JP3549587B2 - ポリウレタン弾性繊維不織布及びそれを用いた積層複合不織シート - Google Patents

ポリウレタン弾性繊維不織布及びそれを用いた積層複合不織シート Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はメルトブロー法で紡糸して得られるポリウレタン弾性繊維不織布に係り、特に、その目付けが極めて低く薄葉であるにもかかわらずその構成繊維の分散がよく分布が均一でその不透明性が極めて高いポリウレタン弾性繊維不織布に関する。しかもそのような不織布を工業上安定に生産できる不織布に関するものである。
又本発明は、そのポリウレタン弾性繊維不織布を用い、非弾性不織布と接合させた薄くて柔らかく、ソフトな積層複合不織シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリウレタンをメルトブロー法を用いて紡糸し不織布とすることは既に知られており、その目付量の点でも一般記載的には10g/m程度といった極低目付けのものまで製造され得るかの如き記載がなされたものも散見される。しかし、上記の如き極低目付量の一般的な記載はあっても、具体的な実施例をみればおよそ100g/mないし80g/m程度の中目付けの不織布が実現されているのが普通であり、50g/m以下といった低目付量の不織布を工業的に安定に得る技術については未だ有効な提案がなされていない。
【0003】
よく知られているように、この種熱可塑性ポリマーを用いたメルトブロー法による不織布は、その伸縮特性を基本として、例えば、通気性があるが微細な塵埃を通さない特性を利用して医療用衣料素材として、また半導体工場でのクリーンルーム作業用衣料素材あるいは手袋、マスク等の副装素材として、更には又オムツ等の伸縮部材として広くその用途が展開されているが、この不織布はそれ単独で用いられることもあるが、用途毎に要求される多様な機能を満足させるために、一般的には他の素材と複合化して用いられることが多い。従って当然のことながら、その不織布自体として上記特性を維持している範囲で、その目付量がより低いものが要請されている。
【0004】
メルトブロー法による不織布の製造は、溶融したポリマーを紡糸ノズルから吐出させ、そのノズル吐出口を挟む両側部に配置された気体噴出口より加熱気体を噴出させることにより、該吐出した溶融ポリマーを細化させ、この細化させた繊維を実質的に収束することなく移動するネットコンベア上に吹き当て、該ネット上で気体流と分離して該ネット上に積層させる。積層させた繊維は自己の有する熱によりその接触点で接合し、いわゆるウェッブ状物となるが、その際、即ち冷却前に加圧ローラーを用いて加圧し接合を強化することも、また繊維が冷却後加熱加圧ローラーを用いて加熱加圧し接合を強化することも行われる。いずれにしても、該積層させ繊維間を接合させたウェッブ状物はネットコンベヤと共に移動し、その後該ネットコンベヤから捲取のための他の装置に渡されて移動し最終的にローラー上に捲取られるものである。
【0005】
熱可塑性ポリウレタンの不織布をこのようなメルトブロー法を用いて製造する場合、該ポリウレタンウェッブの前記ネットコンベヤあるいはその後の移動手段、捲取手段への粘着(膠着)現象が発生しがちである。この粘着や膠着現象は、それが発生しても、ウェッブの目付量が大きい場合には各単繊維段階での破壊やウェッブの形態を比較的に損なうことなく、即ちウェッブの基本的な特性を損なうことなく、その粘着を剥がして移動させることができるが、ウェッブの目付量が小さい場合には、各繊維段階での破壊やウェッブの形態破壊を免れ得ず、ウェッブをスムーズに移動させることができなくなるのである。即ち、目付量が50g/m以下といつたものを工業的に安定して製造することは、実際上難しい状況にあるのである。
【0006】
ところで、この種熱可塑性ポリウレタンのメルトブロー法による不織布は、例えば“エスパンシオーネ”(鐘紡(株)社製商品名)が上市され、しかもその仕様中、目付量として20g/m程度のものも含まれ市販されている。しかしこの“エスパンシオーネ”不織布は、その不織布強度の向上を狙い、その不織布を構成する繊維の繊維直径が太いフィラメントとなるようにメルトブロー法の紡糸条件を設定して得たものである。即ち、該不織布で目付量の低いものとすれば、当然その不織布は構成繊維間の空隙が大きい、目の粗いものとならざるを得ず、このことは目付量が低くなればなる程その傾向が一層強まり、目付量が上記20g/mといったものでは、たとえ強度的な向上がはかれても、例えば前記の如きフィルター特性、とりわけその特性が高度に要求されるところには、それ単独の適用は不都合である。即ち、上記市販の低目付けの不織布は目が粗く、不透明度を高くしたり、また通気度を低減させたものとはならないのである。
