JP3545487B2 - モータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定方法 - Google Patents

モータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、工作機械の送り軸やロボットのアームなどを駆動するモータの制御に関し、特に、モータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の送り軸やロボットのアームなどを駆動するモータは、数値制御装置等のモータ制御装置により制御されている。このモータの制御において、モータを含む機械系についての系を構成し、この系に基づいて各制御要素の設定及び制御を行っている。そして、このようなモータで駆動する機械系の各制御要素の設定や制御においては、該機械系のイナーシャや摩擦特性を知る必要がある。
【0003】
例えば、イナーシャは、制御系の最適ゲインを設定するために必要であり、また、摩擦特性は、機械を加速するために必要なトルクと外乱となる摩擦をキャンセルするために要するトルクとを分離して求めるために必要である。
【0004】
そして、従来、モータで駆動する機械系のイナーシャは、モータや機械系を簡単な剛体モデルに置き換え、該剛体モデルに基づいて計算することにより求める方法が採られている。また、従来、機械系の摩擦特性は、機械系をある一定速度で駆動させ、そのときに要する電流指令を求め、このときの電流指令を摩擦トルクとするという操作を繰り返すことにより、速度と摩擦トルクとの関係を測定する方法が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
モータを含む機械系のイナーシャを求める場合、従来行われているように機械系を簡単な剛体モデルに近似し、該剛体モデルに基づいて計算により求める方法では、実際の機械系と剛体モデルとの間に相違があるため、正確なイナーシャを求めることができないという問題点がある。例えば、バネ定数やダンパ定数を含む機械系を剛体モデルに近似したことによる誤差や、機械系を近似モデルに近似したことによる形状的な誤差により、求めたイナーシャと実際のイナーシャとの間に差が生じることになる。
【0006】
また、モータを含む機械系の摩擦特性を求める場合、従来行われているように機械系をある一定速度で駆動させるときに要する電流指令から測定する方法では、測定時間が長時間化するという問題点がある。一定速度による一回の測定では、ある速度に対する一つのトルク値の関係しか得ることができず、速度とトルクとの関係である摩擦特性を測定するには、一定速度によるトルクの測定を、速度を変えながら複数回行う必要がある。
【0007】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決して、モータを含む機械系のより正確なイナーシャの推定が可能なモータで駆動する機械系のイナーシャの推定方法を提供することを目的とする。また、モータを含む機械系の摩擦トルクの容易な推定が可能なモータで駆動する機械系の摩擦トルクの推定方法を提供することを目的とする。また、モータの含む機械系のイナーシャ及び摩擦トルクを同時推定が可能なモータで駆動する機械系のイナーシャ及び摩擦トルクの推定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本出願の第1の発明は、モータで駆動する機械系において、加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、機械系のイナーシャおよび摩擦トルクを係数の一部とする関係式を定め、この関係式に最小二乗法を適用して機械系のイナーシャおよび摩擦トルクを同時に推定することにより、前記目的を達成するものである。
【0009】
また、本出願の第2の発明は、モータで駆動する機械系において、加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、機械系のイナーシャを係数の一部とする関係式を定め、この関係式に最小二乗法を適用して機械系のイナーシャを推定することにより、前記目的を達成するものである。
【0010】
また、本出願の第3の発明は、モータで駆動する機械系において、加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、機械系の摩擦トルクを係数の一部とする関係式を定め、この関係式に最小二乗法を適用して機械系の摩擦トルクを推定することにより、前記目的を達成するものである。
【0011】
本発明に用いる最小二乗法は、モータで駆動する機械系に基づく式において、その係数についての一次偏導関数を零とすることにより求める方法であり、これによって、係数の一部をなすイナーシャ、摩擦トルクを求める
