JP3548975B2 - 発芽玄米製造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品用として用いる発芽玄米の製造装置に関わり、詳しくは業務用等大量の発芽玄米を効率よく製造できるよう、その製造工程である給水、洗米、保温、洗米、冷却の各工程を1つの装置で連続的に一貫制御して製造するようにした発芽玄米の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発芽玄米は、収穫した稲の外側を包んでいる硬いモミ殻を除去した後の玄米を所定温度の温水中に浸漬させ0.5〜1ミリほど発芽させたもので、玄米単独又は精米した米と混ぜて炊き込んで食することにより体内に好適な生理作用を促す栄養価の高い健康食品として、近年一般家庭の食卓や食堂又は給食などの業務用として広く利用されつつある。
【0003】
この芽玄米を、業務用として大量に製造する装置として特許第2502905号に開示された装置が公知である。この装置は、玄米の投入から洗米、加温、洗米、取り出しまでの一連の工程をコンベア上で蒸して発芽を促しながら発芽玄米を造るものであり、また玄米の発芽段階で生ずる微生物による腐敗や悪臭の発生を防止するために、該装置内の空気を改質する空気組成改質装置を用いて内部の酸素濃度ならびに窒素濃度を調節するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発芽玄米製造装置は、コンベア上の玄米層にスプレーノズルから温水を噴射し発芽室内を霧化状態に保って玄米の発芽を促すものであるため、玄米の発芽段階で生ずる微生物によって腐敗や悪臭が生じ易く、その対策として空気組成改質装置を別途用意して該装置内の空気を改質するようにしている。
【0005】
ところが、密閉された発芽室の中で玄米を蒸すものであるため、コンベア上に薄く均等に広げて保温しないと玄米の重なり合った内部は空気の流通が阻害され易く、カビその他の微生物が発生し発酵して悪臭を生ずるという問題点を内在する。また、全体として装置が大がかりとなり設備費も高価となる問題点もある。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するため、抗菌性金属材料で形成した水槽ならびに収納容器を用いその中に玄米を浸漬させて発芽に好適な水温に保持すると共に、該水槽内の温水を定期に攪拌・循環させ重なり合う玄米の位置関係を変更しながら均一な発芽を促すこと、および発芽後の玄米を冷水によって均一に冷却することにより発芽の成長を止めると共に、水槽から取り出し後大気に触れることによって生ずる雑菌又は微生物の増殖を最小限に抑えて長期保存可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、上方開口部に開閉蓋を設けたケーシングに、内周面を抗菌性金属材料により形成する水槽を設け該水槽内に抗菌性金属材料により成る玄米収納用の収納容器と、該収納容器を水槽内に保持する収納容器支持体とを設けると共に、前記水槽の底壁又は該底壁近傍には保温ヒータと、水槽内の水を排出する排水管と、水平方向より上方に噴射口を向けて配管上に取り付けた洗米ノズルと、前記水槽内へ冷水を供給する冷水装置および温水を供給する温水装置とを設け、さらに前記洗米ノズル取り付けの配管を前記ケーシング下方に配置した洗米ポンプの排出口と接続する一方、該洗米ポンプの吸入口を水槽底壁に設けた開口と配管接続し、前記水槽内の玄米に対する給水、洗米、保温、冷却の各工程を前記ケーシングに付設した制御盤により制御するように構成したこと、および前記洗米ノズルの噴射方向は、水平方向よりも上方に向けかつ互いに変位した位置に着脱自在に配置されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、発芽ムラのない発芽玄米を製造すると共に、玄米の発芽後冷水で冷却することによって発芽の成長を停止させ、さらにこの冷却によって雑菌又は微生物の増殖を最小限に抑えることができるので、得られた発芽玄米は長期の保存も可能となる。
【0009】
また、前記玄米収納用の収納容器は、抗菌性金属材料により成る金網又はパンチングメタルで形成すると共に、その底部外壁には該底部よりも上方に向けて窪ませた凹み空間を形成したもので、この凹み空間が洗米ノズルから噴射した水の案内となって収納容器内の玄米を集中的に吹き上げてその配置関係を変更できるので均一な発芽を促すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明発芽玄米製造装置の一実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。
【0011】
ケーシング1内には略円筒状の水槽2が設置されると共に、該水槽内には玄米Aを収納する収納容器3が配置され、水槽2とケーシング1との間には保温材4が貼着し、その上方開口部5には開閉手段(図示せず)によって開閉自在に開閉蓋6が載置している。
【0012】
また、水槽2の内周面は後述する抗菌性金属材料により成り、その下端底壁7は逆円錐状に形成されその近傍には収納容器支持体8が配設し、玄米を収納した収納容器3を水槽2内の定位置で座着・保持するようになっている。
【0013】
