JP3546316B2 - 防水継手材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は横葺き用屋根材、あるいは横張り用壁材等の外装材を用いて屋根、壁を形成した際の目地部に用いられる防水継手材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、横葺き用屋根材、横張り用外壁材等の外装材を施工した際の目地構造は、▲1▼外装材の両側縁をはぜ状に屈曲し、互いにはぜ継ぎした構造、▲2▼敷目板とカバー材とにより外装材の側端部を上下でサンドイッチした構造、▲3▼外装材同士を単に重ねた構造、等であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの構造において、▲3▼は防水性に劣り、▲1▼、▲3▼は外装材を重ねることにより段差が不揃いとなって意匠性の低下を招く不利があった。また▲2▼では、特に屋根材に適応した場合、積雪地方での雪落としの際にカバー材を外装材の長手方向にスライドさせてしまい継手部分が外部に露出してしまう危険性があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、防水継手材を合成樹脂材よりなる敷目板と金属製の嵌合体と直方体の防水材より構成し、かつ、嵌合体は敷目板の中央部に形成された断面壺状の複数個の係止部に係止されて一体化されたものとし、また、敷目部の下辺を屈曲させ、下段の外装材表面に水を流下するための馳部と、敷目部に形成した突起と、防水材により、雨水等を速やかに下方に流下させることを可能とし、防水性を大幅に向上した防水継手材を提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に、本発明に係る防水継手材について詳細に説明する。図1は上記防水継手材Aの代表的一例を示す斜視図、図2は本発明に係る防水継手材Aの部材である敷目板Bを示す斜視図、図3は本発明に係る防水継手材Aの部材である嵌合体Cを示す斜視図、図4は本発明に係る防水継手材Aの部材である防水材Dを示す斜視図、図5は図1の正面図、図6は図1の背面図、図7は図1の右側面図、図8は図1の平面図、図9は図1の底面図、図10は図5のa−a部断面図、図11は図5のb−b部断面図、図12は図5のc−c部拡大断面図、図13は図3のd−d部部分拡大断面図、図14は図11のe−e部部分拡大断面図、図15は図11のf−f部部分拡大断面図、図16は図10のg−g部部分拡大図、図17は図10のh−h部部分拡大図である。
【0006】
防水継手材Aは、例えば図18(a)、(b)(図18(a)の長手方向の端面図)に示すような外装材Eを、図19に示すような下地材Fを用いて図20に示すように施工した際に、外装材Eの縦目地部下部に位置し、防水性を付与すると共に、外装材Eの同士の側縁を連結するものである。また、図21は屋根材Eの施工状態を示す一部拡大断面図、図22は施工状態を示す斜視図である。また、αは固定下地、βは固定具である。
【0007】
さらに説明を加えると、防水継手材Aは敷目板Bと嵌合体Cと防水材Dを一体化したものであり、敷目板Bは図20に示すように、外装材E同士の端部の連結部分の化粧面10の裏面部分に形成すると共に、図2に示すように嵌合体Cを一体化する敷目部1と、敷目部1の上端に形成した雨返部2と、下端に形成した馳部3と、敷目部1に複数本平行に形成した突起4と、突起4により形成される流水溝5と、敷目部1の中央部分を上方に突出し、係止爪8により係止溝7を形成して壺状とした複数個の係止部6とから構成されたものである。
【0008】
その素材としては、合成樹脂材(プラスチック材)よりなり、目地部9において固定下地αに追従すると共に、固定下地αに対して密着性があるために移動しにくく、耐振性、耐外力性、防水性を向上するものである。また、金属材の成形品に比較して値段が大幅に安く、かつ、設備投資額も大幅に小さくて済むものである。
【0009】
その具体例としては、例えばポリエチレン、ポリエーテル、ポリ炭酸エステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニール樹脂、スチロール樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、繊維強化プラスチック、等の一種である。なお、塩化ビニール製のものが生産性、値段、性能の面において良好である。
【0010】
敷目部1、突起4、流水溝5は、目地部9から万が一に浸入した雨水等が、内部に拡散しないように防波堤として機能すると共に、浸入した雨水等を下方に位置する外装材Eの化粧面10上に流下させ、防水性を向上するためのものである。
【0011】
また、敷目部1に形成した雨返部2、馳部3、突起4は、防水継手材Aの上下端部分における防水性を強化するものである。
【0012】
突起4は、万が一に目地部9より雨水等が浸入した際に、この突起4により形成した流水溝5により雨水等を下方の外装材E上に流下させ、躯体内部に浸入するのを防止するものである。また、3aは切り欠きであり、後記する嵌合体Cの係止片20が馳部3より突出しないようにするために形成したものである。
【0013】
係止部6は図12に示すように、嵌合体Cを係合して敷目板Bと嵌合体Cを一体化するためのものである。また、嵌合体Cに形成した立ち上がり片18と挿入溝19により、敷目板Bへの嵌合体Cの一体化には下端からスライドさせて挿入することができない。このために、係止部6は図2に示すように、間隔を有して複数個分割して(図では2個)形成し、馳部3に係止片20を係止した後、上方から嵌合体Cを敷目板Bに嵌合して一体化するものであり、係止部6を複数個に分割して形成することにより、嵌合を容易にするものである。
