JP3549362B2 - 回転型電気部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変抵抗器、回転型スイッチ等のクリック付の回転型電気部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転型電気部品を図7〜図11に基づいて説明する。まず、図7に示すように操作軸1は、回転中心に金属製の操作軸1が配置されている。そして、この操作軸1は摘み部1aと、該摘み部1aに連設して摘み部1aより外径の大きい鍔部1bを形成し、該鍔部1bをはさんで摘み部1aの反対側には、前記摘み部1aより外径の小さい嵌合部1cと、該嵌合部1cの先端側にはスリ落とし部1dを形成している。
また、前記操作軸1を回転自在に軸支する軸受け2は、亜鉛ダイカスト等から成り、図7に示すように中心部に操作軸1を軸支する軸孔2aと、該軸孔2aと同心円状の凹部2bと、この凹部2bの底面上には、複数個の突出部2cと谷部2dとを放射状に形成している。
また、軸孔2aを構成するために軸受け2の外部にはボス部2eを突出形成して、内部には環状突堤2fを形成している。
【0003】
また、前記軸受け2は、一対の絶縁基板4、4’が取り付けられた金属製のカバー5の取付脚(図示せず)を、該軸受け2の取付孔(図示せず)に挿入して、カシメ等により取り付けている。
また、前記一対の絶縁基板4、4’の間には操作軸1と共に回転する、絶縁材料から成る摺動子受け6を、図7に示すように、操作軸1のスリ落とし部1dに挿入して、スリ落とし部1dの先端をカシメにより取り付けている。
また、摺動子受け6の外周側の一部にストッパ用突起6aを配置して、該ストッパ用突起6aがカバー5の切り起こし突片5aに当接して操作軸1の回転角度を規制することができるようになっている。
また、前記摺動子受け6の上面と下面とには、一対の摺動子7、7’が固着され、前記絶縁基板上4、4’上に形成されている抵抗体9・9に摺接されるようになっている。
【0004】
また、軸受け2の環状突堤2fと摺動子受け6との間には、操作軸1のスリ落とし部1dの根元部分に圧入して、操作軸1の回転にあわせて回転する板バネ8を配置している。
この板バネ8は板状のバネ材料を打ち抜きされて形成され、図8・図9に示すように外形が略D状に形成して、円弧状のクリック用アーム8aと、小判形状の基部8dと、前記クリック用アーム8aの根元部分と基部8dとを連結する2つの連結部8f・8fとからなっている。
また、前記クリック用アーム8aは、図9に示すように、根元部分の前記連結部8fとの接続部分に折り曲げ線8jを形成して、該折り曲げ線8jから斜め下方に折り曲げている。
また、前記クリック用アーム8aと基部8dとの間にはスリット8cが形成されて、該スリット8cを挟んだ位置の基部8dの中央部には、小判形状の軸孔8eを形成して、該軸孔8eに操作軸1のスリ落とし部1dに圧入されて取り付けられている。
また、このクリック用アーム8aの円弧状先端の中央部には絞り加工によって肉厚が薄くなった凸部8bを端部側の下方に突出形成している。そして、この凸部8bが前記軸受け2の凹部2bの谷部2dに係合して操作軸1にクリック感を得ることができるようになっている。
前述のように、凸部8bを突き出しによる絞り加工を行っている理由は、凸部8bを挟んで両側に位置する二つの、凸部8bと連結部8f間の部分が、互いにねじれ、変形等を生じさせること無く、打ち抜きされた状態を維持して、凸部8bを、突出部2cと谷部2dとに正常に係脱させるためである。
また、絶縁基板4、4’の一方側には摺動子7の回転によって変化する抵抗値等を外部に導出する端子10・10が配置されている。
また、操作軸1の鍔部1bと軸受け2のボス部2e先端との間には、図10に示すようなリン青銅条等から成る、軸孔11aを有するウエーブ状のバネワッシャ11を狭持している。
そして、操作軸1を回転させると、前記ウエーブ状のバネワッシャ11が操作軸1の鍔部1bと軸受け2との間で摩擦して、この摩擦抵抗により操作軸1に所定の回転トルクを得ることができるようになっている。
【0005】
前述したような構成の従来の回転型電子部品の組立は、操作軸1の摘み部1aを図示しない組立治具に保持して、操作軸1を直立させて取り付ける。
そして該操作軸1のスリ落とし部1dの先端から、バネワッシャ11を挿入して、鍔部1b上に位置させる。