この収納容器支持体8は、底壁7と収納容器3の底部3A間に適宜寸法の空間を設けて水平方向(平面視において左右方向)に回動自在に構成されると共に、リンク機構(図示せず)を介して上下方向に昇降可能に構成されている。これにより、洗米ポンプによる洗米時水槽内の水の攪拌状態に合わせて収納容器3を水平方向に回動させたり、上下方向に昇降させてムラ無く好適な洗米を行うことができる。
【0014】
玄米Aの収納容器3は、図2に示すように略円筒形の篭型を成し、外筒9周囲は玄米がはみ出さない程度の網目(2〜3平方ミリメートル)を有した抗菌性金属材料製金網もしくはパンチングメタルからなり、水槽2下方に設けた収納容器支持体8の略中央部に適宜数(1〜3個)据え付けられる。
【0015】
また、収納容器3の外筒9上方には傾倒可能に閉蓋9Aと把持部10が設けられており、収納容器3を水槽2内から出し入れする場合はこの把持部10を手又はクレーンなどの昇降手段により搬入・搬出が可能となっている。
【0016】
なお、上述した水槽2の内周面ならびに収納容器3に用いる抗菌性金属材料としては、銅または銅を成分とする抗菌性ステンレス鋼の他、亜鉛、銅を含有する黄銅、錫等の合金材料が好ましい。
【0017】
これらの金属材料は、一般に微量金属作用(抗菌作用)によって微生物や藻類等の水性生物を銅イオンで死滅させる作用を有しているため、玄米の発芽段階で生じ易い微生物の増殖を最小限に抑えることができ、よって玄米または温水の腐敗や水槽内の各部位に付着するぬめりの発生をも防止できる。そのため、従来のように高価な抗菌剤や抗菌フイルタを用いる必要が無く、発芽した玄米も無害である。
【0018】
さらに、水槽2下方の内周面11および底壁7には該周面に沿って設置した配管18に複数の洗米ノズル12が着脱自在に螺着し、収納容器3の配置数に応じて取付位置を可変可能になっている。また、その先端部である噴射口13の噴射方向の中心は、水平方向または水平方向よりも上方に向けて開口すると共に、各噴射ノズルの噴射方向の中心も互いに交叉しない変位した位置に配置されている。
【0019】
また、ケーシング1の下方即ち水槽2の下側空間部15には該空間を有効利用して洗米ポンプ16が設置し、その排出口17は洗米ノズル12が螺着する配管18と接続し、他方の吸入口19側は水槽2の底壁7の略中央部に設けた開口20から吸入管21、開閉弁22を介して接続しており、ケーシング1に付設した制御盤23(図4)によって洗米ポンプ16の駆動と開閉弁22のON―OFF制御がなされる。この制御盤23には、洗米ポンプ16その他の各機器の駆動時間を設定するタイマー45その他運転制御に必要な一切の電気機器が配置されており、スイッチ24により自動又は手動何れの制御も可能となっている。
【0020】
以上により、前記吸入管21、洗米ポンプ16、配管18、洗米ノズル12、水槽2を循環する水循環回路が形成され、洗米ポンプ16の駆動によって圧送された水は洗米ノズル12の噴射口13から収納容器3に向って勢いよく吹き出し、その動圧で収納容器3内の玄米Aを吹き上げるように対流して洗米する。
【0021】
さらに、ケーシング1の側方には冷水装置25と温水装置26が付設し、図示しない外部の給水源から給水管27を介して供給された水が給水弁28を介して導入されるようになっている。
【0022】
この冷水装置25は、ケーシング1の外部に設置される冷凍機又はチラー等の冷媒管路と接続し該装置内を通過する水を概ね6℃以下に冷却する能力を有している。一方、温水装置26は加温ヒータを内蔵し該装置内を通過する水を32℃以上に加温する能力を有している。
【0023】
また、給水弁28の二次側配管途中には切替弁29が設けられ、制御盤23からの信号によって冷水装置25又は温水装置26の何れか一方に対して水の流路を選択的に切り替え制御して通水するようになっており、前記各装置を通過した水は水槽2上方の給水口30から水槽2内に給水される。
【0024】
なお、31は水槽2内の排水を外部に導くための排水管、32はその管路を開閉する排水弁、35は水槽内の水位を検知するレベルセンサ、36は水槽2内が一定水位以上になったときに該水槽内の余剰水を外部に排出するオーバフローパイプである。
【0025】
また、水槽2の下端底壁7には保温ヒータ40が、該ヒータ近傍には温度センサ42が設けられており、水槽2内水温の検知信号を制御盤23に送り保温ヒータ40のON−OFF制御が行われる。而して、水槽2内の水温はこれら各機器の制御によって常時一定温度範囲(32℃〜38℃)にコントロールされる。
【0026】
次いで、本発明装置において玄米の投入から給水、洗米、保温、冷却、取り出しまでの各過程を図3のフローチャートおよび図5の温度線図に基づき説明する。
【0027】
まず、水槽2の開閉蓋6を開き、玄米Aを収納した収納容器3の把持部10をクレーンまたはその他の搬送手段(図示せず)によって吊り上げ水槽2内に搬入し、該水槽の下端に設けた収納容器支持体8上に収納容器3の底部3Aを据え付け、その後開閉蓋6を被せて水槽2の開口部5を閉じる(S1)。
【0028】
次いで、制御盤23(図4)のスイッチ24をONする(S2)。これにより冷水装置25の切替弁29がONされ該冷水装置に対する管路を開くと共に、給水弁28もONされてその流路が自動的に開き図示しない給水源から給水管27を介して清水が供給される。この清水は前記冷水装置25を介して水槽2上方の給水口30から該水槽内に給水される。なお、このとき冷水装置25はまだ動作せず清水が通過するのみとなる。