【0012】
そして、本発明は、加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、イナーシャ,摩擦トルクを係数の一部とする関係式に最小二乗法を適用するという共通の課題解決手段を適用することによって、第1の発明ではモータの機械系のイナーシャと摩擦トルクとを同時に求め、第2の発明ではモータの機械系のイナーシャを求め、また、第3の発明ではモータの機械系の摩擦トルクを求めるものである。
【0013】
また、それぞれの発明において、モータで駆動する機械系に基づく式を、機械系の加速度と電流指令と機械系の速度との関係を表す式により表すことができる。また、摩擦トルクを求める場合に、摩擦トルクを速度に比例する1次の近似式として、前記関係式を構成することができる。
【0014】
【作用】
イナーシャ,摩擦トルクの推定を行う対象であるモータで駆動する機械系に対して、モータを加減速させるような電流指令を与えることにより、モータを加減速駆動させる。このモータの加減速時において、モータへの電流指令値とモータ速度を求める。モータへの電流指令値は、NC装置からモータへの電流指令値を読み込むことにより求めることができ、また、モータ装置は、モータ制御系においてフィードバックされるモータ速度を読み込むことにより求めることができる。
【0015】
モータの加減速動作中において、所定のサンプリング時間毎に、前記電流指令およびモータ速度を読み込むことによって、複数個の電流指令とモータ速度のデータを求め、記憶手段に格納しておく。
【0016】
電流指令と機械系の速度とを変数とし、イナーシャ,摩擦トルクを係数の一部とする関係式に最小二乗法を適用することにより、イナーシャ,摩擦トルクについての方程式を形成する。この方程式をイナーシャ,摩擦トルクについて解くと、イナーシャ,摩擦トルクを求めることができる。この求めたイナーシャ,摩擦トルクによって、モータで駆動する機械系のイナーシャ,摩擦トルクを推定する。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明を適用する機械系の構成例を示すブロック図である。図2のブロック図は、モータを含む機械系部分のみを表しており、項1はモータのトルク定数Ktを表し、項2はモータを含む機械系のイナーシャJを表し、項3は積分項を表している。ここで、項1は電流指令i(j)を受けてモータに対するトルク指令を形成し、該トルク指令をモータに供給する。モータには、このトルク指令と摩擦トルクTdとが加わり、このトルク値によってモータの駆動が行われる。項2から得られるモータ加速度aは、項3によって速度vとして求めることができる。
【0018】
なお、図2において、電流指令を求めるための位置ループ,速度ループについては省略して示している。
【0019】
また、図3は、本発明を適用する機械系を制御するデジタルサーボ制御装置のブロック図であり、構成は従来のデジタルサーボ制御を行う装置と同一の構成であるため、概略的に示している。
【0020】
図3において、10はコンピュータを内蔵した数値制御装置(以下、NCという)、12は共有RAM、14はプロセッサ(CPU),RAM,ROM等を有するデジタルサーボ回路、16はトランジスタインバータ等のサーボアンプ、18はサーボモータ、20はサーボモータの回転と共にパルスを発生するエンコーダである。
【0021】
NC10は、従来のデジタルサーボ制御と同様に、位置指令周期(分周周期)ITP毎に位置指令を共有RAMに書込み、デジタルサーボ回路14のCPUはこの位置指令を共有RAMから読み取り、上記位置指令周期ITPをN個に分割した周期Tp(Tp=ITP/N)で位置ループ処理を行う。ITP周期中において、NC10から出力される位置指令が均等分配されるように、位置ループ周期Tpにおける位置指令anを求め、この位置指令anとパルスコーダ20からのフィードバックパルスによって得られるサーボモータ18の現在位置との差より位置ループ処理を行うとともに、位置のフィードフォワード制御処理を行って速度指令を求め、次に該速度指令とパルスコーダ20からのフィードバックパルスによって得られるサーボモータ18の実速度より速度ループ処理、速度フィードフォワード処理を行い、電流指令を求める。そして、電流ループ処理を行い、PWM指令を作成し、サーボアンプ16を介してサーボモータ18を駆動する。
【0022】
本発明の推定処理は、前記したようなモータを駆動するための制御装置内において行うことも、あるいは該制御装置とは別個の処理装置により行うこともできる。制御装置内において本発明の推定処理を実施する場合には、前記デジタル回路14が処理を行う。
【0023】
