JP3547264B2 - へた付き青果物のへた向き揃え装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、柿やトマトのように偏平形状で転がり易いへた付き青果物のへたの向きを揃えるへた付き青果物のへた向き揃え装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、青果物を選別して箱詰め包装出荷する選別包装施設では、青果物を箱詰めする際には、まず、選別コンベアにおいて、搬送される青果物を、等級（色や傷等外観上のグレードで区分）別，階級（大きさ，重さで区分）別に区分けして各区分けに対応するコンベア（引出コンベア）により所定位置の箱詰装置までそれぞれ搬送するようにしている。この場合、箱詰め作業が吸着盤を用いた箱詰装置で自動的に行われるため、吸着盤に吸着される青果物の上側は滑らかな面になっていることが好ましい。また、外観上の見栄えをよくするためにも、青果物のへたをすべて下側に揃える等して青果物を一定の向きに整列させることが好ましい。
【０００３】
このため、へた付き青果物、特に、柿やトマトのように、へた側がやや偏平状で、へたと反対側の部分は丸みのある形状のものの場合、箱詰めの前に、へた側を下側に向けておく必要がある。このような目的で、搬送中の青果物のへたを下側に揃える装置として、種々のものが開発されており、その中に、実開昭６１−１２５９０３号公報に開示されている装置がある。
【０００４】
すなわち、この装置では、コンベアの上に、全体形状が円柱状になった回転ブラシや、ゴム等からなる弾性幕が搬送方向に直交するように配設されている。そして、搬送される青果物のへたが上側になっている場合、そのへた側に回転ブラシや弾性幕を引っかけたり、接触摩擦によって転動力を生じさせたりして青果物を反転させるというものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の装置では、青果物の形状によって、その青果物に加えられる転動力にむらが生じ、青果物が必要以上に加速されて一回転し元の状態に戻ったり、反転させる必要の無いものまで反転してしまったりすることがあるという問題が生じていた。
【０００６】
このため、上記のような問題点を解決する装置として、本願の出願人は、実公平６−３３１号公報に開示されている装置をすでに開発している。この装置は、コンベアの上方に設けられた支持部材から、カーテン部材を垂下させるとともに、所定長さだけコンベアの搬送面を覆うようにして網を垂下させている。
【０００７】
このため、搬送される青果物は、まず、カーテン部材の下端部との接触によって、へたが下側を向くように反転される。もし、へたが下側を向いた姿勢にならずに上側を向いたままカーテン部材の下を通過した青果物は、網の下側を通過する際に、網にへたを引っかけて反転するようになるというものである。
【０００８】
しかしながら、この装置においても、反転する途中にへたと網の係合が外れてしまったり、へたが青果物に密着したりつぶれていたりすると網に引っかからなかったりすることが生じ必ずしも満足のいくものではなかった。このように、へたが上向きになったまま搬送される青果物は、人手による補正作業によって適正な状態にされるが、この作業が煩雑なものである。
【０００９】
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、へたが上向きの青果物だけを確実に反転させることのできるへた付き青果物のへた向き揃え装置の提供をその目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の発明者は、へたが上向きになった青果物を確実に反転させるためには、すべての青果物に転動力が加わるようにしたり、へたに青果物を反転させるための部材等を係合させたりするのではなく、へたが上向きになった青果物だけに、しかもその青果物全体に一定の転動力を与えることがより効果的であることに着目した。そして、鋭意工夫を重ねた結果、この発明を完成した。
【００１１】
すなわち、この発明では、第１のコンベアに青果物のへたの位置を判別する姿勢判別装置を設けて、搬送される青果物のへたが上向きか下向きかを判別できるようにしている。そして、第１のコンベアの終端部側に、第２のコンベアを設けその始端部側を昇降可能にしている。
【００１２】
したがって、姿勢判別装置によってへたが上側に位置すると判別された青果物を第１のコンベアから第２のコンベアに移送する場合には、第２のコンベアの始端部側を第１のコンベアの搬送面よりも低い位置に降下させ、その両コンベアの段差を利用して青果物を反転させることができる。また、へたが下側に位置すると判別された青果物の場合には、第２のコンベアの高さを第１のコンベアの搬送面と略等しい高さに維持することにより、その青果物をそのままの姿勢に保って移送することができる。
