JP3549319B2 - 電動送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電気掃除機などの風力を利用する各種電気機器に用いられる電動送風機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の用途に用いられる従来の電動送風機は、その半部を切断した正面図を示す図4のような構成になっている。すなわち、有底円筒状となった鋼板製の本体ブラケット1の開口部に負荷側ブラケット2が合体固定され、負荷側ブラケット2にはファンケース3が圧入固定されて、外体ケースが構成されている。本体ブラケット1には、周知の電動機と同様の構造となった電動機機構部4が収納されている。電動機機構部4は、これの可動側機構であるところのトルクを発生する電機子7に貫通固定された回転軸8が、本体ブラケット1の筒心方向に配置されて両端部を軸受9でそれぞれ支持されている。一方、電動機機構部4の固定側機構である界磁組立体10は、電気鉄板を積層した界磁鉄心11に巻枠12を介して界磁巻線13が施された構成になっており、この界磁組立体10は、界磁鉄心11が本体ブラケット1に形成された複数個の受け部14と係止突部17とにより両端部を挟持されることにより、本体ブラケット1に固定されている。
【0003】
また、回転軸8における負荷側ブラケット2を貫通した先端部には送風ファ、18が取り付けられており、送風ファン18の回転により発生する風を本体ブラケット1内に導くエアガイド19が、送風ファン18と負荷側ブラケット2との間に配置されて負荷側ブラケット2に固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の電動送風機では、界磁組立体10を本体ブラケット1へ固定するに際して、以下のような手段で行っている。すなわち、鋼板製の本体ブラケット1には、内方への切り起こしにより受け部14が予め形成される。そして、組立工程において、界磁組立体10を本体ブラケット1内に挿入して界磁鉄心11の一端面(図の下端面)を受け部14に当接させることにより、界磁組立体10を回転軸8の軸方向に対し一方向(図の下方向)への位置決めを行う。そののちに、A矢印で示すように、本体ブラケット1における界磁鉄心11の他端部(図の上端部)に対応する箇所を外部からポンチ打ちして内方に凹ませて、係止突部17を形成する。それにより、界磁組立体10、その界磁鉄心11が受け部14と係止突部17とにより挟持固定されて、本体ブラケット1に取り付けられる。
【0005】
このように、上記の電動送風機では、受け部14を形成するための本体ブラケット1への切り起こし工程と、界磁組立体10を受け部14に当接させた作業性の悪い状態での係止突部17を形成するためのポンチ打ち工程とを必要とするため、工数が比較的多くなり、製造コストが高くつく。また、本体ブラケット1は、受け部14および係止突部17を上記ような手段で形成することから必然的に、鋼板などの金属で形成しなければならず、安価で軽量の合成樹脂製とすることは不可能である。これらが電動送風機の製造コストの低減および軽量化を阻害する要因になっており、近年の家電製品の低価格化の要望に対応できない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、安価で簡単な構成により電動機機構部における界磁組立体を固定することのできる電動送風機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動送風機は、回転軸を駆動する電動機機構部と、前記回転軸に固着された送風ファンと、前記電動機機構部が収納される有底筒状の本体ブラケットと、この本体ブラケットの開口部に固定されるとともに、前記回転軸に取り付けられた一方の軸受を保持する負荷側ブラケットとを備えた電動送風機において、前記本体ブラケットに、前記電動機機構部における固定側の界磁組立体に対し前記回転軸の軸方向の位置決めをして当接する受け部が設けられ、前記負荷側ブラケットに、前記本体ブラケットへの固定により前記界磁組立体を前記軸方向に付勢して前記受け部に対し弾性的に押し付けて挟持固定する押圧脚部が前記負荷側ブラケットにおける前記本体ブラケットに固定するための固定部の近傍箇所に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、本体ブラケットと負荷側ブラケットとを互いに合体固定するときに、これらの間に電動機機構部の界磁組立体を挟み込んで固定する構成になっているので、受け部および押圧脚部は、それぞれ本体ブラケットおよび負荷側ブラケットに一体形成または固着などの手段により予め設けておくことができる。したがって、組立工程においては、従来のポンチ打ちなどの作業を一切必要とせず、本体ブラケットと負荷側ブラケットとを単に連結するだけで界磁組立体を固定でき、工数を削減することができる。また、押圧脚部は、弾性力を有しているので、受け部に位置決めして当接している界磁組立体に対する寸法はさほど精密に設定しなくても、界磁組立体を弾力的に安定に保持できる。さらに、切り起こしやポンチ打ちの工程が不要となることから、本体ブラケットを合成樹脂製とすることが可能となる。それにより、製造コストを低減できるとともに、軽量化することもできる。