【0029】
そして、水槽2内が所定水位に達するとこれをレベルセンサ35が検知し、制御盤23に信号を送る。この信号を受けて給水弁28が閉じられ水槽2内への給水が停止する(S3)。
【0030】
次いで、洗米ポンプ16に接続する吸入管21途中に設けた開閉弁22が開き、その後洗米ポンプ16が起動して逆円錐状に形成された水槽の底壁7に設けた開口20から吸引された水は、洗米ポンプ16、配管18、洗米ノズル12を介して水槽2の下方から収納容器3内の玄米Aに向かって勢いよく噴出し、その動圧で該玄米を下方から吹き上げるようにして水槽内を対流しながら洗米する(S4)。
【0031】
この噴流は、水槽2の内周面11に沿って設けた複数の洗米ノズル12の噴射方向の中心が互いに交叉しない位置に配置されていることにより、水槽内2を層流状態で対流しながら攪拌し、再び水槽の底壁7の開口20を経て洗米ポンプ16を循環する。この工程(洗米工程)は、概ね10分間程継続される。
【0032】
なお、この洗米工程に於いて、さきに説明した冷水装置25からの給水管路を解放状態にし、オーバフローした洗米水をオーバフローパイプ36から外部に排出するようにして、水をかけ流し状態で洗米するよう予め制御プログラムを組んでおくようにしてもよい。このようにすると洗米効果も向上する。
併せて、前記攪拌水流の対流状態に対応させて収納容器3を載置する収納容器支持体8を上下方向に昇降させると共に、水平方向へも適宜回動させて収納容器底部3Aと洗米ノズル12の噴射口13から噴出する水流との位置関係を調節すると、さらに良好な洗米がなされる。
【0033】
そして、洗米ポンプ16を所定時間駆動した後これを停止すると、排水弁32が開かれ、水槽内の洗米水は排水管31を介して外部に排出され、排水が完了すると排水弁32は閉じられる(S5)。
【0034】
その後、切替弁29が作動して水の供給水路が冷水装置25から温水装置26側に切り替わり、次いで温水装置26がONとなり32℃〜38℃に加温された温水が水槽2に供給され、水槽2内が所定水位(満水)に達するとレベルセンサ35がこれを検知して給水弁28を閉じ温水の供給を停止する(S6)。
【0035】
次に、水槽2の底壁7に設けた保温ヒータ40のON―OFF動作によって水槽2内の水温は概ね32℃〜38℃に保持されて(図5(イ)参照)、約22時間保温状態が継続される(S7)。この保温工程の間は、制御盤23内のタイマー45が作動し約1時間に数分間の割合で洗米ポンプ16を駆動して水槽2内の温水と収納容器内の玄米Aの攪拌(洗米)を繰り返す。
【0036】
また、本攪拌・洗米工程は、洗米ノズル12から噴出する噴流の吹き上げ作用によって槽内温水の攪拌と収納容器3内の玄米A同士の重なり合う位置関係を入れ替えること、およびこの噴流で玄米同士を互いにこすり合わせその表皮に付着した微生物をふるい落とすことを目的とする。これにより玄米Aに対する微生物の着床も防止され、かつ発芽も均一になされる。
【0037】
なお、洗米ノズルの配管18途中に外部の圧縮機から圧縮空気を導入する空気導入口(図示せず)を設けて、洗米時温水の噴出と共に圧縮空気を噴出するようにすると槽内の攪拌も良好となると共に、圧縮空気中の酸素の供給によって発芽も促進される。
【0038】
また、上記工程において保温時間を約22時間に設定した理由は、発芽した玄米の取り出しから水槽内への搬入・セッティングまでを概ね2時間要することを前提に設定したもので、前記保温時間と合計し約24時間サイクルで発芽玄米を製造できることによる。
【0039】
そして、約22時間の保温後排水弁32が開かれて水槽2内の温水を一旦外部に排出すると共に、切替弁28が動作して水の流路を温水装置26側から冷水装置25側に切り替える(S8)。
【0040】
排水が完了すると、排水弁32は閉じられ給水弁28が開となって給水管27から新鮮な清水(一般には水道水を用いる)が水槽内に供給される(S9)。
【0041】
その後、再度満水状態で洗米ポンプ16を駆動し概ね10分間洗米が行われ、発芽しふやけて割裂状態となった玄米の表皮ならびに該玄米の隅々に付着している微少の微生物を清水でふるい落としながら図5中(ロ)に示すように該玄米全体を清水の温度近傍まで予冷する(S10)。なお、本工程においても清水を掛け流し状態で洗米するようにしてもよく、このようにすると洗米ならびに予冷効果も向上する。
【0042】
そして、所定時間の洗米を行った後は排水弁32が開かれて汚れた温水を再度外部に排出し、排水完了後再度該排水弁を閉じる(S11)。
【0043】
次いで冷水装置25が作動し、約6℃以下に冷却された冷水を水槽2内に供給し前記同様洗米ポンプ16を駆動して概ね10分間の洗米を行いながら図5(ハ)に示すように冷水の温度まで玄米を冷却する(S12)。
【0044】
なお、この工程において、所定温度以下に冷却された玄米をそのまま水槽内に浸漬させた状態で以降間欠的に冷水の補給と洗米ポンプによる攪拌を行いながら図5(ニ)に示すように水槽内の水温を6℃以下に維持すれば、暫く(2〜3日)の保存が可能であり、この制御も制御盤23内のタイマー45との組み合わせにより行われる。
【0045】
