JP3545218B2 - 電力増幅装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ機器に用いて好適な電力増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、電源電圧として固定の電圧が印加された、従来から良く知られた電力増幅装置である。図4の回路は、トランス1及びブリッジ回路2を有する電源回路と、プリアンプ及びパワー出力段トランジスタから成る増幅部を有し、入力信号ASを増幅して、スピーカSPに出力させている。
【0003】
この回路に依れば、不図示のAC電源からAC電圧がトランス1に印加されたのちに、ブリッジ回路2に印加され、ここで整流された電源電圧±Vccはプリアンプ3に印加される。プリアンプ3はこの電源電圧±Vccを用いて入力信号ASを電圧増幅して、さらにパワー出力段トランジスタQ1、Q2が電流増幅することで増幅信号ZSを生成し、増幅信号ZSによりスピーカSPが駆動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4の電力増幅装置では、電源電圧±Vccは、増幅部のから最大出力信号がクリップしないように、その最大出力に対応できるだけの高電圧を常時印加する必要があった。しかしながら、音量を最大とし、増幅部の出力を最大とした場合は、図5イのように±Vccを効率よく消費しているが、音量を絞り、増幅部の出力を小さくした場合には、図5ロのように損失電力が増加し、電源電圧±Vccの消費効率が低下していた。通常の電力増幅装置の使用状態では、大きな出力を要することは少なく、増幅部の出力信号を小もしくは中レベルとする場合が多いので、消費電力のロスが大きい。
【0005】
そこで、増幅部の出力信号やボリウムの調整量に応じて、電源電圧±Vccを変化させるスイッチング型電源回路を用いることが提案されている。しかし、スイッチング型電源回路に依れば、増幅段及び電源部の全体における消費ロスは小さくなるが、スイッチング電源回路からはスイッチングによるノイズが発生するので、このノイズが増幅部等の信号へ悪影響を与え、信号の歪率を悪化させていた。
【0006】
本発明は、スイッチング型電源回路を用いて、電力増幅装置の全体の消費ロスを削減するとともに、実用域でのノイズによる信号の歪率の悪化を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力信号を増幅する出力増幅回路を有する電力増幅装置において、外部電源電圧を変圧して、第1電源電圧、及び前記第1電源電圧よりも低い第2電源電圧を発生する電源電圧発生回路と、前記出力増幅回路の出力レベルに応じて前記第1電源電圧のレベルを制御し、前記出力増幅回路の出力波形に追従した第3電源電圧を出力するスイッチング型電源回路と、該第3電源電圧の低下に応じて、前記第3電源電圧から前記第2電源電圧に切り換えて出力させる切換手段とを有し、前記第2電源電圧または第3電源電圧を前記出力増幅回路に印加することを特徴とする。
【0008】
特に、前記スイッチング型電源回路は、コイル、前記コイルの一端に接続されたダイオード、前記コイルの他端に接続されたコンデンサー、前記第1電源電圧を前記コイルの一端に接続または遮断するスイッチ手段、及び前記出力増幅回路の出力信号及び前記第3電源電圧を比較し、比較結果に応じて前記スイッチ手段をオン・オフ制御する比較回路から成ることを特徴とする。
【0009】
また、前記出力増幅器と前記スイッチング型電源回路との間に接続されるとともに、前記出力増幅回路の出力信号の勾配を検出する勾配検出回路を備えることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記切換手段は、前記第2電源電圧より所定レベルだけ低下したら動作し、前記第2電源電圧を導通させる導通手段を含むことを特徴とする。
【0011】
さらにまた、前記導通手段は、電流の逆流を阻止するダイオードと共用されることを特徴とする。一方、前記勾配検出回路は、微分回路より成ることを特徴とする。
【0012】
また、少なくとも、前記電源電圧発生回路と、前記スイッチング型追従型電源回路と、前記切換手段とを、同一の混成集積回路上に実装することを特徴とする。
【0013】
本発明に依れば、出力増幅回路の出力レベルが大のとき、第1電源電圧をレベル制御して、出力増幅回路の出力信号波形に追従した第3電源電圧を出力増幅回路に印加し、出力増幅回路の出力レベルが小のとき、第1電源電圧より低い第2電源電圧に切り換え、第2電源電圧を出力増幅回路に印加する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態を示す図であり、12は後述する電力増幅回路15の増幅出力信号ZSにオフセットを付加する電圧制御回路、13は、コイル13a、ダイオード13b、コンデンサー13c、第1電源電圧+VccHの接続をオン・オフ制御するスイッチ手段13d、コンデンサー13cの出力電圧+Vcが印加される正入力端子と電圧制御回路12の出力電圧が印加される負入力端子とを有する比較回路13e、比較回路13eの出力信号に応じて発振信号のデューティー比が制御される発振回路13fから成る降圧チョッパー型電源部である。14は電源回路の出力電圧+Vcに応じて第2電源電圧+VccLを導通または遮断する導通手段となるダイオード、15は、入力信号を電圧増幅するプリアンプ15a及びプリアンプ15aの出力信号を電流増幅する出力増幅器15bから成る電力増幅回路である。また、電圧制御回路12及び降圧チョッパー型電源部13よって、電源電圧±VccHに基づいて出力増幅器15bの出力信号に追従した電源電圧+Vc1を生成する追従型電源回路が構成される。尚、図1のすべての回路は混成集積回路上に実装される。
