JP3550217B2 - シーラー用樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は無機質系窯業建材の表面の強化用水系シーラー用樹脂組成物に関し、水系の問題点である基材への含浸性、密着性、耐水性、耐久性に優れた新規なシーラー用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、珪カル板、パルプセメント板、石膏スラグ板、石綿パーライト板、木片セメント板、セメント系押出成形板、ALC板などの無機質系窯業建材は軽いこと、断熱性、遮音性に優れており建築材料として極めて有用であるが、その表面はそのままでは表面強度が低く、けば立ち、水分などの吸収が大きく問題があった。このためその表面に紙を貼ったり、プライマーあるいはシーラーと称される溶剤型塗料を塗布することにより表面を改良していた。
この塗料としてはウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、塩化ビニル樹脂系などの溶剤系プライマーが知られており、そのひとつに湿気硬化型ウレタン樹脂系がある。このものは表面補強効果及び止水性能では優れているが、プライマー処理したまま放置しておくと、塗膜の硬化が進みすぎて初め良好であったプライマーと基材の密着性が低下してくるという問題、更に溶剤系であるため火災に対する危険、環境汚染の問題、さらには希釈剤として高価な溶剤が必要となるためコストアップが避けられないという問題等があった。
またエポキシエマルジョンを用いる方法では、基材に対する含浸性に優れるものの、硬化剤を用いるため二液混合性になり、取り扱いが煩雑になるうえポットライフの問題や塗装を行う時間に制約が出てくるなどに実用上多くの問題点があり、またエポキシ樹脂を水で乳化する場合に多量の乳化剤を必要とするため耐水性の低下することが避けられないこと等の問題がある。
【0003】
一方水系プライマーでは水溶液樹脂や水分散性樹脂を主成分とする有機溶剤を使用しないあるいは使用量の少ないプライマーの開発も行われているが、水溶液樹脂系では耐水性が、また水分散性樹脂では基材への含浸性、密着性や塗膜の耐水性に問題があって長期耐久性に欠けるという問題がある。
このため合成樹脂エマルジョン及び/または水溶性樹脂溶液の基材への含浸性を向上させるため、珪酸塩を併用する方法(特開昭63−310782号公報)が提案されているが耐水性に問題が残っている。またアクリルエマルジョンに水溶液樹脂をブレンドする方法(特開昭61−141769号公報)あるいはポリビニルアルコールをブレンドする方法(特開昭53−97018号公報)などが提案されているが、いずれの方法もまだ無機系多孔質基材に対する含浸性、密着性、耐水性、耐久性を満足させるものは見当たらない。 以上のように取り扱いが容易で、かつ十分な性能を有する水性シーラーは現在の段階では得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は安価であり、環境汚染の問題のない水系シーラーであって、取り扱いが容易な1液性で安定性があり、かつ水系プライマーの問題点である基材に対する含浸性、密着性に優れ、塗膜は耐水性、耐久性のある1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物及びその製造方法の開発を目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明は、
[1]一般式(1)
【化3】
(式中、R1 :H、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキル基、R2 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、R3 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、m:1〜6の数を示す。)
で示されるアミノアルキルアクリレート系単量体及び/または一般式(2)
【化4】
(式中、R4 :H、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキル基、R5 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、R6 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、n:1〜6の数を示す。)
で示されるN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体3〜70重量部及びアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、α−またはβ−不飽和アミド、α−またはβ−不飽和ニトリル、スチレン系誘導体、ビニルエステル類、カルボキシル基含有ビニルモノマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性ビニルモノマー97〜30重量部と溶液共重合して得られたアクリル樹脂(A) 5〜90重量部
エポキシ樹脂(B) 95〜10重量部
を混合して得られたアクリル変性エポキシ樹脂を水中に分散してなる1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物、
[2] アミノアルキルアクリレート系単量体及び/またはN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体を3〜70重量部含有するアクリル樹脂(A)である上記[1]に記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物。
[3] エポキシ樹脂(B)の数平均分子量が4000未満である上記[1]に記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物、及び
