JP3546035B2 - 酵素を使用した大豆の加工方法により得られる液状加工大豆、および同加工大豆を含む食品 - Google Patents
酵素を使用した大豆の加工方法により得られる液状加工大豆、および同加工大豆を含む食品 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素を使用した大豆の加工方法、特に、Bacillus属の微生物の産生するペクチナーゼを使用して大豆細胞を効率よく単細胞に分離するステップを含む大豆の加工方法により得られる液状加工大豆、および同加工大豆を含む食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大豆は、ミラクルクロップと云われ、たんぱく質、糖質および脂質をバランスよく含むと共に、ビタミンも豊富な栄養的に優れた食品素材である。特に、たんぱく質は”畑の肉”といわれるほど良質である。
【0003】
また、大豆には、天然イソフラボンが含まれている。近年、このイソフラボンは女性ホルモンに似た作用があって、体内のカルシウムの溶出を抑え、急増する骨粗しょう症の予防に有効であることが注目を集めている。さらに、イソフラボンは、更年期障害およびガンに対しても改善/予防効果があると云われている。その他、大豆にはサポニン、ペプチド、レシチン等の生活習慣病(成人病)の予防に効果があると云われている成分も多く含まれている。
【0004】
しかし、大豆は組織が硬いため、煮豆やいり豆等として食する場合は人体への消化吸収率が低い。そのため、大豆を加熱した後すり潰す等して加工食品とすることにより消化吸収率の改善が行われている。現在の大豆加工食品としては、大豆をすり潰し、加熱後濾過して得られる豆乳や、豆乳にたんぱく質凝固剤を添加し、豆乳中の栄養成分をたんぱく質と一緒に凝固させて得られる豆腐などがある。また、大豆から油脂だけを抽出すれば大豆油が得られる。
【0005】
このように大豆を加工することによって消化吸収率が改善され、種々の食感や味を楽しみながら大豆を食することができるようになった。しかし、豆乳や豆腐等の加工にあたっては、主として水溶性たんぱく質と乳化した油脂が利用され、その他はおから(絞り粕、大豆の約30〜50%)として捨てられる。また、大豆油についても、大豆全体の20%の油をとった残りは、大豆粕として家畜の飼料や農地の肥料としてほとんどが使用されている。将来、食料問題がより深刻になると予測される中で、このような栄養価の高い大豆を丸ごと全て食品素材として加工する技術の開発は、人類の食料問題にとって重要な課題の一つである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、大豆あるいは大豆粕を機械的に破砕し、粉状にして使用することも試みられているが、大豆細胞が破壊されるために大豆独特の匂いが残り、その他の食品に混ぜて使用する場合においてさえ、その食品本来の味を阻害するので、その利用範囲と使用量には限界があった。又、大豆粕から抽出された大豆タンパクが加工食品に利用されているが、その場合も大豆臭が強く、その利用には限界がある。結果的に、大豆粕のほとんどが飼料や肥料に使用されているのが現状である。
【0007】
例えば、日本公開特許公報61−219347号は、大豆の分解物およびその製造方法について開示している。この方法においては、大豆を粉砕した後で水を加え、粉砕された大豆を含むスラリーを作成する。次に、このスラリーを60〜100℃で5〜180分間加熱し、高圧(100〜800kg/cm2)で均質化する。このように均質化されたものを枯草菌Bacillus subtilisの産生する中性プロテアーゼ(蛋白およびペプチドのペプチド結合を分解する酵素)を用いて加水分解反応を行う。この反応液を加熱して所定時間保持することにより酵素作用を失活させた後、噴霧乾燥法により乾燥して大豆の分解物が得られる。
【0008】
この方法によれば、大豆の全成分を利用することができるとともに人体への消化吸収率を改善することができる。しかしながら、大豆の粉砕処理及び高圧下で実施される均質化処理により大豆細胞が破壊されるため、細胞内成分に由来する大豆独特の匂いが得られた分解物に残留するという問題がある。
【0009】
また、日本公開特許公報8−89197号は、豆乳などの大豆加工食品の製造方法について開示している。この方法においては、大豆に水を添加し、室温下で所定時間放置した後、プロトペクチナーゼを添加して混合物を得る。この混合物を攪拌しながら室温(例えば、28℃)下で長時間(例えば、8時間)保持することにより酵素処理が実施される。酵素処理後、大豆を濾過することにより豆乳が得られる。この酵素処理に使用可能な酵素として、プロトペクチナーゼとペクチンエステラーゼ、ペクチンポリガラクツロナーゼあるいはポリガラクツロナーゼとの混合物を使用しても良いことが記載されている。
【0010】
この方法によれば、大豆細胞が破壊されることなく、蛋白質や脂肪等の栄養成分を細胞壁に包み込んだままの状態で単細胞に分離することができ、細胞内成分に由来する大豆独特の匂いの問題を解消することができる。しかしながら、大豆を単細胞に分離する酵素処理は必ずしも満足のいくものではなかった。例えば、上記した酵素の使用による酵素処理は、室温付近で行われるため雑菌が繁殖しやすく、発酵による匂いや泡の発生が問題となる。また、酵素処理を完了するまでにかかる時間が非常に長いため、工業的な利用においては生産効率が低いという問題もある。
【0011】
また、日本特許公報42−22169号は、豆類からの易分散性粉末食品の製造方法について開示している。この方法においては、予め水に浸漬した大豆にRhizopus属の微生物が産生するプロトペクチナーゼを添加して酵素処理を実施する。酵素処理した大豆を濾過によって分離した後、凍結乾燥法により乾燥して粉末食品が得られる。この酵素処理に使用可能な酵素として、Aspergillus属やPenicillium属の微生物が産生するプロトペクチナーゼを使用しても良いことが記載されている。
【0012】
しかしながら、この方法においても、日本公開特許公報8−89197号において述べたのと実質的に同様の問題点がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題点に鑑みて、本発明の目的は、大豆の全成分を使用して、人体への消化吸収率が高く、大豆独特の匂いがほとんどない大豆加工食品を効率よく製造することができる酵素を使用した大豆の加工方法を提供することである。
【0014】
本発明の大豆の加工方法は、以下の工程に特徴を有する。すなわち、大豆を水に浸漬した後、水の存在下で大豆を加熱する。加熱した大豆を冷却した後、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加して混合物を得る。この混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する。酵素処理が終了した後、ペクチナーゼを失活させることにより大豆の単細胞が分散する液状加工大豆を得ることができる。したがって、本発明の加工方法によれば、液状加工大豆を提供することができる。
【0015】
上記した本発明の大豆加工方法は、以下の効果を奏するものである。
