JP3546523B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は耐汚染性に優れた室温硬化性組成物およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
加水分解によりシロキサン結合を形成し、高分子量化あるいは架橋しうる加水分解性シリル基を有する有機重合体としては従来いくつかの例が知られている(たとえば、特開平3−47820、特開平3−72027、特開平3−79627、特公昭61−49332、特公昭46−30711、特公昭45−36319、特公昭46−17553等)。
【0003】
しかしこれらの有機重合体は、ポリマー硬化体、または組成物硬化体のモジュラスを低くすると、硬化が終了した後も表面のべとつき、すなわちタックが残り、たとえばシーリング材等のベースポリマーに用いた場合、ほこりの付着等の目地汚染をひきおこし建築物の外観を損なう原因となっていた。
【0004】
このタックを防止する目的で、たとえば特公平3−3710には、加水分解性シリル基を有する有機重合体にフッ素系界面活性剤を添加する技術が開示されている。しかしこの組成物は、硬化後もフッ素系界面活性剤が系全体に分散されて存在し、表面への移行が不充分であるため、表面のタックを低減するためには高価なフッ素系界面活性剤を多量に使用する必要があり、シーリング部周辺の汚染を引き起こしたり、耐水性や貯蔵安定性への悪影響が大きく、実用面での使用は大きく制限されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の欠点を解消しようとするものである。すなわち、充分な柔軟性、伸縮性を有しながら表面の耐汚染性に優れた硬化体を与える組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基を平均して分子内に少なくとも1個含有するシリル基含有ポリエーテル(A)、および、下記の式(5)、(6)または(7)で表されるポリフルオロアルキル基を有する重合性不飽和基含有モノマー(C)を重合して得られる含フッ素重合体(B)であって、重合性不飽和基含有モノマー(C)に基づく重合単位を少なくとも20モル%有する重合体、を含有することを特徴とする硬化性組成物である。
【化2】
ポリフルオロアルキル基:炭素数が4〜16であり、炭素−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性のイオウ原子が挿入されていてもよく、塩素原子を含んでいてもよいポリフルオロアルキル基。
【0007】
本発明におけるシリル基含有ポリエーテル(A)は、平均して1分子中に1個以上の水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基を有し、主鎖が実質的にポリエーテル鎖からなる重合体である。
【0008】
たとえば特公昭45−36319、特公昭46−17553、特公昭46−30711、特公昭61−18582、特開昭60−6747、特開平3−43449、特開平3−47825、特開平3−72527、特開平3−79627、等に提案されている重合体であり、主鎖骨格が本質的にポリエーテルからなるものが好ましい。
【0009】
本発明に用いるシリル基含有ポリエーテル(A)は、たとえば上記の文献などに記載されている。ポリエーテル鎖としては、アルキレンオキシド等の環状エーテルを開環重合して得られるものが好ましい。
【0010】
アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテルなどがある。またオキセタンやテトラヒドロフランなどの環状エーテルも使用できる。これら環状エーテルは単独で重合または2種以上を併用してランダム状あるいはブロック状に重合できる。
【0011】
シリル基含有ポリエーテル(A)は水酸基含有ポリエーテルから誘導されることが好ましい。好ましい水酸基含有ポリエーテルはポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオールおよびポリオキシアルキレンテトラオールがある。また、アリル基などのオレフィン基を有する開始剤を用いて製造したアリル末端ポリオキシアルキレンモノオールも使用できる。
【0012】
水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基としては、たとえば式(1)で表されるシリル基がよい。
【0013】
【化3】
【0014】
(ただし、aは0〜3の整数、bは0〜2の整数、qは0以上の整数、ただし1≦a+qbである。R1、R2は同種もしくは異種の炭素数1〜10の1価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基。)
【0015】
加水分解性シリル基の導入方法としては下記の(a)〜(c)の方法があげられる。
【0016】
(a)不飽和基を含有するポリエーテルと式(2)なるハイドロシラン化合物とを反応させる方法。ここで不飽和基を有するポリエーテルは(ア)〜(エ)の方法で得られる。
【0017】
【化4】
【0018】
(ここでa、b、q、X、R1 、R2 は前記に同じ。)
【0019】
(ア)水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基に、水酸基と反応しうる基と重合性基を有する化合物を反応させる方法。このような化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、アリルイソシアネート、アリルアルコール、無水マレイン酸または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等の水酸基含有重合性モノマーの末端を多官能イソシアネートまたは大過剰のホスゲン等で変成したもの等があげられる。
【0020】
(イ)水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基を変成し、その末端にさらに不飽和基含有化合物を導入する方法。たとえば、水酸基含有ポリエーテルの末端OHをOM(Mはアルカリ金属)とした後、アリルクロリド、アリルブロミド、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、2−クロロエチルビニルエーテル等のハロゲンおよび不飽和基を含有する化合物を反応させる。または水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基に過剰のジイソシアナート、大過剰のホスゲン、またはジカルボン酸(および/またはその無水物)を反応させ、末端を変成した後、アリルアミン、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の活性水素含有重合性モノマーを反応させる。
【0021】
(ウ)水酸基含有ポリエーテルの製造において、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどの不飽和基含有アルキレンオキシドをプロピレンオキシドなどと共重合させる。
【0022】
(エ)重合性不飽和基と水酸基を有する化合物を開始剤として環状エーテルを重合させる。
【0023】
(b)直接式(3)にあげるような化合物を、水酸基含有ポリエーテルの水酸基またはあらかじめ下記(オ)〜(ク)にあげるような方法で導入しておいたアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基等と反応させる方法。
【0024】
【化5】
【0025】
(ここでa、b、q、X、R1、R2は前記に同じ、R3は炭素数1〜10の2価の有機基、Yはエポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、カルボキシル基、不飽和基、および(メタ)アクリロリイル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する有機基である。)
【0026】
(オ)イソシアネート基:水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基と過剰の多官能イソシアナートを反応させる。
(カ)エポキシ基:水酸基含有ポリエーテルの末端OHをOM(Mはアルカリ金属)とした後、エピクロロヒドリンを反応させる。
(キ)アミノ基:水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基をアンモニアで直接アミノ化する。または(オ)、(カ)で得られるポリエーテルの末端イソシアネート基またはエポキシ基を過剰の多官能アミンと反応させる。
