JP3550250B2 - クレーンの荷重計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクレーンの荷重計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
荷を吊り上げて作業を行なうクレーンは、自走式クレーンなどに代表されるように、様々な形態で車体等に装着されて使用される。例えば、搭載型のクレーンが架装されたトラックは、アウトリガジャッキによって車体を支持した状態で、クレーンによってそれ自身の荷台に積荷を積載するという荷役作業を行なうことができる。この場合、前記クレーンは、伸縮起伏および旋回可能なブームを備えており、ウインチにより繰り出され或いは巻き取られるワイヤを介してフックをブームの先端から垂下させて、 フックにより荷を引掛けて吊上げることができる。これによって、オペレータは所望の作業半径および作業角度で荷台に対する積荷の積込み・積降ろしを行なうことができる。
【0003】
ところで、このような荷役作業等を安全に行なうため、クレーンには荷重計が設けられる。オペレータは、この荷重計によってクレーンで吊上げられている荷の重量を把握し、とりわけ3t未満のトラックでは、荷重計によって把握した荷の重量に対応する作業半径(ブームの長さ)およびブーム角度を例えば性能表から得ることにより、許容量以上の荷をクレーンによって吊上げたり不安定な状態で荷を移動させたりすることを予め回避し、これによって、クレーンを搭載した車体等がバランスを崩して転倒してしまうことを防止する。
【0004】
こうした荷重計は、一般に、油圧モータによって作動するウインチの巻上げ圧力すなわちウインチの巻上げ作動時の作動圧の値を荷重値に換算することにより、クレーンによって吊り上げられている荷の重量を表示するようになっている。具体的には、油圧ポンプからウインチを作動させる油圧モータへの圧油の流量および方向を制御弁を介して制御するとともに、前記制御弁の下流側に圧力計を設け、ウインチ巻き上げ方向で油圧モータを駆動させる作動圧(ウインチ巻き上げ作動圧)が前記圧力計に作用した際に、ウインチの巻上げ動作によって吊り上げられる荷の重量を前記圧力計の目盛りから得られるようにしている。そのため、圧力計は、圧力値を表示するその目盛りがウインチ巻き上げ作動圧と比例する吊り上げ荷重の目盛りに置き換えられており、これによって荷重計としての機能を果たせるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した荷重計では、ウインチの巻上げ作動時の作動圧からクレーンによって吊り上げられている荷の重量を得るようにしているため、荷を所定の高さまで吊り上げた段階で、荷重計の上流側に位置する前記制御弁によって油圧モータへの圧油の流れを遮断してウインチの作動を停止させると、荷重計に油圧ポンプからの作動圧が作用しなくなるとともに前記制御弁で生じる油のリークにより、荷重計の目盛りが下がって、吊り荷の正確な重量を荷重計から読み取ることができなくなってしまう。つまり、荷重計に作用していたウインチの巻き上げ作動圧が保持されないため、荷重計の目盛りが下がって、吊り荷の重量を知ることができなくなる。
【0006】
また、従来のクレーンではメカニカルブレーキによってウインチによる巻上げ状態を保持するものが多く、このようなメカニカルブレーキによってウインチの動作をロックすると、吊り荷の負荷がこのメカニカルブレーキの構成要素によって受けられてしまい、これに起因して、荷重計に作用する圧力が急激に低下し、荷重計の目盛りが下がってしまう。
【0007】
いずれにせよ、従来の荷重計では、ウインチの巻上げ作動時でしか吊り荷の正確な重量を知ることができない。したがって、前述したように、オペレータがこの荷重計によってクレーンで吊上げられている荷の重量を把握してその重量に対応する作業半径およびブーム角度を例えば性能表から得て車体の転倒を防止するような場合には、オペレータは、ウインチの巻上げ作動時にしっかりと吊り荷の重量を記憶しておかなければ、その後の作業を安全に遂行することはできない。すなわち、オペレータは、吊り荷の正確な重量を常時知ることができないため、作業中に吊り荷の重量を忘れてしまったり、記憶違いをしてしまっていたりすると、その吊り荷の重量に対応する作業半径またはブーム角度を越えて作業をしてしまう虞があり、車体の転倒の危険性がある。
