JP3544337B2 - 符号分割多重アクセス受信機および符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法 - Google Patents
符号分割多重アクセス受信機および符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体電話システムに関する。特に、拡散符号通信技術を用いる携帯電話システムや衛星移動体電話システムにおいて、受信基地局や移動体端末で受信した信号をフィルタリングするもので、受信基地局および移動体端末機におけるメモリ容量および回路の規模を大幅に小さくすることができる新規の受信信号フィルタリング装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数のシステムユーザが存在する相互通信を可能にする技術のひとつとして、符号分割多重アクセス(CDMA)変調技術が知られている。他の多重アクセス通信システム技術としては、例えば時分割多重アクセス(TDMA)や周波数分割多重アクセス(FDMA)、あるいは振幅コンパンデッドシングルサイドバンドシステム(ACSSB)方式などの振幅変調などが知られている。しかし、CDMAの拡散符号変調技術はこれら他の多重アクセス通信システム変調技術にはない重要な利点がある。多重アクセス通信システムとしてのCDMA方式は、例えば米国特許4,901,307号、名称「衛星あるいは地上リピータを使用した拡散符号スペクトラム多重アクセス通信システム(SPREAD SPECTRUM MULTIPLE ACCESS COMMUNICATION SYSTEM USING SATELLITE OR TERRESTRIAL REPEATERS)」に開示されていて、その全記載が本明細書中に引用として盛り込まれる。
【0003】
また、特開平11−46088号公報にも関連技術が開示されていて、その全記載が本明細書中に引用として盛り込まれる。
【0004】
このシステムにおいて、受信基地局は、各ユーザターミナルから送信された拡散符号信号(SS信号)を受信し、受信信号のパワーレベルデータを検出することで特定のユーザターミナルを識別する。例えば、WO96−19048には受信信号のパワーレベルデータを検出する回路装置が開示されている。
【0005】
図1は本発明による受信信号フィルタ装置およびその方法が適用される移動体電話システムの一例のブロック図を示すものである。
【0006】
図1に見られるように、端末ユーザは、移動体電話101を用いてそのアンテナ103を介して受信基地局102との間で拡散符号信号を送受信する。受信基地局102は受信信号を増幅する屋外受信増幅器(OA−RA)104を有している。増幅器104は増幅信号を復調して処理する無線基地局送受信装置(BTS)105と結合している。受信信号には音声データや画像データ、動画データ、JPEGデータ、MPEGデータなどが含まれている。これらの信号は符号分割多重アクセス(CDMA)通信技術により送信前に変調され、受信された無線信号は移動体電話101のベースバンド信号プロセッサ(以下に詳述)や受信基地局102の無線基地局装置(BTS)で復調される。
【0007】
一方、パーソナルコンピュータPCに接続している移動体電話201を使用する別のユーザはアンテナ203を介して第2の受信基地局202との間でSS(拡散符号)信号を送受信する。第1の受信基地局102と同様に、第2の受信基地局202は、同一あるいは類似の機能と操作を有する屋外受信増幅器(OA−RA)204および無線基地局装置(BTS)205を有している。
【0008】
第1と第2の無線基地局装置(BTS)105、205は、共にマルチメディア信号処理装置(MPE)と接続する無線ネットワーク制御装置(RNC)108と結合し、無線ネットワーク制御装置108は移動マルチメディア交換システム115に信号を出力する。
【0009】
図2は受信基地局102を示すブロック図である。図2に見られるように、無線基地局装置(BTS)105には、増幅器AMPブロックと、変調無線変復調ブロックMDEが配設されている。増幅器AMPブロックには、送信増幅器部(T−PA)120および送信増幅器監視制御部(AMP−SC)121が設けられている。一方、無線変復調ブロックMDEには、送信増幅器部AMPの送信増幅器(T−PA)120と送信増幅器監視制御部(AMP−SC)121との両方に結合する無線部(TRX)122が設けられている。ベースバンド信号処理部(BB)123は無線部(TRX)122と結合し、有線伝送路インターフェース部(HWY−INT)124はベースバンド信号処理部(BB)123と結合している。有線伝送路インターフェース部(HWY−INF)124の出力信号は有線伝送路を介して、図示しない外部装置に送信される。
【0010】
さらに、図2に見られるように、呼処理制御部(CP−CNT)125は無線部(TRX)122と結合し、保守監視制御部126(SV−CNT)はベースバンド信号処理部(BB)123と接続している。また、有線伝送路インターフェース部(HWY−INF)124と結合している外部インターフェース部(EXT−INF)127は、図示しない外部装置と接続されている。
【0011】
無線部(TRX)122には受信および送信RF信号を増幅しこれらの信号を多重信号に符号分割する低ノイズ増幅器が設けられていても良い。無線部122はまた、直交変調されてRF信号を形成するベースバンド拡散信号を、ディジタルあるいはアナログ信号に変換するA/D変換器の機能を持たせても良い。
【0012】
一方、ベースバンド信号処理部(BB)123は、スペクトラム拡散技術を用いて信号を変調、復調している。さらに、ベースバンド信号処理部123は受信信号を処理しパワーレベルデータを抽出し、この信号を平均化してパワーレベルデータのピーク値を検出している。
【0013】
図3は移動体端末ステーション、即ち携帯電話の概念ブロック図である。
【0014】
図3に見られるように、移動ターミナル局には、アンテナ133を介して信号を送受信する無線部(TRX)130が含まれている。無線部130は、信号を変調/復調するベースバンド信号処理部と結合されており、外部インターフェース(EXT−INF)136は、ベースバンド信号処理部134と結合している。各処理部はすべて制御部(MS−CNT)138により制御されている。移動ターミナル局の無線部(TRX)130、ベースバンド信号処理部(BB)134および外部インターフェース部(EXT−INF)136の機能と動作は、受信基地局102のものと同様であるので、重複を避けるためここではその記載を省略する。
【0015】
図4は、符号分割多重アクセス(CDMA)通信技術によって変調された拡散符号(SS)信号を受信する、従来の受信装置の概念図である。
【0016】
通信が確立されると、ユーザターミナル携帯電話からの信号は初めに受信基地局と同期が取られなければならない。その際、一般的にはパワーレベルデータが用いられる。
【0017】
図4に見られるように、受信装置には、予め直交変調されたID相およびQD相の拡散符号信号を受信して、受信信号を逆拡散し、その逆拡散された信号を、IRDおよびQRD相からなる受信信号としてパワー抽出部へ出力するする複素相関部10が備えられている。
【0018】
パワー抽出部12受信信号に含まれるパワーレベルデータを抽出し、パワーデータPを平均化処理14へ出力する。平均化処理部14はパワー抽出部12からの、受信パワーデータPの平均化処理を実行し、平均パワーデータが平均データとして記憶部16に格納される。さらに、平均化処理部14は記憶部16に格納されたパワーデータを読出し、それを受信パワーデータ信号として入力して、平均化処理部14は新たな平均データを算出する。ピーク検出部18は、平均化処理部14から出力された平均データを入力し、平均データのパワーレベルが最大、すなわちピークになるタイミングを検出する。制御部20は拡散符号信号生成部22が、ピーク検出部18により検出されたピークタイミングにしたがって拡散符号信号を発生させ出力する。このようにして受信信号に含まれる拡散符号信号と同期が図られる。
【0019】
従来の符号分割多重アクセス受信装置には、多数のシステムユーザ、すなわち端末電話機ごとに平均化処理部14と記憶部16の組み合わせを有している。制御部20は、複数の平均化処理部14と記憶部16の組み合わせの中から、要求のあったシステムユーザの平均データを選択する。
【0020】
図5は、図4に見られるパワー抽出部12により抽出されたパワーデータを示すグラフである。一般的に、無線信号伝播路は常に変化しているため、瞬時に得られた受信パワーのデータにはノイズが含まれているため、そのままピーク検出のために使用することはできない。そのため、平均化処理部14は図5に見られるように所定の時間分パワーデータPを取りこみ、その後平均化処理を行って平均データを記憶部16に記憶させる。その後、平均化処理部14は記憶部16の平均データと新たに入力されたパワーデータとから新たな平均データを算出する。
【0021】
図6(1)ないし(4)はパワー抽出部12により得られたパワーデータを示すグラフである。平均化処理部14は所定数分(図6では3シンボル)だけパワー抽出部12からパワーデータを入力する。次に、パワーデータのシンボルはそれぞれのサンプルごとに平均化処理され、3シンボル分の平均パワーデータが算出される。
【0022】
ここで、1シンボル=256チップであり、1チップを4倍オーバーサンプリングした場合1シンボル1024サンプルとなり、1シンボルごとに1024サンプル分のパワーのデータを取り込む。図3においては、パワー抽出部12から得られたパワーのデータから3シンボル分のデータが取り込まれている。平均化はそれぞれのサンプル単位で行われる。平均データが10bitの語長だとすると、3シンボル分のデータを記憶させるためには、1つのユーザに対して3シンボル×10bit×1024サンプル=30720bitの記憶容量が必要になる。また1スロットが10シンボルを有する別な場合においては、ユーザ毎に102400bitのメモリ容量が必要になる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の装置によれば、それぞれのユーザ毎に平均化処理部14と記憶部16の組み合わせが必要となる。したがって、もし非常に多くのシステムユーザが登録されると、そのデータを記憶させるためのメモリ容量は莫大になってしまい、装置やメモリ容量、回路構成の規模の大型化を招いて、結果的に製造コストや利用コストの増大につながってしまう。特に、移動体電話は近年小型化の要求が高まってきているので、メモリ容量自体もより小さなものが要求されている。上述したように、従来の技術では大規模なメモリ容量が必要であり、この記憶素子としてRAMを用いたとしても移動体通信の端末としては致命的に大きい。
【0024】
そこで本発明は上記した従来のシステムおよび装置にかかる問題点を鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、受信符号信号のフィルタリング装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、受信符号信号のフィルタリング装置を有する符号分割多重アクセス通信装置を提供することである。
【0026】
また、本発明の他の目的は、小規模のメモリ容量および回路構成によって、符号分割多重アクセス通信方法により変調された受信信号をフィルタリングする方法を提供することである。
【0027】
さらに、本発明の他の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、符号分割多重アクセス送信方法によって変調された拡散符号信号を受信する、受信信号フィルタリング装置を有する受信装置を含む無線信号通信システムを提供することである。
【0028】
【課題を解決する手段】
本発明の上記の目的は、受信信号を入力するフィルタ処理装置と、フィルタ処理装置の出力側と結合するデータ符号化装置を有する移動電話システム用の受信信号フィルタリング装置により達成できる。
【0029】
また、上記の目的は、パワーデータを含む受信無線信号を入力し、該受信信号中のパワーデータを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部が抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号を入力して重み付け処理を実行する重み付けフィルタリング処理部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1の比較部と、前記第1の比較部の出力信号を記憶する符号化データ記憶部と、前記符号化データ記憶部のデータを展開するデータ展開部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第2しきい値とを比較する第2比較部と、前記第2比較部の出力信号を入力してパワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部が検出したピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出部に拡散符号を出力する拡散信号生成部、とを有する符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号フィルタリング装置によって達成できる。
【0030】
前記符号化データ記憶部には前記第1比較部の出力信号を格納する複数の小規模記憶部を有してもよい。
【0031】
また、本発明によれば、前記符号化データ記憶部にデータの書き込みおよび読み出しを指定するアドレスを生成するアドレス生成部をさらに有しており、該アドレスは前記第1比較部の出力信号とともに小規模記憶部に記憶され、前記符号化データ記憶部が、前記複数の小規模記憶部のそれぞれの記憶部への書き込み動作を制御する信号を生成する書き込み許可信号生成部と、前記複数の小規模記憶部のそれぞれの記憶部からの読み出し動作を制御する信号を生成する読み出し許可信号生成部と、小規模記憶部のうち偶数番目の記憶部が出力信号のオア処理を行う偶数用オア処理部と、小規模記憶部のうち奇数番目の記憶部が出力信号のオア処理を行う奇数用オア処理部、とを有する構成としても良い。
【0032】
また、前記データ展開部には、前記符号化データ記憶部の前記偶数用オア処理部の出力信号を入力してデータの展開を行う偶数用データ展開部と、前記符号化データ記憶部の前記奇数用オア処理部の出力信号を入力してデータの展開を行う奇数用データ展開部、とが備えられていても良い。
【0033】
一方、前記データ展開部には、前記偶数用展開部の展開データと前記アドレス生成部からのアドレスを記憶する偶数用展開データ記憶部と、前記奇数用展開部の展開データと前記アドレス生成部からのアドレスを記憶する奇数用展開データ記憶部と、前記偶数用展開データ記憶部の出力と、奇数用展開データ記憶部の出力とを入力し、いずれか一方を選択する選択部を有し、該選択部の選択結果が前記重み付けフィルタリング処理部へ出力されるようにしても良い。
【0034】
また、前記重み付けフィルタリング処理部は、前記パワー抽出部の出力信号を係数Kで乗算する第1乗算器と、前記データ展開部の出力信号を係数1−Kで乗算する第2乗算器と、前記第1乗算器と第2乗算器の出力信号を加算する加算器、とを有するよう構成してもよい。
【0035】
また、本発明の上記の目的は、パワーデータを含む受信無線信号を入力するステップと、該受信信号中のパワーデータを抽出するステップと、抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号から重み付けフィルタリング処理を実行するステップと、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1の比較ステップと、前記第1比較ステップでの比較結果を記憶するステップと、前記記憶ステップにおいて記憶されたデータを展開するステップと、前記重み付けフィルタリング処理ステップの結果得られた信号と第2しきい値とを比較するステップと、前記第2比較ステップの結果から受信信号中のパワーデータのピークレベルを検出するステップと、前記ピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出ステップで使用される拡散符号を出力するステップ、とを有する符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号をフィルタリングする方法によっても達成できる。
【0036】
