JP3545250B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、詳しくは、デバイス上に絶縁膜を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の更なる高集積化を実現するために、配線の微細化、多層化を進めることが要求されている。配線を多層化するには、各配線間に層間絶縁膜を設けるが、その層間絶縁膜の表面が平坦でないと、層間絶縁膜の上部に形成された配線に段差が生じて断線などの故障が引き起こされる。
【0003】
従って、層間絶縁膜の表面(すなわち、デバイスの表面)は可能な限り平坦化されていなければならない。このように、デバイスの表面を平坦化する技術は、平坦化技術と呼ばれ、配線の微細化、多層化に伴ってますます重要になっている。
【0004】
平坦化技術において、よく用いられる層間絶縁膜としてSOG膜があり、特に、層間絶縁膜材料のフロー特性を利用した平坦化技術において盛んな検討がなされている。
【0005】
SOGとは、シリコン化合物を有機溶剤に溶解した溶液及びその溶液から形成される二酸化シリコンを主成分とする膜の総称である。
【0006】
SOG膜を形成するには、まず、シリコン化合物を有機溶剤に溶解した溶液を基板上に滴下して基板を回転させる。すると、その溶液の被膜は、配線によって形成される基板上の段差に対して、その凹部には厚く、凸部には薄く、段差を緩和するように形成される。その結果、その溶液の被膜の表面は平坦化される。
【0007】
次に熱処理が施されると、有機溶剤が蒸発すると共に重合反応が進行して、表面が平坦なSOG膜が形成される。
【0008】
SOG膜には、一般式(1)で表されるように、シリコン化合物中に有機成分を含まない無機SOG膜と、一般式(2)で表されるように、シリコン化合物中に有機成分を含む有機SOG膜とがある。
【0009】
[SiO2]n ・・・(1)
[RXSiYOZ]n ・・・(2)
(n,X,Y,Z:整数、R:アルキル基又はアリール基)
無機SOG膜は、水分及び水酸基を多量に含んでいる上に、CVD法によって形成されたシリコン酸化膜に比べて、熱処理時にクラックが発生しやすいという欠点がある。
【0010】
一方、有機SOG膜は、分子構造上、アルキル基又はアリール基で結合が閉じている部分があるため、熱処理時におけるクラックの発生が抑制され、膜厚の大きな層間絶縁膜を得ることができる。従って、有機SOG膜を用いれば、基板上の大きな段差に対しても十分な平坦化が可能になる。
【0011】
ところが、有機SOG膜を層間絶縁膜として用いた場合、この有機SOG膜にコンタクトホールを形成する際のエッチングマスクとして、通常のフォトレジスト材を用いることが困難であるという欠点がある。すなわち、有機SOG膜もフォトレジストも共に有機系成分を含むため、エッチング終了後にフォトレジストを剥離するためのアッシング処理(例えば、酸素プラズマアッシング処理)によって、有機SOG膜が浸食されたり特性が劣化したりする。
【0012】
このような問題を解消する技術として、特開平8−17928号には、有機SOG膜にコンタクトホールを形成するに当たって、有機SOG膜の上にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜に対し、フォトレジストをマスクとして異方性エッチングを行い、有機SOG膜に到達しない凹部を形成し、その後、フォトレジストを除去してから凹部を有するシリコン酸化膜をマスクとして、有機SOG膜を異方性ドライエッチングすることが記載されている。
【0013】
すなわち、フォトレジストを除去する際には、有機SOG膜の表面は凹部の底部を含めたシリコン酸化膜で覆われているので、有機SOG膜が浸食されたり変質したりすることが無い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
有機SOG膜のエッチング用マスクとしてのシリコン酸化膜は、有機SOG膜に比べて比誘電率が高いので、配線間容量が大きくなって信号遅延の原因となるために、膜厚を比較的薄くする必要がある。従って、このような薄い膜厚のシリコン酸化膜に、有機SOG膜が露出しないように凹部を形成するには、きわめて精度の高いエッチング制御を必要する。
【0015】
また、従来例では、シリコン酸化膜の凹部の底部がエッチングにより無くなってから、シリコン酸化膜をマスクとして有機SOG膜のエッチングが始まる。従って、凹部の底部がエッチングされている間、シリコン酸化膜のその他の部分も薄膜化され、有機SOG膜のエッチング用マスクとして十分に機能するだけの膜厚を残すことができない問題がある。
【0016】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、斯かる問題点を解消することをその目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面による半導体装置の製造方法にあっては、基板上に形成した導電層の上に、組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第6工程と、を含み、前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことをその要旨とする。
【0018】
すなわち、第1マスクパターンを除去する際には、既に第1絶縁膜の少なくとも表面層に、第1マスクパターンの除去処理に対する保護層が形成されているので、第1絶縁膜がマスクパターンの除去処理によって悪影響を受ける心配がない。従って、第4工程において第1マスクパターンをマスクとして、第1の膜の所定の個所を、第1絶縁膜が露出するまで完全にエッチング除去することができ、第1の膜の膜厚に関係なく、第4工程及び第5工程におけるエッチング制御を簡単に行うことができる。
【0020】
本発明の第2の局面による半導体装置の製造方法にあっては、基板上に形成された導電層の上に組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、前記第1絶縁膜及びパターニングされた第1の膜の上に第2絶縁膜を形成する第8工程と、前記第2絶縁膜の上に、前記パターニングされた第1の膜の開口部の上方に位置し且つこの第1の膜の開口部よりも大きな開口部を有する第2マスクパターンを形成する第9工程と、前記第2マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜が露出するまで前記第2絶縁膜をエッチングする第10工程と、前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第11工程と、前記第10工程及び第11工程により形成された埋込用凹所に配線を埋め込む第12工程と、を含み、前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことをその要旨とする。
【0021】
この第2の局面による半導体装置の製造方法によれば、上記第1の局面による半導体装置の製造方法の作用に加えて、多層配線構造を効率的に形成することができる。
【0022】
尚、前記第1絶縁膜及び第1マスクパターンが有機系材料膜を含むことをが望ましく、この場合において、前記第5工程において、第1マスクパターンを酸素プラズマアッシング処理により除去することが望ましい。
【0023】
また、この場合において、前記第1絶縁膜が、炭素を1%以上含有する有機系シリコン酸化膜を含むことが望ましい。
【0024】
また、前記第1の膜が、無機系材料からなることが望ましく、特に、前記第1の膜が、シリコン窒化膜を含むことにより、この第1の膜で第1絶縁膜をエッチングする際に高い選択比でエッチングすることができ、第1の膜自身の膜厚をより薄くすることができる。
【0025】
また、前記第1絶縁膜の少なくとも表面層に不純物を導入することにより、簡単な手法で保護層に変成させることができる。
【0026】
そして、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第2工程の開始前に行うことが望ましい。
【0027】
また、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第2工程と第3工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、第1の膜を介して不純物を導入することにより行うことが望ましい。すなわち、第1絶縁膜は、特に、炭素を1%以上含有する有機系シリコン酸化材料を含むことで、不純物の導入により、膜が改質されて、膜に含まれる水分や水酸基が減少し且つ膜が吸水しにくくなるが、この不純物の導入を第1の膜を介して行うことで、改質部分(保護層)の水分や水酸基の含有率がきわめて低くなり、絶縁膜としての特性が非常に優れたものとなる。
【0028】
また、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第3工程と第4工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、前記第1マスクパターンをマスクとして不純物を導入することにより行うことが望ましい。すなわち、不純物の導入により、膜が改質されて、その部分の比誘電率が若干増加することがあるが、第1マスクパターンの除去の際において第1絶縁膜が露出する部分のみに保護層を形成することで、必要最小限の部分だけの比誘電率が若干増加するだけで、第1絶縁膜におけるその他の部分の比誘電率は増加しない。従って、配線間容量の増加を抑制することができる。
【0029】
特に、パターニングされた第1の膜をマスクとして第1絶縁膜をエッチングした場合には、保護層は、全て又はほとんどが除去される。この場合は、絶縁膜全体としての比誘電率が増加する心配はほとんどない。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は本第1実施形態における半導体装置の断面図である。図1において、単結晶シリコン基板1の上には、シリコン酸化膜2が形成されている。シリコン酸化膜2の上には有機SOG膜3が形成され、この有機SOG膜3の表面層には改質SOG膜4が形成されている。有機SOG膜3(改質SOG膜4)には、ダマシン法により金属配線5が埋め込まれている。すなわち、改質SOG膜4の上には、シリコン窒化膜マスク6が形成され、有機SOG膜3(改質SOG膜4)にはシリコン窒化膜マスク6をマスクとしてトレンチ7が形成され、このトレンチ7内に金属配線5が埋め込まれている。
【0032】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法を図1〜図8に従って説明する。
【0033】
工程1(図2参照):(100)p型(又はn型)単結晶シリコン基板1の上にシリコン酸化膜2(膜厚:200nm)を形成し、その上に有機SOG膜3を形成する。有機SOG膜3の組成は[(CH3)2Si4O7]nで、その膜厚は600nmである。
【0034】
シリコン酸化膜2は、プラズマCVD法により形成する。反応ガスとしては、モノシランと亜酸化窒素(SiH4+N2O)、モノシランと酸素(SiH4+O2)、TEOS(Tetra−ethoxy−silane)と酸素(TEOS+O2)などを用い、成膜温度は300〜900℃である。
【0035】
また、シリコン酸化膜2は、プラズマCVD法以外の方法(常圧CVD法、減圧CVD法、ECRプラズマCVD法、光励起CVD法、TEOS−CVD法、PVD法など)によって形成してもよい。例えば、常圧CVD法で用いられるガスはモノシランと酸素(SiH4+O2)であり、成膜温度は400℃以下である。また、減圧CVD法で用いられるガスはモノシランと亜酸化窒素(SiH4+N2O)であり、成膜温度は900℃以下である。