[4] 上記[1]に記載のアクリル樹脂(A)5〜90重量部とエポキシ樹脂(B)95〜10重量部を有機溶剤中において、30〜120℃、10分〜5時間、混合せしめ、該混合物をpHが3〜8になるように酸性化合物を添加、水に分散せしめる1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物の製造方法、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0006】
本発明において用いられるアミノアルキルアクリレート系単量体の主たるものを挙げると、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジブチルアミノエチルアクリレート、ジt−ブチルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、メチルアミノメチルアクリレート、エチルアミノメチルアクリレート、メチルアミノエチルアクリレート、エチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート、アミルアミノエチルアクリレート、シクロヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート、ヘキシルアミノヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノペンタクリレート、ジメチルアミノクロロアクリレートなどが挙げられる。
また、N−アミノアルキルアクリルアミド系単量体としては、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0007】
本発明のアミノアルキルアクリレート系単量体及び/またはN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体(以下両者をアミノアルキルアクリレート系単量体等という。)と共重合する重合性ビニルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如きヒドロキシアルキルアクリレート類;アクリルアミド、n−メチルアクリルアミドの如きα−またはβ−不飽和アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きα−またはβ−不飽和ニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;ビニルアセテート、ビニルプロピオネートの如きビニルエステル類などを挙げることができる。
【0008】
更に本発明では、アミノアルキルアクリレート系単量体等と共重合する重合性ビニルモノマーとしてカルボキシル基含有ビニルモノマーを使用できる。このカルボキシル基は、アクリル樹脂とエポキシ樹脂との反応を促進するだけでなく、皮膜形成後の硬化の促進作用も認められる。また一部のアミノ基と分子内塩を作り、最終的に得られたアクリル変性エポキシ樹脂水性ディスパージョンの安定性を改良する効果もある。このカルボキシル基含有のビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。これらのビニルモノマーは単独で、または2種以上を組み合わせて任意に使用することができる。
【0009】
アミノアルキルアクリレート系単量体等の使用量としては、アクリル樹脂固形分100重量部あたり、3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。3重量部未満ではアミノ基の含有量が少なく、エポキシ樹脂との反応が十分に行われないため、アクリル−エポキシとの相溶性が悪くなり、かつ水性媒体中に分散するために必要なカチオン成分を残せない等から好ましくない。また70重量部を越えるとアミノ基含有量が高くなり、皮膜の耐水性を低下させるだけでなくエポキシ樹脂との反応でゲル構造を取りやすくなるので好ましくない。
アクリル樹脂(A)の製造方法としては特に限定されているわけでなく、公知のアクリル樹脂の製造方法を用いて製造できる。例えば、アミノアルキルアクリレート系単量体等と重合性ビニルモノマー混合物を、有機溶媒中で、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の通常のラジカル重合触媒を用いて80〜120℃の温度で共重合させることにより得ることができる。
【0010】
本発明で使用できるエポキシ樹脂(B)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂や、フェノール系化合物変性エポキシ樹脂、1価及び多官能アルコールのモノ及び多官能グリシジルエーテル、多官能カルボン酸のモノ及び多官能グリシジルエーテルなどを挙げることができる。
市販品としては、例えばシェル化学株式会社製の『エピコート』152、154、828、1001、1002、1004、1007、1009、1010;大日本インキ化学工業株式会社製の『エピクロン』1050、4050、7050、7055、;長瀬化成工業株式会社製の『ディナコール』EX−111、EX−121、EX−141、EX−146等のモノグリシジルエーテル、『ディナコール』EX−211、EX−810、EX−701、EX−721等のジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の既製のエポキシ樹脂をそのまま使用できる。この場合のエポキシ樹脂(B)の分子量は数平均分子量として4000未満が好ましい。分子量が4000以上になるとシーラー用樹脂組成物の基材への含浸性が低下する傾向がある。
【0011】
本発明のシーラー用樹脂組成物は、カチオン性樹脂水性分散液であり、アミノ基含有アクリル樹脂(A)5〜90重量部とエポキシ樹脂(B)95〜10重量部を有機溶剤中で30〜120℃、好ましくは70℃以下の温度において、10分〜5時間混合せしめる。
