JP3547772B2 - 対象と基準点間の間隔測定方法および装置 - Google Patents

対象と基準点間の間隔測定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、間隔測定方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
対象、たとえば固定した工作物の表面と基準点の間隔の正確な測定のため、種々の測定原理が知られている。これらの測定原理は、干渉計測法、飛行時間法、焦点サーチおよび三角測量に分類される(T.C.Strand,"Optical three−
dimensional sensing for machinevision",Opt. Eng.24,33(1985))。干渉計測が機械製造で見られるような光が散乱する表面に適切でなく、飛行時間測定があまりにも不正確なので、最も一般に使用されている間隔センサーは三角測量または焦点サーチを基礎にしている。これらの2つの方法は物理的に類似しており、同一の物理的制限も受ける。
【0003】
最も普及している間隔センサーは図1に示されている原理に基づいている。これによると、光点2は照射軸3の方向の光源1の像として対象4に投影する。対象表面で反射した可干渉性の光は、照射軸に対して三角測量角度θで傾斜している観察軸6の方向にある測定ヘッド5中で、光点像7の形で受光器8に集まる。測定間隔は三角測量法により測定される。この場合、光点2の距離Δzの対象表面の間隔変化は、位置9に対する光点像7の測定可能な横方向のずれΔxを発生する。
【0004】
間隔測定の精度は7または9の光点像の位置測定の精度により決まるが、位置測定の精度は物理的限界により基本的に制限される。この制限の原因は、図2に示されているような光点像の統計上の「スペックル構造」にある。要素散乱作用で各々の励起された光原子が放出され、その相が励起する光と相関される。ここで励起する光と散乱される光が干渉性または「相互に可干渉性」である。このことは、周知の間隔センサーの場合と同様に、物体への太陽光線の散乱でも当てはまる。光の拡散での可干渉機能がより広いので、照射された対象面の位置でのグローランプの光でさえ完全に空間的に非干渉性を有しない、つまり密に近接した表面要素が相補正状態で照射される。可干渉性散乱では実際上、常に2つの近接した表面点の返される光が干渉性を有する。
【0005】
図2に示されている構造は対象表面のその時々の微細構成により定まり、その結果、その時々の光点像が統計的不確実性を伴ってのみ検出でき、それにより間隔測定の精度も損なわれる。この関係と可能な回避方法は特に、DE−A−3614 332、Wo 89/11 630およびDE−A−37 031 882で詳細に説明されている。
【0006】
さらに、可干渉性光を使用する全ての方法が、機械製造で一般的な粗い表面と可干渉性の光の相互作用により発生する精度の上記の物理的限界に衝突することは知られている(G. Hausler,"About fundamental limits of three−dimensional sensing",15th Congress of the Int.Com. for Optics,Ed,F.Lanzl,352(1990))。対象で散乱した波は、特定の精度限界を超えた散乱点の局在化を妨げる、空間的に種々の相および強度変動を起こす。この精度限界は次のように、主に観察アパーチャーにより与えられる。
【0007】
δx ≒ λ/sin u …(1)
この場合、δxは光点の横方向局限化の統計的不確実性(標準偏差)を意味し、λは波長であり、sin uは観察アパチャーである。
【0008】
光線軸と観察軸間の三角測量角θが利用される三角測量測定では、横方向局在化不確実性は距離に関する測定不確実性δzを発生する。
【0009】
δz ≒ λ/(sin u・sinθ) …(2)
焦点サーチに基づく方法では、測定不確実性はスペックルに基づき式3により計算される。
【0010】
δz ≒ λ/sin2 u …(3)
これはレイリーによる典型的な焦点深度に一致する。
【0011】
式2と式3は主に、可干渉性放射線線の場合僅かな測定不確実性δzに対して大きい観察アパチャーsin uおよび/または大きい三角測量角θが必要であることを示している。測定不確実性を10μm未満にする必要がある場合、これは不可能な角度uとθになる。たとえば、λ=0.8μmの波長では、焦点サーチでのδz≒10μmの測定精度に対してsin u≒0.28のアパチャーが必要である、つまり約30°のアパチャー角度が必要である。このような角度は顕微鏡を利用すれば可能であるが、巨視寸法ではレンズが非常に大きくなる。さらに、濃淡の差が縁放射線を攪乱する、つまり穴を覗き込めない。
【0012】