【００１３】
また、第２のコンベアの始端部上方に、その始端部と連動して昇降する回転ロールを設けることもできる。これによって、へたが上側に位置すると判別された青果物を第２のコンベアが受け取る際、第２のコンベアの始端部側とともにその回転ロールも降下し、この回転ロールの周面が移送される青果物の上側に摺接した状態で回転するようになる。
【００１４】
その結果、第１のコンベアと第２のコンベアの段差によって反転しようとする青果物の転動をこの回転ロールがガイドした状態で補助するようになり、青果物の反転がより確実なものになる。さらに、回転ロールの回転周速度を第２のコンベアの搬送速度よりも速くすることにより、上記青果物に加わる転動力が増し、より効果的な転動力が生じるようになる。また、この場合、第２のコンベアの搬送速度を第１のコンベアの搬送速度よりも遅くしておくことが好ましい。これによって、搬送される青果物にブレーキをかけその反転に勢いが増すようにすることができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
つぎに、図を用いて、この発明を詳細に説明する。
図１および図２は、この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置を備えた選別・箱詰装置を示している。すなわち、図において、１は、傾動バケット式の選別コンベアであり、その上面には、柿２を１個づつ載置できるバケット３を多数備えている。
【００１６】
そして、この選別コンベア１は、判別装置（図示せず）によって等級及び階級が判別された柿２を、等級別，階級別に仕分けるため、選別コンベア１の搬送路に沿って等級別，階級別に排出装置（図示せず）を備えるとともに、各排出装置（図示せず）に対応させて複数個の引出コンベア４（１個しか図示していない）の始端部側がそれぞれ配置されている。そして、判別装置（図示せず）によってその等級及び階級が判別されて選別コンベア１上で搬送される柿２は、対応する等級別，階級別の引出コンベア４上を通過する際に、図示しない排出装置の作動により、バケット３が傾動してその引出コンベア４の上面に落下される。
【００１７】
５は引出コンベア４の終端部側に配設された第１のコンベアであり、その上面には、引出コンベア４の両側における始端部上面から延設された２個の落下防止用の側板６と、引出コンベア４の略中央部から延設され上記２個の側板６の間に同間隔で設けられた４個の棒状の仕切部材６ａとが設けられている。そして、この側板６，仕切部材６ａで仕切られた部分にはそれぞれ柿２が並列して搬送されるようになっている。
【００１８】
７は第１のコンベア５の上方に搬送方向に直交して並設された５個のカラーセンサーである。このカラーセンサー７は第１のコンベア５上を５列に並んで搬送される柿２の向きをそれぞれ柿２の上面の色によって判別するようになっており、緑色の部分を検知すればその柿２はへた２ａを上に向けた姿勢で、柿色を検知すればその柿２はへた２ａを下に向けた姿勢であると判別する。
【００１９】
８は第１のコンベア５の終端部側に配設された第２のコンベアであり、図３および図４に示すように、エアシリンダー８ｃの作動によって、その始端部８ａ側を上下に移動させることができるようになっている。そして、この第２のコンベア８の始端部８ａ側における両側部には２個のステー８１が平行して立設され、その上端側に穿設された孔（図では隠れて見えない）に、スポンジ製の回転ロール９の回転軸９ａが回動自在に係合している。
【００２０】
この回転ロール９は、その周面の下端部と第２のコンベア８の搬送面との間隔がエアシリンダー８ｃの作動に拘らず一定になるように保持され、その間隔は柿２を横に向けた状態（へた２ａを前方または後方に向けた状態）の高さよりもやや狭くなるように設定されている。
【００２１】
また、上記回転ロール９は、その回転軸９ａと第２のコンベア８の回転軸８ｂの間に連動ベルト９ｂをクロスさせた状態で架け渡し、第２のコンベア８の走行とともに回転するようになっている。なお、この回転ロール９は、第２のコンベア８と逆方向の時計方向に回転するようになっている。
【００２２】
また、上記回転ロール９は、回転軸９ａの直径を変えることにより、その周速度を変更できるようになっており、この場合、回転ロール９の周速度が第２のコンベア８の搬送速度よりもやや速くなるように設定されている。また、第２のコンベア８の搬送速度は第１のコンベア５の搬送速度よりも遅くなるように設定されている。
【００２３】
この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置は、上記第１のコンベア５，カラーセンサー７，第２のコンベア８，回転ロール９を主とした構成からなっており、引出コンベア４から第１のコンベア５に移送されてくる柿２のへた２ａがカラーセンサー７によって上側にあると判別されると、その判別信号を受けて第２のコンベア８の始端部８ａが降下するようになっている。
