JP3548469B2 - 像振れ補正機能を備えた光学機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、双眼鏡等の光学機器の像振れ補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、双眼鏡等の光学機器において手振れ等により起因する像振れを防止する像振れ補正機能を備えたものが知られている。例えば、特開平10−20213号公報には補正光学系の光軸に直交する平面内で補正光学系を直交する2方向に駆動する手振れ補正機構が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−20213号公報に記載の手振れ補正機構は、補正レンズ保持枠を駆動するために力を加える点(リードネジの端部と駆動基板の当接部分)と、補正レンズ保持枠を所定の方向に案内するガイド部材が間隔をおいて配設されている。即ち、補正レンズ保持枠を駆動するために力を加える点とガイド部材の距離は大きく離れている。従って、補正レンズ保持枠を駆動する際、上述の当接部分とガイド部材の間には当接部分を回転中心とする力のモーメントが発生する。そのため、リードネジにより当接部分に駆動力を加えても補正レンズ保持枠の所定の駆動量が得られず、補正光学系の駆動を高い精度で制御することが困難であった。さらに、補正レンズ保持枠を駆動するたびに上述のモーメントにより手振れ補正機構の各部材に不自然な力が加わるためスムーズな駆動が行われず、また部材間の当接部分が摩耗しやすいという問題もあった。
【0004】
本発明は、以上の問題を解決するものであり、スムーズにかつ精度高く補正光学系の駆動を制御する像振れ補正機構を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる像振れ補正機能を備えた光学機器は、光学機器の光軸の振れを補正する補正光学系を保持する保持部材と、保持部材の長手方向と直交する第1の軸線に沿って保持部材を駆動する第1の駆動手段と、第1の軸線と直交する第2の軸線に沿って保持部材を駆動する第2の駆動手段と、第1の駆動手段による駆動時、保持部材を第1の軸線に沿って案内するガイド手段とを備え、保持部材は、光学機器の内壁面に設けられた固定枠に摺動可能に支持され、開口部を有し、第1の駆動手段により駆動される第1の駆動枠と、一対の補正光学系を保持し、第1の駆動枠の開口部内に摺動可能に支持され、第2の駆動手段により駆動される第2の駆動枠とを有し、第1の駆動手段及びガイド手段は、保持部材の重心近傍において、保持部材の長手方向の略中央であってかつ一対の補正光学系の間に位置決めされ、一対の補正光学系は、重心を通り第1の軸線に平行な直線に対して略対称に配設されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、ガイド手段が、第1の駆動枠の第2の軸線に平行な方向に沿って延び、かつ光学機器の通常の使用姿勢において上面側に位置決めされる第1の端部に配設され光軸に沿って突出する第1の突起部と、第1の駆動枠の第2の軸線に平行な方向に沿って延び、かつ光学機器の通常の使用姿勢において底面側に位置決めされる第2の端部に配設され光軸に沿って突出する第2の突起部と、固定枠に一体的に設けられ第1の軸線に沿って延びる柱状部材とを有し、柱状部材に、第1の突起部が第1の軸線に沿って移動可能に挿通する縦長の第1のガイド穴と、第2の突起部が第1の軸線に沿って移動可能に挿通する縦長の第2のガイド穴が穿設されている。
【0009】
好ましくは、第1の突起部が常時、第1のガイド穴の第1の軸線と平行な内壁面に当接するよう、第1の駆動枠を第2の軸線に平行な方向に沿って付勢する第1の付勢手段と、第2の突起部が常時、第2のガイド穴の第1の軸線と平行な内壁面に当接するよう、第1の駆動枠を第2の軸線に平行な方向に沿って付勢する第2の付勢手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、第1の駆動枠を、常時、第1の軸線に沿って底面から上面に向かう方向に付勢する第3の付勢手段をさらに備え、第1の駆動手段が第2の突起部を上面から底面に向かう方向へ、第3の付勢手段による付勢力に抗して押圧することにより、第1の駆動枠が第1の軸線に沿って駆動される。
【0011】