1.Bacillus属の微生物の産生するペクチナーゼを使用することにより、大豆細胞を従来に比して極めて短時間で単細胞に分離することができる。また、分離された大豆細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷が少なく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆単細胞である。
2.Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用しているので、約60℃の高温で実施でき、Rhizopus属等の微生物が産生する酵素を使用した酵素処理に比べて雑菌の繁殖を抑えることができる。したがって、新鮮な大豆細胞を得る上で有利である。さらに、pHが7〜8の中性から弱アルカリ性で高い酵素活性を示すので、pH調整剤等を添加することなく酵素処理を行うことができる。
【0016】
本発明のさらなる目的は、上記した本発明の液状加工大豆を他の食品素材に添加して製造される加工食品を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明の詳細な説明および実施例から理解されるだろう。
【0019】
以下、本発明の酵素を使用した大豆の加工方法について詳細に説明する。
【0020】
まず、所定量の大豆を水洗した後、大豆を水に浸漬する。この工程は、大豆の個々の細胞内に十分量の水分を供給し、後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。浸漬時間は、特に限定されるものではないが、12〜15時間とすることが好ましい。尚、この浸漬ステップにおいて、後述する酵素処理に使用されるペクチナーゼを前もって微量添加した水を使用しても良い。
【0021】
次に、大豆を水の存在下で加熱する。このステップは、大豆に含まれるリポキシゲナ―ゼの作用を失活させるとともに、大豆タンパクを熱変性させて人体への消化吸収性を改善し、さらに細胞間物質を軟化させて後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。これらの目的を効率良く達成する上で、大豆を蒸煮することが特に好ましい。蒸煮条件としては、例えば、圧力鍋等を使用して120℃で10分間蒸煮することが好ましい。
【0022】
蒸煮した大豆を所定温度に冷却した後、水およびBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加して第1混合物を得る。蒸煮した大豆は、酵素処理が実施される温度、例えば、約60℃に冷却することが好ましい。また、大豆の加工に際してできるだけ廃棄物あるいは排水を出さないゼロエミッションの観点から、および浸漬工程中に大豆から流出した微量の大豆成分(主として蛋白質)さえ捨てることなく使用する観点から、大豆に添加される水は、前述した浸漬工程において使用済みの水を利用することが好ましい。また、添加する水の量は、蒸煮後の大豆重量とほぼ同量とすることが好ましい。一方、ペクチナーゼの添加量は、浸漬工程前の大豆重量に対して0.05〜0.2wt%、特に0.1wt%程度とすることが好ましい。
【0023】
この第1混合物を攪拌しながら、例えば、60℃で30分間保持することにより酵素処理を実施する。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼの酵素活性は、60℃で最も高いことが予備実験によって確認されている。酵素処理中、Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼが、大豆の細胞同士を結合するペクチン質であるプロトペクチンに対して強力に作用するので、大豆細胞壁を破壊することなく単細胞に分離することができる。
【0024】
尚、攪拌は大豆細胞を破壊するような強力なものではあってはならない。例えば、第1混合物中において攪拌翼を20〜30回転/分程度の速度で回転させるようなソフトな条件を採用することが好ましい。このような条件であれば、分離された大豆の単細胞を攪拌によってほぐしながら、大豆細胞に対して均一にペクチナーゼを作用させることができるので、酵素処理をよりスムーズに実施することができる。この酵素処理により大豆の単細胞が分散するスラリーが得られる。
【0025】
次に、ペクチナーゼの酵素作用を失活させるために、スラリーに熱処理を施す。例えば、約100℃、15分間スラリーを加熱することが好ましい。
【0026】
ペクチナーゼの酵素作用を失活させるためにスラリーに熱処理を施した段階で工程を中止することにより大豆単細胞が分散するスラリー(ピューレ)が得られるので、このスラリーを液状加工大豆として使用することができる。このようにして得られたスラリーは、冷凍保存した後に解凍しても、あるいはレトルト殺菌(例えば、120℃、20分)を施しても、大豆細胞が破壊されないという大きな特徴を具備している。
【0027】
図1及び図2に示すように、得られた大豆単細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷がなく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆細胞の集まりであることがわかる。
【0028】
本発明の加工方法により得られる液状加工大豆は、そのままで使用する場合は、食品素材、ダイエット食品あるいは非常食等として利用することができる。前述したように、大豆は、たんぱく質、糖質および脂質をバランスよく含むと共に、ビタミンも豊富な栄養的に優れた食品であるので、緊急時や災害時等の救援物資や、子供の学校給食の素材や家庭料理用としての利用だけでなく、将来的には宇宙食等への利用も期待される。また、本発明の加工方法によれば大豆を無駄なく丸ごと食品化できるので、将来の食糧問題を解消する有力な手段の一つとなるだろう。
【0029】
さらに、本発明の大豆加工方法により得られる液状加工大豆は、他の食品素材と混合して使用することも好ましい。特に、従来は、大豆独特に匂いのためにその栄養価が高いにもかかわらず他の食材への利用が制限されていた。しかしながら、本発明の液状加工大豆は、人体への高い吸収率を有するとともに大豆独特の匂いがほとんど無いので、種々の食品に対しての利用が可能となった。
【0030】
例えば、本発明の液状加工大豆を使用して、食パン、菓子類、麺等の小麦粉利用食品、ハンバーグやミーとボール等の加工肉食品、マヨネーズ、ドレッシング、餡、クリーム、ジャム、カレー、スープ、アイスクリーム、シャーベット等を作成することが好ましく、このようにして得られた食品を食することにより、消費者は、大豆の匂いを気にすることなく栄養価の高い大豆成分を異なる味覚や食感を楽しみながら摂取することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を好ましい実施例に基づいて説明する。
【0032】
(実施例1)
1.1kgの乾燥大豆を水洗した後、水中に12時間浸漬した。次に、浸漬に使用した水を捨てることなく、大豆を水から引き上げた。この時、大豆は水分を吸収して膨潤し、全重量が2.2kgになっていた。次に、圧力鍋を使用して120℃、1.1kg/cm2、10分間の条件で大豆を蒸煮した。蒸煮した大豆を60℃に冷却した後、浸漬に使用した水2.2kgおよび乾燥大豆の重量に関して0.1wt%のBacillus属の微生物が産生したペクチナーゼ(ナガセ生化学社製)とを大豆に添加して第1混合物を得た。
【0033】
