JP3550035B2 - 有機−無機多層材料及びその製造方法 - Google Patents

有機−無機多層材料及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面層として光触媒作用を示す材料を備える有機−無機多層材料及びその製造方法に関する。かかる有機−無機多層材料は、様々な臭いや汚れの除去や除菌等が要求される用途に有用な機能性材料である。
【0002】
【従来の技術】
最近、光触媒作用を示す材料である酸化チタンが消臭、防汚や抗菌、除菌材として使用されてきている。これは、酸化チタンに光が当たるとその表面にOHラジカル等の活性酸素種が生成し、それらによって表面に付着したほとんどの有機物が、最終的には二酸化炭素と水にまで分解されることを利用している。このような酸化チタンの光触媒作用は非常に強いため、酸化チタンはこれまではタイル等のセラミックスのような無機材料表面に担持させることが多かった。
【0003】
しかし今後は他の材料、例えば成形性等に優れるプラスチックや繊維等の有機材料に担持させる必要が多くなると考えられる。ところが酸化チタンは、上記したように非常に強い光触媒作用を示すため様々な不都合が生じる。すなわち、酸化チタンに接している基材部分が、その強い酸化作用のために著しい劣化を受ける。無機材料と違って、有機材料の場合にはこの劣化は耐用寿命の短縮につながる。
【0004】
これを防ぐために、酸化チタンを基材に担持するときにはこれまで、接着剤としてフッ素系樹脂やシリコン系樹脂等の難分解性樹脂を使用する方法(特開平7−171408、特開平7−265714)や酸化チタン微粒子を多孔質体に担持させる方法(特開平3−157125、特開平7−213913)が提案された。しかし、これらの方法を採っても酸化チタンと接着剤となる樹脂や基材とが接触することより、これらの材料の劣化を充分に防止できない。
【0005】
また、酸化チタン粒子を部分的にアルキルシリケートでコーティングする方法(特開平10−33988)も提案されているが、アルキルシリケートの添加量が少ないと酸化チタンと基材との接触面積が大きくなり、やはり基材の劣化を防止できない。逆にアルキルシリケートの添加量を多くすると材料中の酸化チタンの相対量が減少することによって、光触媒作用が充分に発揮されない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の方法の問題を解決し、表面層として光触媒作用を示す材料を備えながら、それを担持する基材が劣化しない有機−無機多層材料、及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材と基材の表面上に順次形成された第1中間層と第2中間層と光触媒作用層とを有する有機−無機多層材料において、
該第1中間層が、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を、加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる有機−無機ハイブリッド材料で成り、
該第2中間層が金属アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる無機材料で成り、
該光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る、有機−無機多層材料を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
基材
基材としては、従来と同様、タイル等のセラミックスのような無機材料を用いることもできるが、有機材料を用いることもできる。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの汎用プラスチックス材料及びエンジニアリングプラスチックス材料等の高分子材料を用いることができる。基材の形状としては、板状の他、糸、フィルム、球状、ブロック等の各種形状の成形体であるものも含まれる。
【0009】
金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体
金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体(A)とは、主骨格として有機鎖部分を有し、官能基として金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する化合物をいう。この有機重合体(A)はいかなる方法で合成されたものであってもよい。
【0010】
有機重合体(A)は主骨格として有機鎖部分を有する。かかる主骨格の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル;ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル;ポリメチルペンテン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド;ポリフェニレンサルファイド、ポリアリーレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーの骨格;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂の骨格等が挙げられる。
【0011】
有機重合体(A)は上述したような重合体や前駆体の1成分を主骨格としたものでも良く、これら多成分の共重合体骨格でも良い。また、複数種を混合したものでも良く、分岐状、線状いずれの形状でも良い。更にハロゲン化炭化水素系、エーテル系、アルコール系、非プロトン性極性溶媒のような溶剤に溶解するかまたは膨潤することが望ましく、数平均分子量は500〜50000、好ましくは1000〜15000である。
【0012】
この中でも熱可塑性樹脂が有機重合体(A)として好ましく、高性能という点ではポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリーレート等のエンジニアリングプラスチックがより好ましい。
【0013】
有機重合体(A)が有する官能基は金属アルコキシド化合物(B)と反応可能なものであれば良く、特に限定されないが、具体的には金属アルコキシド基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。特に金属アルコキシド基が好ましい。有機重合体(A)の官能基当量は1〜100、好ましくは1〜50、更に好ましくは2〜10である。有機重合体(A)の官能基当量が1を下回ると材料の性能が低下する可能性があり、100を上回ると材料がもろくなる可能性がある。1分子の有機重合体(A)が有する官能基は全て同一でも良く、複数種であっても良い。
