JP3550153B2 - 内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置に関し、より詳しくは内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音(いわゆる「こもり音」)を能動的に抑制制御する能動振動制御装置に供給される参照信号を生成する内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の能動振動制御装置に供給される騒音信号(参照信号)は、複数の追跡フィルタを使用して生成する方法や、複数のデジタルオシレータを合成して生成する方法が提案されている(特表平1−501344号公報)。
【0003】
前者は、追跡フィルタがエンジンの回転を示すパルス、例えば点火パルスの出力を波形整形回路を介して入力信号並びにトリガ信号として受信し、選択された高調波の正弦波出力信号を参照信号とするものである。
【0004】
また、後者は、エンジンから抽出した信号に基づき特定の差分方程式を演算して正弦波のオシレータを生成し、これらオシレータを複数の可同調オシレータを介して合成することにより参照信号を生成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術においては、次のような問題点があった。
【0006】
すなわち、追跡フィルタを用いて参照信号を生成する場合は、エンジンの加速中や回転数変化により追跡フィルタの応答性に遅れが生じたり、追跡フィルタやA/Dコンバータ等を必要とするため構成が複雑となり、コストの低廉化を図ることが困難であるという問題点があった。
【0007】
また、差分方程式を用いて参照信号を生成する場合は、計算量が多く演算処理を迅速に行うためには高速かつ高性能の演算装置を必要とし、コストアップを招くという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音を能動的に抑制制御するために用いられる参照信号を迅速かつ容易に検出することができる内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置は、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期を計測する計測手段と、正弦波の一周期を所定数で分割した各正弦数値が格納された正弦波テーブルと、前記パルス周期を一定のサンプリング周期で除算してサンプリング回数を算出し、前記所定数を前記サンプリング回数で除算した商に基づく間隔(P)で、前記正弦波テーブルに格納された正弦数値を前記一定のサンプリング周期毎に読み出して基本正弦波及びその高調波群を生成する演算手段と、該演算手段により生成された基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成する参照信号生成手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
また、前記エンジンの回転に基づいて発生するパルスは、具体的には、点火パルス又はクランク角パルスであることを特徴としている。
【0011】
【作用】
上記構成によれば、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期、一定のサンプリング周期、及び所定数によって定まる間隔(P)に応じて前記正弦波テーブルから対応する正弦数値が、一定のサンプリング周期毎に順次デジタル的に読み出され、基本正弦波及びその高調波群が生成される。さらに、これら基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説する。
【0013】
図1は本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【0014】
図中、1は例えば4気筒を有する内燃エンジン(以下、単に「エンジン」という)であって、該エンジン1の各気筒のシリンダヘッドには、点火(IG)プラグ2が設けられている。点火プラグ2は、電子コントロールユニット(以下「ECU」という)3に電気的に接続され、ECU6から送られてくるIGパルスにより点火時期が制御される。
【0015】
また、エンジン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲の所定位置にはTDCセンサ4、クランク角(CRK)センサ5が夫々取付けられている。
【0016】
TDCセンサ4は、エンジン1のクランク軸の180°回転毎に所定のクランク角度位置(基準位置)で信号パルス(以下、「TDC信号パルス」という)を出力し、該TDC信号パルスをECU3に供給する。
【0017】