【0036】
有機SOG膜3の形成方法は、まず、前記組成のシリコン化合物のアルコール系溶液(例えば、IPA+アセトン)を基板1の上に滴下して基板を回転速度:2300rpmで20秒間回転させ、この溶液の被膜を基板1の上に形成する。このとき、そのアルコール系溶液の被膜は、基板1の上の段差に対して、その凹部には厚く、その凸部には薄く、段差を緩和するように形成される。その結果、アルコール系溶液の被膜の表面は平坦化される。
【0037】
次に、窒素雰囲気中において、100℃で1分間、200℃で1分間、300℃で1分間、22℃で1分間、430℃で30分間、順次熱処理を施すと、アルコール系溶媒が蒸発すると共に重合反応が進行して、表面が平坦な膜厚300nmの有機SOG膜が形成される。この被膜形成〜熱処理作業をもう1回繰り返すことにより、膜厚600nmの有機SOG膜3を得る。尚、この有機SOG膜3が本発明における「第1絶縁膜」に相当する。
【0038】
この有機SOG膜3は、下地面が平坦なため、基板の全面にわたってほぼ均一な膜厚で塗布形成される。有機SOG膜3は、炭素を1%以上含有するシリコン酸化膜である。
【0039】
工程2(図3参照):有機SOG膜3の表面に対し、アルゴンイオン(Ar+)を加速エネルギー:20KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2の条件でドープする。このように、有機SOG膜3にアルゴンイオンを導入することで、膜中の有機成分が分解され、膜中に含まれる水分及び水酸基が減少すると共に酸素プラズマに対する耐性が強化される。
【0040】
その結果、有機SOG膜3の表面層は、水分及び水酸基が僅かしか含まれず且つ酸素プラズマに対する耐性が高いSOG膜(以下、改質SOG膜という)4に変えられる。尚、この改質SOG膜4が、本発明における「保護層」に相当する。
【0041】
工程3(図4参照):改質SOG膜4の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜6aを形成する。尚、このシリコン窒化膜6aが、本発明における「第1の膜」に相当する。
【0042】
工程4(図5参照):シリコン窒化膜6aの上に、有機樹脂からなるレジストパターン8を形成する。尚、このレジストパターン8が、本発明における「第1マスクパターン」に相当する。
【0043】
工程5(図6参照):レジストパターン8をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜6aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク6を形成する。尚、このシリコン窒化膜マスク6が、本発明における「パターニングされた第1の膜」に相当する。
【0044】
工程6(図7参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン8を灰化する(除去する)。この酸素プラズマの条件は、マイクロ波;2.45GHz、パワー;1KW、圧力;3torr、O2流量;5000sccm、(H2(3%)+N2(97%))流量;300sccmである。
【0045】
この時、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることが防止できる。例えば、有機SOG膜を酸素プラズマに晒した場合、その膜厚が16%減少するのに対し、有機SOG膜の表層にアルゴンイオンを注入して改質SOG膜を形成した後、酸素プラズマに晒した場合は、膜厚が減少しない。
【0046】
工程7(図8参照):シリコン窒化膜マスク6をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、改質SOG膜4及び有機SOG膜3に埋め込み孔としてのトレンチ7を形成する。
【0047】
工程8(図1参照):必要に応じて、不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ7内をクリーニングした後、トレンチ7内及びシリコン窒化膜マスク6の上に、マグネトロンスパッタ法やCVD法を用いて、密着層及びバリヤ層としてのTiN膜を形成し、更に、その上に、CVD法又はメッキ法を用いて、Cu膜を形成し、さらに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、Cu膜の表面を研磨し、最終的にトレンチ7内(及びシリコン窒化膜マスク6の開口部内)にのみTiNとCuからなる金属配線5を埋め込み形成する。この金属配線の埋め込み技術は、一般にはダマシン(damascene)法と呼ばれている。
【0048】
ここで、図9は有機SOG膜(未処理)及び改質SOG膜(Arイオン注入処理)のそれぞれに窒素雰囲気で30分間の熱処理を施し、TDS法(Thermal Desorption Spectroscopy)を用いて評価した結果を示している。尚、イオン注入条件は、加速エネルギー:140KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2である。
【0049】
この図は、H2O(m/e=18)に関する脱離量を表したものであり、図から明らかなように、改質SOG膜はH2O(m/e=18)に関する脱離が少ないことが分かる。このことは、有機SOG膜にイオン注入を行って、改質SOG膜とすることにより、有機SOG膜に含まれる水分及び水酸基が減少することを示している。
【0050】
図10は有機SOG膜及び改質SOG膜の吸湿性を調べる目的で、有機SOG膜(未処理)、有機SOG膜を酸素プラズマに晒したもの(酸素プラズマ処理)及び改質SOG膜(Arイオン注入)をクリーンルーム内で大気中に放置し、膜中の水分を評価した結果を示している。膜中の水分量は、FT−IR法(FourierTransform Infrared Spectroscopy)を用いて、赤外吸収スペクトルのO−H基に関する吸収(3500cm−1付近)の面積強度を指標とした。イオン注入条件は、加速エネルギー:140KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2である。
【0051】
酸素プラズマに晒した場合、処理前後での水分増加だけでなく、1日後でも水分が増加していることが分かる。一方、改質SOG膜は、イオン注入後に増加していないだけでなく、クリーンルーム内で大気に放置しても、有機SOG膜に比べて水分の増加は小さい。
【0052】
即ち、改質SOG膜は、有機SOG膜に比べて吸湿性が低いことが分かる。
【0053】
図11は改質SOG膜及び有機SOG膜の水分の透過性を調べる目的で、プレッシャー・クッカー試験(PCT)(加湿試験のことで、本実施形態では、条件として、120℃、2気圧の飽和水蒸気雰囲気で行った)した結果を示している。FT−IR法を用いて、有機SOG膜中のO−Hに関する吸収ピーク(3500cm−1付近)の面積強度を求め、PCT時間との関係をプロットした。
【0054】
イオン注入法を用いて表面だけを改質した試料(Arイオン注入:20KeV)を作製し、膜全体を改質したもの(Arイオン注入:140KeV)や改質しなかったもの(有機SOG膜:未処理)と比較した結果、以下のことが分かった。
【0055】
(イ)改質していない有機SOG膜をPCTした場合、3500cm−1付近(O−H基に関する吸収)の吸収強度が劇的な増加を示す。
【0056】
(ロ)改質SOG膜では、3500cm−1付近(O−H基に関する吸収)の吸収強度の増加は小さい。膜表面だけを改質した試料でも、膜全体を改質したものと同程度である。
【0057】
以上の結果から、イオンを注入することで、水分の透過性を抑制する層を形成できることが分かる。
【0058】
次に、図12は、有機SOG膜の表面層にアルゴンイオンを注入することにより改質SOG膜を形成した状態(Ar impla.)で、酸素プラズマ処理した場合(Ar impla.+O2 plasma)の有機SOG膜の赤外吸収スペクトルをFT−IR法で測定した結果を示している。尚、同図において、(No treatment)は、改質していない有機SOG膜の測定結果を示している。
【0059】
酸素プラズマ処理した場合(Ar impla.+O2 plasma)において、改質SOG膜の下の有機SOG膜の有機成分(Si−CH3)がその他の場合と変化していないことから、改質SOG膜は、その下の有機SOG膜に対し酸素プラズマ処理の影響を遮断する酸素プラズマ耐性に優れた膜であることが分かる。尚、図12の実験に用いた酸素プラズマ処理は、一般にμ波ダウン・フローと言われているレジストのアッシング処理のことである。
【0060】
尚、上記図9〜図12に関する記述を含め、有機SOG膜にアルゴン等のイオンを導入することで、膜中の有機成分を分解して、膜中に含まれる水分及び水酸基を減少させると共に酸素プラズマ耐性を向上させることは、本出願人において公表済みである(例えば、特開平9−312339号公報参照)。
【0061】
以上、本第1実施形態にあっては、酸素プラズマアッシング処理によりレジストパターン8を除去する前に、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくので、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。従って、その後の工程においてトレンチ7を形良く形成することができ、また、トレンチ7の内壁面の絶縁膜の特性も劣化しておらず、トレンチ7内に金属配線5を良好な状態で埋め込むことができる。
【0062】
また、改質SOG膜4の比誘電率は3.5で、有機SOG膜3の比誘電率(2.9)に対し、若干高いが、本実施形態では、改質SOG膜4は、有機SOG膜3の表面層のみ存在し、それ以外の個所は有機SOG膜3のままであるため、膜全体の比誘電率が大幅に増加し、配線間容量が大きくなって信号遅延が発生することも極力防止できる。
(第2実施形態)
本発明を具体化した第2実施形態を図13及び図14に基づいて説明する。尚、本第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。本第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは、第1実施形態における工程2及び工程3のみであり、その他の工程は同一であるので、ここでは、異なる工程のみについて説明する。
【0063】
工程2a(図13参照):有機SOG膜3の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜6aを形成する。
【0064】
工程3a(図14参照):有機SOG膜3の表面に対し、シリコン窒化膜6aを介して、ホウ素(ボロン)イオン(B+)を加速エネルギー:20KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2の条件でドープする。このように、有機SOG膜3にホウ素イオンを導入することで、膜中の有機成分が分解され、膜中に含まれる水分及び水酸基が減少すると共に酸素プラズマに対する耐性が強化される。
【0065】
その結果、有機SOG膜3の表面層は、水分及び水酸基が僅かしか含まれず且つ酸素プラズマに対する耐性が高いSOG膜(以下、改質SOG膜という)4に変えられる。
【0066】
図15は、上記実施形態で用いた有機SOG膜(Type−B(シロキサン系))を改質SOG膜として改質するに当たり、有機SOG膜にイオン(ホウ素)を注入して単に改質する場合(SiNなし)、上記実施形態のようにシリコン窒化膜を通してイオン注入する場合(SiNスルー注入)及びイオン注入後に改質SOG膜の上にシリコン窒化膜を形成する場合(注入後SiN成膜)のそれぞれの場合のイオン注入量に対する膜中の水分量を測定したものである。
