JP3545527B2 - 大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤ - Google Patents

大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤ Download PDF

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  • Tires In General (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤに関するもので、さらに特定すれば、左右一対のビード部に設けられた片側2個以上の複数対のビード・コアーと、タイヤ赤道面に対して25乃至45度程度の角度で互いに交錯するように延びる、有機繊維コードからなる複数層のプライから形成されるバイアス・カーカスと、該バイアス・カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、タイヤ赤道面に対して10乃至40度程度の角度で互いに交錯するように延びる、金属繊維コードからなる少なくとも2層のコード層から形成されるベルトを備えた、大型ホイール・ローダー等に使用される大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤのカーカス構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大型ホイール・ローダー等に使用される建設車両用空気入りタイヤは、岩石や砕石等が散在する場所で使用され、タイヤの側壁部がカット損傷(サイド・カット)を受けやすいので、ラジアル・カーカス対比耐サイド・カット性に優れたバイアス・カーカスが有利である。そこで、大型ホイール・ローダー等に使用される建設車両用空気入りタイヤには、クラウン部から両サイド部を経てビード部に延び、ビード・コアーに巻回されてビード部に係留された、タイヤ赤道面に対して25乃至45度程度の角度で互いに交錯するように延びる、有機繊維コードからなる複数のプライから形成されるバイアス・カーカスを備えた空気入りバイアス・タイヤが使用されることが多い。
【0003】
また、大型ホイール・ローダー等に使用される大型重荷重建設車両用空気入りタイヤには、岩石や砕石等によるタイヤのクラウン部カット損傷を防止するために、バイアス・カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、タイヤ赤道面に対して10乃至40度程度の角度で互いに交錯するように延びる、金属繊維コードからなる少なくとも2層のコード層から形成されるベルトを備えた空気入りバイアス・タイヤが使用されることが多い。
【0004】
従来、上記のような空気入りバイアス・タイヤでは、カーカス・プライの間でセパレーション故障が発生しやすい傾向があり、このセパレーション故障を防止するために、カーカス・プライのコーティング・ゴムに耐亀裂性に優れたゴムを使用したり、カーカス・プライの間にゴム・シートを付加していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近の大型ホイール・ローダー等では、シャベルの容量が大きくなり、タイヤへの負荷が著しく増大して、タイヤ使用条件が厳しくなっており、従来、比較的に発生頻度の低かった、トレッドとカーカス・プライとの間でショルダー部に発生しサイドウオールに向けて進行する、セパレーション故障が多くなって来た。
【0006】
本発明の目的は、上記のような従来技術の不具合を解消し、トレッドとカーカス・プライとの間のセパレーション故障の発生を防止ないし抑制した、大型ホイール・ローダー等に使用される大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による空気入りタイヤは、左右一対のビード部に設けられた片側2個以上の複数対のビード・コアーと、タイヤ赤道面に対して25乃至45度程度の角度で互いに交錯するように延びる、有機繊維コードからなる複数層のプライから形成されるバイアス・カーカスと、該バイアス・カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、タイヤ赤道面に対して10乃至40度程度の角度で互いに交錯するように延びる、金属繊維コードからなる少なくとも2層のコード層から形成されるベルトを備えた空気入りタイヤにおいて、
(1)該バイアス・カーカスは、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビード・コアーをそれぞれ内側から外側に巻き上げてビード部に係留された複数層のアップ・プライと、該アップ・プライの外側に配置され、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビード・コアーを巻き上げることなく該ビード・コアー近傍に終端する複数層のダウン・プライとよりなり、