CRKセンサ5は、TDC信号パルスの周期、すなわち180°より短い一定のクランク角周期(例えば、30°周期)でパルス信号(以下、「CRK信号パルス」という)を出力し、該CRK信号パルスをECU3に供給する。
【0018】
騒音検出部6は、エンジンの回転に基づいて発生するパルス、例えばIGパルスの発生周期(以下「点火周期」という)TIGを計測する計測部7と、正弦数値が格納されたsinテーブル8と、基本正弦波及びその高調波群を生成するアドレス演算部9と、該アドレス演算部9により生成された基本正弦波とその高調波群とを合成して参照信号(騒音信号)を出力する加算器10とからなる。
【0019】
図2はsinテーブル8の一例を示したフォーマット図であって、正弦波の1周5期(360°)がK=1024に分割され、各アドレス(0〜1023)に夫々の正弦数値が格納されている。そして各アドレス(0〜1023)に格納された正弦数値は後述するようにアドレス演算部9によりデジタル的に読み出される。尚、K(=1024)は、分解能を示し、分解能Kの値を大きくすることにより分解精度の向上を図ることができる。
【0020】
次に、上記参照信号生成装置の動作について図3を参照しながら詳述する。
【0021】
まず、ECU3から発せられる点火パルスの各点火周期TIG(1)〜TIG(n)を計測部7で計測する。
【0022】
次に、点火パルスの発生と同期してsinテーブル8の検索を開始すると共に、計測部7で計測された前回の点火周期TIGに基づいて基本正弦波及びそのn次高調波を生成する。
【0023】
例えば、sinテーブル8の検索が点火周期TIG(1)の終了時点であるS1点で開始された場合、基本正弦波は数式(1)に基づいて生成される。
【0024】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+K×(TIG(1)/TS)−1
…(1)
ここで、TSはサンプリング周期であって、TIG(1)≫TSとなるように設定される。また、「Nのアドレス」とは今回のサンプリングにより読み出されるアドレスを示し、「(N−1)のアドレス」とは前回のサンプリングにより読み出されたアドレスを示している。
【0025】
上記数式(1)から明らかなように、(TIG(1)/TS)の演算により点火周期TIG(1)におけるサンプリング回数が決定され、{K×(TIG(1)/TS)−1}の演算によりsinテーブル8により読み出されるアドレス間隔が決定され、これに前回のサンプリングにより読み出されたアドレス(N−1)を加算することにより現在(N)のアドレスが読み出される。例えば、前回の点火周期TIG(1)をTIG(1)=100ms、サンプリング周期TSをTS=10ms、分解能KをK=1024、前回サンプリングにより読み出されたアドレス(N−1)を100とすると数式(1)の左辺第2項PはP≒100となり、現在のアドレスNはN=200となってアドレス「200」の正弦数値が読み出されることとなる。以下同様にサンプリング毎に数式(1)による演算が行われ、アドレス「300」、「400」、……「1000」の正弦数値が順次デジタル的に読み出され、基本正弦波が生成される。つまり、基本正弦波は前回の点火周期TIG(1)の間にsinテーブル8をアドレス「0」からアドレス「K−1」まで1回スキャンすることにより生成される。同様に次回の点火周期TIG(3)に同期する基本正弦波は、今回の点火周期TIG(2)の間、sinテーブル8をアドレス「0」からアドレス「K−1」まで1回スキャンすることにより生成される。
【0026】
また、点火周期TIG(2)におけるn次高調波は基本正弦波の生成と同期して数式(2)により生成される。
【0027】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+n×K×(TIG(1)/TS)−1
…(2)(但し、n≧2)すなわち、n次高調波は点火周期TIG(1)の間にアドレス「0」からアドレス「K−1」までsinテーブル8をn回スキャンすることにより生成される。
【0028】
尚、エンジンの回転数が一定のときは点火周期TIGも一定となるため、点火時期と検索開始時期とは常に同期させることができ、基本正弦波及びそのn次高調波は共にアドレス「0」から検索を開始することができるが、エンジンが加速中のときやエンジンの回転数に変化が生じたときは点火周期TIGが各回で異なり、点火時期とsinテーブル8の検索開始時期がずれることとなる。
【0029】
かかる場合、本実施例においては、前回の点火周期に基づいて1周期分の正弦波を生成する。即ちsinテーブル8のアドレスがアドレス「K−1」になるまでテーブル検索を継続し、次回のsinテーブル8の検索は、今回の点火周期を使用してアドレス「0」から検索を開始することとしている。
【0030】