アクリル樹脂(A)の使用量が5重量部未満では、樹脂の分散安定性が低下し、また架橋密度が低下するため密着性が低下する。またアクリル樹脂(A)の使用量が90重量部より多い場合は、樹脂の含浸性が低下するので好ましくない。
【0012】
この場合エポキシ樹脂(B)の添加の際にゲルの生成を防ぐ目的で、希釈溶剤として有機溶剤に溶解して添加することが好ましい。この混合の際に用いる希釈溶剤は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールモノエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤、ブチルカルビトール等のジエチレングリコール系溶剤、N−メチル−2ピロリドン等の非プロトン性溶剤等公知の有機溶剤を任意の割合で使用できる。
特にエポキシ樹脂の溶剤として通常用いられているトルエン、キシレン、ミネラルスピリッツ等の疎水系の有機溶剤、あるいは水に難溶性の有機溶剤等は、単独で使用した場合は樹脂の水に対する分散安定性に問題があるので、これらの溶剤と水溶性の有機溶剤との混合溶剤として使用することが好ましい。また、メチルエーテルを用いる場合は、高沸点の有機溶剤との混合溶剤として使用することが好ましい。
【0013】
このようにして得られたシーラー用樹脂組成物のpHが3〜8になるように酸性化合物で中和すると共に水に分散せしめる。混合温度がこれよりも高いとシーラー用樹脂組成物がゲル化しやすく樹脂の浸透性が低下するので好ましくない。
ここで使用する酸性化合物は揮発性の酸性化合物、例えばぎ酸、酢酸、酪酸、乳酸等の低沸点の有機酸化合物が好ましい。不揮発性の無機酸は塗膜中に残存しやすく、塗膜の耐水性を低下させるので好ましくない。
【0014】
【作用】
従来のシーラー用樹脂組成物は、水分散液にあっては樹脂が高分子のため基材への浸透性に問題があり、また水溶液樹脂系では樹脂の分子量がやや低いために基材への浸透性は良好であるが、耐水性等に問題があった。
これに対し、本発明のシーラー用樹脂組成物は、樹脂の基材への浸透性を高く維持させるため、樹脂組成物中のエポキシ樹脂(B)の分子量を小さく維持している。これが基材に塗布されたときエマルジョンがこわれ、アクリル樹脂(A)中のアミノ基と基材に浸透したエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基が反応し、架橋して網状構造を有する超高分子樹脂になることにより無機質系窯業建材の基材表面強度を改善するものであり、水性樹脂組成物であっても耐水性、耐久性に優れた表面構造を得られるのも基材表面層において架橋反応が進行し、もとの樹脂組成とは異なる網状高分子となるためである。
【0015】
なお、本発明のシーラー用樹脂組成物が1液性であるにも拘らず、ポットライフの安定性が優れているのはシーラー用樹脂組成物が安定なエマルジョンを形成し、アクリル樹脂(A)中のアミノ基はエマルジョン粒子の表面から水層へ配向するのに対し、エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基はエマルジョン粒子内部に配向しているため、1液性であっても安定性が高いものと推定している。しかし、この樹脂組成物が一旦無機質系窯業建材等基材の表面に塗布されるとエマルジョンがこわされ、アクリル樹脂(A)中のアミノ基とエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基が反応し、架橋高分子となるものと思われる。
【0016】
【実施例】
[試験方法]
(密着性)珪酸カルシウム板にシーラー用樹脂組成物を100g(wet)/m2 になるように塗布し、150℃、10分乾燥した後上塗り剤として市販塗料(日本ペイント株式会社製[H1−ビニレックス]を150g/m2 塗布し、更に150℃、3分乾燥した。その後室温まで冷却し、セロハンテープによる碁盤目試験を行った。
(耐温水性)上記の方法で作製したシーラー塗工板を、40℃の温水に一週間浸漬し、室温で24時間乾燥した後、セロハンテープによる剥離試験を行った。
(耐凍害性)上記の方法で作製したシーラー塗工板の裏面及び側面をエポキシ樹脂でシーリングを行い、−20℃、3時間放置後、10℃の水中で3時間放置(空中凍結−水中解凍)を1サイクルとして、100サイクルを行った後の塗膜の状態を評価した。
(ポットライフ)硬化剤を添加してからゲル化するまでの時間を測定した。
(高温安定性)60℃。1週間での水分散体の安定性を測定した。
【0017】
(実施例1)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 105重量部
n−ブチルアクリレート 105重量部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 90重量部
ブチルセロソルブ 157重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ140重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.8重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1200重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1200重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で60分間保持し、冷却後乳酸54重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は21.1%であった。
【0018】
(実施例2)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 39重量部