(2)該ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコードの打ち込み数N1 が該アップ・プライのコードの打ち込み数N2 の40乃至60%で、
(3)該ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコーティング・ゴムの厚さG1 が該アップ・プライのコーティング・ゴムの厚さG2 の2乃至4倍である
ことを特徴とする大型重荷重用空気入りタイヤである。
【0008】
最近の大型ホイール・ローダー用のタイヤでは、車両の大型化に伴いタイヤも大型化され、カーカス・プライの枚数も多くなり、ケース剛性が増加し、トレッドとカーカス・プライとの間の剛性段差が大きくなって、タイヤ使用時にトレッドとカーカス・プライの境界に大きな剪断歪が発生する。さらに、タイヤの大型化によってショルダー部のトレッド・ゴムの厚みが大きくなり、負荷回転時のトレッド・ゴムの流動が大きくなる。
このようなことから、トレッドとカーカス・プライとの間のセパレーションがまずショルダー部に発生し、両者の境界に沿ってセパレーション故障がサイドウオールに向けて進行する。
【0009】
本発明による空気入りタイヤは、上記のように、
ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコードの打ち込み数N1 がアップ・プライのコードの打ち込み数N2 の40乃至60%で、
ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコーティング・ゴムの厚さG1 がアップ・プライのコーティング・ゴムの厚さG2 の2乃至4倍である
ので、これによってトレッドとカーカス・プライの間の剛性段差が小さくなり、剪断歪が緩和され、トレッドととカーカス・プライとの間のセパレーションの発生が防止ないし抑制される。
【0010】
ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコードの打ち込み数N1 がアップ・プライのコードの打ち込み数N2 の60%より大きくなると、剛性段差があって剪断歪の緩和効果が不足し、40%より小さいとコードの打ち込み数を少なくしたダウン・プライの少なくとも最外側2層とコードの打ち込み数を少なくしていない層との間で剛性段差が生じて、カーカス・プライの層間でセパレーション故障が発生しやすくなる。
また、ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコーティング・ゴムの厚さG1 がアップ・プライのコーティング・ゴムの厚さG2 の2倍より小さいと、剛性段差減少による剪断歪の緩和効果が不足しセパレーション故障が発生しやすく、一方この値が4倍より大きくなると、カーカス・プライ全体の厚みが大きくなり過ぎて、タイヤが発熱による故障を発生しやすくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に従う実施例1乃至3のタイヤ、従来例のタイヤおよび比較例のタイヤ1乃至2について図面を参照して説明する。タイヤ・サイズは、いずれも、50/65−51である。
【0012】
図1は、本発明による実施例1の空気入りタイヤのカーカス・プライの配置を示す断面略図であって、実施例1の空気入りタイヤは左右一対のビード部に設けられた片側3個のビード・コアー1a、1b、1cと、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるバイアス・カーカスと、バイアス・カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルト(図示省略)を備えている。
バイアス・カーカスは、タイヤ赤道面に対して35度の角度で互いに交錯するように延びる、ナイロン1260d/2のコードからなる合計42枚のプライから形成されている。ベルトは、タイヤ赤道面に対して20乃至25度の角度で互いに交錯するように延びる、スチール・コードからなる4層のコード層から形成されている。
バイアス・カーカスは、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、ビード・コアー1a、1b、1cをそれぞれ内側から外側に巻き上げてビード部に係留されたそれぞれ12層(合計36層)のアップ・プライ2a、2b、2cと、アップ・プライの外側に配置され、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、ビード・コアーを巻き上げることなくビード・コアー下方に終端する6層のダウン・プライ3とよりなる。
アップ・プライ2a、2b、2cのコードの打ち込み数N2 は50本/5cmで、コーティング・ゴムの厚さG2 は0.2mmである。
6層のダウン・プライ3のうち、最外側2層のコードの打ち込み数N1 が30本/5cmで、コーティング・ゴムの厚さG1 は0.4mmで、残りの4層のダウン・プライのコードの打ち込み数とコーティング・ゴムの厚さはアップ・プライと同じである。したがって、N1 はN2 の60%であり、G1 はG2 の2倍である。