この第1混合物を攪拌しながら、60℃で30分間保持することにより酵素処理を実施した。攪拌は、攪拌翼を30回転/分の速度で回転させて行った。この酵素処理後、大豆細胞の単細胞への分離状態を調べるために顕微鏡観察を実施した。30分の酵素処理によりほぼ完全に大豆細胞が単細胞に分離されていることが確認され、酵素処理は30分行えば十分であることが分かった。また、分離された個々の大豆細胞は、ダメージを受けることなく健全な状態にあり、その分散状態も良好であった。このようにして、大豆の単細胞が分散するスラリー(液状加工大豆)が得られた。表1にこのスラリーの分析結果を示す。
【0034】
次に、ペクチナーゼの酵素作用を失活させるために、スラリーを100℃で15分間加熱した。次に、1.1kgのエンドウ豆の粉末をスラリーに添加して第2混合物を得た。エンドウ豆の粉末は以下の工程により作成した。すなわち、えんどう豆を水で洗浄した後、水中に14℃で16時間浸漬した。次に、えんどう豆を常圧下で30分間煮熱した。煮熱によりえんどう豆から出た”あく”を除去した後、110℃で1時間保持した。この加熱処理後、水切りし、ロールを使用して磨砕した。磨砕したえんどう豆を篩に通してスラリーを得た。このスラリーに水を加えて上澄みを除去した後、水分が63〜68%程度になるように遠心脱水装置を使用して脱水処理し、さらに気流乾燥法により乾燥してエンドウ豆の粉末を得た。
【0035】
次に、第2混合物を気流乾燥法により120℃、5秒の条件で乾燥した。このようにして、本発明の実施例1に基づく粉状加工大豆を得た。得られた粉状加工大豆の顕微鏡写真を図1および図2に示す。また、表1に得られた粉状加工大豆の分析結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
洗浄した大豆1kgに5kgの水を加え、室温で12時間浸漬処理した。次に、Rhizopus属の微生物が産生するペクチナーゼを6g添加し、攪拌しながら28℃で8時間酵素処理を行った。尚、酵素処理温度を60℃とした場合には、ペクチナーゼの酵素作用が失活して酵素処理を所定時間内に完了できなかった。顕微鏡により大豆細胞の単細胞への分離状態を観察した結果、大豆細胞を単細胞にほぼ完全に分離するには少なくとも8時間必要であることがわかった。
【0038】
以上のように、比較例1では酵素処理に非常に長い時間を必要としており、得られた大豆の単細胞への分離状態も必ずしも満足の行くものではなかった。さらに、室温下での長時間にわたる酵素処理によって雑菌の繁殖が懸念される。
【0039】
(実施例2)
イーストフードを使用することなく、実施例1によって得られた粉状加工大豆を使用して表2及び表3に示す条件に基づいて食パンを作成した。表2には、パン生地の配合組成を示し、表3には、生地の加工条件および実験結果を示す。図3に、実施例3の食パンの光学顕微鏡写真を示す。これは、焼き上がった食パンを水に溶解して、その溶解液を光学顕微鏡で観察したものである。分離された個々の大豆細胞がパンの焼き上がりの後でも良好な状態で存在していることが分かる。尚、比較例2として、実施例1によって得られた粉状加工大豆を使用することなく、イーストフードを所定量添加して表2及び表3に示す条件に基づいて食パンを作成した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
実施例2においては、粉状加工大豆を48g添加したので、粉状加工大豆に吸収される水分量を考慮して水の添加量を96g(粉状加工大豆の重量の2倍量)だけ比較例2における水の添加量より多くした。したがって、比較例2では、小麦粉重量に対する水重量の比が63%であり、実施例2では、小麦粉重量に対する水重量の比が69%であった。このように、粉状加工大豆を小麦粉に対する重量比で3%(48g)添加することにより、パン生地への吸水率を6%増やすことができた。尚、工程中は生地の状態も良く、6%の水分(96g)は大豆細胞内に吸収されたと考えられる。
【0043】
食パンの特性評価は、食パンの焼きあがり前後における重量変化率に基づいて行われた。表3に示すように、実施例2における重量変化率が90.9%であるのに対して、比較例2の場合は89.7%であった。この重量変化率の差、すなわち1.2%(90.9−89.7)は、パンを焼き上げる工程において、窯の中で失われる水分が実施例2において少ないことを示している。換言すれば、大豆の単細胞内に蓄えられた水分が蒸散しにくく、結果的に歩留りを改善できることを示している。
【0044】
パン業界では、おいしいパンを作るためには原料の小麦粉デンプンのα化(βデンプンからαデンプンへの変換率)を高めることが重要であり、そのためには生地の吸水率を高めることと焼き上げ時にパンの中心温度を高めることが有効であると考えられている。本発明の粉状加工大豆を使用すれば、上記したような吸水率を高める効果が得られるだけでなく、大豆の細胞内に蓄えられた水分がパンの焼き上げ工程中に蒸散しにくいために熱の伝播の役割を担ってパンの中心温度を高める効果も得られる。
【0045】
また、食パンに含まれる水分は大別すると、パン原材料の各分子と結合している「結合水」と各分子間に存在する「遊離水」であるが、本発明の粉状加工大豆を含有する食パンは、上記水分に加えて大豆細胞内に蓄えられた細胞内水分(本明細書においては、”セルウォーター”と命名する)を含むので、食パンの保水率を改善することができる。実施例2において焼き上がった食パンの水分残存率が高いことは、比較例2のパンに比して実施例2の食パンが保水性の良いソフトなパンであることを示している。
【0046】
尚、実施例2に示すように、食パンに3%の本発明の粉状加工大豆を添加した場合、1枚の食パン(約15cmx約15cmx約1.5cm形状の食パン)に大豆にしておよそ5粒が混入されることになり、細胞数としては、約1億5千万個も含まれることになる。その個々の大豆細胞が細胞内水分を含むカプセル状態であるので、大豆独特の匂いもなく、食パンの高い保水性を達成できる。これにより、食パンのおいしさを長持ちさせることができるとともにソフトな食感を提供することができる。
【0047】
また、実施例2においては、小麦粉1600gに対して本発明の粉状加工大豆48gと水98gを添加したため生地の総重量は3004.8gであった。これに対して、比較例2においては、同じ小麦粉1600gを使用して2862.4gの生地が得られた。したがって、実施例2においては、同じ量の小麦粉から142.4g(3004.8−2862.4)だけ余分にパン生地が得られたことになる。このように、本発明の僅かな量の粉状加工大豆を使用することによって、従来と同じ小麦粉の量から粉状加工大豆の添加量を上回るより多くのパン生地が得られるので、大豆で栄養が補給されたソフトな食感を有する食パンをより安価に消費者に提供できる。
【0048】
さらに、比較例2に使用されたイーストフードや乳化剤等の添加物を使用することなくパンを製造することができるので、健康に注意している消費者に対して最適な健康食品を提供することができる。
【0049】
大豆には人体の必須アミノ酸であるリジンも多く含まれている。リジンを含有する食パンを製造するために、従来、大豆を粉末状にして食パンに混ぜることが試みられたが、いずれも大豆独特の匂いのため味が劣化し、実用に至らなかった。しかしながら、本発明の加工方法により得られた加工大豆は、大豆細胞が破壊されることなく健全な状態に保たれているので大豆臭がほとんどなく、食パンに混入しても味が低下することがないので、リジンを含有するおいしい食パン製造するのに最適である。