【0015】
また、電力増幅回路15にはプラス電源だけでなく、マイナス電源も印加されている。マイナス電源側にも、プラス電源に接続された上記と同一の機能を有する回路が、駆動対象15の負電源側にも接続されているが、説明を簡単とするため回路を省略する。
【0016】
電源電圧+VccHは追従型電源回路10に印加され、電源電圧+VccHに基づいて出力増幅部の出力信号に応じてその出力波形に追従する電源電圧+Vc1が生成される。電源電圧+Vc1は図2の実線aのように出力増幅部の出力波形に追従される。また、電源電圧+VccLはダイオード14を介してそれぞれ追従型電源回路10の出力端に現れる。そして、図2のように、出力増幅部の出力波形に応じて、電源電圧+Vc1は電源電圧+VccLよりも高くまたは低くなる。
【0017】
ここで、ダイオード14は、電源回路10の出力端から+VccLの電源へ逆流するのを防止するものであるが、電源電圧+VccL及び+Vc1の電圧を切り換える作用も有している。この作用により、出力増幅部の出力レベルに応じて電源電圧+Vc1及び+VccLを切り換えられる。
【0018】
ダイオード14において、電源電圧+Vc1が電源電圧+VccLよりも高くなった場合、ダイオード14はオフし、電源電圧+VccLは遮断される。その結果、追従型電源回路10の電源電圧+Vc1が出力増幅器15bに電源電圧+Vcとして印加される。従って、出力増幅回路15bの電源電圧+Vcは、自身の出力波形に追従して変化するものとなる。
【0019】
これとは逆に、ダイオード14において、電源電圧+Vc1が電源電圧+VccLより低くなった場合、ダイオード14はオンし、電源電圧+VccLが導通され、出力増幅器15bに電源電圧+Vcとして印加される。従って、出力増幅回路15bの電源電圧+Vcは一定の電圧になる。ところで、降圧チョッパー型電源部13の説明は後で詳しく説明するが、電源電圧+VccLが導通されると、比較回路13eの出力は常に「H」レベルになり、スイッチ手段13dのスイッチング動作は停止される。その為、電力増幅回路15の出力レベルが比較的低い場合、スイッチング動作に起因するノイズの発生は起こらない。
【0020】
また、マイナス電源側にも、追従型電源回路10及びダイオード14と同一機能の回路が接続されており、電力増幅回路15の出力レベルが小さければ固定の電源電圧−VccLが出力増幅器15bに印加され、電力増幅回路15の出力レベルが大きければ電力増幅回路15の出力に追従した電源電圧−Vc1が印加される。
【0021】
上記の如く、電源電圧の切り換えが行われると、図2のように、電力増幅回路15の出力レベルが高いと電源電圧±Vcは出力波形に追従し、前記出力レベルが低いと一定の電源電圧±Vcとなる。言い換えれば、出力増幅部の出力レベルが小・中レベルの場合低い電源電圧±VccLとしておき、出力レベルが大になった場合のみ出力増幅部の出力波形に追従した電源電圧に切り換わる。
【0022】
尚、上記の説明において、説明を簡単とするため、ダイオード14のオン電圧を無視した。
【0023】
図3は、図1の電力増幅装置の消費電力を示す特性図である。図1の電力増幅装置は、出力増幅部の出力振幅が低く、電源電圧±VccLが使用されたとき、一定の電源電圧で増幅動作するので、出力増幅器15bに損失電圧が発生する。しかしながら、低い電源電圧±VccLを使用するので、図3の実線PdAのように出力増幅器15bの損失電力を抑えることができる。また、電力増幅回路15の出力レベルが低い間、追従型電源回路10はスイッチング動作していないので、追従型電源回路10での損失電力は図3の実線PdRのように非常に低く抑制される。従って、出力増幅部及び電源部の加算によって得られる全体の損失電力は図3の実線PdTのようになり、電源電圧が±VccLの場合、図3の点線aに示されるように従来の増幅部及び電源部の全体の損失電力に比べ低減することができる。この状態では、損失電力の低減の他に、追従型電源回路10のスイッチング動作が停止しているので、スイッチング動作に起因するノイズの発生は防止され、実用域で他の回路に悪影響を与えないという他の効果を奏する。
【0024】
また、電源電圧±VccHの場合、出力増幅部の電源電圧±Vcはその出力波形に追従されるので、出力増幅部の損失電圧は図3の実線PdAのようになり、電源電圧が±VccLの場合よりも低減される。一方、追従型電源回路10の損失電力は、降圧チョッパー型電源部13より構成されているので、損失電力は低いレベルで抑制される。電源電圧が±VccLの場合に比べても、追従型電源回路10の損失電力の増大量は少ない。そして、電力増幅回路15及び追従型電源回路10の全体の損失電圧は、図3の実線PdTを見ると明らかなように、増大しない。電源電圧が±VccLの場合に比べても全体の損失電力は減少し、従来の損失電力量と比べても非常に低減することができる。
【0025】
本発明においては、降圧チョッパー型電源部13により、著しく損失電力を低減することができ、電源電圧±VccHと±VccLとの切り換えにより実用域でのノイズの発生を防止することができる。
