JP3545126B2 - 精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精製したポリグリセリンから構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
加工食品には、グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,グリセリン有機酸脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,レシチン等の食品用界面活性剤が広く使われている。その中でもポリグリセリン脂肪酸エステルは、低HLBから高HLBまで多くの種類の製品を作成することができ、有用な界面活性剤の一つである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンを苛性ソーダなどのアルカリ触媒の存在下,高温にて重合し、脱臭,脱色して得られたポリグリセリンと脂肪酸を原料としてエステル化反応することによって製造されていた。または、エピクロロヒドリン,グリシドール,グリセリンまたは、ポリグリセリンとエピクロロヒドリン,モノクロロヒドリン,ジクロロヒドリンまたは、グリシドールを原料にして化学合成することによって得られたポリグリセリンと脂肪酸を原料としてエステル化反応することによって製造されていた。
【0003】
これら従来のポリグリセリン脂肪酸エステルの原料であるポリグリセリンは、反応ポリグリセリンとも呼ばれ、重合度1から10までの異なるポリグリセリン成分の混合物で、重合度分布の広いものであり、グリセリンの重合により生じる環状構造をとるものも含まれている。
そのため、反応ポリグリセリン中のポリグリセリン組成は、それぞれのポリグリセリン成分の含量が低く、高いものでも20%程度にすぎないものであった。この様な広い重合度分布のポリグリセリン組成を持ったポリグリセリン脂肪酸エステルが、加工食品に使われているのが現状である。そして、テトラグリセリン,ヘキサグリセリン,デカグリセリン等に表現されるポリグリセリンの名称は、実際の重合度分布を無視したもので、ポリグリセリンの水酸基価を測定して求められる末端基分析法により決定された平均重合度から名付けられたものである。ここで、末端基分析法とは水酸基価(OHV)の測定値と表1に示す理論値の関係から、平均重合度(n)と分子量(MW)を求める方法であり、以下の計算式により求められる。
従って、ここで求められた平均重合度は化学一般に言う重合度とは異なり計算上求められた値であり、実際の重合度とはかけ離れた値を示す場合が多い。
【0004】
【表1】
【0005】
例えば、環状ボリグリセリンは、ポリグリセリンの種類に関係なく水酸基価は758と一定であるため、この様な環状ポリグリセリンが含まれる場合は見掛けの重合度である平均重合度は実際の重合度よりかなり高い値を示すことになり、これより決定されたポリグリセリンの名称は実際の成分を示すものではない。
この様な方法では、ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの単一成分を表わしていない。
このため、反応ポリグリセリンを使用した、従来のポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えばデカグリセリンモノ脂肪酸エステルと称しても構成のポリグリセリンは、環状ポリグリセリンやグリセリンおよびジグリセリンなどの低重合度のポリグリセリンが多く含まれ、また重合度分布も広いため親水性から親油性まで非常に多くの種類のエステルが含有されて存在しているものであった。
そのため、乳化食品,タンパク含有食品,油脂含有食品,でんぷん含有食品,糖類含有食品などの加工食品に使用して品質を改良するためには添加量を多くしなければならず、風味などに影響を及ぼした。また、最近の食品は差別化、高級化、低コスト化が進み従来のものでは対応できない品質を求める様になってきた。
このため、従来のポリグリセリン脂肪酸エステルを低pH,高塩濃度,加熱,アルコール含有食品に使用した場合、油層分離を起こすなどの品質的に安定な食品を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の問題点を解決するため反応ポリグリセリンを重合度分布の狭い、環状ポリグリセリンや低重合度のポリグリセリンの少ないものに精製するか、最初から純度の高いポリグリセリンを作りその後、従来法により脂肪酸とエステル化し、従来のポリグリセリン脂肪酸エステルに比べ界面活性能力の優れた精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを作成し、上記食品に使用した場合、添加量も少なく、従来ではできなかった機能(例えば、耐酸乳化,耐塩乳化,耐アルコール乳化など)を持つ食品を見い出し本発明を完成させたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリグリセリン組成中の、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする食品にある。例えば、ペンタグリセリンがポリグリセリン中の45%であるポリグリセリンステアリン酸エステルを含有することを特徴とする食品をいう。
以下に、本発明の食品について説明する。まず、本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルについて詳述する。本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンは、例えば従来の技術で述べた方法により合成されたポリグリセリンを分子蒸留精製法,水蒸気キャリアを使用する減圧蒸留法,疑似移動床型液体クロマトグラフィー法により精製分離し、ポリグリセリン組成中の、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリンを調製する。精製方法については、上記方法に限定されるものではない。
【0008】
本発明におけるポリグリセリンの組成分析は、トリメチルシリル化を行いポリグリセリンを誘導体となし、その上でGC法(ガスクロマトグラフィー)にて分離定量を行い面積法にて求めることができる。GC法による分析は、例えばメチルシリコーンなど低極性液相を化学結合せしめた、フューズドシリカキャピラリー管を用いて100〜320℃まで10℃/分の昇温分析を行えば容易に実施することができる。また、ガスクロマトグラム上のピークの同定は、例えばガスクロマトグラフを二重収束マススペクトログラフに導入しケミカルアイオニゼーションなどの方法によりイオン化して測定し、次にその親イオンの分子量よりガスクロマトグラム上のピークの分子量を求め、更に化学式よりグリセリンの重合度を求めることにより簡単に行うことができる。