またさらに、本発明の上記の目的は、少なくとも一つの受信基地局と、少なくとも一つの移動体端末と、前記受信基地局と前記移動体端末のうち少なくとも一つが、符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号フィルタリング装置を有しており、該受信データ信号フィルタリング装置には、パワーデータを含む受信無線信号を入力し、該受信信号中のパワーデータを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部が抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号を入力して重み付け処理を実行する重み付けフィルタリング処理部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1比較部と、前記第1比較部の出力信号を記憶する符号化データ記憶部と、前記符号化データ記憶部のデータを展開するデータ展開部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第2のしきい値とを比較する第2比較部と、前記第2比較部の出力信号を入力してパワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部が検出したピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出部に拡散符号を出力する拡散信号生成部、とを有する無線通信システムによっても達成できる。
【0037】
また、本発明の他の形態によれば、受信した拡散符号信号を逆拡散する複素相関部と、複素相関部において逆拡散された受信信号のパワーを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部で抽出されたパワーの平均値を算出する平均化処理部と、前記平均化処理部により平均化されたパワーデータを記憶する記憶部と、前記パワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部を有することを特徴とする符号分割多重アクセス受信機において、前記平均化処理部の出力のうち第1のしきい値以上のデータを出力する第1の比較部と、前記第1の比較部により出力されたデータを圧縮データとして記憶する圧縮データ記憶部と、圧縮データ記憶部の偶数領域のデータを展開し記憶する偶数用データ展開部と、圧縮用データの奇数領域のデータを展開し記憶する奇数用データ展開部と、前記平均化処理部の出力を第2しきい値と比較し前記ピーク検出部に出力する第2の比較部を有することを特徴とする符号分割多重アクセス受信機を提供する。
前記符号化データ記憶部が、前記第1比較部の出力信号を格納する複数の小規模記憶部を有してもよい。
前記符号多重分割アクセス受信機が、移動体電話システムの送信機または受信機に搭載されていてもよい。
また、本発明の他の形態によれば、受信した拡散変調信号を相関演算し、相関演算した受信信号のパワーを抽出し、そのパワーの平均化処理を行い、平均化処理されたパワーデータを第1のしきい値と比較し、前記第1のしきい値以上のデータのみをアドレスと共に記憶することでデータの圧縮を行い、記憶された第1のしきい値より大きいデータに対応するアドレスと生成したアドレスとを比較し、一致した場合はデータを出力し、一致しない場合は0を出力することでデータの展開を行うことを特徴とする符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法を提供する。
上記の符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法において、前記第1のしきい値より大きいデータとそれに対応するアドレスは、複数の小規模記憶部に分散して記憶されてもよい。
上記の符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法において、前記複数の小規模記憶部のうち偶数番目の記憶部に格納されたデータと奇数番目の記憶部に格納されたデータとが別々に展開され、その展開データはそれぞれ別な記憶部に記憶され、前記記憶されていた偶数番目の展開データと奇数番目の展開データとのうちいずれか一方が選択され、その選択されたデータが重み付け平均化処理されてもよい。
本発明の受信信号フィルタリング装置は、移動体電話システムや移動体衛星電話システムに用いられる移動体端末機、すなわち携帯電話や、受信基地局などに適用することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図を参照しながら本発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0039】
本発明の第1実施例を図7ないし図14を参照しながら説明する。この第1実施例では、一例として本発明が移動体電話システムの符号分割多重アクセス受信装置に適用されたものである。図7は本発明の第1実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図、図8(A)、(B)ともに平均データ記憶部を示すブロック図、図9は図7に見られる本発明によるデータ符号化部を示すブロック図、図10は図9に見られるデータ符号化部の動作を表すタイミングチャート、図11は図9に見られる符号化データ記憶部に記憶された符号化データの内容を示すテーブル、図12は図9に見られるデータ解凍部を示すブロック図、図13は図12に見られるデータ解凍部の動作を表すタイミングチャート、図14はデータ解凍部により展開される前の符号化データ記憶部に記憶される符号化データの内容を示すテーブルである。
【0040】
図7に本発明が適用される符号分割多重アクセス受信機を一例として示す。複素相関部30は、直交変調された拡散信号ID相、QD相を受信して逆拡散し、パワー抽出部32に逆拡散信号として出力する。複素相関部30により逆拡散された信号は、パワー抽出部32においてパワーを抽出され、受信信号として平均化処理部34へ出力される。複素相関部30により逆拡散されたIRD相及びQRD相の信号は、複素平面上で回転しているためI相とQ相共にレベルが大きいときもあれば、どちらか一方のレベルのみが大きいときもある。したがって、パワー抽出部32は動作初期段階でI相、Q相を複合し、その信号をパワー抽出処理するようにして、I相、Q相のうち片方の影響が極端に出ないようにする。
【0041】
平均化処理部34はパワー抽出部32からパワーデータ信号Pを入力し、そのパワーデータ信号Pを操作してその平均値を算出する。平均化処理部34は平均化処理の結果平均、データをメモリ領域35の平均データ記憶部36に出力し、平均データ記憶部36は平均化されたパワーデータを記憶する。平均化処理部34は平均データ記憶部36に記憶された平均データを読出し、新たに受信したパワーデータ信号との新たな平均データを算出する。データ符号化部40は、平均化されたパワーデータのうちしきい値算出部39により発生された所定のしきい値よりも低いデータ信号の部分を小規模に符号化し、以下に詳しく述べる方法で符号化データを生成する。符号化データ記憶部38はデータ符号化部40が出力する符号化データを記憶する。平均データ記憶部36および符号化データ記憶部38を備えたメモリ領域35はフリップフロップ回路により構成しても良い。しかし、記憶部36、38を有するメモリ領域35は、ランダムアクセス記憶装置(RAM)により構成してハードウェア回路の規模を小さくすることがより好ましい。
【0042】
しきい値算出部39はパワー抽出部32の出力側と結合しており、そこから平均化処理部34により平均化されたパワーデータを入力する。図7に示すように、しきい値算出部39は、パワー抽出部32から平均化処理部34を介して入力されるパワーデータに基づいて、データ符号化部40の比較部50(図9参照)に出力する第1しきい値およびピーク検出部44に出力する第2しきい値を設定する。第1および第2しきい値は、高層ビルや他の無線波、大気中の塵埃により伝播中の状態の影響を受けた無線受信信号のS/N(信号/ノイズ)比に基づいて適切に制御されることが好ましい。例えば、受信信号のS/N比が高い、すなわちノイズが少ない場合には、しきい値は高く設定され、一方S/N比が低い、すなわち多くのノイズが受信信号に含まれている場合にはしきい値は低く設定される。
【0043】
上述したようにまた図6に示したように、本発明実施例による平均化処理部34はパワーデータ信号Pの平均をとる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。平均化処理の目的はパワーデータ信号P中に含まれているノイズを、ピーク検出の前に低減させるためである。従って、この目的を達成する他の処理によってノイズを低減あるいは除去する方法も本発明に適用することができる。例えば、シンボルの各サンプルにおいて、最大値と最小値を用いてその平均を取ったり、あるいは中間値だけを記憶させておいてその後のピーク検出に用いたりしても良い。
【0044】
一方、7図に示すように、データ展開部42は符号化データ記憶部38に記憶された符号化データを展開し、展開信号を平均データ記憶部36に出力する。ピーク検出部44は平均化処理部34の出力である平均データを入力し、パワーレベルが最大となるタイミングを検出して、タイミング信号を制御部46に出力する。
【0045】
制御部46は、ピーク検出部44により検出されたタイミング信号に基づいて、指示信号を拡散符号信号生成部48に出力する。このように、制御部46から拡散符号信号生成部48への指示信号は、拡散符号信号が発生し出力されるタイミングをあらわしている。さらに制御部46は、データ符号化部40およびデータ展開部42の両方へも、平均パワーデータの符号化処理を実行するタイミングおよび符号化データの展開処理を実行するタイミングを指示する指示信号を出力する。拡散符号信号生成部48は制御部46からのタイミング指示信号に基づいて拡散符号信号を発生し、拡散符号信号を複素相関部30に出力する。
【0046】
図8(A)、(B)は、複数のシステムユーザの平均データを管理する平均データ記憶部36、符号化データ記憶部38、データ符号化部40およびデータ展開部42の制御プロセスを示す図である。図4に見られるように、従来の装置はそれぞれのシステムユーザに対して平均化処理部14と記憶部16の組み合わせが必要であった。しかし、図7、図8(A)および図8(B)に見られるように、本発明の装置では複数のシステムユーザに対して共通に用いられる1つの平均化処理部34と一つの平均データ記憶部36があればよい。
【0047】
図8(A)に見られるように、符号化データ記憶部38には複数のユーザ用の複数の領域が設けられており、特定のユーザ用の符号化データは符号化データ記憶部38の特定の領域に記憶される。しきい値より低い平均パワーデータのサンプルの一部はデータ符号化部40により小規模に符号化され、符号化データとして符号化データ記憶部38内の対応するユーザ領域に記憶される。
【0048】
符号化データ記憶部38に記憶されている符号化データが読み出されるとき、必要な符号化データがデータ展開部42により展開され、展開されたデータは平均データ記憶部36に出力される。例えば、図8に示すように受信装置がユーザ3からの信号を受信した場合、データ展開部42は平均データ記憶部36に記憶されている平均パワーデータの展開処理を行い、符号化データを操作した後に符号化データ記憶部38のユーザ3に対応する領域に格納する。一方、展開処理動作中、データ展開部42は符号化データ記憶部38のユーザ3の領域に記憶されている符号化データを読出してそれを展開し、その展開データを平均データ記憶部36に出力する(図8(B)参照)。それぞれのシステムユーザにおける符号化と展開の処理プロセスは時系列で操作される。ここで、平均データ記憶部36と符号化データ記憶部38はRAMで構成することが好ましい。
【0049】
図9は本発明第1実施例にかかるデータ符号化部40の詳細な構造を示すブロック図、図10は図9に見られるデータ符号化部40の動作を示すタイミングチャートである。
【0050】
図9に見られるように、データ符号化部40には、各サンプリングの平均データ82のパワーレベルがしきい値算出部39により生成されたしきい値THよりも高いか否かを判定してその結果を比較信号86として出力する比較部50と、平均データ記憶部36に記憶された平均データ82を読み出すときに使用されるアドレスである平均データアドレス84を発生する平均データアドレス生成部52と、比較信号86、平均データ82および平均データアドレス84を入力して、しきい値THより高い平均データ82の一部からなる符号化平均データ88を選択して保持するデータ保持部54とが備えられている。データ保持部54はさらにサンプルされた平均データ82がしきい値THよりも高いときの平均データアドレス84の一部を示す符号化平均アドレス90を保持するものである。さらに、データ符号化部40には、しきい値THよりも低い平均データ82の一部を操作して平均値92を算出する符号化平均化部56と、符号化データ記憶部38に記憶される平均データアドレス84の最後のアドレスである最終アドレス93を検出する最終アドレス検出部58と、符号化データ記憶部38が符号化データ100を記憶するときに使用されるアドレスである符号化データアドレス94を生成する符号化データアドレス生成部60と、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したときに平均値92を符号化データ記憶部38に符号化データ100として平均値92を出力する選択部62を備えている。
【0051】
比較部50は平均データ記憶部36から出力された平均データ82と、しきい値算出部39からの所定のしきい値THとを比較し、その平均データ82のサンプルがしきい値THより大きいか否かをあらわす比較信号86を出力する。平均データアドレス生成部52は平均データ記憶部36から平均データ82を読み出す際に用いられるアドレスとしての平均データアドレス84を発生し、その信号をデータ保持部54と平均データ記憶部36に出力する。データ保持部54は、まず比較部50から受信した比較信号86に基づいて、平均データ記憶部36から入力された平均データ82の中から、しきい値THより高いデータを選択する。データ保持部54は選択したデータを符号化平均データ88として選択部62に出力する。さらに、データ保持部54は比較信号86に基づいてデータがしきい値THより大きい時に平均データ82の平均データアドレス84を取り出し、その選択されたデータを符号化平均アドレス90として選択部62に出力する。符号化平均データ88および符号化平均アドレス90は符号化データ100を構成する。
【0052】
符号化平均化部56は平均データ記憶部36から入力した、しきい値THよりも小さいデータから平均データ82を計算し、比較部50から入力した比較信号86に基づいて平均化処理を実行する。符号化平均化部56は単一信号からなる平均値92を選択部62に出力する。最終アドレス検出部58は平均データアドレス生成部52から入力した平均データアドレス84の最後のアドレスである最終アドレス93を検出し、その検出された最終アドレス93を選択部62に出力する。
【0053】
例えば、平均データ82が1シンボル分の平均処理を行う場合、1シンボルは256チップからなり、1チップをオーバーサンプリングした場合に1024サンプルとなり、1シンボルごとに1024サンプル分のパワーデータの平均値が取られる。したがって、最終アドレス検出部58は1024番目の平均アドレス検出を行う。
【0054】
符号化データアドレス生成部60は比較部50から比較信号86を入力し、比較信号86に基づいて符号化データ100を符号化データ記憶部38に記憶させるときのアドレスを表す符号化データアドレス94を生成し、符号化データアドレス94を符号化データ記憶部38に出力する。選択部62はデータ保持部54から符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を入力し、符号化平均化部56から平均値92を入力し、さらに最終アドレス検出部58から最終アドレス93を入力する。その後選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出しないときには符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を符号化データ100として符号化データ記憶部38に出力し、一方最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したときには符号化データ100として平均値92を出力する。
【0055】
図10はデータ符号化部40のデータ処理プロセスを示すタイミングチャートである。比較部50は、平均データ82がしきい値THより大きいときにレベル1の比較信号86、すなわちアドレスが06h、07h、08h、12h、13hの平均データアドレス84を出力する。一方、比較部50は、平均データ82がしきい値THより小さいときにレベル0の比較信号86、すなわちアドレスが00h〜05h、09h〜11hおよび14h〜17hの平均データアドレス84を出力する。比較信号86がレベル1のとき、データ保持部54は、平均データ82からしきい値THよりも大きい平均データである4Dh、7Ah、58h、65hおよび56hを選択し、選択したデータを符号化平均データ88として選択部62へ出力する。さらに、比較信号86が1のとき、すなわち平均データ82がしきい値THよりも大きいとき、データ保持部54は平均データアドレス84の中から06h、07h、08h、12hおよび13hのアドレスを選択し、選択したアドレスと符号化平均アドレス90として選択部62へ出力する。
【0056】