【0050】
(実施例3)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用して麺を作成した。粉状加工大豆の添加量は、小麦粉を含む原料粉体成分の全量に対して5%とした。粉状加工大豆を添加しないで麺を作成した場合(比較例3)と比較すると、粉状加工大豆の添加により実施例3においては、小麦粉重量に対して約4%加水量を増加することができた。粉状加工大豆を添加して作成した麺は、製麺時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられず、比較例3の麺と実質的に同じ味であった。また、即席麺として使用するために麺を油で揚げた。この時、通常の麺(比較例3)を揚げる際の油の温度(140℃)よりも10℃低い油の温度であっても従来とほぼ同等の結果が得られた。油の温度を下げることによりエネルギーコストを削減できるとともに、麺に対する油の付着量が少なくなり低カロリーの麺ができる。また、130℃の油で揚げた実施例3の麺は、140℃の油で揚げた比較例3の麺に比較して水分量が約1.4%高かった。上記の結果のとおり、本発明の粉状加工大豆の添加によって、加水量の増加と大豆臭を伴うことなく大豆による麺の栄養強化を図ることができた。
【0051】
(実施例4)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用して野菜入りハンバーグを作成した。食品素材の配合量を表4に示す。ジャガイモは、洗って皮ごとゆでて粗く潰した。生しいたけは、軸を取って薄切りにした。ほうれん草はゆでて細かく刻み、水気を絞った。次に、牛ひき肉に上記の予備調理した食材および卵、パン粉、牛乳、粉状加工大豆を入れ、さらに塩、サラダ油および胡椒を加え、良く混ぜた。得られたものを所定の形状に整えて、油を敷いたフライパン上に置き、弱火で3〜4分焼き、裏返して蓋をし、さらに15分焼くことにより野菜入りハンバーグを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点と牛乳の添加量が実施例4の場合の1/2であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例4の野菜入りハンバーグを作成した。
【0052】
実施例4のハンバーグは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられなかった。また、大豆添加によりハンバーグの栄養強化を達成できた。焼き上がった実施例4のハンバーグは、比較例4のものに比べてドリップが少なく、ジューシーでまろやかな味であり、冷めても硬くならなかった。
【0053】
【表4】
【0054】
(実施例5)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用してマヨネーズを作成した。食品素材の配合量を表5に示す。乾いたボウルに卵黄を入れ、胡椒、塩、粉状加工大豆を入れて泡だて器でよく混ぜた。次に、サラダ油を数滴づつ加えながら泡だて器で混ぜた。さらに、クリーム状になってきたら酢を加えてよく混ぜた。サラダ油を全て添加し終わるまで混合を継続した。このようにして、粉状加工大豆を含むマヨネーズを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点と酢の添加量が実施例5の場合の約2/3であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例5のマヨネーズを作成した。
【0055】
実施例5のマヨネーズは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられなかった。また、実施例5のマヨネーズは、比較例5のものに比べて味がまろやかで旨味があり、大豆添加による栄養強化がなされるとともに大豆の繊維が含まれた健康食品であるので、体重や体型に気を配る女性への利用が期待される。
【0056】
【表5】
【0057】
(実施例6)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用してフレンチドレッシングを作成した。食品素材の配合量を表6に示す。乾いたボウルに塩、胡椒、粉状加工大豆を入れ、ワインビネガーを加えて良くかき混ぜて溶かした。次に、泡だて器で良くかき混ぜながらさらだ油を少しづつ加えた。乳白色になり適切な粘度になるまでよく混ぜ合わせた。このようにして、粉状加工大豆を含むフレンチドレッシングを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点とワインビネガーの添加量が実施例6の場合の2/3であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例6のフレンチドレッシングを作成した。
実施例6のフレンチドレッシングは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられず、比較例6のものに比べて味がまろやかで旨味のあるドレッシングであった。また、大豆添加によりフレンチドレッシングの栄養強化を達成できた。
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】
以上、要約すると、本発明の大豆の加工方法および同方法によって得られた加工大豆は以下の特徴を奏するものである。
1.Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用した酵素処理により大豆が細胞単位に分離されているため、大豆特有の匂いがほとんどなく、あらゆる分野の食品素材として利用できる。
2.分離された個々の大豆細胞内に蓄えられた水分として定義される”セルウォーター”は蒸散しにくく、保水性に優れるので、他の添加物を使用することなく食品の保水性を高めることができ、結果的に食品の劣化を防止することができる。3. Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用することにより、従来に比して極めて短時間で酵素処理を完了することができるので、工業的に大量生産が可能となると共に製造コストの低減を図ることができ、食品素材としての利用範囲が広い。
4.バイオマスの観点から、本発明の加工方法は、あらゆる食物や穀物に利用可能であり、将来の世界的な食料問題の解決に貢献できる技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく大豆の加工方法により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡写真(低倍率)である。
【図2】本発明に基づく大豆の加工方法により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡写真(高倍率)である。
【図3】本発明の粉状加工大豆を使用して製造された食パンの光学顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素を使用した大豆の加工方法、特に、Bacillus属の微生物の産生するペクチナーゼを使用して大豆細胞を効率よく単細胞に分離するステップを含む大豆の加工方法により得られる液状加工大豆、および同加工大豆を含む食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大豆は、ミラクルクロップと云われ、たんぱく質、糖質および脂質をバランスよく含むと共に、ビタミンも豊富な栄養的に優れた食品素材である。特に、たんぱく質は”畑の肉”といわれるほど良質である。
