JP3546113B2 - アンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼 - Google Patents

アンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンモニアおよび水を熱媒体とした家庭用ガスエアコンディショナーなどの熱交換システムに用いられる耐食性の高いアンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用エアコンディショナーには、フロンを用いた熱交換システムが用いられてきた。フロンガスのオゾン層破壊問題を軽減するため、近年では代替フロンの適用が進みつつある。しかしながら代替フロンの地球温暖化係数が非常に大きく、将来的には環境問題として規制が加わる動きもある。この様な中、より地球環境にやさしいエアコンディショニングシステムの開発は重要な項目の一つである。フロンに代わる熱媒体の一つの可能性としてアンモニア水があるが、これは従来より大型業務用冷蔵庫などには一部用いられてきた。この場合、熱交換器が比較的大型であり、またアンモニア水にクロム酸を添加して不動態化を促進することにより厚めの普通鋼を用いた熱交換器の使用が可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
アンモニア−水系吸収冷凍機は、アンモニア水を加熱してアンモニアガスを発生させる再生器、アンモニアガスを冷水と熱交換して液化させる凝縮器、液化アンモニアを気化させると同時に温水と熱交換する蒸発器、気化したアンモニアガスを低濃度のアンモニア水に吸収させる吸収器、および付帯の熱交換器類やポンプ類などから構成される。ここで、高温高圧となる再生器においてアンモニア水による容器構成金属材料の腐食が懸念されるところであるが、従来はクロム酸をアンモニア水に添加して化学的にアノード防食することによって普通鋼でも不動態化被膜が形成され、耐久性が維持されていた。
【0004】
しかしながら、家庭用ガスエアコンディショナーにおいては、わが国の住宅事情から熱交換システムの小型化および環境問題からクロム酸使用の撤廃が必須条件となった。このため、普通鋼薄板では耐食性の観点から信頼性が不十分となる。
【0005】
そこで、本発明は、高温高圧のアンモニア−水系使用環境において、耐応力腐食割れ性および耐全面腐食性に優れた、アンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決したアンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼であって、重量%で、
C :0.030%以下、 Si:1.0%以下、
Mn:0.05%以上1.5%以下、Cr:10.0%以上25.0%以下、
Mo:3.0%以下、 Al:0.005%以上0.1%以下、
P :0.025%以下、 S :0.010%以下で、残部がFeと不可避的不純物からなることを特徴とする。
上記構成には、さらに必要に応じて、Ti:0.23%以上0.5%以下を含有させることは耐食性のより一層の向上に好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に至った知見について説明する。
高温高圧アンモニア−水系の使用環境において母材ステンレス鋼板に懸念される事項は、応力腐食割れ、および高温高圧水の中での水によるステンレス鋼の全面腐食である。
【0008】
まずはじめに、汎用オーステナイト系ステンレスであるSUS304鋼を応力腐食割れ試験した。試験は、高温高圧アンモニア水環境での低歪速度引張試験により応力腐食割れ性を評価した。その低歪速度引張試験は、オートクレープ付き小型サート試験機により行い、試験条件としては実機アンモニアガスエアコンの再生器の状況を想定し150℃、30%アンモニア水環境(約20気圧)の中で、腐食反応が機械的変形速度より十分早く起こるように低い歪速度である10−5sec−1にて引張を加えた。応力腐食割れ感受性の評価は、破断試験片のSEM観察により行った。
【0009】
その結果、当該環境においてSUS304鋼は応力腐食割れが生じていた。これは当該環境でアノードパス型の応力腐食割れが発生し得ることを意味し、オーステナイト系ステンレス鋼の使用に警鐘を鳴らす結果である。なお、Moを含有したより高耐食のSUS316鋼には応力腐食割れが観察されなかったが、コストアップ要因となるためより安価なフェライト系ステンレス鋼の適用可能性を追及することとした。
【0010】
次に、表1に示すフェライト系ステンレス鋼の鋼種A,B,Cについて上述の応力腐食割れ試験を実施したところ、割れ感受性は全く無いことが明らかとなった。このことは、アンモニアガスエアコン熱交換器の構成材料として信頼性が高いのはフェライト系ステンレス鋼であることを意味している。このような環境条件における各種ステンレス鋼の応力腐食割れ感受性の系統的調査は前例はなく、本発明に至る新知見の一つである。
【0011】