【0014】
金属アルコキシド化合物(B)としては、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示さず、有機材料でなる基材と接したとしても接した部分が劣化されないものであれば、あらゆるタイプの化合物を用いることができる。その中でも好ましいものは、式(1)
M 式(1)
[式中、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、MはSi、Zr、Fe、Sn、B、Al、Ge、Ce、Ta、Ba、Ga、Pb及びW等からなる群、好ましくはSi及びZrからなる群から選択される金属元素であり、pは2〜6の整数である。]
で表される化合物である。
【0015】
具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、
テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム類、及び
ジエトキシバリウム、トリメトキシホウ素、トリエトキシガリウム、トリブトキシアルミニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシ鉛、ペンタn−プロポキシタンタル、ヘキサエトキシタングステン等の金属アルコキシド類が挙げられる。
【0016】
金属アルコキシド化合物(B)の他の例は、式(2)
M(R’X) 式(2)
[式中、Rは水素、炭素数1〜12、好ましくは1〜5のアルキル基またはフェニル基であり、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、MはSi、Zr、Fe、Sn、B、Al、Ge、Ce、Ta及びW等からなる群、好ましくはSi及びZrからなる群から選択される金属元素であり、R’は炭素数1〜4、好ましくは2〜4のアルキレン基またはアルキリデン基であり、Xはイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、アミノ基、チオール基、ビニル基、メタクリル基、ハロゲン基等の一般的な官能基であり、kは0〜5の整数であり、lは1〜5の整数であり、mは0または1の整数であり、nは0〜5の整数である。]
で表される化合物である。
【0017】
Siを例に取り、具体的に例示すれば、
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プロポキシシラン、
ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジイソプロポキシシラン、
モノメトキシシラン、モノエトキシシラン、モノブトキシシラン、
メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、
ジメチルメトキシシラン、ジイソプロピルイソプロポキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリn−プロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、
ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、
トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシラン、
トリn−プロピルn−プロポキシシラン、トリブチルブトキシシラン、
フェニルトリメトキシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシラン;
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、
2−イソシアネートエチルトリn−プロポキシシラン、
3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、
2−イソシアネートエチルエチルジブトキシシラン、
3−イソシアネートプロピルジメチルイソプロポキシシラン、
2−イソシアネートエチルジエチルブトキシシラン、
ジ(3−イソシアネートプロピル)ジエトキシシラン、
ジ(3−イソシアネートプロピル)メチルエトキシシラン、
エトキシシラントリイソシアネート等のイソシアネート基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
カルボキシメチルトリエトキシシラン、
カルボキシメチルエチルジエトキシシラン、
カルボキシエチルジメチルメトキシシラン等のカルボキシル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物基を有するアルコキシシラン;
2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリエトキシシラン等の酸ハロゲン化物基を有するアルコキシシラン;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のチオール基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルメチルジエトキシシラン等のビニル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシピロピルメチルジメチルシラン等のメタクリル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
トリエトキシフルオロシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、
2−クロロエチルメチルジメトキシシラン等のハロゲン基を有する(アルキル)アルコキシシラン;を挙げることができる。
【0018】
もちろんSiだけではなく、Zr、Fe、Sn、B、Al、Ge、Ce、TaやW等の金属においても、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示さない同様の化合物を例示することができる。
【0019】