次に、操作軸1のスリ落とし部1dの先端から軸受け2の軸孔2aを挿入して、軸受け2を操作軸1の嵌合部1cに嵌合させる。
次に、操作軸1のスリ落とし部1dに板バネ8の小判形状の軸孔8eを位置合わせして、前記組立治具で軸受け2の環状突提2fにぶつかるまで、前記板バネ8を圧入する。
すると、板バネ8のクリック用アーム8aの凸部8bが、図11に示すように軸受け2の凹部2bの谷部2dに係合する。
【0006】
次に、図7中下側の基板10を組み込み、その後、事前に別工程で準備している、摺動子7・7’を取り付けた摺動子受け6の軸孔6cを、操作軸1のスリ落とし部1dに位置合わせして挿入する。
すると、操作軸1のスリ落とし部1dに圧入止めされている板バネ8の基部8dに摺動子受け6の一端が当接する。
【0007】
次に、前記組立治具で摺動子受け6を下方に押圧して、前記組立治具のカシメポンチ(図示せず)で操作軸1のスリ落とし部1d先端をハンドプレス等でカシメ付ける。
そして、次に、カバー5の下側の取付脚(図示せず)を、下側の基板10、軸受け2の取付孔(図示せず)に挿通するように載置し、その後カバー5の上側の取付脚(図示せず)に上側の基板10を載置し、前記組立治具とは別のカシメ治具でカバー5の下側の取付脚を軸受け2にカシメ付けると共に上側の取付脚を上側の基板10にカシメ付けて、従来の回転型電気部品の組立が終了する。
【0008】
前述のような手順で組み立てられた従来の回転型電気部品は、操作軸1を回転させると、板バネ8のクリック用アーム8aの凸部8bが、軸受け2の凹部2b内の突出部2cと谷部2dとに弾接移動して、操作軸1にクリック感を得ることができる。
また、ウエーブ状のバネワッシャ11の弾性力で操作軸1の鍔部1bと軸受け2との間に摩擦抵抗が生じて、操作軸1に回転トルクを得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような従来の回転型電気部品は、板バネ8に設けられたクリック用の凸部8bは、突き出しによる絞り加工であるため、強いクリック感を得るための大きな突き出し形状を持たせることが困難で、強いクリック感を得るために制約があるという問題がある。
また、クリック用の板バネ8は、回転型電気部品の小型化に伴い大きさに制約を受け、この点からも板バネ8を大きくすることが出来ず、強いクリック感を得るために制約があるという問題がある。
【0010】
また、凸部8bは絞り加工で薄肉と成っているため、クリックの寿命が短いという問題がある。
また、クリック感を得るための板バネ8と、回転トルクを得るためのバネワッシャ11とが、それぞれ別になっていたため、部品点数が多く、そのために組立に時間が掛かり、従来の回転型電気部品がコストアップになっていた。
【0011】
また、前記従来の回転型電気部品の板バネ8は、操作軸1の小判形状のスリ落とし部1dに圧入して取り付ける際に、板バネ8とスリ落とし部1dとの嵌合しろが短いため、ガタ無く圧入しようとすると基部8dが変形し、摺動子受け6の取付位置が変わるという問題があった。
また、ガタがある状態で取り付けられると所定の位置でクリック感を生じさせることが出来ないという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するするための第1の手段として、固定部材と、該固定部材に回転自在に軸支された操作軸と、該操作軸に取り付けられて回転可能な回転体と、前記操作軸を挿通し、金属のバネ板から成るクリック用の板バネとを備え、該板バネは、基部と、両端が前記基部に連結されたリング状のアーム部と、該アーム部の中央部に折曲げにより形成された凸部と、該凸部に対して前記操作軸を挟んで対向する位置の前記基部に、折曲げにより形成された凸部とで構成され、前記回転体と前記固定部材の何れか一方にはクリック用の凹凸部が設けられ、他方には前記クリック用の板バネの基部が取り付けられ、前記操作軸の回転で、前記板バネのアーム部に設けた凸部が前記凹凸部に係脱するようにした構成とした。
【0013】