精度と解像度を区別するのはなお重要である。上記のセンサーを対象に向ければ、センサーは、式2により与えられる許容差の範囲内で精密な距離を示すだろう。対象をセンサーの方向に小さい距離動かせば、対応する距離変化が示される。
【0013】
つまり、センサーは十分良好な距離解像度を示している。しかし、これは、スペックル構造が保持されるだけなので、観察の焦点深度に比べて小さい対象変位にのみ当てはまる。しかし、完全に平坦な(しかし、粗い)対象表面を有する対象が表面平面に平行に変位する場合、センサーは変位と独立して、同一の距離を示さなければならない。しかし、実際にはそうではない。センサー信号は、式2または式3により与えられる高さの標準偏差を図3に示されているような「でこぼこの多い」表面が存在すると見違える。この標準偏差δzは、時々主張されるように、対象表面の性状(でこぼこ)ではない。δzは一般に表面の微細構成と関係なく、主に装置特性である観察アパチャーにより定まり、対象表面性状(でこぼこ)の何倍にもなる。
【0014】
スペックル構造と統計上の測定誤差を回避するために、距離をコード化する測定に使用する放射線は十分空間的に非干渉性を有しなければならない。しかし、これは、(小さい)非干渉性点源、たとえば水銀高圧アークを対象上に模写するので、達成できない。なぜなら、可干渉性理論によると、模写後に、対象上の空間的な可干渉機能の幅が照射される光学機器の屈折像(点像)の幅に等しいからである(M.Born,E.Wolf,"Prinziples of optics",Pergamonn Press,New York,1970)。したがって、非干渉性の非常に小さい光源の像も空間的に可干渉性を有する。
【0015】
つまり、光点2の広範囲の空間的な非干渉性は、対象に模写された光源1が大きく、光点も投影光学機器の点像に比べて大きいとき、達成される。しかしこのような方法は、対象に照射により小さい点がもはや割り当てられず、範囲が大きくなり、横方向解像度が減少する欠点を有する。さらに、受光器上の大きい光点像の局在化は僅かな精度でのみ、可能である。また対象をレーザーで照射し、対象全体での測定中レーザー・光点間を動かすことも試みられた(DE−A−3614 332およびW.Dremel,G.Haeusler,M.Maul,"Triangulation withlarge dynamical range",Optical Techniques for Industrial Inspection,Ed.G.Paolo,Proc.SPIE 665,182(1986))。これは大きい非干渉性の光源を使用した照射に等しく、同一の問題を発生する。他の可能性は、写像する光学機器のひとみ中での乱流の発生により対象上でレーザー・光点間が統計的に動揺することである。またこれも上記の方法に等しく、μm範囲の要求測定精度を発生しない。換言すれば、大きい光点の上記の欠点なしに十分空間的に非干渉性な照射を得ることができない。時間上非干渉性の照射は、機械製造で実際には発生しないような、対象の非常に大きいでこぼこで初めてスペックル減少のため有効である。
【0016】
得られた光点像の「スペックル構造」による高精度の間隔測定の上記のような損ないは、DE−A−33 42 675から周知の三角測量原理による工作物の光学スキャン用の測定装置でも発生する。1台または2台のプロジェクターからも特定の角度で光点が測定対象の表面に投影され、光を感じるデテクターを使用して、対象への間隔の変更で発生する交点像の変位が測定される。間隔測定の精度の向上のため、像の横方向の変位に加えて、像分析による光点の形状と面積単位も測定される。しかし、放射された光点の可干渉性の放射が分析されるので、ここでも、交点像のスペックル構造により測定誤差が発生する。
【0017】
同様なことが、DE−A−40 06 300およびUS−A−4 453 083から周知の間隔測定装置にも適用される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、現在の技術レベルの制限を無くし、技術的に簡単な手段で高精度な測定結果を得ることができる間隔測定方法と装置を提供することである。
【0019】
本発明は、対象と基準点間の間隔測定方法において、
対象に放射源からの電磁放射線で光点で照射され、
光点から出た放射線が測定ヘッドにより捕捉され、そこから対象と基準点間の距離が測定され、
光点内の対象が空間的に不干渉性の放射線の放出のため、電磁放射線により励起され、
間隔測定のため、選択的に光点で励起され、放出された放射線の空間的に不干渉性の部分が利用され、
光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制され、
放射線源のインパルス形の動作で光点に再び放出される放射線がインパルス休止でのみ検出されることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定方法である。