【0026】
図6は、追従型電源回路10の具体例である。11は駆動対象15の出力信号ZSの勾配を検出する勾配検出回路、12は、電源電圧+VccHに基づいて電源電圧+Vc1の最小電圧を定める為のオフセットを設定するオフセット設定部12Aと、勾配検出回路11の出力信号を加工した信号とオフセットとを加算する加算回路12Bとから成る電圧制御回路、13は図1と同一構成の降圧チョッパー型電源部、15は電力増幅回路としての駆動対象、16は駆動対象15の出力信号を半波整流する半波整流回路を成すダイオード、17は勾配検出回路11の出力信号を半波整流する半波整流回路を成すダイオードである。尚、図6において、上記と同一の機能を有する回路が、駆動対象15の負電源側にも接続されているが、説明を簡単とするため回路を省略する。
【0027】
図6において、駆動対象14の出力信号ZSが、勾配検出回路11でその勾配、つまり傾きが急峻か緩やかか検出される。
【0028】
図7ZSのように出力信号ZSが高周波の場合、出力信号ZSの勾配は急峻となるので、図7Aのように勾配検出回路11の出力レベルは高くなる。また、勾配検出回路11は例えば微分回路で構成されるので、その特性により勾配検出回路11の出力信号の位相は信号ZSに比べ例えば45度進んでいる。このような勾配検出回路11の出力信号はダイオード17で半波整流され、図7Aのように半波信号が得られる。尚、勾配検出回路11の出力位相の進みは微分回路の特性に応じて変化する。
【0029】
また、駆動対象15の出力信号ZSは、ダイオード16で半波整流され、図7Bの如き波形となる。一方、オフセット設定部12Aにおいて、電源電圧+VccHに基づいて、図7Cの如きGNDから所定レベルのオフセットが生成される。そして、加算回路12Bにおいて、ダイオード17からの信号Aまたはダイオード15からの信号Bのうちレベルの高い信号が、図7Dの如くオフセットに重畳されて出力される。さらに、加算回路12Bの出力信号Dは制御信号として降圧チョッパー型電源部13に印加され、電源電圧+Vc1が制御信号Dに基づいて生成される。その結果、追従型電源回路10の電源電圧+Vc1は駆動対象15の出力波形に追従される。
【0030】
次に、駆動対象15の出力信号ZSが図7のように低周波の場合を説明する。出力信号ZSが低周波であると、出力信号ZSの勾配は緩やかとなるので、図7A´のように勾配検出回路11の出力レベルは低い。また、勾配検出回路11の出力信号の位相は信号ZSに比べ例えば90度進んでいる。このような勾配検出回路11の出力信号はダイオード17で半波整流される。
【0031】
また、駆動対象15の出力信号ZSは、ダイオード16で半波整流され、図7B´の如き波形となる。そして、加算回路12Bにおいては、ダイオード17からの信号A´またはダイオード16からの信号B´のうちレベルの高い信号がオフセットに重畳されて出力される。その為、加算回路12Bの出力信号D´は、図7D´の如く半波整流された波形に追従される。加算回路12Bからの制御信号D´に応じて、電源部13が制御され、その結果、追従型電源回路10からの電源電圧+Vc1は、図7E´のように駆動対象15の出力信号ZSに追従される。
【0032】
上記の如く、勾配検出回路11の作用により、電源部13の電源電圧+Vc1は駆動対象15の出力波形よりも速く変化する。その為、駆動対象15の出力信号ZSと電源電圧とがぶつかることが防止され、駆動対象15の出力信号ZSの歪率の悪化を防止できる。特に、駆動対象15に電源電圧+VccLが印加された状態であって、駆動対象14の出力信号ZSが大きくなると、電源電圧+VccLから+Vc1に切り換わる。このとき、出力信号ZSよりも早く電源電圧が+VccLから+Vc1に切り換わるので、駆動対象15の出力信号ZSと電源電圧とがぶつかることが防止され、出力信号ZSの歪率が悪化されることが防止される。
【0033】
尚、負電源側においても、電源電圧−Vcは、駆動対象15の出力信号の変化よりも早く変化させることができる。
【0034】
次に、図1及び図6中の降圧チョッパー型電源部13の動作について説明する。電力増幅回路15の出力信号ZSは、オフセットが重畳された後、比較回路13eの正入力端子に印加される。比較回路9aの出力信号によりスイッチ手段13dがオンオフ制御され、コイル13a及びコンデンサー13cの充放電が制御される。降圧チョッパー型電源部13の基本動作は、スイッチ手段13dがオンオフ制御されることにより、図8(イ)の実線の如くダイオード13bのカソード電圧が電圧Vbと略0Vとが交互に切り換えられ、前記カソード電圧がコンデンサー13cで平滑されることにより電源部13の出力電圧が発生する。電源部13は、スイッチ13dのオンオフのデューティー比が50%の場合、図8(イ)の点線のように+Vb/2の電圧を発生する。また、デューティー比が50%でない場合はデューティー比に応じた平均電圧が電源部13から発生し、オン期間が長ければ出力電圧Vc1は図8(イ)の点線のように電圧+Vb/2より高くなり、オフ期間が長ければ出力電圧Vc1は逆に電圧+Vb/2より低くなる。
【0035】