(ク)メルカプト基:水酸基含有ポリエーテルの末端に環状スルフィドを反応させる。または(オ)で得られるポリエーテルの末端イソシアネート基とメルカプトエタノールのようなメルカプト基およびイソシアネート基と反応しうる基を有する化合物を反応させる。またはポリオキシアルキレン末端を塩素化した後、二硫化ナトリウム等と反応させた後、還元し末端メルカプト基を導入する。
【0027】
(c)水酸基含有ポリエーテルの製造の際に、式(4)に示すような加水分解性シリル基含有モノエポキシドを共重合させる。
【0028】
【化6】
【0029】
(ここでa、b、q、X、R1、R2は前記に同じ。)
【0030】
本発明においてシリル基含有ポリエーテル(A)は加水分解性シリル基は平均して分子内に少なくとも1個含む。
【0031】
上記シリル基含有ポリエーテル(A)の分子量には特に制限がなく、用途に応じて種々の分子量のものが使用できる。特に好ましいのは1000〜50000である。分子量4000未満のものを用いた場合、得られる重合体、あるいはその重合体に硬化性部位を導入したものは、比較的硬度は固いが弾性を有し、弾性塗料、ホットメルト粘着剤等として利用できる。分子量4000〜50000のものを用いた場合、得られる重合体は常温で流動性を示し、そのままで、感圧性接着剤、シーラント等の用途として利用できる。分子量の上限は30000が好ましい。
【0032】
本発明における含フッ素重合体(B)は下記の式(5)、(6)または(7)で表されるポリフルオロアルキル基を有する重合性不飽和基含有モノマー(C)(以下、ポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)という)を重合することによって得られる含フッ素重合体である。
【0033】
【化7】
【0034】
ポリフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。ポリフルオロアルキル基の炭素数は4〜16である。ポリフルオロアルキル基の構造は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0035】
ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合は、(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基中に含まれる水素原子数)で表した場合に60%以上が好ましく、80%がより好ましく、特に実質的に100%である場合が好ましい。
【0036】
ポリフルオロアルキル基は炭素−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性のイオウ原子が挿入されていてもよい。また、ポリフルオロアルキル基は、塩素原子を含んでいてもよい。
【0037】
ポリフルオロアルキル基において先端部分はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。他の基と結合する部分はフッ素原子を含まないアルキル部分であることが好ましい。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
なお、Rf1は、他の基と結合する部分にアルキル部分を有するポリフルオロアルキル基であることが好ましくたとえば化8のポリフルオロアルキル基を表す。
【0047】
【化8】
【0048】
なお、Rf2は、他の基と結合する部分にアルキル部分を有さないポリフルオロアルキル基であることが好ましくたとえば化9のポリフルオロアルキル基を表す。
【0049】
【化9】
【0050】
本発明における含フッ素重合体(B)はポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位を少なくとも20モル%有する重合体である。ポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位が20モル%よりも少ないと、充分な表面耐汚染性が発揮されず、長期使用において汚れなどが著しくなることがある。含フッ素重合体においてポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位を40〜100モル%有することが特に好ましい。
【0051】
本発明における含フッ素重合体(B)はポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位以外に組成物への分散性等を改善する目的でポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)と共重合しうる重合性不飽和基含有モノマー(以下、共重合性モノマーという)に基づく重合単位を有していてもよい。
【0052】
共重合性モノマーとしては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、イソプロペニル基などの重合性不飽和基を有する化合物があげられる。
【0053】
具体的にはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、脂肪酸ビニルエステル類、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、オレフィン類、アリルエステル類、イソプロペニルエーテル類、イソプロペニルエステル類およびクロトン酸エステル類、があげられる。このなかでも炭素数1〜20程度の直鎖状、分岐状あるいは脂環状のアルキル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、次の化合物があげられる。
【0054】
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸グリシジル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類。酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ベオバ9およびベオバ10(シェル化学社製、C9およびC10からなる分岐脂肪酸のビニルエステルの商品名)、バーサティック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類。メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類。スチレンやα−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン−1等のシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー、イソプレン、ブタジエン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン。
【0055】
また一般式(8)で示される加水分解性シリル基含有ビニル化合物も共重合性モノマーとして用いうる。
【0056】
【化10】
【0057】
(式中R5は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基。Tは水酸基またはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基、等の加水分解性基。R6は重合性不飽和基を有する有機残基。rは0〜2の整数である。)
【0058】
一般式(8)で示されるシリコン化合物としては具体的には化11の化合物等が例示される。
【0059】
【化11】
【0060】
本発明においてこれらの共重合性モノマーに基づく重合単位が適当量含まれることにより耐表面汚染性を損なうことなくシリル基含有ポリエーテル(A)と良好に混合し、組成物の貯蔵安定性が向上する。また溶剤可溶性を発現し、かかる重合体の溶液を調製することによりシリル基含有ポリエーテル(A)との混合も容易となる。
【0061】
また、含フッ素重合体(B)は、分子量が100000以下、特に50000程度以下のものであることが好ましい。シーラント用など、無溶剤で用いる場合には、分子量の大きなものは作業性がきわめて悪い。無溶剤で用いる場合には分子量15000以下、特に10000以下のものを採用することが好ましい。分子量の下限は特に限定されないが、通常は300以上、好ましくは1000以上が採用される。
【0062】
上記における含フッ素重合体(B)の重合方法は溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合のいずれの方法でもよく、所定量の単量体に重合開始剤や電離性放射線などの重合開始源を作用させることにより重合が行われる。また適当な連鎖移動剤を存在させて、分子量を調節することもできる。
【0063】