【0008】
また、ウインチの巻上げ作動時のみしか吊り荷の重量を知ることができないことから、オペレータは、ウインチの巻上げ作動時に視線を吊り荷から荷重計へと移す必要がある。つまり、吊り荷から目を離してしまうことによって、最悪、吊り荷を巻き上げ過ぎてしまう虞もある。
【0009】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ウインチの作動の如何に関わらず、吊り荷の正確な重量を常時表示することができるクレーンの荷重計測装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ワイヤを巻き取る際に第1の油圧管路を介して圧油を供給され、ワイヤを繰り出す際に第2の油圧管路を介して圧油を供給される油圧モータで駆動されるウインチを備え、このウインチによって巻き取られる荷吊り用のワイヤにより、ブームを介して吊り上げられる荷の荷重を計測するためのクレーンの荷重計測装置において、前記第1の油圧管路から分岐する接続管路に接続され、この接続管路を通じて第1の油圧管路内の油圧を受ける荷重計と、前記接続管路に介装され、ワイヤを巻き取る際に前記第1の油圧管路の巻上げ作動圧を荷重計に作用させるとともに、ワイヤを繰り出す際に荷重計を第1の油圧管路から遮断して前記巻上げ作動圧を荷重計側で保持可能な弁手段と、を具備し、この弁手段は、パイロット圧回路を介して第1の油圧管路から供給されるパイロット圧により、油流阻止方向にも油を流すパイロットチェックバルブとして形成され、巻上げ作動停止後にウインチ巻上げ作動が再開されたときに、前記荷重計をリセットすることを特徴とするものである。
更に、本発明によると、ワイヤを巻き取る際に第1の油圧管路を介して圧油を供給され、ワイヤを繰り出す際に第2の油圧管路を介して圧油を供給される油圧モータで駆動されるウインチを備え、このウインチによって巻き取られる荷吊り用のワイヤにより、ブームを介して吊り上げられる荷の荷重を計測するためのクレーンの荷重計測装置において、前記第1の油圧管路から分岐する接続管路に接続され、この接続管路を通じて第1の油圧管路内の油圧を受ける荷重計と、前記接続管路に介装され、ワイヤを巻き取る際に前記第1の油圧管路の巻上げ作動圧を荷重計に作用させるとともに、ワイヤを繰り出す際に荷重計を第1の油圧管路から遮断して前記巻上げ作動圧を荷重計側で保持可能な弁手段と、前記第1の油圧管路と第2の油圧管路とを介して油圧ポンプへの圧油の流れを制御する制御弁で作動され、この制御弁が第1の油圧管路に圧油を流す位置に配置されたときに、ON状態に切換えられるリミットスイッチとを具備し、前記弁手段は、前記リミットスイッチがON状態に切換えられたときに、前記荷重計を第1の油圧管路から遮断する閉位置から開かれ、第1の油圧管路に作用する巻上げ作動圧を荷重計に作用させる電磁切換弁で形成されるクレーンの荷重計測装置が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1ないし図3は本発明の第1の実施形態を示している。図1の(a)は搭載型クレーン3が架装されたトラック1を概略的に示したものである。図示のように、トラック1は、公知のトラック車体2にクレーン3と左右一対のアウトリガジャッキ4,4とを備えている。車体2は、スプリング支持のニューマチックタイヤ7,7で支持され、荷台9に所定重量の荷物を積載することができるようになっている。
【0012】