例えば図3においてエンジンの加速等により今回の点火周期TIG(3)が前回の点火周期TIG(2)よりも短く、点火時期IG4と検索開始時期S3とが同期しなくなった場合においては、前回の点火時期TIG(2)の間中sinテーブル8の検索を継続して正弦波形を生成し、次回は点火周期TIG(3)を用いて検索開始時期S3よりsinテーブル8の検索を開始する。
【0031】
このように点火周期が異なる場合においては、前回の点火周期TIG(2)を使用して1周期分の基本正弦波及びそのn次高調波(正弦波形)を生成することにより、正弦波形に不連続点が形成されるのを回避することができる。また、点火周期の差により点火時期と検索開始時期がずれても上述の如く1周期分の正弦波形を生成することにより位相が若干ずれるだけで実用上ほとんど問題とならない。
【0032】
しかして、このように数式(1)及び数式(2)により生成された基本正弦波及びその高調波群は加算器10に入力されて合成され、参照信号(騒音信号)が生成される。
【0033】
次いで、上記参照信号は周知の能動振動制御装置を構成する適応デジタル制御回路(図示せず)に入力され、騒音レベルが制御され、騒音の低減化が図られる。
【0034】
又は、それらの高調波群を個別に参照信号として生成する。
【0035】
このように上記第1の実施例においては、追跡フィルタが不要であるため、該追跡フィルタの応答遅れの問題が生じることもなく、また、正弦数値がsinテーブル8からデジタル的に読み出されるため、A/Dコンバータを必要とせず、コストの低廉化を図ることができる。
【0036】
また、sinテーブル8からアドレスを読み出すことにより正弦波形の生成を行っているので、演算プログラムも簡素で済み、演算処理時間も短くて済む。
【0037】
図4は第2の実施例を示す内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置のブロック構成図であって、図5のタイミングチャートに示すようにsinテーブル8の検索開始時期がCRK信号パルスと同期して行われる場合を示している。
【0038】
すなわち、本実施例ではCRK信号の発生周期(クランク角周期)TCを計測部7で計測し、該クランク周期TCを用いてm次正弦波が生成される。
【0039】
この第2の実施例によれば、クランク周期TCが点火周期TIGに比べて短いため、例えば、クランク周期TCが点火周期TIGのm倍である場合においては、該クランク周期TCに亘ってsinテーブル8を検索することにより基本正弦波のm次高調波が得られる。
【0040】
すなわち、基本正弦波のm次高調波は数式(3)により得られ、基本正弦波のn次高調波は数式(4)により得られる。
【0041】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+K×(TC/TS)−1 …(3)
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)
+n/m×K×(TC/TS)−1 …(4)
(但し、n,m≧1)クランク周期TCは点火周期TIGに比べて短いので、この第2の実施例のようにCRK信号パルスの発生に同期してsinテーブル8の検索を行うことにより位相のずれが生じるエンジンの加減速時においても位相のずれをできるだけ小さくすることが可能となる。
【0042】
また、エンジンの回転数が一定のときは基本正弦波はIGパルスと同一周期にあるため、両者は同一位相とするのが望ましいが、n<mとなるようなn次の高調波はIGパルスと位相のずれが生じるおそれがある。そこで、この第2の実施例では点火パルスにより点火時期を検出し、点火時期とsinテーブル8による検索開始時期とを同期させている。
【0043】
尚、クランク角の基準位置とsinテーブル8の検索時期とを同期させたい場合は、TDCセンサ4から発生するTDC信号パルスを検出することにより行うことができる。
【0044】
また、上記実施例では、基本正弦波及びその高調波群を合成して参照信号を得ているが、必要な高調波群(例えば2次高調波、4次高調波等)を直接参照信号としてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置は、正弦テーブルが、正弦波の一周期を所定数で分割した各正弦数値を格納し、パルス周期を一定のサンプリング周期で除算してサンプリング回数を算出し、上記所定数をサンプリング回数で除算した商に基づく間隔(P)で、正弦数値を一定のサンプリング周期毎に読み出して基本正弦波及びその高調波群を生成し、この生成された基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成するので、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期、一定のサンプリング周期、及び上記所定数によって定まる間隔(P)に応じて正弦波テーブルから対応する正弦数値が、一定のサンプリング周期毎に順次デジタル的に読み出され、基本正弦波及びその高調波群が生成され、その結果、内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音を能動的に抑制制御するために用いられる参照信号を迅速かつ容易に検出することができる。