本発明の硬化性組成物は予め重合性モノマーを重合させて得られた含フッ素重合体(B)をシリル基含有エーテル(A)に混合して得ることが好ましいが、場合によってはシリル基含有ポリエーテル(A)の存在下で重合性モノマーの重合を行って得ることもできる。この場合その他の諸重合条件は、通常溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合などを行う際と同様の条件で行いうる。
【0064】
本発明の硬化性組成物においてシリル基含有ポリエーテル(A)および含フッ素重合体(B)の混合比は(A)/(B)=100/0.1〜100/20であることが好ましい。さらに好ましくは(A)/(B)=100/1〜100/10である。また、本発明の硬化性組成物を構成成分とし、必要により種々の添加剤を配合することによりさまざまな用途に使用できる。本発明は特に該硬化性組成物を構成成分とするシーリング材である。
【0065】
使用できる添加剤としては、充填剤、可塑剤、硬化促進触媒、接着性付与剤、溶剤、脱水剤、チキソ性付与剤、老化防止剤などがある。それらについて説明する。
【0066】
[充填剤]
充填剤としては公知の充填剤が使用できる。充填剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜1000重量%、特に50〜250重量%が好ましい。充填剤の具体例としては以下のものがあげられる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0067】
炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤。
【0068】
[可塑剤]
可塑剤としては、公知の可塑剤が使用できる。可塑剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜100重量%が好ましい。可塑剤の具体例としては以下のものがあげられる。
【0069】
フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類。アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル。ペンタエリスリトールエステルなど。リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類。エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤。塩素化パラフィン。2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤、ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー類、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤。
【0070】
[硬化促進触媒]
本発明における硬化性組成物を硬化させるにあたっては加水分解性シリル基の硬化反応を促進する硬化促進触媒を使用してもよい。具体的な例としては下記の化合物があげられる。それらの1種または2種以上が使用される。硬化促進触媒はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜10重量%使用することが好ましい。
【0071】
アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキサノエート等の金属塩、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等の酸性化合物、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類、ピペリジン、ピペラジン等の複素環式アミン類、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類、エタノールアミン類、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物。
【0072】
ジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートおよび下記にあげるカルボン酸型有機錫化合物およびこれらのカルボン酸型有機錫化合物と上記のアミン類との混合物。
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2;
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9−n)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9−n)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17−iso)2;
【0073】
下記の含硫黄型有機錫化合物。
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2CH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S);
(n−C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17−iso)2;
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17−iso)2;
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17−n)2;
(n−C4H9)2SnS;
【0074】
(n−C4H9)2SnO、(n−C8H17)2SnO等の有機錫オキシド、およびこれらの有機錫オキシドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物との反応生成物。
【0075】
下記等のキレート錫化合物およびこれらの錫化合物とアルコキシシランとの反応生成物(ただし、acacはアセチルアセトナト配位子)。
(n−C4H9)2Sn(acac)2;
(n−C8H17)2Sn(acac)2;
(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac);
下記の錫化合物。
(n−C4H9)2(CH3COO)SnOSn(OCOCH3)(n−C4H9)2;
(n−C4H9)2(CH3O)SnOSn(OCH3)(n−C4H9)2;
【0076】
[接着性付与剤]
さらに接着性を改良する目的で接着性付与剤が用いられる。これらの接着性付与剤としては(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、カルボキシル基含有シラン類等がある。
【0077】
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等がある。
【0078】
アミノ基含有シラン類としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0079】
メルカプト基含有シラン類としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等がある。
【0080】
エポキシ基含有シラン類としては、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等がある。
【0081】
カルボキシル基含有シラン類としてはβ−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−(N−カルボキシルメチル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0082】
また2種以上のシランカップリング剤を反応させて得られる反応物を用いてもよい。反応物の例としてはアミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類の反応物、メルカプト基含有シラン類どうしの反応物等があげられる。これらの反応物は該シランカップリング剤を混合し室温〜150℃の温度範囲で1〜8時間撹拌することによって容易に得られる。
【0083】
上記の化合物は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
接着性付与剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜30重量%が好ましい。
【0084】
[溶剤]
また本発明の組成物を硬化性組成物として用いる場合、粘度の調整、組成物の保存安定性向上を目的として、溶剤を添加することもできる。溶剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜500重量%が好ましい。
【0085】