n−ブチルアクリレート 55重量部
ジエチルアミノエチルアクリレート 45重量部
アクリルアミド(40% 水溶液) 20重量部
ブチルセロソルブ 38重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ100重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.8重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1350重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1350重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸27重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.2%であった。
【0019】
(実施例3)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 75重量部
n−ブチルアクリレート 105重量部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 90重量部
メタクリル酸 18重量部
ブチルセロソルブ 169重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ140重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.4重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1200重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1200重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸54重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.8%であった。
【0020】
(実施例4)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 147重量部
n−ブチルアクリレート 165重量部
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド 45重量部
アクリルアミド(40% 水溶液) 20重量部
ブチルセロソルブ 163重量部
アゾイソブチロニトリル 10重量部
ブチルセロソルブ200重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.9重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ375重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1001]375重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸27重量部を添加し、水2200重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.4%であった。
【0021】
(比較例1)
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA214)の18%水溶液250重量部に、エポキシ樹脂[エピコート828]950重量部を添加し、イオン交換水3800重量部添加した。得られたエマルジョンは固形分が20.1%であった。硬化剤として[アデカハードナーEH−217]を該エマルジョン100重量部に対し8重量部添加してシーラー用樹脂組成物とした。
【0022】
(比較例2)
エポキシ樹脂[エピコート1001]500重量部をキシレン500重量部に溶解し、乳化剤として[エマルゲン950]50重量部、水50重量部を添加し十分攪拌した後、イオン交換水1450重量部添加してエマルジョンを得た。得られた樹脂組成物の固形分は20.5%であった。該樹脂組成物100重量部に硬化剤[アデカハードナーEH−217]2部を使用前に添加しシーラー用樹脂組成物とした。
これらの実施例、比較例で得たシーラー用樹脂組成物の評価試験を行い結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明のシーラー用樹脂組成物は、無機質系窯業建材のための表面処理用のシーラントとして、環境汚染の少ない水性のプライマーでありながら基材に対し含浸性、密着性に優れ、得られる皮膜は耐水性、耐久性に優れており、生産コストも安価であって極めて優れたものである。特に1液性でありながら高温における安定性も良く、ポットライフも長く使用に便利であり、得られる皮膜は耐温水性、耐凍害性にも優れており、珪カル板、パルプセメント板、石膏スラグ板、石綿パーライト板、木片セメント板、セメント系押出成形板、ALC板等の表面強度の改良、毛羽立ちの防止に極めて効果の大きいシーラー用樹脂組成物である。
【産業上の利用分野】
本発明は無機質系窯業建材の表面の強化用水系シーラー用樹脂組成物に関し、水系の問題点である基材への含浸性、密着性、耐水性、耐久性に優れた新規なシーラー用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、珪カル板、パルプセメント板、石膏スラグ板、石綿パーライト板、木片セメント板、セメント系押出成形板、ALC板などの無機質系窯業建材は軽いこと、断熱性、遮音性に優れており建築材料として極めて有用であるが、その表面はそのままでは表面強度が低く、けば立ち、水分などの吸収が大きく問題があった。このためその表面に紙を貼ったり、プライマーあるいはシーラーと称される溶剤型塗料を塗布することにより表面を改良していた。