【0046】
したがって、従来のように追跡フィルタによる応答遅れの問題が生じることもなく、また追跡フィルタやA/Dコンバータを必要とせず、装置を簡素化することができ、コストダウンを図ることができる。
【0047】
また、演算手段も従来のような複雑な差分方程式の実行等を要せず、簡単な演算プログラムで処理することができ、処理時間も短くて済み、迅速かつ容易に騒音信号の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置の一実施例(第1の実施例)を示すブロック構成図である。
【図2】sinテーブルのフォーマット図である。
【図3】点火パルスと検索開始時期との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】第2の実施例を示すブロック構成図である。
【図5】第2の実施例のタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 内燃エンジン
2 点火プラグ
5 クランク角(CRK)センサ
7 計測部(計測手段)
8 sin(正弦波)テーブル
9 演算部(演算手段)
【産業上の利用分野】
本発明は内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置に関し、より詳しくは内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音(いわゆる「こもり音」)を能動的に抑制制御する能動振動制御装置に供給される参照信号を生成する内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の能動振動制御装置に供給される騒音信号(参照信号)は、複数の追跡フィルタを使用して生成する方法や、複数のデジタルオシレータを合成して生成する方法が提案されている(特表平1−501344号公報)。
【0003】
前者は、追跡フィルタがエンジンの回転を示すパルス、例えば点火パルスの出力を波形整形回路を介して入力信号並びにトリガ信号として受信し、選択された高調波の正弦波出力信号を参照信号とするものである。
【0004】
また、後者は、エンジンから抽出した信号に基づき特定の差分方程式を演算して正弦波のオシレータを生成し、これらオシレータを複数の可同調オシレータを介して合成することにより参照信号を生成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術においては、次のような問題点があった。
【0006】
すなわち、追跡フィルタを用いて参照信号を生成する場合は、エンジンの加速中や回転数変化により追跡フィルタの応答性に遅れが生じたり、追跡フィルタやA/Dコンバータ等を必要とするため構成が複雑となり、コストの低廉化を図ることが困難であるという問題点があった。
【0007】
また、差分方程式を用いて参照信号を生成する場合は、計算量が多く演算処理を迅速に行うためには高速かつ高性能の演算装置を必要とし、コストアップを招くという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音を能動的に抑制制御するために用いられる参照信号を迅速かつ容易に検出することができる内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置は、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期を計測する計測手段と、正弦波の一周期を所定数で分割した各正弦数値が格納された正弦波テーブルと、前記パルス周期を一定のサンプリング周期で除算してサンプリング回数を算出し、前記所定数を前記サンプリング回数で除算した商に基づく間隔(P)で、前記正弦波テーブルに格納された正弦数値を前記一定のサンプリング周期毎に読み出して基本正弦波及びその高調波群を生成する演算手段と、該演算手段により生成された基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成する参照信号生成手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
また、前記エンジンの回転に基づいて発生するパルスは、具体的には、点火パルス又はクランク角パルスであることを特徴としている。