比較回路13eにおいて、電源部13の出力電圧Vc1が基準となる電圧(Vzs+オフセット電圧)より高いと「H」レベルの出力信号が発生し、発振器13fの発振周波数が変化し、スイッチ手段13dのオフする期間が長くなる。その為、コンデンサー13cが放電され、コンデンサー13cの端子電圧である電圧+Vc12は低下する。また、電圧Vc1が基準電圧(Vzs+オフセット)より低いと「H」レベルの出力信号が発生し、スイッチ手段13dのオン期間が長くなるように発振周波数が変化するので、コンデンサー13cが充電され、電圧+Vc1は高くなる。
【0036】
上記のような動作により降圧チョッパー型の電源部13の出力電圧Vc1に負帰還がかかり、電圧+Vc1は電力増幅回路5の出力レベルVzsに電圧制御回路12のオフセットを重畳した電圧になるように制御される。ここで、出力増幅器5の出力レベルは常に変化しており、降圧チョッパー型の電源部13の出力電圧+Vc1は基準電圧(Vzs+オフセット)に等しくなるように制御されるので、電源電圧+Vc1は図の期間T1の如く出力増幅器5の出力レベルVzsによりオフセット分だけ高いレベルで、出力信号ZSに追従される。
【0037】
図9は、電源電圧±VccH及び±VccLを生成する回路を示す図であり、24はトランスであって、例えばコイルの巻線比に対応して第1交流信号VacH及び第2交流信号VacLを発生する。25は第1交流信号VacHが供給される第1ダイオードブリッジ回路、26a及び26bは第1ダイオードブリッジ回路25の出力信号を平滑し、電源電圧±VccHを発生する第1平滑コンデンサー、27は第2交流信号VacLが供給される第2ダイオードブリッジ回路、28a及び28bは第2ダイオードブリッジ回路27の出力信号を平滑し、電源電圧±VccLを発生する第2平滑コンデンサーである。
【0038】
まず、トランス24において、トランス24内の一次コイルに外部AC電源(図示せず)から電源交流信号ACが印加される。そして、二次コイルには、一次コイルと二次コイルとの巻線比に対応したレベルを有する交流信号が発生する。一次コイルの巻線数をN1とし、ダイオードブリッジ回路25の接続に対応した二次コイルの巻線数をN2とし、ダイオードブリッジ回路26の接続に対応した二次コイルの巻線数をN3とすると、ダイオードブリッジ回路25への入力信号VacHは、VacH=(N2/N1)×Vacとなり、ダイオードブリッジ回路26への入力信号VacLは、VacL=(N3/N1)×Vacとなる。ここで、巻線数は、N2>N3に設定されているので、VacH>VacLとの関係になる。
【0039】
交流信号VacHは、ダイオードブリッジ回路25を介して、平滑コンデンサー26a及び26bに供給される。ダイオードブリッジ回路25と、平滑コンデンサー26a及び26bとは全波整流回路を構成しており、交流信号VacHは全波整流され、直流電圧±VccHが生成される。また、ダイオードブリッジ回路27と、平滑コンデンサー28a及び28bも全波整流回路を構成しており、交流信号VacLも全波整流され、直流電圧±VccLが生成される。交流信号はVacH>VacLの関係があるので、直流電圧は±VccH>±VccLとなる。そして、電源電圧±VccL及び±VccHは図1の各々の回路に印加される。
【0040】
【発明の効果】
本発明に依れば、外部電源から第1電源電圧及びこれより低い第2電源電圧を生成し、出力増幅部の出力レベルが大のとき、第1電源電圧に基づく出力波形に追従した電源電圧を生成し、前記出力レベルが小のとき第2電源電圧を出力増幅部に印加するので、出力増幅部の消費電力のロスを削減できると共に、電源部の消費電力のロスを削減でき、出力増幅部及び電源部の全体の消費電力のロスを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路図である。
【図2】図1の出力増幅部の出力波形及び電源電圧を示す波形図である。
【図3】図1の回路の出力電力と消費電力との関係を示す特性図である。
【図4】従来例を示す回路図である。
【図5】従来例の出力波形及び電源電圧の関係を示す波形図である。
【図6】図1の追従型電源回路10の具体例を示すブロック図である。
【図7】図6の各信号波形を示す波形図である。
【図8】図1及び図6の追従型電源回路10の動作を説明するための波形図である。
【図9】±VccH及び±VccLを発生する回路を示す回路図である。
【符号の説明】
10 追従型電源回路
11 勾配検出回路
12 電圧制御回路
12A オフセット設定部
12B 加算回路
13 降圧チョッパー型電源部
15 電力増幅回路
15a プリアンプ
15b 出力増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ機器に用いて好適な電力増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、電源電圧として固定の電圧が印加された、従来から良く知られた電力増幅装置である。図4の回路は、トランス1及びブリッジ回路2を有する電源回路と、プリアンプ及びパワー出力段トランジスタから成る増幅部を有し、入力信号ASを増幅して、スピーカSPに出力させている。
【0003】