【0067】
膜中の水分量は、FT−IR法を用いて、赤外吸収スペクトルのO−H基に関する吸収(3500cm−1付近)の面積強度を指標とした。
【0068】
図16は、組成が[(CH3)2Si2O3]nである有機SOG膜(Type−A(メチルシルセスキオキサン系))について、図15と同様の条件で実験を行った結果を示している。
【0069】
尚、図15及び図16において、有機SOG及びシリコン窒化膜の各膜厚は、上記実施形態と同様である。
【0070】
「SiNスルー注入」や「注入後SiN成膜」の場合、「SiNなし」の場合に比べて、イオンのドーズ量にほとんど関係なく水分の含有量が低い値となっていることから、イオンドーズ量が少なくても優れた改質効果を得ることができることが分かる。特に、「SiNスルー注入」の場合は、他に比べて膜中の水分量を大幅に低減することができる。
【0071】
このことは、シリコン窒化膜の存在により、クリーンルーム大気中の水分をSOG膜が吸収することをシリコン窒化膜が有効に遮断するためと考えられ、特に、SiNスルー注入により、イオンを含有するシリコン窒化膜は優れた遮水効果があることが分かる。
【0072】
尚、本第2実施形態において、ホウ素イオンを上記第1実施形態と同様のアルゴンイオンに置き換えても同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
以上、本第2実施形態にあっては、第1実施形態の改質SOG膜よりも更に水分や水酸基の含有率が低い信頼性に優れた改質SOG膜を得ることができる。
(第3実施形態)
本発明を具体化した第3実施形態における半導体装置の製造方法を図17〜図24に従って説明する。尚、本第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0074】
工程10(図17参照):単結晶シリコン基板1の上にシリコン酸化膜2を形成し、その上に有機SOG膜3を形成する。
【0075】
工程11(図18参照):改質SOG膜4の上に、シリコン窒化膜6aを形成する。
【0076】
工程12(図19参照):シリコン窒化膜6aの上にレジストパターン8を形成する。
【0077】
工程13(図20参照):レジストパターン8をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜6aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク6を形成する。
【0078】
工程14(図21参照):有機SOG膜3の表面に対し、レジストパターン8をマスクとして、アルゴンイオン(Ar+)をドープすることにより、有機SOG膜3の表面層に、改質SOG膜4を形成する。
【0079】
工程15(図22参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン8を除去する。この時、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。
【0080】
工程16(図23参照):シリコン窒化膜マスク6をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、有機SOG膜3に埋め込み孔としてのトレンチ7を形成する。
【0081】
工程17(図24参照):必要に応じて、不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ7内をクリーニングした後、トレンチ7内(及びシリコン窒化膜マスク6の開口部内)にのみ金属配線5を埋め込み形成する。
【0082】
以上、本第3実施形態にあっては、改質SOG膜4は、有機SOG膜3がシリコン窒化膜マスク6の開口部から露出する部分のみに形成している。しかも、この改質SOG膜4は、シリコン窒化膜マスク6をマスクとして有機SOG膜3をエッチングしたときに、全て又はほとんどが除去される。従って、改質SOG膜4を形成したことにより、絶縁膜全体としての比誘電率が増加する心配がない。(第4実施形態)
本発明を具体化した第4実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本第4実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0083】
図25は本第4実施形態における半導体装置の断面図であり、いわゆるデュアルダマシン(dual−damascene)法を用いて形成された多層配線構造を示している。
【0084】
図25において、シリコン窒化膜マスク6及び金属配線5の上には、有機SOG膜10が形成されている。この有機SOG膜10の表面層には改質SOG膜11が形成されている。有機SOG膜10及び改質SOG膜11には、金属配線5に通じるコンタクトホール12が形成され、改質SOG膜11の上にはコンタクトホール12を形成するためのエッチングマスクとしてのシリコン窒化膜マスク13が形成されている。
【0085】
更に、シリコン窒化膜マスク13の上に有機SOG膜14が形成され、この有機SOG膜14の表面層には改質SOG膜15が形成されている。有機SOG膜14及び改質SOG膜15には、コンタクトホール12に通じるトレンチ16が形成され、改質SOG膜15の上にはトレンチ16を形成するためのエッチングマスクとしてのシリコン窒化膜マスク17が形成されている。
【0086】
そして、コンタクトホール12内及びトレンチ16内には、金属配線5と電気的に接続する上層金属配線18が形成されている。
【0087】
次に、本第4実施形態の半導体装置の製造方法を図25〜図32に従って説明する。
【0088】
工程20(図26参照):第1〜第3実施形態のいずれかにおいて作製したデバイス(本第4実施形態では、第1実施形態のデバイスを用いる)の上に、膜厚600nmの有機SOG膜10を形成し、更にその表面層に改質SOG膜11を形成する。この場合、金属配線5が本発明における「導電層」に相当する。有機SOG膜10及び改質SOG膜11の組成及び形成方法は、それぞれ上記有機SOG膜3及び改質SOG膜4と同様である。尚、この有機SOG膜10が本発明における「第1絶縁膜」に相当し、改質SOG膜11が、本発明における「保護層」に相当する。
【0089】
工程21(図27参照):改質SOG膜11の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜13aを形成する。尚、このシリコン窒化膜13aが、本発明における「第1の膜」に相当する。
【0090】
工程22(図28参照):シリコン窒化膜13aの上に、有機樹脂からなるレジストパターン19を形成した後、レジストパターン19をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜13aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク13を形成する。尚、このレジストパターン19が、本発明における「第1マスクパターン」に相当し、シリコン窒化膜マスク13が、本発明における「パターニングされた第1の膜」に相当する。
【0091】
工程23(図29参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン19を灰化する(除去する)。この時、有機SOG膜10の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜11を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜10(改質SOG膜11)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。
【0092】
工程24(図30参照):改質SOG膜11及びシリコン窒化膜マスク13aの上に、膜厚600nmの有機SOG膜14を形成し、更にその表面層に改質SOG膜15を形成する。この有機SOG膜14及び改質SOG膜15の組成及び形成方法は、それぞれ上記有機SOG膜3及び改質SOG膜4と同様である。尚、この有機SOG膜14及び改質SOG膜15は、本発明における「第2絶縁膜」に相当する。
【0093】
工程25(図31参照):改質SOG膜15の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜17aを形成し、更にその上に、有機樹脂からなるレジストパターン20を形成する。
【0094】
工程26(図32参照):レジストパターン20をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜17aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク17を形成する。このシリコン窒化膜マスク17の開口部は、シリコン窒化膜マスク13の開口部を含み、その面積も、シリコン窒化膜マスク13のそれよりも大きい。
【0095】
そして、酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン20を灰化する(除去する)。
【0096】
工程27(図33参照):シリコン窒化膜マスク13及びシリコン窒化膜マスク17をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、有機SOG膜10及び改質SOG膜11並びに有機SOG膜14及び改質SOG膜15をエッチングする。この場合、まずシリコン窒化膜マスク17をマスクとして有機SOG膜14及び改質SOG膜15がエッチングされ、シリコン窒化膜マスク13に到達した時点で有機SOG膜14のエッチングが終了し、まず、有機SOG膜14(改質SOG膜15)にトレンチ16が形成される。続いて、シリコン窒化膜マスク13をマスクとして、有機SOG膜10及び改質SOG膜11がエッチングされ、有機SOG膜10(改質SOG膜11)に、金属配線5に通じるコンタクトホール12が形成される。
【0097】
このように、シリコン窒化膜マスク13をエッチングストッパとして利用することにより、トレンチ16とコンタクトホール12とを一度のエッチングで形成することができる。
【0098】
工程28(図25参照):不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ16及びコンタクトホール12内をクリーニングした後、トレンチ16及びコンタクトホール12内を含むシリコン窒化膜マスク17の上に、マグネトロンスパッタ法やCVD法を用いて、密着層及びバリヤ層としてのTiN膜を形成し、その上に、CVD法又はメッキ法を用いて、Cu膜を形成し、更に、CMP法を用いて、Cu膜の表面を研磨し、最終的にトレンチ16及びコンタクトホール12内にTiNとCuからなる上層金属配線18を埋め込み形成する。尚、この上層金属配線18が、本発明における「配線」に相当する。
【0099】
以上、本第4実施形態にあっては、いわゆるデュアルダマシン法を用いて形成された多層配線構造においても第1実施形態と同様の作用効果を享受することができる。
(第5実施形態)
本発明を具体化した第5実施形態においては、上記第4実施形態において、第2実施形態の技術を適用する。すなわち、第4実施形態における改質SOG膜11は、シリコン窒化膜13aを形成した後に、有機SOG膜10の表面層に対し、シリコン窒化膜13aを介してイオン注入することにより形成する。
【0100】