これらの金属アルコキシド化合物(B)は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良い。また、Mg[Al(iso−OC、Ba[Zr(OC、(CO)Zr[Al(OC等の1分子内に2種以上の金属元素が含まれているような金属アルコキシド化合物やテトラメトキシシランオリゴマーやテトラエトキシシランオリゴマー等の1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマータイプの金属アルコキシド化合物を用いても良い。また、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ基であっても良い。
【0020】
有機重合体(A)の中で官能基として水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有するものは常法により金属アルコキシド(B)と反応させることができる。その結果、官能基としてより反応性が高い金属アルコキシド基を有する有機重合体が得られる。有機重合体(A)と金属アルコキシド(B)との反応方法は、例えば、特願平9−327842号の明細書第0039段落〜第0054段落に詳細に記載されている。
【0021】
中間層
中間層とは基材と光触媒作用層との中間に位置することにより光触媒作用層が基材に接触するのを防止する層をいう。中間層は光触媒作用を示さず、有機材料でなる基材と接したとしても基材の接した部分が劣化されず、また、基材及び光触媒作用層との接着性が良好な材料で形成することが好ましい。
【0022】
中間層として好ましい材料は、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を、加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる有機−無機ハイブリッド材料である。
【0023】
有機−無機ハイブリッド材料中の有機重合体成分の含有率は特に制限はないが、塗膜として有機材料の基材にコーティングする場合には、基材との密着性をより高めるために基材との接触面部分では50重量%以上であることが好ましい。また、基材の劣化を防ぐために、光触媒作用を示す材料との界面部分では有機重合体成分の含有率は0%に近いほど望ましく、言い換えれば金属酸化物成分の含有率が100%に近いほど良い。光触媒作用を示す材料の含有率は、特性をより発現させるために最も高い領域では50重量%以上であることが望ましい。
【0024】
中間層を基材の表面上に順次形成された第1中間層と第2中間層とからなる2重構造とし、第1中間層は、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を、加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる有機−無機ハイブリッド材料で構成し、第2中間層は金属アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる無機材料で構成してもよい。
【0025】
この場合は、光触媒作用層は金属酸化物で成る第2中間層と接触し、有機−無機ハイブリッド材料と接触しない。従って、基材の劣化が防止されるだけでなく、有機−無機ハイブリッド材料に含まれる有機鎖部分が光触媒作用層によって劣化されることも防止される。その結果、有機−無機多層材料の耐用寿命がより延長される。
【0026】
ゾルーゲル法による加水分解、重縮合とは、金属アルコキシド化合物あるいは金属アルコキシ基を有する重合体を水と反応させることでアルコキシ基を水酸基に変換し、次いでこの水酸基を同時進行的に重縮合させることによりヒドロキシ金属基(例えば−SiOH)を有する化合物あるいは重合体が脱水反応あるいは隣接した分子と脱アルコール反応を生じ、無機的な共有結合を介して3次元的に架橋する反応を言う。この際、重縮合反応はふたつのヒドロキシ金属基の脱水反応が最も起こりやすいが、それだけではなく、他の水酸基やアミノ基、カルボキシル基等の活性水素を有する官能基とも起こりうる。
【0027】
加水分解反応に用いられる水は、全てのアルコキシ基を水酸基に変換するために必要な量を添加しても良いし、反応系中の水分を利用したり、大気中の水分を吸湿させて行っても良い。
【0028】
反応条件としては、室温〜100℃で0.5〜24時間程度が望ましい。またその際、塩酸、硫酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)等の塩基性触媒を用いても良い。
【0029】
本発明における全ての加水分解過程では強度、硬度、耐候性、耐薬品性、難燃性、帯電防止性等の機能を向上または新たに付与する目的で無機物含有量や重合体間の架橋密度を調整するためにSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、Ta、W等の金属、金属酸化物、金属錯体や無機塩等を共存させても良い。また、ゲル化、乾燥、熱処理の際に生じる可能性があるクラックを抑制するためにホルムアミドやジメチルホルムアミド、ジオキサン、シュウ酸等を乾燥抑制剤として加えても良いし、添加物としてアセチルアセトン等を加えても良い。
【0030】
中間層の乾燥厚さは一般に0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmとする。この層厚が1000μmを上回ると層の形成に労力を要し、大量の材料が必要となるためコストがかかる。また、0.01μmを下回ると層中にピンホールが生じ易くなり、所望の性能が得られない怖れがある。
【0031】
中間層を、第1中間層と第2中間層とで成る2層構造とする場合は、第1中間層の乾燥厚さは、上記と同様の理由で、一般に0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmとする。第2中間層の乾燥厚さは一般に0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μmとする。この層厚が100μmを上回ると層に亀裂が生じたり剥離する怖れがある。また、0.01μmを下回ると層中にピンホールが生じ易くなり、所望の性能が得られない怖れがある。
【0032】
光触媒作用層
光触媒作用層とは光触媒作用を示す材料で成る層をいう。光触媒性は強いほど良い。光触媒作用を示す材料の形状については特に制限はないが、光触媒作用を高めるためには表面積が大きいことが好ましい。例えば、光触媒作用を示す材料を粒子状とする場合は、粒径が大きすぎると基材の外観や触感を損なうことより100μm以下とすることが望ましい。また光触媒作用は微粒子ほど活性に富む傾向があることより粒径は小さくすることが望ましい。