第2の突起部は、例えば平面部と円筒状の外周部からなる横断面形状が半月型の先端部分を有し、平面部が上面側を向き、円筒状の外周部が底面側を向くよう位置決めされている。
【0012】
第1の駆動手段が、例えばモータとモータの回転運動に応じて第1の軸線に沿って進退するシャフトとを有する直動型アクチュエータであり、シャフトの先端部が常時、第2の突起部の先端部分の平面部に当接している。
【0013】
好ましくは、光学機器の内壁面に設けられた固定枠に第1の軸線に沿った溝が刻設され、光軸方向に沿った第1の駆動枠の移動を防止するよう、第1の駆動枠の第1の軸線に沿った側端部が溝に摺動可能に支持されている。
【0014】
好ましくは、光学機器の通常の使用時において、第1の軸線は鉛直方向と平行である。
【0015】
また、本発明にかかる像振れ補正機能を備えた光学機器は、光学機器の光軸の振れを補正するための補正光学系を保持する保持部材と、補正光学系の光軸に直交する平面において鉛直線と平行である第1の軸線に沿って保持部材を駆動する第1の駆動手段と、補正光学系の光軸に直交する平面において第1の軸線と直交する第2の軸線に沿って保持部材を駆動する第2の駆動手段と、第1の駆動手段による駆動時、保持部材を第1の軸線に沿って案内するガイド手段とを備え、保持部材は、光学機器の内壁面に設けられた固定枠に摺動可能に支持され、開口部を有し、第1の駆動手段により駆動される第1の駆動枠と、一対の補正光学系を保持し、開口部内に摺動可能に支持され、第2の駆動手段により駆動される第2の駆動枠とを有し、第1の駆動手段及びガイド手段は、保持部材の重心近傍に設けられ、かつ保持部材の長手方向の略中央において一対の補正光学系の間に位置決めされ、一対の補正光学系は、保持部材の重心を通り第1の軸線に平行な直線に対して略対称に配設されることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る実施形態が適用される双眼鏡の各光学系の位置関係を模式的に示す図である。第1の光学系10において、第1の対物レンズ21を通過した光束は第1の補正レンズ31を通過し第1の正立プリズム41を介して第1の接眼レンズ51に導かれ、第2の光学系11において、第2の対物レンズ22を通過した光束は第2の補正レンズ32を通過し第2の正立プリズム42を介して第2の接眼レンズ52に導かれる。第1の補正レンズ31と第2の補正レンズ32はレンズ保持枠30に一体的に支持されている。第1の光学系10の光軸OP1と第2の光学系11の光軸OP2は、完全に平行となるよう調整されている。尚、本明細書において「横方向」とは光軸OP1、OP2を含む平面に平行でかつ光軸OP1、OP2に直交する方向であり、「縦方向」とは光軸OP1、OP2を含む平面に垂直な方向である。
【0017】
図2は本実施形態のレンズ保持枠30を第1および第2の対物レンズ21、22の側から見た正面図であり、図3は図2の線A−A矢視断面図である。レンズ保持枠30は、縦方向駆動枠301と横方向駆動枠302を有している。縦方向駆動枠301は略長方形の平板であり開口部を有するドーナツ形状である。縦方向駆動枠301の開口部は、内壁面301Lおよび301Uが横方向と平行となるよう形成されている。縦方向駆動枠301の開口部には横方向駆動枠302が配設される。横方向駆動枠302は、それぞれ同一の質量、形状を有する第1および第2の補正レンズ31、32を一体的に保持する長方形板状部材であり、第1および第2の補正レンズ31、32の光軸に沿った方向の厚みが均一になるよう成型されている。
【0018】
固定枠200は双眼鏡体の内壁面1に一体的に設けられている。固定枠200において、レンズ保持枠30の略中央の、第1の補正レンズ31と第2の補正レンズ32の間に相当する位置に、長手方向が縦方向に延びる柱状部材220が固定枠と一体化して形成されている。柱状部材220の、縦方向駆動枠301の横方向に沿って延び双眼鏡の通常の使用姿勢において上面側に位置決めされる上端部301aに対応する部分に、ガイド穴220cが穿設されている。また、柱状部材220の、縦方向駆動枠301の横方向に沿って延び双眼鏡の通常の使用姿勢において底面側に位置決めされる下端部301bに対応する部分に、ガイド穴220dが穿設されている。柱状部材220の対物レンズ21、22側の側面においてガイド穴220cとガイド穴220dの間には、対物レンズ21、22側に突出する平板状の台座221が一体的に設けられている。
【0019】