符号化平均化部56は、比較信号86がレベル0のとき平均データ82の平均値を算出する。詳述すると、図10に示すように、比較信号86がレベル0のときすなわち平均データアドレス84が00h〜05h、09h〜11h、および14h〜17hのとき、符号化平均化部56は平均データ82の平均値を算出する。一方、符号化平均化部56は、比較信号86がレベル1のときには平均化処理を停止する。符号化平均化部56は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出するまでしきい値THよりも小さい平均データ82の平均化処理を継続する。最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出すると、符号化平均化部56は、しきい値THよりも小さい全平均データ82の平均値である平均値92を選択部62へ出力する。
【0057】
比較信号86がレベル1のとき、例えば平均データアドレス84が図10の06hのとき、符号化データアドレス生成部60は、06hのひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス05hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hに1を加え、更新された符号化データアドレス94としてアドレス01hを出力する。このように、比較信号86がレベル1のとき、符号化データアドレス生成部60は符号化データアドレス94として現行の符号化データアドレス94に1を加えて得られるアドレスを出力する。一方、比較信号86がレベル0のとき、例えば平均データアドレス84が図10の05hのとき、符号化データアドレス生成部60は、ひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス04hに対応する符号化データアドレス94のアドレスと同じアドレス00hを発生する。言い換えると、比較信号86がレベル0のとき、符号化データアドレス生成部60はひとつ前のアドレスと同じ符号化データアドレス94のアドレスを発生する。
【0058】
選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出するまで符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を符号化データ記憶部38へ出力し続ける。詳しく述べると、図10の(a)部に示したように、符号化平均データ88の第1のグループ、すなわち4Dh、7Ahおよび58hと、それらと対応する符号化平均アドレス90のグループである06h、07hおよび08hがセット(a)として出力される。一方、図10の(b)部に示したように、符号化平均データ88の次のグループである65h、56hとそれに対応する符号化平均アドレス90のグループである12h、13がセット(b)として出力される。選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したとき、図10の(c)部に示した平均値92を符号化データ記憶部38に出力する。
【0059】
しきい値THは受信信号のS/N比により変動する。つまり、もし受信信号が良好なS/N比を有していた場合、つまりノイズが非常に小さい場合、しきい値THは通常よりも高く調節しても良い。逆に、受信信号のS/N比が悪い場合、つまりノイズが多いときには、しきい値THは低く設定すべきである。本発明システムは常に受信信号のS/N比を監視し、しきい値THを適切に制御できるようにしてある。
【0060】
図11は符号化データ記憶部38に格納された符号化データの内容を示すテーブルである。図11に見られるように、選択部62から出力された符号化平均データ88の第1グループである図10中のセット(a)と、符号化平均アドレス90のグループであるセット(b)は、符号化データ記憶部38で符号化データアドレス94の特定のアドレスに対応するように格納されている。さらに、図11のテーブルの左側列に見られるように、選択部62から受信したセット(c)の平均値92は、符号化データアドレス94のアドレス00hの位置に格納されている。
【0061】
図12はデータ展開部42の構造を示すブロック図、および図13はデータ展開部42の動作を示すタイミングチャートである。
【0062】
データ展開部42は平均データ記憶部36が平均データ82を格納するときのアドレスである平均データアドレス84を発生する平均データアドレス生成部64と、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するかどうかをあらわす比較信号86を発生する比較部66と、符号化データ記憶部38が符号化データ100を記憶するときのアドレスである符号化データアドレス94を発生する符号化データアドレス生成部72と、平均値92を保持する平均値保持部68と、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するときには平均データ82として符号化平均データ88を出力し、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないときに平均データ82として平均値92を出力する選択部70とを備えている。
【0063】
平均データアドレス生成部64は、平均データ記憶部36が平均データ82を記憶するときのアドレスである平均データアドレス84を発生し、そのアドレスを比較部66と平均データ記憶部36に出力する。比較部66は、符号化データ記憶部38からの符号化平均アドレス90と平均データアドレス生成部64からの平均データアドレス84を入力する。比較部66は、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するかを判定するための信号として作用する比較信号86を符号化データアドレス生成部72と選択部70へ出力する。
【0064】
符号化データアドレス生成部72は比較部66から比較信号86を入力し、符号化データ記憶部38が符号化データ100を格納するときのアドレスを表す符号化データアドレス94を発生する。符号化データアドレス94は符号化データ記憶部38に入力される。平均値保持部68は符号化データ記憶部38から入力した平均値92を保持し、平均値を選択部70へ出力する。選択部70は比較部66から比較信号86を入力し、平均値保持部68から平均値92を入力し、さらに符号化データ記憶部38から符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を入力する。選択部70は、比較信号86に従って符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致したときに符号化平均データ88を平均データ82として平均データ記憶部36へ出力する。一方、選択部70は符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないときには平均値92を平均データ82として平均データ記憶部36に出力する。
【0065】
図13はデータ展開部42のデータ操作を示すタイミングチャートである。符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するとき、すなわち平均データアドレス84が図13の06h、07h、08h、12h、13hのとき、比較部66はレベル1の比較信号を出力する。一方、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないとき、すなわち平均データアドレス84が図13の00h〜05h、09h〜11hおよび14h〜17hのとき、比較部66はレベル0の比較信号86を出力する。
【0066】
比較信号86がレベル1のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の06hのとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの平均データアドレス84のアドレス05hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hに1を加え、符号化データアドレス94の新たなアドレス01hを発生する。従って、比較信号86がレベル1のとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの符号化データアドレス94に1アドレスを追加した新たなアドレスを発生する。一方、比較信号86がレベル0のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の05hのとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス04hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hと同じアドレス00hを符号化データアドレス94として発生する。このように、比較信号86がレベル0のとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの符号化データアドレス94と同じアドレスを符号化データアドレス94として生成する。
【0067】
平均値保持部68は符号化データ記憶部38から、図13で(c)部と表示された平均値92を入力し、その値を選択部70へ出力する。比較信号86がレベル1のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の06h、07h、08hのとき、選択部70は符号化データ記憶部38から符号化平均データ88のセット(a)のグループ、つまり4Dh、7Ah、58hと符号化平均アドレス90のグループ、つまり06h、07h、08hを入力し、そしてこれらのデータグループを平均データ記憶部36へ出力する。同様に、平均データアドレス84が12h、13hのとき、選択部70は符号化データ記憶部38から符号化平均データ88のデータセット(b)のグループ、つまり65h、56hと符号化平均アドレス90のグループ、つまり12h、13hを入力し、これらのデータグループを平均データ記憶部36へ出力する。一方、比較信号86がレベル0のとき、たとえば、平均データアドレス84が図13の00h〜05hのとき、選択部70は図13の(c)部に示した平均値保持部68からの平均値92を平均データ記憶部36へ出力する。
【0068】
図14は符号化データ記憶部38に記憶された、データ展開部42による展開前の符号化データ100の内容を示すテーブルである。図14に示すように、符号化平均データ88と符号化平均アドレス90のデータグループセット(a)、(b)は、各符号化データアドレス94に対応して符号化データ記憶部38内に格納されている。また、選択部70から出力される(c)で示した平均値92は、符号化データアドレス94のアドレス00hの位置に格納されている。
【0069】
図15は本発明の第2実施例による符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。図15に示した装置の構造は基本的には図7に示した第1実施例にかかるものと同じであるが、パワー抽出部132、I相、Q相平均化処理部134a,134bの構造と動作手順が異なっている。
【0070】
第2実施例に拠れば、複素相関部30により逆拡散されたIRD相とQRD相の受信信号はI相平均化処理部134aとQ相平均化処理部134bでそれぞれ平均化処理が行われる。I相平均化処理部134aとQ相平均化処理部134bは、それぞれの平均化されたI相とQ相の信号をパワー抽出部132にI相平均データおよびQ相平均データとして出力する。パワー抽出部132はこれらの信号を入力し、信号のパワーレベルデータを抽出する。パワー抽出部132はパワーデータPをピーク検出部44へ出力し、ピーク検出部44はパワー抽出部132から出力されたパワーデータPのパワーレベルが最大となるタイミングを検出する。
【0071】
制御部46は、ピーク検出部44によって検出されたピークタイミング信号に基づいて、拡散符号信号生成部48が拡散符号信号を生成し出力するときのタイミングを表す指示信号を拡散符号信号生成部48へ出力する。さらに、制御部46は指示信号をデータ符号化部40とデータ展開部42に出力し、データ符号化部40が平均データの符号化処理を開始し、データ展開部42が符号化データの展開処理を開始する。拡散符号信号生成部48は制御部46からの指示信号に示されたタイミングで拡散符号信号を発生させ、その拡散符号信号を複素相関部30に出力する。
【0072】
図7に示した本発明の第1実施例に拠れば、パワー抽出部32はノイズを含んだI相およびQ相の受信信号を受け取ってパワーレベルを抽出し、その後パワーデータは平均化処理される。したがって、平均データのノイズ成分が拡大される可能性がある。しかし、図15に示した第2実施例においては、I相、Q相それぞれの受信信号は、パワーレベルを抽出するためパワー抽出部32に入力される前に、別々に平均化処理がされる。第2実施例のように構成することで、受信信号のノイズ成分を極力低減させることができる。さらに、第2実施例の動作によれば、平均化されたI相とQ相の平均データはそれぞれパワー抽出部32によって別々に抽出されるため、パワーデータのピークを正確に検出することができる。
【0073】
本発明の第2実施例では、符号化平均化部56は図10に示すように、平均化された(フィルタリングされた)データのしきい値THよりも小さい一部に関して平均化処理が実行される。しかし、本発明は特にこれに限定されず、その他の操作であってもよい。たとえば、第1の変形例では、平均化パワーデータのうちしきい値以下のすべてのサンプルの平均をとる代わりに、しきい値THを超えるサンプルのひとつ前のアドレスにおける平均データのサンプルのみをそのまま用いて、符号化データ記憶部38に記憶される符号化データ100の一部とすることも可能である。このように、図10のアドレス05hでの平均データのサンプルのみを選択し、しきい値以下のサンプルの平均をとるという処理は行われない。
【0074】
第2の変形例では、しきい値以下の平均データの中で最大と最小のサンプルの2つの平均をとる。この場合、たとえば図10中のアドレス0Ahの最小平均データとアドレス11hの最大の平均データのみが選択され、この2つの平均データの平均値を取る処理が行われる。
【0075】
また第3の実施例では、しきい値THよりも大きい平均データの1アドレス後でしきい値THよりも小さい平均データのみが抽出される。図では、アドレス05h、09h、11h、14hの平均データが選択され、その4つのデータの平均値が算出される。
【0076】
これら変形例における回路構成は上述した本発明第2実施例のものと同じで良い。その場合、データ符号化部40の操作、特にその符号化平均化部56の操作を変更してそれぞれの変形例で説明した各計算をするようプログラムを組めば良い。これらの計算自体は特に複雑なものではないため、当業者であればどのようにしてそのプログラムを設計して使用するか理解することは可能である。したがって、ここではその説明は省略する。
【0077】
いずれにしても、上記したような変形例では、平均化処理部34による平均化処理あるいはフィルタリング処理にかかる負荷が非常に軽減され、同期かを得る速度が速くなるため好ましいものである。
【0078】
図16は本発明第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置の要部を示したブロック図/回路図である。この第3実施例の図において、上記した第2実施例と同じかあるいは類似する部材については同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
【0079】
第3実施例において、拡散符号信号生成部48、複素相関部30、パワー抽出部32およびピーク検出部44の構造と機能は上記した第1、第2実施例と同じである。
【0080】
図16に示すように、第3実施例による装置には、パワー抽出部232の出力側に結合する重み付け平均化部240と、重み付け平均化部240の出力信号および第1しきい値を入力する第1比較部213と、アドレス生成部221と、第1比較部213とアドレス生成部221に接続する符号化データ記憶部241と、符号化データ記憶部241と結合する偶数データ展開ブロック242と、符号化データ記憶部241と結合する奇数データ展開ブロック243と、偶数データ展開ブロック242と奇数データ展開ブロック243のそれぞれの出力側と接続する選択部224と、重み付け平均化部240の出力信号と第2しきい値を入力する第2比較部230とを備えている。
【0081】
重み付け平均化部240には、第1乗算器210、第2乗算器211、加算器212が備えられている。重み付け平均化部240はパワー抽出部232により生成されたパワーデータPを入力する。入力されたパワーデータPは第1乗算器210によって係数Kで乗算され、一方選択部224の出力信号、すなわち偶数データ展開ブロック242および奇数データ展開ブロック243の出力信号のうちのひとつは第2乗算器211によって係数1−Kで乗算される。加算器212は第1乗算器210と第2乗算器211の両方の出力信号を加算して、重み付けされた平均信号を第1比較部213へ出力する。
【0082】
第1比較部213は重み付け平均化部240から出力された重み付け平均信号と第1のしきい値発生装置(図示せず)により生成される第1しきい値を入力して両者を比較し、重み付けされた平均信号のうち第1しきい値よりも大きい部分を出力する。
【0083】