この精製ポリグリセリンを使用し、炭素数8〜22の脂肪酸と通常法にてエステル化を行いポリグリセリン脂肪酸エステルを得る。エステルの種類については、目的とする食品,用途で変化させ作成して使用する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における精製ポリグリセリンは、ポリグリセリン組成中、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であることが必要で、好ましくは40%以上が良く、さらに好ましくは50%以上が良い。ポリグリセリンの種類は特に限定しないが、トリグリセリン以上であることが好ましく、より好ましくはテトラグリセリン以上、さらに好ましくはペンタグリセリン以上の重合度が良い。選ばれたポリグリセリンの含量が、35%未満であると特に低pH食品,高塩濃度食品,アルコール含有食品において、乳化に関して満足する効果が得られない。また、グリセリン,ジグリセリンが含有されると界面活性剤中のアルコール部分が小さいため、安定生が悪く、特に加熱安定性や長期持続性を期待する食品においては問題が出るのでできるだけ少ないほうが良く、グリセリン,ジグリセリンの合計の含量が10%未満が好ましい。
【0010】
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数8〜22の直鎖の飽和ないし、不飽和脂肪酸で、単品又は混合したものでも良い。エステル化度またはエステルの種類については目的とする食品及び用途で変えるため特に限定するものではないが、例えば油性成分を可溶化した食品、抗菌あるいは殺菌用途などの場合は、親水性の高いものの方が良く、モノエステル含量の高い、低エステル化度のものが良い。また、油脂の改質やW/O乳化などには高エステル化度のものが良い。
本発明における食品は、特に限定するものではないが、好ましくは、乳化食品,油脂含有食品,でんぷん含有食品,糖類含量食品,タンパク含有食品などの加工食品をいう。
本発明の乳化食品は親油性成分または親水性成分が水層に乳化又は分散している食品で、アイスクリーム,コーヒーホワイトナー,ホイップクリーム,チーズ等の乳製品、または低pH食品として、マヨネーズ,ドレッシング,酸性ホイップクリーム,高塩濃度食品として、ソース,たれなどの乳化調味料および,コーヒー飲料,アルコール飲料,乳飲料などの飲料,さらに油性香料を乳化又は可溶化した乳化香料などをいう。
【0011】
本発明の油脂含有食品は牛脂,ラード,パーム,ナタネ,ヤシ油などの動植物油脂を使用した食品で、マーガリン,ショートニング,バタークリームなどの加工油脂、または離型油,揚げ油,サラダ油,米飯油などの食用油脂、およびチョコレートなど油脂加工食品などをいう。本発明のでんぷん含有食品は例えば、米,小麦,ジャガイモなどの穀物由来のでんぷんを使った食品で、炊飯,麺,パスタ,パン,ケーキなどの他,ビスケット,クッキー,クラッカーなどの焼菓子やスープ,カレー,シチュー,レトルト食品,マッシュポテトなどのでんぷんを含有している食品をいう。
本発明の糖類含有食品は砂糖,ブドウ糖,果糖などの単糖類や乳糖,オリゴ糖,デキストリンなどの多糖類を含む食品でキャンディー,チューインガム,打錠菓子,ココアなどの菓子や、清涼飲料,ゼリー,氷菓などをいう。
本発明の蛋白含有食品は牛乳などの乳蛋白や魚,肉などの動物蛋白さらに小麦,大豆などの植物蛋白および卵の蛋白などを含有する食品で、ハム,ソーセージ,豆腐,卵加工食品などをいう。
以上に実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は、本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「%」は「重量%」を意味する。
【0012】
【実施例】
実施例1
5リットル四ツ口フラスコにグリセリン3000gと50%水酸化ナトリウム水溶液を30g入れ、窒素気流下で100Torrの圧力で水を除去しながら240℃まで加熱し25時間そのまま保持して、ポリグリセリン反応物を1750gを得た。得られたポリグリセリン反応物をイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った物についてトリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、グリセリン15%、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン18%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン23%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン16%、重合度5以上のポリグリセリン20%であり、環状ポリグリセリンが11%であった。また、この物の水酸基価は970であった。
【0013】
この反応ポリグリセリンを原料として、分子蒸留を行いポリグリセリン分画物を得た。得られたポリグリセリン分画物について、トリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、グリセリン2%、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン6%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン38%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン22%、重合度5以上のポリグリセリン28%であり、環状ポリグリセリンが4%であった。また、この物の水酸基価は973であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸210gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、ポリグリセリンの分画物490gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0014】
比較例1
5リットル四ツ口フラスコにグリセリン3000gと50%水酸化ナトリウム水溶液を30g入れ、窒素気流下で100Torrの圧力で水を除去しながら240℃まで加熱し25時間そのまま保持して、ポリグリセリン反応物を1750gを得た。得られたポリグリセリン反応物をイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った物についてトリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、グリセリン15%、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン18%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン23%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン16%、重合度5以上のポリグリセリン20%であり、環状ポリグリセリンが11%であった。また、この物の水酸基価は970であった。1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸210gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、ポリグリセリン490gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0015】
実施例2
