JP3547039B2 - 運送車両誘導システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動中の車両を目的地まで誘導する車載型車両誘導装置、及び車両に目的地等の情報を与える通信サーバシステムを用いて、運送作業で移動中の車両をスムーズ且つ迅速に目的地まで誘導できる運送車両誘導システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
荷物の集荷、配送を行う運送業で用いられる運送用の車両には、近年、担当地域の地理に精通していなくても正確且つ短時間で集配が行えるよう、車両の運転者に位置情報及び目的地までの経路情報を走行中提示して目的地へ正確且つ短時間に誘導するナビゲーションシステムが搭載されるようになっている。
【0003】
このナビゲーションシステムは、車両の現在位置を測定する測位手段として主にGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を用いて、このシステムを搭載した車両の現在位置情報を取得し、この位置情報を車両内の地図データベースとしての記憶装置に格納された地図情報と照合し、現在位置周辺所定範囲の地図を表示画面上に表示すると共に、この地図上に車両の現在位置を表示するものである。必要に応じて目的地の位置情報(緯度、経度など)を操作用の端末から入力すると、この目的地の位置情報が前記地図データベースと照合され、目的地までの経路情報が地図上に表示される仕組みである。あらかじめ運転者が目的地の位置情報を手又は音声入力すると、走行中にナビゲーションシステムにより現在位置把握が行われつつ、目的地までの経路を記した地図が表示画面に表示されて車両を目的地へ誘導できるようになっている。
【0004】
また、運送業においては、前記ナビゲーションシステムに加えて、複数の運送用車両と無線通信回線を介して結ばれた配車基地で、各車両に多数の集配地点や集配荷物品目等をそれぞれ適切に割当てる作業配分(配車)を行い、これに基づく各車両毎の発着・中継地点や運送内容等の指示情報を前記配車基地から無線通信回線を経由して複数の車両各々に音声又はファクシミリ情報として送信し、各車両の運転者に伝達して各車両が効率よく運送作業を行えるようにする配車システムも従来から導入されていた。この配車システムでは、配車基地は各車両の運転者からの現在位置等の情報を無線通信回線を経由して音声又はファクシミリ情報として受信して、複数の車両の概略位置や作業状況を把握することもできた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のナビゲーションシステム及び配車システムは以上のように構成されていたことから、ナビゲーションシステムを搭載した各車両へ配車システムによって発着・中継地点の情報を送っても、そのつど車両側で運転者によるナビゲーションシステムの端末操作が必要であり、運転者の作業量が増えて負担が大きいと共に、新規に集配業務に就く運転者に対しては端末の操作方法等の教育・指導が必須であり、これら教育等に所定のコストがかかるという課題を有していた。
【0006】
また、ナビゲーションシステムの操作時には、運転者は車両を停止させてから目的地点の位置情報入力を行う必要があり、停車により道路の渋滞及び事故を招くことがあるという課題を有していた。
【0007】
さらに、配車システムで配車基地局から各車両へ指示情報を発信しても、確実に車両に配車の指示が達したかは運転者の応答を待たなければならず、仮に運転者が車を離れている場合には配車の指示が確実に伝わらないおそれがあるという課題を有した。
【0008】
加えて、ナビゲーションシステムと配車システムとが互いにリンクしておらず、ナビゲーションシステムで得られる正確な現在位置情報が配車システムを通じて配車基地に直接送られることもないため、配車基地においては運転者との無線交信や予定到着時間等により走行中の車両位置を特定することとなり、車両の現在位置把握は困難で且つ手間がかかり、顧客からの突発的な集配要求等があっても走行中の車両に対応させることができず、よりコスト高な外部業者へ依頼せざるを得なくなって運送業務の効率化が図れないという課題を有していた。
