JP3547527B2 - 質量流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、測定管を流れる流体に加速度を加えたときの反力に基づきその流体の質量流量を測定する、いわゆるコリオリ式質量流量計であって、とくに測定管にQ値の高い安定な振動をさせて、流体に係る質量流量と密度を高精度に測定可能にした質量流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として特公昭60−34683号に記載の発明がある。図3はこの従来例の斜視図である。ハウジング10に片持ち支持の形でU字形の測定管11が取り付けられている。U字形測定管11の両端部12,13 の間の位置に、片持ち梁状の共振体14が取り付けられている。測定管11と共振体14の共振周波数は揃えられており、互いに共鳴するように構成されている。U字形測定管11の先端部と共振体14の先端部間に、例えばコイルと磁石で構成されるようなドライバー15が取り付けられている。このドライバー15と駆動回路16によりU字形測定管11と共振体14はその共振周波数で駆動される。また、このU字形測定管11の両側のストレート部分の先端には、コイルと磁石で構成される各速度センサ17,18 が測定管11の振動を検出する手段として取り付けられており、それぞれの出力は信号処理回路19に入力されて流量信号に変換される。なお、この測定管11の振動を検出する手段である各速度センサ17,18 は前記のような速度センサに限られるわけではなく、変位センサや加速度センサ等、測定管の振動を検出できるセンサなら基本的に何でもよい。
【0003】
片持ち支持されたU字形の測定管11の内部には、測定流体が図示されていない流通管から矢印Eの方向に流入し、測定管11を流通した後に矢印F部の方向に図示されていない流通管へ流出するように構成されている。
このように構成された流量計において、流体の流量がゼロの場合について考える。いま、U字形測定管11と共振体14は、ドライバー15と駆動回路16によりその共振周波数で加振されている。左右の各速度センサ17,18 が取り付けられている位置はそれぞれ同じ運動をしているため、左右の各速度センサ17,18 からは位相差のない出力信号が得られる。
【0004】
次に、流れが生じた場合について考える。振動する測定管11の内部を流体が流れると、流体速度の直角方向にコリオリ力が発生するが、U字形測定管11の両側では流体の流れ方向が逆になるためコリオリ力の発生方向も逆になる。したがって、U字形測定管11には、U字の中心軸であるO軸に関するモーメントが発生する。したがって、各端部12,13 を結んだW−W軸に関する撓み振動に、O軸に関する捩じり振動が重畳する。このため、前記の各速度センサ17,18 の出力は互いに位相差を持った信号として検出される。コリオリ力は、質量流量に比例しているため、前記の各速度センサ17,18 から検出される信号の位相差 (時間差) が質量流量に比例した量になる。したがって、前記信号の位相差 (時間差) を測定することにより、流体の質量流量を測定できる。
【0005】
さらに、一般に測定管11の共振周波数は質量と剛性に依存するが、ここでは剛性は一定で変化しないから、測定管11の共振周波数は、内部に充満する流体を含む測定管11の全質量の変化によって変化する。しかし、測定管11自体の密度変化はほとんど無視できるから、共振周波数は内部の測定流体の密度変化によって変化する。したがって、共振周波数の測定に基づき、流体密度も測定することができる。つまり、流体の質量流量と密度を同時に測定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、質量流量計において、消費電力を少なくするには、測定管に加速度を振動的に加えるための駆動力を小さくする必要があり、流体の質量流量と密度を高精度に測定するには、測定管の振動を安定させる必要がある。この振動安定化のためには、測定管を含む振動系のQ値を十分に高く維持することを要し、それには測定管の支持幅寸法を大きくしたり、つまり固定の度合いを増したり、または測定管に共振体を付設して音叉状に振動させる方法がとられる。しかし、支持幅寸法を大きくすることは、流量計を大形・重量化することになるから実用的でない。また、従来例におけるように共振体14を付設する方法には、測定流体の密度が変化したとき、測定管11の共振周波数も変化するから、共振体14自体の共振周波数との間にずれを生じ、その結果として安定した振動、つまりQ値の高い振動が得られなくなる、という問題がある。ここで、Q値はその振動系の共振の鋭さを表す値である。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、従来の技術がもつ以上の問題点を解消して、流体の質量流量と密度を高精度に測定可能にした質量流量計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、測定管を流れる流体の質量流量を、上記測定管に振動を与えて測定する質量流量計であって、上記測定管が一対の支持部によって支持され、その支持された位置に上記振動の節を有し、この振動が上記測定管に反発するコリオリ力を発生させる質量流量計において、上記測定管の振動を検知して、相互に位相差を有する信号を生成するセンサと、上記測定管に加速度を加え、この加速度により上記測定管に上記振動を生じさせる主アクチュエータおよび副アクチュエータとを備え、上記主アクチュエータは上記測定管の中央部に作用し、上記副アクチュエータは上記測定管の一部であって上記中央部および上記支持部から離れた位置に作用することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記測定管は、その両端近くを上記一対の支持部によって支持された直管であることが望ましい。
また、上記一対の支持部および上記副アクチュエータは、共通な部材上にそれぞれ設置されることが望ましい。