また、この工程における洗米・冷却の目的は、玄米の発芽の成長を止めることと玄米に対する雑菌又は微生物の付着や増殖を防ぐことにある。即ち、この冷却作用によって発芽しふやけて割裂した玄米の表皮全体を冷水によって均一に冷却して収縮させ、これにより発芽の成長を停止させることおよび雑菌や微生物の増殖を最小に抑えることにある。
【0046】
そして、この洗米・冷却工程の終了後は排水弁32が開かれて水槽2内の洗米水が排出される(S13)。
【0047】
その後、ケーシングの開閉蓋6を開いて収納容器3を搬出し水切りを充分行った後発芽した玄米Aを取り出し、冷蔵又は冷凍保存するようにすれば雑菌又は微生物の増殖が抑えられた発芽玄米として長期保存できる(S14)。
【0048】
このようにして製造された発芽玄米は、従来のように大気中で空冷又は自然放冷したものと比べて米ぬかの臭も少なく違和感なく食することができる。なお、発芽した玄米の冷蔵または冷凍保存の方法は、用途又は向先に応じて適宜選択すればよく、例えば一般家庭用としては乾燥後所定容量ずつを小分けしてパック詰めしたり、大量に使用する食堂向けに対しては所定の容器に収納するなど、その保存方法は向け先・用途に応じて適宜選択して保存すればよい。
【0049】
図6は、本発明の第2実施形態を示し、玄米の収納容器の底部構造を改良したもので、収納容器の底部51の外壁52は該底部よりも上方に向けて先細状に窪ませた凹み空間53が形成されている。
【0050】
この凹み空間の大きさは、好ましくは収納容器底部51の面積の概ね1/2以上がよく、これにより水槽2内における洗米時洗米ノズル12から噴射された噴流は収納容器底部の凹み空間53の傾斜部54が案内となって一箇所に集中し、該凹み空間の載頂部から収納容器50内の玄米を強く吹き上げてその位置関係を入れ替える。よって玄米の吹き上がりも良好となって洗米効果もさらに向上する。
【0051】
なお、本発明は前述各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、水槽2の形状や玄米の収納容器3の形状は円筒形に限らず方形又は長方形またはその他の変形形状であってもよく、またこれらの使用材料も抗菌剤を含有する抗菌性フッ素樹脂コーティングされたステンレス鋼等、抗菌性材料として利用可能のものであれば何れでもよく、さらに水槽2内に格納する収納容器3の数も複数でなくとも1つであってもよく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0052】
また、本装置で用いる各機器の制御は電磁継電器機やタイマー等との組み合わせによる制御でもよく、またマイクロプロセッサを用いて制御するなど何れの方法でもよいものとする。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、ケーシング内に抗菌性金属材料により成る水槽とこの水槽に冷水又は温水を供給する冷水装置ならびに温水装置と複数の洗米ノズルと、洗米ポンプ及び水槽内の水又は温水を排出する排水口を設け水槽内への玄米搬入以降の給水、洗米、保温、洗米、冷却、取り出しまでの各工程を1つの装置で連続的に一貫制御して発芽玄米を製造することができるので、各工程毎に人の手を煩わすことなく大量の発芽玄米を能率よく製造することができる。
【0054】
そして、玄米の発芽後は清水によって予め雑菌又は微生物を除去すると共に予冷し、その後冷却装置から供給された冷水を用いて洗米ノズルからの噴流によって収納容器内の玄米の隅々までをムラなく攪拌し冷却するので、該玄米の冷却ムラもなくかつ発芽も均等に停止させることができる。
【0055】
また、この冷却作用によって雑菌又は微生物の増殖も最小限に抑えることができるから、そのまま冷蔵又は冷凍保存すれば長期の保存も可能である。さらに、得られた発芽玄米は前記冷却作用と共に水槽および収納容器の抗菌作用により、米ぬか特有の臭いもなく栄養価の高い健康自然食品として多方面で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明発芽玄米製造装置の概略図である。
【図2】玄米収納容器の概略図である。
【図3】本発明発芽玄米製造装置における玄米投入から搬出までの工程を示すフローチャートである。
【図4】制御盤の概略外観図である。
【図5】玄米の保温から冷却までを説明した温度線図である。
【図6】第2実施形態における玄米収納容器の概略図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 水槽
3 収納容器
6 開閉蓋
12 洗米ノズル
16 洗米ポンプ
23 制御盤
25 冷水装置
26 温水装置
29 切替弁
40 保温ヒータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品用として用いる発芽玄米の製造装置に関わり、詳しくは業務用等大量の発芽玄米を効率よく製造できるよう、その製造工程である給水、洗米、保温、洗米、冷却の各工程を1つの装置で連続的に一貫制御して製造するようにした発芽玄米の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発芽玄米は、収穫した稲の外側を包んでいる硬いモミ殻を除去した後の玄米を所定温度の温水中に浸漬させ0.5〜1ミリほど発芽させたもので、玄米単独又は精米した米と混ぜて炊き込んで食することにより体内に好適な生理作用を促す栄養価の高い健康食品として、近年一般家庭の食卓や食堂又は給食などの業務用として広く利用されつつある。