【0003】
また、大豆には、天然イソフラボンが含まれている。近年、このイソフラボンは女性ホルモンに似た作用があって、体内のカルシウムの溶出を抑え、急増する骨粗しょう症の予防に有効であることが注目を集めている。さらに、イソフラボンは、更年期障害およびガンに対しても改善/予防効果があると云われている。その他、大豆にはサポニン、ペプチド、レシチン等の生活習慣病(成人病)の予防に効果があると云われている成分も多く含まれている。
【0004】
しかし、大豆は組織が硬いため、煮豆やいり豆等として食する場合は人体への消化吸収率が低い。そのため、大豆を加熱した後すり潰す等して加工食品とすることにより消化吸収率の改善が行われている。現在の大豆加工食品としては、大豆をすり潰し、加熱後濾過して得られる豆乳や、豆乳にたんぱく質凝固剤を添加し、豆乳中の栄養成分をたんぱく質と一緒に凝固させて得られる豆腐などがある。また、大豆から油脂だけを抽出すれば大豆油が得られる。
【0005】
このように大豆を加工することによって消化吸収率が改善され、種々の食感や味を楽しみながら大豆を食することができるようになった。しかし、豆乳や豆腐等の加工にあたっては、主として水溶性たんぱく質と乳化した油脂が利用され、その他はおから(絞り粕、大豆の約30〜50%)として捨てられる。また、大豆油についても、大豆全体の20%の油をとった残りは、大豆粕として家畜の飼料や農地の肥料としてほとんどが使用されている。将来、食料問題がより深刻になると予測される中で、このような栄養価の高い大豆を丸ごと全て食品素材として加工する技術の開発は、人類の食料問題にとって重要な課題の一つである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、大豆あるいは大豆粕を機械的に破砕し、粉状にして使用することも試みられているが、大豆細胞が破壊されるために大豆独特の匂いが残り、その他の食品に混ぜて使用する場合においてさえ、その食品本来の味を阻害するので、その利用範囲と使用量には限界があった。又、大豆粕から抽出された大豆タンパクが加工食品に利用されているが、その場合も大豆臭が強く、その利用には限界がある。結果的に、大豆粕のほとんどが飼料や肥料に使用されているのが現状である。
【0007】
例えば、日本公開特許公報61−219347号は、大豆の分解物およびその製造方法について開示している。この方法においては、大豆を粉砕した後で水を加え、粉砕された大豆を含むスラリーを作成する。次に、このスラリーを60〜100℃で5〜180分間加熱し、高圧(100〜800kg/cm2)で均質化する。このように均質化されたものを枯草菌Bacillus subtilisの産生する中性プロテアーゼ(蛋白およびペプチドのペプチド結合を分解する酵素)を用いて加水分解反応を行う。この反応液を加熱して所定時間保持することにより酵素作用を失活させた後、噴霧乾燥法により乾燥して大豆の分解物が得られる。
【0008】
この方法によれば、大豆の全成分を利用することができるとともに人体への消化吸収率を改善することができる。しかしながら、大豆の粉砕処理及び高圧下で実施される均質化処理により大豆細胞が破壊されるため、細胞内成分に由来する大豆独特の匂いが得られた分解物に残留するという問題がある。
【0009】
また、日本公開特許公報8−89197号は、豆乳などの大豆加工食品の製造方法について開示している。この方法においては、大豆に水を添加し、室温下で所定時間放置した後、プロトペクチナーゼを添加して混合物を得る。この混合物を攪拌しながら室温(例えば、28℃)下で長時間(例えば、8時間)保持することにより酵素処理が実施される。酵素処理後、大豆を濾過することにより豆乳が得られる。この酵素処理に使用可能な酵素として、プロトペクチナーゼとペクチンエステラーゼ、ペクチンポリガラクツロナーゼあるいはポリガラクツロナーゼとの混合物を使用しても良いことが記載されている。
【0010】
この方法によれば、大豆細胞が破壊されることなく、蛋白質や脂肪等の栄養成分を細胞壁に包み込んだままの状態で単細胞に分離することができ、細胞内成分に由来する大豆独特の匂いの問題を解消することができる。しかしながら、大豆を単細胞に分離する酵素処理は必ずしも満足のいくものではなかった。例えば、上記した酵素の使用による酵素処理は、室温付近で行われるため雑菌が繁殖しやすく、発酵による匂いや泡の発生が問題となる。また、酵素処理を完了するまでにかかる時間が非常に長いため、工業的な利用においては生産効率が低いという問題もある。
【0011】
また、日本特許公報42−22169号は、豆類からの易分散性粉末食品の製造方法について開示している。この方法においては、予め水に浸漬した大豆にRhizopus属の微生物が産生するプロトペクチナーゼを添加して酵素処理を実施する。酵素処理した大豆を濾過によって分離した後、凍結乾燥法により乾燥して粉末食品が得られる。この酵素処理に使用可能な酵素として、Aspergillus属やPenicillium属の微生物が産生するプロトペクチナーゼを使用しても良いことが記載されている。
【0012】
しかしながら、この方法においても、日本公開特許公報8−89197号において述べたのと実質的に同様の問題点がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題点に鑑みて、本発明の目的は、大豆の全成分を使用して、人体への消化吸収率が高く、大豆独特の匂いがほとんどない大豆加工食品を効率よく製造することができる酵素を使用した大豆の加工方法を提供することである。
【0014】
本発明の大豆の加工方法は、以下の工程に特徴を有する。すなわち、大豆を水に浸漬した後、水の存在下で大豆を加熱する。加熱した大豆を冷却した後、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加して混合物を得る。この混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する。酵素処理が終了した後、ペクチナーゼを失活させることにより大豆の単細胞が分散する液状加工大豆を得ることができる。したがって、本発明の加工方法によれば、液状加工大豆を提供することができる。
【0015】
上記した本発明の大豆加工方法は、以下の効果を奏するものである。
1.Bacillus属の微生物の産生するペクチナーゼを使用することにより、大豆細胞を従来に比して極めて短時間で単細胞に分離することができる。また、分離された大豆細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷が少なく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆単細胞である。
2.Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用しているので、約60℃の高温で実施でき、Rhizopus属等の微生物が産生する酵素を使用した酵素処理に比べて雑菌の繁殖を抑えることができる。したがって、新鮮な大豆細胞を得る上で有利である。さらに、pHが7〜8の中性から弱アルカリ性で高い酵素活性を示すので、pH調整剤等を添加することなく酵素処理を行うことができる。