【0009】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、目的地までの経路を運転者に示して移動中の車両を目的地まで誘導する車載型車両誘導装置、及び配車の情報に基づいて車両に目的地等の情報を送信する通信サーバシステム、並びに、これらを用いて、各車両から通信サーバシステムへ正確な現在位置情報を送信させて通信サーバシステムで適切な配車が行えると共に、各車両のナビゲーションシステムに通信サーバシステムから目的地等に関する情報を自動的に送り込み、各車両における運転者による情報入力操作を不要にして運送作業を効率化する運送車両誘導システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運送車両誘導システムは、現在位置を取得する測位手段、地図情報が格納された地図データベース、及び文字や画像情報を表示可能で且つ運転者から視認可能な表示画面をそれぞれ有し、前記測位手段から取得した現在位置情報と前記地図データベースの地図情報とを照合して車両の現在位置を周辺の地図と共に前記表示画面に表示するナビゲーションシステムと、当該ナビゲーションシステムの測位手段で得た車両の現在位置情報を少なくとも含む車両側取得情報を無線通信回線を通じて外部に送信すると共に、外部から送信される情報を無線通信回線を通じて受信する車両通信手段とを有し、複数の運送用の車両に配設される車載型車両誘導装置と、前記複数の車両の車両通信手段にあらかじめ運送の目的地及び中継地点の位置情報を初期値として無線通信回線を通じて送信すると共に、前記車両の現在位置情報を前記車両通信手段から無線通信回線を通じて随時受信して車両の運行状況を把握しつつ、所定の車両の目的地及び/又は中継地点を変更又は追加する必要が生じた場合には、新たな目的地及び/又は中継地点の位置情報を無線通信回線を通じて前記所定の車両の車両通信手段に送信する通信サーバシステムとを備えてなり、前記各車両のナビゲーションシステムが、前記車両通信手段の受信した前記通信サーバシステムからの目的地及び中継地点の位置情報と前記地図データベースの地図情報とを照合し、車両の現在位置から目的地までの経路情報を前記表示画面に表示し、前記通信サーバシステムが、前記複数の車両による目的地及び中継地点の初期値に基づく運送作業の間に、突発的に一又は複数の所定地点への集配要求を受けた場合に、複数の車両の現在位置から前記一又は複数の所定地点を通る経路の探索を行い、複数の車両のうち最短時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに全集配要求地点に行ける経路を実現可能となる所定の車両に対し、前記一又は複数の所定地点を前記所定の車両の新たな目的地及び/又は中継地点として追加して位置情報を送信するものである。
【0014】
このように本発明においては、車両現在位置を取得して周辺の地図と共に示すナビゲーションシステム、及びナビゲーションシステムから得た現在位置情報を外部に送信し且つ外部から情報を受信する車両通信手段がそれぞれ運送用の車両に配設されると共に、前記車両に配車の情報を送信する配車基地としての通信サーバシステムが設けられ、前記通信サーバシステムが随時車両から現在位置情報を入手しつつ目的地及び中継地点といった配車の情報を各車両に送信し、ナビゲーションシステムが情報を基に自動的に目的地までの経路情報を表示することにより、通信サーバシステムからの情報受信時に運転者によるナビゲーションシステムへの情報入力操作が不要となり、運転者の作業負担を大幅に軽減し、且つ運転者が車両を停止させる必要もなくなって停車が原因の道路渋滞や事故をなくせると共に、運転者を介さないナビゲーションシステムへの情報伝達で運転者が車を離れていても配車の指示を確実に車両側に伝えられる。また、新規に集配業務に就く運転者に対して端末の操作方法等の教育・指導を行わなくて済み、これら教育等のコストを削減できる。さらに、通信サーバシステムに突発的な集配要求が入った場合に、通信サーバシステムで複数の車両の現在位置から集配要求地点を通る経路の探索を行い、最適経路を実現可能な車両を導き、この車両に追加して位置情報を送信することにより、正確な現在位置情報を基に通信サーバシステムで正確に走行中の車両位置を特定して、顧客からの突発的な要求等があってもそのつど最も短い時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに要求地点をまわれる車両を正しく選んで作業を行わせることが可能となり、運送業務におけるあらゆる作業要求に柔軟且つ確実に対応でき、受注を増やせると共に、車両の実車率(全体行程における積荷積載状態で走った割合)及び積載率を向上させられ、運送業務全体の効率化が図れる。
【0017】
また、本発明に係る運送車両誘導システムは必要に応じて、前記通信サーバシステムが、前記複数の車両の現在位置から前記一又は複数の所定地点を通る経路の探索を行うと共に、前記集配要求に係る一又は複数の制約条件について複数の車両の適否を判断し、複数の車両のうち前記集配要求の各条件に適合し且つ最適経路を実現可能となる所定の車両に対し、前記一又は複数の所定地点を新たな目的地及び/又は中継地点として追加して位置情報を送信するものである。
【0018】