尚、この場合、改質SOG膜15についても同様に、シリコン窒化膜17aを形成した後に形成しても良い。
(第6実施形態)
本発明を具体化した第6実施形態においては、上記第4実施形態において、第3実施形態の技術を適用する。すなわち、第4実施形態における改質SOG膜11は、レジストパターン19をマスクとしてシリコン窒化膜13aをエッチングした後、レジストパターン19を除去する前に、有機SOG膜10の表面層に対し、レジストパターン19をマスクとしてイオン注入することにより形成する。
【0101】
尚、この場合、改質SOG膜15についても同様に、レジストパターン20をマスクとしてシリコン窒化膜17aをエッチングした後に形成しても良い。
【0102】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施しても同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
(1)有機SOG膜のように有機成分を含んだシリコン酸化物に代えて、フロロカーボン膜、ポリイミド膜、炭化水素膜など、組成が有機成分からなる絶縁膜を用いる。
【0104】
(2)上記(1)において、有機成分からなる絶縁膜を用いた場合、改質SOG膜4,11,15を、イオン注入法に代えて、酸素以外のガスを用いたプラズマ処理を行う。この場合、酸素ガスを用いないのは、絶縁膜中の有機成分が酸素と反応してH2OやCO2等に分解してしまうのを防止する。
【0105】
(3)シリコン窒化膜6a,13a,17aに代えて、シリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜を用いる。
【0106】
(4)シリコン窒化膜6a,13a,17aに代えて、TiN、Ti、TaN、Ta等の金属膜を用いる。
【0107】
(5)第4〜第6実施形態において、有機SOG膜10を、シリコン基板及びその表面に形成された不純物拡散領域の上に形成する。この場合は、不純物拡散領域が本発明における「導電層」に相当する。
【0108】
(6)配線材料としてのCuに代えて、アルミ、金、銀、シリサイド、高融点金属、ドープドポリシリコン、窒化チタン(TiN)、タングステンチタン(TiW)又はそれらの積層構造で形成する。
【0109】
(7)密着層及びバリヤ層としてのTiNを、Ti,TaN,Ta等との積層構造にする。又は、TiNに代えて、Ti,TaN,Ta等を用いる。
【0110】
(8)改質SOG膜に熱処理を施す。この場合、改質SOG膜中のダングリングボンドが少なくなるため、吸湿性が更に小さくなり、水分の透過も更に少なくなる。
【0111】
(9)シリコン窒化膜マスク6を、金属配線5を埋め込み形成する前に除去する。
【0112】
(10)上記各実施形態では、有機SOG膜に注入するイオンとしてアルゴンイオンやホウ素イオンを用いたが、結果として有機SOG膜を改質するものであればどのようなイオンを用いてもよい。
【0113】
具体的には、アルゴンイオン、ホウ素イオン、窒素イオンなどの質量の比較的小さいイオンが適しているが、これら以外にも以下に示すイオンも十分に効果が期待できる。
【0114】
アルゴン以外の不活性ガスイオン(ヘリウムイオン、ネオンイオン、クリプトンイオン、キセノンイオン、ラドンイオン)。不活性ガスは有機SOG膜と反応しないため、イオン注入によって悪影響が生じる恐れが全くない。
【0115】
ホウ素及び窒素以外のIII b,IV b,V b,VI b,VII bの各族の元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。特に、酸素、アルミ、イオウ、塩素、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、アンチモン、ヨウ素、インジウム、スズ、テルル、鉛、ビスマスの元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。
【0116】
IVa族,Va族の元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。特に、チタン、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルの元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。
【0117】
各イオンを複数種類組み合わせて用いる。この場合、各イオンの相乗作用により更に優れた効果を得ることができる。
【0118】
(11)上記各実施形態では、有機SOG膜にイオンを注入しているが、イオンに限らず、原子、分子、粒子であればよい(本発明ではこれらを総称して不純物とする)。
【0119】
(12)単結晶シリコン基板(半導体基板)に代えて、導電性基板やガラス等の絶縁性基板を用いる。すなわち、以上の実施形態にあっては、単結晶シリコン基板上に絶縁膜を形成する例を示しているが、例えばLCDのように絶縁性基板の上に絶縁膜を形成するデバイスに対しても十分に適用が可能であり、このような絶縁性基板上に絶縁膜を形成したものであっても本発明における「半導体装置」の概念に属するものとする。
【0120】
(13)金属配線5又は上層金属配線18は、それぞれ分離していても、端部で接続されていても良く、任意の場所に置いて、配線間に絶縁膜が介在するものであれば良い。
【0121】
【発明の効果】
本発明にあっては、絶縁膜に対し簡単な工程で精度の高いエッチングを行うことができ、その結果、低コストで信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図2】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図3】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図4】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図5】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図6】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図7】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図8】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図11】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図12】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図13】本発明を具体化した第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図14】本発明を具体化した第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態を説明するための特性図である。
【図16】本発明の第2実施形態を説明するための特性図である。
【図17】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図18】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図19】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図20】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図21】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図22】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図23】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図24】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図25】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図26】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図27】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図28】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図29】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図30】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図31】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図32】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図33】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
3,10,14 有機SOG膜
4,11,15 改質SOG膜
5 金属配線
6,13,17 シリコン窒化膜マスク
6a,13a,17a シリコン窒化膜
7,16 トレンチ
8,19,20 レジストパターン
12 コンタクトホール
18 上層金属配線
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、詳しくは、デバイス上に絶縁膜を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の更なる高集積化を実現するために、配線の微細化、多層化を進めることが要求されている。配線を多層化するには、各配線間に層間絶縁膜を設けるが、その層間絶縁膜の表面が平坦でないと、層間絶縁膜の上部に形成された配線に段差が生じて断線などの故障が引き起こされる。
【0003】
従って、層間絶縁膜の表面(すなわち、デバイスの表面)は可能な限り平坦化されていなければならない。このように、デバイスの表面を平坦化する技術は、平坦化技術と呼ばれ、配線の微細化、多層化に伴ってますます重要になっている。
【0004】
平坦化技術において、よく用いられる層間絶縁膜としてSOG膜があり、特に、層間絶縁膜材料のフロー特性を利用した平坦化技術において盛んな検討がなされている。
【0005】
SOGとは、シリコン化合物を有機溶剤に溶解した溶液及びその溶液から形成される二酸化シリコンを主成分とする膜の総称である。
【0006】
SOG膜を形成するには、まず、シリコン化合物を有機溶剤に溶解した溶液を基板上に滴下して基板を回転させる。すると、その溶液の被膜は、配線によって形成される基板上の段差に対して、その凹部には厚く、凸部には薄く、段差を緩和するように形成される。その結果、その溶液の被膜の表面は平坦化される。
【0007】
次に熱処理が施されると、有機溶剤が蒸発すると共に重合反応が進行して、表面が平坦なSOG膜が形成される。
【0008】
SOG膜には、一般式(1)で表されるように、シリコン化合物中に有機成分を含まない無機SOG膜と、一般式(2)で表されるように、シリコン化合物中に有機成分を含む有機SOG膜とがある。
【0009】
[SiO2]n ・・・(1)
[RXSiYOZ]n ・・・(2)
(n,X,Y,Z:整数、R:アルキル基又はアリール基)