【0011】
【作用】
上記構成によれば、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期、一定のサンプリング周期、及び所定数によって定まる間隔(P)に応じて前記正弦波テーブルから対応する正弦数値が、一定のサンプリング周期毎に順次デジタル的に読み出され、基本正弦波及びその高調波群が生成される。さらに、これら基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説する。
【0013】
図1は本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【0014】
図中、1は例えば4気筒を有する内燃エンジン(以下、単に「エンジン」という)であって、該エンジン1の各気筒のシリンダヘッドには、点火(IG)プラグ2が設けられている。点火プラグ2は、電子コントロールユニット(以下「ECU」という)3に電気的に接続され、ECU6から送られてくるIGパルスにより点火時期が制御される。
【0015】
また、エンジン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲の所定位置にはTDCセンサ4、クランク角(CRK)センサ5が夫々取付けられている。
【0016】
TDCセンサ4は、エンジン1のクランク軸の180°回転毎に所定のクランク角度位置(基準位置)で信号パルス(以下、「TDC信号パルス」という)を出力し、該TDC信号パルスをECU3に供給する。
【0017】
CRKセンサ5は、TDC信号パルスの周期、すなわち180°より短い一定のクランク角周期(例えば、30°周期)でパルス信号(以下、「CRK信号パルス」という)を出力し、該CRK信号パルスをECU3に供給する。
【0018】
騒音検出部6は、エンジンの回転に基づいて発生するパルス、例えばIGパルスの発生周期(以下「点火周期」という)TIGを計測する計測部7と、正弦数値が格納されたsinテーブル8と、基本正弦波及びその高調波群を生成するアドレス演算部9と、該アドレス演算部9により生成された基本正弦波とその高調波群とを合成して参照信号(騒音信号)を出力する加算器10とからなる。
【0019】
図2はsinテーブル8の一例を示したフォーマット図であって、正弦波の1周5期(360°)がK=1024に分割され、各アドレス(0〜1023)に夫々の正弦数値が格納されている。そして各アドレス(0〜1023)に格納された正弦数値は後述するようにアドレス演算部9によりデジタル的に読み出される。尚、K(=1024)は、分解能を示し、分解能Kの値を大きくすることにより分解精度の向上を図ることができる。
【0020】
次に、上記参照信号生成装置の動作について図3を参照しながら詳述する。
【0021】
まず、ECU3から発せられる点火パルスの各点火周期TIG(1)〜TIG(n)を計測部7で計測する。
【0022】
次に、点火パルスの発生と同期してsinテーブル8の検索を開始すると共に、計測部7で計測された前回の点火周期TIGに基づいて基本正弦波及びそのn次高調波を生成する。
【0023】
例えば、sinテーブル8の検索が点火周期TIG(1)の終了時点であるS1点で開始された場合、基本正弦波は数式(1)に基づいて生成される。
【0024】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+K×(TIG(1)/TS)−1
…(1)
ここで、TSはサンプリング周期であって、TIG(1)≫TSとなるように設定される。また、「Nのアドレス」とは今回のサンプリングにより読み出されるアドレスを示し、「(N−1)のアドレス」とは前回のサンプリングにより読み出されたアドレスを示している。
【0025】
上記数式(1)から明らかなように、(TIG(1)/TS)の演算により点火周期TIG(1)におけるサンプリング回数が決定され、{K×(TIG(1)/TS)−1}の演算によりsinテーブル8により読み出されるアドレス間隔が決定され、これに前回のサンプリングにより読み出されたアドレス(N−1)を加算することにより現在(N)のアドレスが読み出される。例えば、前回の点火周期TIG(1)をTIG(1)=100ms、サンプリング周期TSをTS=10ms、分解能KをK=1024、前回サンプリングにより読み出されたアドレス(N−1)を100とすると数式(1)の左辺第2項PはP≒100となり、現在のアドレスNはN=200となってアドレス「200」の正弦数値が読み出されることとなる。以下同様にサンプリング毎に数式(1)による演算が行われ、アドレス「300」、「400」、……「1000」の正弦数値が順次デジタル的に読み出され、基本正弦波が生成される。つまり、基本正弦波は前回の点火周期TIG(1)の間にsinテーブル8をアドレス「0」からアドレス「K−1」まで1回スキャンすることにより生成される。同様に次回の点火周期TIG(3)に同期する基本正弦波は、今回の点火周期TIG(2)の間、sinテーブル8をアドレス「0」からアドレス「K−1」まで1回スキャンすることにより生成される。