この塗料としてはウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、塩化ビニル樹脂系などの溶剤系プライマーが知られており、そのひとつに湿気硬化型ウレタン樹脂系がある。このものは表面補強効果及び止水性能では優れているが、プライマー処理したまま放置しておくと、塗膜の硬化が進みすぎて初め良好であったプライマーと基材の密着性が低下してくるという問題、更に溶剤系であるため火災に対する危険、環境汚染の問題、さらには希釈剤として高価な溶剤が必要となるためコストアップが避けられないという問題等があった。
またエポキシエマルジョンを用いる方法では、基材に対する含浸性に優れるものの、硬化剤を用いるため二液混合性になり、取り扱いが煩雑になるうえポットライフの問題や塗装を行う時間に制約が出てくるなどに実用上多くの問題点があり、またエポキシ樹脂を水で乳化する場合に多量の乳化剤を必要とするため耐水性の低下することが避けられないこと等の問題がある。
【0003】
一方水系プライマーでは水溶液樹脂や水分散性樹脂を主成分とする有機溶剤を使用しないあるいは使用量の少ないプライマーの開発も行われているが、水溶液樹脂系では耐水性が、また水分散性樹脂では基材への含浸性、密着性や塗膜の耐水性に問題があって長期耐久性に欠けるという問題がある。
このため合成樹脂エマルジョン及び/または水溶性樹脂溶液の基材への含浸性を向上させるため、珪酸塩を併用する方法(特開昭63−310782号公報)が提案されているが耐水性に問題が残っている。またアクリルエマルジョンに水溶液樹脂をブレンドする方法(特開昭61−141769号公報)あるいはポリビニルアルコールをブレンドする方法(特開昭53−97018号公報)などが提案されているが、いずれの方法もまだ無機系多孔質基材に対する含浸性、密着性、耐水性、耐久性を満足させるものは見当たらない。 以上のように取り扱いが容易で、かつ十分な性能を有する水性シーラーは現在の段階では得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は安価であり、環境汚染の問題のない水系シーラーであって、取り扱いが容易な1液性で安定性があり、かつ水系プライマーの問題点である基材に対する含浸性、密着性に優れ、塗膜は耐水性、耐久性のある1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物及びその製造方法の開発を目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明は、
[1]一般式(1)
【化3】
(式中、R1 :H、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキル基、R2 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、R3 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、m:1〜6の数を示す。)
で示されるアミノアルキルアクリレート系単量体及び/または一般式(2)
【化4】
(式中、R4 :H、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキル基、R5 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、R6 :Hまたは炭素数1〜6のアルキル基、n:1〜6の数を示す。)
で示されるN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体3〜70重量部及びアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、α−またはβ−不飽和アミド、α−またはβ−不飽和ニトリル、スチレン系誘導体、ビニルエステル類、カルボキシル基含有ビニルモノマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性ビニルモノマー97〜30重量部と溶液共重合して得られたアクリル樹脂(A) 5〜90重量部
エポキシ樹脂(B) 95〜10重量部
を混合して得られたアクリル変性エポキシ樹脂を水中に分散してなる1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物、
[2] アミノアルキルアクリレート系単量体及び/またはN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体を3〜70重量部含有するアクリル樹脂(A)である上記[1]に記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物。
[3] エポキシ樹脂(B)の数平均分子量が4000未満である上記[1]に記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物、及び
[4] 上記[1]に記載のアクリル樹脂(A)5〜90重量部とエポキシ樹脂(B)95〜10重量部を有機溶剤中において、30〜120℃、10分〜5時間、混合せしめ、該混合物をpHが3〜8になるように酸性化合物を添加、水に分散せしめる1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物の製造方法、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0006】
