JP3544701B2 - N,n−ジ置換ベンジルアミンの製造方法 - Google Patents

N,n−ジ置換ベンジルアミンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、N,N−ジ置換ベンジルアミンの製造方法に関する。N,N−ジ置換ベンジルアミンはウレタンフォーム用触媒、乳化剤、分散剤、防錆剤、殺菌剤、繊維染色助剤、繊維柔軟処理剤用の中間体等に用いられる有用な物質である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、N,N−ジメチルベンジルアミン等のN,N−ジ置換ベンジルアミンの製造方法については種々知られている。例えばジメチルベンジルアミンの製造法としては、▲1▼ベンジルアミンをホルムアルデヒドでN−メチル化して製造する方法、▲2▼第4級アンモニウム塩のジメチルジベンジルアンモニウム・クロリドをNaOHで脱ベンジル化して得る方法(特公昭50−7569)、▲3▼N,N−ジメチルベンズアミドをNaBH4で水素化して得る方法(特開昭54−144301)等がある。又、▲4▼類縁体である置換基を有するベンズアルデヒドとジメチルアミンより、対応する第3級アミンを得る方法(J.Am.Chem.Soc.,105,4136(1983))等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来法において▲1▼〜▲3▼の方法は、ほぼ定量的に進行するものもあるが、出発物質に高価な化合物を使用しなければならない。又、▲4▼の方法では最も良いものでも第3級アミンの収率が83%に過ぎない。このように、従来法には高価な出発物質の使用、工業的に満足し難い収率等、N,N−ジ置換ベンジルアミンの工業的製造において不利な点が存在する。
本発明は、安価な出発物質を用いて、高収率でN,N−ジ置換ベンジルアミンを製造することのできる方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、先ず安価なベンズアルデヒドと第2級アミンとを反応させ、次に得られた反応生成物を白金族触媒の存在下で水素化すると、N,N−ジ置換ベンジルアミンが極めて高収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、ベンズアルデヒドと第2級アミンとを反応させて得られる反応生成物を白金族触媒の存在下、水素化することを特徴とするN,N−ジ置換ベンジルアミンの製造方法に関する。
本発明においては、ベンズアルデヒドと第2級アミンとを反応させて得られた反応生成物を水素化すること、及び水素化触媒として白金族触媒を用いること、この両者を適用することがN,N−ジ置換ベンジルアミンを高収率で製造するために重要である。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される第2級アミンは、一般式(1):R12NH(式中、R1及びR2は同じか、或は異なってアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表わされる第2級アミンであり、この第2級アミンとベンズアルデヒドを出発物質として、一般式(2):
【化1】
Figure 0003544701
(式中、R1及びR2は上記と同じ。)で表わされるN,N−ジ置換ベンジルアミンが得られる。
【0007】
上記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2は同じか、或は異なってアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、アルキル基は炭素数1〜6のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。シクロアルキル基は炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、トルイル基等が挙げられる。
【0008】
一般式(1)の第2級アミンの具体例としては、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、メチルエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルベンジルアミン、エチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン等が好適に使用されるがこれらに限定されるものではない。これら第2級アミンはそのままで、又は水溶液で使用することができる。
【0009】
本発明により製造される一般式(2)のN,N−ジ置換ベンジルアミンの具体例としては、例えばN,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジイソプロピルベンジルアミン、N,N−ジイソブチルベンジルアミン、N−メチル−N−エチルベンジルアミン、N−エチル−N−プロピルベンジルアミン、N−エチル−N−ヘキシルベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルベンジルアミン、N−メチルジベンジルアミン、N−エチルジベンジルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジフェニルベンジルアミン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0010】
本発明の実施方法の一例を示すと、先ず、反応器に第2級アミンの水溶液を仕込み、ここへ撹拌下、所望の温度まで昇温しながらベンズアルデヒドを加えて反応を行う。その後同温度に保ち数時間反応を続ける。反応終了後、反応液を冷却して、分離したオイル状のベンズアルデヒドと第2級アミンとの反応生成物(以下、オイル状反応生成物という。)と水層とを分液する。オイル状反応生成物を分液した後、このオイル状反応生成物をオートクレーブに白金族触媒と共に仕込み、加熱、撹拌下、水素を導入しながら水素化を行うと、目的とするN,N−ジ置換ベンジルアミンが生成する。
【0011】