従って又、そのような不織布を他の不織布と積層複合したシートとしても、高度なフィルター特性および/あるいは高度隠蔽性が要求されるような使用には不適であることには変わりはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、薄葉でその目付けが極めて低い通気性不織布であるにもかかわらずその構成単繊維の分散がよく分布が均一でその不透明性が極めて高いといったポリウレタン弾性繊維不織布を工業的に安定して得ることについては、未だ課題として残されているのであり、本発明はこのような不織布を得ることをその主題とするものである。また本発明は、このような不織布を用いた薄くて、柔らかさ、ソフト感に優れた複合シートを得ようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記課題を満足する熱可塑性ポリウレタンのメルトブロー不織布とその製造法につき鋭意検討した結果、基本的には、用いるポリウレタン原料中に特定のブロッキング防止剤を特定量含有させて紡糸することによって目的の不織布が得られることを見いだした。即ち、本発明は、熱可塑性ポリウレタンをメルトブロー法で紡糸して得られた不織布であって、該不織布は、熱可塑性ポリウレタンに対して0.3〜2.0重量%のブロッキング防止剤をその構成繊維中に含有しており、その目付量が15〜50g/m2で、本文中で規定する不透明度が0.6以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維不織布であり、より好ましくは、該ブロッキング防止剤として高級脂肪酸ビスアミド、又はモンタン酸エステル、或はモンタン酸エステルとモンタン酸金属塩との混合物を用いることを特徴とするポリウレタン弾性繊維不織布である。又本発明は、このようなポリウレタン弾性繊維不織布と、少なくとも横方向に伸長可能な非弾性不織布とを接合してなる積層複合不織シートである。
【0009】
【作用】
本発明のポリウレタン弾性繊維不織布は、その基本的な伸縮特性が優れていることは無論のこと、その目付けが低く、極めて薄くて柔らかであり、その上で通気性があるにもかかわらずその開孔が小さくかつ均一に分散し分布している構造をとるものであるため、同種メルトブロー法不織布の同目付量のそれに比較してより不透明度が高く、又はより微細なフィルター効果が発揮でき、逆に同程度の前記特性を発揮させるのに、より薄い不織布として構成できるものである。そしてこのことは、他の部材と複合するに際してもより薄い複合素材とすることができるものである。更に又、前記の不織布構造により、工場で該不織布を吸引把持して移動させ整理する機械的な自動移動化手段に対応でき、手での把持による該不織布の作業性の悪さ、損傷を防ぎ、それを取扱う作業をより容易にすることができる。
【0010】
本発明で原料として用いる熱可塑性ポリウレタンとしては特に限定されるものではなく、これまでに公知の溶融紡糸可能なものであればすべて用いることができる。
より好ましいものとしては、低分子量のジオールとジカルボン酸の縮合重合でポリエステルジオール、ラクタムの開環重合で得たポリラクトンジオール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレンカーボネートグリコールなどの平均分子量500〜3000のポリマーグリコール、有機ジイソシアネート、活性水素原子を2個有する低分子化合物とを反応させて得た熱可塑性ポリウレタンである。
【0011】
とりわけより好ましい熱可塑性ポリウレタンとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジオールまたは脂環族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−又は3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−又は3−メチル−1,8−オクタンジオール、ω,ω’−ジヒドロキシ−1,4−ジメチルシクロヘキサンなどの直鎖状又は側鎖状の脂肪族ジオール或は脂環族ジオールから選ばれた少なくとも1種類のジオールと、脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、又はそれらジカルボン酸のエステルなどから選ばれた少なくとも1種類のジカルボン酸或はそのエステルとを反応して得た平均分子量600〜3000のポリエステルジオールと、有機ジイソシアネートとして、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族又は脂環族のジイソシアネートを主体とした有機ジイソシアネート、それに必要に応じて脂肪族ジイソシアネート又はナフタリン環を有するジイソシアネートから選ばれた有機ジイソシアネートと、活性水素原子を2個有する低分子化合物、例えば、ジオール、アミノアルコール、ヒドラジン、ジアミンなどから選ばれた鎖伸長剤である。そして、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤を所望の組成比で選び、溶融重合法、塊状重合法あるいは溶液重合法などで重合して熱可塑性ポリウレタンとする。
【0012】