また本発明は、対象と基準点間の間隔測定方法において、
対象に放射源からの電磁放射線で光点で照射され、
光点から出た放射線が測定ヘッドにより捕捉され、そこから対象と基準点間の距離が測定され、
光点内の対象が空間的に不干渉性の放射線の放出のため、電磁放射線により励起され、
間隔測定のため、選択的に光点で励起され、放出された放射線の空間的に不干渉性の部分が利用され、
光点内の対象面が電磁放射線により、ラマン散乱またはブリュアン散乱から選ばれる、熱を持たない空間的に不干渉性の放射線の放出のため励起され、
間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分がラマン散乱光またはブリュアン散乱光であることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定方法である。
【0022】
また本発明は、光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制されることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、放射線源のインパルス形の動作で光点に戻される放射線がインパルス休止でのみ検出されることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、間隔測定のため、光点の形状と位置から独立して、少なくとも2つの連続した光点像が発生し、また対象と基準点間の間隔が両方の形状の同一の光点像内の同質の点の中間距離から確定されることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、両方の形状の同一の光点像の重心の間隔が対象間隔の測定のため利用されることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、補挿により両方の光点像の最大値が確定され、またこれらの両方の最大値の間隔から対象間隔が確定されることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、対象と基準点間の間隔測定装置において、
対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制され、
測定ヘッド(15)が、放射線源(10)を遮断した場合だけ分析ユニットを活性化するサイクル発生器(17)を介して放射線源(10)と結合されていることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置である。
また本発明は、対象と基準点間の間隔測定装置において、
対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
光点内の対象面が電磁放射線により、ラマン散乱またはブリュアン散乱から選ばれる、熱を持たない空間的に不干渉性の放射線の放出のため励起され、
間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分がラマン散乱光またはブリュアン散乱光であることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置である。
また本発明は、対象と基準点間の間隔測定装置において、
対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
多数の光点像の発生のため、前段および後段の偏光子(37,38)を備える複屈折光学エレメント(36)が光点(2)から放出される空間的に不干渉性の放射線(14)の放射行程内に配置されていることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置である。
【0028】
また本発明は、測定ヘッド(15)が選択エレメントとして、光点(2)からの可干渉性の放射線部分(13a)を吸収する光学カラーフィルタ(16)を含んでいることを特徴とする。
【0029】
また本発明は、測定ヘッド(15)が選択エレメントとして、不干渉性の返された放射線の波長範囲のみに応答する受光器(19)を有することを特徴とする。
【0030】
また本発明は、測定ヘッド(15)が、放射線源(10)を遮断した場合だけ分析ユニットを活性化するサイクル発生器(17)を介して放射線源(10)と結合されていることを特徴とする。
【0031】
また本発明は、測定ヘッド(15)が、光点(2)の形状、サイズおよび位置変化から独立して対象間隔を確定する光学エレメントと計算エレメントを含んでいることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、測定ヘッド(15)が、ほぼ形状が同一の少なくとも2つの光点像(25,26)の発生用の光学エレメント(32,19)と、これらの光点像の1つで1点ずつ確定し、対応する同質点間の中間間隔を確定し、そこから対象間隔を計算する分析装置に送る分析エレメントを含んでいることを特徴とする。