本発明の実施例を前記図3のデジタルサーボ制御装置で制御されるサーボモータに適用する場合には、本発明のイナーシャ,摩擦特性を推定するために要する電流指令値と機械系の速度は、前記処理中で得られる電流指令iおよびパルスコーダ20からのフィードバックパルスvを用いることができる。
また、電流指令と機械系の速度のデータを、デジタルサーボ制御装置等のモータ制御装置から処理装置に取込むには、該データの取込み用のソフトウェアをモータ制御装置内にあらかじめ格納しておくことによって行うことができる。
【0024】
図2に示した機械系のブロック構成図において、推定対象であるイナーシャJは、機械系から得られる電流指令i(j)とモータを含む機械系の速度v(j)を変数とし、また、外乱トルク分をTdとすると、次式(1)によって表すことができる。
【0025】
a(j)=Δt/J(Kt・i(j)+Td(j)) …(1)
なお、上記式(1)において、a(j)はモータを含む機械系の加速度であり、(v(j)−v(j−1))により得られる。また、Δtはサンプリングタイムであり、電流指令i(j)および速度v(j)はこのサンプリングタイムΔt毎に機械系から得られる。このサンプリングタイムΔtは、所定の時間間隔とすることができる。
【0026】
ここで、外乱トルク分Tdは機械系に加わる外乱に相当するものであり、駆動中の機械系では、通常速度に比例する摩擦トルクとして扱うことができる。そこで、外乱トルク分Tdを速度に比例する摩擦トルクとして、次式(2)の1次式の近似式によって置き換える。
【0027】
Td(j)=p・v(j)+q …(2)
なお、p,qは上記式(2)の近似式の係数である。
【0028】
式(2)を式(1)に代入すると、以下の式(3)が得られる。
【0029】
a(j)=Kt・(Δt/J)・i(j)+p・(Δt/J)・v(j) +q・(Δt/J) …(3)
式(3)中の係数をそれぞれ以下にように書き換えて、式(3)を書き換えると、
α=Kt・(Δt/J) …(4)
β=p・(Δt/J) …(5)
γ=q・(Δt/J) …(6)
図3に示す機械系モデルは、次式(7)によって表すことができる。
【0030】
a(j)=α・i(j)+β・v(j)+γ …(7)
上記式(7)において、変数は電流指令i(j),速度v(j),および加速度a(j)であり、係数はα,β,およびγである。この係数α,β,およびγは、前記式(4),(5),(6)に示すように、本発明の推定対象であるイナーシャJおよび摩擦特性Tdに係わる係数であり、α,β,およびγからイナーシャJおよび摩擦特性を求めることができる。
【0031】
ここで、各サンプリングタイムΔt毎に得られる電流指令と速度について、N個のデータの組{(i(1),v(1)),(i(2),v(2)),・・・(i(j),v(j)),・・・(i(N),v(N))}として機械系から求め、このデータを基にして最小二乗法を用いてα,β,およびγを推定する。
【0032】
式(7)について、次式(8)で表される評価関数Eを定める。
【0033】
【数1】
Figure 0003545487
式(8)の評価関数Eにおいて、α,β,およびγの各係数について一次偏導関数を求めるとそれぞれ以下の式(9),(10),(11)となる。
【0034】
【数2】
Figure 0003545487
上記式(9),(10),(11)の一次偏導関数をそれぞれ零とすると、以下(12),(13),(14)の連立方程式が得られる。
【0035】
Σa(j)・i(j)=αΣi(j)2 +βΣv(j)・i(j) +γΣi(j) …(12)
Σa(j)・v(j)=αΣi(j)・v(j)+βΣv(j)2 +γΣv(j) …(13)
Σa(j)=αΣi(j)+βΣv(j)+γ・N …(14)
上記式(12),(13),(14)を用いて、係数α,β,およびγを求めると、以下の行列式(15)で表すことができる。
【0036】
【数3】
Figure 0003545487
ここで、前記式(4),(5),(6)を変形して得られるイナーシャJ,および摩擦トルクTdの係数p,q中に、上記行列式(15)を解いて得られるα,β,およびγを代入すると、各イナーシャJ,および摩擦トルクTdの係数p,qは以下の式(16),(17),(18)により表される。
【0037】
J=Kt・Δt/α …(16)
p=Kt・β/α …(17)
q=Kt・γ/α …(18)
したがって、イナーシャJは、電流指令i(j)および速度v(j)を用いて得られる)係数αを上記式(16)に代入することにより求めることができ、また、摩擦トルクTd(j)は、Tdを速度の1次式とし、電流指令i(j)および速度v(j)を用いて得られる係数p,qを上記式(2)に代入することにより求めることができる。
【0038】