この回路に依れば、不図示のAC電源からAC電圧がトランス1に印加されたのちに、ブリッジ回路2に印加され、ここで整流された電源電圧±Vccはプリアンプ3に印加される。プリアンプ3はこの電源電圧±Vccを用いて入力信号ASを電圧増幅して、さらにパワー出力段トランジスタQ1、Q2が電流増幅することで増幅信号ZSを生成し、増幅信号ZSによりスピーカSPが駆動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4の電力増幅装置では、電源電圧±Vccは、増幅部のから最大出力信号がクリップしないように、その最大出力に対応できるだけの高電圧を常時印加する必要があった。しかしながら、音量を最大とし、増幅部の出力を最大とした場合は、図5イのように±Vccを効率よく消費しているが、音量を絞り、増幅部の出力を小さくした場合には、図5ロのように損失電力が増加し、電源電圧±Vccの消費効率が低下していた。通常の電力増幅装置の使用状態では、大きな出力を要することは少なく、増幅部の出力信号を小もしくは中レベルとする場合が多いので、消費電力のロスが大きい。
【0005】
そこで、増幅部の出力信号やボリウムの調整量に応じて、電源電圧±Vccを変化させるスイッチング型電源回路を用いることが提案されている。しかし、スイッチング型電源回路に依れば、増幅段及び電源部の全体における消費ロスは小さくなるが、スイッチング電源回路からはスイッチングによるノイズが発生するので、このノイズが増幅部等の信号へ悪影響を与え、信号の歪率を悪化させていた。
【0006】
本発明は、スイッチング型電源回路を用いて、電力増幅装置の全体の消費ロスを削減するとともに、実用域でのノイズによる信号の歪率の悪化を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力信号を増幅する出力増幅回路を有する電力増幅装置において、外部電源電圧を変圧して、第1電源電圧、及び前記第1電源電圧よりも低い第2電源電圧を発生する電源電圧発生回路と、前記出力増幅回路の出力レベルに応じて前記第1電源電圧のレベルを制御し、前記出力増幅回路の出力波形に追従した第3電源電圧を出力するスイッチング型電源回路と、該第3電源電圧の低下に応じて、前記第3電源電圧から前記第2電源電圧に切り換えて出力させる切換手段とを有し、前記第2電源電圧または第3電源電圧を前記出力増幅回路に印加することを特徴とする。
【0008】
特に、前記スイッチング型電源回路は、コイル、前記コイルの一端に接続されたダイオード、前記コイルの他端に接続されたコンデンサー、前記第1電源電圧を前記コイルの一端に接続または遮断するスイッチ手段、及び前記出力増幅回路の出力信号及び前記第3電源電圧を比較し、比較結果に応じて前記スイッチ手段をオン・オフ制御する比較回路から成ることを特徴とする。
【0009】
また、前記出力増幅器と前記スイッチング型電源回路との間に接続されるとともに、前記出力増幅回路の出力信号の勾配を検出する勾配検出回路を備えることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記切換手段は、前記第2電源電圧より所定レベルだけ低下したら動作し、前記第2電源電圧を導通させる導通手段を含むことを特徴とする。
【0011】
さらにまた、前記導通手段は、電流の逆流を阻止するダイオードと共用されることを特徴とする。一方、前記勾配検出回路は、微分回路より成ることを特徴とする。
【0012】
また、少なくとも、前記電源電圧発生回路と、前記スイッチング型追従型電源回路と、前記切換手段とを、同一の混成集積回路上に実装することを特徴とする。
【0013】
本発明に依れば、出力増幅回路の出力レベルが大のとき、第1電源電圧をレベル制御して、出力増幅回路の出力信号波形に追従した第3電源電圧を出力増幅回路に印加し、出力増幅回路の出力レベルが小のとき、第1電源電圧より低い第2電源電圧に切り換え、第2電源電圧を出力増幅回路に印加する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態を示す図であり、12は後述する電力増幅回路15の増幅出力信号ZSにオフセットを付加する電圧制御回路、13は、コイル13a、ダイオード13b、コンデンサー13c、第1電源電圧+VccHの接続をオン・オフ制御するスイッチ手段13d、コンデンサー13cの出力電圧+Vcが印加される正入力端子と電圧制御回路12の出力電圧が印加される負入力端子とを有する比較回路13e、比較回路13eの出力信号に応じて発振信号のデューティー比が制御される発振回路13fから成る降圧チョッパー型電源部である。14は電源回路の出力電圧+Vcに応じて第2電源電圧+VccLを導通または遮断する導通手段となるダイオード、15は、入力信号を電圧増幅するプリアンプ15a及びプリアンプ15aの出力信号を電流増幅する出力増幅器15bから成る電力増幅回路である。また、電圧制御回路12及び降圧チョッパー型電源部13よって、電源電圧±VccHに基づいて出力増幅器15bの出力信号に追従した電源電圧+Vc1を生成する追従型電源回路が構成される。尚、図1のすべての回路は混成集積回路上に実装される。
【0015】
また、電力増幅回路15にはプラス電源だけでなく、マイナス電源も印加されている。マイナス電源側にも、プラス電源に接続された上記と同一の機能を有する回路が、駆動対象15の負電源側にも接続されているが、説明を簡単とするため回路を省略する。
【0016】
電源電圧+VccHは追従型電源回路10に印加され、電源電圧+VccHに基づいて出力増幅部の出力信号に応じてその出力波形に追従する電源電圧+Vc1が生成される。電源電圧+Vc1は図2の実線aのように出力増幅部の出力波形に追従される。また、電源電圧+VccLはダイオード14を介してそれぞれ追従型電源回路10の出力端に現れる。そして、図2のように、出力増幅部の出力波形に応じて、電源電圧+Vc1は電源電圧+VccLよりも高くまたは低くなる。