このように本発明においては、通信サーバシステムへの突発的な集配要求に対し、通信サーバシステムで複数の車両の現在位置から集配要求地点を通る経路の探索を行うと共に、集配要求に係る制約条件について各車両が適するか否かを判断し、集配要求の各条件に合った上で最適経路を実現できる車両を導き、この車両に追加して位置情報を送信することにより、正確な現在位置情報を基に通信サーバシステムで正確に走行中の車両位置を特定して、顧客からの突発的な要求等があってもそのつど最も要求に適して効率よく対応できる車両を正しく選んで作業を行わせることが可能となり、運送業務におけるあらゆる作業要求に柔軟且つ確実に対応でき、受注を増やせると共に、車両の実車率及び積載率を向上させられ、運送業務全体の効率化が図れる。
【0019】
また、本発明に係る運送車両誘導システムは必要に応じて、前記無線通信回線が携帯電話網であると共に、前記通信サーバシステムが必要に応じて車両通信手段を呼出して回線接続を確立し、車両側取得情報の受信並びに情報送信を行えるものである。このように本発明においては、携帯電話網を無線通信回線として利用し、通信サーバシステム側から必要な時に車両通信手段側との通信回線を開いて情報の送受信が行えることにより、通信サーバシステムで情報が必要となった場合に車両側の運転者の応答を待たずに情報の送受信が行え、通信回線が常時接続状態でなくても必要な情報が必要な時に得られ、通信コストを低減できる。
【0020】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。この図1は本実施形態に係る運送車両誘導システムのブロック図、図2は本実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける配車情報表示イメージ図、図3は本実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける車両状況表示イメージ図、図4は本実施形態に係る運送車両誘導システムの車両誘導処理フローチャート、図5は本実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける車両絞り込み条件表示イメージ図、図6は本実施形態に係る運送車両誘導システムの表示画面への文字情報及び地図情報表示状態説明図である。
【0021】
前記各図において本実施の形態に係る運送車両誘導システムは、現在位置を取得する測位手段10a、地図情報が格納された地図データベース10b、及び文字・画像情報を表示可能で且つ運転者から視認可能な表示画面10cをそれぞれ有して複数の運送用の車両50にそれぞれ配設されてなり、前記測位手段10aから取得した現在位置情報と前記地図データベース10bの地図情報とを照合して車両50の現在位置を周辺の地図と共に前記表示画面10cに表示するナビゲーションシステム10と、前記複数の車両50にそれぞれ配設され、車両側取得情報を無線通信回線としての携帯電話網を通じて外部に送信すると共に、外部から送信される情報を携帯電話網を通じて受信する車両通信手段としての携帯電話20と、あらかじめ前記複数の車両50の携帯電話20に運送の目的地及び中継地点の位置情報を初期値として携帯電話網を通じて各々送信すると共に、各車両50の現在位置情報を前記携帯電話20から携帯電話網を通じて随時受信して各車両50の運行状況を把握しつつ、所定の車両50の目的地及び/又は中継地点を変更又は追加する必要が生じた場合には、新たな目的地及び/又は中継地点の位置情報を携帯電話網を通じて前記所定の車両50の携帯電話20に送信する通信サーバシステム30とを備える構成である。
【0022】
前記ナビゲーションシステム10は、前記従来の場合と同様、車両50の現在位置を測定する測位手段10aとしてGPSを用いて車両50の現在位置情報を取得し、この現在位置情報を地図データベース10bの地図情報と照合し、表示画面10c上に車両50の現在位置及び現在位置周辺所定範囲の地図を表示することに加えて、新たな機能として、通信サーバシステム30から送信された目的地や中継地点の位置情報(緯度、経度など)を含む様々な配車指示データを自動的に取込み、目的地や中継地点の位置情報を地図情報と照合し、目的地までの経路を表示画面10cの地図上に表示して車両の誘導を行うものである。このナビゲーションシステム10から運転者への情報伝達機能は、目的地や中継地点の住所、電話番号、経路距離等といった情報をまず文字情報として表示画面10cに表示したり、車両に備えるプリンタ(図示を省略)で紙に印刷したりする文字情報表示機能と、文字情報の後に運転者の操作無しで自動的に現在位置から目的地までの経路を表示画面10cの地図上に表示していくルート表示機能の二つからなっている。なお、ナビゲーションシステム10に対しては、従来同様に運転者が目的地や中継地点の位置情報を手又は音声で入力することもできる。