アドレス生成部221はアドレス信号を偶数データ展開ブロック242の展開偶数データ記憶部222と奇数データ展開ブロック243の展開奇数データ記憶部223の双方に出力して、アドレス生成部221から入力したアドレスを有する展開偶数データ記憶部222、展開奇数データ記憶部223内に記憶されたデータを読み出す。さらに、符号化データ記憶部241の小規模記憶部215はアドレス生成部221からのアドレス信号を入力し記憶する。ここでアドレス生成部221により生成されるアドレス信号は対象となるシンボルのタイミングと同期する。
【0084】
小規模記憶部215は第1比較部213の出力信号と、アドレス生成部221により発生され第1比較部213の出力信号に対応するアドレス信号とを入力する。小規模記憶部215は第1比較部213の出力信号のうち第1しきい値よりも大きい部分を、第1比較部213の出力信号に対応するアドレス信号とともに保持する。
【0085】
符号化データ記憶部241は第1比較部213の出力信号とアドレス生成部221により生成されるアドレス信号を入力し、重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分のみを、記憶される重み付け平均データに対応するアドレス信号とともに記憶する。そして、符号化データ記憶部241は記憶されているデータを、そのデータが記憶されるタイミングからずらして出力する。
【0086】
偶数データ展開ブロック242は、符号化データ記憶部241が出力する重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分とそれに対応するアドレス信号とを入力し、本来のデータの大きさに、ほぼ同等に複合された信号を出力する。同様に、奇数データ展開ブロック243は、符号化データ記憶部241から出力される重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分とそれに対応するアドレス信号とを入力し、本来のデータの大きさの展開信号を出力する。
【0087】
第2比較部230は重み付け平均化部240により出力される重み付け平均データと第2しきい値発生装置(図示せず)により生成される第2しきい値を入力し、両者を比較して、重み付け平均データのうち第2しきい値よりも大きい部分を出力する。
【0088】
ピーク検出部44はこれらの出力信号、すなわち第2しきい値よりも大きい重み付け平均データの部分を入力し、そのピーク値を検出する。
【0089】
制御部232は重み付け平均データのピーク値を入力してそれを監視し、その拡散符号信号の種類と位相をあらわす指示信号を拡散符号信号生成部48に出力する。
【0090】
一方、図16に見られるように、符号化データ記憶部241には、データを小規模記憶部215に記憶させることを可能にするライトイネーブル信号を生成する書き込み許可(Write EN)信号生成部214が備えられている。イネーブル信号がHIGHのとき、データは小規模記憶部215に記憶され、逆にイネーブル信号がLOWのときには記憶されない。小規模記憶部215は、書き込み許可(Write EN)信号生成部214により生成されるライトイネーブル信号に基づいてアドレス生成部221により生成されるアドレス信号と第1比較部213の出力信号を格納する。小規模記憶部215は展開偶数データ記憶部222や展開奇数データ記憶部223に比べ非常に小規模なもので設計することができる。
【0091】
読み出し許可(Read EN)信号生成部216は、小規模記憶部215に記憶されているデータを読み出すときに用いられるリードイネーブル信号を発生する。リードイネーブル信号がHIGHのとき、小規模記憶部215に記憶されているデータは読み出され、逆にLOWのときには読み出し許可(Read EN)信号生成部216は”0”レベルの信号を出力して、読出し操作は行われない。
【0092】
さらに、図16に示したように、符号化データ記憶部241は、小規模記憶部215の偶数用の領域から信号を入力する偶数オア回路217を有している。偶数オア回路217は信号のオア操作を実行してその結果を偶数データ展開ブロック242の偶数用データ展開部219に出力する。この操作の中で、読み出し動作が行われるとき以外は、小規模記憶部215は出力信号は”0”を出力するので、偶数オア回路217の出力信号は読み出し状態の小規模記憶部215の出力信号がそのまま出力されることになる。
【0093】
上記した偶数オア回路217と同様に、符号化データ記憶部241の奇数オア回路218は小規模記憶部215の奇数領域からの信号を入力し、オア操作を実行してその結果を奇数データ展開ブロック243の奇数用データ展開部220に出力する。ここで、読み出し動作が行われるとき以外は、小規模記憶部215は出力信号は”0”を出力するので、奇数オア回路218の出力信号は読み出し状態の小規模記憶部215の出力信号がそのまま出力されることになる。
【0094】
図16に見られるように、偶数データ展開ブロック242の偶数用データ展開部219は符号化データ記憶部241の偶数オア回路217の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力する。偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に記憶されているデータを展開し、展開された信号を展開偶数データ記憶部222に出力する。展開偶数データ記憶部222は、受け取った小規模記憶部215の偶数領域の展開データを記憶する。展開偶数データ記憶部222は偶数用データ展開部219の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力して、偶数用データ展開部219の出力信号をそのアドレス信号により指定されたアドレス上に記憶する。さらに、偶数用データ展開部219はアドレス生成部221からのアドレス信号も入力し、そのアドレス信号によって指定されたアドレス上に記憶されているデータを読み出しそれを出力する。
【0095】
同様に、奇数データ展開ブロック243の奇数用データ展開部220は、符号化データ記憶部241の奇数オア回路218の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力する。奇数用データ展開部220は小規模記憶部215に記憶されているデータを展開して、展開されたデータを展開奇数データ記憶部223へ出力する。そして展開奇数データ記憶部223は、小規模記憶部215の奇数領域に記憶されていたデータの展開データを記憶する。展開奇数データ記憶部223は奇数用データ展開部220の出力信号とアドレス生成部221のアドレス信号を入力し、奇数用データ展開部220の出力信号をそのアドレス信号が指定するアドレス上に記憶する。さらに、奇数用データ展開部220はアドレス生成部221により生成されたアドレス信号も入力し、そのアドレス信号が指定するアドレス上に記憶されているデータを読み出してそれを出力する。
【0096】
偶数用データ展開部219、奇数用データ展開部220、展開偶数データ記憶部222および展開奇数データ記憶部223はRAMによって構成されることが好ましいが、特にこれに限定はされない。
【0097】
以下に図17に示したタイミングチャートを参照しながらデータの符号化処理について説明する。
【0098】
(1)図17に見られるように、シンボル(a)が次のシンボルに代わったとき(T−1→T)、対応するアドレス信号(b)は000hに設定される。そのアドレス上では重み付け平均データ(c)は025hである。ここで、025hの重み付け平均データは第1しきい値030hよりも小さいため、この重み付け平均データは小規模記憶部215には格納されない。
(2)次のアドレス信号、すなわち001hにおいて、このアドレス上の重み付け平均データは032hであり、これは第1しきい値030hよりも大きい。従って、032hの重み付け平均データとそれに対応する001hのアドレス信号は小規模記憶部215内のアドレス000hに格納される。
(3)次のアドレス信号である002hでは、重み付け平均データは02Chでありこれは第1しきい値030hよりも小さい。よって重み付け平均データは小規模記憶部215には記憶されない。
(4)次のアドレス信号003hでは、重み付け平均データは0ABhでありこれは第1しきい値030hよりも大きい。従って0ABhの重み付け平均データとそれに対応する003hのアドレス信号は小規模記憶部215のアドレス001hに記憶される。
(5)次のアドレス信号004hでの重み付け平均データは125hであり、これは第1しきい値030hよりも大きい。従って125hの重み付け平均データとそれに対応する004hのアドレス信号が小規模記憶部215のアドレス002hに格納される。
(6)...(以下省略)
【0099】
上述したように、小規模記憶部215には、重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分のみとそれに対応するアドレス信号だけが格納される。従って、記憶部のメモリ容量を格段に小さくすることが可能となる。
【0100】
本発明の第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置のデータ展開動作について、図16および図18(A)、(B)を参照しながら説明する。
【0101】
図18(A)は本発明の第3実施例によるデータ展開動作を示すテーブルであり、図18(B)はそのタイミングチャートである。
【0102】
データ展開処理は、図16に見られるアドレス生成部221、符号化データ記憶部241および偶数データ展開ブロック242、奇数データ展開ブロック243により実行される。
【0103】
ここで、今小規模記憶部215は図18(A)に示したテーブル内のデータを記憶すると想定する。読み出し許可(Read EN)信号生成部216により生成されるイネーブル信号がLOWのとき、小規模記憶部215はそのイネーブル信号に基づいて”0”の信号を出力する。一方、イネーブル信号がHIGHのときには、小規模記憶部215は図18(B)に示すように重み付け平均データ(b)とそれに対応するアドレス信号(a)を出力する。偶数オア回路217と奇数オア回路218の両方が小規模記憶部215の出力信号を入力し、それぞれでオア操作が実行される。
【0104】
読み出し許可(Read EN)信号生成部216が出力するイネーブル信号のひとつずつが小規模記憶部215の一つの領域と対応付けられている。第3実施例においては、小規模記憶部215は10個の領域を持っているので、10の異なるイネーブル信号が用意される。ここで、偶数番目の小規模記憶部用のイネーブル信号の5本すべてが同時にHIGHになることがないように、また奇数番目の小規模記憶部用のイネーブル信号の5本すべてが同時にHIGHになることがないように、制御されている。よって、偶数オア回路217に入力される信号は、1本だけがアドレス信号と重み付け平均データを入力し、他の4本は“0”を入力する。よって、偶数オア回路217が出力する信号は、偶数番目のイネーブル信号がHIGHの小規模記憶部215が出力するアドレス信号とその重み付け平均データである。同様に、奇数オア回路218に入力される信号は、1本だけがアドレス信号と重み付け平均データを入力し、他の4本は“0”を入力する。よって、奇数オア回路218が出力する信号は、奇数番目のイネーブル信号がHIGHの小規模記憶部215が出力するアドレス信号とその重み付け平均データである。
【0105】
アドレス生成部221は図18(B)の(3)に示したアドレス信号を出力する。アドレス信号(3)のタイミングはシンボル(2)のタイミングに同期している。詳述すると、シンボル(2)が次のシンボルに変わるときのアドレス信号は000hであり、これは3FFhまでインクリメントし、また、シンボルが変化したと同時に000hにクリアする。
【0106】
偶数用データ展開部219は偶数オア回路217の出力信号(1)とアドレス生成部221が出力するアドレス信号(3)を入力し、展開処理を実行する。具体的には、偶数用データ展開部219は偶数オア回路217の出力信号のアドレス部分とアドレス生成部221から入力したアドレス信号とを比較する。これらのアドレスが一致しないとき、偶数用データ展開部219は“0”の信号を出力し、一方両アドレス信号が一致した場合には偶数オア回路217の出力のうち重み付け平均データ部分を出力する。そして、小規模記憶部215が読み出すアドレスを一つアップさせる。
【0107】
展開偶数データ記憶部222は図18(B)に示した偶数用データ展開部219の出力信号(4)とアドレス生成部221のアドレス信号とを入力し、偶数用データ展開部219の出力信号を、入力したアドレス信号が指定するアドレスに記憶させる。また、展開偶数データ記憶部222からはアドレス生成部221が出力したアドレス信号が指定するアドレスのデータが読み出される。
【0108】
以下に、図18(B)を参照しながらデータ展開処理動作を詳細に説明する。
【0109】
(1)図18(B)に見られるように、シンボルがTに変わったとき、アドレス生成部221により生成された(3)のアドレス信号000hは、偶数オア回路217の出力信号の一部である(1)(a)のアドレス信号001hと比較される。図18(B)に見られるように、両アドレスは一致していないので、偶数用データ展開部219は0h信号を出力する。
(2)次に、アドレス生成部221が出力する信号001hと、偶数オア回路217が出力する信号の一部であるアドレス信号001hとが比較される。これらのアドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219の出力信号として、偶数オア回路217が出力する信号の一部であるアドレス001hに対応する(1)(b)の重み付け平均データ032hを出力する。また、偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に、アドレス001hで保持しているデータを読み出すよう指示信号を出力する。
(3)次に、小規模記憶部215に記憶されているアドレス001hのデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号002hが偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス003hと比較される。この場合には一致していないので、偶数用データ展開部219は0h信号を出力する。
(4)アドレス生成部221が出力するパート(3)におけるアドレス信号003hが偶数オア回路217の出力信号の一部である(1)(a)のアドレス003hと比較される。両アドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219は、小規模記憶部215により出力されたアドレス003hに対応する(1)(b)の重み付け平均データ0ABhを出力する。続けて偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に指示信号を出力して、アドレス002hで記憶されたデータを出力する。
(5)次に、小規模記憶部215中のアドレス002hで格納されているデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号004hが、偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス004hと比較される。両アドレスは一致するので、偶数用データ展開部219は小規模記憶部215により出力されたアドレス004hに対応する(1)(b)での重み付け平均データ125hを出力する。続けて、偶数用データ展開部219は指示信号を小規模記憶部215に出力してアドレス003hに記憶されているデータを出力させる。
(6)小規模記憶部215のアドレス003h番地に記憶されているデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号005hが偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス005hと比較される。これらのアドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219は、小規模記憶部215により出力されるアドレス005hに対応する(1)(b)での重み付け平均データ09Dhを出力する。さらに、偶数用データ展開部219は指示信号を小規模記憶部215に出力してアドレス004hに格納されているデータを出力させる。
(7)...(以下省略)
【0110】
上記したように、小規模記憶部215に記憶されている符号化データをもともとあった大きさに展開することができる。
【0111】
奇数用データ展開部220と展開奇数データ記憶部223の動作は偶数用データ展開部219と展開偶数データ記憶部222の動作と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0112】
選択部224は展開偶数データ記憶部222の出力信号と展開奇数データ記憶部223の出力信号を入力し、これらの出力信号の一つを選択する。
【0113】
次に、本発明第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置の回路動作について図16ないし図19を参照しながら説明する。
【0114】