【0016】
本発明のさらなる目的は、上記した本発明の液状加工大豆を他の食品素材に添加して製造される加工食品を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明の詳細な説明および実施例から理解されるだろう。
【0019】
以下、本発明の酵素を使用した大豆の加工方法について詳細に説明する。
【0020】
まず、所定量の大豆を水洗した後、大豆を水に浸漬する。この工程は、大豆の個々の細胞内に十分量の水分を供給し、後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。浸漬時間は、特に限定されるものではないが、12〜15時間とすることが好ましい。尚、この浸漬ステップにおいて、後述する酵素処理に使用されるペクチナーゼを前もって微量添加した水を使用しても良い。
【0021】
次に、大豆を水の存在下で加熱する。このステップは、大豆に含まれるリポキシゲナ―ゼの作用を失活させるとともに、大豆タンパクを熱変性させて人体への消化吸収性を改善し、さらに細胞間物質を軟化させて後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。これらの目的を効率良く達成する上で、大豆を蒸煮することが特に好ましい。蒸煮条件としては、例えば、圧力鍋等を使用して120℃で10分間蒸煮することが好ましい。
【0022】
蒸煮した大豆を所定温度に冷却した後、水およびBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加して第1混合物を得る。蒸煮した大豆は、酵素処理が実施される温度、例えば、約60℃に冷却することが好ましい。また、大豆の加工に際してできるだけ廃棄物あるいは排水を出さないゼロエミッションの観点から、および浸漬工程中に大豆から流出した微量の大豆成分(主として蛋白質)さえ捨てることなく使用する観点から、大豆に添加される水は、前述した浸漬工程において使用済みの水を利用することが好ましい。また、添加する水の量は、蒸煮後の大豆重量とほぼ同量とすることが好ましい。一方、ペクチナーゼの添加量は、浸漬工程前の大豆重量に対して0.05〜0.2wt%、特に0.1wt%程度とすることが好ましい。
【0023】
この第1混合物を攪拌しながら、例えば、60℃で30分間保持することにより酵素処理を実施する。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼの酵素活性は、60℃で最も高いことが予備実験によって確認されている。酵素処理中、Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼが、大豆の細胞同士を結合するペクチン質であるプロトペクチンに対して強力に作用するので、大豆細胞壁を破壊することなく単細胞に分離することができる。
【0024】
尚、攪拌は大豆細胞を破壊するような強力なものではあってはならない。例えば、第1混合物中において攪拌翼を20〜30回転/分程度の速度で回転させるようなソフトな条件を採用することが好ましい。このような条件であれば、分離された大豆の単細胞を攪拌によってほぐしながら、大豆細胞に対して均一にペクチナーゼを作用させることができるので、酵素処理をよりスムーズに実施することができる。この酵素処理により大豆の単細胞が分散するスラリーが得られる。
【0025】
次に、ペクチナーゼの酵素作用を失活させるために、スラリーに熱処理を施す。例えば、約100℃、15分間スラリーを加熱することが好ましい。
【0026】
ペクチナーゼの酵素作用を失活させるためにスラリーに熱処理を施した段階で工程を中止することにより大豆単細胞が分散するスラリー(ピューレ)が得られるので、このスラリーを液状加工大豆として使用することができる。このようにして得られたスラリーは、冷凍保存した後に解凍しても、あるいはレトルト殺菌(例えば、120℃、20分)を施しても、大豆細胞が破壊されないという大きな特徴を具備している。
【0027】
図1及び図2に示すように、得られた大豆単細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷がなく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆細胞の集まりであることがわかる。
【0028】
本発明の加工方法により得られる液状加工大豆は、そのままで使用する場合は、食品素材、ダイエット食品あるいは非常食等として利用することができる。前述したように、大豆は、たんぱく質、糖質および脂質をバランスよく含むと共に、ビタミンも豊富な栄養的に優れた食品であるので、緊急時や災害時等の救援物資や、子供の学校給食の素材や家庭料理用としての利用だけでなく、将来的には宇宙食等への利用も期待される。また、本発明の加工方法によれば大豆を無駄なく丸ごと食品化できるので、将来の食糧問題を解消する有力な手段の一つとなるだろう。
【0029】
さらに、本発明の大豆加工方法により得られる液状加工大豆は、他の食品素材と混合して使用することも好ましい。特に、従来は、大豆独特に匂いのためにその栄養価が高いにもかかわらず他の食材への利用が制限されていた。しかしながら、本発明の液状加工大豆は、人体への高い吸収率を有するとともに大豆独特の匂いがほとんど無いので、種々の食品に対しての利用が可能となった。
【0030】
例えば、本発明の液状加工大豆を使用して、食パン、菓子類、麺等の小麦粉利用食品、ハンバーグやミーとボール等の加工肉食品、マヨネーズ、ドレッシング、餡、クリーム、ジャム、カレー、スープ、アイスクリーム、シャーベット等を作成することが好ましく、このようにして得られた食品を食することにより、消費者は、大豆の匂いを気にすることなく栄養価の高い大豆成分を異なる味覚や食感を楽しみながら摂取することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を好ましい実施例に基づいて説明する。
【0032】
(実施例1)
1.1kgの乾燥大豆を水洗した後、水中に12時間浸漬した。次に、浸漬に使用した水を捨てることなく、大豆を水から引き上げた。この時、大豆は水分を吸収して膨潤し、全重量が2.2kgになっていた。次に、圧力鍋を使用して120℃、1.1kg/cm2、10分間の条件で大豆を蒸煮した。蒸煮した大豆を60℃に冷却した後、浸漬に使用した水2.2kgおよび乾燥大豆の重量に関して0.1wt%のBacillus属の微生物が産生したペクチナーゼ(ナガセ生化学社製)とを大豆に添加して第1混合物を得た。
【0033】
この第1混合物を攪拌しながら、60℃で30分間保持することにより酵素処理を実施した。攪拌は、攪拌翼を30回転/分の速度で回転させて行った。この酵素処理後、大豆細胞の単細胞への分離状態を調べるために顕微鏡観察を実施した。30分の酵素処理によりほぼ完全に大豆細胞が単細胞に分離されていることが確認され、酵素処理は30分行えば十分であることが分かった。また、分離された個々の大豆細胞は、ダメージを受けることなく健全な状態にあり、その分散状態も良好であった。このようにして、大豆の単細胞が分散するスラリー(液状加工大豆)が得られた。表1にこのスラリーの分析結果を示す。
【0034】