【0033】
光触媒作用を示す材料の一例は、光触媒作用を示す金属酸化物(C)を含む材料である。金属酸化物(C)は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良いし、1分子内に2個以上の金属元素が含まれているようなものでも良い。更に、光触媒性を強める、機械的強度を高める、柔軟性を付与する等の目的で他の無機物を含んでも良い。
【0034】
光触媒作用層中の金属酸化物の(C)の含有量は、一般に10〜100重量%程度、好ましくは20〜100重量%程度である。金属酸化物(C)としては、酸化チタンや酸化銅(I)等を用いることが好ましい。
【0035】
酸化チタンは硫酸チタニル、四塩化チタンやチタン酸エステルを中和または加水分解する方法や四塩化チタンを気相酸化する方法等の公知の方法で得られるもので良い。アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、水和酸化チタン等やこれらの混合物が例示される。
【0036】
酸化銅(I)は塩化銅(I)の加水分解や酸化銅(II)や水酸化銅(II)を還元する方法等で得られる。
【0037】
金属酸化物(C)は、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物、又はそれを含む金属アルコキシド混合物を加水分解及び重縮合させて得られる無機材料であってもよい。光触媒作用を示す金属アルコキシド化合物としては、中心金属(M)としてTi、Cu等の金属元素を有する式(1)で表される金属アルコキシド化合物を用いることが好ましい。
【0038】
具体的には、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類;及びジメトキシ銅、ジエトキシ銅、ジn−プロポキシ銅、ジイソプロポキシ銅、ジブトキシ銅等のジアルコキシ銅類が挙げられる。
【0039】
また他の例として、中心金属(M)としてTi、Cu等の金属元素を有する式(2)で表される金属アルコキシド化合物でもよい。
【0040】
これらの金属アルコキシド化合物は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良い。また、1分子内に2種以上の金属元素が含まれているような金属アルコキシド化合物や1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマータイプの金属アルコキシド化合物を用いても良い。また、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ基であっても良い。
【0041】
光触媒作用層の乾燥厚さは一般に0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μmとする。層厚が100μmを上回ると層に亀裂が生じたり剥離する怖れがある。また、0.01μmを下回ると層中にピンホールが生じ易くなり、所望の性能が得られない怖れがある。
【0042】
有機−無機多層材料の製造
本発明の有機−無機多層材料は、金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体、金属アルコキシド化合物、及び光触媒作用を示す材料を主原料とし、ゾル−ゲル反応を利用して形成する。
【0043】
まず、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を適当な溶媒に溶解し、場合によっては酸又は塩基を触媒として加え、加水分解する。次いで、表面を有する基材を提供し、基材の表面上に得られた溶液もしくは湿潤ゲルを塗布した後、溶媒の一部を蒸発させることによって中間層を形成する。
【0044】
この上に形成される層(第2中間層又は光触媒作用層)との密着性を高めるためには乾燥は必要最低限に止めることが好ましい。乾燥させる場合は室温下で放置して乾燥させてもよいし、加熱して乾燥させてもよい。
【0045】
この層の上に第2中間層を形成してもよい。その場合は、この層の表面上に金属アルコキシド化合物を含む溶液もしくは湿潤ゲルを更に塗布する。
【0046】
次いで、中間層の表面上に、光触媒作用を示す材料で成る光触媒作用層を形成する。光触媒作用を示す材料としては光触媒作用を示す金属酸化物(C)を含む材料を用いることが好ましい。光触媒作用層の形成は、例えば、金属酸化物(C)を含む金属酸化物の粉末(粒子)を揮発性溶媒に分散させ、得られる分散体を中間層の表面に塗布する方法で行いうる。金属酸化物(C)を含む金属酸化物の粉末(粒子)を湿潤ゲルの状態の中間層の表面に直接塗布する方法で行ってもよい。また、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物、又はこれを含む金属アルコキシドの混合物を溶液もしくは湿潤ゲルとし、これを中間層の表面に塗布する方法で行ってもよい。
【0047】
この工程を複数回繰り返して光触媒作用層を複層構造としてもよく、その際に、例えば、金属酸化物(C)の含有率を増加させる等、光触媒作用を示す材料の組成を変化させてもよい。
【0048】
その後、形成した層を乾燥させる。乾燥は、室温で放置することにより行ってもよいが、更に縮合反応を進め、架橋をより強固なものとしたい場合には、50〜500℃で5分〜48時間程度、熱処理を行う。
【0049】
このような方法で作製した有機−無機多層材料は、有機重合体成分と金属酸化物成分がミクロ的に均質でありながらかつ共有結合したものが得られ、有機重合体成分と金属酸化物成分の界面強度が上昇することによってクラックや表層面だけの剥離等の変形が生じ難い材料となる。また、表面層部分には光触媒作用を示す材料を備え、より一層高機能な材料となる。
【0050】
本発明の有機−無機多層材料では無機材料が有する耐熱性、耐候性、表面硬度、剛性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、機械的強度、難燃性等の特性が有機重合体に良好に付与されている。逆に言えば、有機重合体が有する耐衝撃性、柔軟性、加工性及び軽量性等の特性が無機材料に良好に付与されている。
【0051】
しかも光触媒作用を示す材料を金属酸化物を用いることによって、有機材料と極めて接触し難い形で表面層部分に含有することより、基材を劣化させずに光触媒特性を最大限活用することができる。
【0052】