【0009】
上記発明において、合成樹脂製の本体ブラケットに受け部が一体形成され、
金属製の負荷側ブラケットには、複数本の弾性を有する押圧脚部が前記受け部に対向して回転軸の軸方向に突設され、前記押圧脚部が、前記負荷側ブラケットが前記本体ブラケットに固定された時に撓められて、その復元力により界磁組立体における巻枠を押圧して界磁鉄心を前記受け部と共に挟持固定する構成とすることが好ましい。
【0010】
それにより、本発明を安価に、且つ容易に実施することができる。また、界磁組立体は、受け部と押圧脚部とにより巻枠を介して界磁鉄心を挟み込むことにより固定されるので、界磁組立体は、巻枠における押圧脚部の当接箇所をその肉厚を僅かに大きくなるよう変更するだけで対応できる。しかも、押圧脚部は、負荷側ブラケットを本体ブラケットに固定する時に撓められて弾性力が生じるようになっているので、負荷側ブラケットの寸法などの設計が容易となり、さらに、固形体を圧接させる場合に比較して組立性も向上する利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳述する。
【0012】
図1〜図3はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る電動送風機を示し、図1は半部を切断した正面図、図2は図1の一部を除去した平面図、図3(a)は負荷側ブラケットの平面図、同(b)は同ブラケットの半部を切断した正面図である。これらの図において、図4と同一若しくは実質的に同等のものには同一の符号を付してその説明を省略し、以下に相違する構成についてのみ説明する。
【0013】
本体ブラケット20は、合成樹脂により有底円筒状に一体成形されており、この本体ブラケット20には、図1に示すように、界磁鉄心11の一端面(図の下端面)を当接させて、界磁組立体10の回転軸8の軸方向に対する一方向(図の下方向)の位置決めを行う複数条のリブ21が一体形成されている。一方、負荷側ブラケット22は、従来の電動送風機と同様に鋼板により形成されているが、図2および図3(a)に示すように、4か所からそれぞれ押圧脚部23が一体に突設されている。この各押圧脚部23は、図2に明示するように、負荷側ブラケット22における本体ブラケット20に固定するための固定ねじ24の近傍箇所から内方へ延出され、且つ、図1に明示するように、直交方向に下方に屈曲された形状になっている。上記各押圧脚部23の先端面は巻枠12に弾性的に当接されるが、この巻枠12の押圧脚部23の当接箇所は、その肉厚を既存のものに比較して大きくなるよう変更されて、保持部12aが形成されている。
【0014】
つぎに、上記の電動送風機の組立手順について説明する。電動機機構部4の固定側の界磁組立体10を、本体ブラケット20にその開口部から挿入して、その界磁鉄心11の一端面をリブ21に当接させ、回転軸8の軸方向に対し一方向の位置決めを行う。つぎに、電動機機構部4の可動側の電機子7を界磁組立体10の内方に挿入して回転軸8を一方(図1の下方)の軸受9に支持させる。続いて、負荷側ブラケット22を、その開口部27から回転軸8を挿通させて本体ブラケット20に組み合わせ、4個の固定ねじ24を締め付けることにより、負荷側ブラケット22を本体ブラケット20に合体固定する。
【0015】
上記の各固定ねじ24を締め付けるときに、これら固定ねじ24の近傍に位置して先端面が巻枠12の保持部12aに当接している押圧脚部23は、負荷側ブラケット23が本体ブラケット20に圧接される方向に変位するのに伴って僅かに撓むように変形されていき、固定ねじ24の締め付けが終わって負荷側ブラケット22が本体ブラケット20に完全に固定されたときに、変形に対する復元力による弾性力で巻枠12の保持部12aを押圧する。それにより、界磁組立体10は、リブ21と押圧脚部23とにより巻枠12を介して界磁鉄心11が挟み込まれて固定される。その後に、送風ファン18、エアガイド19およびファンケース3が順次取り付けられると、組み立てが完了する。
【0016】
このように、本体ブラケット20に負荷側ブラケット22を合体固定するときに、これらの間に電動機機構部4の界磁組立体13が挟み込まれて固定されるから、組立工程においては、従来のポンチ打ちなどの作業を一切必要とせず、本体ブラケット20と負荷側ブラケット22とを単に連結するだけで界磁組立体10を固定でき、従来に比し工数を削減することができる。また、押圧脚部23は、弾性力を有しているので、リブ21に当接して位置決めされている界磁組立体10に対する寸法はさほど精密に設定しなくても、界磁組立体10を弾力的に安定に保持できる。さらに、切り起こしやポンチ打ちの工程が不要となることから、本体ブラケット20を上述のように合成樹脂製とすることが可能になっており、製造コストを低減するとともに、軽量化をも達成している。