縦方向駆動枠301の上端部301aの略中央および下端部301bの略中央には、対物レンズ21、22の側に突出する円筒状のガイドピン301c、301dがそれぞれ配設されている。ガイドピン301c、301dの外径は、ガイド穴220cおよび220dの横方向の幅よりもやや小さい。従って、ガイドピン301cおよび301dは、それぞれガイド穴220c、220dを挿通し、かつ縦方向に沿って移動可能である。ガイドピン301dの先端は横断面形状が半月型となっており、その平面301eが横方向と平行でかつy1方向を向くよう、対物レンズ21、22側に突出する。
【0020】
縦方向アクチュエータ330は、ステッピングモータ331とシャフト332とから成る。ステッピングモータ331はモータケース331aとモータケース331a内に設けられたモータ331bとから成り、モータ331bは縦方向に沿った軸回りに正逆回転が可能である。モータケース331aは、台座221に固定され、モータ331bは台座221に穿設された孔(図示せず)を挿通し、y2方向に突出している。シャフト332はモータ331bの回転方向においてモータ331bと一体的に回転し、軸方向においてモータ331bに対して移動可能なように支持されている。シャフト332の外周面にはリードネジが形成されており、モータケース331aの軸線受けに形成されている雌ネジ(図示せず)に螺合している。すなわち、モータ331bの正逆回転に対して、シャフト332は回転しながら、その軸方向に沿って進退する。シャフト332の先端部にはボールが埋設されており、このボールが目標物を押圧する。シャフト332の先端は、上述のガイドピン301dの先端の平面301eに当接している。
【0021】
縦方向駆動枠301の上端部301aにおいて第2の補正レンズ32の近傍には、コイルバネ350が配設されている。コイルバネ350の両端部はフック形状を有しており、一方の端部は、上端部301aにおいて第2の補正レンズ32が配設された側の端部近傍に嵌合しているビス351に係合し、他方の端部は、柱状部材220のガイド穴220cの近傍に嵌合しているビス352に係合している。同様に、縦方向駆動枠301の下端部301bにおいて第2の補正レンズ32の近傍には、コイルバネ360が配設されている。コイルバネ360の両端部はフック形状を有し、一方の端部は、下端部301bにおいて第2の補正レンズ32が配設された側の端部近傍に嵌合しているビス361に係合し、他方の端部は、柱状部材220のガイド穴220dの近傍に嵌合しているビス362に係合している。
【0022】
すなわち、コイルバネ350、360は縦方向駆動枠301にx2方向の付勢力を常時与えている。従って、ガイドピン301cはガイド穴220cの第1の補正レンズ31側の内壁面に常時当接し、ガイドピン301dはガイド穴220dの第1の補正レンズ31側の内壁面に常時当接している。
【0023】
ガイドピン301cおよびガイドピン301dの重量、寸法は、縦方向駆動枠301、横方向駆動枠302と比較すると非常に小さい。従って、レンズ保持枠30の重心Gは、横方向駆動枠302において、第1および第2の補正レンズ31、32の光軸と平行な方向の幅の略中央に位置する。さらに、重心Gを第1および第2の補正レンズ31、32の光軸と平行な方向に沿って柱状部材220に投影した点G1は、ガイドピン301cとガイド穴220cとの当接部分とガイドピン301dとガイド穴220dとの当接部分とを結ぶ線上の、横方向駆動枠302の縦方向の中央近傍に位置する。
【0024】
また、図3において、縦方向駆動枠301および横方向駆動枠302と柱状部材220とのクリアランスは、説明の都合上、比較的大きく示されているが、実際には極めて小さく、またレンズ保持部材30は板状であるので、重心Gと投影点G1との距離は非常に短い。すなわち、ガイド部材としての柱状部材220は重心Gに最も近い位置に配設されており、レンズ保持部材30の略中央位置にある。
【0025】
ガイド穴220c、220dは、同一形状かつ同一寸法を有しており、投影点G1を通り横方向と平行な線(図3において投影点G1を通り紙面と直交する線)に対して対称に位置決めされている。双眼鏡の使用時において、ピン301c、301dがそれぞれガイド穴220c、220dの中央に位置した状態で、補正レンズ31、32の光軸と、双眼鏡の他の光学系の光軸とが一致する。
【0026】