かかる溶剤としては脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、エステルアルコール類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類を使用できる。特にアルコール類を用いた場合、特に本発明組成物を長期に保存する場合、保存安定性が向上するので好ましい。アルコール類としては、炭素数1〜10のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール等が用いられる。
【0086】
[脱水剤]
また本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性をさらに改良するために、硬化性や柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を添加できる。脱水剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜30重量%が好ましい。
【0087】
具体的には、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性有機シリコン化合物、加水分解性有機チタン化合物等を使用しうる。ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランがコスト、効果の点から特に好ましい。
【0088】
[チキソ性付与剤]
また垂れ性の改善のためチキソ性付与剤を使用してもよい。このようなチキソ性付与剤としては水添ひまし油、脂肪族アミド等が用いられる。
【0089】
[老化防止剤]
また、老化防止剤としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が適宜用いられる。
【0090】
[用途]
本発明の硬化性組成物は、建築用の、あるいはそれ以外の用途の、シーリング材、接着剤、防水剤等の用途に使用できる。特に硬化体の表面耐汚染性が要求される用途に好適である。
【0091】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限られない。部は重量部を示す。なお実施例に使用したシリル基含有ポリエーテル(A)の製造法を製造例1〜2に示す。実施例に使用した含フッ素化合物(B)である化合物F1〜F6は表3に示した。比較例に使用したフッ素系界面活性剤C1〜C4は表4に示した。
【0092】
[製造例1]
ジエチレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。これにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、メタノールを留去後、アリルクロリドを加えて末端の水酸基をアリルオキシ基に変換した。ついで得られた末端アリル基含有ポリオキシアルキレンにメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させてアリル基をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換し、末端に平均1.4個の加水分解性シリル基を含むポリエーテル(P1)を得た。分子量は原料ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価換算分子量を基にして17000であった。
【0093】
[製造例2]
製造例1と同様の方法でグリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、メタノールを留去後、アリルクロリドを加えて末端の水酸基をアリルオキシ基に変換した。ついで得られた末端アリル基含有ポリオキシアルキレンにメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させてアリル基をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換し、末端に平均2.1個の加水分解性シリル基を含むポリエーテル(P2)を得た。分子量は原料ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価換算分子量を基にして20000であった。
【0094】
[実施例1]
ポリエーテル(P1)70部とポリエーテル(P2)30部に対し、含フッ素重合体(B)として、化合物F1を3部、重質炭酸カルシウム190部、フタル酸ジオクチル40部、キシレン10部、酸化チタン5部、チヌビン327(チバ・ガイギー製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)1部、イルガノックス1010(チバ・ガイギー製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)1部、水添ヒマシ油5.0部を加え、プラネタリーミキサーにて混合したのち、60℃にて1時間熱処理し組成物を得た。
【0095】
この組成物の50℃における貯蔵安定性をBS型粘度計(7号ロータ、10.5回転/分)により初期と30日後の粘度を比較することにより評価した。結果を表1に示す。
【0096】
一方、触媒として、(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac)を1.5部、フタル酸ジオクチル10部、重質炭酸カルシウム30部からなる硬化剤成分を上記組成物に加え、混合したのち、縦50mm、横100mm、厚さ10mmのアルミニウム製容器に充填し、20℃、65%湿度下に置き、1日後、7日後の表面タックを指触にて評価した。これらの結果を表1に示す。
【0097】
さらに20℃、65%湿度下で1日間の硬化養生を終了した硬化体シートの1つを神奈川県川崎市にある旭硝子(株)玉川分室の屋上南面に45度の角度に放置し、6ヶ月後の表面汚染性を目視にて観察することにより耐汚染性を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2〜6]
含フッ素重合体(B)として下記に示すF2〜F6を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして組成物を調整し、実施例1と同様の方法で貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
[比較例1]
含フッ素重合体(B)を含まないこと以外は実施例1と全く同様にして組成物を作成し、貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0100】
[比較例2〜5]
F1〜F6のかわりに下記に示すフッ素系界面活性剤であるC1〜C4の化合物を用いたこと以外は実施例と同様にして組成物を作成し、貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0101】
なお、表中貯蔵安定性の評価における粘度の単位は104CPである。
【0102】
表面タックの評価は次の判定基準による。すなわち、◎:べとつきが認められない、○:わずかにべとつきが認められる、△:べとつきが認められる、×:非常に強いべとつきが認められる、である。
【0103】
耐汚染性評価は次の判定基準による。すなわち、○:ほこりの付着がほとんど認められない、△:ほこりの付着がある、×:ほこりがひどく付着している。
【0104】
実施例と比較例1の比較からわかるとおり、シリル基含有ポリエーテル(A)に対し、(B)含フッ素共重合体F1〜F6を加えた組成物は、加えなかった場合に比較して硬化物の初期表面タックの低減効果に優れ、天曝時の耐汚染性も良好である。
【0105】
一方、比較例2〜5の組成物は(B)成分のかわりに、イオン性および非イオン性の親水基を含む、フッ素系界面活性剤C1〜C4を加えたものであり、対応する(B)成分を含む組成物に比して、初期表面タックの低減効果、天曝時の耐汚染性に乏しく、しかも組成物の貯蔵安定性が大幅に悪化している。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【発明の効果】
本発明の室温硬化性組成物は、組成物の貯蔵安定性に優れ、タックの少ない硬化体を与え、表面耐汚染性の改善された弾性シーリング材、防水材として最適である。
【産業上の利用分野】
本発明は耐汚染性に優れた室温硬化性組成物およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
加水分解によりシロキサン結合を形成し、高分子量化あるいは架橋しうる加水分解性シリル基を有する有機重合体としては従来いくつかの例が知られている(たとえば、特開平3−47820、特開平3−72027、特開平3−79627、特公昭61−49332、特公昭46−30711、特公昭45−36319、特公昭46−17553等)。