また、前記課題を解決するするための第2の手段として、前記板バネは、リング状のアーム部内に位置するリング状の回転トルク用のバネ部を有し、該バネ部は、前記二つの凸部を結ぶ線を境にして何れか一方に位置する基部、或いはアーム部に連結され、該バネ部を、前記固定部材と回転体との間に位置させて、それぞれに弾接させた構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態の回転型電気部品を図1〜図6に示すような可変抵抗器で説明する。まず、図1の要部組立断面図に示すように、その回転中心には、アルミ等の金属からなる操作軸21が配置されている。
この操作軸21は、摘み部21aと、該摘み部21aに連設して摘み部21aの外径寸法より大きい鍔部21bと、該鍔部21bをはさんで前記摘み部21aの反対側には、後述する軸受け部22が嵌合する円形の嵌合部21cと、該嵌合部21cの先端側には小判形状のスリ落とし部21dと、該スリ落とし部21dの先端に軸細のガイド部21eとが形成されている。また、該ガイド部21eと前記スリ落とし部21d先端とが交わる部分には平坦な段部21fが形成されている。
【0015】
また、本発明の回転型電気部品には、前記操作軸21を回転自在に軸支する軸受け部22が形成されて、この軸受け部22には後述するクリック感および回転トルクを生じさせるための部材を収納する筺体23が一体に形成されている。
そして、固定部材を構成する前記軸受け部22と筺体23とは、亜鉛ダイカスト等により一体に形成されて、図2(A)の正面図、図2(B)の側面図に示すように、中心部に軸孔22aが形成されたボス部22bが配置されて、該ボス部22bは、外形が略矩形の筺体23の側板23bの略中央部から前方に突出して形成されている。
また、前記側板23bの外周には所定の高さの側壁23aが形成されて、筺体23の外周を遮蔽するようになっている。
そして、この筺体23は、後方側が開放されて前記側板23bが、開放された後方から見えるようになっている。
また、図2(A)に示すように、前記側板23bの下方側の両側で、左右の側壁23aに近い位置に、図1に示すような先端が幅広で鍔状になったT状の角形突起23c・23cが開放内部に突出形成されている。
また、図1に示すように、前記角形突起23cの根元部分には、ダイカスト成形加工で前記先端の鍔状部を形成するための角孔23j・23jがそれぞれ形成されている。
また、前記2つの角形突起23cの間には、径の小さな丸突起23h・23hが前記側板23bから開放部に向かって突出形成されている。
また、図2(A)に示すように、前記前記側板23bの角形突起23cが形成されている位置と反対側で、軸孔22aの上方には、所定の幅と、厚さと、高さのストッパ部23dが突出形成されている。
また、前記側壁23aの上面の4隅には円形のスペーサ取付突起23eが、それぞれ突出形成されている。
また図2(A)に示す左右の側壁23aの外面には、それぞれ2個のガイド溝23fが形成されて、後述する取付板30の取付脚30aが位置決めされるようになっている。
また、図2(B)に示すように、前記それぞれのガイド溝23fの途中には、小さい矩形の突起23kが溝幅方向に突出して形成されている。
また、前記ガイド溝23fに連設する側板23bの前面には段部23gが形成されて、該段部23gに後述する取付板30の取付脚30aの先端をカシメ付けるようになっている。
【0016】
また、前記筺体23の側板23bに取り付けられたクリック用の板バネ24は、リン青銅板等の弾性を有する材料から成り、前記筺体23の角形突起23cと丸突起23hとに圧入およびカシメ等により取り付けられている。
そして、該板バネ24は、図3(A)の正面図、図3(B)の側面図、図6の分解斜視図に示すように、平坦状の基部24aが、中央部に折り曲げ加工により形成された略半円形状の凸部24mをはさんで、左右両側に形成されている。
また、板バネ24の基部24aには、該基部24aから斜め上方に延びて中央部に折り曲げ加工によって形成された略半円形状の凸部24jを有し、その外形がU型のリング状で、両端が基部24aに連結したクリック用アーム部24bと、該クリック用アーム部24bのリング状の内側の空隙部24cに、前記基部24aの一方側に連結部24pで連結されたリング状の回転トルク用湾曲部24kを有するバネ部24dを設けている。
即ち、前記凸部24jと凸部24mは、折曲げ加工により形成されているため、肉厚は薄くなることなく、しかも、強いクリックに必要な大きな凸部24jを自由に形成でき、また、両凸部24j,24mは板バネ24の中心Oを挟んで互いに反対側に形成されているため、中心Oと凸部24jと凸部24mとを結ぶ線Sを境にして、両側に位置する二つのアーム24bと基部24aは、ねじれ、変形等を生じることなく、左右対称な形状になっており、そして、リング状のバネ部24d内に操作軸21が挿入された際は、前記凸部24jと凸部24mは、操作軸21を挟んで対向する位置に配設された状態となっている。