図19は本発明第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の動作を示すタイミングチャートである。以下にスロットの変わり目における動作手順を順を追って説明する。
【0115】
(1)初めに、初期ステップとして、あらかじめスロット0のシンボル8において、小規模記憶部215の領域#0に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219において展開しておく。
(2)次に、0スロットのシンボル9において、予め小規模記憶部215の領域#1に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220にて展開しておく。
(3)続いて、スロット1のシンボル0において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#0のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均処理が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#0に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#2に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
(4)次に、スロット1のシンボル1において、予め小規模記憶部215の領域#1のデータを展開しておいた奇数用データ展開部220からの出力信号と、パワー抽出部32が出力するパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#1に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#3に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220により展開される。
(5)続いて、スロット1のシンボル2において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#2のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#2に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#4に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
(6)次に、スロット1のシンボル4において、予め小規模記憶部215の領域#3のデータを展開しておいた奇数用データ展開部220からの出力信号と、パワー抽出部32が出力するパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#3に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#5に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220により展開される。
(7)続いて、スロット1のシンボル4において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#4のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均処理が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#4に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#6に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
...(以下省略)
【0116】
従来の装置においては、記憶部は10シンボル、すなわち102400ビットのメモリ容量を必要としていた。しかし、本発明による回路とその動作を用によれば、小規模記憶部215の一つの領域は640ビットのメモリ領域である場合、6400ビット(640ビット×10シンボル分)のメモリ領域で十分である。一方、偶数記憶部と奇数記憶部はそれぞれ1シンボル分、すなわち10240ビット×2=20480ビットが必要となる。よって、本発明回路によれば、記憶素子は6400に20480を足して26880ビットとなり、従来の回路と比較すると、大幅に記憶素子を小さくすることが可能となる。
【0117】
上記では本発明の実施例をいくつかの例にとって説明した。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、外にもさまざまな変形例や改善例が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0118】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、符号分割多重アクセス装置のメモリ容量と回路構成を小さくすることができる。また、データを符号化するために必要なメモリの容量を大幅に節約することができる。
【0119】
さらに、本発明によれば、記憶部には第1しきい値よりも大きいデータとその対応アドレス信号だけを記憶しておくだけで良い。従って、メモリ容量を小さくすることが可能となる。
【0120】
またさらに、本発明によれば、符号データ記憶部には符号化された小さな容量のデータで記憶し、その後その符号化データを後に展開することで下もとの大きさのデータに戻すことが可能である。従って、ここでもメモリ容量の小規模化に貢献することができ、その結果としてデータを記憶させるための回路構成ひいては受信装置自体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される移動体電話システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に見られる無線基地局を示すブロック図である。
【図3】移動体端末、すなわち携帯電話に盛り込まれる回路の概念を示すブロック図である。
【図4】符号分割多重アクセス通信システムに用いられる従来の受信装置の概念を示すブロック図である。
【図5】図4に見られるパワー抽出部により抽出されたパワーデータを示すグラフである。
【図6】(1)ないし(4)は、抽出されたパワーデータと平均化されたパワーデータを示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。
【図8】(A)、(B)ともに平均データ記憶部を示すブロック図である。
【図9】図7に見られる本発明によるデータ符号化部を示すブロック図である。
【図10】図9に見られるデータ符号化部の動作を表すタイミングチャートである。
【図11】図9に見られる符号化データ記憶部に記憶された符号化データの内容を示すテーブルである。
【図12】図9に見られるデータ解凍部を示すブロック図である。
【図13】図12に見られるデータ解凍部の動作を表すタイミングチャートである。
【図14】データ解凍部により展開される前の符号化データ記憶部に記憶される符号化データの内容を示すテーブルである。
【図15】本発明の第2実施例による符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の要部を示す回路ブロック図である。
【図17】本発明第3実施例によるデータ符号化動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】(A)は本発明の第3実施例による展開動作を示すテーブル、(B)はそのタイミングチャートである。
【図19】本発明第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
P…パワーデータ
210…第1乗算器
211…第2乗算器
212…加算器
213…第1比較部
214…書き込み許可(Write EN)信号生成部
215…小規模記憶部
216…読み出し許可(Read EN)信号生成部
218…奇数オア回路
219…偶数用データ展開部
220…奇数用データ展開部
221…アドレス生成部
222…展開偶数データ記憶部
223…展開奇数データ記憶部
224…選択部
230…第2比較部
232…パワー抽出部
240…重み付け平均化部
241…符号化データ記憶部
242…偶数データ展開ブロック
243…奇数データ展開ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体電話システムに関する。特に、拡散符号通信技術を用いる携帯電話システムや衛星移動体電話システムにおいて、受信基地局や移動体端末で受信した信号をフィルタリングするもので、受信基地局および移動体端末機におけるメモリ容量および回路の規模を大幅に小さくすることができる新規の受信信号フィルタリング装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数のシステムユーザが存在する相互通信を可能にする技術のひとつとして、符号分割多重アクセス(CDMA)変調技術が知られている。他の多重アクセス通信システム技術としては、例えば時分割多重アクセス(TDMA)や周波数分割多重アクセス(FDMA)、あるいは振幅コンパンデッドシングルサイドバンドシステム(ACSSB)方式などの振幅変調などが知られている。しかし、CDMAの拡散符号変調技術はこれら他の多重アクセス通信システム変調技術にはない重要な利点がある。多重アクセス通信システムとしてのCDMA方式は、例えば米国特許4,901,307号、名称「衛星あるいは地上リピータを使用した拡散符号スペクトラム多重アクセス通信システム(SPREAD SPECTRUM MULTIPLE ACCESS COMMUNICATION SYSTEM USING SATELLITE OR TERRESTRIAL REPEATERS)」に開示されていて、その全記載が本明細書中に引用として盛り込まれる。
【0003】
また、特開平11−46088号公報にも関連技術が開示されていて、その全記載が本明細書中に引用として盛り込まれる。
【0004】
このシステムにおいて、受信基地局は、各ユーザターミナルから送信された拡散符号信号(SS信号)を受信し、受信信号のパワーレベルデータを検出することで特定のユーザターミナルを識別する。例えば、WO96−19048には受信信号のパワーレベルデータを検出する回路装置が開示されている。
【0005】
図1は本発明による受信信号フィルタ装置およびその方法が適用される移動体電話システムの一例のブロック図を示すものである。
【0006】
図1に見られるように、端末ユーザは、移動体電話101を用いてそのアンテナ103を介して受信基地局102との間で拡散符号信号を送受信する。受信基地局102は受信信号を増幅する屋外受信増幅器(OA−RA)104を有している。増幅器104は増幅信号を復調して処理する無線基地局送受信装置(BTS)105と結合している。受信信号には音声データや画像データ、動画データ、JPEGデータ、MPEGデータなどが含まれている。これらの信号は符号分割多重アクセス(CDMA)通信技術により送信前に変調され、受信された無線信号は移動体電話101のベースバンド信号プロセッサ(以下に詳述)や受信基地局102の無線基地局装置(BTS)で復調される。
【0007】
一方、パーソナルコンピュータPCに接続している移動体電話201を使用する別のユーザはアンテナ203を介して第2の受信基地局202との間でSS(拡散符号)信号を送受信する。第1の受信基地局102と同様に、第2の受信基地局202は、同一あるいは類似の機能と操作を有する屋外受信増幅器(OA−RA)204および無線基地局装置(BTS)205を有している。
【0008】
第1と第2の無線基地局装置(BTS)105、205は、共にマルチメディア信号処理装置(MPE)と接続する無線ネットワーク制御装置(RNC)108と結合し、無線ネットワーク制御装置108は移動マルチメディア交換システム115に信号を出力する。
【0009】
図2は受信基地局102を示すブロック図である。図2に見られるように、無線基地局装置(BTS)105には、増幅器AMPブロックと、変調無線変復調ブロックMDEが配設されている。増幅器AMPブロックには、送信増幅器部(T−PA)120および送信増幅器監視制御部(AMP−SC)121が設けられている。一方、無線変復調ブロックMDEには、送信増幅器部AMPの送信増幅器(T−PA)120と送信増幅器監視制御部(AMP−SC)121との両方に結合する無線部(TRX)122が設けられている。ベースバンド信号処理部(BB)123は無線部(TRX)122と結合し、有線伝送路インターフェース部(HWY−INT)124はベースバンド信号処理部(BB)123と結合している。有線伝送路インターフェース部(HWY−INF)124の出力信号は有線伝送路を介して、図示しない外部装置に送信される。
【0010】
さらに、図2に見られるように、呼処理制御部(CP−CNT)125は無線部(TRX)122と結合し、保守監視制御部126(SV−CNT)はベースバンド信号処理部(BB)123と接続している。また、有線伝送路インターフェース部(HWY−INF)124と結合している外部インターフェース部(EXT−INF)127は、図示しない外部装置と接続されている。
【0011】
無線部(TRX)122には受信および送信RF信号を増幅しこれらの信号を多重信号に符号分割する低ノイズ増幅器が設けられていても良い。無線部122はまた、直交変調されてRF信号を形成するベースバンド拡散信号を、ディジタルあるいはアナログ信号に変換するA/D変換器の機能を持たせても良い。
【0012】
一方、ベースバンド信号処理部(BB)123は、スペクトラム拡散技術を用いて信号を変調、復調している。さらに、ベースバンド信号処理部123は受信信号を処理しパワーレベルデータを抽出し、この信号を平均化してパワーレベルデータのピーク値を検出している。
【0013】
図3は移動体端末ステーション、即ち携帯電話の概念ブロック図である。
【0014】
図3に見られるように、移動ターミナル局には、アンテナ133を介して信号を送受信する無線部(TRX)130が含まれている。無線部130は、信号を変調/復調するベースバンド信号処理部と結合されており、外部インターフェース(EXT−INF)136は、ベースバンド信号処理部134と結合している。各処理部はすべて制御部(MS−CNT)138により制御されている。移動ターミナル局の無線部(TRX)130、ベースバンド信号処理部(BB)134および外部インターフェース部(EXT−INF)136の機能と動作は、受信基地局102のものと同様であるので、重複を避けるためここではその記載を省略する。
【0015】
図4は、符号分割多重アクセス(CDMA)通信技術によって変調された拡散符号(SS)信号を受信する、従来の受信装置の概念図である。
【0016】
通信が確立されると、ユーザターミナル携帯電話からの信号は初めに受信基地局と同期が取られなければならない。その際、一般的にはパワーレベルデータが用いられる。
【0017】
図4に見られるように、受信装置には、予め直交変調されたID相およびQD相の拡散符号信号を受信して、受信信号を逆拡散し、その逆拡散された信号を、IRDおよびQRD相からなる受信信号としてパワー抽出部へ出力するする複素相関部10が備えられている。
【0018】
パワー抽出部12受信信号に含まれるパワーレベルデータを抽出し、パワーデータPを平均化処理14へ出力する。平均化処理部14はパワー抽出部12からの、受信パワーデータPの平均化処理を実行し、平均パワーデータが平均データとして記憶部16に格納される。さらに、平均化処理部14は記憶部16に格納されたパワーデータを読出し、それを受信パワーデータ信号として入力して、平均化処理部14は新たな平均データを算出する。ピーク検出部18は、平均化処理部14から出力された平均データを入力し、平均データのパワーレベルが最大、すなわちピークになるタイミングを検出する。制御部20は拡散符号信号生成部22が、ピーク検出部18により検出されたピークタイミングにしたがって拡散符号信号を発生させ出力する。このようにして受信信号に含まれる拡散符号信号と同期が図られる。
【0019】
従来の符号分割多重アクセス受信装置には、多数のシステムユーザ、すなわち端末電話機ごとに平均化処理部14と記憶部16の組み合わせを有している。制御部20は、複数の平均化処理部14と記憶部16の組み合わせの中から、要求のあったシステムユーザの平均データを選択する。
【0020】
図5は、図4に見られるパワー抽出部12により抽出されたパワーデータを示すグラフである。一般的に、無線信号伝播路は常に変化しているため、瞬時に得られた受信パワーのデータにはノイズが含まれているため、そのままピーク検出のために使用することはできない。そのため、平均化処理部14は図5に見られるように所定の時間分パワーデータPを取りこみ、その後平均化処理を行って平均データを記憶部16に記憶させる。その後、平均化処理部14は記憶部16の平均データと新たに入力されたパワーデータとから新たな平均データを算出する。
【0021】
図6(1)ないし(4)はパワー抽出部12により得られたパワーデータを示すグラフである。平均化処理部14は所定数分(図6では3シンボル)だけパワー抽出部12からパワーデータを入力する。次に、パワーデータのシンボルはそれぞれのサンプルごとに平均化処理され、3シンボル分の平均パワーデータが算出される。