【0033】
また本発明は、放射線源(10)が対象面に対して特定の角度で配置され、放射線源(10)と対象(11)間の放射行程(13)内に分割ミラー(28)が配置され、また分割ミラー(28)背後の光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線の放射行程内に二重分割オリフィス(32)が配置されていることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、両方の光点像(25,26)を発生する光学エレメント(32)間に円筒形の集光レンズ(33)が配置されていることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、多数の光点像の発生のため、前段および後段の偏光子(37,38)を備える複屈折光学エレメント(36)が光点(2)から放出される空間的に不干渉性の放射線(14)の放射行程内に配置されていることを特徴とする。
【0036】
【作用】
本発明に従えば、対象自体が局部的に限定された範囲内の電磁放射により、励起する放射線に可干渉しない放射線の放出のため励起される。この場合、対象表面で近接した多数の原子に似た放射線にも相関しない、つまり励起された光点が空間的に、また一般に時間的にも非干渉状態で放射する。さらに、本発明によれば、光点から放出された非干渉性の放射線だけが間隔測定のため分析されるので、交点像でスペックル構造が発生せず、交点像の精密な位置測定、また十分精密な間隔測定が可能になる。
【0037】
適切な実施例では、光点内の対象が放射源、たとえばレーザーにより、局部的に強く加熱され、熱(プランク)放射線を放出すると言う特徴を有する。この放射線は空間に、また時間的にも非干渉性を有している。別の可能性は、蛍光と燐光から成る発光物の励起である。同様に、ラマン散乱とブリユアン散乱または他の非干渉性の散乱メカニズムが該当する。
【0038】
この種類の放射線を放出する対象で発生する光点の場合、スペックルによりもはや統計上の測定不確実性がないので、式2と式3で与えられる測定不確実性の限界の大きさを下回る。
【0039】
【実施例】
本発明の別の特殊性と長所は、図面により実施例の以下の説明により判明する。
【0040】
図4に示すように、適切な小ささの光源10により対象11内または上に光点2が発生する。光源10は、グローランプ、ガス放電ランプ、発光ダイオード、ガスレーザーまたは半導体レーザー、またスーパー発光ダイオードのようなどの熱源でもよい。この場合、光源10の放射線13は、光点2内の対象表面からの非干渉性放射線14を励起するのに最適であることが重要である。多くの有機材料は、正しい波長で励起されるならば、発光現象(蛍光と燐酸発光)またはラマン散乱とブリユアン散乱を示している。対象が非干渉性放射線を放出しない場合、適切な処理、たとえば適切な燐酸12による成層により表面を活性化できる。多くの場合、表面で非干渉性放出状態を励起するために、僅かな有機表面不純物で十分である。
【0041】
レーザー光線による工作物の切削加工で本発明による測定方法を使用すれば、対象内または上にレーザー光線により発生した高温焦点が間隔測定に必要な非干渉性放射線を発生する。アーク溶接のような材料加工の他の方法でも、非干渉性の放射線の放出に十分な高さの対象表面の局部加熱が発生する。
【0042】
対象11から放出された空間的に非干渉性の放射線14は測定ヘッド15に捕捉され、対象までの間隔を測定するために分析される。この場合、対象11から同様に放出された放射線13の可干渉性の部分13aは分析前に、放出された非干渉性の放射線部分14から分離される。非干渉性の放射線が殆どの場合、可干渉性の放射線と別の波長範囲にあるので、この分離は光学カラーフィルタ16により可能である。他の可能性は、可干渉性の放射線部分13aが捕捉されないように、受光器のスペクトル感度を選択できることにある。別の可能性は、特定の時間後励起する放射線13を中断し、その後初めて非干渉性の放射線14の分析を実施できることにある。この可能性は図4に、光源10前方の測定ヘッド15により散乱されるスイッチ17により象徴的に示されている。非干渉状態に励起された放射線も遅延して放出できるので、励起された材料の選択に応じて、開始と終了を有利な形で調整できる時間ウインドウ内の非干渉性の放射線を分析することができる。
【0043】