【0023】
前記通信サーバシステム30は、携帯電話網を介して車両50のナビゲーションシステム10とデータ通信できるコンピュータであり、あらかじめ管理者による入力操作により、管理対象である複数の車両50についてそれぞれ運送作業を効率的に進める配車のための情報を登録されると共に、各車両50に対し様々なデータの送受信を行って配車の指令を各車両50に与えるものである。通信サーバシステム30には、前記配車の情報を格納する配車情報ファイル30a及び各車両50の作業状況を格納する作業情報ファイル30bが備えられている。この通信サーバシステム30では、車両把握機能として、通信サーバシステム30側から携帯電話網を通じて各車両50の携帯電話20を呼出して自動的に回線接続を確立し、携帯電話20により車両側取得情報、すなわち、ナビゲーションシステム10から得た現在位置情報(緯度、経度)、及び運転者から得た車両状況情報(実車、空車、積載率などの荷室状態)等を送信させ、この送信された各情報を受信して各車両毎に整理して前記作業情報ファイル30bに格納し、各車両の位置及び状態を把握できる仕組みを有する。また、配車指示データ送信機能として、各車両50から得た諸情報を基に絞り込んだ所定の車両50に無線通信回線を通じて配車指示データ、すなわち、目的地及び中継地点の位置情報(緯度、経度)並びに諸情報(住所、電話番号)、目的地までの経路情報、経路付加情報(高速道路利用の場合の所要時間変化等の条件、経路の混雑状態)、音声情報等を送信する仕組みも備える。また、通信サーバシステム30は、前記各情報を必要に応じてコンピュータの表示手段(図示を省略)の画面上に表示でき、管理者による情報確認を可能にしている。
【0024】
前記通信サーバシステム30側と車両50側との携帯電話網を介した回線接続には、携帯電話20と共に、通信サーバシステム30と携帯電話20の間、及びナビゲーションシステム10と携帯電話20の間で各種データと電話回線用アナログ信号との相互変換を行う所定のデータ交換用インターフェース40が用いられる。運転者と通信サーバシステム30の管理者との従来同様の会話による交信においては、携帯電話20がそのまま利用される。通信サーバシステム30側から必要な時に車両50側との回線接続を確立して情報の送受信が行えることから、通信サーバシステム30で情報が必要となった場合に運転者の応答を待たずに情報の送受信が行え、低コストで必要な情報が必要な時に得られる仕組みとなっている。
【0025】
次に、前記構成に基づく運送車両誘導システムによる車両の誘導処理について説明する。
前提として、当日分の集配計画に基づいてあらかじめ設定された配車情報が各車両50のナビゲーションシステム10に既に登録され、目的地及び中継地点の位置情報の初期値に基づく経路誘導が行える状態となっており、このナビゲーションシステム10の誘導に従って各車両50は運送作業を行っている。そして、通信サーバシステム30においては、作業前の段階で、各車両の種類、積載可能重量、及び各種車載装置の有無等といった車両固有の情報と共に、各車両50の前記配車情報が配車情報ファイル30aにあらかじめ登録されている(図2参照)。各車両50による運送作業開始後は、通信サーバシステム30が所定時間毎に各車両50の携帯電話20を呼出して自動的に回線を接続し、各車両50の携帯電話20にアクセスしてナビゲーションシステム10からの現在位置情報をはじめとする車両側取得情報を送信させ、送信された情報を受信して取得し、そのつど、各車両50の作業状況として作業情報ファイル30bに記録していく(図3参照)。
【0026】
各車両50の移動中、ナビゲーションシステム10における車両現在位置の把握に基づいて、あらかじめ位置情報を登録した目的地や中継地点への到着、あるいは出発の際には、携帯電話20が通信サーバシステム30と回線接続してこれら到着又は出発の状況を発信し、これを受信した通信サーバシステム30で時刻を取得し、こうした車両毎の到着又は出発時刻を積荷の有無や積荷の種類等の情報と共に車両の作業履歴として記録していく。なお、この他に車両50側のナビゲーションシステム10に時刻確認手段を配設し、所定の目的地や中継地点に到着あるいは出発した時刻を取得し、ナビゲーションシステム10から到着あるいは出発時刻情報として通信サーバシステム30に発信してもよい。
【0027】
このような配車情報の初期値に基づく各車両50の作業中に、様々な事情でいずれかの車両50の目的地及び/又は中継地点に変更・追加が要求される場合には、通信サーバシステム30においてその車両50の現在位置から新たな目的地までの最適経路探索を行って、新たな目的地及び最適な経路をなす中継地点の位置情報を車両50に送信すると共に配車情報ファイル30aに登録されている配車情報の初期値を更新する。