【0022】
ここで、1シンボル=256チップであり、1チップを4倍オーバーサンプリングした場合1シンボル1024サンプルとなり、1シンボルごとに1024サンプル分のパワーのデータを取り込む。図3においては、パワー抽出部12から得られたパワーのデータから3シンボル分のデータが取り込まれている。平均化はそれぞれのサンプル単位で行われる。平均データが10bitの語長だとすると、3シンボル分のデータを記憶させるためには、1つのユーザに対して3シンボル×10bit×1024サンプル=30720bitの記憶容量が必要になる。また1スロットが10シンボルを有する別な場合においては、ユーザ毎に102400bitのメモリ容量が必要になる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の装置によれば、それぞれのユーザ毎に平均化処理部14と記憶部16の組み合わせが必要となる。したがって、もし非常に多くのシステムユーザが登録されると、そのデータを記憶させるためのメモリ容量は莫大になってしまい、装置やメモリ容量、回路構成の規模の大型化を招いて、結果的に製造コストや利用コストの増大につながってしまう。特に、移動体電話は近年小型化の要求が高まってきているので、メモリ容量自体もより小さなものが要求されている。上述したように、従来の技術では大規模なメモリ容量が必要であり、この記憶素子としてRAMを用いたとしても移動体通信の端末としては致命的に大きい。
【0024】
そこで本発明は上記した従来のシステムおよび装置にかかる問題点を鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、受信符号信号のフィルタリング装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、受信符号信号のフィルタリング装置を有する符号分割多重アクセス通信装置を提供することである。
【0026】
また、本発明の他の目的は、小規模のメモリ容量および回路構成によって、符号分割多重アクセス通信方法により変調された受信信号をフィルタリングする方法を提供することである。
【0027】
さらに、本発明の他の目的は、メモリ容量および回路構成の規模の小型化が可能な、符号分割多重アクセス送信方法によって変調された拡散符号信号を受信する、受信信号フィルタリング装置を有する受信装置を含む無線信号通信システムを提供することである。
【0028】
【課題を解決する手段】
本発明の上記の目的は、受信信号を入力するフィルタ処理装置と、フィルタ処理装置の出力側と結合するデータ符号化装置を有する移動電話システム用の受信信号フィルタリング装置により達成できる。
【0029】
また、上記の目的は、パワーデータを含む受信無線信号を入力し、該受信信号中のパワーデータを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部が抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号を入力して重み付け処理を実行する重み付けフィルタリング処理部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1の比較部と、前記第1の比較部の出力信号を記憶する符号化データ記憶部と、前記符号化データ記憶部のデータを展開するデータ展開部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第2しきい値とを比較する第2比較部と、前記第2比較部の出力信号を入力してパワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部が検出したピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出部に拡散符号を出力する拡散信号生成部、とを有する符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号フィルタリング装置によって達成できる。
【0030】
前記符号化データ記憶部には前記第1比較部の出力信号を格納する複数の小規模記憶部を有してもよい。
【0031】
また、本発明によれば、前記符号化データ記憶部にデータの書き込みおよび読み出しを指定するアドレスを生成するアドレス生成部をさらに有しており、該アドレスは前記第1比較部の出力信号とともに小規模記憶部に記憶され、前記符号化データ記憶部が、前記複数の小規模記憶部のそれぞれの記憶部への書き込み動作を制御する信号を生成する書き込み許可信号生成部と、前記複数の小規模記憶部のそれぞれの記憶部からの読み出し動作を制御する信号を生成する読み出し許可信号生成部と、小規模記憶部のうち偶数番目の記憶部が出力信号のオア処理を行う偶数用オア処理部と、小規模記憶部のうち奇数番目の記憶部が出力信号のオア処理を行う奇数用オア処理部、とを有する構成としても良い。
【0032】
また、前記データ展開部には、前記符号化データ記憶部の前記偶数用オア処理部の出力信号を入力してデータの展開を行う偶数用データ展開部と、前記符号化データ記憶部の前記奇数用オア処理部の出力信号を入力してデータの展開を行う奇数用データ展開部、とが備えられていても良い。
【0033】
一方、前記データ展開部には、前記偶数用展開部の展開データと前記アドレス生成部からのアドレスを記憶する偶数用展開データ記憶部と、前記奇数用展開部の展開データと前記アドレス生成部からのアドレスを記憶する奇数用展開データ記憶部と、前記偶数用展開データ記憶部の出力と、奇数用展開データ記憶部の出力とを入力し、いずれか一方を選択する選択部を有し、該選択部の選択結果が前記重み付けフィルタリング処理部へ出力されるようにしても良い。
【0034】
また、前記重み付けフィルタリング処理部は、前記パワー抽出部の出力信号を係数Kで乗算する第1乗算器と、前記データ展開部の出力信号を係数1−Kで乗算する第2乗算器と、前記第1乗算器と第2乗算器の出力信号を加算する加算器、とを有するよう構成してもよい。
【0035】
また、本発明の上記の目的は、パワーデータを含む受信無線信号を入力するステップと、該受信信号中のパワーデータを抽出するステップと、抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号から重み付けフィルタリング処理を実行するステップと、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1の比較ステップと、前記第1比較ステップでの比較結果を記憶するステップと、前記記憶ステップにおいて記憶されたデータを展開するステップと、前記重み付けフィルタリング処理ステップの結果得られた信号と第2しきい値とを比較するステップと、前記第2比較ステップの結果から受信信号中のパワーデータのピークレベルを検出するステップと、前記ピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出ステップで使用される拡散符号を出力するステップ、とを有する符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号をフィルタリングする方法によっても達成できる。
【0036】
またさらに、本発明の上記の目的は、少なくとも一つの受信基地局と、少なくとも一つの移動体端末と、前記受信基地局と前記移動体端末のうち少なくとも一つが、符号分割多重アクセス受信機の受信データ信号フィルタリング装置を有しており、該受信データ信号フィルタリング装置には、パワーデータを含む受信無線信号を入力し、該受信信号中のパワーデータを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部が抽出したパワーデータとデータ展開部の出力信号を入力して重み付け処理を実行する重み付けフィルタリング処理部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第1しきい値とを比較する第1比較部と、前記第1比較部の出力信号を記憶する符号化データ記憶部と、前記符号化データ記憶部のデータを展開するデータ展開部と、前記重み付けフィルタリング処理部の出力信号と第2のしきい値とを比較する第2比較部と、前記第2比較部の出力信号を入力してパワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部が検出したピークレベルを入力し、それに基づいて前記パワー抽出部に拡散符号を出力する拡散信号生成部、とを有する無線通信システムによっても達成できる。
【0037】
また、本発明の他の形態によれば、受信した拡散符号信号を逆拡散する複素相関部と、複素相関部において逆拡散された受信信号のパワーを抽出するパワー抽出部と、前記パワー抽出部で抽出されたパワーの平均値を算出する平均化処理部と、前記平均化処理部により平均化されたパワーデータを記憶する記憶部と、前記パワーデータのピークレベルを検出するピーク検出部を有することを特徴とする符号分割多重アクセス受信機において、前記平均化処理部の出力のうち第1のしきい値以上のデータを出力する第1の比較部と、前記第1の比較部により出力されたデータを圧縮データとして記憶する圧縮データ記憶部と、圧縮データ記憶部の偶数領域のデータを展開し記憶する偶数用データ展開部と、圧縮用データの奇数領域のデータを展開し記憶する奇数用データ展開部と、前記平均化処理部の出力を第2しきい値と比較し前記ピーク検出部に出力する第2の比較部を有することを特徴とする符号分割多重アクセス受信機を提供する。
前記符号化データ記憶部が、前記第1比較部の出力信号を格納する複数の小規模記憶部を有してもよい。
前記符号多重分割アクセス受信機が、移動体電話システムの送信機または受信機に搭載されていてもよい。
また、本発明の他の形態によれば、受信した拡散変調信号を相関演算し、相関演算した受信信号のパワーを抽出し、そのパワーの平均化処理を行い、平均化処理されたパワーデータを第1のしきい値と比較し、前記第1のしきい値以上のデータのみをアドレスと共に記憶することでデータの圧縮を行い、記憶された第1のしきい値より大きいデータに対応するアドレスと生成したアドレスとを比較し、一致した場合はデータを出力し、一致しない場合は0を出力することでデータの展開を行うことを特徴とする符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法を提供する。
上記の符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法において、前記第1のしきい値より大きいデータとそれに対応するアドレスは、複数の小規模記憶部に分散して記憶されてもよい。
上記の符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮および展開方法において、前記複数の小規模記憶部のうち偶数番目の記憶部に格納されたデータと奇数番目の記憶部に格納されたデータとが別々に展開され、その展開データはそれぞれ別な記憶部に記憶され、前記記憶されていた偶数番目の展開データと奇数番目の展開データとのうちいずれか一方が選択され、その選択されたデータが重み付け平均化処理されてもよい。
本発明の受信信号フィルタリング装置は、移動体電話システムや移動体衛星電話システムに用いられる移動体端末機、すなわち携帯電話や、受信基地局などに適用することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図を参照しながら本発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0039】
本発明の第1実施例を図7ないし図14を参照しながら説明する。この第1実施例では、一例として本発明が移動体電話システムの符号分割多重アクセス受信装置に適用されたものである。図7は本発明の第1実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図、図8(A)、(B)ともに平均データ記憶部を示すブロック図、図9は図7に見られる本発明によるデータ符号化部を示すブロック図、図10は図9に見られるデータ符号化部の動作を表すタイミングチャート、図11は図9に見られる符号化データ記憶部に記憶された符号化データの内容を示すテーブル、図12は図9に見られるデータ解凍部を示すブロック図、図13は図12に見られるデータ解凍部の動作を表すタイミングチャート、図14はデータ解凍部により展開される前の符号化データ記憶部に記憶される符号化データの内容を示すテーブルである。
【0040】
図7に本発明が適用される符号分割多重アクセス受信機を一例として示す。複素相関部30は、直交変調された拡散信号ID相、QD相を受信して逆拡散し、パワー抽出部32に逆拡散信号として出力する。複素相関部30により逆拡散された信号は、パワー抽出部32においてパワーを抽出され、受信信号として平均化処理部34へ出力される。複素相関部30により逆拡散されたIRD相及びQRD相の信号は、複素平面上で回転しているためI相とQ相共にレベルが大きいときもあれば、どちらか一方のレベルのみが大きいときもある。したがって、パワー抽出部32は動作初期段階でI相、Q相を複合し、その信号をパワー抽出処理するようにして、I相、Q相のうち片方の影響が極端に出ないようにする。
【0041】
平均化処理部34はパワー抽出部32からパワーデータ信号Pを入力し、そのパワーデータ信号Pを操作してその平均値を算出する。平均化処理部34は平均化処理の結果平均、データをメモリ領域35の平均データ記憶部36に出力し、平均データ記憶部36は平均化されたパワーデータを記憶する。平均化処理部34は平均データ記憶部36に記憶された平均データを読出し、新たに受信したパワーデータ信号との新たな平均データを算出する。データ符号化部40は、平均化されたパワーデータのうちしきい値算出部39により発生された所定のしきい値よりも低いデータ信号の部分を小規模に符号化し、以下に詳しく述べる方法で符号化データを生成する。符号化データ記憶部38はデータ符号化部40が出力する符号化データを記憶する。平均データ記憶部36および符号化データ記憶部38を備えたメモリ領域35はフリップフロップ回路により構成しても良い。しかし、記憶部36、38を有するメモリ領域35は、ランダムアクセス記憶装置(RAM)により構成してハードウェア回路の規模を小さくすることがより好ましい。
【0042】
しきい値算出部39はパワー抽出部32の出力側と結合しており、そこから平均化処理部34により平均化されたパワーデータを入力する。図7に示すように、しきい値算出部39は、パワー抽出部32から平均化処理部34を介して入力されるパワーデータに基づいて、データ符号化部40の比較部50(図9参照)に出力する第1しきい値およびピーク検出部44に出力する第2しきい値を設定する。第1および第2しきい値は、高層ビルや他の無線波、大気中の塵埃により伝播中の状態の影響を受けた無線受信信号のS/N(信号/ノイズ)比に基づいて適切に制御されることが好ましい。例えば、受信信号のS/N比が高い、すなわちノイズが少ない場合には、しきい値は高く設定され、一方S/N比が低い、すなわち多くのノイズが受信信号に含まれている場合にはしきい値は低く設定される。
【0043】
上述したようにまた図6に示したように、本発明実施例による平均化処理部34はパワーデータ信号Pの平均をとる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。平均化処理の目的はパワーデータ信号P中に含まれているノイズを、ピーク検出の前に低減させるためである。従って、この目的を達成する他の処理によってノイズを低減あるいは除去する方法も本発明に適用することができる。例えば、シンボルの各サンプルにおいて、最大値と最小値を用いてその平均を取ったり、あるいは中間値だけを記憶させておいてその後のピーク検出に用いたりしても良い。
【0044】
一方、7図に示すように、データ展開部42は符号化データ記憶部38に記憶された符号化データを展開し、展開信号を平均データ記憶部36に出力する。ピーク検出部44は平均化処理部34の出力である平均データを入力し、パワーレベルが最大となるタイミングを検出して、タイミング信号を制御部46に出力する。
【0045】
制御部46は、ピーク検出部44により検出されたタイミング信号に基づいて、指示信号を拡散符号信号生成部48に出力する。このように、制御部46から拡散符号信号生成部48への指示信号は、拡散符号信号が発生し出力されるタイミングをあらわしている。さらに制御部46は、データ符号化部40およびデータ展開部42の両方へも、平均パワーデータの符号化処理を実行するタイミングおよび符号化データの展開処理を実行するタイミングを指示する指示信号を出力する。拡散符号信号生成部48は制御部46からのタイミング指示信号に基づいて拡散符号信号を発生し、拡散符号信号を複素相関部30に出力する。
【0046】
図8(A)、(B)は、複数のシステムユーザの平均データを管理する平均データ記憶部36、符号化データ記憶部38、データ符号化部40およびデータ展開部42の制御プロセスを示す図である。図4に見られるように、従来の装置はそれぞれのシステムユーザに対して平均化処理部14と記憶部16の組み合わせが必要であった。しかし、図7、図8(A)および図8(B)に見られるように、本発明の装置では複数のシステムユーザに対して共通に用いられる1つの平均化処理部34と一つの平均データ記憶部36があればよい。