本発明において用いられるアミノアルキルアクリレート系単量体の主たるものを挙げると、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジブチルアミノエチルアクリレート、ジt−ブチルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、メチルアミノメチルアクリレート、エチルアミノメチルアクリレート、メチルアミノエチルアクリレート、エチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート、アミルアミノエチルアクリレート、シクロヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート、ヘキシルアミノヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノペンタクリレート、ジメチルアミノクロロアクリレートなどが挙げられる。
また、N−アミノアルキルアクリルアミド系単量体としては、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0007】
本発明のアミノアルキルアクリレート系単量体及び/またはN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体(以下両者をアミノアルキルアクリレート系単量体等という。)と共重合する重合性ビニルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如きヒドロキシアルキルアクリレート類;アクリルアミド、n−メチルアクリルアミドの如きα−またはβ−不飽和アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きα−またはβ−不飽和ニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;ビニルアセテート、ビニルプロピオネートの如きビニルエステル類などを挙げることができる。
【0008】
更に本発明では、アミノアルキルアクリレート系単量体等と共重合する重合性ビニルモノマーとしてカルボキシル基含有ビニルモノマーを使用できる。このカルボキシル基は、アクリル樹脂とエポキシ樹脂との反応を促進するだけでなく、皮膜形成後の硬化の促進作用も認められる。また一部のアミノ基と分子内塩を作り、最終的に得られたアクリル変性エポキシ樹脂水性ディスパージョンの安定性を改良する効果もある。このカルボキシル基含有のビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。これらのビニルモノマーは単独で、または2種以上を組み合わせて任意に使用することができる。
【0009】
アミノアルキルアクリレート系単量体等の使用量としては、アクリル樹脂固形分100重量部あたり、3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。3重量部未満ではアミノ基の含有量が少なく、エポキシ樹脂との反応が十分に行われないため、アクリル−エポキシとの相溶性が悪くなり、かつ水性媒体中に分散するために必要なカチオン成分を残せない等から好ましくない。また70重量部を越えるとアミノ基含有量が高くなり、皮膜の耐水性を低下させるだけでなくエポキシ樹脂との反応でゲル構造を取りやすくなるので好ましくない。
アクリル樹脂(A)の製造方法としては特に限定されているわけでなく、公知のアクリル樹脂の製造方法を用いて製造できる。例えば、アミノアルキルアクリレート系単量体等と重合性ビニルモノマー混合物を、有機溶媒中で、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の通常のラジカル重合触媒を用いて80〜120℃の温度で共重合させることにより得ることができる。
【0010】
本発明で使用できるエポキシ樹脂(B)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂や、フェノール系化合物変性エポキシ樹脂、1価及び多官能アルコールのモノ及び多官能グリシジルエーテル、多官能カルボン酸のモノ及び多官能グリシジルエーテルなどを挙げることができる。
市販品としては、例えばシェル化学株式会社製の『エピコート』152、154、828、1001、1002、1004、1007、1009、1010;大日本インキ化学工業株式会社製の『エピクロン』1050、4050、7050、7055、;長瀬化成工業株式会社製の『ディナコール』EX−111、EX−121、EX−141、EX−146等のモノグリシジルエーテル、『ディナコール』EX−211、EX−810、EX−701、EX−721等のジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の既製のエポキシ樹脂をそのまま使用できる。この場合のエポキシ樹脂(B)の分子量は数平均分子量として4000未満が好ましい。分子量が4000以上になるとシーラー用樹脂組成物の基材への含浸性が低下する傾向がある。
【0011】
本発明のシーラー用樹脂組成物は、カチオン性樹脂水性分散液であり、アミノ基含有アクリル樹脂(A)5〜90重量部とエポキシ樹脂(B)95〜10重量部を有機溶剤中で30〜120℃、好ましくは70℃以下の温度において、10分〜5時間混合せしめる。
アクリル樹脂(A)の使用量が5重量部未満では、樹脂の分散安定性が低下し、また架橋密度が低下するため密着性が低下する。またアクリル樹脂(A)の使用量が90重量部より多い場合は、樹脂の含浸性が低下するので好ましくない。
【0012】
この場合エポキシ樹脂(B)の添加の際にゲルの生成を防ぐ目的で、希釈溶剤として有機溶剤に溶解して添加することが好ましい。この混合の際に用いる希釈溶剤は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールモノエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤、ブチルカルビトール等のジエチレングリコール系溶剤、N−メチル−2ピロリドン等の非プロトン性溶剤等公知の有機溶剤を任意の割合で使用できる。