【0026】
また、点火周期TIG(2)におけるn次高調波は基本正弦波の生成と同期して数式(2)により生成される。
【0027】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+n×K×(TIG(1)/TS)−1
…(2)(但し、n≧2)すなわち、n次高調波は点火周期TIG(1)の間にアドレス「0」からアドレス「K−1」までsinテーブル8をn回スキャンすることにより生成される。
【0028】
尚、エンジンの回転数が一定のときは点火周期TIGも一定となるため、点火時期と検索開始時期とは常に同期させることができ、基本正弦波及びそのn次高調波は共にアドレス「0」から検索を開始することができるが、エンジンが加速中のときやエンジンの回転数に変化が生じたときは点火周期TIGが各回で異なり、点火時期とsinテーブル8の検索開始時期がずれることとなる。
【0029】
かかる場合、本実施例においては、前回の点火周期に基づいて1周期分の正弦波を生成する。即ちsinテーブル8のアドレスがアドレス「K−1」になるまでテーブル検索を継続し、次回のsinテーブル8の検索は、今回の点火周期を使用してアドレス「0」から検索を開始することとしている。
【0030】
例えば図3においてエンジンの加速等により今回の点火周期TIG(3)が前回の点火周期TIG(2)よりも短く、点火時期IG4と検索開始時期S3とが同期しなくなった場合においては、前回の点火時期TIG(2)の間中sinテーブル8の検索を継続して正弦波形を生成し、次回は点火周期TIG(3)を用いて検索開始時期S3よりsinテーブル8の検索を開始する。
【0031】
このように点火周期が異なる場合においては、前回の点火周期TIG(2)を使用して1周期分の基本正弦波及びそのn次高調波(正弦波形)を生成することにより、正弦波形に不連続点が形成されるのを回避することができる。また、点火周期の差により点火時期と検索開始時期がずれても上述の如く1周期分の正弦波形を生成することにより位相が若干ずれるだけで実用上ほとんど問題とならない。
【0032】
しかして、このように数式(1)及び数式(2)により生成された基本正弦波及びその高調波群は加算器10に入力されて合成され、参照信号(騒音信号)が生成される。
【0033】
次いで、上記参照信号は周知の能動振動制御装置を構成する適応デジタル制御回路(図示せず)に入力され、騒音レベルが制御され、騒音の低減化が図られる。
【0034】
又は、それらの高調波群を個別に参照信号として生成する。
【0035】
このように上記第1の実施例においては、追跡フィルタが不要であるため、該追跡フィルタの応答遅れの問題が生じることもなく、また、正弦数値がsinテーブル8からデジタル的に読み出されるため、A/Dコンバータを必要とせず、コストの低廉化を図ることができる。
【0036】
また、sinテーブル8からアドレスを読み出すことにより正弦波形の生成を行っているので、演算プログラムも簡素で済み、演算処理時間も短くて済む。
【0037】
図4は第2の実施例を示す内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置のブロック構成図であって、図5のタイミングチャートに示すようにsinテーブル8の検索開始時期がCRK信号パルスと同期して行われる場合を示している。
【0038】
すなわち、本実施例ではCRK信号の発生周期(クランク角周期)TCを計測部7で計測し、該クランク周期TCを用いてm次正弦波が生成される。
【0039】
この第2の実施例によれば、クランク周期TCが点火周期TIGに比べて短いため、例えば、クランク周期TCが点火周期TIGのm倍である場合においては、該クランク周期TCに亘ってsinテーブル8を検索することにより基本正弦波のm次高調波が得られる。
【0040】
すなわち、基本正弦波のm次高調波は数式(3)により得られ、基本正弦波のn次高調波は数式(4)により得られる。
【0041】
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)+K×(TC/TS)−1 …(3)
(Nのアドレス)=((N−1)のアドレス)
+n/m×K×(TC/TS)−1 …(4)
(但し、n,m≧1)クランク周期TCは点火周期TIGに比べて短いので、この第2の実施例のようにCRK信号パルスの発生に同期してsinテーブル8の検索を行うことにより位相のずれが生じるエンジンの加減速時においても位相のずれをできるだけ小さくすることが可能となる。