【0014】
外装材Eは図18(a)、(b)(図18(a)の長手方向の端面図)に示すように、略水平面状の化粧面10と、化粧面10の上端を化粧面10側に略U字状に屈曲し、再び略コ字状に折り返してた嵌合部11と、嵌合部11の端縁を下方に屈曲すると共に化粧面10と略平行で外方にL字状に屈曲した固定片12と、化粧面10の下端を内方に略コ字状に形成した嵌合片13と、(b)図に示すように化粧面10の木口端部を内方に屈曲し、後記する嵌合体Cの係止舌片16と係合して一体化する係合舌片14とから形成したものである。また、図では断面を示しているが長尺状(2m〜5m位)のものである。
【0015】
金属製の嵌合体Cは図3に示すように下端を内方にL字状に形成した係止片20と、底面15の幅方向両側を係止片20の近傍から底面15の中間部より立ち上がり片18側寄りまでの範囲で折り返して出合袋状とした係止舌片16と、底面15と係止舌片16により形成した係合片17と、底面15の上端を上方に挿入溝19を有して突出した立ち上がり片18と、係止舌片16から立ち上がり片18まで底面15を延長した平面状の平面部21から形成したものである。
【0016】
その素材としては鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー金属板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したものである。
【0017】
さらに説明すると、係止舌片16は図20に示すように外装材Eの係合舌片14を係合し、外装材Eの端部を固定する部分である。
【0018】
係合片17は図12に示すように敷目板Bの係止部6の係止爪8に係合され、敷目板Bに嵌合体Cを固定する部分である。
【0019】
挿入溝19は敷目板Bの雨返部2に挿入されて図1に示すように一体化するものであり、敷目板Bと嵌合体Cの結合をより強力なものとするものである。
【0020】
係止片20は目地部9部分において、外装材Eの嵌合部11に挿入されて一体化され、防水継手材Aの下端部分を外装材Eに固定するための部分である。
【0021】
防水材Dは図1に示すように嵌合体Cの係止舌片16の上端、かつ平面部21の下端部に密着形成され、図22に示すように目地部9を形成した際に、外装材Eの上端の連結部分に密着し、雨水等が内部に浸入しないように形成したものである。その素材としては定型で弾性のあるパッキング材であり、例えばポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系等の一般的に市販されているものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。また、特に耐候性等の優れたものとして、EPM、EPDM(別名EPR、EPT)が有り、これは、天然ゴム、合成ゴムの中で比重が最小で、酸化、熱、化学薬品に対する耐性に優れ、電気的特性が良く、耐候性、耐熱性(耐熱老化性)、耐オゾン性、耐薬品性等に優れているものである。
【0022】
また、図19に示す下地材Fは外装材Eの裏面に形成され、断熱材、補強材、調湿材、防音材、遮音材、耐火材等の機能を有するものである。その素材としては例えば、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体よりなるボード、あるいはこれら合成樹脂発泡体をシート材でサンドイッチした複合板、もしくは石膏ボード、セメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、セラミック板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板、シージングボード、シージングインシュレーションボード、合板等よりなるもの、またはこれらの複合板よりなるものである。
【0023】
敷目板Bと嵌合体Cとの一体化は、まず敷目板Bの馳部3に嵌合体Cの係止片20を引っ掛け、その後、敷目板Bの雨返部2に嵌合体Cの挿入溝19を挿入し、最後に、敷目板Bの係止部6に嵌合体Cの係合片17を係合して一体化するものである。
【0024】
次に施工例について簡単に説明する。いま図1に示すような防水継手材Aと、図18(a)、(b)に示すような外装材E、すなわち化粧面10の両側縁を裏面側へ折り返して形成された係合舌片14を有する外装材E、図19に示すようなシージングボードよりなる下地材Fを用いると仮定する。そこで外装材Eの一方の係合舌片14を防水継手材Aの嵌合体Cにはぜ組みになるように係止し、下地材F上に配設する。
【0025】
次に隣接させる外装材Eの係合舌片14を防水継手材Aの嵌合体Cに嵌合、係止させて配設する。また、上下の連結は図21に示すように、まず下段の外装材E1 を釘等の固定具βを用いて固定片12、下地材F1 を介して固定下地α上に固定し、次に上段の下地材F2 の下端を下段の外装材E1 の固定片12上に敷設し、下段の外装材E1 の嵌合部11に上段の外装材E2 の嵌合片13を挿入して形成するものである。このように順次行うことにより目地部9では図20、図22に示すような連結となる。このような目地部9では、内部に浸入しようとする雨水が嵌合体Cによる1次防水、防水材Dによる2次防水、雨返部2による3次防水、および突起4による4次防水の4重防水構造となり、防水性が大幅に向上する。また、防水継手材Aは外装材Eによって固定されると共に、嵌合体C自体が固定具βにより固定下地α上に固定されるため、施工性が良く、かつ、防水継手材A自身の移動がなくなる。