特にエポキシ樹脂の溶剤として通常用いられているトルエン、キシレン、ミネラルスピリッツ等の疎水系の有機溶剤、あるいは水に難溶性の有機溶剤等は、単独で使用した場合は樹脂の水に対する分散安定性に問題があるので、これらの溶剤と水溶性の有機溶剤との混合溶剤として使用することが好ましい。また、メチルエーテルを用いる場合は、高沸点の有機溶剤との混合溶剤として使用することが好ましい。
【0013】
このようにして得られたシーラー用樹脂組成物のpHが3〜8になるように酸性化合物で中和すると共に水に分散せしめる。混合温度がこれよりも高いとシーラー用樹脂組成物がゲル化しやすく樹脂の浸透性が低下するので好ましくない。
ここで使用する酸性化合物は揮発性の酸性化合物、例えばぎ酸、酢酸、酪酸、乳酸等の低沸点の有機酸化合物が好ましい。不揮発性の無機酸は塗膜中に残存しやすく、塗膜の耐水性を低下させるので好ましくない。
【0014】
【作用】
従来のシーラー用樹脂組成物は、水分散液にあっては樹脂が高分子のため基材への浸透性に問題があり、また水溶液樹脂系では樹脂の分子量がやや低いために基材への浸透性は良好であるが、耐水性等に問題があった。
これに対し、本発明のシーラー用樹脂組成物は、樹脂の基材への浸透性を高く維持させるため、樹脂組成物中のエポキシ樹脂(B)の分子量を小さく維持している。これが基材に塗布されたときエマルジョンがこわれ、アクリル樹脂(A)中のアミノ基と基材に浸透したエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基が反応し、架橋して網状構造を有する超高分子樹脂になることにより無機質系窯業建材の基材表面強度を改善するものであり、水性樹脂組成物であっても耐水性、耐久性に優れた表面構造を得られるのも基材表面層において架橋反応が進行し、もとの樹脂組成とは異なる網状高分子となるためである。
【0015】
なお、本発明のシーラー用樹脂組成物が1液性であるにも拘らず、ポットライフの安定性が優れているのはシーラー用樹脂組成物が安定なエマルジョンを形成し、アクリル樹脂(A)中のアミノ基はエマルジョン粒子の表面から水層へ配向するのに対し、エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基はエマルジョン粒子内部に配向しているため、1液性であっても安定性が高いものと推定している。しかし、この樹脂組成物が一旦無機質系窯業建材等基材の表面に塗布されるとエマルジョンがこわされ、アクリル樹脂(A)中のアミノ基とエポキシ樹脂(B)中のエポキシ基が反応し、架橋高分子となるものと思われる。
【0016】
【実施例】
[試験方法]
(密着性)珪酸カルシウム板にシーラー用樹脂組成物を100g(wet)/m2 になるように塗布し、150℃、10分乾燥した後上塗り剤として市販塗料(日本ペイント株式会社製[H1−ビニレックス]を150g/m2 塗布し、更に150℃、3分乾燥した。その後室温まで冷却し、セロハンテープによる碁盤目試験を行った。
(耐温水性)上記の方法で作製したシーラー塗工板を、40℃の温水に一週間浸漬し、室温で24時間乾燥した後、セロハンテープによる剥離試験を行った。
(耐凍害性)上記の方法で作製したシーラー塗工板の裏面及び側面をエポキシ樹脂でシーリングを行い、−20℃、3時間放置後、10℃の水中で3時間放置(空中凍結−水中解凍)を1サイクルとして、100サイクルを行った後の塗膜の状態を評価した。
(ポットライフ)硬化剤を添加してからゲル化するまでの時間を測定した。
(高温安定性)60℃。1週間での水分散体の安定性を測定した。
【0017】
(実施例1)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 105重量部
n−ブチルアクリレート 105重量部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 90重量部
ブチルセロソルブ 157重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ140重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.8重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1200重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1200重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で60分間保持し、冷却後乳酸54重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は21.1%であった。
【0018】
(実施例2)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 39重量部
n−ブチルアクリレート 55重量部
ジエチルアミノエチルアクリレート 45重量部
アクリルアミド(40% 水溶液) 20重量部
ブチルセロソルブ 38重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ100重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.8重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1350重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1350重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸27重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.2%であった。
【0019】