次に、ペクチナーゼの酵素作用を失活させるために、スラリーを100℃で15分間加熱した。次に、1.1kgのエンドウ豆の粉末をスラリーに添加して第2混合物を得た。エンドウ豆の粉末は以下の工程により作成した。すなわち、えんどう豆を水で洗浄した後、水中に14℃で16時間浸漬した。次に、えんどう豆を常圧下で30分間煮熱した。煮熱によりえんどう豆から出た”あく”を除去した後、110℃で1時間保持した。この加熱処理後、水切りし、ロールを使用して磨砕した。磨砕したえんどう豆を篩に通してスラリーを得た。このスラリーに水を加えて上澄みを除去した後、水分が63〜68%程度になるように遠心脱水装置を使用して脱水処理し、さらに気流乾燥法により乾燥してエンドウ豆の粉末を得た。
【0035】
次に、第2混合物を気流乾燥法により120℃、5秒の条件で乾燥した。このようにして、本発明の実施例1に基づく粉状加工大豆を得た。得られた粉状加工大豆の顕微鏡写真を図1および図2に示す。また、表1に得られた粉状加工大豆の分析結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
洗浄した大豆1kgに5kgの水を加え、室温で12時間浸漬処理した。次に、Rhizopus属の微生物が産生するペクチナーゼを6g添加し、攪拌しながら28℃で8時間酵素処理を行った。尚、酵素処理温度を60℃とした場合には、ペクチナーゼの酵素作用が失活して酵素処理を所定時間内に完了できなかった。顕微鏡により大豆細胞の単細胞への分離状態を観察した結果、大豆細胞を単細胞にほぼ完全に分離するには少なくとも8時間必要であることがわかった。
【0038】
以上のように、比較例1では酵素処理に非常に長い時間を必要としており、得られた大豆の単細胞への分離状態も必ずしも満足の行くものではなかった。さらに、室温下での長時間にわたる酵素処理によって雑菌の繁殖が懸念される。
【0039】
(実施例2)
イーストフードを使用することなく、実施例1によって得られた粉状加工大豆を使用して表2及び表3に示す条件に基づいて食パンを作成した。表2には、パン生地の配合組成を示し、表3には、生地の加工条件および実験結果を示す。図3に、実施例3の食パンの光学顕微鏡写真を示す。これは、焼き上がった食パンを水に溶解して、その溶解液を光学顕微鏡で観察したものである。分離された個々の大豆細胞がパンの焼き上がりの後でも良好な状態で存在していることが分かる。尚、比較例2として、実施例1によって得られた粉状加工大豆を使用することなく、イーストフードを所定量添加して表2及び表3に示す条件に基づいて食パンを作成した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
実施例2においては、粉状加工大豆を48g添加したので、粉状加工大豆に吸収される水分量を考慮して水の添加量を96g(粉状加工大豆の重量の2倍量)だけ比較例2における水の添加量より多くした。したがって、比較例2では、小麦粉重量に対する水重量の比が63%であり、実施例2では、小麦粉重量に対する水重量の比が69%であった。このように、粉状加工大豆を小麦粉に対する重量比で3%(48g)添加することにより、パン生地への吸水率を6%増やすことができた。尚、工程中は生地の状態も良く、6%の水分(96g)は大豆細胞内に吸収されたと考えられる。
【0043】
食パンの特性評価は、食パンの焼きあがり前後における重量変化率に基づいて行われた。表3に示すように、実施例2における重量変化率が90.9%であるのに対して、比較例2の場合は89.7%であった。この重量変化率の差、すなわち1.2%(90.9−89.7)は、パンを焼き上げる工程において、窯の中で失われる水分が実施例2において少ないことを示している。換言すれば、大豆の単細胞内に蓄えられた水分が蒸散しにくく、結果的に歩留りを改善できることを示している。
【0044】
パン業界では、おいしいパンを作るためには原料の小麦粉デンプンのα化(βデンプンからαデンプンへの変換率)を高めることが重要であり、そのためには生地の吸水率を高めることと焼き上げ時にパンの中心温度を高めることが有効であると考えられている。本発明の粉状加工大豆を使用すれば、上記したような吸水率を高める効果が得られるだけでなく、大豆の細胞内に蓄えられた水分がパンの焼き上げ工程中に蒸散しにくいために熱の伝播の役割を担ってパンの中心温度を高める効果も得られる。
【0045】
また、食パンに含まれる水分は大別すると、パン原材料の各分子と結合している「結合水」と各分子間に存在する「遊離水」であるが、本発明の粉状加工大豆を含有する食パンは、上記水分に加えて大豆細胞内に蓄えられた細胞内水分(本明細書においては、”セルウォーター”と命名する)を含むので、食パンの保水率を改善することができる。実施例2において焼き上がった食パンの水分残存率が高いことは、比較例2のパンに比して実施例2の食パンが保水性の良いソフトなパンであることを示している。
【0046】
尚、実施例2に示すように、食パンに3%の本発明の粉状加工大豆を添加した場合、1枚の食パン(約15cmx約15cmx約1.5cm形状の食パン)に大豆にしておよそ5粒が混入されることになり、細胞数としては、約1億5千万個も含まれることになる。その個々の大豆細胞が細胞内水分を含むカプセル状態であるので、大豆独特の匂いもなく、食パンの高い保水性を達成できる。これにより、食パンのおいしさを長持ちさせることができるとともにソフトな食感を提供することができる。
【0047】
また、実施例2においては、小麦粉1600gに対して本発明の粉状加工大豆48gと水98gを添加したため生地の総重量は3004.8gであった。これに対して、比較例2においては、同じ小麦粉1600gを使用して2862.4gの生地が得られた。したがって、実施例2においては、同じ量の小麦粉から142.4g(3004.8−2862.4)だけ余分にパン生地が得られたことになる。このように、本発明の僅かな量の粉状加工大豆を使用することによって、従来と同じ小麦粉の量から粉状加工大豆の添加量を上回るより多くのパン生地が得られるので、大豆で栄養が補給されたソフトな食感を有する食パンをより安価に消費者に提供できる。
【0048】
さらに、比較例2に使用されたイーストフードや乳化剤等の添加物を使用することなくパンを製造することができるので、健康に注意している消費者に対して最適な健康食品を提供することができる。
【0049】
大豆には人体の必須アミノ酸であるリジンも多く含まれている。リジンを含有する食パンを製造するために、従来、大豆を粉末状にして食パンに混ぜることが試みられたが、いずれも大豆独特の匂いのため味が劣化し、実用に至らなかった。しかしながら、本発明の加工方法により得られた加工大豆は、大豆細胞が破壊されることなく健全な状態に保たれているので大豆臭がほとんどなく、食パンに混入しても味が低下することがないので、リジンを含有するおいしい食パン製造するのに最適である。
【0050】