また、前記バネ部24dは、前記線Sを境にして一方側に位置する基部24a(アーム部24bでも良い)に連結部24pによって連結されているため、凸部24j,24mが折り曲げられても、バネ部24dはねじれ、変形等を生じることなく、元の状態が維持されている。
そして、図3(A)に示すように、前記基部24aの左右2箇所に角孔24e・24eが形成されて、該角孔24eを形成する相対向する2辺には舌片24f・24fが図3(B)に示すように、基部24aを切り起こし加工して、先端に行くほど寸法が狭くなるハ状に形成されている。
また、前記2つの角孔24e・24eの間には、小さい径の丸孔24g・24gが形成されている。
そして、前記筺体23の角形突起23c先端の鍔状部に角孔24eの舌片24f・24fが圧入され、丸突起23hが丸孔24gに挿入されて、丸突起23hの先端をカシメて板バネ24が筺体23に取り付けられている。
【0017】
また、前記クリック用アーム部24bは、前記基部24aの折り曲げ線24hから斜めに所定の角度で折り曲げられて、前記凸部24jは前記クリック用アーム24bの折り曲げ方向と同方向に突出形成されている。
また、前記基部24aに連結されたバネ部24dは、内部に孔24nを有するリング状に形成されて、その左右には前記クリック用アーム部24bと同方向の斜めに湾曲形成された回転トルク用湾曲部24k・24kが形成されている。
また、クリック用アーム部部24b先端の凸部24jに押圧荷重が加わると、図3(B)の破線に示すような状態で撓むことができるようになっている。
【0018】
また、回転体25は図4・図6に示すように、樹脂材料等で円盤状に形成されて、外径の大きい円形部25aと外径の小さいボス部25bとからなっている。
そして、該ボス部25bは前記円形部25aの中央部下面に突出形成されて、このボス部25bの中心部には、前記操作軸21のスリ落とし部21dが嵌合できる形状の小判形状の軸孔25cが貫通して形成されている。
また、ボス部25bの下面は平坦部25dと突出部25jとで二段に形成されて、該突出部25jは前記板バネ24のバネ部24dの孔24nが位置するようになっている。
【0019】
また、図6に示すように、円形部25aの下面の外周側の略半周部分には、複数の山形の凹凸から成る凹凸部25eが形成されている。また、該凹凸部25eが形成されていない半周部分側には、前記ボス部25bに接して突出形成されたストッパ25fが配置されている。
そして、前記操作軸21のスリ落とし部21dに、回転体25の軸孔25cが挿入されて、前記操作軸21が回転すると前記回転体25が回転して、この回転体25のストッパ25fが、前記筺体23のストッパ部23dに当接して、回転体25の回転角度が規制されるようになっている。
また、前記回転体25の円形部25a上面には、摺動子片26が熱カシメ等で固着されている。
そして、前記スリ落とし部21d先端の段部21fがカシメられて、前記筺体23の開放内部で操作軸21と回転体25とが抜け止めされて一体化されている。
【0020】
また、図1に示すように、前記摺動子片26が固着された回転体25の上方には、樹脂材料等からなる板状の回転体当接部材であるスペーサ27が、前記筺体23の側壁23aのスペーサ取付突起23eに挿入されて仮止めされている。
そして、前記スペーサ27は、図5(A)の正面図、図5(B)の側面図に示すように、外形が略矩形に形成されて、その中央部に前記摺動子片26を挿通する円形の大きめの孔27aが形成されて、該孔27aの周囲には、後述する抵抗体基板28を位置決めして仮止めする段部27bと2個のフック部27cとが形成されている。
そして、該2個のフック部27cは、前記孔27aの円周上の対向する位置に突出形成されて、その先端が鈎状になっている。
また、図5(A)に示すスペーサ27の左右の側面には、後述する取付板30の取付脚30aを案内するガイド溝27dがそれぞれ形成されている。