(実施例3)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 75重量部
n−ブチルアクリレート 105重量部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 90重量部
メタクリル酸 18重量部
ブチルセロソルブ 169重量部
アゾイソブチロニトリル 3重量部
ブチルセロソルブ140重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.4重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ1200重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1007]1200重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸54重量部を添加し、水4400重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.8%であった。
【0020】
(実施例4)
モノマー混合物
メチルメタクリレート 147重量部
n−ブチルアクリレート 165重量部
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド 45重量部
アクリルアミド(40% 水溶液) 20重量部
ブチルセロソルブ 163重量部
アゾイソブチロニトリル 10重量部
ブチルセロソルブ200重量部を攪拌機及び滴下ロートを備えた反応器中に仕込み、80℃に昇温する。上記モノマー混合物を4時間かけて滴下、重合反応させ、その条件で更に5時間熟成を行い、固形分濃度50.9重量%のアクリル樹脂(A)を得た。
次にあらかじめ別に用意したブチルセロソルブ375重量部にエポキシ樹脂(B)[エピコート1001]375重量部を溶解した溶液をこのアクリル樹脂(A)に加えてよく攪拌しながら60℃で30分間保持し、冷却後乳酸27重量部を添加し、水2200重量部を添加した。得られた1液硬化型シーラー用樹脂組成物は乳白色であって、固形分は20.4%であった。
【0021】
(比較例1)
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA214)の18%水溶液250重量部に、エポキシ樹脂[エピコート828]950重量部を添加し、イオン交換水3800重量部添加した。得られたエマルジョンは固形分が20.1%であった。硬化剤として[アデカハードナーEH−217]を該エマルジョン100重量部に対し8重量部添加してシーラー用樹脂組成物とした。
【0022】
(比較例2)
エポキシ樹脂[エピコート1001]500重量部をキシレン500重量部に溶解し、乳化剤として[エマルゲン950]50重量部、水50重量部を添加し十分攪拌した後、イオン交換水1450重量部添加してエマルジョンを得た。得られた樹脂組成物の固形分は20.5%であった。該樹脂組成物100重量部に硬化剤[アデカハードナーEH−217]2部を使用前に添加しシーラー用樹脂組成物とした。
これらの実施例、比較例で得たシーラー用樹脂組成物の評価試験を行い結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明のシーラー用樹脂組成物は、無機質系窯業建材のための表面処理用のシーラントとして、環境汚染の少ない水性のプライマーでありながら基材に対し含浸性、密着性に優れ、得られる皮膜は耐水性、耐久性に優れており、生産コストも安価であって極めて優れたものである。特に1液性でありながら高温における安定性も良く、ポットライフも長く使用に便利であり、得られる皮膜は耐温水性、耐凍害性にも優れており、珪カル板、パルプセメント板、石膏スラグ板、石綿パーライト板、木片セメント板、セメント系押出成形板、ALC板等の表面強度の改良、毛羽立ちの防止に極めて効果の大きいシーラー用樹脂組成物である。
Claims (4)
- 一般式(1)
で示されるアミノアルキルアクリレート系単量体及び/または一般式(2)
で示されるN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体3〜70重量部及びアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、α−またはβ−不飽和アミド、α−またはβ−不飽和ニトリル、スチレン系誘導体、ビニルエステル類、カルボキシル基含有ビニルモノマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の重合性ビニルモノマー97〜30重量部と溶液共重合して得られたアクリル樹脂(A) 5〜90重量部
エポキシ樹脂(B) 95〜10重量部
を混合して得られたアクリル変性エポキシ樹脂を水中に分散してなる1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物。 - アミノアルキルアクリレート系単量体及び/またはN−アミノアルキルアクリルアミド系単量体を3〜70重量部含有するアクリル樹脂(A)である請求項1記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(B)の数平均分子量が4000未満である請求項1記載の1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物。
- 請求項1に記載のアクリル樹脂(A)5〜90重量部とエポキシ樹脂(B)95〜10重量部を有機溶剤中において、30〜120℃、10分〜5時間、混合せしめ、該混合物をpHが3〜8になるように酸性化合物を添加、水に分散せしめることを特徴とする1液硬化型水性シーラー用樹脂組成物の製造方法。
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