放出された光に潜んでいる距離情報を種々の方法で解読できるので、測定ヘッド15の種々の仕様が可能である。図4と図5に、写像線18と局部的に示された受光器、特に「位置感度フォトダイオード(PSD)または図5に示されたCCD(電荷結合素子)フォトダイオードアレイ19を含む三角測量測定ヘッドが例として示されている。図5には、このようなアレイの個々のダイオードが示されている。光度分布が位置20で例示されている光点像の位置は、対象11までの間隔をコード化している。本発明によると、光点像の位置は、光点像の形状がスペックルにより統計的に攪乱されないので、非常な高精度で測定できる。
【0044】
したがって、光点像の位置は、直径よりも相当精密にまたは、CCDフォトダイオードの間隔によるよりも相当正確に測定できる。分析ユニット21で、たとえば光点像の重心または最大強度の場所、つまり分布カーブ20の頂点を測定できる。この場合、このサイズはサブピクセル補挿により、しばしば、受光器の平面の1μmよりも精密に測定できる。この分析はこのケースでは、測定値にガウスカーブまたは他の適切なカーブを適用するために、3または最高5つのフォトダイオード信号を利用できる。適用カーブの最大値の位置は、光点像の位置の尺度である。可能な精度は現在、主に、受光器のノイズにより影響される。
【0045】
測定ヘッドの多くの別の変種と実施例が考えられ、そのうち、特殊な利点を与える2つの実施例が示される。
【0046】
光点像の位置を分析する方法では、この光点像の形状が対象で割り当てられた場所から独立しており、距離からも独立していることが重要である。このことは図6より判明する。対象、たとえば局部的変化が反射または放出性R(x)を有すれば、場所Aの光点像は場所Bの光点像と違うように見える。重心の測定は僅かな測定誤差を発生するだろう。
【0047】
しかし、光点像の形状のこのような局部的変化は、対象表面の割り当てられた場所によっては、排除できない。反射または放出性の局部的変化だけがあるのでなく、たとえば、光点自体も乱流により、時間的および場所的に変動する。確かに、光点が小さいならば、この効果は小さいが、スペックルの抑制とこれにより達成できる高精度のため、測定結果に対する光点の形状の影響も排除しなければならない。周知の方法ではスペックルが主要誤差源であるので、この効果に注意することは今まで必要なかった。
【0048】
光点像の形状変化があった場合これからの間隔測定の独立性は本発明により、次の方法、たとえば図7の方法により解決される。光点像の形状の影響を除外するために、図7により、光点像の場所自体が決定的でなく、少なくとも2つの形状の等しい光点像25と26が発生し、これらの両方の形状の等しい光点像25,26間の距離sが測定される。したがって図7に示されているように、特徴が同質である点x1,x1’またはx2,x2’間のその時々の距離sをこの像内に発見できる。分析装置27で測定できるような同質点の精確な位置から、間隔sと対象距離を分析できる。
【0049】
同質点はたとえば、局部最大または最小のどちらでもよい。しかし、光点像の重心も確定でき、種々の光点像の重心の距離を確定して、そこから対象間隔を確定できる。同様に、光点像25,26の相関を実行して、ここから周知の方法で距離sを得ることができる。
【0050】
しかし、これらの事項は可干渉効果から発生する光点像の形状変化に当てはまらない。
【0051】
基本的事項である光点形状からの距離測定の独立性は、1つの位置でなく、多くの位置の差が定まるので、種々の方法で実現できる。このような測定装置の2つの仕様が図8〜図10に示されている。
【0052】
図8の実施例では、光源2で発生した光線13は分割ミラー28で対象11の方へ反射される。光点2で再び放射された非干渉性の光線14はカラーフィルタ16と集光レンズ30とを通る。この集光レンズ30の背後に、図8の実施例で二重割れオリフィスの形状の多数の近接した開口部を有するオリフィス32が配置されている。多数の別種の開口部を有するオリフィスも可能である。ここでは、受光器19は、集光レンズ18の焦点平面31の外部の図5どおりの装置と区別して配置されている。これにより、間隔sで2つの不鮮明な(焦点深度が低い)、相並んだ光点像25と26が発生する。別の表現をすれば、オリフィスの不鮮明な投影を得る。不鮮明な光点像の間隔sはレンズ30からの光点2の距離zで決まる。不鮮明な光点像25,26の間隔変化Δsは以下のように、計算することができる。
【0053】
次の記号を使用する。
s 不鮮明な点像の間隔;
Δs 光点像の間隔変化;
z レンズ30からの光点2の距離(対向幅);
b レンズからの像の距離(像幅);
D 瞳内の割れオリフィスの間隔;
A デテクタ平面のレンズまでの間隔;
a 焦点外れ(焦点内)、デテクタ平面の間隔;
β 写像尺度、β=b/z;
f レンズの焦点距離
したがって、次の式が成立する。
【0054】
D/b = s/a …(4)
a=b−Aとb=z・βを代入すれば、次式を得る。
【0055】
s = D + (A・D)/(z・β) …(5)
この式はzで微分される。
【0056】
【数1】
Figure 0003547772
【0057】