図4は本実施形態のレンズ保持枠30を第1および第2の接眼レンズ51、52の側から見た正面図であり、図5は図4の線B−B矢視断面図である。
図4に示すように、縦方向駆動枠301の第1の補正レンズ31側の側端部近傍にコイルバネ370が配設されている。コイルバネ370の両端部はフック形状を有しており、それぞれ固定枠200の上端部に嵌合しているビス371と、縦方向駆動枠301の下端部301b近傍に嵌合しているビス372に係合している。同様に、縦方向駆動枠301の第2の補正レンズ32側の側端部近傍にコイルバネ380が配設されている。コイルバネ380のフック形状を有する両端部はそれぞれ、固定枠200の上端部に嵌合しているビス381と、縦方向駆動枠301の下端部301b近傍に嵌合しているビス382に係合している。
【0027】
すなわち、コイルバネ370および380は、第1の駆動枠301に常時、y1方向の付勢力を与えている。従って、縦方向アクチュエータ330のシャフト332の先端は、常時、ガイドピン301dの平面301eに当接している(図3参照)。
【0028】
縦方向駆動枠301および横方向駆動枠302の下端部近傍において第1および第2の接眼レンズ51、52側には、横方向アクチュエータ340が配設されており、縦方向駆動枠301および横方向駆動枠302の縦方向の中心に対して第2の補正レンズ32が配設された側に配設されている。横方向アクチュエータ340はステッピングモータ341とシャフト342とから成る。ステッピングモータ341はモータケース341aとモータケース341a内に設けられたモータ341bとから成り、モータ341bは横方向に沿った軸回りに正逆回転が可能である。シャフト342はモータ341bの回転方向においてモータ341bと一体的に回転し、軸方向においてモータ341bに対して移動可能なように支持されている。シャフト342の外周面にはリードネジが形成されており、モータケース341aの軸線受けに形成されている雌ネジ(図示せず)に螺合している。すなわち、モータ341bの正逆回転に対して、シャフト342は回転しながら、その軸方向に沿って進退する。シャフト342の先端部にはボールが埋設されており、このボールが目標物を押圧する。
【0029】
図4に示すように、縦方向駆動枠301の下端部301bの近傍には、コイルバネ390が配設されている。コイルバネ390は他のコイルバネと同様、両端部がフック形状を有しており、一方の端部は縦方向駆動枠301に嵌合するビス351に係合し、他方の端部は横方向駆動枠302に固定された被押圧部材344に穿設された孔(図示せず)に係合している。すなわち、コイルバネ390は、被押圧部材344に常時x1方向の付勢力を与えている。従って、横方向アクチュエータ340のシャフト342の先端は、常時、被押圧部材344に当接している。
【0030】
図4から明らかなように、被押圧部材344において横方向アクチュエータ340のシャフト342の先端で押圧される面は、光軸OP1、OP2を含む平面に直交しかつ重心Gを通る平面と一致している。即ち、横方向駆動枠302の駆動においてもアクチュエータ340による駆動力が加わる位置が重心Gに可能な限り近くなるよう、横方向アクチュエータ340、被押圧部材344は配設されている。
【0031】
図3に示すように、ステッピングモータ341のモータケース341aの一方の端部には略菱形のフランジ341cが一体的に形成されている。フランジ341cは、固定枠200に一体的に形成された平板状の固定部材343に、ビス343a、およびモータケース341aを挟んでビス343aの反対側に位置決めされたビス343bにより固定されている。すなわち、モータケース341aはフランジ341cおよび固定部材343を介して固定枠200に固定されている。
【0032】
図5に示すように、ステッピングモータ331のモータケース331aの一方の端部には略菱形のフランジ331cが一体的に形成されており、フランジ331cは、柱状部材220の台座221に、ビス333a、モータケース331aを挟んでビス333aの反対側に位置決めされたビス333b(図3参照)により保持されている。すなわち、モータケース331aはフランジ331c、台座221を介して柱状部材220に固定されている。
【0033】