5リットル四ツ口フラスコにグリセリン3000gと50%水酸化ナトリウム水溶液を30g入れ、窒素気流下で100Torrの圧力で水を除去しながら240℃まで加熱し33時間そのまま保持して、ポリグリセリン反応物を1630gを得た。得られたポリグリセリン反応物をイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った物についてトリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、グリセリン8%、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン11%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン13%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン15%、重合度5(ペンタグリセリン)のポリグリセリン20%、重合度6以上のポリグリセリン20%であり、環状ポリグリセリンが13%であった。また、この物の水酸基価は890であった。
【0016】
この反応ポリグリセリンを原料として、ナトリウム型のスルフォン酸基を有するイオン交換樹脂を充填したカラム4本を用いて疑似移動床型液体クロマトグラフィーを行いポリグリセリン分画物を得た。得られたポリグリセリン分画物の組成について、トリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン3%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン5%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン10%、重合度5(ペンタグリセリン)のポリグリセリン45%、重合度6以上のポリグリセリン32%であり、環状ポリグリセリンが5%であった。また、この物の水酸基価は885であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸175gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、ポリグリセリン525gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0017】
比較例2
5リットル四ツ口フラスコにグリセリン3000gと50%水酸化ナトリウム水溶液を30g入れ、窒素気流下で100Torrの圧力で水を除去しながら240℃まで加熱し33時間そのまま保持して、ポリグリセリン反応物を1630gを得た。得られたポリグリセリン反応物をイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った物についてトリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、グリセリン8%、重合度2(ジグリセリン)のポリグリセリン11%、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン13%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン15%、重合度5(ペンタグリセリン)のポリグリセリン20%、重合度6以上のポリグリセリン20%であり、環状ポリグリセリンが13%であった。また、この物の水酸基価は890であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸175gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、ポリグリセリン525gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0018】
実施例3
比較例2の反応ポリグリセリンを原料として、ナトリウム型のスルフォン酸基を有するイオン交換樹脂を充填したカラム4本を用いて疑似移動床型液体クロマトグラフィーを用いポリグリセリン分画物を得た。得られたポリグリセリン分画物の組成について、トリメチルシリル化してガスクロマトグラフを用いて測定したところ、重合度3(トリグリセリン)のポリグリセリン2%、重合度4(テトラグリセリン)のポリグリセリン4%、重合度5(ペンタグリセリン)のポリグリセリン65%、重合度6以上のポリグリセリン26%であり、環状ポリグリセリンが3%であった。また、この物の水酸基価は888であった。
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸175gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、ポリグリセリン525gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0019】
実施例4
1リットル四ツ口フラスコに、ラウリン酸140gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、実施例2で作成したポリグリセリン560gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、230℃で反応してポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。
比較例3
1リットル四ツ口フラスコに、ラウリン酸140gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、比較例2で作成した、ポリグリセリン560gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、230℃で反応してポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。
【0020】
実施例5
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸490gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、実施例2で作成した、ポリグリセリン210gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
比較例4
1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸490gを入れ、水酸化ナトリウム0.7gを入れ、比較例2で作成した、ポリグリセリン210gを仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。
【0021】
試験例1
乳化食品1として、ヤシ硬化油25.0%、脱脂粉乳 2.5%、カゼインナトリウム2.5%に、実施例1または比較例1で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行いコーヒーホワイトナーを調製した。調製品を40℃に5日間保存した結果、実施例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したコーヒーホワイトナーは、油層分離をまったく起こしておらず、比較例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したコーヒーホワイトナーは、ヤシ硬化油の10%が分離を起こしていた。