(実施例3)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用して麺を作成した。粉状加工大豆の添加量は、小麦粉を含む原料粉体成分の全量に対して5%とした。粉状加工大豆を添加しないで麺を作成した場合(比較例3)と比較すると、粉状加工大豆の添加により実施例3においては、小麦粉重量に対して約4%加水量を増加することができた。粉状加工大豆を添加して作成した麺は、製麺時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられず、比較例3の麺と実質的に同じ味であった。また、即席麺として使用するために麺を油で揚げた。この時、通常の麺(比較例3)を揚げる際の油の温度(140℃)よりも10℃低い油の温度であっても従来とほぼ同等の結果が得られた。油の温度を下げることによりエネルギーコストを削減できるとともに、麺に対する油の付着量が少なくなり低カロリーの麺ができる。また、130℃の油で揚げた実施例3の麺は、140℃の油で揚げた比較例3の麺に比較して水分量が約1.4%高かった。上記の結果のとおり、本発明の粉状加工大豆の添加によって、加水量の増加と大豆臭を伴うことなく大豆による麺の栄養強化を図ることができた。
【0051】
(実施例4)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用して野菜入りハンバーグを作成した。食品素材の配合量を表4に示す。ジャガイモは、洗って皮ごとゆでて粗く潰した。生しいたけは、軸を取って薄切りにした。ほうれん草はゆでて細かく刻み、水気を絞った。次に、牛ひき肉に上記の予備調理した食材および卵、パン粉、牛乳、粉状加工大豆を入れ、さらに塩、サラダ油および胡椒を加え、良く混ぜた。得られたものを所定の形状に整えて、油を敷いたフライパン上に置き、弱火で3〜4分焼き、裏返して蓋をし、さらに15分焼くことにより野菜入りハンバーグを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点と牛乳の添加量が実施例4の場合の1/2であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例4の野菜入りハンバーグを作成した。
【0052】
実施例4のハンバーグは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられなかった。また、大豆添加によりハンバーグの栄養強化を達成できた。焼き上がった実施例4のハンバーグは、比較例4のものに比べてドリップが少なく、ジューシーでまろやかな味であり、冷めても硬くならなかった。
【0053】
【表4】
【0054】
(実施例5)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用してマヨネーズを作成した。食品素材の配合量を表5に示す。乾いたボウルに卵黄を入れ、胡椒、塩、粉状加工大豆を入れて泡だて器でよく混ぜた。次に、サラダ油を数滴づつ加えながら泡だて器で混ぜた。さらに、クリーム状になってきたら酢を加えてよく混ぜた。サラダ油を全て添加し終わるまで混合を継続した。このようにして、粉状加工大豆を含むマヨネーズを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点と酢の添加量が実施例5の場合の約2/3であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例5のマヨネーズを作成した。
【0055】
実施例5のマヨネーズは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられなかった。また、実施例5のマヨネーズは、比較例5のものに比べて味がまろやかで旨味があり、大豆添加による栄養強化がなされるとともに大豆の繊維が含まれた健康食品であるので、体重や体型に気を配る女性への利用が期待される。
【0056】
【表5】
【0057】
(実施例6)
実施例1で得られた粉状加工大豆を使用してフレンチドレッシングを作成した。食品素材の配合量を表6に示す。乾いたボウルに塩、胡椒、粉状加工大豆を入れ、ワインビネガーを加えて良くかき混ぜて溶かした。次に、泡だて器で良くかき混ぜながらさらだ油を少しづつ加えた。乳白色になり適切な粘度になるまでよく混ぜ合わせた。このようにして、粉状加工大豆を含むフレンチドレッシングを得た。尚、粉状加工大豆を使用しない点とワインビネガーの添加量が実施例6の場合の2/3であることを除いて実質的に上記と同じ方法で比較例6のフレンチドレッシングを作成した。
実施例6のフレンチドレッシングは、調理時および試食時ともに従来の大豆粉末にみられるような大豆臭がほとんど感じられず、比較例6のものに比べて味がまろやかで旨味のあるドレッシングであった。また、大豆添加によりフレンチドレッシングの栄養強化を達成できた。
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】
以上、要約すると、本発明の大豆の加工方法および同方法によって得られた加工大豆は以下の特徴を奏するものである。
1.Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用した酵素処理により大豆が細胞単位に分離されているため、大豆特有の匂いがほとんどなく、あらゆる分野の食品素材として利用できる。
2.分離された個々の大豆細胞内に蓄えられた水分として定義される”セルウォーター”は蒸散しにくく、保水性に優れるので、他の添加物を使用することなく食品の保水性を高めることができ、結果的に食品の劣化を防止することができる。3. Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用することにより、従来に比して極めて短時間で酵素処理を完了することができるので、工業的に大量生産が可能となると共に製造コストの低減を図ることができ、食品素材としての利用範囲が広い。
4.バイオマスの観点から、本発明の加工方法は、あらゆる食物や穀物に利用可能であり、将来の世界的な食料問題の解決に貢献できる技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく大豆の加工方法により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡写真(低倍率)である。
【図2】本発明に基づく大豆の加工方法により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡写真(高倍率)である。
【図3】本発明の粉状加工大豆を使用して製造された食パンの光学顕微鏡写真である。
Claims (2)
- 大豆を水に浸漬するステップと、
水の存在下で前記大豆を加熱するステップと、
加熱した前記大豆を冷却した後、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを前記大豆に添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施するステップと、
前記酵素処理が終了した後、前記ペクチナーゼを失活させるステップとでなる大豆の粉砕を含まない大豆の加工方法によって分離された大豆の単細胞が分散する液状加工大豆であって、前記液状加工大豆中に分散する個々の大豆単細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷が少なく、細胞内部に蛋白顆粒 ( プロテインボディ ) と脂肪球 ( リピットボディ ) が健全な状態に保たれてなることを特徴とする酵素を使用した大豆の加工方法により得られる液状加工大豆。 - 請求項1に記載の液状加工大豆を他の食品素材に添加して製造される加工食品。
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