【0042】
また、エンジンの回転数が一定のときは基本正弦波はIGパルスと同一周期にあるため、両者は同一位相とするのが望ましいが、n<mとなるようなn次の高調波はIGパルスと位相のずれが生じるおそれがある。そこで、この第2の実施例では点火パルスにより点火時期を検出し、点火時期とsinテーブル8による検索開始時期とを同期させている。
【0043】
尚、クランク角の基準位置とsinテーブル8の検索時期とを同期させたい場合は、TDCセンサ4から発生するTDC信号パルスを検出することにより行うことができる。
【0044】
また、上記実施例では、基本正弦波及びその高調波群を合成して参照信号を得ているが、必要な高調波群(例えば2次高調波、4次高調波等)を直接参照信号としてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置は、正弦テーブルが、正弦波の一周期を所定数で分割した各正弦数値を格納し、パルス周期を一定のサンプリング周期で除算してサンプリング回数を算出し、上記所定数をサンプリング回数で除算した商に基づく間隔(P)で、正弦数値を一定のサンプリング周期毎に読み出して基本正弦波及びその高調波群を生成し、この生成された基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成するので、エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期、一定のサンプリング周期、及び上記所定数によって定まる間隔(P)に応じて正弦波テーブルから対応する正弦数値が、一定のサンプリング周期毎に順次デジタル的に読み出され、基本正弦波及びその高調波群が生成され、その結果、内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音を能動的に抑制制御するために用いられる参照信号を迅速かつ容易に検出することができる。
【0046】
したがって、従来のように追跡フィルタによる応答遅れの問題が生じることもなく、また追跡フィルタやA/Dコンバータを必要とせず、装置を簡素化することができ、コストダウンを図ることができる。
【0047】
また、演算手段も従来のような複雑な差分方程式の実行等を要せず、簡単な演算プログラムで処理することができ、処理時間も短くて済み、迅速かつ容易に騒音信号の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置の一実施例(第1の実施例)を示すブロック構成図である。
【図2】sinテーブルのフォーマット図である。
【図3】点火パルスと検索開始時期との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】第2の実施例を示すブロック構成図である。
【図5】第2の実施例のタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 内燃エンジン
2 点火プラグ
5 クランク角(CRK)センサ
7 計測部(計測手段)
8 sin(正弦波)テーブル
9 演算部(演算手段)
Claims (3)
- 内燃エンジンの回転に同期して発生する騒音を能動的に抑制制御する能動振動制御装置に供給される参照信号を生成する内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置であって、
エンジンの回転に基づいて発生するパルスの周期を計測する計測手段と、正弦波の一周期を所定数で分割した各正弦数値が格納された正弦波テーブルと、前記パルス周期を一定のサンプリング周期で除算してサンプリング回数を算出し、前記所定数を前記サンプリング回数で除算した商に基づく間隔(P)で、前記正弦波テーブルに格納された正弦数値を前記一定のサンプリング周期毎に読み出して基本正弦波及びその高調波群を生成する演算手段と、該演算手段により生成された基本正弦波及びその高調波群のうち少なくともいずれか一方に基づいて参照信号を生成する参照信号生成手段とを備えていることを特徴とする内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置。 - 前記エンジンの回転に基づいて発生するパルスが、点火パルスであることを特徴とする請求項1記載の内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置。
- 前記エンジンの回転に基づいて発生するパルスが、クランク角パルスであることを特徴とする請求項1記載の内燃エンジンに係る能動振動制御装置の参照信号生成装置。
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