試験例2
乳化食品2として、サラダ油70.0%、酢酸15%、食塩 2.0%、キサンタンガム 0.2%、水11.8%、実施例1,比較例1で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行いドレッシングを調整し、ドレッシングのpHは、3.5 であり、40℃に10日間保存した結果、実施例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したドレッシングは、油層分離をまったく起こしておらず、比較例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したドレッシングは、サラダ油の20%が分離を起こしていた。
試験例3
【0022】
【表2】
【0023】
乳化食品3として表2の処方にて、ホモミキサーを使用して10,000rpm 2分間の乳化を行い、たれを調製し40℃にて5日間保在した結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
実施例4
乳化食品4として、生クリーム25%、ウオッカ15%、水64%、実施例1,比較例1で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行いアルコール飲料を調製した。アルコール飲料のアルコール濃度は6%、脂肪分10%であり、30℃2日間保存した結果、実施例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したアルコール飲料は、油層分離をまったく起こしておらず、比較例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したアルコール飲料は、脂肪分の50%が分離を起こしていた。
実施例5
油脂含有食品として、大豆油60%、水39%、実施例5,比較例4で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行い離型油を調製し、40℃にて1日間保存した結果、実施例5のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用した離型油は、油層分離をまったく起こしておらず、比較例4のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用した離型油は、大豆油の10%が分離を起こしていた。
【0026】
実施例6
でんぷん含有食品として、小麦粉8%、バター20%、牛乳40%、水37%、実施例2,比較例2で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行いホワイトソースを調製した。ホワイトソースの脂肪分は17%であり、120℃10分間加熱した結果、実施例2のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したホワイトソースは、油層分離をまったく起こしておらず、比較例2のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用したホワイトソースは、脂肪分の50%が分離を起こしていた。
【0027】
実施例7
糖類含有食品として、ココア粉末25%、砂糖60%、乳糖10%、水4%、実施例4,比較例3で得られたポリグリセリンラウリン酸エステル1%を添加し造粒機にて造粒した。この10gを40mlの水に静かに加え4時間後の分散性をみた。実施例4のポリグリセリンラウリン酸エステルを使用したココア水溶液は、ココア造粒品10g中 0.3gが低部に沈降し、比較例3のポリグリセリンラウリン酸エステルを使用したココア水溶液は、ココア造粒品10g中 1.2gが低部に沈降していた。
実施例8
蛋白質含有食品として、全卵80%、ナタネ油5%、液糖15%、実施例2,比較例2で得られたポリグリセリンステアリン酸エステル1%を添加し、ホモミキサーを使用して、10,000rpm 2分間の乳化を行い調理用加工全卵を調製し、−20℃にて1日間冷凍し25℃にて解凍した結果、実施例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用した調理用加工全卵は、油層分離をまったく起こしておらず、比較例1のポリグリセリンステアリン酸エステルを使用した調理用加工全卵は、全量の5%の油層分離がみられた。
【0028】
本発明の実施態様ならびに目的成生物を挙げれば以下のとおりである。
(1)ポリグリセリン組成中、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(2)ポリグリセリン組成中、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が40%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(3)ポリグリセリン組成中、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が50%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(4)ポリグリセリン組成中、テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(5)食品が、乳化食品である前記(1)〜(4)いずれか記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
【0029】
(6)食品が、油脂含有食品である前記(1)〜(4)いずれか記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(7)食品が、でんぷん含有食品である前記(1)〜(4)いずれか記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(8)食品が、糖類含有食品である前記(1)〜(4)いずれか記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
(9)食品が、蛋白含有食品である前記(1)〜(4)いずれか記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
【0030】
【発明の効果】
上記実施例で証明した様に本発明によれば、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、多くの食品を安定して製造しうることは明白である。
Claims (1)
- ポリグリセリン組成中、トリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカグリセリンから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品。
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