【００２４】
その結果、柿２は第１のコンベア５から第２のコンベア８に移動する際、両コンベア５，８の段差によって、図３のａで示すように反時計方向に回転しようとする。そして、この回転によって、柿２は横向きになり高さが高くなるため、その上端側が、第２のコンベア８に連動して降下する回転ロール９の下端部に当接する。
【００２５】
この際、上記回転ロール９の周速度は、第２のコンベア８の搬送速度よりも速く設定されているため、柿２の反時計方向へ回転しようとする勢いが増加し、図３のｂの状態になる。このため、柿２は確実に反転して、へた２ａを下側に向けたｃの状態になり、その状態で第２のコンベア８上を搬送される。
【００２６】
一方、第１のコンベア５上を搬送される際、カラーセンサー７によって、へた２ａが下側にあると判別された柿２が、第１のコンベア５から第２のコンベア８に移動するときには、第２のコンベア８は降下せず、第１のコンベア５の搬送面と第２のコンベア８の搬送面は、図４および図５に示すような面一の状態に保たれる。
【００２７】
したがって、その柿２はへた２ａを下に向けたままの状態で、第２のコンベア８に移送される。この場合、回転ロール９は上方に位置しており、へた２ａを下に向けた高さの低い状態の柿２には接触しない。仮に、柿２が大きくて回転ロール９に接触したとしても、回転ロール９はスポンジ製であるため、柿２との接触部分が撓み、微かな転動力を柿２に加えるだけであるため、柿２は反転することなく、そのままの状態で第２のコンベア８の下流側に搬送されていく。
【００２８】
図１および図２において、１０は中継コンベアであり、第２のコンベア８から搬送されてくる柿２を、下流側に設けられた整列貯溜装置１１に送り出すようになっている。上記整列貯溜装置１１は、貯溜面が複数の小径ローラを回転自在に連結してなるローラコンベア１２で構成され、その上面には、引出コンベア４の上面から延設された側板６，仕切部材６ａがローラコンベア１２の終端部まで延びている。
【００２９】
そして、側板６，仕切部材６ａの終端部には、柿２の搬送路を塞ぐようにして、板状のストッパー１３が設けられている。したがって、中継コンベア１０を介して移送されてくる柿２は、ストッパー１３から上流側に向かって順次整列状態で停止し貯溜されるようになる。また、整列貯溜装置１１の終端部側には、昇降可能なリフタ１４が配設されその上面に梱包用の段ボール箱１５が載置されるようになっている。
【００３０】
そして、この段ボール箱１５と整列貯溜装置１１の上方に、箱詰装置１６が設けられている。この箱詰装置１６は、ガイド車輪１７を介してフレーム架台１８に支受された吸着部１９が、縦向きに配設されたシリンダー２０の作動によって上下に移動するとともに、横向きに配設されたシリンダー２１の作動によって、整列貯溜装置１１と段ボール箱１５との間を移動できるようになっている。
【００３１】
また、上記箱詰装置１６は、整列貯溜装置１１に貯溜された柿２を検出するセンサー（図示せず）を備えており、このセンサーが整列貯溜装置１１に所定個数の柿２が溜まっていることを検出すると、箱詰装置１６の吸着部１９は、整列貯溜装置１１側に移動するとともに降下してその柿２に吸着する。そして、柿２を吸着した状態で上昇するとともに段ボール箱１５側に移動したのち、降下して上記吸着を解除し、段ボール箱１５内に柿２を収容する。
【００３２】
上記の操作を繰り返して、段ボール箱１５内に柿２が所定量になると、リフタ１４が降下して、整列貯溜装置１１の下方に延設された箱詰コンベア２２に、上記段ボール箱１５は移送される。そして、その段ボール箱１５は、さらに、その下流側に配設された製品搬送コンベア２３に移送されて出荷される。
【００３３】
このように、この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置を備えた選別・箱詰装置によると、選別コンベア１から箱詰装置１６に搬送される途中で確実に柿２のへた２ａを下に向けた状態にすることができる。したがって、へた２ａが上を向いた柿２を人手で反転させるといった手間が省けるようになる。
【００３４】
なお、上記の例においては、柿２の反転動作を補助するために、回転ロール９を設けているが、この回転ロール９は必ずしも必要なものではなく、第２のコンベア８の降下距離を、柿２が反転するために十分な段差が生じるようにすれば、特に回転ロール９は設けなくともよい。
【００３５】
その場合、第２のコンベア８の搬送速度を第１のコンベア５の搬送速度よりも遅くして、搬送される柿２にブレーキをかけその反転に勢いが増すようにすることもできるが、この際、各柿２の間隔を広めにしておき、反転した柿２がその前で搬送されている柿２に接触しないようにすることが好ましい。