無機SOG膜は、水分及び水酸基を多量に含んでいる上に、CVD法によって形成されたシリコン酸化膜に比べて、熱処理時にクラックが発生しやすいという欠点がある。
【0010】
一方、有機SOG膜は、分子構造上、アルキル基又はアリール基で結合が閉じている部分があるため、熱処理時におけるクラックの発生が抑制され、膜厚の大きな層間絶縁膜を得ることができる。従って、有機SOG膜を用いれば、基板上の大きな段差に対しても十分な平坦化が可能になる。
【0011】
ところが、有機SOG膜を層間絶縁膜として用いた場合、この有機SOG膜にコンタクトホールを形成する際のエッチングマスクとして、通常のフォトレジスト材を用いることが困難であるという欠点がある。すなわち、有機SOG膜もフォトレジストも共に有機系成分を含むため、エッチング終了後にフォトレジストを剥離するためのアッシング処理(例えば、酸素プラズマアッシング処理)によって、有機SOG膜が浸食されたり特性が劣化したりする。
【0012】
このような問題を解消する技術として、特開平8−17928号には、有機SOG膜にコンタクトホールを形成するに当たって、有機SOG膜の上にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜に対し、フォトレジストをマスクとして異方性エッチングを行い、有機SOG膜に到達しない凹部を形成し、その後、フォトレジストを除去してから凹部を有するシリコン酸化膜をマスクとして、有機SOG膜を異方性ドライエッチングすることが記載されている。
【0013】
すなわち、フォトレジストを除去する際には、有機SOG膜の表面は凹部の底部を含めたシリコン酸化膜で覆われているので、有機SOG膜が浸食されたり変質したりすることが無い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
有機SOG膜のエッチング用マスクとしてのシリコン酸化膜は、有機SOG膜に比べて比誘電率が高いので、配線間容量が大きくなって信号遅延の原因となるために、膜厚を比較的薄くする必要がある。従って、このような薄い膜厚のシリコン酸化膜に、有機SOG膜が露出しないように凹部を形成するには、きわめて精度の高いエッチング制御を必要する。
【0015】
また、従来例では、シリコン酸化膜の凹部の底部がエッチングにより無くなってから、シリコン酸化膜をマスクとして有機SOG膜のエッチングが始まる。従って、凹部の底部がエッチングされている間、シリコン酸化膜のその他の部分も薄膜化され、有機SOG膜のエッチング用マスクとして十分に機能するだけの膜厚を残すことができない問題がある。
【0016】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、斯かる問題点を解消することをその目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面による半導体装置の製造方法にあっては、基板上に形成した導電層の上に、組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第6工程と、を含み、前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことをその要旨とする。
【0018】
すなわち、第1マスクパターンを除去する際には、既に第1絶縁膜の少なくとも表面層に、第1マスクパターンの除去処理に対する保護層が形成されているので、第1絶縁膜がマスクパターンの除去処理によって悪影響を受ける心配がない。従って、第4工程において第1マスクパターンをマスクとして、第1の膜の所定の個所を、第1絶縁膜が露出するまで完全にエッチング除去することができ、第1の膜の膜厚に関係なく、第4工程及び第5工程におけるエッチング制御を簡単に行うことができる。
【0020】
本発明の第2の局面による半導体装置の製造方法にあっては、基板上に形成された導電層の上に組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、前記第1絶縁膜及びパターニングされた第1の膜の上に第2絶縁膜を形成する第8工程と、前記第2絶縁膜の上に、前記パターニングされた第1の膜の開口部の上方に位置し且つこの第1の膜の開口部よりも大きな開口部を有する第2マスクパターンを形成する第9工程と、前記第2マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜が露出するまで前記第2絶縁膜をエッチングする第10工程と、前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第11工程と、前記第10工程及び第11工程により形成された埋込用凹所に配線を埋め込む第12工程と、を含み、前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことをその要旨とする。
【0021】
この第2の局面による半導体装置の製造方法によれば、上記第1の局面による半導体装置の製造方法の作用に加えて、多層配線構造を効率的に形成することができる。
【0022】
尚、前記第1絶縁膜及び第1マスクパターンが有機系材料膜を含むことをが望ましく、この場合において、前記第5工程において、第1マスクパターンを酸素プラズマアッシング処理により除去することが望ましい。
【0023】
また、この場合において、前記第1絶縁膜が、炭素を1%以上含有する有機系シリコン酸化膜を含むことが望ましい。
【0024】
また、前記第1の膜が、無機系材料からなることが望ましく、特に、前記第1の膜が、シリコン窒化膜を含むことにより、この第1の膜で第1絶縁膜をエッチングする際に高い選択比でエッチングすることができ、第1の膜自身の膜厚をより薄くすることができる。
【0025】
また、前記第1絶縁膜の少なくとも表面層に不純物を導入することにより、簡単な手法で保護層に変成させることができる。
【0026】
そして、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第2工程の開始前に行うことが望ましい。
【0027】
また、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第2工程と第3工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、第1の膜を介して不純物を導入することにより行うことが望ましい。すなわち、第1絶縁膜は、特に、炭素を1%以上含有する有機系シリコン酸化材料を含むことで、不純物の導入により、膜が改質されて、膜に含まれる水分や水酸基が減少し且つ膜が吸水しにくくなるが、この不純物の導入を第1の膜を介して行うことで、改質部分(保護層)の水分や水酸基の含有率がきわめて低くなり、絶縁膜としての特性が非常に優れたものとなる。
【0028】
また、上記の各半導体装置の製造方法にあっては、前記第7工程を、前記第3工程と第4工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、前記第1マスクパターンをマスクとして不純物を導入することにより行うことが望ましい。すなわち、不純物の導入により、膜が改質されて、その部分の比誘電率が若干増加することがあるが、第1マスクパターンの除去の際において第1絶縁膜が露出する部分のみに保護層を形成することで、必要最小限の部分だけの比誘電率が若干増加するだけで、第1絶縁膜におけるその他の部分の比誘電率は増加しない。従って、配線間容量の増加を抑制することができる。
【0029】
特に、パターニングされた第1の膜をマスクとして第1絶縁膜をエッチングした場合には、保護層は、全て又はほとんどが除去される。この場合は、絶縁膜全体としての比誘電率が増加する心配はほとんどない。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は本第1実施形態における半導体装置の断面図である。図1において、単結晶シリコン基板1の上には、シリコン酸化膜2が形成されている。シリコン酸化膜2の上には有機SOG膜3が形成され、この有機SOG膜3の表面層には改質SOG膜4が形成されている。有機SOG膜3(改質SOG膜4)には、ダマシン法により金属配線5が埋め込まれている。すなわち、改質SOG膜4の上には、シリコン窒化膜マスク6が形成され、有機SOG膜3(改質SOG膜4)にはシリコン窒化膜マスク6をマスクとしてトレンチ7が形成され、このトレンチ7内に金属配線5が埋め込まれている。
【0032】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法を図1〜図8に従って説明する。
【0033】
工程1(図2参照):(100)p型(又はn型)単結晶シリコン基板1の上にシリコン酸化膜2(膜厚:200nm)を形成し、その上に有機SOG膜3を形成する。有機SOG膜3の組成は[(CH3)2Si4O7]nで、その膜厚は600nmである。
【0034】
シリコン酸化膜2は、プラズマCVD法により形成する。反応ガスとしては、モノシランと亜酸化窒素(SiH4+N2O)、モノシランと酸素(SiH4+O2)、TEOS(Tetra−ethoxy−silane)と酸素(TEOS+O2)などを用い、成膜温度は300〜900℃である。
【0035】
また、シリコン酸化膜2は、プラズマCVD法以外の方法(常圧CVD法、減圧CVD法、ECRプラズマCVD法、光励起CVD法、TEOS−CVD法、PVD法など)によって形成してもよい。例えば、常圧CVD法で用いられるガスはモノシランと酸素(SiH4+O2)であり、成膜温度は400℃以下である。また、減圧CVD法で用いられるガスはモノシランと亜酸化窒素(SiH4+N2O)であり、成膜温度は900℃以下である。
【0036】
有機SOG膜3の形成方法は、まず、前記組成のシリコン化合物のアルコール系溶液(例えば、IPA+アセトン)を基板1の上に滴下して基板を回転速度:2300rpmで20秒間回転させ、この溶液の被膜を基板1の上に形成する。このとき、そのアルコール系溶液の被膜は、基板1の上の段差に対して、その凹部には厚く、その凸部には薄く、段差を緩和するように形成される。その結果、アルコール系溶液の被膜の表面は平坦化される。
【0037】
次に、窒素雰囲気中において、100℃で1分間、200℃で1分間、300℃で1分間、22℃で1分間、430℃で30分間、順次熱処理を施すと、アルコール系溶媒が蒸発すると共に重合反応が進行して、表面が平坦な膜厚300nmの有機SOG膜が形成される。この被膜形成〜熱処理作業をもう1回繰り返すことにより、膜厚600nmの有機SOG膜3を得る。尚、この有機SOG膜3が本発明における「第1絶縁膜」に相当する。
【0038】
この有機SOG膜3は、下地面が平坦なため、基板の全面にわたってほぼ均一な膜厚で塗布形成される。有機SOG膜3は、炭素を1%以上含有するシリコン酸化膜である。
【0039】
工程2(図3参照):有機SOG膜3の表面に対し、アルゴンイオン(Ar+)を加速エネルギー:20KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2の条件でドープする。このように、有機SOG膜3にアルゴンイオンを導入することで、膜中の有機成分が分解され、膜中に含まれる水分及び水酸基が減少すると共に酸素プラズマに対する耐性が強化される。
【0040】
その結果、有機SOG膜3の表面層は、水分及び水酸基が僅かしか含まれず且つ酸素プラズマに対する耐性が高いSOG膜(以下、改質SOG膜という)4に変えられる。尚、この改質SOG膜4が、本発明における「保護層」に相当する。
【0041】