さらに、次の写像式が当てはまる。
【0058】
1/f = 1/b − 1/z …(7)
bに−z・βを代入し、それからzで解けば、次式を得る。
【0059】
z = − f − f/β …(8)
式3を代入すれば、幾つかの変形後次式を得る。
【0060】
【数2】
Figure 0003547772
【0061】
この方法の感度の尺度であるこの相対間隔変化はβ=−1の写像スケールで最適状態にある。このことは、式6から示すことができる。分母が小さくなればなるほど、間隔変化Δsが大きくなる。つまり、いつγ(β)=β+2+β-1が最小であるかが、調べられる。これは、γ’(β0)=0であるときのβ0に当てはまる。γ(β)の最初の派生式は次のとおりである。
【0062】
γ’(β)=1−β-2 …(10)
ゼロ位置はβ0=±1にある。β=−1は物理的にこれと相関がある。γ”(−1)が0より大きいので、β=−1に対して実際にγが最小になる、つまりΔsは最大になる。このことは本発明で利用されている。
【0063】
この配置の別の非常に重要な特性は、不鮮明な光点像25,26が光学軸に対してミラー対称でないが、図8に示されるように、その時々に同一の方向を有しているので、同質点の間隔が形状から独立する。
【0064】
不鮮明な光点像25,26がひとみの不鮮明な投影としても現れるので、これらの像は上記の例で、割れ形状を有する。光全体が捕捉されるような大きな面をフォトデテクタが占めなければならないので、このことは欠陥と言える。迅速な分析のため費用が低く、良好なのは、図8に示された円筒形集光レンズと結合して使用されるフォトダイオード列の使用である。この円筒形集光レンズ33は、不鮮明な割れ投影が、図9に示されているように、近似的に1つずつの点に収斂するような方向を向いている。したがって、平面受光器の代わりに、列形状の受光器を使用できる。
【0065】
相互の間隔が対象間隔に依存している2つ以上の、形状が同一の光像点の発生のための別の実施例は、光点の光が貫通する複屈折エレメントの使用により得られる。図10に示されているような測定装置では、光点2に発生した非干渉性の放射線は、たとえば前段の偏光子37と後段の偏光子38とともにサバール板36を通過する。この配置は、サバール板36により与えられる間隔pの、位置39,40における光点の2つの仮想の二重像を発生する。この二重像の光は、サバール板の背後の平面41において干渉する。そこでは干渉縞42が観察されなければならない。干渉縞の間隔lは、式l=z・λ/pによると、光点2からの測定面26の距離zによる。干渉縞の間隔lが確定され、そこから対象距離が導かれる。空間的に不干渉性の放射線の本発明どおりの使用により、大きな精度の改善が得られる。図8の実施例の場合と同様に、高い対称性の追加の利点、すなわち同一の方向からの観察と照射とともに、僅かな誤差発生率と僅かな濃淡の差という利点がある。
【0066】
これにより、僅かな観察アパーチャーを選択できる。通常の三角測量の場合のような不対称性は発生せず、照射方向が観察方向と同一である。ただ僅かな濃淡の差部分だけがある。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、対象自体が局部的に限定された範囲内の電磁放射により、励起する放射線に可干渉しない放射線の放出のため励起される。この場合、対象表面で近接した多数の原子に似た放射線にも相関しない、つまり励起された光点が空間的に、また一般に時間的にも非干渉状態で放射する。さらに、本発明によれば、光点から放出された非干渉性の放射線だけが間隔測定のため分析されるので、交点像でスペックル構造が発生せず、交点像の精密な位置測定、また十分精密な間隔測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積極的な三角測量による間隔測定の―周知の―原理を示す図である。
【図2】図1による測定方法で得られた2種類の観察アパチャーの場合のスペックル構造より撹乱された光点を示す写真である。
【図3】平坦面のスペックルにより誤認されるでこぼこのダイヤグラムである。
【図4】本発明の間隔測定原理を示す図である。
【図5】三角測量測定ヘッドの図である。
【図6】ダイヤグラムの形の光点像の形の変化により発生した測定誤差を示す図である。
【図7】光点像形から独立した、光点像の形の変化に帰せられる測定誤差の補正の可能性を示す図である。
【図8】光点形状から独立した間隔測定の場合の測定配置を示す図である。
【図9】非干渉性測定放射線用の二重スリットオリフィスと円筒レンズを使用した測定配置を示す図である。
【図10】サバルト板による仮想の光点二重化を利用した測定配置を示す図である。
【符号の説明】
2 光点
10 光源
11 対象
13 放射線
14 非干渉性放射線
15 測定ヘッド
16 光学カラーフィルタ
18 集光レンズ
19 フォトダイオードアレイ