【0017】
ここで、ダイオード14は、電源回路10の出力端から+VccLの電源へ逆流するのを防止するものであるが、電源電圧+VccL及び+Vc1の電圧を切り換える作用も有している。この作用により、出力増幅部の出力レベルに応じて電源電圧+Vc1及び+VccLを切り換えられる。
【0018】
ダイオード14において、電源電圧+Vc1が電源電圧+VccLよりも高くなった場合、ダイオード14はオフし、電源電圧+VccLは遮断される。その結果、追従型電源回路10の電源電圧+Vc1が出力増幅器15bに電源電圧+Vcとして印加される。従って、出力増幅回路15bの電源電圧+Vcは、自身の出力波形に追従して変化するものとなる。
【0019】
これとは逆に、ダイオード14において、電源電圧+Vc1が電源電圧+VccLより低くなった場合、ダイオード14はオンし、電源電圧+VccLが導通され、出力増幅器15bに電源電圧+Vcとして印加される。従って、出力増幅回路15bの電源電圧+Vcは一定の電圧になる。ところで、降圧チョッパー型電源部13の説明は後で詳しく説明するが、電源電圧+VccLが導通されると、比較回路13eの出力は常に「H」レベルになり、スイッチ手段13dのスイッチング動作は停止される。その為、電力増幅回路15の出力レベルが比較的低い場合、スイッチング動作に起因するノイズの発生は起こらない。
【0020】
また、マイナス電源側にも、追従型電源回路10及びダイオード14と同一機能の回路が接続されており、電力増幅回路15の出力レベルが小さければ固定の電源電圧−VccLが出力増幅器15bに印加され、電力増幅回路15の出力レベルが大きければ電力増幅回路15の出力に追従した電源電圧−Vc1が印加される。
【0021】
上記の如く、電源電圧の切り換えが行われると、図2のように、電力増幅回路15の出力レベルが高いと電源電圧±Vcは出力波形に追従し、前記出力レベルが低いと一定の電源電圧±Vcとなる。言い換えれば、出力増幅部の出力レベルが小・中レベルの場合低い電源電圧±VccLとしておき、出力レベルが大になった場合のみ出力増幅部の出力波形に追従した電源電圧に切り換わる。
【0022】
尚、上記の説明において、説明を簡単とするため、ダイオード14のオン電圧を無視した。
【0023】
図3は、図1の電力増幅装置の消費電力を示す特性図である。図1の電力増幅装置は、出力増幅部の出力振幅が低く、電源電圧±VccLが使用されたとき、一定の電源電圧で増幅動作するので、出力増幅器15bに損失電圧が発生する。しかしながら、低い電源電圧±VccLを使用するので、図3の実線PdAのように出力増幅器15bの損失電力を抑えることができる。また、電力増幅回路15の出力レベルが低い間、追従型電源回路10はスイッチング動作していないので、追従型電源回路10での損失電力は図3の実線PdRのように非常に低く抑制される。従って、出力増幅部及び電源部の加算によって得られる全体の損失電力は図3の実線PdTのようになり、電源電圧が±VccLの場合、図3の点線aに示されるように従来の増幅部及び電源部の全体の損失電力に比べ低減することができる。この状態では、損失電力の低減の他に、追従型電源回路10のスイッチング動作が停止しているので、スイッチング動作に起因するノイズの発生は防止され、実用域で他の回路に悪影響を与えないという他の効果を奏する。
【0024】
また、電源電圧±VccHの場合、出力増幅部の電源電圧±Vcはその出力波形に追従されるので、出力増幅部の損失電圧は図3の実線PdAのようになり、電源電圧が±VccLの場合よりも低減される。一方、追従型電源回路10の損失電力は、降圧チョッパー型電源部13より構成されているので、損失電力は低いレベルで抑制される。電源電圧が±VccLの場合に比べても、追従型電源回路10の損失電力の増大量は少ない。そして、電力増幅回路15及び追従型電源回路10の全体の損失電圧は、図3の実線PdTを見ると明らかなように、増大しない。電源電圧が±VccLの場合に比べても全体の損失電力は減少し、従来の損失電力量と比べても非常に低減することができる。
【0025】
本発明においては、降圧チョッパー型電源部13により、著しく損失電力を低減することができ、電源電圧±VccHと±VccLとの切り換えにより実用域でのノイズの発生を防止することができる。
【0026】
図6は、追従型電源回路10の具体例である。11は駆動対象15の出力信号ZSの勾配を検出する勾配検出回路、12は、電源電圧+VccHに基づいて電源電圧+Vc1の最小電圧を定める為のオフセットを設定するオフセット設定部12Aと、勾配検出回路11の出力信号を加工した信号とオフセットとを加算する加算回路12Bとから成る電圧制御回路、13は図1と同一構成の降圧チョッパー型電源部、15は電力増幅回路としての駆動対象、16は駆動対象15の出力信号を半波整流する半波整流回路を成すダイオード、17は勾配検出回路11の出力信号を半波整流する半波整流回路を成すダイオードである。尚、図6において、上記と同一の機能を有する回路が、駆動対象15の負電源側にも接続されているが、説明を簡単とするため回路を省略する。
【0027】
図6において、駆動対象14の出力信号ZSが、勾配検出回路11でその勾配、つまり傾きが急峻か緩やかか検出される。