さらには、表1の鋼種D,E,FおよびGの成分系の合金を実験室的に溶製し、すなわちMo量を0〜3%に変化させ、Cr量を8〜25%の範囲で変化させて添加し、熱延−冷延−酸洗−スキンパス圧延した後に全面腐食試験を行った。全面腐食性試験は、再生器の状況を想定した150℃、30%アンモニア水環境(約20気圧)の中に各種合金を100日間浸漬し、その表面の腐食生成物の状況を目視観察した。
【0012】
観察では、表面に形成される黒色酸化物被膜の生成度を黒色化度で評価した。完全に黒色化していたものを×、軽微に黒色化していたものを△、ほとんど黒色化していないものを○として、評価結果を表2に示した。△と○を良と判断した。表2より、CrとMoを適量範囲において複合添加することの効果が明確にできた。この結果が本発明をなすに至ったもう一つの新知見である。
【0013】
【表1】
Figure 0003546113
【0014】
【表2】
Figure 0003546113
【0015】
本発明は、上記知見に基づくものであって、本発明鋼の成分の限定理由についてさらに詳しく説明する。
C:Cは、熱交換システムを構築する上で避けることができない溶接を行うにあたって、熱影響を受ける部位でCr23なる化合物が生じ、周囲のクロムを取り込んでクロム欠乏層を形成させることが知られている。その意味でC含有量は少なければ少ないほどよい。また、加工性、靭性の観点からもCは低い方がよいが、一方であまり低くしすぎると製鋼時間が長くなりコストアップとなる。耐食性を優先しつつこれらのことを鑑み、C:0.030%以下と限定した。
【0016】
Si:Siは、脱酸作用があるが、0.01%未満では効果は期待できない。また、1.0%を超えると加工性を著しく阻害する。そこで上限値を1.0%と限定した。
Mn:Mnは高温高圧アンモニア−水系環境において耐食性に対し特別な影響を与えることは無いので、通常の成分範囲として0.05%以上1.5%以下と限定した。
【0017】
Cr:Crは、高温高圧アンモニア−水系環境における耐応力腐食割れ性や耐全面腐食性のために下限値を10%とした。また上限値はコスト的観点から25%とした。
Mo:Moは、Crと同様に、耐応力腐食割れ性や耐全面腐食性のために添加するが、多すぎてもコスト上昇するので上限を3%とした。
【0018】
Al:Alは、脱酸剤として0.1%以下の範囲で添加される。効果が出始めるのが0.005%からであり、0.1%を超えると耐食性が劣化する。そこで0.005%以上0.1%以下と限定した。
P:Pは、ステンレス鋼の耐食性を低下させる元素であるので少ない方がよい。0.025%を超えると耐食性の劣化が顕著となるのでこの値を上限値とした。
S:Sも耐食性を劣化させる元素であるので低い方がよい。上限値を0.010%とした。
【0019】
上記の本発明鋼成分には、さらにTiを添加するのが好ましい。
Tiは、CまたはNを固定し、ステンレス鋼の耐食性の劣化を防ぐために、0.23%以上とした。しかしながら、0.5%以上添加すると熱間加工性を劣化させるので0.5%を上限とした。
【0020】
【実施例】
本発明の実施例として、表2の実験結果から軽微な黒色化が観測された鋼種を用い、アンモニアガスエアコンのモデル器を作製した。積層型熱交換器は、0.3mm厚さの鋼板に穴開け加工されたステンレス鋼板を積層して相互にロウ付け接合して製作し、また再生器の熱媒体流路は0.5mm厚さの鋼板から電気抵抗溶接により製造したパイプを加工して製作し、実機システムに組み込んだ。100日間の連続運転を行ったところ、腐食現象に伴う水素ガス発生による、内部圧力上昇が初期にわずかに観測されたものの、その後圧力上昇は停滞したため、十分使用可能との判断を得た。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、主としてCrとMoを適量範囲で複合添加することにより、例えば150℃、30%アンモニア水の環境下において優れた耐応力腐食割れ性と耐全面腐食性をともに具備したステンレス鋼が得られ、アンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用として供されることにより地球環境保全や温暖化防止に寄与できる。

Claims (2)

  1. 重量%で、
    C :0.030%以下、
    Si:1.0%以下、
    Mn:0.05%以上1.5%以下、
    Cr:10.0%以上25.0%以下、
    Mo:3.0%以下、
    Al:0.005%以上0.1%以下、
    P :0.025%以下、
    S :0.010%以下、
    残部がFeと不可避的不純物からなることを特徴とするアンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼。
  2. さらに、重量%で、Ti:0.23%以上0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1記載のアンモニア−水系吸収サイクル熱交換器用ステンレス鋼。
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