【0028】
特に、初期の配車情報に基づく各車両の作業中に、顧客からのスポット集配要求が通信サーバシステム30に入った場合について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、通信サーバシステム30が、顧客からの受注情報、すなわち、集荷又は配送先の位置情報や、荷物の種類や量といった荷物情報、積載にあたっての制約条件等の情報を配車指示のための情報として取得し(ステップ101)、これを各車両のあらかじめ登録されている前記固有情報及び初期配車情報から判別できるこの時点での車両の積載状況等の情報と照合し、集配に係る条件に合致する車両の絞り込み(図5参照)を行う(ステップ102)。
【0029】
さらに、通信サーバシステム30は、絞り込んだ車両50について、各車両50の目的地及び中継地点の位置情報の初期値を参照すると共に、前記同様に各車両50のナビゲーションシステム10から現在位置情報を取得して(ステップ103)、集配要求で新たに与えられた目的地又は中継地点に近いか、もしくは近付こうとしている車両50を全て割出し(ステップ104)、これら各車両の現在位置から前記初期情報に基づく残りの中継地点並びに新たに加わった中継地点を通って最終的な目的地に至る経路をそれぞれ探索するシミュレーションを実行して、それぞれの車両における最短誘導経路を導く(ステップ105)。経路を導いた各車両50の中から最短時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに全集配要求地点に行ける経路を実現可能な車両を選び出し、集配要求に対応して作業を行う車両とする(ステップ106)。
【0030】
この後、車両の初期の目的地及び中継地点で決められた経路に新たな目的地及び中継地点を加えて調整した新たな経路情報を含む配車指示データを通信サーバシステム30の配車情報ファイル30aにおける配車情報の初期値と置換え(ステップ107)、同時に、通信サーバシステム30は車両50の携帯電話20を呼出して自動的に回線接続を確立し、この配車指示データを送信する(ステップ108)。
【0031】
車両50側では、携帯電話20を通じてナビゲーションシステム10が新たな配車指示データを受信して取得する(ステップ109)。ナビゲーションシステム10は、配車指示データを自動的に取込み、まず目的地や中継地点の住所、電話番号、経路距離等といった情報をまず文字情報(図6(A)参照)として表示画面10cに表示し(ステップ110)、その後、測位手段10aを用いて取得した車両50の現在位置情報を地図データベース10bの地図情報と照合し、表示画面10c上に車両50の現在位置及び現在位置周辺所定範囲の地図を表示すると共に、配車指示データにおける目的地や中継地点の位置情報を地図情報と照合し、目的地までの経路を表示画面10cの地図上に重ねて表示する(ステップ111)。
【0032】
運転者は表示画面10c上に表示された誘導経路(図6(B)参照)に従って新たな目的地までの運行操作を行う。運転者は目的地指定等でナビゲーションシステム10に対する操作を行わずに済む。
【0033】
このように、本実施の形態に係る運送車両誘導システムにおいては、複数の車両50に配車の情報を送信する配車基地としての通信サーバシステム30が随時車両50側から車両側取得情報を入手しつつ目的地及び中継地点といった配車の情報を各車両50に送信し、各車両50に搭載されたナビゲーションシステム10が情報を基に自動的に目的地までの経路情報を示すことから、通信サーバシステム30からの情報受信時に運転者によるナビゲーションシステム10への情報入力操作が不要となり、運転者の作業負担を大幅に軽減し、且つ運転者が車両50を停止させる必要もなくなって停車が原因の道路渋滞や事故をなくせると共に、運転者を介さないナビゲーションシステム10への情報伝達で運転者が車を離れていても配車の指示を確実に車両50側に伝えられる。また、新規に集配業務に就く運転者に対して端末の操作方法等の教育・指導を行わなくて済み、これら教育等のコストを削減できる。さらに、通信サーバシステム30への突発的な集配要求に対しても、通信サーバシステム30で複数の車両50の現在位置から集配要求地点を通る経路の探索を行うと共に、集配要求に係る制約条件について各車両50が適するか否かを判断し、集配要求の各条件に合った上で最適経路を実現できる車両50を導き、この車両50に追加して位置情報を送信することから、車両50に最も効率よく作業を行わせることができ、車両の実車率及び積載率を向上させられ、運送業務全体の効率化が図れる。
【0034】