この熱可塑性ポリウレタンは、均一性の良い不織布を得るためには、ポリウレタン製造時の組成において、ソフトセグメントとなるポリマージオールの含有量が45〜75重量%となるようにすることが好ましい。又、鎖伸長剤は特に低分子量の脂肪族ジオール又はイソホロンジアミンから選ばれた化合物を主体とした鎖伸長剤を用いて重合したポリウレタンであって、ポリウレタンの固有粘度〔η〕が0.5〜1.5dl/gの範囲となるように重合度を調整することが好ましい。ポリウレタン中のソフトセグメントの含有量が45重量%に満たない場合は、紡糸性や極細繊維化の点では良いが、不織布の柔軟化、伸縮性、形態の安定化、面の平滑性などの点で好ましくない。又、ソフトセグメントの含有量が75重量%を越えて多くなると、不織布としての柔軟性の点では良いが、紡糸性、極細繊維化が悪くなり、地合いの良い不織布が得られなくなる。一方、ポリウレタンの固有粘度〔η〕が小さい場合には十分に細化した繊維が得られないし、不均一な太さの繊維の不織布になる。又、ポリウレタンの固有粘度〔η〕が大きい場合には溶融粘度が高くなり良好な繊維流の形成が得られない。
【0013】
本発明においては、上記の如きポリウレタンにブロッキング防止剤を含有させることにそのポイントを有するものであるが、このブロッキング防止剤としては、高級脂肪酸ビスアミドやモンタン酸エステル、或はモンタン酸エステルとモンタン酸金属塩との混合物が好適である。
【0014】
高級脂肪酸ビスアミドは、炭素数14〜35までの飽和の高級脂肪酸と炭素数1〜10までの脂肪族ジアミンから製造される。該高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セチン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカンなどが挙げられる。前記高級脂肪酸と脂肪族ジアミンから生じる高級脂肪酸ビスアミドの中で、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、テトラメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサンメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスモンタン酸アミド、テトラメチレンビスモンタン酸アミド、ヘキサンメチレンビスモンタン酸アミドが好ましい。より好ましくはメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドである。
【0015】
モンタン酸エステルは、鎖の長さがC20〜C35の直鎖飽和カルボン酸混合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコールと反応して得られるエステルであり、モンタン酸金属塩とはモンタン酸と周期律第I〜III主属の金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの金属塩である。
【0016】
このブロッキング防止剤は、用いる熱可塑性ポリウレタンに対して0.3重量%以上、2.0重量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5重量%の範囲である。この含有量が0.3重量%に満たない量であっては、製造時ウェッブの粘着性を抑え、単繊維の解繊性を向上させ、もって低目付け並びに高不透明度の不織布を安定的に製造する本発明の目的効果が発揮できない。また逆に2.0重量%を越える量であっては、メルトブロー後の繊維間接合が阻害され不織布としての強度が低くなる点で好ましくなくなる。
このブロッキング防止剤は、ポリウレタンを溶融するに先立って、あるいは紡糸に先立って該ポリウレタンに添加する。
【0017】
なお本発明において、加熱溶融したポリウレタンが解離し好ましくない副反応を生起するのを防止し、かつ酸化あるいは光による劣化を抑制するために、ヒンダードフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物を0.5〜3重量%添加することもできる。
【0018】
上記ポリウレタン組成物の本発明の不織布を得るためのメルトブロー紡糸法としては、紡糸温度を230〜280℃の範囲内で、ポリウレタンの溶融粘度が500ポイズ以下となるように設定し、噴出空気量を1m幅当たり10〜25Nm/分の範囲内とし、これら条件を組み合わせることによって、平均繊維直径が5〜12ミクロン(μ)から成る、均一性の良好な繊維流を形成することができる。この繊維流は搬送気体とともにネットコンベアに吹き当てられ、ここで気体と分離され、シート状に捕集し繊維間を自己接合することによって均一性の良好なポリウレタン弾性繊維不織布とすることができる。
【0019】
本発明においては、ポリウレタン中に前記ブロッキング防止剤を添加したことにより、繊維間の自己接合は、実質的に阻害されることなく、製造時での移動・捲取手段への粘着現象が防止されるものである。本発明ポリウレタン弾性繊維不織布について、その各目付量とその時の透明度との関係を示す実施例データの一例を以下の表1で例示し、参考比較例としての市販のポリウレタン弾性繊維不織布のデータとともに示す。ここで市販の不織布とは、鐘紡(株)製”エスパンシオーネ”(目付量25.2g/m2および76.8g/m2)を例示した。