【0003】
しかしこれらの有機重合体は、ポリマー硬化体、または組成物硬化体のモジュラスを低くすると、硬化が終了した後も表面のべとつき、すなわちタックが残り、たとえばシーリング材等のベースポリマーに用いた場合、ほこりの付着等の目地汚染をひきおこし建築物の外観を損なう原因となっていた。
【0004】
このタックを防止する目的で、たとえば特公平3−3710には、加水分解性シリル基を有する有機重合体にフッ素系界面活性剤を添加する技術が開示されている。しかしこの組成物は、硬化後もフッ素系界面活性剤が系全体に分散されて存在し、表面への移行が不充分であるため、表面のタックを低減するためには高価なフッ素系界面活性剤を多量に使用する必要があり、シーリング部周辺の汚染を引き起こしたり、耐水性や貯蔵安定性への悪影響が大きく、実用面での使用は大きく制限されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の欠点を解消しようとするものである。すなわち、充分な柔軟性、伸縮性を有しながら表面の耐汚染性に優れた硬化体を与える組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基を平均して分子内に少なくとも1個含有するシリル基含有ポリエーテル(A)、および、下記の式(5)、(6)または(7)で表されるポリフルオロアルキル基を有する重合性不飽和基含有モノマー(C)を重合して得られる含フッ素重合体(B)であって、重合性不飽和基含有モノマー(C)に基づく重合単位を少なくとも20モル%有する重合体、を含有することを特徴とする硬化性組成物である。
【化2】
ポリフルオロアルキル基:炭素数が4〜16であり、炭素−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性のイオウ原子が挿入されていてもよく、塩素原子を含んでいてもよいポリフルオロアルキル基。
【0007】
本発明におけるシリル基含有ポリエーテル(A)は、平均して1分子中に1個以上の水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基を有し、主鎖が実質的にポリエーテル鎖からなる重合体である。
【0008】
たとえば特公昭45−36319、特公昭46−17553、特公昭46−30711、特公昭61−18582、特開昭60−6747、特開平3−43449、特開平3−47825、特開平3−72527、特開平3−79627、等に提案されている重合体であり、主鎖骨格が本質的にポリエーテルからなるものが好ましい。
【0009】
本発明に用いるシリル基含有ポリエーテル(A)は、たとえば上記の文献などに記載されている。ポリエーテル鎖としては、アルキレンオキシド等の環状エーテルを開環重合して得られるものが好ましい。
【0010】
アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテルなどがある。またオキセタンやテトラヒドロフランなどの環状エーテルも使用できる。これら環状エーテルは単独で重合または2種以上を併用してランダム状あるいはブロック状に重合できる。
【0011】
シリル基含有ポリエーテル(A)は水酸基含有ポリエーテルから誘導されることが好ましい。好ましい水酸基含有ポリエーテルはポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオールおよびポリオキシアルキレンテトラオールがある。また、アリル基などのオレフィン基を有する開始剤を用いて製造したアリル末端ポリオキシアルキレンモノオールも使用できる。
【0012】
水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基としては、たとえば式(1)で表されるシリル基がよい。
【0013】
【化3】
【0014】
(ただし、aは0〜3の整数、bは0〜2の整数、qは0以上の整数、ただし1≦a+qbである。R1、R2は同種もしくは異種の炭素数1〜10の1価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基。)
【0015】
加水分解性シリル基の導入方法としては下記の(a)〜(c)の方法があげられる。
【0016】
(a)不飽和基を含有するポリエーテルと式(2)なるハイドロシラン化合物とを反応させる方法。ここで不飽和基を有するポリエーテルは(ア)〜(エ)の方法で得られる。
【0017】
【化4】
【0018】
(ここでa、b、q、X、R1 、R2 は前記に同じ。)
【0019】
(ア)水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基に、水酸基と反応しうる基と重合性基を有する化合物を反応させる方法。このような化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、アリルイソシアネート、アリルアルコール、無水マレイン酸または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等の水酸基含有重合性モノマーの末端を多官能イソシアネートまたは大過剰のホスゲン等で変成したもの等があげられる。
【0020】
(イ)水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基を変成し、その末端にさらに不飽和基含有化合物を導入する方法。たとえば、水酸基含有ポリエーテルの末端OHをOM(Mはアルカリ金属)とした後、アリルクロリド、アリルブロミド、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、2−クロロエチルビニルエーテル等のハロゲンおよび不飽和基を含有する化合物を反応させる。または水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基に過剰のジイソシアナート、大過剰のホスゲン、またはジカルボン酸(および/またはその無水物)を反応させ、末端を変成した後、アリルアミン、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の活性水素含有重合性モノマーを反応させる。
【0021】
(ウ)水酸基含有ポリエーテルの製造において、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどの不飽和基含有アルキレンオキシドをプロピレンオキシドなどと共重合させる。
【0022】
(エ)重合性不飽和基と水酸基を有する化合物を開始剤として環状エーテルを重合させる。
【0023】
(b)直接式(3)にあげるような化合物を、水酸基含有ポリエーテルの水酸基またはあらかじめ下記(オ)〜(ク)にあげるような方法で導入しておいたアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基等と反応させる方法。
【0024】
【化5】
【0025】
(ここでa、b、q、X、R1、R2は前記に同じ、R3は炭素数1〜10の2価の有機基、Yはエポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、カルボキシル基、不飽和基、および(メタ)アクリロリイル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する有機基である。)
【0026】
(オ)イソシアネート基:水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基と過剰の多官能イソシアナートを反応させる。
(カ)エポキシ基:水酸基含有ポリエーテルの末端OHをOM(Mはアルカリ金属)とした後、エピクロロヒドリンを反応させる。
(キ)アミノ基:水酸基含有ポリエーテルの末端水酸基をアンモニアで直接アミノ化する。または(オ)、(カ)で得られるポリエーテルの末端イソシアネート基またはエポキシ基を過剰の多官能アミンと反応させる。
(ク)メルカプト基:水酸基含有ポリエーテルの末端に環状スルフィドを反応させる。または(オ)で得られるポリエーテルの末端イソシアネート基とメルカプトエタノールのようなメルカプト基およびイソシアネート基と反応しうる基を有する化合物を反応させる。またはポリオキシアルキレン末端を塩素化した後、二硫化ナトリウム等と反応させた後、還元し末端メルカプト基を導入する。
【0027】
(c)水酸基含有ポリエーテルの製造の際に、式(4)に示すような加水分解性シリル基含有モノエポキシドを共重合させる。
【0028】
【化6】
【0029】
(ここでa、b、q、X、R1、R2は前記に同じ。)
【0030】
本発明においてシリル基含有ポリエーテル(A)は加水分解性シリル基は平均して分子内に少なくとも1個含む。