21 分析ユニット
27 分析装置
28 部分ミラー
30 レンズ
36 サバルト板
37,38 偏光子
41 平面

Claims (18)

  1. 対象と基準点間の間隔測定方法において、
    対象に放射源からの電磁放射線で光点で照射され、
    光点から出た放射線が測定ヘッドにより捕捉され、そこから対象と基準点間の距離が測定され、
    光点内の対象が空間的に不干渉性の放射線の放出のため、電磁放射線により励起され、
    間隔測定のため、選択的に光点で励起され、放出された放射線の空間的に不干渉性の部分が利用され、
    光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
    間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
    光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制され、
    放射線源のインパルス形の動作で光点に再び放出される放射線がインパルス休止でのみ検出されることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定方法。
  2. 対象と基準点間の間隔測定方法において、
    対象に放射源からの電磁放射線で光点で照射され、
    光点から出た放射線が測定ヘッドにより捕捉され、そこから対象と基準点間の距離が測定され、
    光点内の対象が空間的に不干渉性の放射線の放出のため、電磁放射線により励起され、
    間隔測定のため、選択的に光点で励起され、放出された放射線の空間的に不干渉性の部分が利用され、
    光点内の対象面が電磁放射線により、ラマン散乱またはブリュアン散乱から選ばれる、熱を持たない空間的に不干渉性の放射線の放出のため励起され、
    間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分がラマン散乱光またはブリュアン散乱光であることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定方法。
  3. 光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制されることを特徴とする請求項2記載の対象と基準点間の間隔測定方法。
  4. 放射線源のインパルス形の動作で光点に再び放出される放射線がインパルス休止でのみ検出されることを特徴とする請求項2記載の対象と基準点間の間隔測定方法。
  5. 間隔測定のため、光点の形状と位置から独立して、少なくとも2つの連続した光点像が発生し、また対象と基準点間の間隔が両方の形状の同一の光点像内の同質の点の中間距離から確定されることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定方法。
  6. 両方の形状の同一の光点像の重心の間隔が対象間隔の測定のため利用されることを特徴とする請求項5記載の対象と基準点間の間隔測定方法。
  7. 補挿により両方の光点像の最大値が確定され、またこれらの両方の最大値の間隔から対象間隔が確定されることを特徴とする請求項5記載の対象と基準点間の間隔測定方法。
  8. 対象と基準点間の間隔測定装置において、
    対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
    光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
    測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
    光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
    光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
    間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
    光点からの可干渉性の放射線が空間的に不干渉性の放射線から分離されるかまたは抑制され、
    測定ヘッド(15)が、放射線源(10)を遮断した場合だけ分析ユニットを活性化するサイクル発生器(17)を介して放射線源(10)と結合されていることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置。
  9. 対象と基準点間の間隔測定装置において、
    対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
    光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