前記式(2)から式(18)で示すイナーシャと摩擦特性の推定では、摩擦トルクTdは速度に比例する関係にあり、速度の1次式の近似式によって表れるものとして扱い、イナーシャと摩擦特性を同時に求める場合を示している。
【0039】
次に、上記摩擦トルクの関係を用いず、イナーシャを推定する場合について説明する。
【0040】
このとき、図3に示すモデルは、前記と同様に式(1)により表すことができる。そして、該式(1)中の係数をそれぞれ以下にように書き換えると、
ζ=Kt・(Δt/J) …(19)
η=(Δt/J) …(20)
式(1)は次式(21)によって表すことができる。
【0041】
a(j)=ζ・i(j)+η・Td(j) …(21)
ここで、各サンプリングタイムΔt毎に得られる電流指令と速度について、N個のデータの組{(i(1),v(1)),(i(2),v(2)),・・・(i(j),v(j)),・・・(i(N),v(N))}として機械系から求め、このデータを基にして最小二乗法を用いてζおよびηを推定する。なお、摩擦トルクTd(j)は、他の手段により求められるものとする。
【0042】
式(21)について、次式(22)で表される評価関数Eを定める。
【0043】
【数4】
Figure 0003545487
式(22)において、ζの係数について一次偏導関数を求めると以下の式(23)となる。
【0044】
【数5】
Figure 0003545487
上記式(23)の一次偏導関数を零とすると、以下(24)の方程式が得られる。
【0045】
Σa(j)・i(j)=ζΣi(j)2 +ηΣTd(j)・i(j) …(24)
上記式(24)を用いて、係数ζを求めると、以下の式(25)で表すことができる。
【0046】
【数6】
Figure 0003545487
ここで、前記式(19)を変形して得られるイナーシャJの式の係数に、上記式(25)のζを代入すると、イナーシャJは以下の式(26)により表される。
【0047】
J=Kt・Δt/ζ …(26)
したがって、イナーシャJは、電流指令i(j)および速度v(j)を用いて得られる係数ζを上記式(26)に代入して推定することができる。
【0048】
次に、前記した関係により本発明のモータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦特性の推定方法の手順について、図1,および図4,図5,図6を用いて説明する。
【0049】
図1は、本発明の推定方法の概略の手順を示すフローチャートである。図1において、はじめに、モータを加減速駆動させる(ステップ1)。このモータの加減速は、加減速動作をさせるような電流指令をモータに供給することより行う。この加減速動作時において、モータに供給する電流指令およびパルスコーダからのフィードバック信号をモータ制御装置からサンプリングタイム毎に読み込むことによって、電流指令値およびモータ速度を求める(ステップ2)。この電流指令値およびモータ速度のデータの読み込みは、読み込みデータの個数が所定の個数N個に達するまで行う(ステップ3)。さらに、前記ステップ2,3で求めたモータ速度から加速度を求める(ステップ4)。そして、読み込んだ電流指令値とモータ速度および加速度のデータを用いて最小二乗法によりイナーシャJ,摩擦特性を推定する。
【0050】
図4は、前記図1の処理の流れをさらに詳細に示したフローチャートであり、イナーシャと摩擦特性を同時に推定する場合を示している。
【0051】
はじめに、推定に使用するデータの個数Nを設定する。このデータの個数Nは、サンプリングタイム毎に行う測定回数Nとして設定することができる(ステップS1)。そして、データの取込み個数をカンウトするための計数jに“1”を設定し(ステップS2)、ステップS6で計数jを設定数Nと比較することによって、N個のデータの読み取りを行う。
【0052】
モータを加減速動作させる指令をモータを含む機械系に入力して、モータを駆動させる(ステップS3)。モータは、この加減速指令によって加減速駆動を開始する。このとき、モータに供給する電流指令値i(j)をサンプリングタイムΔt毎に読み取り、記憶手段に記憶する。この電流指令値の読み取りは、モータ制御装置内に格納しておいた読み取りのためのソフトウェアにより行うことができる。また、電流指令値i(j)を記憶する記憶手段は、モータ制御装置内に設けることも、あるいはモータ制御装置外の別個の処理装置に設けることもできる(ステップS4)。
【0053】
また、前記したサンプリングタイムΔt毎に電流指令値i(j)を読み取りると同時に、モータを含む機械系の速度v(j)を読み取り、記憶手段に記憶する。この速度v(j)は、モータ制御装置内のパルスエンコーダからのフィードバック信号を用いることができ、モータ制御装置内に格納しておいた読み取りのためのソフトウェアにより行うことができる。また、速度v(j)を記憶する記憶手段は、電流指令値i(j)と同様に、モータ制御装置内に設けることも、あるいはモータ制御装置外の別個の処理装置に設けることもできる(ステップS5)。