工程3(図4参照):改質SOG膜4の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜6aを形成する。尚、このシリコン窒化膜6aが、本発明における「第1の膜」に相当する。
【0042】
工程4(図5参照):シリコン窒化膜6aの上に、有機樹脂からなるレジストパターン8を形成する。尚、このレジストパターン8が、本発明における「第1マスクパターン」に相当する。
【0043】
工程5(図6参照):レジストパターン8をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜6aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク6を形成する。尚、このシリコン窒化膜マスク6が、本発明における「パターニングされた第1の膜」に相当する。
【0044】
工程6(図7参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン8を灰化する(除去する)。この酸素プラズマの条件は、マイクロ波;2.45GHz、パワー;1KW、圧力;3torr、O2流量;5000sccm、(H2(3%)+N2(97%))流量;300sccmである。
【0045】
この時、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることが防止できる。例えば、有機SOG膜を酸素プラズマに晒した場合、その膜厚が16%減少するのに対し、有機SOG膜の表層にアルゴンイオンを注入して改質SOG膜を形成した後、酸素プラズマに晒した場合は、膜厚が減少しない。
【0046】
工程7(図8参照):シリコン窒化膜マスク6をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、改質SOG膜4及び有機SOG膜3に埋め込み孔としてのトレンチ7を形成する。
【0047】
工程8(図1参照):必要に応じて、不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ7内をクリーニングした後、トレンチ7内及びシリコン窒化膜マスク6の上に、マグネトロンスパッタ法やCVD法を用いて、密着層及びバリヤ層としてのTiN膜を形成し、更に、その上に、CVD法又はメッキ法を用いて、Cu膜を形成し、さらに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、Cu膜の表面を研磨し、最終的にトレンチ7内(及びシリコン窒化膜マスク6の開口部内)にのみTiNとCuからなる金属配線5を埋め込み形成する。この金属配線の埋め込み技術は、一般にはダマシン(damascene)法と呼ばれている。
【0048】
ここで、図9は有機SOG膜(未処理)及び改質SOG膜(Arイオン注入処理)のそれぞれに窒素雰囲気で30分間の熱処理を施し、TDS法(Thermal Desorption Spectroscopy)を用いて評価した結果を示している。尚、イオン注入条件は、加速エネルギー:140KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2である。
【0049】
この図は、H2O(m/e=18)に関する脱離量を表したものであり、図から明らかなように、改質SOG膜はH2O(m/e=18)に関する脱離が少ないことが分かる。このことは、有機SOG膜にイオン注入を行って、改質SOG膜とすることにより、有機SOG膜に含まれる水分及び水酸基が減少することを示している。
【0050】
図10は有機SOG膜及び改質SOG膜の吸湿性を調べる目的で、有機SOG膜(未処理)、有機SOG膜を酸素プラズマに晒したもの(酸素プラズマ処理)及び改質SOG膜(Arイオン注入)をクリーンルーム内で大気中に放置し、膜中の水分を評価した結果を示している。膜中の水分量は、FT−IR法(FourierTransform Infrared Spectroscopy)を用いて、赤外吸収スペクトルのO−H基に関する吸収(3500cm−1付近)の面積強度を指標とした。イオン注入条件は、加速エネルギー:140KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2である。
【0051】
酸素プラズマに晒した場合、処理前後での水分増加だけでなく、1日後でも水分が増加していることが分かる。一方、改質SOG膜は、イオン注入後に増加していないだけでなく、クリーンルーム内で大気に放置しても、有機SOG膜に比べて水分の増加は小さい。
【0052】
即ち、改質SOG膜は、有機SOG膜に比べて吸湿性が低いことが分かる。
【0053】
図11は改質SOG膜及び有機SOG膜の水分の透過性を調べる目的で、プレッシャー・クッカー試験(PCT)(加湿試験のことで、本実施形態では、条件として、120℃、2気圧の飽和水蒸気雰囲気で行った)した結果を示している。FT−IR法を用いて、有機SOG膜中のO−Hに関する吸収ピーク(3500cm−1付近)の面積強度を求め、PCT時間との関係をプロットした。
【0054】
イオン注入法を用いて表面だけを改質した試料(Arイオン注入:20KeV)を作製し、膜全体を改質したもの(Arイオン注入:140KeV)や改質しなかったもの(有機SOG膜:未処理)と比較した結果、以下のことが分かった。
【0055】
(イ)改質していない有機SOG膜をPCTした場合、3500cm−1付近(O−H基に関する吸収)の吸収強度が劇的な増加を示す。
【0056】
(ロ)改質SOG膜では、3500cm−1付近(O−H基に関する吸収)の吸収強度の増加は小さい。膜表面だけを改質した試料でも、膜全体を改質したものと同程度である。
【0057】
以上の結果から、イオンを注入することで、水分の透過性を抑制する層を形成できることが分かる。
【0058】
次に、図12は、有機SOG膜の表面層にアルゴンイオンを注入することにより改質SOG膜を形成した状態(Ar impla.)で、酸素プラズマ処理した場合(Ar impla.+O2 plasma)の有機SOG膜の赤外吸収スペクトルをFT−IR法で測定した結果を示している。尚、同図において、(No treatment)は、改質していない有機SOG膜の測定結果を示している。
【0059】
酸素プラズマ処理した場合(Ar impla.+O2 plasma)において、改質SOG膜の下の有機SOG膜の有機成分(Si−CH3)がその他の場合と変化していないことから、改質SOG膜は、その下の有機SOG膜に対し酸素プラズマ処理の影響を遮断する酸素プラズマ耐性に優れた膜であることが分かる。尚、図12の実験に用いた酸素プラズマ処理は、一般にμ波ダウン・フローと言われているレジストのアッシング処理のことである。
【0060】
尚、上記図9〜図12に関する記述を含め、有機SOG膜にアルゴン等のイオンを導入することで、膜中の有機成分を分解して、膜中に含まれる水分及び水酸基を減少させると共に酸素プラズマ耐性を向上させることは、本出願人において公表済みである(例えば、特開平9−312339号公報参照)。
【0061】
以上、本第1実施形態にあっては、酸素プラズマアッシング処理によりレジストパターン8を除去する前に、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくので、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。従って、その後の工程においてトレンチ7を形良く形成することができ、また、トレンチ7の内壁面の絶縁膜の特性も劣化しておらず、トレンチ7内に金属配線5を良好な状態で埋め込むことができる。
【0062】
また、改質SOG膜4の比誘電率は3.5で、有機SOG膜3の比誘電率(2.9)に対し、若干高いが、本実施形態では、改質SOG膜4は、有機SOG膜3の表面層のみ存在し、それ以外の個所は有機SOG膜3のままであるため、膜全体の比誘電率が大幅に増加し、配線間容量が大きくなって信号遅延が発生することも極力防止できる。
(第2実施形態)
本発明を具体化した第2実施形態を図13及び図14に基づいて説明する。尚、本第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。本第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは、第1実施形態における工程2及び工程3のみであり、その他の工程は同一であるので、ここでは、異なる工程のみについて説明する。
【0063】
工程2a(図13参照):有機SOG膜3の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜6aを形成する。
【0064】
工程3a(図14参照):有機SOG膜3の表面に対し、シリコン窒化膜6aを介して、ホウ素(ボロン)イオン(B+)を加速エネルギー:20KeV、ドーズ量:1×1015atoms/cm2の条件でドープする。このように、有機SOG膜3にホウ素イオンを導入することで、膜中の有機成分が分解され、膜中に含まれる水分及び水酸基が減少すると共に酸素プラズマに対する耐性が強化される。
【0065】
その結果、有機SOG膜3の表面層は、水分及び水酸基が僅かしか含まれず且つ酸素プラズマに対する耐性が高いSOG膜(以下、改質SOG膜という)4に変えられる。
【0066】
図15は、上記実施形態で用いた有機SOG膜(Type−B(シロキサン系))を改質SOG膜として改質するに当たり、有機SOG膜にイオン(ホウ素)を注入して単に改質する場合(SiNなし)、上記実施形態のようにシリコン窒化膜を通してイオン注入する場合(SiNスルー注入)及びイオン注入後に改質SOG膜の上にシリコン窒化膜を形成する場合(注入後SiN成膜)のそれぞれの場合のイオン注入量に対する膜中の水分量を測定したものである。
【0067】
膜中の水分量は、FT−IR法を用いて、赤外吸収スペクトルのO−H基に関する吸収(3500cm−1付近)の面積強度を指標とした。
【0068】
図16は、組成が[(CH3)2Si2O3]nである有機SOG膜(Type−A(メチルシルセスキオキサン系))について、図15と同様の条件で実験を行った結果を示している。
【0069】
尚、図15及び図16において、有機SOG及びシリコン窒化膜の各膜厚は、上記実施形態と同様である。
【0070】
「SiNスルー注入」や「注入後SiN成膜」の場合、「SiNなし」の場合に比べて、イオンのドーズ量にほとんど関係なく水分の含有量が低い値となっていることから、イオンドーズ量が少なくても優れた改質効果を得ることができることが分かる。特に、「SiNスルー注入」の場合は、他に比べて膜中の水分量を大幅に低減することができる。
【0071】
このことは、シリコン窒化膜の存在により、クリーンルーム大気中の水分をSOG膜が吸収することをシリコン窒化膜が有効に遮断するためと考えられ、特に、SiNスルー注入により、イオンを含有するシリコン窒化膜は優れた遮水効果があることが分かる。
【0072】
尚、本第2実施形態において、ホウ素イオンを上記第1実施形態と同様のアルゴンイオンに置き換えても同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
以上、本第2実施形態にあっては、第1実施形態の改質SOG膜よりも更に水分や水酸基の含有率が低い信頼性に優れた改質SOG膜を得ることができる。
(第3実施形態)
本発明を具体化した第3実施形態における半導体装置の製造方法を図17〜図24に従って説明する。尚、本第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0074】
工程10(図17参照):単結晶シリコン基板1の上にシリコン酸化膜2を形成し、その上に有機SOG膜3を形成する。
【0075】