【0003】
この芽玄米を、業務用として大量に製造する装置として特許第2502905号に開示された装置が公知である。この装置は、玄米の投入から洗米、加温、洗米、取り出しまでの一連の工程をコンベア上で蒸して発芽を促しながら発芽玄米を造るものであり、また玄米の発芽段階で生ずる微生物による腐敗や悪臭の発生を防止するために、該装置内の空気を改質する空気組成改質装置を用いて内部の酸素濃度ならびに窒素濃度を調節するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発芽玄米製造装置は、コンベア上の玄米層にスプレーノズルから温水を噴射し発芽室内を霧化状態に保って玄米の発芽を促すものであるため、玄米の発芽段階で生ずる微生物によって腐敗や悪臭が生じ易く、その対策として空気組成改質装置を別途用意して該装置内の空気を改質するようにしている。
【0005】
ところが、密閉された発芽室の中で玄米を蒸すものであるため、コンベア上に薄く均等に広げて保温しないと玄米の重なり合った内部は空気の流通が阻害され易く、カビその他の微生物が発生し発酵して悪臭を生ずるという問題点を内在する。また、全体として装置が大がかりとなり設備費も高価となる問題点もある。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するため、抗菌性金属材料で形成した水槽ならびに収納容器を用いその中に玄米を浸漬させて発芽に好適な水温に保持すると共に、該水槽内の温水を定期に攪拌・循環させ重なり合う玄米の位置関係を変更しながら均一な発芽を促すこと、および発芽後の玄米を冷水によって均一に冷却することにより発芽の成長を止めると共に、水槽から取り出し後大気に触れることによって生ずる雑菌又は微生物の増殖を最小限に抑えて長期保存可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、上方開口部に開閉蓋を設けたケーシングに、内周面を抗菌性金属材料により形成する水槽を設け該水槽内に抗菌性金属材料により成る玄米収納用の収納容器と、該収納容器を水槽内に保持する収納容器支持体とを設けると共に、前記水槽の底壁又は該底壁近傍には保温ヒータと、水槽内の水を排出する排水管と、水平方向より上方に噴射口を向けて配管上に取り付けた洗米ノズルと、前記水槽内へ冷水を供給する冷水装置および温水を供給する温水装置とを設け、さらに前記洗米ノズル取り付けの配管を前記ケーシング下方に配置した洗米ポンプの排出口と接続する一方、該洗米ポンプの吸入口を水槽底壁に設けた開口と配管接続し、前記水槽内の玄米に対する給水、洗米、保温、冷却の各工程を前記ケーシングに付設した制御盤により制御するように構成したこと、および前記洗米ノズルの噴射方向は、水平方向よりも上方に向けかつ互いに変位した位置に着脱自在に配置されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、発芽ムラのない発芽玄米を製造すると共に、玄米の発芽後冷水で冷却することによって発芽の成長を停止させ、さらにこの冷却によって雑菌又は微生物の増殖を最小限に抑えることができるので、得られた発芽玄米は長期の保存も可能となる。
【0009】
また、前記玄米収納用の収納容器は、抗菌性金属材料により成る金網又はパンチングメタルで形成すると共に、その底部外壁には該底部よりも上方に向けて窪ませた凹み空間を形成したもので、この凹み空間が洗米ノズルから噴射した水の案内となって収納容器内の玄米を集中的に吹き上げてその配置関係を変更できるので均一な発芽を促すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明発芽玄米製造装置の一実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。
【0011】
ケーシング1内には略円筒状の水槽2が設置されると共に、該水槽内には玄米Aを収納する収納容器3が配置され、水槽2とケーシング1との間には保温材4が貼着し、その上方開口部5には開閉手段(図示せず)によって開閉自在に開閉蓋6が載置している。
【0012】
また、水槽2の内周面は後述する抗菌性金属材料により成り、その下端底壁7は逆円錐状に形成されその近傍には収納容器支持体8が配設し、玄米を収納した収納容器3を水槽2内の定位置で座着・保持するようになっている。
【0013】
この収納容器支持体8は、底壁7と収納容器3の底部3A間に適宜寸法の空間を設けて水平方向(平面視において左右方向)に回動自在に構成されると共に、リンク機構(図示せず)を介して上下方向に昇降可能に構成されている。これにより、洗米ポンプによる洗米時水槽内の水の攪拌状態に合わせて収納容器3を水平方向に回動させたり、上下方向に昇降させてムラ無く好適な洗米を行うことができる。
【0014】
玄米Aの収納容器3は、図2に示すように略円筒形の篭型を成し、外筒9周囲は玄米がはみ出さない程度の網目(2〜3平方ミリメートル)を有した抗菌性金属材料製金網もしくはパンチングメタルからなり、水槽2下方に設けた収納容器支持体8の略中央部に適宜数(1〜3個)据え付けられる。
【0015】