【0047】
図8(A)に見られるように、符号化データ記憶部38には複数のユーザ用の複数の領域が設けられており、特定のユーザ用の符号化データは符号化データ記憶部38の特定の領域に記憶される。しきい値より低い平均パワーデータのサンプルの一部はデータ符号化部40により小規模に符号化され、符号化データとして符号化データ記憶部38内の対応するユーザ領域に記憶される。
【0048】
符号化データ記憶部38に記憶されている符号化データが読み出されるとき、必要な符号化データがデータ展開部42により展開され、展開されたデータは平均データ記憶部36に出力される。例えば、図8に示すように受信装置がユーザ3からの信号を受信した場合、データ展開部42は平均データ記憶部36に記憶されている平均パワーデータの展開処理を行い、符号化データを操作した後に符号化データ記憶部38のユーザ3に対応する領域に格納する。一方、展開処理動作中、データ展開部42は符号化データ記憶部38のユーザ3の領域に記憶されている符号化データを読出してそれを展開し、その展開データを平均データ記憶部36に出力する(図8(B)参照)。それぞれのシステムユーザにおける符号化と展開の処理プロセスは時系列で操作される。ここで、平均データ記憶部36と符号化データ記憶部38はRAMで構成することが好ましい。
【0049】
図9は本発明第1実施例にかかるデータ符号化部40の詳細な構造を示すブロック図、図10は図9に見られるデータ符号化部40の動作を示すタイミングチャートである。
【0050】
図9に見られるように、データ符号化部40には、各サンプリングの平均データ82のパワーレベルがしきい値算出部39により生成されたしきい値THよりも高いか否かを判定してその結果を比較信号86として出力する比較部50と、平均データ記憶部36に記憶された平均データ82を読み出すときに使用されるアドレスである平均データアドレス84を発生する平均データアドレス生成部52と、比較信号86、平均データ82および平均データアドレス84を入力して、しきい値THより高い平均データ82の一部からなる符号化平均データ88を選択して保持するデータ保持部54とが備えられている。データ保持部54はさらにサンプルされた平均データ82がしきい値THよりも高いときの平均データアドレス84の一部を示す符号化平均アドレス90を保持するものである。さらに、データ符号化部40には、しきい値THよりも低い平均データ82の一部を操作して平均値92を算出する符号化平均化部56と、符号化データ記憶部38に記憶される平均データアドレス84の最後のアドレスである最終アドレス93を検出する最終アドレス検出部58と、符号化データ記憶部38が符号化データ100を記憶するときに使用されるアドレスである符号化データアドレス94を生成する符号化データアドレス生成部60と、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したときに平均値92を符号化データ記憶部38に符号化データ100として平均値92を出力する選択部62を備えている。
【0051】
比較部50は平均データ記憶部36から出力された平均データ82と、しきい値算出部39からの所定のしきい値THとを比較し、その平均データ82のサンプルがしきい値THより大きいか否かをあらわす比較信号86を出力する。平均データアドレス生成部52は平均データ記憶部36から平均データ82を読み出す際に用いられるアドレスとしての平均データアドレス84を発生し、その信号をデータ保持部54と平均データ記憶部36に出力する。データ保持部54は、まず比較部50から受信した比較信号86に基づいて、平均データ記憶部36から入力された平均データ82の中から、しきい値THより高いデータを選択する。データ保持部54は選択したデータを符号化平均データ88として選択部62に出力する。さらに、データ保持部54は比較信号86に基づいてデータがしきい値THより大きい時に平均データ82の平均データアドレス84を取り出し、その選択されたデータを符号化平均アドレス90として選択部62に出力する。符号化平均データ88および符号化平均アドレス90は符号化データ100を構成する。
【0052】
符号化平均化部56は平均データ記憶部36から入力した、しきい値THよりも小さいデータから平均データ82を計算し、比較部50から入力した比較信号86に基づいて平均化処理を実行する。符号化平均化部56は単一信号からなる平均値92を選択部62に出力する。最終アドレス検出部58は平均データアドレス生成部52から入力した平均データアドレス84の最後のアドレスである最終アドレス93を検出し、その検出された最終アドレス93を選択部62に出力する。
【0053】
例えば、平均データ82が1シンボル分の平均処理を行う場合、1シンボルは256チップからなり、1チップをオーバーサンプリングした場合に1024サンプルとなり、1シンボルごとに1024サンプル分のパワーデータの平均値が取られる。したがって、最終アドレス検出部58は1024番目の平均アドレス検出を行う。
【0054】
符号化データアドレス生成部60は比較部50から比較信号86を入力し、比較信号86に基づいて符号化データ100を符号化データ記憶部38に記憶させるときのアドレスを表す符号化データアドレス94を生成し、符号化データアドレス94を符号化データ記憶部38に出力する。選択部62はデータ保持部54から符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を入力し、符号化平均化部56から平均値92を入力し、さらに最終アドレス検出部58から最終アドレス93を入力する。その後選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出しないときには符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を符号化データ100として符号化データ記憶部38に出力し、一方最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したときには符号化データ100として平均値92を出力する。
【0055】
図10はデータ符号化部40のデータ処理プロセスを示すタイミングチャートである。比較部50は、平均データ82がしきい値THより大きいときにレベル1の比較信号86、すなわちアドレスが06h、07h、08h、12h、13hの平均データアドレス84を出力する。一方、比較部50は、平均データ82がしきい値THより小さいときにレベル0の比較信号86、すなわちアドレスが00h〜05h、09h〜11hおよび14h〜17hの平均データアドレス84を出力する。比較信号86がレベル1のとき、データ保持部54は、平均データ82からしきい値THよりも大きい平均データである4Dh、7Ah、58h、65hおよび56hを選択し、選択したデータを符号化平均データ88として選択部62へ出力する。さらに、比較信号86が1のとき、すなわち平均データ82がしきい値THよりも大きいとき、データ保持部54は平均データアドレス84の中から06h、07h、08h、12hおよび13hのアドレスを選択し、選択したアドレスと符号化平均アドレス90として選択部62へ出力する。
【0056】
符号化平均化部56は、比較信号86がレベル0のとき平均データ82の平均値を算出する。詳述すると、図10に示すように、比較信号86がレベル0のときすなわち平均データアドレス84が00h〜05h、09h〜11h、および14h〜17hのとき、符号化平均化部56は平均データ82の平均値を算出する。一方、符号化平均化部56は、比較信号86がレベル1のときには平均化処理を停止する。符号化平均化部56は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出するまでしきい値THよりも小さい平均データ82の平均化処理を継続する。最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出すると、符号化平均化部56は、しきい値THよりも小さい全平均データ82の平均値である平均値92を選択部62へ出力する。
【0057】
比較信号86がレベル1のとき、例えば平均データアドレス84が図10の06hのとき、符号化データアドレス生成部60は、06hのひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス05hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hに1を加え、更新された符号化データアドレス94としてアドレス01hを出力する。このように、比較信号86がレベル1のとき、符号化データアドレス生成部60は符号化データアドレス94として現行の符号化データアドレス94に1を加えて得られるアドレスを出力する。一方、比較信号86がレベル0のとき、例えば平均データアドレス84が図10の05hのとき、符号化データアドレス生成部60は、ひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス04hに対応する符号化データアドレス94のアドレスと同じアドレス00hを発生する。言い換えると、比較信号86がレベル0のとき、符号化データアドレス生成部60はひとつ前のアドレスと同じ符号化データアドレス94のアドレスを発生する。
【0058】
選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出するまで符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を符号化データ記憶部38へ出力し続ける。詳しく述べると、図10の(a)部に示したように、符号化平均データ88の第1のグループ、すなわち4Dh、7Ahおよび58hと、それらと対応する符号化平均アドレス90のグループである06h、07hおよび08hがセット(a)として出力される。一方、図10の(b)部に示したように、符号化平均データ88の次のグループである65h、56hとそれに対応する符号化平均アドレス90のグループである12h、13がセット(b)として出力される。選択部62は、最終アドレス検出部58が最終アドレス93を検出したとき、図10の(c)部に示した平均値92を符号化データ記憶部38に出力する。
【0059】
しきい値THは受信信号のS/N比により変動する。つまり、もし受信信号が良好なS/N比を有していた場合、つまりノイズが非常に小さい場合、しきい値THは通常よりも高く調節しても良い。逆に、受信信号のS/N比が悪い場合、つまりノイズが多いときには、しきい値THは低く設定すべきである。本発明システムは常に受信信号のS/N比を監視し、しきい値THを適切に制御できるようにしてある。
【0060】
図11は符号化データ記憶部38に格納された符号化データの内容を示すテーブルである。図11に見られるように、選択部62から出力された符号化平均データ88の第1グループである図10中のセット(a)と、符号化平均アドレス90のグループであるセット(b)は、符号化データ記憶部38で符号化データアドレス94の特定のアドレスに対応するように格納されている。さらに、図11のテーブルの左側列に見られるように、選択部62から受信したセット(c)の平均値92は、符号化データアドレス94のアドレス00hの位置に格納されている。
【0061】
図12はデータ展開部42の構造を示すブロック図、および図13はデータ展開部42の動作を示すタイミングチャートである。
【0062】
データ展開部42は平均データ記憶部36が平均データ82を格納するときのアドレスである平均データアドレス84を発生する平均データアドレス生成部64と、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するかどうかをあらわす比較信号86を発生する比較部66と、符号化データ記憶部38が符号化データ100を記憶するときのアドレスである符号化データアドレス94を発生する符号化データアドレス生成部72と、平均値92を保持する平均値保持部68と、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するときには平均データ82として符号化平均データ88を出力し、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないときに平均データ82として平均値92を出力する選択部70とを備えている。
【0063】
平均データアドレス生成部64は、平均データ記憶部36が平均データ82を記憶するときのアドレスである平均データアドレス84を発生し、そのアドレスを比較部66と平均データ記憶部36に出力する。比較部66は、符号化データ記憶部38からの符号化平均アドレス90と平均データアドレス生成部64からの平均データアドレス84を入力する。比較部66は、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するかを判定するための信号として作用する比較信号86を符号化データアドレス生成部72と選択部70へ出力する。
【0064】
符号化データアドレス生成部72は比較部66から比較信号86を入力し、符号化データ記憶部38が符号化データ100を格納するときのアドレスを表す符号化データアドレス94を発生する。符号化データアドレス94は符号化データ記憶部38に入力される。平均値保持部68は符号化データ記憶部38から入力した平均値92を保持し、平均値を選択部70へ出力する。選択部70は比較部66から比較信号86を入力し、平均値保持部68から平均値92を入力し、さらに符号化データ記憶部38から符号化平均データ88と符号化平均アドレス90を入力する。選択部70は、比較信号86に従って符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致したときに符号化平均データ88を平均データ82として平均データ記憶部36へ出力する。一方、選択部70は符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないときには平均値92を平均データ82として平均データ記憶部36に出力する。
【0065】
図13はデータ展開部42のデータ操作を示すタイミングチャートである。符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致するとき、すなわち平均データアドレス84が図13の06h、07h、08h、12h、13hのとき、比較部66はレベル1の比較信号を出力する。一方、符号化平均アドレス90が平均データアドレス84と一致しないとき、すなわち平均データアドレス84が図13の00h〜05h、09h〜11hおよび14h〜17hのとき、比較部66はレベル0の比較信号86を出力する。
【0066】
比較信号86がレベル1のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の06hのとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの平均データアドレス84のアドレス05hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hに1を加え、符号化データアドレス94の新たなアドレス01hを発生する。従って、比較信号86がレベル1のとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの符号化データアドレス94に1アドレスを追加した新たなアドレスを発生する。一方、比較信号86がレベル0のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の05hのとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスである平均データアドレス84のアドレス04hに対応する符号化データアドレス94のアドレス00hと同じアドレス00hを符号化データアドレス94として発生する。このように、比較信号86がレベル0のとき、符号化データアドレス生成部72はひとつ前のアドレスの符号化データアドレス94と同じアドレスを符号化データアドレス94として生成する。
【0067】
平均値保持部68は符号化データ記憶部38から、図13で(c)部と表示された平均値92を入力し、その値を選択部70へ出力する。比較信号86がレベル1のとき、たとえば平均データアドレス84が図13の06h、07h、08hのとき、選択部70は符号化データ記憶部38から符号化平均データ88のセット(a)のグループ、つまり4Dh、7Ah、58hと符号化平均アドレス90のグループ、つまり06h、07h、08hを入力し、そしてこれらのデータグループを平均データ記憶部36へ出力する。同様に、平均データアドレス84が12h、13hのとき、選択部70は符号化データ記憶部38から符号化平均データ88のデータセット(b)のグループ、つまり65h、56hと符号化平均アドレス90のグループ、つまり12h、13hを入力し、これらのデータグループを平均データ記憶部36へ出力する。一方、比較信号86がレベル0のとき、たとえば、平均データアドレス84が図13の00h〜05hのとき、選択部70は図13の(c)部に示した平均値保持部68からの平均値92を平均データ記憶部36へ出力する。