上記ベンズアルデヒドと第2級アミンとの反応は1対1のモル比で反応が起るため、第2級アミンの使用量はベンズアルデヒドと当モル以上であれば特に制限はない。反応は常圧〜2MPa、好ましくは常圧〜0.5MPaの圧力下、0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度でベンズアルデヒドを数時間かけて加える。その後同温度に1〜5時間保ち反応を完結させ、室温付近まで冷却する。原料に用いる第2級アミンが水溶液の場合、反応液は二層に分離しており、このときは分液してオイル状反応生成物を得る。第2級アミンをそのまま原料として使用する場合には均一な反応液が得られ、反応液をそのまま次の水素化へ供することができるが、過剰に使用した原料の第2級アミンを除くために、反応液に水を加えて分液し、過剰の第2級アミンを水層へ除去したオイル状反応生成物を得てもよい。ここで、分液して得られたオイル状反応生成物には、実質的に水分が含有されている状態でも含有されていない状態でも、後の水素化反応において副生成物として水が生成してくるためいずれも適用することができるが、分液して得たオイル状反応生成物をNa2SO4、MgSO4等で脱水処理したものが好ましい。
【0012】
次に、上記オイル状反応生成物を白金族触媒の存在下で水素化すると目的とするN,N−ジ置換ベンジルアミンが生成する。この水素化において使用される白金族触媒は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金からなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属、或はその化合物が好適に使用でき、これらが適当な担体に担持されていても、担持されてなくてもよい。担体に担持されたものを使用する場合、担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、希土類金属酸化物等の金属酸化物、無機塩類、活性炭、樹脂などが挙げられるがこの限りではない。白金族触媒の使用量はオイル状反応生成物に対して、例えば市販品として入手が容易な5%パラジウム−カーボン(以下、5%−Pd/Cという。)を使用する場合、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。他の触媒を使用するときも、これに準じた量の金属を含むような触媒量を使用すればよい。
【0013】
上記水素化反応は、各種の状況に応じて適宜反応条件を選択することができるが、通常は、反応圧0.1〜20MPa、好ましくは、0.1〜6MPa、反応温度20〜250℃、好ましくは40〜140℃の条件下で行われる。このような条件下で水素化を行うと工業的生産において実用的な反応速度が維持され、副反応がほとんど起こらず、高収率で目的のN,N−ジ置換ベンジルアミンが生成する。この水素化は回分式でも、流通式でも前記オイル状反応生成物を用いるのであれば適用することができる。
【0014】
本発明の方法では水以外の副生成物がほとんど生じないため、N,N−ジ置換ベンジルアミンの精製は、蒸留を行うだけで容易に純度99%以上の高純度N,N−ジ置換ベンジルアミンが得られる。例えば、水素化反応終了後、反応液を濾過して触媒を濾別し、濾液に含まれる副生の水を分液して除き、オイル層を蒸留すると、精製されたN,N−ジ置換ベンジルアミンが得られる。
【0015】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
容量2リットルの反応器に50%ジメチルアミン水溶液947gを仕込み、撹拌下、25℃から最終的に60℃に昇温しながらベンズアルデヒド1061gを2時間かけて滴下し、更に60℃で2時間熟成を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、オイル層と水層とに分液した。分液して得られたオイル層1513gのうち、600gを1リットルのオートクレーブに5%−Pd/C0.6gと共に仕込み、水素を導入しながら、水素圧4MPa下、80℃、3時間で水素化した。水素化終了後、反応液を室温まで冷却して取り出し、触媒を濾別した後、濾液に含まれる副生の水を分液して除き、オイル層を蒸留すると、純度99.8%のN,N−ジメチルベンジルアミン513g(収率95%)が得られた。
【0016】
実施例2
実施例1の水素化において5%−Pd/Cを0.12gに、水素化温度を120℃に代えておこなった以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、純度99.6%のN,N−ジメチルベンジルアミン526g(収率98%)を得た。
【0017】
比較例1
実施例1の水素化において、触媒としてPd/Cの代わりにラネーニッケル30gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。その結果、純度62.7%のN,N−ジメチルベンジルアミン398g(収率46.7%)を得た。
【0018】
比較例2
容量1リットルのオートクレーブに50%−ジメチルアミン279gと5%−Pd/C23gを仕込んだ後、水素圧4MPa、120℃でベンズアルデヒド318gを3時間かけて圧入しながら、且つ水素を導入しながら反応を行った。反応終了後、触媒を濾過し、濾液を分液して得られたオイル層744.7gをガスクロマトグラフィーで分析するとN,N−ジメチルベンジルアミン収率0.41%分が観測された。
【0019】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の方法によれば、安価なベンズアルデヒドと第2級アミンから極めて高収率で目的とするN,N−ジ置換ベンジルアミンを製造することができる。又、本発明の方法によると水以外の副生成物がほとんどないため、蒸留により容易に高純度のN,N−ジ置換ベンジルアミンを得ることができる。

Claims (2)

  1. ベンズアルデヒドと第2級アミンとを反応させ、次いで得られた反応生成物を白金族触媒の存在下、水素化することを特徴とするN,N−ジ置換ベンジルアミンの製造方法。
  2. 第2級アミンが、一般式(1):R12NH(式中、R1及びR2は同じか、或は異なってアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表わされる第2級アミンである請求項1記載の方法。
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