また、表面層に含まれる金属酸化物と共有結合することが可能であり、相互作用によって基材との接着性も極めて良好な有機重合体を表面層と基材との間に用いることによって、クラックや表層面だけの剥離等の変形が生じ難い材料とすることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明で提供される有機−無機多層材料は、表面層として光触媒作用を示す材料を備えながら、それを担持する基材の劣化が効果的に防止されている。従って、担体として有機材料を用いた場合でも有機−無機多層材料の耐用寿命が延長される。つまり、様々な臭い、汚れの除去や除菌、防汚を目的とした高性能及び高機能プラスチック材料、プラスチック成形品もしくはフィルム、構造材料、光学材料、表面改質剤、ハードコート剤、電気もしくは電子材料、医療材料等に用いるのに適した有機−無機多層材料が提供される。
【0054】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】
合成例1
数平均分子量3900、及び水酸基当量1.8のポリカーボネートジオール70.0gをクロロホルム500mLに溶解させ、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン13.3gを添加し、還流下で10時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール7L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率97%)。
【0056】
H−NMR測定により、得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリカーボネート(PCS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.8であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は4400であった。
【0057】
合成例2
数平均分子量5200、及び水酸基当量1.7のポリサルホンジオール26.0gをクロロホルム300mLに溶解し、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン3.5gを添加し、還流下で11時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール3L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率96%)。
【0058】
H−NMR測定より、得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリサルホン(PSS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.7であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は6000であった。
【0059】
合成例3
数平均分子量6100、及び水酸基当量1.6のポリアリーレートジオール30.5gをクロロホルム300mLに溶解し、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン3.2gを添加し、還流下で15時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール3L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率96%)。
【0060】
H−NMR測定より得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリアリーレート(PAS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.6であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は6700であった。
【0061】
実施例1
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCS5.0gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、1N−塩酸水0.15gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、テトラエトキシシラン(TEOS)5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行なって得た溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン5.0gをTHF25mlによく分散させた分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0062】
かかる操作によって、図1に示すような、ポリカーボネート基材(101)の上に第1中間層として架橋PCS(102)を有し、第2中間層として架橋シリカ(103)を有し、光触媒作用層として酸化チタン粒子(104)を有する有機−無機多層材料(100)を得た。
【0063】
実施例2
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCS5.0gをTHF50mlに溶解し、1N−塩酸水0.15gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TEOS5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行って得た溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、テトラブトキシチタン5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行って得た溶液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置し、100℃で10時間加熱した。
【0064】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として架橋PCSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋酸化チタンを有する有機−無機多層材料を得た。
【0065】
参考例1