【0020】
ここで本発明に言う不織布の透明度とは、当該不織布を通過して下地がどれだけ透けて見えるかを意味するものであり、次ぎのように測定して得られた値である。即ち、富士写真フィルム(株)製黒白(Black&White)専用濃度計を使用し、専用台紙(黒ケント紙)の上に試料(不織布)を置き測定する。試料のないときの値(ブランク値)は1.3である。得られた数値が小さいほど不透明である。即ち、隠蔽度が大きい。
【0021】
【表1】
Figure 0003549587
【0022】
また本発明ポリウレタン弾性繊維不織布について、その各目付量とその時の通気度との関係を示す実施例データの一例を以下の表2で例示し、参考比較例としての市販のポリウレタン弾性繊維不織布のデータとともに示す。ここで市販の不織布とは、表1での不織布と同一のものである。
【0023】
ここで本発明に言う不織布の通気度とは、一定圧力下での試料(不織布)単位面積の単位時間当たりの通気量のことを意味し、次ぎのように測定して得られた値である。即ち、JISL−1096、6.27.1A法にもとづき、フラジール型試験機を用いて測定し、換算法により算出した値である。
【0024】
【表2】
Figure 0003549587
【0025】
表1および表2の実測データで示されるように、本発明のポリウレタン弾性繊維不織布は単にその目付量が低いというだけのものではなく、その目付量が低いばかりか該不織布の構成極細単繊維が極めて均一に分散しそれで形成される空隙孔が微細であるばかりか、極めて均一に分布していることを示し、例えば伸長弾性回復性と隠蔽性とのバランスが良好である高度な特性を満たすのに、本発明不織布が従来のこの種ポリウレタン弾性繊維不織布に比べて、より薄い約70%の薄さ(目付け)の不織布で満足できることである。
【0026】
上記の如きポリウレタン弾性繊維不織布は、その特性を活かして、単独で作業用手袋やマスクあるいはオムツの伸縮部材等として使用することができるが、ブロッキング防止剤が添加されているとは言え、皮膚に直接に接触した場合の感触や滑り止め感があるため、他素材を積層複合化し、より使い易い方向での加工を施すことができる。
【0027】
積層複合素材の相手としては、その積層複合不織シートの最終使用用途にもよるが、一般的には非弾性不織布である。とりわけ、横方向に容易に伸長可能な非弾性不織布を使用することが生産上効率が良く、水流絡合品は伸度が大きく、しかも強度も高く、かつタフネスもねばりある高いものであり、非弾性不織布として最適であることが判明した。
この非弾性繊維不織布の横方向の伸度は180%以上、その場合100%伸長時の引張強力が150〜300g/5cmであることが好適である。目付量は15〜40g/mが好ましく、15g/m未満では伸度180%を維持した不織布は得難く、また40g/mを超えるものでは本発明の前提の薄くて柔らかくソフトな積層複合不織シートを得るという方向から外れてくる。
【0028】
この非弾性繊維不織布の構成繊維としては、天然繊維、合成繊維、再生繊維と何でも良く、肌ざわりの点からレーヨン、ポリエステルが良好である。又許容される範囲において毛羽防止のために熱融着繊維の混綿も認められるが、伸度を考慮して30%以内の混綿に抑えるべきである。
さらに熱融着繊維を使った単なる熱風不織布よりは水流絡合することによって高伸度を維持できることも判明した。
【0029】
複合化の方法は、両者がいずれも非伸長状態で接合することが好ましく、非伸長状態で接合することを特徴としているものであって、片方または両者伸長状態では工程スペースを取り、生産性に乏しいものとなる。又接合方法は接着剤、超音波、熱融着等いろいろ採用できるが、生産性の点で熱接着が最も有利である。接着は非連絡又はタテ方向のみ連続であっても良く、ヨコ伸長を阻害しなければ良い。面積では10〜30%が良く、好ましくは15〜25%である。10%未満では剥離強力が得られないし、30%より多くなると強力が強くなって低強力高伸度を謌うことが出来なくなる。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1;ポリブチレンアジペートポリオールと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオールからなるポリエステル系ポリウレタン樹脂にブロッキング防止剤として高級脂肪酸ビスアミド(商品名:アルフローH−50T)を1.0重量%添加したものを原料とし、1列に配列した直径0.3mmのノズルの両側に加熱空気の噴射用スリットを有する溶融ブロー紡糸装置を用い、ダイ温度240℃、ノズル当たり毎分0.5gの割合でポリマーを吐出させ、240℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり15Nm3/分噴射して細化した。細化した繊維をノズル下方15cmに設置した50メッシュの金網からなるコンベア上で捕集し、不織布と得た。この不織布は開繊が良好で繊維の交絡点は互いに自己接着により接合されていた。さらに捕集ネットへの膠着も少なくスムーズな捲取りであった。この不織布の物性値は次のごとくであった。