【0054】
計数jの値を設定回数Nと比較し、jがNより小さい場合には読み込んだ電流指令値i(j)および速度v(j)が設定個数に達していないと判定して、ステップS7で計数jに“1”を加算して、次のサンプリングタイムにおいて再びステップS4およびステップS5の処理を行う(ステップS6)。
【0055】
前記ステップS6の判定において、jがN以上となった場合には読み込んだ電流指令値i(j)および速度v(j)が設定個数に達したものと判定して、データの読み込みの処理を終了し、次のステップに進む。
【0056】
次に、以下のステップS8からステップS12の工程で、加速度a(j)を求める演算を行い、さらにステップS13からステップS16の工程により、読み込んだ電流指令i(j)と速度v(j)のデータ、および求めた加速度a(j)を用いて、イナーシャおよび摩擦特性の推定する演算処理を行う。
【0057】
はじめに、加速度を求めるためのデータの読み出しのカンウトを行うための計数jに“1”を設定し(ステップS8)、ステップS11で計数jを設定数Nと比較することによって、N個のデータの読み出しと加速度演算を行う。
【0058】
計数jに対してv(j+1)とv(j)の値を読み出し(ステップS9)、この値の差を求めることにより加速度a(j)を求め、記憶手段に記憶する(ステップS10)。加速度a(j)を記憶する記憶手段は、電流指令値i(j)および速度v(j)と同様に、モータ制御装置内に設けることも、あるいはモータ制御装置外の別個の処理装置に設けることもできる。
【0059】
また、前記演算処理では(N−1)個の加速度a(j)が求められるが、後述する演算において電流指令値i(j)と速度v(j)と同様にN個のデータが必要となる。そこで、前記差を求める演算から求めた(N−1)個のデータを基にして外挿処理等により、加速度a(j)の個数をN個としておく。
【0060】
計数jの値を設定回数Nと比較し、jがNより小さい場合には読み出した速度v(j+1),v(j)および該速度により求めた加速度a(j)が設定個数に達していないと判定して、ステップS12で計数jに“1”を加算して、次のサンプリングタイムにおいてステップS9およびステップS10の処理を行う(ステップS11)。
【0061】
前記ステップS11の判定において、jがN以上となった場合には読み出した速度v(j+1),v(j)および該速度により求めた加速度a(j)が設定個数に達したものと判定して、データの読み出しおよび加速度演算の処理を終了し、次のステップに進む。
【0062】
次に、前記式(15)の行列式中のΣi(j),Σi(j)2 ,Σ{(i(j)・v(j)},Σv(j),Σv(j)2 ,Σ{(a(j)・i(j)},Σ{(a(j)・v(j)}を、前記ステップS4,ステップS5,ステップS10で記憶しておいた電流指令i(j),速度v(j),および加速度a(j)を用いて演算し、記憶する(ステップS13)。
【0063】
図5および図6は、このステップS13における演算の手順を示めすフローチャートである。図5および図6のフローチャートの示す手順はほぼ共通であるため、ここでは、図5の(a)に示すΣi(j)の演算を一例として説明する。
【0064】
図5の(a)では、Σi(j)の値をC1として求めている。はじめに、CIの値を“0”とし(ステップT11)、電流指令値i(j)の読み出しのカンウトを行うための計数jに“1”を設定する(ステップT12)。記憶手段から電流指令i(j)を読み出し(ステップT13)、この値をC1に加算して新たなC1とする(ステップT14)。
【0065】
計数jの値を設定数Nと比較し(ステップT15)、計数jの値が設定数N以下の場合には計数jに“1”を加算して(ステップT16)、ステップT15,ステップT16の処理を計数jが設定数Nとなるまで行う。これによって、Σi(j)の演算を行う。
【0066】
その他、Σi(j)2 ,Σ{(i(j)・v(j)},Σv(j),Σv(j)2 ,Σ{(a(j)・i(j)},Σ{(a(j)・v(j)}についても、図5の(b),(c),(d),および図6の(a),(b),(c),(d)に示すように、前記Σi(j)の演算と同様にして求めることができる。
【0067】
次に、前記ステップS13で求めた値を読み出し、前記行列式(15)に代入して行列演算を行い、係数α,β,およびγを求める。なお、行列演算は周知の処理プログラムを援用することができる(ステップS14)。
【0068】
次に、前記ステップS14で求めた係数αを、前記式(15)のJ=Kt・Δt/αに代入してイナーシャJを求める(ステップS15)。
【0069】