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCS2.5gとTEOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TEOS2.5gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0066】
かかる操作によって、図2に示すような、ポリカーボネート基材(201)の上に中間層として架橋シリカ/PCS(202)を有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタン(203)を有する有機−無機多層材料(200)を得た。
【0067】
参考例2
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCS2.5gとTEOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TEOS2.5gと酸化銅(I)2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0068】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に中間層として架橋シリカ/PCSを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化銅(I)を有する有機−無機多層材料を得た。
【0069】
実施例3
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSS5.0gをTHF50mlに溶解し、1N−塩酸水0.10gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、数平均分子量1000の三菱化学(株)製テトラメトキシシランオリゴマーMKCシリケートMS−56(TMOS)5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行って得た溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン5.0gをTHF25mlによく分散させた分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0070】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として架橋PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として酸化チタン粒子を有する有機−無機多層材料を得た。
【0071】
実施例4
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSS5.0gをTHF50mlに溶解し、1N−塩酸水0.10gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行って得た溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、数平均分子量970のテトラブトキシチタンオリゴマー5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水0.90gを用いて室温で加水分解を行った溶液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0072】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として架橋PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋酸化チタンを有する有機−無機多層材料を得た。
【0073】
参考例3
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSS2.5gとTMOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS2.5gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0074】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に中間層として架橋シリカ/PSSを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機多層材料を得た。
【0075】
参考例4
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSS2.5gとTMOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS2.5gと酸化銅(I)2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0076】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に中間層として架橋シリカ/PSSを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化銅(I)を有する有機−無機多層材料を得た。
【0077】
実施例5
合成例3で作製した数平均分子量6700のPAS5.0gをTHF50mlに溶解し、1N−塩酸水0.10gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行った溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、酸化銅(I)5.0gをTHF25mlによく分散させた分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0078】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として架橋PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として酸化銅(I)粒子を有する有機−無機多層材料を得た。
【0079】
実施例6