また、前記段部27bおよびフック部27cとが形成されている反対側の面には、外形が円形で平坦な段部27fが突出して形成されている。そして、回転型電気部品に回転体押圧部材である前記スペーサ27を組み込むと、該スペーサ27の段部27fが、前記回転体25の摺動子片26が固着されている側の円形部25aの外周寄りと当接するようになっている。
また、前記スペーサ27の4つのコーナ部には円形の突起27eが所定の高さでそれぞれ形成されている。
【0021】
また、前記スペーサ27の段部27bには、フェノール樹脂等からなる抵抗体基板28が前記スペーサ27のフック部27c・27cに仮止めされて取り付けられている。
また、前記抵抗体基板28は一方側の面に、図6の分解斜視図に示すような抵抗体パターン28aが印刷等で形成されて、該抵抗体パターン28aに前記摺動子片26が弾接して摺動するようになっている。また、抵抗体基板28の端部には金属等からなる複数の端子29がカシメ付けられている。
また、前記抵抗体基板28を仮止めしたスペーサ27の上方から、鉄板等からなる取付板30がかぶせられて、該取付板30に形成されている4本の取付脚30aを、前記筺体23の前面の段部23gに折り曲げ等でカシメ付けられて、本発明の回転型電気部品は構成されている。
【0022】
前述のような構成の本発明の回転型電気部品の組立を図6の分解斜視図を基に説明する。
まず、筺体23の側板23bに突出形成されている角形突起23cに、板バネ24の舌片24fを有する角孔24eを圧入治具(図示せず)を用いて圧入する。すると、ハ状に形成されている舌片24fの先端が角形突起23cのT状の鍔部に係止されて抜け止めされる。
そして、筺体23の丸突起23hに板バネ24の丸孔24gが挿入されて、前記丸突起23hの先端をカシメ治具(図示せず)でカシメて、板バネ24を筺体23の側板23bに固定する。
次に、操作軸21の摘み部21aを図示しない組立治具に直立状態で取り付ける。そして、この操作軸21に、前記板バネ24を取り付けた筺体23の軸受け部22を挿入して、操作軸21の嵌合部21cに軸受け部22の軸孔22aを嵌合させる。
【0023】
次に、前記筺体23の開放内部に位置している操作軸21のスリ落とし部21cに、摺動子片26を取り付けた回転体25の、小判形状の軸孔25cを挿入する。そして、操作軸21のスリ落とし部21dの先端の段部21fを、図1に示す矢印A方向からカシメ治具(図示せず)でカシメ付けると、操作軸21に回転体25が抜け止めされて一体化される。そして、前記操作軸21を回転させると、筺体23の開放内部で回転体25も一緒にガタなく回転する。
このとき、前記板バネ24のクリック用アーム部24bの凸部24jが回転体25の凹凸部25eに弾性付勢し、前記バネ部24dの回転トルク用湾曲部24kが回転体25の平坦部25dに弾性付勢する。
一方、複数の端子29が取り付けられた抵抗基板28を前記スペーサ27の段部27bに位置決めしてから、手作業等で抵抗基板28を下方に押圧し、該抵抗基板28をスペーサ27のフック27cに係止して仮止めしておき、該ユニットの抵抗パターン28aを下面側にして、前記筺体23の側壁23aのスペーサ取付突起23eにスペーサ27を仮止めし、スペーサ27の段部27fが回転体25の円形部25aの上面外周寄りに当接するように組み込む。
このとき、前記抵抗体パターン28aは前記回転体25に取り付けられた摺動子片26に弾接する。
【0024】
次に、前記抵抗体基板28を取り付けたスペーサ27の上方から、取付板30の4本の取付脚30aを、スペーサ27の側面のガイド溝27dおよび筺体23の側面のガイド溝23fに挿入すると、前記取付脚30aが前記それぞれのガイド溝27d・23fに案内されて、前記筺体23の側板23bの前面から取付脚30aの先端が出っ張る。このとき、前記それぞれの取付脚30aは筺体23のガイド溝23fの途中に形成されている突起23kにより、前記ガイド溝23fから外方に広がらないようになっている。
そして、前記筺体23の前面から出っ張った取付脚30aの先端を、図示しないカシメ治具を使って筺体23の前面の段部23gに折り曲げてカシメ付けると、前記スペーサ27および抵抗体基板28が筺体23に固定され、且つ前記回転体当接部材であるスペーサ27の段部27fが、前記回転体25の円形部25aの上面の外周寄りと当接して本発明の回転型電気部品の組立が終了する。
【0025】