【0028】
図7ZSのように出力信号ZSが高周波の場合、出力信号ZSの勾配は急峻となるので、図7Aのように勾配検出回路11の出力レベルは高くなる。また、勾配検出回路11は例えば微分回路で構成されるので、その特性により勾配検出回路11の出力信号の位相は信号ZSに比べ例えば45度進んでいる。このような勾配検出回路11の出力信号はダイオード17で半波整流され、図7Aのように半波信号が得られる。尚、勾配検出回路11の出力位相の進みは微分回路の特性に応じて変化する。
【0029】
また、駆動対象15の出力信号ZSは、ダイオード16で半波整流され、図7Bの如き波形となる。一方、オフセット設定部12Aにおいて、電源電圧+VccHに基づいて、図7Cの如きGNDから所定レベルのオフセットが生成される。そして、加算回路12Bにおいて、ダイオード17からの信号Aまたはダイオード15からの信号Bのうちレベルの高い信号が、図7Dの如くオフセットに重畳されて出力される。さらに、加算回路12Bの出力信号Dは制御信号として降圧チョッパー型電源部13に印加され、電源電圧+Vc1が制御信号Dに基づいて生成される。その結果、追従型電源回路10の電源電圧+Vc1は駆動対象15の出力波形に追従される。
【0030】
次に、駆動対象15の出力信号ZSが図7のように低周波の場合を説明する。出力信号ZSが低周波であると、出力信号ZSの勾配は緩やかとなるので、図7A´のように勾配検出回路11の出力レベルは低い。また、勾配検出回路11の出力信号の位相は信号ZSに比べ例えば90度進んでいる。このような勾配検出回路11の出力信号はダイオード17で半波整流される。
【0031】
また、駆動対象15の出力信号ZSは、ダイオード16で半波整流され、図7B´の如き波形となる。そして、加算回路12Bにおいては、ダイオード17からの信号A´またはダイオード16からの信号B´のうちレベルの高い信号がオフセットに重畳されて出力される。その為、加算回路12Bの出力信号D´は、図7D´の如く半波整流された波形に追従される。加算回路12Bからの制御信号D´に応じて、電源部13が制御され、その結果、追従型電源回路10からの電源電圧+Vc1は、図7E´のように駆動対象15の出力信号ZSに追従される。
【0032】
上記の如く、勾配検出回路11の作用により、電源部13の電源電圧+Vc1は駆動対象15の出力波形よりも速く変化する。その為、駆動対象15の出力信号ZSと電源電圧とがぶつかることが防止され、駆動対象15の出力信号ZSの歪率の悪化を防止できる。特に、駆動対象15に電源電圧+VccLが印加された状態であって、駆動対象14の出力信号ZSが大きくなると、電源電圧+VccLから+Vc1に切り換わる。このとき、出力信号ZSよりも早く電源電圧が+VccLから+Vc1に切り換わるので、駆動対象15の出力信号ZSと電源電圧とがぶつかることが防止され、出力信号ZSの歪率が悪化されることが防止される。
【0033】
尚、負電源側においても、電源電圧−Vcは、駆動対象15の出力信号の変化よりも早く変化させることができる。
【0034】
次に、図1及び図6中の降圧チョッパー型電源部13の動作について説明する。電力増幅回路15の出力信号ZSは、オフセットが重畳された後、比較回路13eの正入力端子に印加される。比較回路9aの出力信号によりスイッチ手段13dがオンオフ制御され、コイル13a及びコンデンサー13cの充放電が制御される。降圧チョッパー型電源部13の基本動作は、スイッチ手段13dがオンオフ制御されることにより、図8(イ)の実線の如くダイオード13bのカソード電圧が電圧Vbと略0Vとが交互に切り換えられ、前記カソード電圧がコンデンサー13cで平滑されることにより電源部13の出力電圧が発生する。電源部13は、スイッチ13dのオンオフのデューティー比が50%の場合、図8(イ)の点線のように+Vb/2の電圧を発生する。また、デューティー比が50%でない場合はデューティー比に応じた平均電圧が電源部13から発生し、オン期間が長ければ出力電圧Vc1は図8(イ)の点線のように電圧+Vb/2より高くなり、オフ期間が長ければ出力電圧Vc1は逆に電圧+Vb/2より低くなる。
【0035】
比較回路13eにおいて、電源部13の出力電圧Vc1が基準となる電圧(Vzs+オフセット電圧)より高いと「H」レベルの出力信号が発生し、発振器13fの発振周波数が変化し、スイッチ手段13dのオフする期間が長くなる。その為、コンデンサー13cが放電され、コンデンサー13cの端子電圧である電圧+Vc12は低下する。また、電圧Vc1が基準電圧(Vzs+オフセット)より低いと「H」レベルの出力信号が発生し、スイッチ手段13dのオン期間が長くなるように発振周波数が変化するので、コンデンサー13cが充電され、電圧+Vc1は高くなる。
【0036】
上記のような動作により降圧チョッパー型の電源部13の出力電圧Vc1に負帰還がかかり、電圧+Vc1は電力増幅回路5の出力レベルVzsに電圧制御回路12のオフセットを重畳した電圧になるように制御される。ここで、出力増幅器5の出力レベルは常に変化しており、降圧チョッパー型の電源部13の出力電圧+Vc1は基準電圧(Vzs+オフセット)に等しくなるように制御されるので、電源電圧+Vc1は図の期間T1の如く出力増幅器5の出力レベルVzsによりオフセット分だけ高いレベルで、出力信号ZSに追従される。
【0037】