合成例3で作製した数平均分子量6700のPAS5.0gをTHF50mlに溶解し、1N−塩酸水0.10gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水2.0gを用いて室温で加水分解を行った溶液をスピンコータを用いてコーティングした。更にこの湿潤ゲルの上に、テトライソプロポキシチタン5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水1.2gを用いて室温で加水分解を行った溶液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0080】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として架橋PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋酸化チタンを有する有機−無機多層材料を得た。
【0081】
参考例5
合成例3で作製した数平均分子量6700のPAS2.5gとTMOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS2.5gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0082】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に中間層として架橋シリカ/PASを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機多層材料を得た。
【0083】
参考例6
合成例3で作製した数平均分子量6700のPAS2.5gとTMOS2.5gをTHF40mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解を行った後、スピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。この湿潤ゲルの上に、TMOS2.5gと酸化銅(I)2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間加熱した。
【0084】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に中間層として架橋シリカ/PASを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化銅(I)を有する有機−無機多層材料を得た。
【0085】
比較例1
TEOS2.5gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。
【0086】
比較例2
TMOS2.5gと酸化銅(I)2.5gをTHF25ml中で1N−塩酸水1.0gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。
【0087】
比較例3
テトラブトキシチタン5.0gをTHF25mlに溶解し、1N−塩酸水1.0gを用いて室温で加水分解した溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。
【0088】
比較例4
数平均分子量4400のPCS2.5gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.5gをTHF40ml中で1N−塩酸水0.10gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。
【0089】
比較例5
数平均分子量4400のPCS2.5gと酸化銅(I)2.5gをTHF40ml中で1N−塩酸水0.10gを用いて処理した分散液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にコーティングした。
【0090】
碁盤目及び剥離試験
実施例、参考例及び比較例1〜3で得られた有機−無機多層材料を用いて、碁盤目及び剥離試験を行った。試験方法としてはJIS K 5400を参考として用いた。
【0091】
まず試験片(30×30mm)にカッターナイフを用いて直交する縦横11本ずつの平行線を1mm間隔で引き、碁盤目状に100個のます目を作製した。次に、これらのます目の上に粘着テープ(ニチバン社製「セロハンテープ」)を貼り付け密着させた後、粘着テープを瞬時に引き剥がし、試験片の金属酸化物層の剥離状態を観察した。
【0092】
その結果、比較例1〜3の試験片では、ます目の大半が剥離した。これに対して、実施例及び参考例の試験片では、金属酸化物層の剥離は全く観察されなかった。
【0093】
これらの結果より、本発明の有機−無機多層材料が優れた界面強度を有していることが確認された。
【0094】
【表1】
Figure 0003550035
【0095】
ウェザーメータを用いた促進耐候性試験
実施例、参考例及び比較例4と5で得られた有機−無機多層材料の促進耐候性試験をウェザーメータを用いて行った。試験に際しては、試験片(150×70mm)をウェザーメータで処理した後、基板の状態を目視観察した。
【0096】
試験条件はJIS D 0205に準じて設定し、平均放電電力は390W/mとした。また、清水の噴射圧力1.0kgf/cm、水量2000ml/分、清水の噴射時間60分中12分とし、試験時間は計200時間とした。装置はスガイ試験機(株)製WEL−75XS−HC−BEC型キセノンサンシャインロングライフウェザーメータを用いた。
【0097】
その結果、比較例4と5の試験片については基板に変色が観られたものの、実施例及び参考例の試験片の基板は試験前とほとんど変わりなかった。比較例4と5の試験片では酸化チタン及び酸化銅(I)とPCS及びポリカーボネート基板が接していたために基板の有機材料が酸化され、変色したものと考えられる。これに対して実施例及び参考例の試験片では、酸化チタン及び酸化銅(I)とポリカーボネート基板とがシリカ相によって隔てられているために有機材料が酸化を受けなかったと考えられる。
【0098】
これらの結果より、本発明の有機−無機多層材料では、基材や接着剤、バインダー等の有機材料が光触媒性を有する材料から酸化を受けて劣化するという従来からの問題点が克服されていると言える。
【0099】
【表2】
Figure 0003550035
【0100】
タバコ消臭性試験
実施例及び参考例で得られた有機−無機多層材料及びポリカーボネート基板を用いてタバコ臭の消臭性試験を行った。方法としては900ml容ガラス製マヨネーズビンを入口を下にして、入口の真下に発煙している紙巻きタバコを5秒間置いた後、素早く試験片(30×30mm)を投入し、密栓した。その後、屋外の太陽光の下で1時間放置した後開封し、内部の臭いを評価した。結果を表3に示した。
【0101】