【0031】
上記シリル基含有ポリエーテル(A)の分子量には特に制限がなく、用途に応じて種々の分子量のものが使用できる。特に好ましいのは1000〜50000である。分子量4000未満のものを用いた場合、得られる重合体、あるいはその重合体に硬化性部位を導入したものは、比較的硬度は固いが弾性を有し、弾性塗料、ホットメルト粘着剤等として利用できる。分子量4000〜50000のものを用いた場合、得られる重合体は常温で流動性を示し、そのままで、感圧性接着剤、シーラント等の用途として利用できる。分子量の上限は30000が好ましい。
【0032】
本発明における含フッ素重合体(B)は下記の式(5)、(6)または(7)で表されるポリフルオロアルキル基を有する重合性不飽和基含有モノマー(C)(以下、ポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)という)を重合することによって得られる含フッ素重合体である。
【0033】
【化7】
【0034】
ポリフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。ポリフルオロアルキル基の炭素数は4〜16である。ポリフルオロアルキル基の構造は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0035】
ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合は、(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基中に含まれる水素原子数)で表した場合に60%以上が好ましく、80%がより好ましく、特に実質的に100%である場合が好ましい。
【0036】
ポリフルオロアルキル基は炭素−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性のイオウ原子が挿入されていてもよい。また、ポリフルオロアルキル基は、塩素原子を含んでいてもよい。
【0037】
ポリフルオロアルキル基において先端部分はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。他の基と結合する部分はフッ素原子を含まないアルキル部分であることが好ましい。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
なお、Rf1は、他の基と結合する部分にアルキル部分を有するポリフルオロアルキル基であることが好ましくたとえば化8のポリフルオロアルキル基を表す。
【0047】
【化8】
【0048】
なお、Rf2は、他の基と結合する部分にアルキル部分を有さないポリフルオロアルキル基であることが好ましくたとえば化9のポリフルオロアルキル基を表す。
【0049】
【化9】
【0050】
本発明における含フッ素重合体(B)はポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位を少なくとも20モル%有する重合体である。ポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位が20モル%よりも少ないと、充分な表面耐汚染性が発揮されず、長期使用において汚れなどが著しくなることがある。含フッ素重合体においてポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位を40〜100モル%有することが特に好ましい。
【0051】
本発明における含フッ素重合体(B)はポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)に基づく重合単位以外に組成物への分散性等を改善する目的でポリフルオロアルキル基含有モノマー(C)と共重合しうる重合性不飽和基含有モノマー(以下、共重合性モノマーという)に基づく重合単位を有していてもよい。
【0052】
共重合性モノマーとしては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、イソプロペニル基などの重合性不飽和基を有する化合物があげられる。
【0053】
具体的にはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、脂肪酸ビニルエステル類、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、オレフィン類、アリルエステル類、イソプロペニルエーテル類、イソプロペニルエステル類およびクロトン酸エステル類、があげられる。このなかでも炭素数1〜20程度の直鎖状、分岐状あるいは脂環状のアルキル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、次の化合物があげられる。
【0054】
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸グリシジル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類。酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ベオバ9およびベオバ10(シェル化学社製、C9およびC10からなる分岐脂肪酸のビニルエステルの商品名)、バーサティック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類。メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類。スチレンやα−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン−1等のシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー、イソプレン、ブタジエン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン。
【0055】
また一般式(8)で示される加水分解性シリル基含有ビニル化合物も共重合性モノマーとして用いうる。
【0056】
【化10】
【0057】
(式中R5は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基。Tは水酸基またはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基、等の加水分解性基。R6は重合性不飽和基を有する有機残基。rは0〜2の整数である。)
【0058】
一般式(8)で示されるシリコン化合物としては具体的には化11の化合物等が例示される。
【0059】
【化11】
【0060】
本発明においてこれらの共重合性モノマーに基づく重合単位が適当量含まれることにより耐表面汚染性を損なうことなくシリル基含有ポリエーテル(A)と良好に混合し、組成物の貯蔵安定性が向上する。また溶剤可溶性を発現し、かかる重合体の溶液を調製することによりシリル基含有ポリエーテル(A)との混合も容易となる。
【0061】
また、含フッ素重合体(B)は、分子量が100000以下、特に50000程度以下のものであることが好ましい。シーラント用など、無溶剤で用いる場合には、分子量の大きなものは作業性がきわめて悪い。無溶剤で用いる場合には分子量15000以下、特に10000以下のものを採用することが好ましい。分子量の下限は特に限定されないが、通常は300以上、好ましくは1000以上が採用される。
【0062】
上記における含フッ素重合体(B)の重合方法は溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合のいずれの方法でもよく、所定量の単量体に重合開始剤や電離性放射線などの重合開始源を作用させることにより重合が行われる。また適当な連鎖移動剤を存在させて、分子量を調節することもできる。
【0063】
本発明の硬化性組成物は予め重合性モノマーを重合させて得られた含フッ素重合体(B)をシリル基含有エーテル(A)に混合して得ることが好ましいが、場合によってはシリル基含有ポリエーテル(A)の存在下で重合性モノマーの重合を行って得ることもできる。この場合その他の諸重合条件は、通常溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合などを行う際と同様の条件で行いうる。
【0064】
本発明の硬化性組成物においてシリル基含有ポリエーテル(A)および含フッ素重合体(B)の混合比は(A)/(B)=100/0.1〜100/20であることが好ましい。さらに好ましくは(A)/(B)=100/1〜100/10である。また、本発明の硬化性組成物を構成成分とし、必要により種々の添加剤を配合することによりさまざまな用途に使用できる。本発明は特に該硬化性組成物を構成成分とするシーリング材である。
