてきており、腕時計型のものまで研究がされてきている。このような携帯電話等の小型化、軽量化をさらに進める上で、大いに効果的である。
【0030】
また、上記各実施例のNチャネルをPチャネルと、PチャネルをNチャネルとして構成してもよい。
【0031】
また、SOI基板の第1のシリコン基板はN型でもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、多層配線が設けられている側に対して反対側から受光素子に光、音等を入力することにより、光、音等の入力経路を考慮することなく多層配線を形成し得る半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態例に係る完全空乏型MOSトランジスタの光波長とドレイン電流特性を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例の異方性エッチング前の状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の異方性エッチング後の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の異方性エッチング後でシリサイド及び透明電極を設けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例の異方性エッチング後でメタル、透明電極及び透明フィルムを設けた状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係るセル(受光素子+電子回路)をアレー状に組み込んだLSIを示す断面図である。
【図9】(a)は本発明の第2の実施例を示す断面図であり、MOSトランジスタをアレー状に配置し、これを並列接続した構成の音−電気変換素子を組み込んだLSIを示す断面図であり、(b)は(a)の1個のMOSトランジスタに対応した部分の等価回路図である。
【図10】従来のMOS構造の受光素子を示す断面図である。
【図11】従来のLSIのレイアウトを示す構成説明図である。
【符号の説明】
21 P型シリコン層
22 光の透過を防止するP+領域
23 埋込みSiO2の絶縁層
24 N+型ソース領域
25 N+型ドレイン領域
26 ポリシリコンよりなるゲート電極
27 空乏層領域
28 チャネル領域
29 SiO2よりなるゲート酸化膜
30 シリコン層21を部分的に除去して設けられた穴
31 穴30に入射される光
32 P+型ソース領域
33 P+型ドレイン領域
34 ポリシリコンよりなるゲート電極
35 SiO2よりなるゲート酸化膜
36 N領域
37 絶縁膜
38 多層配線を形成するメタル配線
Claims (5)
- 第1のシリコン層上に第1の絶縁膜を設け、この第1の絶縁膜の上に第2の単結晶シリコン層を設けて半導体素子を形成し、この半導体素子を多層配線により接続したSOI基板からなる半導体装置において、前記第1のシリコン層を部分的に除去して1個以上の受光のための穴を設け、前記受光のための穴の中の光を入射させない部分には第1の絶縁膜の下にP+領域を設けたことを特徴とする半導体装置。
- 第1の絶縁膜の下のP+領域の表面をシリサイド化したことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 第1の絶縁膜の下のP+領域の表面にメタルを形成したことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 光を入射させない第1の絶縁膜の下のP+領域に対応した表面と、光を入射させる半導体素子に対応した第1の絶縁膜表面に透明電極を設けたことを特徴とする請求項1、2または3記載の半導体装置。
- 光が入射する穴の部分を透明な膜で覆ったことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の半導体装置。
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