クレーン3はキャブ5の後側に取り付けられている。クレーン3は、伸縮起伏および旋回可能なブーム6を備えており、ブーム6の支持部12に設置されたウインチ30(図3参照)により繰り出され或いは巻き取られるワイヤ11を介してフック10をブーム6の先端から垂下させて、フック10により荷を引掛けて吊上げることができる。なお、ブーム6の支持部12には、油圧によって駆動されるクレーン3およびアウトリガジャッキ4,4の動作を制御するための各種の操作レバー60〜65が図1の(b)に示すように設けられており、これらの操作レバー60〜65を操作することにより、クレーン3を動作させる各駆動要素13,19,23,32(図3参照)およびアウトリガジャッキ4,4への圧油の流れを制御する後述の制御弁40〜45(図3参照)が切換え制御されるものである。
【0013】
なお、クレーン3を用いて荷役作業を行なう場合は、例えば、図1の(a)に示すように、キャブ5側である車体2の前方を油圧作動のアウトリガジャッキ4,4によって持ち上げて支持するとともに、車体2の後方をニューマチックタイヤ7,7によって支持する。そして、このように4点支持した状態で、クレーン3によって荷台9に積荷を積載する。
【0014】
図3には、クレーン3およびアウトリガ4,4を動作させるための油圧回路が示されている。図示のように、リザーバタンク35から油圧ポンプ33を介して吐き出された圧油は、吐出管路37を通じて圧送され、スプール弁である各制御弁40〜45を介して、クレーン3を動作させる各駆動要素13,19,23,32およびアウトリガジャッキ4,4に個別に送られるようになっている。
【0015】
具体的には、図1の(b)に示す操作レバー60〜65を操作することにより、その操作したレバーに対応する制御弁40〜45のスプールが移動される。そして、第1の制御弁40のスプールの移動により、ブーム6を起伏させる起伏シリンダ13への圧油の流れが制御され、第2の制御弁41のスプールの移動により、ウインチ30を駆動させる油圧モータ23への圧油の流れが制御され、第3の制御弁42のスプールの移動により、ブーム6を伸縮させる伸縮シリンダ19への圧油の流れが制御され、第4の制御弁43のスプールの移動により、ブーム支持部12を介してブーム6を旋回させる旋回駆動機構31の油圧モータ32への圧油の流れが制御され、第5および第6の制御弁44,45のスプールの移動により、アウトリガジャッキ4,4への圧油の流れが制御される。
【0016】
なお、クレーン3を動作させる各駆動要素13,19,23,32およびアウトリガジャッキ4,4からの戻り油は各制御弁40〜45を介して戻し管路36に戻され、この戻し管路36を通じてリザーバタンク35に回収される。制御弁40〜45は例えばマルチプルユニット弁として一体に形成されている。
【0017】
また、図1の(b)に示すアクセルレバー66を操作することにより、搭載エンジンの回転数が変化し、それに伴って油圧ポンプ33の回転数すなわち吐出流量が変化されて、各駆動要素13,19,23,32の作動速度が変化する。つまり、各駆動要素13,19,23,32の作動速度は、操作レバー60〜65の操作量に伴って変化するスプールの移動量に起因する制御弁40〜45の各ポートの開度と、アクセルレバー66の操作量に伴って変化する油圧ポンプ33の吐出流量とによって、決定される。
【0018】
図2には、本実施例の特徴的な構成である油圧モータ23側の油圧回路系Aが示されている。図示のように、ウインチ30を駆動させる油圧モータ23からは2つの油圧管路50,51が延びており、これらの油圧管路50,51はそれぞれ図3に示すように第2の制御弁41の所定のポートに別個に接続されている。
【0019】
この回路構成では、吐出管路37を通じて圧送された圧油が図中矢印aで示すように第1の油圧管路50を通じて油圧モータ23に流れるように第2の制御弁41が切換え制御されると、油圧モータ23が正転してウインチ30によってワイヤ11が巻き取られる(ウインチ巻上げ作動)。なお、この場合、油圧モータ23から吐出された圧油は、第2の油圧管路51と第2の制御弁41とを介して戻し管路36からリザーバタンク35へと回収される。
【0020】