前述したような本発明の回転型電気部品は、筺体23に取り付けた板バネ24のバネ部24dの回転トルク用湾曲部24kを、前記軸受け部22と回転体25の平坦部25dとの間に弾接狭持して板バネ24と回転体25の摩擦力、および回転体25と段部27fの摩擦力により操作軸21に回転トルクを生じさせ、前記クリック用アーム部24bの先端部の凸部24jを、前記回転体25の凹凸部25eに係脱させて操作軸21に所定のクリック感を生じさせることができる。
【0026】
また、本発明の回転型電気部品は1つの板バネ24で、操作軸21に回転トルクとクリック感とを生じさせることができる。
また、前記実施形態では、固定部材を、軸受け部22と筺体23とで構成したもので説明したが、何れか一方で構成しても良く、また、クリック用の凹凸部25eを回転体25に設けたもので説明したが、固定部材に凹凸部を設け、この凹凸部に、回転体25に取り付けた板バネ24を係脱させるようにしても良い。
なお、本発明の実施の形態の説明では、回転型電気部品を可変抵抗器を例に説明したが、本発明は可変抵抗器に限定されるものではなく、回転型のスイッチ、あるいは磁気エンコーダ等にも適用できる。
【0027】
【発明の効果】
本発発明の回転型電気部品は、クリック用の板バネ24のアーム部24bに、折曲げによってクリック用の凸部24jを設け、この凸部24jを凹凸部25eに係脱させるようにしたため、強いクリックに必要な大きな凸部24jを容易に、、自由に形成でき、強いクリックを得るに好適な回転型電気部品を提供できる。
また、電気部品が小型化に成っても、凸部24jは折曲げによるため、大きな凸部24jを形成でき、小型の電気部品においても強いクリックを得ることが出来る。
また、凸部24jは折曲げによるため、その肉厚は、従来の絞り加工に比して薄くなることが無く、長寿命のクリックを得ることが出来る。
【0028】
また、板バネ24に、回転トルク用のバネ部24dを連結して一体に形成したため、部品点数が少なく、組立性が良好で、安価な電気部品を提供できる。
更に、板バネ24は、固定部材、又は回転体に取りけられるため、従来のように操作軸で支持されるものに比して、板バネ24の支持が強固となり、所定の位置でクリック感を生じさせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転型電気部品の要部断面図。
【図2】本発明の回転型電気部品の筺体の正面図と側面図。
【図3】本発明と回転型電気部品の弾性部材の正面図と側面図。
【図4】本発明の回転型電気部品の回転体に摺動子片を取り付けた概略図。
【図5】本発明の回転型電気部品のスペーサの正面図と側面図。
【図6】本発明の回転型電気部品の分解斜視図。
【図7】従来の回転型電気部品の要部断面図。
【図8】従来の回転型電気部品の板バネの正面図。
【図9】従来の回転型電気部品の板バネの側面図。
【図10】従来の回転型電気部品のバネワッシャの斜視図。
【図11】従来の回転型電気部品の板バネと軸受けとの概略構成図。
【符号の説明】
21 操作軸
22 軸受け部
23 筺体
24 板バネ
24b アーム部
24d バネ部
24j 凸部
24m 凸部
25 回転体
25e 凹凸部
26 摺動子片
27 スペーサ
28 抵抗体基板
29 端子
30 取付板

Claims (2)

  1. 固定部材と、該固定部材に回転自在に軸支された操作軸と、該操作軸に取り付けられて回転可能な回転体と、前記操作軸を挿通し、金属のバネ板から成るクリック用の板バネとを備え、該板バネは、基部と、両端が前記基部に連結されたリング状のアーム部と、該アーム部の中央部に折曲げにより形成された凸部と、該凸部に対して前記操作軸を挟んで対向する位置の前記基部に、折曲げにより形成された凸部とで構成され、前記回転体と前記固定部材の何れか一方にはクリック用の凹凸部が設けられ、他方には前記クリック用の板バネの基部が取り付けられ、前記操作軸の回転で、前記板バネのアーム部に設けた凸部が前記凹凸部に係脱するようにしたことを特徴とした回転型電気部品
  2. 前記板バネは、リング状のアーム部内に位置するリング状の回転トルク用のバネ部を有し、該バネ部は、前記二つの凸部を結ぶ線を境にして何れか一方に位置する基部、或いはアーム部に連結され、該バネ部を、前記固定部材と回転体との間に位置させて、それぞれに弾接させたことを特徴とする請求項1記載の回転型電気部品。
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