さらに、前記ステップS14で求めた係数α,β,およびγを前記式(17),(18)のp=Kt・β/α,q=Kt・γ/αに代入して係数p,qを求め、この係数p,qを前記式(2)のTd(j)=p・v(j)+qに代入することによって、サンプリングタイムΔt毎の摩擦トルクを演算して、摩擦特性Td(j)を求めることができる。
なお、前記ステップS15およびステップS16の処理は独立した処理であり、イナーシャJと摩擦特性Tdの推定を同時に行うことも、また、それぞれを独立して行うこともできる。
【0070】
また、前記式(19)から式(26)で示したように、イナーシャJのみの推定を行う場合には、前記図4のフローチャートにおいて、ステップS1からステップS12までは同様に行い、ステップS13およびステップS14に対応する式(24),(25)内の演算を行い、ステップS15に対応する式(16)の演算を行うことよりイナーシャJを求めることによって、同様に行うことができる。
【0071】
前記した実施例によれば、モータの加減速駆動時の電流指令と速度を用いることにより、1回のモータの駆動でイナーシャ,摩擦特性の推定を行うことができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、モータを含む機械系のより正確なイナーシャ,摩擦トルクを推定することができる、モータで駆動する機械系のイナーシャの推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の推定方法の概略の手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明を適用する機械系の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用する機械系を制御するデジタルサーボ制御装置のブロック図である。
【図4】本発明のイナーシャと摩擦特性を同時に推定する処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明のイナーシャと摩擦特性を同時に推定する処理中の演算の手順を示めすフローチャートである。
【図6】本発明のイナーシャと摩擦特性を同時に推定する処理中の演算の手順を示めすフローチャートである。
【符号の説明】
J イナーシャ
Td 摩擦トルク
i 電流指令
v モータ速度
a モータ加速度

Claims (8)

  1. モータで駆動する機械系において、
    加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、前記機械系のイナーシャおよび摩擦トルクを係数の一部とする関係式を定め、
    前記関係式に最小二乗法を適用することにより、機械系のイナーシャおよび摩擦トルクを推定することを特徴とするモータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定方法。
  2. 前記関係式は、機械系の加速度と電流指令と機械系の速度との関係を表す式であることを特徴とする請求項1記載のモータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定方法。
  3. 前記関係式において、摩擦トルクを速度に比例する1次の近似式とすることを特徴とする請求項1,又は2記載のモータで駆動する機械系のイナーシャおよび摩擦トルクの推定方法。
  4. モータで駆動する機械系において、
    加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、前記機械系のイナーシャを係数の一部とする関係式を定め、
    前記関係式に最小二乗法を適用することにより、機械系のイナーシャを推定することを特徴とするモータで駆動する機械系のイナーシャの推定方法。
  5. 前記関係式は、機械系の加速度と電流指令と機械系の速度との関係を表す式であることを特徴とする請求項4記載のモータで駆動する機械系のイナーシャの推定方法。
  6. モータで駆動する機械系において、
    加減速を行わせる電流指令と機械系の速度とを変数とし、前記機械系の摩擦トルクを係数の一部とする関係式を定め、
    前記関係式に最小二乗法を適用することにより、機械系の摩擦トルクを推定することを特徴とするモータで駆動する機械系の摩擦トルクの推定方法。
  7. 前記関係式は、機械系の加速度と電流指令と機械系の速度との関係を表す式であることを特徴とする請求項6記載のモータで駆動する機械系の摩擦トルクの推定方法。
  8. 前記関係式において、摩擦トルクを速度に比例する1次の近似式とすることを特徴とする請求項6,又は7記載のモータで駆動する機械系の摩擦トルクの推定方法。
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