図9は、電源電圧±VccH及び±VccLを生成する回路を示す図であり、24はトランスであって、例えばコイルの巻線比に対応して第1交流信号VacH及び第2交流信号VacLを発生する。25は第1交流信号VacHが供給される第1ダイオードブリッジ回路、26a及び26bは第1ダイオードブリッジ回路25の出力信号を平滑し、電源電圧±VccHを発生する第1平滑コンデンサー、27は第2交流信号VacLが供給される第2ダイオードブリッジ回路、28a及び28bは第2ダイオードブリッジ回路27の出力信号を平滑し、電源電圧±VccLを発生する第2平滑コンデンサーである。
【0038】
まず、トランス24において、トランス24内の一次コイルに外部AC電源(図示せず)から電源交流信号ACが印加される。そして、二次コイルには、一次コイルと二次コイルとの巻線比に対応したレベルを有する交流信号が発生する。一次コイルの巻線数をN1とし、ダイオードブリッジ回路25の接続に対応した二次コイルの巻線数をN2とし、ダイオードブリッジ回路26の接続に対応した二次コイルの巻線数をN3とすると、ダイオードブリッジ回路25への入力信号VacHは、VacH=(N2/N1)×Vacとなり、ダイオードブリッジ回路26への入力信号VacLは、VacL=(N3/N1)×Vacとなる。ここで、巻線数は、N2>N3に設定されているので、VacH>VacLとの関係になる。
【0039】
交流信号VacHは、ダイオードブリッジ回路25を介して、平滑コンデンサー26a及び26bに供給される。ダイオードブリッジ回路25と、平滑コンデンサー26a及び26bとは全波整流回路を構成しており、交流信号VacHは全波整流され、直流電圧±VccHが生成される。また、ダイオードブリッジ回路27と、平滑コンデンサー28a及び28bも全波整流回路を構成しており、交流信号VacLも全波整流され、直流電圧±VccLが生成される。交流信号はVacH>VacLの関係があるので、直流電圧は±VccH>±VccLとなる。そして、電源電圧±VccL及び±VccHは図1の各々の回路に印加される。
【0040】
【発明の効果】
本発明に依れば、外部電源から第1電源電圧及びこれより低い第2電源電圧を生成し、出力増幅部の出力レベルが大のとき、第1電源電圧に基づく出力波形に追従した電源電圧を生成し、前記出力レベルが小のとき第2電源電圧を出力増幅部に印加するので、出力増幅部の消費電力のロスを削減できると共に、電源部の消費電力のロスを削減でき、出力増幅部及び電源部の全体の消費電力のロスを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路図である。
【図2】図1の出力増幅部の出力波形及び電源電圧を示す波形図である。
【図3】図1の回路の出力電力と消費電力との関係を示す特性図である。
【図4】従来例を示す回路図である。
【図5】従来例の出力波形及び電源電圧の関係を示す波形図である。
【図6】図1の追従型電源回路10の具体例を示すブロック図である。
【図7】図6の各信号波形を示す波形図である。
【図8】図1及び図6の追従型電源回路10の動作を説明するための波形図である。
【図9】±VccH及び±VccLを発生する回路を示す回路図である。
【符号の説明】
10 追従型電源回路
11 勾配検出回路
12 電圧制御回路
12A オフセット設定部
12B 加算回路
13 降圧チョッパー型電源部
15 電力増幅回路
15a プリアンプ
15b 出力増幅器
Claims (6)
- 入力信号を増幅する出力増幅回路を有する電力増幅装置において、
外部電源電圧を変圧して、第1電源電圧、及び前記第1電源電圧よりも低い一定の第2電源電圧を発生する電源電圧発生回路と、
前記第1電源電圧に基づいて出力増幅回路に供給する電源電圧の最小電圧を定める電圧制御回路と、
前記電圧制御回路からのオフセットと出力増幅回路に供給する電源電圧とを比較する比較回路、該比較回路の出力信号に応じて発振周波数が変化される発振器及び発振器の出力信号によりスイッチングして前記出力増幅回路の出力波形に追従した第3電源電圧を出力するスイッチング型電源回路と、
前記第3電源電圧の低下に応じて、第3電源電圧から前記第2電源電圧に切り換えて出力させる切換手段と
を有し、前記第2電源電圧または第3電源電圧を前記出力増幅回路に印加することを特徴とする電力増幅回路。 - 前記制御回路は第1電源電圧に基づいて出力増幅回路に供給する電源電圧の最小電圧を定めるオフセットを設定するオフセット設定部と、出力増幅回路の出力信号の勾配を検出する勾配検出回路の出力信号を加工した信号とオフセットとを加算する加算回路とからなることを特徴とする請求項1記載の電力増幅回路。
- 前記切換手段は、前記第3電源電圧より所定レベルだけ低下したら動作し、前記第2電源電圧を導通させる導通手段を含むことを特徴とする請求項1記載の電力増幅装置。
- 前記導通手段は、電流の逆流を阻止するダイオードと共用させることを特徴とする請求項3記載の電力増幅装置。
- 前記勾配検出回路は、微分回路よりなることを特徴とする請求項2記載の電力増幅装置。
- 少なくとも、前記電源電圧発生回路は、前記スイッチング型追従型電源回路と、前記切換手段とを、同一の混成集積回路上に実装することを特徴とする請求項1記載の電力増幅装置。
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