その結果、未処理のポリカーボネート基板ではタバコの残臭が確認されたものの、実施例1〜12の有機−無機多層材料では残臭は感じられなかった。
【0102】
これらの結果より本発明の有機−無機多層材料は、タバコ臭の消臭に対して有効なことが確認された。
【0103】
【表3】
Figure 0003550035
【0104】
アンモニア消臭性試験
実施例及び参考例で得られた有機−無機多層材料及びポリカーボネート基板を用いてアンモニアの消臭性試験を行った。方法としては、試験片(30×30mm)とガス検知管をセットしたガラス製デシケータにアンモニアガスを導入し、屋内の蛍光灯下において経時でガス濃度を測定した。結果を表4に示した。
【0105】
その結果、本発明の有機−無機多層材料は良好なアンモニア消臭性を示した。
【0106】
【表4】
Figure 0003550035
【0107】
メチルメルカプタン消臭性試験
実施例及び参考例で得られた有機−無機多層材料及びポリカーボネート基板を用いてメチルメルカプタンの消臭性試験を行った。方法としては、試験片(30×30mm)とガス検知管をセットしたガラス製デシケータにメチルメルカプタンガスを導入し、屋内の蛍光灯下において経時でガス濃度を測定した。結果を表5に示した。
【0108】
その結果、本発明の有機−無機多層材料は良好なメチルメルカプタン消臭性を示した。
【0109】
【表5】
Figure 0003550035

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機−無機多層材料の構造の一例を示す模式断面図である。
【図2】有機−無機多層材料の構造の一例を示す模式断面図である。
100、200…有機−無機多層材料、
101…基材、
102…第1中間層、
103…第2中間層、
104…光触媒作用層、
201…基材、
202…中間層、
203…光触媒作用層。

Claims (19)

  1. 基材と基材の表面上に順次形成された第1中間層と第2中間層と光触媒作用層とを有する有機−無機多層材料において、
    該第1中間層が、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を、加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる有機−無機ハイブリッド材料で成り、
    該第2中間層が金属アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合することにより架橋して得られる無機材料で成り、
    該光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る、有機−無機多層材料。
  2. 前記有機重合体の主骨格が熱硬化性樹脂である請求項記載の有機−無機多層材料。
  3. 前記有機重合体の主骨格が熱可塑性樹脂である請求項記載の有機−無機多層材料。
  4. 前記有機重合体の主骨格がポリカーボネート、ポリアリーレート、又はポリサルホンである請求項記載の有機−無機多層材料。
  5. 前記金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基が金属アルコキシド基、水酸基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種である請求項記載の有機−無機多層材料。
  6. 前記金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基が金属アルコキシド基である請求項記載の有機−無機多層材料。
  7. 前記金属アルコキシドの金属元素が、酸化物とされた場合に光触媒作用を示さないものである請求項記載の有機−無機多層材料。
  8. 前記金属アルコキシドの金属元素がSi、及びZrからなる群から選択される少なくとも1種である請求項記載の有機−無機多層材料。
  9. 前記金属アルコキシドの金属元素がSiである請求項記載の有機−無機多層材料。
  10. 前記光触媒作用を示す金属酸化物の含有量が10〜100重量%である請求項記載の有機−無機多層材料。
  11. 前記光触媒作用を示す金属酸化物が、酸化チタン及び酸化銅(I)からなる群から選択される少なくとも1種である請求項記載の有機−無機多層材料。
  12. 前記光触媒作用層が光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料で成る請求項記載の有機−無機多層材料。
  13. 前記光触媒作用層が、酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物又はそれを含む金属アルコキシド混合物を加水分解及び重縮合させて得られる材料で成る請求項記載の有機−無機多層材料。
  14. 前記基材が有機材料である請求項記載の有機−無機多層材料。
  15. 前記光触媒作用が消臭作用、脱色作用、防汚作用、抗菌作用、及び除菌作用からなる群から選択される少なくとも1種である請求項記載の有機−無機多層材料。
  16. 表面を有する基材を提供する工程;
    基材の表面上に、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を含む溶液もしくは湿潤ゲルを塗布して第1中間層を形成する工程;
    第1中間層の表面上に、金属アルコキシド化合物を含む溶液もしくは湿潤ゲルを塗布して第2中間層を形成する工程;
    第2中間層の表面上に、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る光触媒作用層を形成する工程;
    を包含する、有機−無機多層材料の製造方法。
  17. 前記光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料を直接中間層の表面に塗布して形成される、請求項16記載の方法。
  18. 前記光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料を揮発性溶媒に分散させ、得られる分散体を中間層の表面に塗布して形成される、請求項16記載の方法。
  19. 前記光触媒作用層が、中間層の表面上に光触媒作用を示す金属アルコキシド化合物又はその低縮合物を含む金属アルコキシド混合物の溶液もしくは湿潤ゲル塗布して形成される、請求項16記載の方法。
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