なお、前記実施形態に係る運送車両誘導システムにおいては、ナビゲーションシステム10への位置情報入力は自動で行え、運転者の入力操作を必要としない構成としているが、これに限らず、運転者に、情報が車両50に達したことを通信サーバシステム30側に知らせるための所定の確認操作、例えば音声入力又は簡単な端末操作を行わせる構成とすることもでき、通信サーバシステム30で運転者が送信情報を確認しているか否かを把握して、未確認の場合には情報を確認するまで指示を続けるなどの対策を行うことができ、配車情報の周知徹底が図れる。
【0035】
また、前記実施形態に係る運送車両誘導システムにおいて、前記ナビゲーションシステム10の情報伝達機能としては、目的地や中継地点の住所、電話番号、経路距離等といった情報を文字情報として表示画面10cに表示したり、また、現在位置から目的地までの経路を表示画面10cの地図上に表示したりするようになっているが、この他、音声情報出力機能として、文字情報として表示する情報を同時に読上げ音声として出力したり、現在位置から目的地までの誘導を音声出力による言葉の呼びかけで行ったりすることもでき、運転者の理解度を一層高められると共に、表示画面10cを見る頻度を減らせることとなり、運転中の危険度を低減できる。さらに、ナビゲーションシステム10の表示画面10cの表示領域を分割し、文字情報や地図情報の表示と並行してこれらを表示していない部分で操作説明や現在の表示内容説明など他の情報を文字又は画像で表示する構成とすることもでき、他情報表示のために文字情報や地図情報の画面を切替えずに済み、表示画面10cを参照する運転者にとまどいを与えずに各情報を確実に伝達できる。
【0036】
また、前記実施形態に係る運送車両誘導システムにおいては、車両50側だけでなく、通信サーバシステム30側にも携帯電話20及びデータ交換用インターフェース40が配設される構成としているが、これに限らず、携帯電話網と相互接続されている加入電話網又はISDNに通信サーバシステム30を接続可能とするモデム等のデータ交換装置を配設し、無線通信回線の一部を加入電話網又はISDNに置換える構成とすることもでき、加入電話網又はISDNを経ることで車両50の携帯電話20との通信がより安定且つ低コストで行えることとなる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、車両現在位置を取得して周辺の地図と共に示すナビゲーションシステム、及びナビゲーションシステムから得た現在位置情報を外部に送信し且つ外部から情報を受信する車両通信手段がそれぞれ運送用の車両に配設されると共に、前記車両に配車の情報を送信する配車基地としての通信サーバシステムが設けられ、前記通信サーバシステムが随時車両から現在位置情報を入手しつつ目的地及び中継地点といった配車の情報を各車両に送信し、ナビゲーションシステムが情報を基に自動的に目的地までの経路情報を表示することにより、通信サーバシステムからの情報受信時に運転者によるナビゲーションシステムへの情報入力操作が不要となり、運転者の作業負担を大幅に軽減し、且つ運転者が車両を停止させる必要もなくなって停車が原因の道路渋滞や事故をなくせると共に、運転者を介さないナビゲーションシステムへの情報伝達で運転者が車を離れていても配車の指示を確実に車両側に伝えられるという効果を奏する。また、新規に集配業務に就く運転者に対して端末の操作方法等の教育・指導を行わなくて済み、これら教育等のコストを削減できるという効果を有する。さらに、通信サーバシステムに突発的な集配要求が入った場合に、通信サーバシステムで複数の車両の現在位置から集配要求地点を通る経路の探索を行い、最適経路を実現可能な車両を導き、この車両に追加して位置情報を送信することにより、正確な現在位置情報を基に通信サーバシステムで正確に走行中の車両位置を特定して、顧客からの突発的な要求等があってもそのつど最も短い時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに要求地点をまわれる車両を正しく選んで作業を行わせることが可能となり、運送業務におけるあらゆる作業要求に柔軟且つ確実に対応でき、受注を増やせると共に、車両の実車率及び積載率を向上させられ、運送業務全体の効率化が図れるという効果を有する。
【0041】
また、本発明によれば、通信サーバシステムへの突発的な集配要求に対し、通信サーバシステムで複数の車両の現在位置から集配要求地点を通る経路の探索を行うと共に、集配要求に係る制約条件について各車両が適するか否かを判断し、集配要求の各条件に合った上で最適経路を実現できる車両を導き、この車両に追加して位置情報を送信することにより、正確な現在位置情報を基に通信サーバシステムで正確に走行中の車両位置を特定して、顧客からの突発的な要求等があってもそのつど最も要求に適して効率よく対応できる車両を正しく選んで作業を行わせることが可能となり、運送業務におけるあらゆる作業要求に柔軟且つ確実に対応でき、受注を増やせると共に、車両の実車率及び積載率を向上させられ、運送業務全体の効率化が図れるという効果を有する。