また、吐出管路37を通じて圧送された圧油が図中矢印bで示すように第2の油圧管路51を通じて油圧モータ23に流れるように第2の制御弁41が切換え制御されると、油圧モータ23が逆転してウインチ30からワイヤ11が繰り出される(ウインチ巻下げ作動)。無論、この場合も、油圧モータ23から吐出された圧油は、第1の油圧管路50と第2の制御弁41とを介して戻し管路36からリザーバタンク35へと回収される。
【0021】
また、図示のように、第1の油圧管路50の途中からは分岐管路52が分岐しており、分岐管路52にはスイベルジョイント21を介して荷重計20が接続されている。荷重計20の上流側に位置する分岐管路52の部位には荷重計20に向けて開のチェックバルブ22が介装されている。この場合、チェックバルブ22のクラッキング圧力は、ウインチ巻下げ作動時すなわち圧油が図中矢印bで示すように第2の油圧管路51を通じて油圧モータ23へと流れる際の第1の油圧管路50側の圧力、具体的には例えばリザーバタンク35に通じる制御弁41のタンク側ポートの圧力、よりも大きく設定されている。したがって、第1の油圧管路50内の圧油はウインチ30による巻上げ作動時にのみ分岐管路52を通じて荷重計20側に流れ、荷重計20に作用した油圧はチェックバルブ22によって常時保持される。ただし、チェックバルブ22はパイロット圧回路53を介したパイロット圧によって強制的に押し開けられて油流阻止方向にも油を流す構造を備えたパイロットチェックバルブとして構成されており、ウインチ巻上げ作動停止後に再びウインチ巻上げ作動が開始されると、パイロット圧によってチェックバルブ22が強制的に油流阻止方向に開かれ、荷重計20側に封入された圧油が解放されて荷重計20がリセットされる。
【0022】
なお、荷重計20は、第1の油圧管路50内の油圧をチェックバルブ22を介して受ける圧力計すなわちウインチ巻上げ作動時の作動圧を受ける圧力計として構成されており、圧力値を表示するその目盛りがウインチ巻上げ作動圧と比例する吊り上げ荷重の目盛りに置き換えられて、荷重計としての機能を果たせるようになっている。つまり、ウインチ30の巻上げ作動圧の値を荷重値に換算することにより、クレーン3によって吊り上げられている荷の重量を表示するようになっている。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、チェックバルブ22によってウインチ巻上げ作動時の作動圧が荷重計20とチェックバルブ22との間に封入されるため、ウインチ30の作動の如何に関わらず、吊り荷の正確な重量を荷重計20の目盛りから常時知ることができる。すなわち、ウインチ巻上げ作動圧がチェックバルブ22の下流側で保持されたまま荷重計20に常時作用するため、操作レバーを中立に戻して制御弁41によって油圧モータ23への圧油の流れを遮断(ウインチ30の作動を停止)しても、クレーン3によって吊り上げられた荷の正確な重量を荷重計20から読み取ることができる。また、その後にウインチ巻下げ作動を行なっても、チェックバルブ22のクラッキング圧力を前述したように設定したため、第1の油圧管路50内の圧油が荷重計20側に流入することなくチェックバルブ22の下流側でウインチ巻上げ作動圧が保持され、荷の正確な重量を荷重計20から知ることができる。
【0024】
したがって、ウインチ30の巻上げ作動時に吊り荷の重量を記憶しておかなくて済むため、吊り荷の重量に対応する作業半径またはブーム角度を越えて作業をしてしまうといった事態を確実に回避でき、車体の転倒を確実に防止できる。また、オペレータは、巻き上げ操作を終了してから荷重計20の目盛りを読み取れば良いため、ウインチの巻上げ作動時に視線を吊り荷から荷重計20へ移す必要がなくなる。したがって、吊り荷から目を離してしまうことによって吊り荷を巻き上げ過ぎてしまうといったことがない。また、巻き上げ操作を終了してから荷重計20の目盛りを読み取れば、荷重計20の指針が止まっているので、荷重の読取りが容易である。
【0025】