〔不織布物性値〕
目付:35g/m2
引張強力:1.15kg/5cm(タテ)×1.00kg/5cm(ヨコ)
伸度:430%(タテ)×450(ヨコ)
100%伸長時応力:0.45kg/5cm(タテ)×0.40kg/5cm(ヨコ)
透明度:0.462
通気度:131cc/cm2・s
【0031】
実施例2;実施例1のブロッキング防止剤“アルフロー”に代えてモンタン酸エステルとモンタン酸カルシウム塩との混合物(商品名:ヘキスト・ワックスOP)1.0%を添加した原料を使用して、実施例1と同一条件にて紡糸したところ、不織布物性は実施例1とほぼ似た値を示すが、捕集ネット上での膠着があり、捕集ネットの速度より約10%捲取速度を速くすることで連続捲取りが可能となった。
【0032】
比較例1;実施例1の樹脂のブロッキング防止剤のない原料を用いて、同一条件にて紡糸したところ、捕集ネット上での膠着が激しく、捕集ネットの速度より約20%捲取速度を速くすることで連続捲取りはできたが、巾縮みをおこし、タテ張力の非常に強い状態での捲取りとなった。この製品をリワインドしたところ、原反同志の膠着が激しく、捲出しが難しく、特に捲芯部に近くなった場合断布した。
【0033】
実施例3;実施例1で生産したポリウレタン弾性不織布と、下記の物性をもった水流絡合不織布、即ち、
熱融着繊維/ポリエステル繊維=20重量%/80重量%
目 付:25g/m
引張強力:3.37kg/5cm(タテ)×0.68kg/5cm(ヨコ)
伸 度:40%(タテ)×192%(ヨコ)
ヨコ100%伸長時応力:0.22kg/5cm
とを圧着面積20%ドットタイプの凹凸柄のロールとフラットロールとの組合わせにおいて凹凸柄ロール温度135℃、フラットロール温度125℃、線圧40kg/cm、速度40m/分にて積層エンボス複合処理をして、積層複合不織シートを得た。その不織シートの物性値は次のごとくであった。
〔不織シート物性値〕
目 付:60g/m
引張強力:4.06kg/5cm(タテ)×1.20kg/5cm(ヨコ)
伸 度:43%(タテ)×213%(ヨコ)
ヨコ100%伸長時応力:0.68kg/5cm
通気度 :104cc/cm・s
剥離強力:0.34kg/5cm
【0034】
【発明の効果】
本発明のポリウレタン弾性繊維不織布はその基本的な伸縮特性が優れていることは無論のこと、その目付けが極めて低く、極めて薄くて柔らかくソフトであり、またその上で、通気性があるにもかかわらずその開孔が小さくかつ均一に分散し分布している構造をとるものであるため、同種メルトブロー法不織布の同目付量のそれに比較してより不透明度が高く、又はより微細なフィルター効果が発揮できる。逆に同程度の前記特性を発揮させるのに、より薄い不織布として構成できるものであり、他の部材と複合するに際してもより薄い柔らかくソフトな複合素材とすることができるものである。また前記の不織布構造により、工場で該不織布を吸引把持して移動させ整理する機械的な自動移動化手段に対応でき、手での把持による該不織布の作業性の悪さ、損傷を防ぎ、それを取扱う作業をより容易にすることができる。さらにまた、目付けが極めて低くても高性能を発揮できるので、高価なポリウレタンの使用が軽減でき、該不織布のコストを低減することができる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリウレタンをメルトブロー法で紡糸して得られた不織布であって、該不織布は、熱可塑性ポリウレタンに対して0.3〜2.0重量%のブロッキング防止剤をその構成繊維中に含有しており、その目付量が15〜50g/m2で、本文中で規定する不透明度が0.6以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維不織布。
  2. ブロッキング防止剤が高級脂肪酸ビスアミドであることを特徴とする請求項1に記載されたポリウレタン弾性繊維不織布。
  3. ブロッキング防止剤がモンタン酸エステル又はモンタン酸エステルとモンタン酸金属塩との混合物であることを特徴とする請求項1に記載されたポリウレタン弾性繊維不織布。
  4. 不織布を構成する単繊維の平均直径が5〜12ミクロン(μm)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたポリウレタン弾性繊維不織布。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載されたポリウレタン弾性繊維不織布と、水流絡合されて少なくとも横方向の伸度が180%以上、その100%伸長時の引張強力が150〜300g/5cmで、目付量が15〜40g/m2の非弾性不織布とが接合されてなる積層複合不織シート。
  6. 請求項5に記載のポリウレタン弾性繊維不織布と非弾性不織布との両者の結合が、両者がいずれも非伸長状態で接合されてなるものであることを特徴とする積層複合不織シート。
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