また、収納容器3の外筒9上方には傾倒可能に閉蓋9Aと把持部10が設けられており、収納容器3を水槽2内から出し入れする場合はこの把持部10を手又はクレーンなどの昇降手段により搬入・搬出が可能となっている。
【0016】
なお、上述した水槽2の内周面ならびに収納容器3に用いる抗菌性金属材料としては、銅または銅を成分とする抗菌性ステンレス鋼の他、亜鉛、銅を含有する黄銅、錫等の合金材料が好ましい。
【0017】
これらの金属材料は、一般に微量金属作用(抗菌作用)によって微生物や藻類等の水性生物を銅イオンで死滅させる作用を有しているため、玄米の発芽段階で生じ易い微生物の増殖を最小限に抑えることができ、よって玄米または温水の腐敗や水槽内の各部位に付着するぬめりの発生をも防止できる。そのため、従来のように高価な抗菌剤や抗菌フイルタを用いる必要が無く、発芽した玄米も無害である。
【0018】
さらに、水槽2下方の内周面11および底壁7には該周面に沿って設置した配管18に複数の洗米ノズル12が着脱自在に螺着し、収納容器3の配置数に応じて取付位置を可変可能になっている。また、その先端部である噴射口13の噴射方向の中心は、水平方向または水平方向よりも上方に向けて開口すると共に、各噴射ノズルの噴射方向の中心も互いに交叉しない変位した位置に配置されている。
【0019】
また、ケーシング1の下方即ち水槽2の下側空間部15には該空間を有効利用して洗米ポンプ16が設置し、その排出口17は洗米ノズル12が螺着する配管18と接続し、他方の吸入口19側は水槽2の底壁7の略中央部に設けた開口20から吸入管21、開閉弁22を介して接続しており、ケーシング1に付設した制御盤23(図4)によって洗米ポンプ16の駆動と開閉弁22のON―OFF制御がなされる。この制御盤23には、洗米ポンプ16その他の各機器の駆動時間を設定するタイマー45その他運転制御に必要な一切の電気機器が配置されており、スイッチ24により自動又は手動何れの制御も可能となっている。
【0020】
以上により、前記吸入管21、洗米ポンプ16、配管18、洗米ノズル12、水槽2を循環する水循環回路が形成され、洗米ポンプ16の駆動によって圧送された水は洗米ノズル12の噴射口13から収納容器3に向って勢いよく吹き出し、その動圧で収納容器3内の玄米Aを吹き上げるように対流して洗米する。
【0021】
さらに、ケーシング1の側方には冷水装置25と温水装置26が付設し、図示しない外部の給水源から給水管27を介して供給された水が給水弁28を介して導入されるようになっている。
【0022】
この冷水装置25は、ケーシング1の外部に設置される冷凍機又はチラー等の冷媒管路と接続し該装置内を通過する水を概ね6℃以下に冷却する能力を有している。一方、温水装置26は加温ヒータを内蔵し該装置内を通過する水を32℃以上に加温する能力を有している。
【0023】
また、給水弁28の二次側配管途中には切替弁29が設けられ、制御盤23からの信号によって冷水装置25又は温水装置26の何れか一方に対して水の流路を選択的に切り替え制御して通水するようになっており、前記各装置を通過した水は水槽2上方の給水口30から水槽2内に給水される。
【0024】
なお、31は水槽2内の排水を外部に導くための排水管、32はその管路を開閉する排水弁、35は水槽内の水位を検知するレベルセンサ、36は水槽2内が一定水位以上になったときに該水槽内の余剰水を外部に排出するオーバフローパイプである。
【0025】
また、水槽2の下端底壁7には保温ヒータ40が、該ヒータ近傍には温度センサ42が設けられており、水槽2内水温の検知信号を制御盤23に送り保温ヒータ40のON−OFF制御が行われる。而して、水槽2内の水温はこれら各機器の制御によって常時一定温度範囲(32℃〜38℃)にコントロールされる。
【0026】
次いで、本発明装置において玄米の投入から給水、洗米、保温、冷却、取り出しまでの各過程を図3のフローチャートおよび図5の温度線図に基づき説明する。
【0027】
まず、水槽2の開閉蓋6を開き、玄米Aを収納した収納容器3の把持部10をクレーンまたはその他の搬送手段(図示せず)によって吊り上げ水槽2内に搬入し、該水槽の下端に設けた収納容器支持体8上に収納容器3の底部3Aを据え付け、その後開閉蓋6を被せて水槽2の開口部5を閉じる(S1)。
【0028】
次いで、制御盤23(図4)のスイッチ24をONする(S2)。これにより冷水装置25の切替弁29がONされ該冷水装置に対する管路を開くと共に、給水弁28もONされてその流路が自動的に開き図示しない給水源から給水管27を介して清水が供給される。この清水は前記冷水装置25を介して水槽2上方の給水口30から該水槽内に給水される。なお、このとき冷水装置25はまだ動作せず清水が通過するのみとなる。
【0029】
そして、水槽2内が所定水位に達するとこれをレベルセンサ35が検知し、制御盤23に信号を送る。この信号を受けて給水弁28が閉じられ水槽2内への給水が停止する(S3)。
【0030】
次いで、洗米ポンプ16に接続する吸入管21途中に設けた開閉弁22が開き、その後洗米ポンプ16が起動して逆円錐状に形成された水槽の底壁7に設けた開口20から吸引された水は、洗米ポンプ16、配管18、洗米ノズル12を介して水槽2の下方から収納容器3内の玄米Aに向かって勢いよく噴出し、その動圧で該玄米を下方から吹き上げるようにして水槽内を対流しながら洗米する(S4)。