なお、以上のような効果は、前述したように部品数が少ない簡単な構成によって得られるため、既存の車両に本構成を後付けすることによっても得ることができる。
【0026】
また、本実施例では、チェックバルブ22によってウインチ巻上げ作動圧を荷重計20側に封入するようにしているが、チェックバルブ22を電磁切換弁に代え、この電磁切換弁の切換え動作を制御弁41の切換え動作と連動させることにより荷重計22側への圧油の流入出を制御するようにしても良い。すなわち、例えばラジコンやリモコン装置等によって遠隔的に或いは操作レバーの操作によって制御弁41がウインチ巻上げ作動側に切換えられた時にだけ、前記電磁切換弁を開いてウインチ巻上げ作動圧を荷重計20側に流入させるようにしても良い。
【0027】
図4ないし図6は本発明の第2の実施形態を示している。なお、図4ないし図6において第1の実施形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図4に示すように、本実施形態では、油圧回路系Aの分岐管路52に、チェックバルブではなく電磁切換弁68が介装されている。図示のように、この電磁切換弁68は、電気的に互いに直列に接続された2つのリミットスイッチ66,67によって切換え制御されるようになっている。
【0029】
図5の(a)に示すように、ウインチ用の第2の制御弁41は、スプール55が図中実線で示す中立位置に位置されている時には油圧モータ23への圧油の流れを遮断するが、スプール55がその中立位置から図中左方向へ移動されると油圧ポンプ33(図3参照)からの圧油を第2の油圧管路51を通じて油圧モータ23に流してウインチ巻下げ作動を生起させ、また、スプール55がその中立位置から図中矢印で示す右方向へ移動されると油圧ポンプ33(図3参照)からの圧油を第1の油圧管路50を通じて油圧モータ23に流してウインチ巻上げ作動を生起させる。
【0030】
第1のリミットスイッチ66は、スプール55の移動経路に沿う所定の位置、すなわち、スプール55の中立位置からウインチ巻上げ作動方向(図中右方向)に所定距離離間した位置に設けられており、ウインチ巻上げ作動方向に向かうスプール55の所定の移動区間sでのみそのスイッチがONされるようにセットされている。そして、第1のリミットスイッチ66がONされると、通常ON状態にある後述する第2のリミットスイッチ67とON状態に切換えられたこの第1のリミットスイッチ66とを介して励磁電流が電磁切換弁68に流れ、通常閉位置にある電磁切換弁68が開かれる。つまり、電磁切換弁68は、スプール55が移動区間sを移動している間だけ開いて第1の油圧管路50内のウインチ巻上げ作動圧を荷重計20側に導き、それ以外はその作動圧を保持し続ける。
【0031】
このように、スプール55の所定の移動区間sでのみ電磁切換弁68を開く理由は、ウインチ巻上げ操作以外の他の操作に係わる作動圧による影響を極力少なくして、荷重計20によって正確な吊り荷の荷重値を得るためである。すなわち、図5の(b)に示すように、制御弁41は、スプール55の移動量が大きくなるにつれてそのポートの開度が大きくなり、油圧モータ30への圧油の流量を増大させるが、ウインチ巻上げ作動時における制御弁41のポートの開度によっては、ウインチ操作以外の他の操作の作動圧が制御弁41を介して油圧モータ23側に大きく作用してしまう。つまり、ウインチ巻上げ操作以外の他の操作に係わる作動圧によって制御弁41を通じて油圧モータ30側に送られるウインチ巻上げ作動圧が影響を受け、荷重計20によって正確な吊り荷の荷重値を得ることができなくなってしまう。なお、ウインチ30の巻上げを微速で行なっている場合すなわちスプール55の移動量が小さい場合にも、ウインチ巻上げ作動圧が非常に不安定であり、正確な荷重値を得ることができない。
【0032】