【0065】
使用できる添加剤としては、充填剤、可塑剤、硬化促進触媒、接着性付与剤、溶剤、脱水剤、チキソ性付与剤、老化防止剤などがある。それらについて説明する。
【0066】
[充填剤]
充填剤としては公知の充填剤が使用できる。充填剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜1000重量%、特に50〜250重量%が好ましい。充填剤の具体例としては以下のものがあげられる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0067】
炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤。
【0068】
[可塑剤]
可塑剤としては、公知の可塑剤が使用できる。可塑剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜100重量%が好ましい。可塑剤の具体例としては以下のものがあげられる。
【0069】
フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類。アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル。ペンタエリスリトールエステルなど。リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類。エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤。塩素化パラフィン。2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤、ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー類、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤。
【0070】
[硬化促進触媒]
本発明における硬化性組成物を硬化させるにあたっては加水分解性シリル基の硬化反応を促進する硬化促進触媒を使用してもよい。具体的な例としては下記の化合物があげられる。それらの1種または2種以上が使用される。硬化促進触媒はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜10重量%使用することが好ましい。
【0071】
アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキサノエート等の金属塩、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等の酸性化合物、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類、ピペリジン、ピペラジン等の複素環式アミン類、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類、エタノールアミン類、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物。
【0072】
ジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートおよび下記にあげるカルボン酸型有機錫化合物およびこれらのカルボン酸型有機錫化合物と上記のアミン類との混合物。
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2;
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9−n)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9−n)2;
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17−iso)2;
【0073】
下記の含硫黄型有機錫化合物。
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2CH2COO);
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S);
(n−C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17−iso)2;
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17−iso)2;
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17−n)2;
(n−C4H9)2SnS;
【0074】
(n−C4H9)2SnO、(n−C8H17)2SnO等の有機錫オキシド、およびこれらの有機錫オキシドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物との反応生成物。
【0075】
下記等のキレート錫化合物およびこれらの錫化合物とアルコキシシランとの反応生成物(ただし、acacはアセチルアセトナト配位子)。
(n−C4H9)2Sn(acac)2;
(n−C8H17)2Sn(acac)2;
(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac);
下記の錫化合物。
(n−C4H9)2(CH3COO)SnOSn(OCOCH3)(n−C4H9)2;
(n−C4H9)2(CH3O)SnOSn(OCH3)(n−C4H9)2;
【0076】
[接着性付与剤]
さらに接着性を改良する目的で接着性付与剤が用いられる。これらの接着性付与剤としては(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、カルボキシル基含有シラン類等がある。
【0077】
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等がある。
【0078】
アミノ基含有シラン類としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0079】
メルカプト基含有シラン類としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等がある。
【0080】
エポキシ基含有シラン類としては、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等がある。
【0081】
カルボキシル基含有シラン類としてはβ−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−(N−カルボキシルメチル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0082】
また2種以上のシランカップリング剤を反応させて得られる反応物を用いてもよい。反応物の例としてはアミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類の反応物、メルカプト基含有シラン類どうしの反応物等があげられる。これらの反応物は該シランカップリング剤を混合し室温〜150℃の温度範囲で1〜8時間撹拌することによって容易に得られる。
【0083】
上記の化合物は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
接着性付与剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜30重量%が好ましい。
【0084】
[溶剤]
また本発明の組成物を硬化性組成物として用いる場合、粘度の調整、組成物の保存安定性向上を目的として、溶剤を添加することもできる。溶剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜500重量%が好ましい。
【0085】
かかる溶剤としては脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、エステルアルコール類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類を使用できる。特にアルコール類を用いた場合、特に本発明組成物を長期に保存する場合、保存安定性が向上するので好ましい。アルコール類としては、炭素数1〜10のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール等が用いられる。
【0086】
[脱水剤]