【0031】
この噴流は、水槽2の内周面11に沿って設けた複数の洗米ノズル12の噴射方向の中心が互いに交叉しない位置に配置されていることにより、水槽内2を層流状態で対流しながら攪拌し、再び水槽の底壁7の開口20を経て洗米ポンプ16を循環する。この工程(洗米工程)は、概ね10分間程継続される。
【0032】
なお、この洗米工程に於いて、さきに説明した冷水装置25からの給水管路を解放状態にし、オーバフローした洗米水をオーバフローパイプ36から外部に排出するようにして、水をかけ流し状態で洗米するよう予め制御プログラムを組んでおくようにしてもよい。このようにすると洗米効果も向上する。
併せて、前記攪拌水流の対流状態に対応させて収納容器3を載置する収納容器支持体8を上下方向に昇降させると共に、水平方向へも適宜回動させて収納容器底部3Aと洗米ノズル12の噴射口13から噴出する水流との位置関係を調節すると、さらに良好な洗米がなされる。
【0033】
そして、洗米ポンプ16を所定時間駆動した後これを停止すると、排水弁32が開かれ、水槽内の洗米水は排水管31を介して外部に排出され、排水が完了すると排水弁32は閉じられる(S5)。
【0034】
その後、切替弁29が作動して水の供給水路が冷水装置25から温水装置26側に切り替わり、次いで温水装置26がONとなり32℃〜38℃に加温された温水が水槽2に供給され、水槽2内が所定水位(満水)に達するとレベルセンサ35がこれを検知して給水弁28を閉じ温水の供給を停止する(S6)。
【0035】
次に、水槽2の底壁7に設けた保温ヒータ40のON―OFF動作によって水槽2内の水温は概ね32℃〜38℃に保持されて(図5(イ)参照)、約22時間保温状態が継続される(S7)。この保温工程の間は、制御盤23内のタイマー45が作動し約1時間に数分間の割合で洗米ポンプ16を駆動して水槽2内の温水と収納容器内の玄米Aの攪拌(洗米)を繰り返す。
【0036】
また、本攪拌・洗米工程は、洗米ノズル12から噴出する噴流の吹き上げ作用によって槽内温水の攪拌と収納容器3内の玄米A同士の重なり合う位置関係を入れ替えること、およびこの噴流で玄米同士を互いにこすり合わせその表皮に付着した微生物をふるい落とすことを目的とする。これにより玄米Aに対する微生物の着床も防止され、かつ発芽も均一になされる。
【0037】
なお、洗米ノズルの配管18途中に外部の圧縮機から圧縮空気を導入する空気導入口(図示せず)を設けて、洗米時温水の噴出と共に圧縮空気を噴出するようにすると槽内の攪拌も良好となると共に、圧縮空気中の酸素の供給によって発芽も促進される。
【0038】
また、上記工程において保温時間を約22時間に設定した理由は、発芽した玄米の取り出しから水槽内への搬入・セッティングまでを概ね2時間要することを前提に設定したもので、前記保温時間と合計し約24時間サイクルで発芽玄米を製造できることによる。
【0039】
そして、約22時間の保温後排水弁32が開かれて水槽2内の温水を一旦外部に排出すると共に、切替弁28が動作して水の流路を温水装置26側から冷水装置25側に切り替える(S8)。
【0040】
排水が完了すると、排水弁32は閉じられ給水弁28が開となって給水管27から新鮮な清水(一般には水道水を用いる)が水槽内に供給される(S9)。
【0041】
その後、再度満水状態で洗米ポンプ16を駆動し概ね10分間洗米が行われ、発芽しふやけて割裂状態となった玄米の表皮ならびに該玄米の隅々に付着している微少の微生物を清水でふるい落としながら図5中(ロ)に示すように該玄米全体を清水の温度近傍まで予冷する(S10)。なお、本工程においても清水を掛け流し状態で洗米するようにしてもよく、このようにすると洗米ならびに予冷効果も向上する。
【0042】
そして、所定時間の洗米を行った後は排水弁32が開かれて汚れた温水を再度外部に排出し、排水完了後再度該排水弁を閉じる(S11)。
【0043】
次いで冷水装置25が作動し、約6℃以下に冷却された冷水を水槽2内に供給し前記同様洗米ポンプ16を駆動して概ね10分間の洗米を行いながら図5(ハ)に示すように冷水の温度まで玄米を冷却する(S12)。
【0044】
なお、この工程において、所定温度以下に冷却された玄米をそのまま水槽内に浸漬させた状態で以降間欠的に冷水の補給と洗米ポンプによる攪拌を行いながら図5(ニ)に示すように水槽内の水温を6℃以下に維持すれば、暫く(2〜3日)の保存が可能であり、この制御も制御盤23内のタイマー45との組み合わせにより行われる。
【0045】
また、この工程における洗米・冷却の目的は、玄米の発芽の成長を止めることと玄米に対する雑菌又は微生物の付着や増殖を防ぐことにある。即ち、この冷却作用によって発芽しふやけて割裂した玄米の表皮全体を冷水によって均一に冷却して収縮させ、これにより発芽の成長を停止させることおよび雑菌や微生物の増殖を最小に抑えることにある。
【0046】
そして、この洗米・冷却工程の終了後は排水弁32が開かれて水槽2内の洗米水が排出される(S13)。
【0047】
その後、ケーシングの開閉蓋6を開いて収納容器3を搬出し水切りを充分行った後発芽した玄米Aを取り出し、冷蔵又は冷凍保存するようにすれば雑菌又は微生物の増殖が抑えられた発芽玄米として長期保存できる(S14)。
【0048】