図2、4、5に示すように、支持部材320はビス321、ナット322、ワッシャ323を有している。ビス321のシャフト321aにはネジ山が切られており、シャフト321aは縦方向駆動枠301を挿通している。ビス321のヘッド321bの反対側の端部にはナット322が締め付けられている。ヘッド321bと縦方向駆動枠301の間、およびナット322と縦方向駆動枠301の間にワッシャ323が配設されている。一対のワッシャ323は縦方向駆動枠301の光軸OP1、OP2に直交する両側面において横方向駆動枠302の近傍にそれぞれ位置決めされ、両側面をそれぞれ含む平面内において横方向駆動枠302へ向かって突出するよう配設される。すなわち、横方向駆動枠302はその端部においてワッシャ323の周縁部の一部で挟持されており、横方向駆動枠302を光軸OP1、OP2と平行方向に移動しないよう保持している。
【0034】
また、固定枠200の縦方向に沿った内壁面には、横方向に向かって突出する突起部210が形成されている。突起部210には縦方向に沿って溝210aが刻設されている。溝210aには縦方向駆動枠301の側端部が縦方向に摺動可能に嵌合している。従って、縦方向駆動枠301の光軸OP1、OP2と平行方向への移動が防止される。
【0035】
図2、3及び4に示すように、第1及び第2の補正レンズ31、32は、重心Gを通り縦方向に平行な直線に対して略線対称に配設されており、また、第1の補正レンズ31側の支持部材320と第2の補正レンズ32側の支持部材320も同様の直線に対して略線対称に配設されている。従って、縦方向駆動枠301、横方向駆動枠302、第1及び第2の補正レンズ31、32及び4つの支持部材320から成る可動部の重心は、重心Gに一致する。
【0036】
図6は本実施形態の像振れ補正機構のブロック図である。縦方向角速度センサ110は、双眼鏡を保持した時の縦方向における振れの方向及び角速度を検出し、横方向角速度センサ120は、横方向における振れの方向及び角速度を検出する。縦方向角速度センサ110には縦方向センサアンプ111が接続されており、縦方向角速度センサ110から出力された縦方向角速度信号が増幅され、例えばマイクロコンピュータ等の制御手段100に出力される。同様に、横方向角速度センサ120には横方向センサアンプ121が接続されており、横方向角速度センサ120から出力された横方向角速度信号が増幅され、制御手段100に出力される。
【0037】
制御手段100では、縦方向角速度信号および横方向角速度信号が所定の同期信号に基づいてデジタル値に変換され、それぞれのデジタル値が積分演算され手振れの角度情報(手振れ量に対応)である縦方向角変位信号および横方向角変位信号が算出される。縦方向角変位信号に基づいて、所定のアルゴリズムにより光軸と直交する面のレンズ保持枠30の移動量、すなわち縦方向アクチュエータ330のモータ331bの駆動ステップ数(モータに加えるパルス数)と駆動方向を算出し、それに応じた制御信号をモータ331bに出力する。同様に、横方向角変位信号に基づいて、横方向アクチュエータ340のモータ341bの駆動ステップ数と駆動方向を算出し、それに応じた制御信号をモータ341bに出力する。
【0038】
制御手段100から出力される制御信号に基づくモータ331bの回転運動はシャフト332を介してレンズ保持枠30に伝達され、レンズ保持枠30は縦方向に駆動される。レンズ保持枠30をy2方向に駆動する場合は、制御手段100からモータ331bを所定量正転させる制御信号が出力される。モータ331bの正転に伴いシャフト332はy2方向に突出し、コイルバネ370、380の付勢力に抗して縦方向駆動枠301がy2方向に移動する。レンズ保持枠30をy1方向に駆動する場合は、制御手段100からモータ331bを所定量逆転させる制御信号が出力される。モータ331bの逆転に伴いシャフト332はy1方向に後退し、コイルバネ370、380の付勢力により縦方向駆動枠301がy1方向に移動する。
【0039】