【0013】
本発明による実施例2の空気入りタイヤは、6層のダウン・プライのうち、最外側2層のコードの打ち込み数N1 が20本/5cmであり、したがって、N1 はN2 の40%であることを除き、実施例1の空気入りタイヤとほぼ同じ構造である。
【0014】
本発明による実施例3の空気入りタイヤは、6層のダウン・プライのうち、最外側2層のコードの打ち込み数N1 が25本/5cmで、コーティング・ゴムの厚さG1 は0.8mmであり、したがって、N1 はN2 の50%でG1 はG2 の4倍であることを除き、実施例1の空気入りタイヤとほぼ同じ構造である。
【0015】
従来例のタイヤは、ダウン・プライ3のコードの打ち込み数とコーティング・ゴムの厚さはアップ・プライと同じで、したがって、N1 はN2 の100%であり、G1 はG2 の1倍であること以外は、上記実施例1のタイヤとほぼ同じ構造である。
【0016】
比較例1のタイヤは、6層のダウン・プライのうち、最外側2層のコードの打ち込み数N1 が10本/5cmであり、したがって、N1 はN2 の20%であることを除き、上記実施例のタイヤとほぼ同じ構造である。
比較例2のタイヤは、6層のダウン・プライのうち、最外側2層のコードの打ち込み数N1 が25本/5cmで、コーティング・ゴムの厚さG1 は1.2mmであり、したがって、N1 はN2 の50%であってG1 はG2 の6倍であることを除き、上記実施例1のタイヤとほぼ同じ構造である。
【0017】
上記実施例1のタイヤと従来例のタイヤについて、それぞれを正規リム40.00/4.5×51にリム組し、同じくJISに定められた正規内圧5.75kg/cm2 を充填して、室内耐久試験を行った。その試験条件は、外径5mのドラム試験機による試験で、キャンバー角1.5度、正規荷重5800kgの120%一定荷重、速度5km/hの条件で240時間走行である。
【0018】
上記室内耐久試験の試験結果では、上記従来例のタイヤが、170時間走行でトレッドとカーカス・プライとの間のセパレーションがショルダー部に発生したのに対し、上記実施例1乃至3のタイヤは故障発生なく240時間完走した。
比較例1のタイヤは240時間完走したが、完走後のタイヤを解剖して調べたところ、カーカス・プライの間(6層のダウン・プライのうち、外側から数えて2層目と3層目との間)でセパレーション故障が発生していた。比較例2のタイヤは150時間走行した段階で、ショルダー部に発熱故障を発生して試験を中止した。
【0019】
上記の結果から、本発明による実施例1のタイヤは従来例のタイヤに比べ、耐久性に優れたタイヤであることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によって、トレッドとカーカス・プライとの間のセパレーション故障の発生を防止ないし抑制した、大型ホイール・ローダー等に使用される大型重荷重用空気入りバイアス・タイヤを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気入タイヤのカーカス・プライの配置を示す断面略図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c ビード・コアー
2a、2b、2c アップ・プライ
3 ダウン・プライ

Claims (1)

  1. 左右一対のビード部に設けられた片側2個以上の複数対のビード・コアーと、タイヤ赤道面に対して25乃至45度程度の角度で互いに交錯するように延びる、有機繊維コードからなる複数層のプライから形成されるバイアス・カーカスと、該バイアス・カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、タイヤ赤道面に対して10乃至40度程度の角度で互いに交錯するように延びる、金属繊維コードからなる少なくとも2層のコード層から形成されるベルトを備えた空気入りタイヤにおいて、
    (1)該バイアス・カーカスは、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビード・コアーをそれぞれ内側から外側に巻き上げてビード部に係留された複数層のアップ・プライと、該アップ・プライの外側に配置され、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延び、該ビード・コアーを巻き上げることなく該ビード・コアー近傍に終端する複数層のダウン・プライとよりなり、
    (2)該ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコードの打ち込み数N1 が該アップ・プライのコードの打ち込み数N2 の40乃至60%で、
    (3)該ダウン・プライの少なくとも最外側2層のコーティング・ゴムの厚さG1 が該アップ・プライのコーティング・ゴムの厚さG2 の2乃至4倍である
    ことを特徴とする大型重荷重用空気入りタイヤ。
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