    測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
    光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
    光点内の対象面が電磁放射線により、ラマン散乱またはブリュアン散乱から選ばれる、熱を持たない空間的に不干渉性の放射線の放出のため励起され、
    間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分がラマン散乱光またはブリュアン散乱光であることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置。
  10. 対象と基準点間の間隔測定装置において、
    対象(11)の表面上の局部光点の発生のための焦点合わせエレメントを有する電磁放射線源(10)と、
    光点から放出される放射線を検出する測定ヘッド(15)と、
    測定ヘッドにより検出される放射線から対象と基準点間の間隔が計算される計算エレメントと、
    光点(2)から空間的に不干渉性の放射線が放出されるように、放射線源(10)が対象材料に適応して形成され、また測定ヘッド(15)が、間隔計算のため光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線(14)のみを分析する選択エレメント(16,17,19)とを含み、
    光点内の対象材料が電磁放射線により加熱され、空間的に不干渉性の熱放射線の放出のために励起され、
    間隔測定のために利用される、前記放射線の空間的に不干渉性の部分が熱放射線であり、
    多数の光点像の発生のため、前段および後段の偏光子(37,38)を備える複屈折光学エレメント(36)が光点(2)から放出される空間的に不干渉性の放射線(14)の放射行程内に配置されていることを特徴とする対象と基準点間の間隔測定装置。
  11. 測定ヘッド(15)が選択エレメントとして、光点(2)からの可干渉性の放射線部分(13a)を吸収する光学カラーフィルタ(16)を含んでいることを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  12. 測定ヘッド(15)が選択エレメントとして、不干渉性の返された放射線の波長範囲のみに応答する受光器(19)を有することを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  13. 測定ヘッド(15)が、放射線源(10)を遮断した場合だけ分析ユニットを活性化するサイクル発生器(17)を介して放射線源(10)と結合されていることを特徴とする請求項9または10記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  14. 測定ヘッド(15)が、光点(2)の形状、サイズおよび位置変化から独立して対象間隔を確定する光学エレメントと計算エレメントとを含んでいることを特徴とする請求項8〜13のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  15. 測定ヘッド(15)が、形状がほぼ同一の少なくとも2つの光点像(25,26)の発生用の光学エレメント(32,19)と、これらの光点像の1つで1点ずつ確定し、対応する同質点の中間間隔を確定し、そこから対象間隔を計算する分析装置に送る分析エレメントを含んでいることを特徴とする請求項8〜14のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  16. 放射線源(10)が対象面に対して特定の角度で配置され、放射線源(10)と対象(11)間の放射行程(13)内に分割ミラー(28)が配置され、また分割ミラー(28)背後の光点(2)から放出された空間的に不干渉性の放射線の放射行程内に二重オリフィス(32)が配置されていることを特徴とする請求項8〜15のうちのいずれか1つに記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  17. 両方の光点像(25,26)を発生する光学エレメント(32)間に円筒形の集光レンズ(33)が配置されていることを特徴とする請求項15または16記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
  18. 多数の光点像の発生のため、前段および後段の偏光子(37,38)を備える複屈折光学エレメント(36)が光点(2)から放出される空間的に不干渉性の放射線(14)の放射行程内に配置されていることを特徴とする請求項9記載の対象と基準点間の間隔測定装置。
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