【００３６】
また、回転ロール９を設ける場合、その材質はスポンジに限らず、どのようなものでも使用できるが、ブラシローラ等、押圧力によって撓むような可撓性を有するものがより好ましい。さらに、青果物としても、柿２だけでなくトマトやその他、偏平形状を有するものであれば何でも使用できることは言うまでもない。
【００３７】
また、上記の例では、この発明にかかるへた向き揃え装置を、選別装置の下流側（箱詰装置の前段）に配設しているが、このへた向き揃え装置は選別装置の上流側に配設することもできる。この場合、へた２ａの向きを揃えた同じ状態で、等級や階級を仕分けするようになるため、より適正な仕分けが行えるようになる。
【００３８】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るへた付き青果物のへた向き揃え装置は、第１のコンベアに青果物のへたの位置を判別する姿勢判別装置を設けて、搬送される青果物のへたが上向きか下向きかを判別できるようにしている。そして、その姿勢判別装置の信号に応じて、第１のコンベアの終端部側に近接して設けられた第２のコンベアの始端部側を昇降させるようにしている。
【００３９】
したがって、へたが上側に位置する青果物が第１のコンベアから第２のコンベアに移送する場合だけ、第２のコンベアの始端部側を降下させて第１のコンベアとの間に生じる段差を利用して青果物を反転させることができる。その結果、従来例のように、へたが下向きになった青果物まで反転させてしまうといったことは生じなくなり、効果的なへた向き揃えが行えるようになる。
【００４０】
また、第２のコンベアの始端部上方に回転ロールを設け、この回転ロールの周面を第１のコンベアから第２のコンベアに移送される青果物の上側に摺接させた状態で回転させることにより、両コンベアの段差によって反転しようとする青果物の転動をより確実なものにすることができる。
【００４１】
さらに、回転ロールの回転周速度を第２のコンベアの搬送速度よりも速くすることにより、青果物に加わる転動力が増し、より効果的な反転ができるようになる。また、この場合、第２のコンベアの搬送速度を第１のコンベアの搬送速度よりも遅くしておくことによって、搬送される青果物にブレーキをかけその反転に勢いが増すようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置を備えた選別・箱詰装置を示す正面図である。
【図２】図１に示した選別・箱詰装置の平面図である。
【図３】この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置における第２のコンベアが降下した状態を示す正面図である。
【図４】この発明にかかるへた付き青果物のへた向き揃え装置における第２のコンベアが上方に位置する状態を示す正面図である。
【図５】図４に示した状態のへた付き青果物のへた向き揃え装置の平面図である。
【符号の説明】
２ 柿
２ａ へた
５ 第１のコンベア
７ カラーセンサー
８ 第２のコンベア
８ａ 始端部
９ 回転ロール

Claims (5)

1. へた付き青果物を搬送する第１のコンベアと、この第１のコンベアで搬送される青果物のへたの位置を判別する姿勢判別装置と、上記第１のコンベアの終端部にその始端部を近接させかつその始端部側を昇降可能に設けられた第２のコンベアとを備え、上記第２のコンベアが第１のコンベアから青果物を受け取る際、上記姿勢判別装置によってへたが上側に位置すると判別された青果物の場合は、第２のコンベアの始端部が上記第１のコンベアの搬送面よりも低い位置に降下してその青果物を反転させ、へたが下側に位置すると判別された青果物の場合には、上記始端部は第１のコンベアの搬送面と略等しい高さに維持されてその青果物をそのままの姿勢で受け取るようにしたことを特徴とするへた付き青果物のへた向き揃え装置。
2. 第２のコンベアの始端部上方に、その始端部と連動して昇降可能な回転ロールを設け、へたが上側に位置すると判別された青果物を第２のコンベアが受け取る際、上記始端部とともにその回転ロールも降下し、この回転ロールが移送される青果物の上側に摺接した状態で回転してその青果物を反転させるようにした請求項１に記載のへた付き青果物のへた向き揃え装置。
3. 回転ロールの回転周速度を第２のコンベアの搬送速度よりも速くした請求項２に記載のへた付き青果物のへた向き揃え装置。
4. 第２のコンベアの搬送速度を第１のコンベアの搬送速度よりも遅くした請求項３に記載のへた付き青果物のへた向き揃え装置。
5. 回転ロールが、可撓性を有する材料で構成されている請求項２，３または４に記載のへた付き青果物のへた向き揃え装置。

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