そこで、本実施形態では、ウインチ巻上げ操作以外の他の操作に係わる作動圧による影響が極力少なく且つウインチ巻上げ作動圧が安定している範囲、すなわちスプール55が所定の移動区間sを移動している時にのみ、電磁切換弁68を開いてウインチ巻上げ作動圧を荷重計20に導くようにしている。このような移動区間sは、具体的には、図5の(b)に示すように例えば2mm〜6mmの4mm区間である。なお、図5の(a)には、スプール55が中立位置から2mm移動した位置がイで、6mm移動した位置がロでそれぞれ示されている。
【0033】
ところで、図1の(b)に示した操作レバー60〜65の中には増速機能を備えたものがある。図6には、このような増速機能を備えた操作レバーLが示されている。図示のように、操作レバーL(60〜65)は、車体の左右にそれぞれ設けられており、これらはロッド 70を介して互いに連動するようになっている。操作レバーLを操作すると、その操作量に応じて操作レバーLと対応する制御弁のスプールがスプールエンドまで移動するが、スプールがスプールエンドに達した状態からさらに操作レバーLを操作すると、図中一点鎖線で示すようにレバーブラケットのバチ71がローラ72を移動させ、ローラ72の移動によってローラリンク73に連結されたケーブルが引かれて搭載エンジンの回転数が上がる。これによって、油圧ポンプ33の回転数すなわち吐出流量が増大して操作レバーLに対応するアクチュエータの作動速度が増大する。つまり、操作レバーLは、スプールエンド以上に操作(アクセル連動操作)することで、図1の(b)に示すアクセルレバー66と同一の機能を果たすようになる。
【0034】
前述したように、スプール55が所定の移動区間sを移動している時は荷重計20によって正確な吊り荷の荷重値を得ることができるが、このような移動区間sであっても、その他の操作レバーでアクセル連動操作が行なわれると、その影響を受けて、荷重計20によって正確な吊り荷の荷重値を得ることができなくなる。すなわち、スプール55が所定の移動区間sを移動するウインチ操作時に、ウインチ操作レバー以外の他の操作レバーをアクセル連動操作して流量の増加に伴う圧力の上昇を引き起こすと、その上昇した圧力が荷重計20内に侵入して、荷重計20による正確な荷重値が得られなくなる。
【0035】
そこで、本実施形態では、アクセル連動操作が行われた場合には、スプール55が移動区間sを移動している場合であっても、電磁切換弁68を閉じて、ウインチ巻上げ作動圧を荷重計20に導かないようにしている。具体的には、図6に示すように、操作レバーLのアクセル連動操作によって動作するローラリンク73によって第2のリミットスイッチ67がON/OFFされるようにする。この構成では、操作レバーLによってスプールを移動させる通常の操作を行なっている場合には、不動のローラリンク73によって第2のリミットスイッチ67がON状態に保持されているが、操作レバーLのアクセル連動操作によってローラリンク73が動作すると、第2のリミットスイッチ67がOFF状態となる。
【0036】
したがって、スプール55が移動区間sを移動して電磁切換弁68が開かれている場合であっても、操作レバーLによるアクセル連動操作が行なわれると、第2のリミットスイッチ67がOFF状態となり、この第2のリミットスイッチ67によって励磁電流が電磁切換弁68に流れなくなる。すなわち、電磁切換弁68が閉じられて荷重計 20へのウインチ巻上げ作動圧の導入が行なわれなくなる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、スプール55が移動区間sを移動し且つ操作レバーLによるアクセル連動操作が行われていない場合にだけ、ON状態にある第1のリミットスイッチ66と第2のリミットスイッチ67とを介して励磁電流が電磁切換弁68に流れ、電磁切換弁68が開かれるため、第1の実施形態と同一の効果を得ることができるとともに、第1の実施形態よりもさらに正確な荷重値を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ウインチの作動の如何に関わらず、吊り荷の正確な重量を常時表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の荷重計測装置が適用されるクレーンを搭載したトラックの概略図、(b)は(a)のクレーンのアクチュエータを作動させる操作レバーの詳細図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る荷重計測装置の回路構成図である。