【0017】
また、界磁組立体10は、巻枠12における押圧脚部23の当接箇所をその肉厚が僅かに大きくなるよう変更して保持部12aを形成するだけで対応できる。
【0018】
なお、巻枠12に保持部12aを設けずに、押圧脚部23を界磁鉄心1に直接当接させて押圧する構成としてもよい。また、押圧脚部23は、負荷側ブラケット22を本体ブラケット20に固定する時に撓められて弾性力が生じるようになっているので、負荷側ブラケット22の寸法などの設計が容易となり、さらに、固形体を圧接させる場合に比較して組立性も向上する利点がある。
【0019】
なお、本体ブラケット20は、合成樹脂製に限らず、従来と同様に鋼板製とすることもできる。その場合、本体ブラケットに形成する界磁鉄心11の受け部は、上記のリブ21に限らず、切欠きにより形成してもよい。また、負荷側ブラケット22に形成した押圧脚部23は、上述の帯状体を屈曲した形状に限らず、負荷ブラケット22の本体ブラケット20への合体固定時に変形されて、その復元力により弾性を生じる形状であればよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のように発明の電動送風機によれば、電動機機構部の固定側の界磁組立体を、本体ブラケットと負荷側ブラケットとを互いに合体固定することにより、両者の間に挟持固定する構成としたので、従来の切り起こしやポンチ打ちの工程が不要となるため、工数を削減して製造コストを低減できるとともに、本体ブラケットを合成樹脂製とすることが可能となり、それにより、軽量化を図ることもできる。また、押圧脚部は、弾性力を有しているので、界磁組立体に対する寸法はさほど精密に設定しなくても、界磁組立体を弾力的に安定に保持できる利点がある。
【0021】
また、本体ブラケットを合成樹脂製として受け部を一体形成し、負荷側ブラケットに、負荷側ブラケットが本体ブラケットに固定された時に撓められて界磁組立体における巻枠を押圧する複数本の弾性を有する押圧脚部を突設する構成とすれば、本発明を安価に、且つ容易に実施することができるとともに、負荷側ブラケットの寸法などの設計が容易となり、固形体を圧接させる場合に比較して組立性も向上する効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電動送風機を示す半部を切断した正面図。
【図2】同上の一部を除去した平面図。
【図3】(a)は同上の電動送風機の負荷側ブラケットの平面図、(b)は同ブラケットの半部を切断した正面図。
【図4】従来の電動送風機を示す半部を切断した正面図。
【符号の説明】
4 電動機機構部
8 回転軸
10 界磁組立体
11 界磁鉄心
12 巻枠
18 送風ファン
20 本体ブラケット
21 リブ(受け部)
22 負荷側ブラケット
23 押圧脚部
Claims (4)
- 回転軸を駆動する電動機機構部と、前記回転軸に固着された送風ファンと、前記電動機機構部が収納される有底筒状の本体ブラケットと、この本体ブラケットの開口部に固定されるとともに、前記回転軸に取り付けられた一方の軸受を保持する負荷側ブラケットとを備えた電動送風機において、
前記本体ブラケットに、前記電動機機構部における固定側の界磁組立体に対し前記回転軸の軸方向の位置決めをして当接する受け部が設けられ、
前記負荷側ブラケットに、前記本体ブラケットへの固定により前記界磁組立体を前記軸方向に付勢して前記受け部に対し弾性的に押し付けて挟持固定する押圧脚部が前記負荷側ブラケットにおける前記本体ブラケットに固定するための固定部の近傍箇所に形成されていることを特徴とする電動送風機。 - 固定部近傍箇所に、前記固定部を挟むように押圧脚部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電動送風機。
- 押圧脚部が負荷側ブラケットの固定部の近傍箇所から内方へ延出され、かつ、直交方向下方に屈曲し形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電動送風機。
- 合成樹脂製の本体ブラケットに受け部が一体形成され、
金属製の負荷側ブラケットには、複数本の弾性を有する押圧脚部が前記受け部に対向して回転軸の軸方向に突設され、
前記押圧脚部が、前記負荷側ブラケットが前記本体ブラケットに固定された時に撓められて、その復元力により界磁組立体における巻枠を押圧して界磁鉄心を前記受け部と共に挟持固定することを特徴とする請求項1記載の電動送風機。
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1996
- 1996-02-07 JP JP02111796A patent/JP3549319B2/ja not_active Expired - Fee Related
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