同様に、制御手段100から出力される制御信号に基づくモータ341bの回転運動はシャフト342を介してレンズ保持枠30に伝達され、レンズ保持枠30は横方向に駆動される。レンズ保持枠30をx2方向に駆動する場合は、制御手段100からモータ341bを所定量正転させる制御信号が出力される。モータ341bの正転に伴いシャフト342はy2方向に突出し、コイルバネ390の付勢力に抗して横方向駆動枠302がx2方向に移動する。レンズ保持枠30をx1方向に駆動する場合は、制御手段100からモータ341bを所定量逆転させる制御信号が出力される。モータ341bの逆転に伴いシャフト342はx1方向に後退し、コイルバネ390の付勢力により横方向駆動枠302がx1方向に移動する。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、縦方向アクチュエータ330、およびガイドピン301c、301d、ガイド穴220c、220dが、補正レンズ31、32の間の、縦方向駆動枠301の略中央部分、すなわちレンズ保持枠30の重心Gの近傍に位置決めされている。従って、通常の使用時において常に長手方向にわたって縦方向の重力の影響を受けるレンズ保持枠30を縦方向、即ち通常の使用時における鉛直方向に駆動する場合、シャフト332とガイドピン301dの当接部分を回転中心とするモーメントが実質的に発生せず、縦方向駆動枠301が左右が均等にバランスよくスムーズに駆動される。
【0041】
尚、縦方向及び横方向の駆動機構を共にレンズ保持枠30の重心Gの近傍に配設することが望まれるが、設計上の制約等により困難な場合がある。一方、縦方向における手振れの発生は横方向における手振れの発生よりも頻度が高い。従って、縦方向及び横方向の駆動機構を共に重心Gの近傍に配設することが困難な場合、本実施形態のように少なくとも縦方向の駆動機構を重心Gの近傍に配設すれば、縦方向の駆動に関して像振れ補正の高精度化が図られると共に、使用頻度の高い縦方向のためのアクチュエータやガイド部材等の高耐久化が図られ、より経済的である。即ち、縦方向の駆動機構を重心Gの近傍に配設することはより好ましい。
【0042】
また、本実施形態によれば、ガイドピン301cはコイルバネ350により柱状部材220のガイド穴220cの内壁面に常時当接され、ガイドピン301dはコイルバネ360により柱状部材220のガイド穴220dの内壁面に常時当接されている。従って、縦方向駆動枠301がy1方向若しくはy2方向に駆動される際、縦方向に沿って安定して案内される。
【0043】
また、本実施形態のガイドピン301dは、縦方向の駆動における被押圧部材であるとともにガイド部材を兼ねている。従って、部品点数が低減され双眼鏡全体の小型化が図られる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、スムーズにかつ精度高く補正光学系の駆動を制御する像振れ補正機構が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態が適用される双眼鏡の各光学系の位置関係を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態のレンズ保持枠を対物レンズの側から示す正面図である。
【図3】図2の線A−A矢視断面図である。
【図4】本発明の実施形態のレンズ保持枠を接眼レンズの側から示す正面図である。
【図5】図4の線B−B矢視断面図である。
【図6】本発明の実施形態が適用される像振れ補正機構のブロック図である。
【符号の説明】
200 固定枠
21、22 対物レンズ
30 レンズ保持枠
31、32 補正レンズ
41、42 正立プリズム
51、52 接眼レンズ
220 柱状部材
220c、220d ガイド穴
301 縦方向駆動枠
302 横方向駆動枠
301c、301d ガイドピン
330 縦方向アクチュエータ
340 横方向アクチュエータ
350、360、370、380、390 コイルバネ
Claims (9)
- 光学機器の光軸の振れを補正する補正光学系を保持する保持部材と、
前記保持部材の長手方向と直交する第1の軸線に沿って前記保持部材を駆動する第1の駆動手段と、
前記第1の軸線と直交する第2の軸線に沿って前記保持部材を駆動する第2の駆動手段と、
前記第1の駆動手段による駆動時、前記保持部材を前記第1の軸線に沿って案内するガイド手段とを備え、
前記保持部材は、
前記光学機器の内壁面に設けられた固定枠に摺動可能に支持され、開口部を有し、前記第1の駆動手段により駆動される第1の駆動枠と、一対の前記補正光学系を保持し、前記開口部内に摺動可能に支持され、前記第2の駆動手段により駆動される第2の駆動枠とを有し、
前記第1の駆動手段及び前記ガイド手段は、前記保持部材の重心近傍において、前記保持部材の長手方向の略中央であってかつ前記一対の補正光学系の間に位置決めされ、