【0026】
以上説明したのは本発明に係る防水継手材Aの一実施例にすぎず、図23(a)〜(f)〜図25(a)、(b)に示すように形成することもできる。特に、図25(b)は固定面C1 を形成した防水継手材 Aである。
【0027】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る防水継手材によれば、▲1▼カバー材を用いる必要がないため施工性が良く、かつ、外装材の側端部を防水継手材に嵌合係止するため、防水性が向上する。▲2▼防水継手材は外装材によって固定されると共に、嵌合体の固定片が固定具により固定下地に固定されているため、釘等の打設による漏水もなく、かつ、防水継手材自身の移動、脱落がない。▲3▼外装材は防水継手材によってバックアップされている目地構造となるため、目地部の変形を阻止することができる。▲4▼嵌合体に係止片を形成したために、敷目板の馳部をカバーして馳部全体の強度と、防水性の向上が図れ、さらに下端部分の固定力が向上する。▲5▼目地部において外装材の連結部分にの外観に現れるのは嵌合体の底面のみであるので、敷目板と嵌合体を同一色としなくても良い。▲6▼敷目板を合成樹脂により形成したために柔軟性があり、防水性が向上し、金属に比較して値段が大幅に安く、設備投資額も小さくて済む。▲7▼嵌合体は金属で形成したために、強度、耐候性が向上する。▲8▼嵌合体による1次防水、防水材による2次防水、雨返部による3次防水、および突起による4重の防水構造となる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防水継手材の代表例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る防水継手材の部材である敷目板を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る防水継手材の部材である嵌合体を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る防水継手材の部材である防水材を示す斜視図である。
【図5】図1の正面図である。
【図6】図1の背面図である。
【図7】図1の右側面図である。
【図8】図1の平面図である。
【図9】図1の底面図である。
【図10】図5のa−a部断面図である。
【図11】図5のb−b部断面図である。
【図12】図3のc−c部拡大断面図である。
【図13】図3のd−d部部分拡大断面図である。
【図14】図11のe−e部部分拡大断面図である。
【図15】図11のf−f部部分拡大断面図である。
【図16】図10のg−g部部分拡大図である。
【図17】図10のh−h部部分拡大図である。
【図18】外装材の一例を示す断面図である。
【図19】下地材の一例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る防水継手材の施工状態を示す端面図である。
【図21】本発明に係る防水継手材を使用する外装材の施工状態を示す断面図である。
【図22】本発明に係る防水継手材の施工状態を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る防水継手材のその他の実施例を示す端面図である。
【図24】本発明に係る防水継手材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図25】本発明に係る防水継手材のその他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
A 防水継手材
B 敷目板
C 嵌合体
C1 固定面
D 防水材
E 外装材
F 下地材
α 固定下地
β 固定具
1 敷目部
2 雨返部
3 馳部
3a 切り欠き
4 突起
5 流水溝
6 係止部
7 係止溝
8 係止爪
9 目地部
10 化粧面
11 嵌合部
12 固定片
13 嵌合片
14 係合舌片
15 底面
16 係止舌片
17 係合片
18 立ち上がり片
19 挿入溝
20 係止片
21 平面部
Claims (1)
- 短尺板状の敷目部の下辺を屈曲させた馳部と、敷目部の上辺を馳部と逆方向に屈曲させた雨返部と、敷目部の中央部を略断面壺状に形成した係止部を間隔を有して形成し、敷目部の少なくとも両端を表面側に突出した突起を形成した合成樹脂製の敷目板と、長さが敷目部と同じ長さの短尺板状の底面と、該底面の上端を上方に挿入溝を有して突出した立ち上がり片と、底面の下端を内方にL字状に屈曲した係止片と、該底面の幅方向両側を該係止片の近傍から底面の中間部より立ち上がり片側寄りまでの範囲で折り返して出合袋状とした係止舌片と、該係止舌片上端から立ち上がり片まで底面を露出した平面部とから形成した金属製の嵌合体と、軟質の合成樹脂材よりなる防水材とからなり、該嵌合体の係合片を前記敷目板の係止部に、嵌合体の挿入溝を敷目板の雨返部に係止させて一体化し、係止舌片の上端に防水材を接着してなることを特徴とする防水継手材。
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JPH08226201A JPH08226201A (ja) | 1996-09-03 |
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