工程11(図18参照):改質SOG膜4の上に、シリコン窒化膜6aを形成する。
【0076】
工程12(図19参照):シリコン窒化膜6aの上にレジストパターン8を形成する。
【0077】
工程13(図20参照):レジストパターン8をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜6aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク6を形成する。
【0078】
工程14(図21参照):有機SOG膜3の表面に対し、レジストパターン8をマスクとして、アルゴンイオン(Ar+)をドープすることにより、有機SOG膜3の表面層に、改質SOG膜4を形成する。
【0079】
工程15(図22参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン8を除去する。この時、有機SOG膜3の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜4を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜3(改質SOG膜4)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。
【0080】
工程16(図23参照):シリコン窒化膜マスク6をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、有機SOG膜3に埋め込み孔としてのトレンチ7を形成する。
【0081】
工程17(図24参照):必要に応じて、不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ7内をクリーニングした後、トレンチ7内(及びシリコン窒化膜マスク6の開口部内)にのみ金属配線5を埋め込み形成する。
【0082】
以上、本第3実施形態にあっては、改質SOG膜4は、有機SOG膜3がシリコン窒化膜マスク6の開口部から露出する部分のみに形成している。しかも、この改質SOG膜4は、シリコン窒化膜マスク6をマスクとして有機SOG膜3をエッチングしたときに、全て又はほとんどが除去される。従って、改質SOG膜4を形成したことにより、絶縁膜全体としての比誘電率が増加する心配がない。(第4実施形態)
本発明を具体化した第4実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本第4実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0083】
図25は本第4実施形態における半導体装置の断面図であり、いわゆるデュアルダマシン(dual−damascene)法を用いて形成された多層配線構造を示している。
【0084】
図25において、シリコン窒化膜マスク6及び金属配線5の上には、有機SOG膜10が形成されている。この有機SOG膜10の表面層には改質SOG膜11が形成されている。有機SOG膜10及び改質SOG膜11には、金属配線5に通じるコンタクトホール12が形成され、改質SOG膜11の上にはコンタクトホール12を形成するためのエッチングマスクとしてのシリコン窒化膜マスク13が形成されている。
【0085】
更に、シリコン窒化膜マスク13の上に有機SOG膜14が形成され、この有機SOG膜14の表面層には改質SOG膜15が形成されている。有機SOG膜14及び改質SOG膜15には、コンタクトホール12に通じるトレンチ16が形成され、改質SOG膜15の上にはトレンチ16を形成するためのエッチングマスクとしてのシリコン窒化膜マスク17が形成されている。
【0086】
そして、コンタクトホール12内及びトレンチ16内には、金属配線5と電気的に接続する上層金属配線18が形成されている。
【0087】
次に、本第4実施形態の半導体装置の製造方法を図25〜図32に従って説明する。
【0088】
工程20(図26参照):第1〜第3実施形態のいずれかにおいて作製したデバイス(本第4実施形態では、第1実施形態のデバイスを用いる)の上に、膜厚600nmの有機SOG膜10を形成し、更にその表面層に改質SOG膜11を形成する。この場合、金属配線5が本発明における「導電層」に相当する。有機SOG膜10及び改質SOG膜11の組成及び形成方法は、それぞれ上記有機SOG膜3及び改質SOG膜4と同様である。尚、この有機SOG膜10が本発明における「第1絶縁膜」に相当し、改質SOG膜11が、本発明における「保護層」に相当する。
【0089】
工程21(図27参照):改質SOG膜11の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜13aを形成する。尚、このシリコン窒化膜13aが、本発明における「第1の膜」に相当する。
【0090】
工程22(図28参照):シリコン窒化膜13aの上に、有機樹脂からなるレジストパターン19を形成した後、レジストパターン19をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜13aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク13を形成する。尚、このレジストパターン19が、本発明における「第1マスクパターン」に相当し、シリコン窒化膜マスク13が、本発明における「パターニングされた第1の膜」に相当する。
【0091】
工程23(図29参照):酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン19を灰化する(除去する)。この時、有機SOG膜10の表面層に、酸素プラズマ耐性が強化された改質SOG膜11を形成しておくことで、酸素プラズマアッシング処理によって有機SOG膜10(改質SOG膜11)が浸食されたり特性が劣化したりすることを防止している。
【0092】
工程24(図30参照):改質SOG膜11及びシリコン窒化膜マスク13aの上に、膜厚600nmの有機SOG膜14を形成し、更にその表面層に改質SOG膜15を形成する。この有機SOG膜14及び改質SOG膜15の組成及び形成方法は、それぞれ上記有機SOG膜3及び改質SOG膜4と同様である。尚、この有機SOG膜14及び改質SOG膜15は、本発明における「第2絶縁膜」に相当する。
【0093】
工程25(図31参照):改質SOG膜15の上に、プラズマCVD法を用いてシリコン窒化膜17aを形成し、更にその上に、有機樹脂からなるレジストパターン20を形成する。
【0094】
工程26(図32参照):レジストパターン20をマスクとして、RIE法により、シリコン窒化膜17aをエッチングすることにより、シリコン窒化膜マスク17を形成する。このシリコン窒化膜マスク17の開口部は、シリコン窒化膜マスク13の開口部を含み、その面積も、シリコン窒化膜マスク13のそれよりも大きい。
【0095】
そして、酸素プラズマアッシング処理を行い、レジストパターン20を灰化する(除去する)。
【0096】
工程27(図33参照):シリコン窒化膜マスク13及びシリコン窒化膜マスク17をマスクとして、フロロカーボン系のガスをエッチングガスとして用いる異方性エッチングを行い、有機SOG膜10及び改質SOG膜11並びに有機SOG膜14及び改質SOG膜15をエッチングする。この場合、まずシリコン窒化膜マスク17をマスクとして有機SOG膜14及び改質SOG膜15がエッチングされ、シリコン窒化膜マスク13に到達した時点で有機SOG膜14のエッチングが終了し、まず、有機SOG膜14(改質SOG膜15)にトレンチ16が形成される。続いて、シリコン窒化膜マスク13をマスクとして、有機SOG膜10及び改質SOG膜11がエッチングされ、有機SOG膜10(改質SOG膜11)に、金属配線5に通じるコンタクトホール12が形成される。
【0097】
このように、シリコン窒化膜マスク13をエッチングストッパとして利用することにより、トレンチ16とコンタクトホール12とを一度のエッチングで形成することができる。
【0098】
工程28(図25参照):不活性ガス(例えばAr)を用いたスパッタエッチングによって、トレンチ16及びコンタクトホール12内をクリーニングした後、トレンチ16及びコンタクトホール12内を含むシリコン窒化膜マスク17の上に、マグネトロンスパッタ法やCVD法を用いて、密着層及びバリヤ層としてのTiN膜を形成し、その上に、CVD法又はメッキ法を用いて、Cu膜を形成し、更に、CMP法を用いて、Cu膜の表面を研磨し、最終的にトレンチ16及びコンタクトホール12内にTiNとCuからなる上層金属配線18を埋め込み形成する。尚、この上層金属配線18が、本発明における「配線」に相当する。
【0099】
以上、本第4実施形態にあっては、いわゆるデュアルダマシン法を用いて形成された多層配線構造においても第1実施形態と同様の作用効果を享受することができる。
(第5実施形態)
本発明を具体化した第5実施形態においては、上記第4実施形態において、第2実施形態の技術を適用する。すなわち、第4実施形態における改質SOG膜11は、シリコン窒化膜13aを形成した後に、有機SOG膜10の表面層に対し、シリコン窒化膜13aを介してイオン注入することにより形成する。
【0100】
尚、この場合、改質SOG膜15についても同様に、シリコン窒化膜17aを形成した後に形成しても良い。
(第6実施形態)
本発明を具体化した第6実施形態においては、上記第4実施形態において、第3実施形態の技術を適用する。すなわち、第4実施形態における改質SOG膜11は、レジストパターン19をマスクとしてシリコン窒化膜13aをエッチングした後、レジストパターン19を除去する前に、有機SOG膜10の表面層に対し、レジストパターン19をマスクとしてイオン注入することにより形成する。
【0101】
尚、この場合、改質SOG膜15についても同様に、レジストパターン20をマスクとしてシリコン窒化膜17aをエッチングした後に形成しても良い。
【0102】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施しても同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
(1)有機SOG膜のように有機成分を含んだシリコン酸化物に代えて、フロロカーボン膜、ポリイミド膜、炭化水素膜など、組成が有機成分からなる絶縁膜を用いる。
【0104】
(2)上記(1)において、有機成分からなる絶縁膜を用いた場合、改質SOG膜4,11,15を、イオン注入法に代えて、酸素以外のガスを用いたプラズマ処理を行う。この場合、酸素ガスを用いないのは、絶縁膜中の有機成分が酸素と反応してH2OやCO2等に分解してしまうのを防止する。
【0105】
(3)シリコン窒化膜6a,13a,17aに代えて、シリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜を用いる。
【0106】
(4)シリコン窒化膜6a,13a,17aに代えて、TiN、Ti、TaN、Ta等の金属膜を用いる。
【0107】
(5)第4〜第6実施形態において、有機SOG膜10を、シリコン基板及びその表面に形成された不純物拡散領域の上に形成する。この場合は、不純物拡散領域が本発明における「導電層」に相当する。
【0108】
(6)配線材料としてのCuに代えて、アルミ、金、銀、シリサイド、高融点金属、ドープドポリシリコン、窒化チタン(TiN)、タングステンチタン(TiW)又はそれらの積層構造で形成する。
【0109】
(7)密着層及びバリヤ層としてのTiNを、Ti,TaN,Ta等との積層構造にする。又は、TiNに代えて、Ti,TaN,Ta等を用いる。
【0110】