前記一対の補正光学系は、前記重心を通り前記第1の軸線に平行な直線に対して略対称に配設されることを特徴とする像振れ補正機能を備えた光学機器。 - 前記ガイド手段が、前記第1の駆動枠の前記第2の軸線に平行な方向に沿って延び、かつ前記光学機器の通常の使用姿勢において上面側に位置決めされる第1の端部に配設され前記光軸に沿って突出する第1の突起部と、前記第1の駆動枠の前記第2の軸線に平行な方向に沿って延び、かつ前記光学機器の通常の使用姿勢において底面側に位置決めされる第2の端部に配設され前記光軸に沿って突出する第2の突起部と、前記固定枠に一体的に設けられ前記第1の軸線に沿って延びる柱状部材とを有し、
前記柱状部材に、前記第1の突起部が前記第1の軸線に沿って移動可能に挿通する縦長の第1のガイド穴と、前記第2の突起部が前記第1の軸線に沿って移動可能に挿通する縦長の第2のガイド穴が穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。 - 前記第1の突起部が常時、前記第1のガイド穴の前記第1の軸線と平行な内壁面に当接するよう、前記第1の駆動枠を前記第2の軸線に平行な方向に沿って付勢する第1の付勢手段と、前記第2の突起部が常時、前記第2のガイド穴の前記第1の軸線と平行な内壁面に当接するよう、前記第1の駆動枠を前記第2の軸線に平行な方向に沿って付勢する第2の付勢手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。
- 前記第1の駆動枠を、常時、前記第1の軸線に沿って前記底面から前記上面に向かう方向に付勢する第3の付勢手段をさらに備え、
前記第1の駆動手段が前記第2の突起部を前記上面から前記底面に向かう方向へ、前記第3の付勢手段による付勢力に抗して押圧することにより、前記第1の駆動枠が前記第1の軸線に沿って駆動されることを特徴とする請求項2に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。 - 前記第2の突起部は、平面部と円筒状の外周部からなる横断面形状が半月型の先端部分を有し、前記平面部が前記上面側を向き、前記円筒状の外周部が前記底面側を向くよう位置決めされていることを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。
- 前記第1の駆動手段が、モータと前記モータの回転運動に応じて前記第1の軸線に沿って進退するシャフトとを有する直動型アクチュエータであり、前記シャフトの先端部が常時、前記第2の突起部の先端部分の前記平面部に当接していることを特徴とする請求項5に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。
- 前記光学機器の内壁面に設けられた固定枠に第1の軸線に沿った溝が刻設され、前記光軸方向に沿った前記第1の駆動枠の移動を防止するよう、前記第1の駆動枠の前記第1の軸線に沿った側端部が前記溝に摺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。
- 前記光学機器の通常の使用時において、前記第1の軸線は鉛直方向と平行であることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機能を備えた光学機器。
- 光学機器の光軸の振れを補正するための補正光学系を保持する保持部材と、
前記補正光学系の光軸に直交する平面において鉛直線と平行である第1の軸線に沿って前記保持部材を駆動する第1の駆動手段と、
前記平面において前記第1の軸線と直交する第2の軸線に沿って前記保持部材を駆動する第2の駆動手段と、
前記第1の駆動手段による駆動時、前記保持部材を前記第1の軸線に沿って案内するガイド手段とを備え、
前記保持部材は、
前記光学機器の内壁面に設けられた固定枠に摺動可能に支持され、開口部を有し、前記第1の駆動手段により駆動される第1の駆動枠と、一対の前記補正光学系を保持し、前記開口部内に摺動可能に支持され、前記第2の駆動手段により駆動される第2の駆動枠とを有し、
前記第1の駆動手段及び前記ガイド手段は、前記保持部材の重心近傍に設けられ、かつ前記保持部材の長手方向の略中央において前記一対の補正光学系の間に位置決めされ、
前記一対の補正光学系は、前記重心を通り前記第1の軸線に平行な直線に対して略対称に配設されることを特徴とする像振れ補正機能を備えた光学機器。
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