【図3】クレーンのアクチュエータを作動させる油圧回路図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る荷重計測装置の回路構成図である。
【図5】(a)は図4の荷重計測装を構成する電磁弁の動作を制御するリミットスイッチと、リミットスイッチを動作させる制御弁とを示す図、(b)は前記制御弁のスプール移動量と制御弁を通じて流れる流量との関係を示すグラフ図である。
【図6】制御弁の動作を制御し且つ増速機構を備えた操作レバーの概略図である。
【符号の説明】
20…荷重計、22…チェックバルブ(弁手段)、23…油圧モータ、30…ウインチ、50,51…油圧管路、52…分岐管路(接続管路)、68…電磁切換弁(弁手段)。
Claims (3)
- ワイヤを巻き取る際に第1の油圧管路を介して圧油を供給され、ワイヤを繰り出す際に第2の油圧管路を介して圧油を供給される油圧モータで駆動されるウインチを備え、このウインチによって巻き取られる荷吊り用のワイヤにより、ブームを介して吊り上げられる荷の荷重を計測するためのクレーンの荷重計測装置において、
前記第1の油圧管路から分岐する接続管路に接続され、この接続管路を通じて第1の油圧管路内の油圧を受ける荷重計と、
前記接続管路に介装され、ワイヤを巻き取る際に前記第1の油圧管路の巻上げ作動圧を荷重計に作用させるとともに、ワイヤを繰り出す際に荷重計を第1の油圧管路から遮断して前記巻上げ作動圧を荷重計側で保持可能な弁手段と、を具備し、
この弁手段は、パイロット圧回路を介して第1の油圧管路から供給されるパイロット圧により、油流阻止方向にも油を流すパイロットチェックバルブとして形成され、巻上げ作動停止後にウインチ巻上げ作動が再開されたときに、前記荷重計をリセットすることを特徴とするクレーンの荷重計測装置。 - 前記パイロットチェックバルブのクラッキング圧力は、ワイヤを繰り出す際に第1の油圧管路に作用する圧力よりもよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のクレーンの荷重計測装置。
- ワイヤを巻き取る際に第1の油圧管路を介して圧油を供給され、ワイヤを繰り出す際に第2の油圧管路を介して圧油を供給される油圧モータで駆動されるウインチを備え、このウインチによって巻き取られる荷吊り用のワイヤにより、ブームを介して吊り上げられる荷の荷重を計測するためのクレーンの荷重計測装置において、
前記第1の油圧管路から分岐する接続管路に接続され、この接続管路を通じて第1の油圧管路内の油圧を受ける荷重計と、
前記接続管路に介装され、ワイヤを巻き取る際に前記第1の油圧管路の巻上げ作動圧を荷重計に作用させるとともに、ワイヤを繰り出す際に荷重計を第1の油圧管路から遮断して前記巻上げ作動圧を荷重計側で保持可能な弁手段と、
前記第1の油圧管路と第2の油圧管路とを介して油圧ポンプへの圧油の流れを制御する制御弁で作動され、この制御弁が第1の油圧管路に圧油を流す位置に配置されたときに、ON状態に切換えられるリミットスイッチとを具備し、
前記弁手段は、前記リミットスイッチがON状態に切換えられたときに、前記荷重計を第1の油圧管路から遮断する閉位置から開かれ、第1の油圧管路に作用する巻上げ作動圧を荷重計に作用させる電磁切換弁で形成されることを特徴とするクレーンの荷重計測装置。
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JP09543696A JP3550250B2 (ja) | 1996-04-17 | 1996-04-17 | クレーンの荷重計測装置 |
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