(8)改質SOG膜に熱処理を施す。この場合、改質SOG膜中のダングリングボンドが少なくなるため、吸湿性が更に小さくなり、水分の透過も更に少なくなる。
【0111】
(9)シリコン窒化膜マスク6を、金属配線5を埋め込み形成する前に除去する。
【0112】
(10)上記各実施形態では、有機SOG膜に注入するイオンとしてアルゴンイオンやホウ素イオンを用いたが、結果として有機SOG膜を改質するものであればどのようなイオンを用いてもよい。
【0113】
具体的には、アルゴンイオン、ホウ素イオン、窒素イオンなどの質量の比較的小さいイオンが適しているが、これら以外にも以下に示すイオンも十分に効果が期待できる。
【0114】
アルゴン以外の不活性ガスイオン(ヘリウムイオン、ネオンイオン、クリプトンイオン、キセノンイオン、ラドンイオン)。不活性ガスは有機SOG膜と反応しないため、イオン注入によって悪影響が生じる恐れが全くない。
【0115】
ホウ素及び窒素以外のIII b,IV b,V b,VI b,VII bの各族の元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。特に、酸素、アルミ、イオウ、塩素、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、アンチモン、ヨウ素、インジウム、スズ、テルル、鉛、ビスマスの元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。
【0116】
IVa族,Va族の元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。特に、チタン、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルの元素単体イオン及びそれらの化合物イオン。
【0117】
各イオンを複数種類組み合わせて用いる。この場合、各イオンの相乗作用により更に優れた効果を得ることができる。
【0118】
(11)上記各実施形態では、有機SOG膜にイオンを注入しているが、イオンに限らず、原子、分子、粒子であればよい(本発明ではこれらを総称して不純物とする)。
【0119】
(12)単結晶シリコン基板(半導体基板)に代えて、導電性基板やガラス等の絶縁性基板を用いる。すなわち、以上の実施形態にあっては、単結晶シリコン基板上に絶縁膜を形成する例を示しているが、例えばLCDのように絶縁性基板の上に絶縁膜を形成するデバイスに対しても十分に適用が可能であり、このような絶縁性基板上に絶縁膜を形成したものであっても本発明における「半導体装置」の概念に属するものとする。
【0120】
(13)金属配線5又は上層金属配線18は、それぞれ分離していても、端部で接続されていても良く、任意の場所に置いて、配線間に絶縁膜が介在するものであれば良い。
【0121】
【発明の効果】
本発明にあっては、絶縁膜に対し簡単な工程で精度の高いエッチングを行うことができ、その結果、低コストで信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図2】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図3】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図4】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図5】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図6】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図7】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図8】本発明を具体化した第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図11】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図12】本発明の実施形態を説明するための特性図である。
【図13】本発明を具体化した第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図14】本発明を具体化した第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態を説明するための特性図である。
【図16】本発明の第2実施形態を説明するための特性図である。
【図17】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図18】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図19】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図20】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図21】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図22】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図23】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図24】本発明を具体化した第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図25】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図26】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図27】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図28】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図29】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図30】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図31】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図32】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【図33】本発明を具体化した第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
3,10,14 有機SOG膜
4,11,15 改質SOG膜
5 金属配線
6,13,17 シリコン窒化膜マスク
6a,13a,17a シリコン窒化膜
7,16 トレンチ
8,19,20 レジストパターン
12 コンタクトホール
18 上層金属配線
Claims (11)
- 基板上に形成した導電層の上に、組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、
前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、
前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、
前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、
前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、
前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第6工程と、を含み、
前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記第1マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことを特徴とした半導体装置の製造方法。 - 基板上に形成した導電層の上に、組成が有機成分からなる第1絶縁膜を形成する第1工程と、
前記第1絶縁膜の上に第1の膜を形成する第2工程と、
前記第1の膜の上に第1マスクパターンを形成する第3工程と、
前記第1マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜をパターニングする第4工程と、
前記第1マスクパターンを除去する第5工程と、
前記第1絶縁膜及びパターニングされた第1の膜の上に第2絶縁膜を形成する第8工程と、
前記第2絶縁膜の上に、前記パターニングされた第1の膜の開口部の上方に位置し且つこの第1の膜の開口部よりも大きな開口部を有する第2マスクパターンを形成する第9工程と、
前記第2マスクパターンをマスクとして、前記第1の膜が露出するまで前記第2絶縁膜をエッチングする第10工程と、
前記パターニングされた第1の膜をマスクとして、前記第1絶縁膜をエッチングして前記導電層を露出させる第11工程と、
前記第10工程及び第11工程により形成された埋込用凹所に配線を埋め込む第12工程と、を含み、
前記第1工程終了後から前記第5工程の開始前までの間に、前記第1絶縁膜の少なくとも表面を改質して、前記第5工程による前記第1マスクパターンの除去処理に対する保護層を形成する第7工程を行うことを特徴とした半導体装置の製造方法。 - 前記第1絶縁膜及び第1マスクパターンが有機系材料膜を含むことを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第5工程において、第1マスクパターンを酸素プラズマアッシング処理により除去することを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1絶縁膜が、炭素を1%以上含有する有機系シリコン酸化膜を含むことを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1の膜が、無機系材料からなることを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1の膜が、シリコン窒化膜を含むことを特徴とした請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記保護層を、前記第1絶縁膜の少なくとも表面層に不純物を導入することにより形成することを特徴とした請求項1、2又は4に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第7工程を、前記第2工程の開始前に行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第7工程を、前記第2工程と第3工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、第1の膜を介して不純物を導入することにより行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第7工程を、前記第3工程と第4工程との間に、前記第1絶縁膜に対し、前記第1マスクパターンをマスクとして不純物を導入することにより行うことを特徴とした請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
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