このようにして製造された発芽玄米は、従来のように大気中で空冷又は自然放冷したものと比べて米ぬかの臭も少なく違和感なく食することができる。なお、発芽した玄米の冷蔵または冷凍保存の方法は、用途又は向先に応じて適宜選択すればよく、例えば一般家庭用としては乾燥後所定容量ずつを小分けしてパック詰めしたり、大量に使用する食堂向けに対しては所定の容器に収納するなど、その保存方法は向け先・用途に応じて適宜選択して保存すればよい。
【0049】
図6は、本発明の第2実施形態を示し、玄米の収納容器の底部構造を改良したもので、収納容器の底部51の外壁52は該底部よりも上方に向けて先細状に窪ませた凹み空間53が形成されている。
【0050】
この凹み空間の大きさは、好ましくは収納容器底部51の面積の概ね1/2以上がよく、これにより水槽2内における洗米時洗米ノズル12から噴射された噴流は収納容器底部の凹み空間53の傾斜部54が案内となって一箇所に集中し、該凹み空間の載頂部から収納容器50内の玄米を強く吹き上げてその位置関係を入れ替える。よって玄米の吹き上がりも良好となって洗米効果もさらに向上する。
【0051】
なお、本発明は前述各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、水槽2の形状や玄米の収納容器3の形状は円筒形に限らず方形又は長方形またはその他の変形形状であってもよく、またこれらの使用材料も抗菌剤を含有する抗菌性フッ素樹脂コーティングされたステンレス鋼等、抗菌性材料として利用可能のものであれば何れでもよく、さらに水槽2内に格納する収納容器3の数も複数でなくとも1つであってもよく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0052】
また、本装置で用いる各機器の制御は電磁継電器機やタイマー等との組み合わせによる制御でもよく、またマイクロプロセッサを用いて制御するなど何れの方法でもよいものとする。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、ケーシング内に抗菌性金属材料により成る水槽とこの水槽に冷水又は温水を供給する冷水装置ならびに温水装置と複数の洗米ノズルと、洗米ポンプ及び水槽内の水又は温水を排出する排水口を設け水槽内への玄米搬入以降の給水、洗米、保温、洗米、冷却、取り出しまでの各工程を1つの装置で連続的に一貫制御して発芽玄米を製造することができるので、各工程毎に人の手を煩わすことなく大量の発芽玄米を能率よく製造することができる。
【0054】
そして、玄米の発芽後は清水によって予め雑菌又は微生物を除去すると共に予冷し、その後冷却装置から供給された冷水を用いて洗米ノズルからの噴流によって収納容器内の玄米の隅々までをムラなく攪拌し冷却するので、該玄米の冷却ムラもなくかつ発芽も均等に停止させることができる。
【0055】
また、この冷却作用によって雑菌又は微生物の増殖も最小限に抑えることができるから、そのまま冷蔵又は冷凍保存すれば長期の保存も可能である。さらに、得られた発芽玄米は前記冷却作用と共に水槽および収納容器の抗菌作用により、米ぬか特有の臭いもなく栄養価の高い健康自然食品として多方面で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明発芽玄米製造装置の概略図である。
【図2】玄米収納容器の概略図である。
【図3】本発明発芽玄米製造装置における玄米投入から搬出までの工程を示すフローチャートである。
【図4】制御盤の概略外観図である。
【図5】玄米の保温から冷却までを説明した温度線図である。
【図6】第2実施形態における玄米収納容器の概略図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 水槽
3 収納容器
6 開閉蓋
12 洗米ノズル
16 洗米ポンプ
23 制御盤
25 冷水装置
26 温水装置
29 切替弁
40 保温ヒータ
Claims (3)
- 上方開口部に開閉蓋を設けたケーシングに、内周面を抗菌性金属材料により形成する水槽を設け該水槽内に抗菌性金属材料により成る玄米収納用の収納容器と、該収納容器を水槽内に保持する収納容器支持体とを設けると共に、前記水槽の底壁又は該底壁近傍には保温ヒータと、水槽内の水を排出する排水管と、水平方向より上方に噴射口を向けて配管上に取り付けた洗米ノズルと、前記水槽内へ冷水を供給する冷水装置および温水を供給する温水装置とを設け、さらに前記洗米ノズル取り付けの配管を前記ケーシング下方に配置した洗米ポンプの排出口と接続する一方、該洗米ポンプの吸入口を水槽底壁に設けた開口と配管接続し、前記水槽内の玄米に対する給水、洗米、保温、冷却の各工程を前記ケーシングに付設した制御盤により制御するように構成したことを特徴とする発芽玄米製造装置。
- 前記洗米ノズルの噴射方向は、水平方向よりも上方に向けかつ互いに変位した位置に着脱自在に配置されていることを特徴とする請求項1記載の発芽玄米製造装置。
- 前記玄米収納用の収納容器は、抗菌性金属材料により成る金網又はパンチングメタルで形成すると共に、その底部外壁には該底部よりも上方に向けて窪ませた凹み空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の発芽玄米製造装置。
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