【0042】
また、本発明によれば、携帯電話網を無線通信回線として利用し、通信サーバシステム側から必要な時に車両通信手段側との通信回線を開いて情報の送受信が行えることにより、通信サーバシステムで情報が必要となった場合に車両側の運転者の応答を待たずに情報の送受信が行え、通信回線が常時接続状態でなくても必要な情報が必要な時に得られ、通信コストを低減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける配車情報表示イメージ図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける車両状況表示イメージ図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムの車両誘導処理フローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムの通信サーバシステムにおける車両絞り込み条件表示イメージ図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る運送車両誘導システムの表示画面への文字情報及び地図情報表示状態説明図である。
【符号の説明】
10 ナビゲーションシステム
10a 測位手段
10b 地図データベース
10c 表示画面
20 携帯電話
30 通信サーバシステム
30a 配車情報ファイル
30b 作業情報ファイル
40 データ交換用インターフェース
50 車両

Claims (3)

  1. 現在位置を取得する測位手段、地図情報が格納された地図データベース、及び文字や画像情報を表示可能で且つ運転者から視認可能な表示画面をそれぞれ有し、前記測位手段から取得した現在位置情報と前記地図データベースの地図情報とを照合して車両の現在位置を周辺の地図と共に前記表示画面に表示するナビゲーションシステムと、当該ナビゲーションシステムの測位手段で得た車両の現在位置情報を少なくとも含む車両側取得情報を無線通信回線を通じて外部に送信すると共に、外部から送信される情報を無線通信回線を通じて受信する車両通信手段とを有し、複数の運送用の車両に配設される車載型車両誘導装置と、
    前記複数の車両の車両通信手段にあらかじめ運送の目的地及び中継地点の位置情報を初期値として無線通信回線を通じて送信すると共に、前記車両の現在位置情報を前記車両通信手段から無線通信回線を通じて随時受信して車両の運行状況を把握しつつ、所定の車両の目的地及び/又は中継地点を変更又は追加する必要が生じた場合には、新たな目的地及び/又は中継地点の位置情報を無線通信回線を通じて前記所定の車両の車両通信手段に送信する通信サーバシステムとを備えてなり、
    前記各車両のナビゲーションシステムが、前記車両通信手段の受信した前記通信サーバシステムからの目的地及び中継地点の位置情報と前記地図データベースの地図情報とを照合し、車両の現在位置から目的地までの経路情報を前記表示画面に表示し、
    前記通信サーバシステムが、前記複数の車両による目的地及び中継地点の初期値に基づく運送作業の間に、突発的に一又は複数の所定地点への集配要求を受けた場合に、複数の車両の現在位置から前記一又は複数の所定地点を通る経路の探索を行い、複数の車両のうち最短時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに全集配要求地点に行ける経路を実現可能となる所定の車両に対し、前記一又は複数の所定地点を前記所定の車両の新たな目的地及び/又は中継地点として追加して位置情報を送信することを特徴とする運送車両誘導システム
  2. 前記請求項1に記載の運送車両誘導システムにおいて、
    前記通信サーバシステムが、前記複数の車両の現在位置から前記一又は複数の所定地点を通る経路の探索を行うと共に、前記集配要求に係る一又は複数の制約条件について複数の車両の適否を判断し、複数の車両のうち前記集配要求の各条件に適合し最短時間で且つ初期値による経路から大きく外れずに全集配要求地点に行ける経路を実現可能となる所定の車両に対し、前記一又は複数の所定地点を新たな目的地及び/又は中継地点として追加して位置情報を送信することを特徴とする運送車両誘導システム
  3. 前記請求項1又は2に記載の運送車両誘導システムにおいて、
    前記無線通信回線が携帯電話網であると共に、前記通信サーバシステムが必要に応じて車両通信手段を呼出して回線接続を確立し、車両側取得情報の受信並びに情報送信を行えることを特徴とする運送車両誘導システム。
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