更に、上記副アクチュエータに入力される駆動信号は上記主アクチュエータに入力される駆動信号と同期していることが望ましい。
【0010】
【作用】
この発明では、測定管に加速度を加えて振動させるための手段として主アクチュエータと副アクチュエータを備えており、主アクチュエータにより測定管の中央部に加速度を加え、副アクチュエータにより測定管の一部(中央部および上記支持部から離れた位置)に加速度を加えることで、測定管に所望の振動を生じさせている。このように、主・副の2種類のアクチュエータにより協同して測定管を振動させることにより、測定管を含む振動系のQ値が高くなり、つまり測定管を鋭く共振させることが可能になる。その結果、測定管を含む振動系は安定した振動状態が得られる。
ここで、支持部と副アクチュエータとが共通な部材上にそれぞれ設定されることにより、測定管に対する加振が確実かつ有効に伝達される。
【0011】
【実施例】
この発明に係る質量流量計の実施例について、以下に図を参照しながら説明する。図1は実施例の構成図である。図1において、1は直管形の測定管である。この測定管1の両端近くが、それぞれ振動の節になるように支持部5aで支持される。平板状の主台10の左右両端部にそれぞれ副台5が設置され、この各副台5の上端部が支持部5aになる。さて、主アクチュエータ4は、磁石2と電磁コイル3からなる電磁駆動機構で、測定管1を中央位置で加振するように、符号を付けてない補助台を介して主台10に設置される。また、左右の各副台5は、その支持部5aにおいて先に述べたように測定管1の両端近くをそれぞれ支持するとともに、その各端部の支持部5aから外側に突出した箇所に加振するように、副アクチュエータ6を設置する。ここで、支持部5aと副アクチュエータ6が共通な部材としての副台5に設置されることにより、測定管1に対する加振が確実かつ有効に伝達されることになる。逆に、別々の部材上に設置されたなら、加振に対して支持箇所が微妙に変わりうるから、それだけ加振の伝達が不確実になる恐れがあって適切であるとは言えない。なお、この副アクチュエータ6は、圧電駆動機構としたり、または主アクチュエータ4と同じ電磁駆動機構として構成することができる。
【0012】
駆動回路7は、主アクチュエータ4と左右の各副アクチュエータ6にそれぞれ駆動信号を入力するもので、主アクチュエータ4に対しては直接に入力し、各副アクチュエータ6に対しては検出部8および制御回路9を介して入力する。ここで、検出部8は、駆動回路7からの駆動信号を検出する。制御回路9は、この検出駆動信号に基づき、これに同期させるような別の駆動信号を副アクチュエータ6に入力することができる。つまり制御回路9は、駆動信号の大きさを定める回路とともに、位相調整回路を備えることになる。
【0013】
実施例の動作について、図2を参照しながら説明する。図2は実施例の振動状態を示す模式図である。図2において、測定管1は、主アクチュエータ4による加振のもとに破線表示のように、左右の各支持部5の間隔(スパン)を半波長とする共振周波数の振動をおこなう。いま、測定管1が中央位置で(主アクチュエータ4によって)矢印Aの方向に加振されるとき、それに同期させて左右の各端部位置で(副アクチュエータ6によって)矢印aの方向に加振されると、その結果として、測定管1は鋭い共振状態、つまり振動系のQ値が高い状態になって、安定した振動状態が得られる。なお、図2においては、測定管1の左半分の側は図示を省略してある。以上のことを言い換えれば、副アクチュエータ6が主アクチュエータ4の測定管1に対する加振を効率的に支援する形をとることであり、または副アクチュエータ6が主アクチュエータ4と有効な協同作業をとることである。ところで、主アクチュエータ4による矢印Aの方向に加振と、副アクチュエータ6による矢印aの方向に加振との同期調整は、先の図1に示したように、検出部8および制御回路9の働きに基づく。
【0014】
【発明の効果】
この発明の質量流量計によれば、小形・軽量の特長を保持しながら、同時に高精度な流量計測および密度計測を可能にする、という優れた効果が期待できる。その理由は、主・副の2種類のアクチュエータにより協同して測定管を振動させることにより、測定管を含む振動系のQ値が高くなり、つまり鋭く共振して、測定管を含む振動系が安定した振動状態になるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る実施例の構成図
【図2】実施例の振動状態を示す模式図
【図3】従来例の斜視図
【符号の説明】
1 測定管
2 磁石
3 電磁コイル
4 主アクチュエータ
5 副台
5a 支持部
6 副アクチュエータ
7 駆動回路
8 検出部
9 制御回路
10 主台

Claims (4)

  1. 測定管を流れる流体の質量流量を、前記測定管に振動を与えて測定する質量流量計であって、前記測定管が一対の支持部によって支持され、その支持された位置に前記振動の節を有し、該振動が前記測定管に反発するコリオリ力を発生させる質量流量計において、
    前記測定管の振動を検知して、相互に位相差を有する信号を生成するセンサと、
    前記測定管に加速度を加え、該加速度により前記測定管に前記振動を生じさせる主アクチュエータおよび副アクチュエータとを備え、
    前記主アクチュエータは前記測定管の中央部に作用し、前記副アクチュエータは前記測定管の一部であって前記中央部および前記支持部から離れた位置に作用することを特徴とする質量流量計。
  2. 前記測定管は、その両端近くを前記一対の支持部によって支持された直管であことを特徴とする請求項1記載の質量流量計。
  3. 前記一対の支持部および前記副アクチュエータは、共通な部材上にそれぞれ設置されてなることを特徴とする請求項2記載の質量流量計。
  4. 前記副アクチュエータに入力される駆動信号は前記主アクチュエータに入力される駆動信号と同期していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の質量流量計。
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