また本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性をさらに改良するために、硬化性や柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を添加できる。脱水剤の使用量はシリル基含有ポリエーテル(A)と含フッ素重合体(B)の合計に対して0〜30重量%が好ましい。
【0087】
具体的には、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性有機シリコン化合物、加水分解性有機チタン化合物等を使用しうる。ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランがコスト、効果の点から特に好ましい。
【0088】
[チキソ性付与剤]
また垂れ性の改善のためチキソ性付与剤を使用してもよい。このようなチキソ性付与剤としては水添ひまし油、脂肪族アミド等が用いられる。
【0089】
[老化防止剤]
また、老化防止剤としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が適宜用いられる。
【0090】
[用途]
本発明の硬化性組成物は、建築用の、あるいはそれ以外の用途の、シーリング材、接着剤、防水剤等の用途に使用できる。特に硬化体の表面耐汚染性が要求される用途に好適である。
【0091】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限られない。部は重量部を示す。なお実施例に使用したシリル基含有ポリエーテル(A)の製造法を製造例1〜2に示す。実施例に使用した含フッ素化合物(B)である化合物F1〜F6は表3に示した。比較例に使用したフッ素系界面活性剤C1〜C4は表4に示した。
【0092】
[製造例1]
ジエチレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。これにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、メタノールを留去後、アリルクロリドを加えて末端の水酸基をアリルオキシ基に変換した。ついで得られた末端アリル基含有ポリオキシアルキレンにメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させてアリル基をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換し、末端に平均1.4個の加水分解性シリル基を含むポリエーテル(P1)を得た。分子量は原料ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価換算分子量を基にして17000であった。
【0093】
[製造例2]
製造例1と同様の方法でグリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、メタノールを留去後、アリルクロリドを加えて末端の水酸基をアリルオキシ基に変換した。ついで得られた末端アリル基含有ポリオキシアルキレンにメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させてアリル基をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換し、末端に平均2.1個の加水分解性シリル基を含むポリエーテル(P2)を得た。分子量は原料ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価換算分子量を基にして20000であった。
【0094】
[実施例1]
ポリエーテル(P1)70部とポリエーテル(P2)30部に対し、含フッ素重合体(B)として、化合物F1を3部、重質炭酸カルシウム190部、フタル酸ジオクチル40部、キシレン10部、酸化チタン5部、チヌビン327(チバ・ガイギー製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)1部、イルガノックス1010(チバ・ガイギー製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)1部、水添ヒマシ油5.0部を加え、プラネタリーミキサーにて混合したのち、60℃にて1時間熱処理し組成物を得た。
【0095】
この組成物の50℃における貯蔵安定性をBS型粘度計(7号ロータ、10.5回転/分)により初期と30日後の粘度を比較することにより評価した。結果を表1に示す。
【0096】
一方、触媒として、(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac)を1.5部、フタル酸ジオクチル10部、重質炭酸カルシウム30部からなる硬化剤成分を上記組成物に加え、混合したのち、縦50mm、横100mm、厚さ10mmのアルミニウム製容器に充填し、20℃、65%湿度下に置き、1日後、7日後の表面タックを指触にて評価した。これらの結果を表1に示す。
【0097】
さらに20℃、65%湿度下で1日間の硬化養生を終了した硬化体シートの1つを神奈川県川崎市にある旭硝子(株)玉川分室の屋上南面に45度の角度に放置し、6ヶ月後の表面汚染性を目視にて観察することにより耐汚染性を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2〜6]
含フッ素重合体(B)として下記に示すF2〜F6を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして組成物を調整し、実施例1と同様の方法で貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
[比較例1]
含フッ素重合体(B)を含まないこと以外は実施例1と全く同様にして組成物を作成し、貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0100】
[比較例2〜5]
F1〜F6のかわりに下記に示すフッ素系界面活性剤であるC1〜C4の化合物を用いたこと以外は実施例と同様にして組成物を作成し、貯蔵安定性、表面タックおよび耐汚染性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0101】
なお、表中貯蔵安定性の評価における粘度の単位は104CPである。
【0102】
表面タックの評価は次の判定基準による。すなわち、◎:べとつきが認められない、○:わずかにべとつきが認められる、△:べとつきが認められる、×:非常に強いべとつきが認められる、である。
【0103】
耐汚染性評価は次の判定基準による。すなわち、○:ほこりの付着がほとんど認められない、△:ほこりの付着がある、×:ほこりがひどく付着している。
【0104】
実施例と比較例1の比較からわかるとおり、シリル基含有ポリエーテル(A)に対し、(B)含フッ素共重合体F1〜F6を加えた組成物は、加えなかった場合に比較して硬化物の初期表面タックの低減効果に優れ、天曝時の耐汚染性も良好である。
【0105】
一方、比較例2〜5の組成物は(B)成分のかわりに、イオン性および非イオン性の親水基を含む、フッ素系界面活性剤C1〜C4を加えたものであり、対応する(B)成分を含む組成物に比して、初期表面タックの低減効果、天曝時の耐汚染性に乏しく、しかも組成物の貯蔵安定性が大幅に悪化している。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【発明の効果】
本発明の室温硬化性組成物は、組成物の貯蔵安定性に優れ、タックの少ない硬化体を与え、表面耐汚染性の改善された弾性シーリング材、防水材として最適である。
Claims (3)
- 水酸基または加水分解性基が直接結合したケイ素原子を含む加水分解性シリル基を平均して分子内に少なくとも1個含有するシリル基含有ポリエーテル(A)、および、下記の式(5)、(6)または(7)で表されるポリフルオロアルキル基を有する重合性不飽和基含有モノマー(C)を重合して得られる含フッ素重合体(B)であって、重合性不飽和基含有モノマー(C)に基づく重合単位を少なくとも20モル%有する重合体、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
- シリル基含有ポリエーテル(A)および含フッ素重合体(B)の使用割合が重量比で(A)/(B)=100/0.1〜100/20である、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 含フッ素重合体(B)の分子量が300〜100000である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
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