【0068】
図14は符号化データ記憶部38に記憶された、データ展開部42による展開前の符号化データ100の内容を示すテーブルである。図14に示すように、符号化平均データ88と符号化平均アドレス90のデータグループセット(a)、(b)は、各符号化データアドレス94に対応して符号化データ記憶部38内に格納されている。また、選択部70から出力される(c)で示した平均値92は、符号化データアドレス94のアドレス00hの位置に格納されている。
【0069】
図15は本発明の第2実施例による符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。図15に示した装置の構造は基本的には図7に示した第1実施例にかかるものと同じであるが、パワー抽出部132、I相、Q相平均化処理部134a,134bの構造と動作手順が異なっている。
【0070】
第2実施例に拠れば、複素相関部30により逆拡散されたIRD相とQRD相の受信信号はI相平均化処理部134aとQ相平均化処理部134bでそれぞれ平均化処理が行われる。I相平均化処理部134aとQ相平均化処理部134bは、それぞれの平均化されたI相とQ相の信号をパワー抽出部132にI相平均データおよびQ相平均データとして出力する。パワー抽出部132はこれらの信号を入力し、信号のパワーレベルデータを抽出する。パワー抽出部132はパワーデータPをピーク検出部44へ出力し、ピーク検出部44はパワー抽出部132から出力されたパワーデータPのパワーレベルが最大となるタイミングを検出する。
【0071】
制御部46は、ピーク検出部44によって検出されたピークタイミング信号に基づいて、拡散符号信号生成部48が拡散符号信号を生成し出力するときのタイミングを表す指示信号を拡散符号信号生成部48へ出力する。さらに、制御部46は指示信号をデータ符号化部40とデータ展開部42に出力し、データ符号化部40が平均データの符号化処理を開始し、データ展開部42が符号化データの展開処理を開始する。拡散符号信号生成部48は制御部46からの指示信号に示されたタイミングで拡散符号信号を発生させ、その拡散符号信号を複素相関部30に出力する。
【0072】
図7に示した本発明の第1実施例に拠れば、パワー抽出部32はノイズを含んだI相およびQ相の受信信号を受け取ってパワーレベルを抽出し、その後パワーデータは平均化処理される。したがって、平均データのノイズ成分が拡大される可能性がある。しかし、図15に示した第2実施例においては、I相、Q相それぞれの受信信号は、パワーレベルを抽出するためパワー抽出部32に入力される前に、別々に平均化処理がされる。第2実施例のように構成することで、受信信号のノイズ成分を極力低減させることができる。さらに、第2実施例の動作によれば、平均化されたI相とQ相の平均データはそれぞれパワー抽出部32によって別々に抽出されるため、パワーデータのピークを正確に検出することができる。
【0073】
本発明の第2実施例では、符号化平均化部56は図10に示すように、平均化された(フィルタリングされた)データのしきい値THよりも小さい一部に関して平均化処理が実行される。しかし、本発明は特にこれに限定されず、その他の操作であってもよい。たとえば、第1の変形例では、平均化パワーデータのうちしきい値以下のすべてのサンプルの平均をとる代わりに、しきい値THを超えるサンプルのひとつ前のアドレスにおける平均データのサンプルのみをそのまま用いて、符号化データ記憶部38に記憶される符号化データ100の一部とすることも可能である。このように、図10のアドレス05hでの平均データのサンプルのみを選択し、しきい値以下のサンプルの平均をとるという処理は行われない。
【0074】
第2の変形例では、しきい値以下の平均データの中で最大と最小のサンプルの2つの平均をとる。この場合、たとえば図10中のアドレス0Ahの最小平均データとアドレス11hの最大の平均データのみが選択され、この2つの平均データの平均値を取る処理が行われる。
【0075】
また第3の実施例では、しきい値THよりも大きい平均データの1アドレス後でしきい値THよりも小さい平均データのみが抽出される。図では、アドレス05h、09h、11h、14hの平均データが選択され、その4つのデータの平均値が算出される。
【0076】
これら変形例における回路構成は上述した本発明第2実施例のものと同じで良い。その場合、データ符号化部40の操作、特にその符号化平均化部56の操作を変更してそれぞれの変形例で説明した各計算をするようプログラムを組めば良い。これらの計算自体は特に複雑なものではないため、当業者であればどのようにしてそのプログラムを設計して使用するか理解することは可能である。したがって、ここではその説明は省略する。
【0077】
いずれにしても、上記したような変形例では、平均化処理部34による平均化処理あるいはフィルタリング処理にかかる負荷が非常に軽減され、同期かを得る速度が速くなるため好ましいものである。
【0078】
図16は本発明第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置の要部を示したブロック図/回路図である。この第3実施例の図において、上記した第2実施例と同じかあるいは類似する部材については同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
【0079】
第3実施例において、拡散符号信号生成部48、複素相関部30、パワー抽出部32およびピーク検出部44の構造と機能は上記した第1、第2実施例と同じである。
【0080】
図16に示すように、第3実施例による装置には、パワー抽出部232の出力側に結合する重み付け平均化部240と、重み付け平均化部240の出力信号および第1しきい値を入力する第1比較部213と、アドレス生成部221と、第1比較部213とアドレス生成部221に接続する符号化データ記憶部241と、符号化データ記憶部241と結合する偶数データ展開ブロック242と、符号化データ記憶部241と結合する奇数データ展開ブロック243と、偶数データ展開ブロック242と奇数データ展開ブロック243のそれぞれの出力側と接続する選択部224と、重み付け平均化部240の出力信号と第2しきい値を入力する第2比較部230とを備えている。
【0081】
重み付け平均化部240には、第1乗算器210、第2乗算器211、加算器212が備えられている。重み付け平均化部240はパワー抽出部232により生成されたパワーデータPを入力する。入力されたパワーデータPは第1乗算器210によって係数Kで乗算され、一方選択部224の出力信号、すなわち偶数データ展開ブロック242および奇数データ展開ブロック243の出力信号のうちのひとつは第2乗算器211によって係数1−Kで乗算される。加算器212は第1乗算器210と第2乗算器211の両方の出力信号を加算して、重み付けされた平均信号を第1比較部213へ出力する。
【0082】
第1比較部213は重み付け平均化部240から出力された重み付け平均信号と第1のしきい値発生装置(図示せず)により生成される第1しきい値を入力して両者を比較し、重み付けされた平均信号のうち第1しきい値よりも大きい部分を出力する。
【0083】
アドレス生成部221はアドレス信号を偶数データ展開ブロック242の展開偶数データ記憶部222と奇数データ展開ブロック243の展開奇数データ記憶部223の双方に出力して、アドレス生成部221から入力したアドレスを有する展開偶数データ記憶部222、展開奇数データ記憶部223内に記憶されたデータを読み出す。さらに、符号化データ記憶部241の小規模記憶部215はアドレス生成部221からのアドレス信号を入力し記憶する。ここでアドレス生成部221により生成されるアドレス信号は対象となるシンボルのタイミングと同期する。
【0084】
小規模記憶部215は第1比較部213の出力信号と、アドレス生成部221により発生され第1比較部213の出力信号に対応するアドレス信号とを入力する。小規模記憶部215は第1比較部213の出力信号のうち第1しきい値よりも大きい部分を、第1比較部213の出力信号に対応するアドレス信号とともに保持する。
【0085】
符号化データ記憶部241は第1比較部213の出力信号とアドレス生成部221により生成されるアドレス信号を入力し、重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分のみを、記憶される重み付け平均データに対応するアドレス信号とともに記憶する。そして、符号化データ記憶部241は記憶されているデータを、そのデータが記憶されるタイミングからずらして出力する。
【0086】
偶数データ展開ブロック242は、符号化データ記憶部241が出力する重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分とそれに対応するアドレス信号とを入力し、本来のデータの大きさに、ほぼ同等に複合された信号を出力する。同様に、奇数データ展開ブロック243は、符号化データ記憶部241から出力される重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分とそれに対応するアドレス信号とを入力し、本来のデータの大きさの展開信号を出力する。
【0087】
第2比較部230は重み付け平均化部240により出力される重み付け平均データと第2しきい値発生装置(図示せず)により生成される第2しきい値を入力し、両者を比較して、重み付け平均データのうち第2しきい値よりも大きい部分を出力する。
【0088】
ピーク検出部44はこれらの出力信号、すなわち第2しきい値よりも大きい重み付け平均データの部分を入力し、そのピーク値を検出する。
【0089】
制御部232は重み付け平均データのピーク値を入力してそれを監視し、その拡散符号信号の種類と位相をあらわす指示信号を拡散符号信号生成部48に出力する。
【0090】
一方、図16に見られるように、符号化データ記憶部241には、データを小規模記憶部215に記憶させることを可能にするライトイネーブル信号を生成する書き込み許可(Write EN)信号生成部214が備えられている。イネーブル信号がHIGHのとき、データは小規模記憶部215に記憶され、逆にイネーブル信号がLOWのときには記憶されない。小規模記憶部215は、書き込み許可(Write EN)信号生成部214により生成されるライトイネーブル信号に基づいてアドレス生成部221により生成されるアドレス信号と第1比較部213の出力信号を格納する。小規模記憶部215は展開偶数データ記憶部222や展開奇数データ記憶部223に比べ非常に小規模なもので設計することができる。
【0091】
読み出し許可(Read EN)信号生成部216は、小規模記憶部215に記憶されているデータを読み出すときに用いられるリードイネーブル信号を発生する。リードイネーブル信号がHIGHのとき、小規模記憶部215に記憶されているデータは読み出され、逆にLOWのときには読み出し許可(Read EN)信号生成部216は”0”レベルの信号を出力して、読出し操作は行われない。
【0092】
さらに、図16に示したように、符号化データ記憶部241は、小規模記憶部215の偶数用の領域から信号を入力する偶数オア回路217を有している。偶数オア回路217は信号のオア操作を実行してその結果を偶数データ展開ブロック242の偶数用データ展開部219に出力する。この操作の中で、読み出し動作が行われるとき以外は、小規模記憶部215は出力信号は”0”を出力するので、偶数オア回路217の出力信号は読み出し状態の小規模記憶部215の出力信号がそのまま出力されることになる。
【0093】
上記した偶数オア回路217と同様に、符号化データ記憶部241の奇数オア回路218は小規模記憶部215の奇数領域からの信号を入力し、オア操作を実行してその結果を奇数データ展開ブロック243の奇数用データ展開部220に出力する。ここで、読み出し動作が行われるとき以外は、小規模記憶部215は出力信号は”0”を出力するので、奇数オア回路218の出力信号は読み出し状態の小規模記憶部215の出力信号がそのまま出力されることになる。
【0094】
図16に見られるように、偶数データ展開ブロック242の偶数用データ展開部219は符号化データ記憶部241の偶数オア回路217の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力する。偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に記憶されているデータを展開し、展開された信号を展開偶数データ記憶部222に出力する。展開偶数データ記憶部222は、受け取った小規模記憶部215の偶数領域の展開データを記憶する。展開偶数データ記憶部222は偶数用データ展開部219の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力して、偶数用データ展開部219の出力信号をそのアドレス信号により指定されたアドレス上に記憶する。さらに、偶数用データ展開部219はアドレス生成部221からのアドレス信号も入力し、そのアドレス信号によって指定されたアドレス上に記憶されているデータを読み出しそれを出力する。
【0095】
同様に、奇数データ展開ブロック243の奇数用データ展開部220は、符号化データ記憶部241の奇数オア回路218の出力信号とアドレス生成部221からのアドレス信号を入力する。奇数用データ展開部220は小規模記憶部215に記憶されているデータを展開して、展開されたデータを展開奇数データ記憶部223へ出力する。そして展開奇数データ記憶部223は、小規模記憶部215の奇数領域に記憶されていたデータの展開データを記憶する。展開奇数データ記憶部223は奇数用データ展開部220の出力信号とアドレス生成部221のアドレス信号を入力し、奇数用データ展開部220の出力信号をそのアドレス信号が指定するアドレス上に記憶する。さらに、奇数用データ展開部220はアドレス生成部221により生成されたアドレス信号も入力し、そのアドレス信号が指定するアドレス上に記憶されているデータを読み出してそれを出力する。
【0096】
偶数用データ展開部219、奇数用データ展開部220、展開偶数データ記憶部222および展開奇数データ記憶部223はRAMによって構成されることが好ましいが、特にこれに限定はされない。
【0097】
以下に図17に示したタイミングチャートを参照しながらデータの符号化処理について説明する。
【0098】
(1)図17に見られるように、シンボル(a)が次のシンボルに代わったとき(T−1→T)、対応するアドレス信号(b)は000hに設定される。そのアドレス上では重み付け平均データ(c)は025hである。ここで、025hの重み付け平均データは第1しきい値030hよりも小さいため、この重み付け平均データは小規模記憶部215には格納されない。
(2)次のアドレス信号、すなわち001hにおいて、このアドレス上の重み付け平均データは032hであり、これは第1しきい値030hよりも大きい。従って、032hの重み付け平均データとそれに対応する001hのアドレス信号は小規模記憶部215内のアドレス000hに格納される。
(3)次のアドレス信号である002hでは、重み付け平均データは02Chでありこれは第1しきい値030hよりも小さい。よって重み付け平均データは小規模記憶部215には記憶されない。
(4)次のアドレス信号003hでは、重み付け平均データは0ABhでありこれは第1しきい値030hよりも大きい。従って0ABhの重み付け平均データとそれに対応する003hのアドレス信号は小規模記憶部215のアドレス001hに記憶される。
(5)次のアドレス信号004hでの重み付け平均データは125hであり、これは第1しきい値030hよりも大きい。従って125hの重み付け平均データとそれに対応する004hのアドレス信号が小規模記憶部215のアドレス002hに格納される。
(6)...(以下省略)
【0099】
上述したように、小規模記憶部215には、重み付け平均データのうち第1しきい値よりも大きい部分のみとそれに対応するアドレス信号だけが格納される。従って、記憶部のメモリ容量を格段に小さくすることが可能となる。
【0100】
本発明の第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置のデータ展開動作について、図16および図18(A)、(B)を参照しながら説明する。
【0101】
図18(A)は本発明の第3実施例によるデータ展開動作を示すテーブルであり、図18(B)はそのタイミングチャートである。
【0102】
データ展開処理は、図16に見られるアドレス生成部221、符号化データ記憶部241および偶数データ展開ブロック242、奇数データ展開ブロック243により実行される。
【0103】
ここで、今小規模記憶部215は図18(A)に示したテーブル内のデータを記憶すると想定する。読み出し許可(Read EN)信号生成部216により生成されるイネーブル信号がLOWのとき、小規模記憶部215はそのイネーブル信号に基づいて”0”の信号を出力する。一方、イネーブル信号がHIGHのときには、小規模記憶部215は図18(B)に示すように重み付け平均データ(b)とそれに対応するアドレス信号(a)を出力する。偶数オア回路217と奇数オア回路218の両方が小規模記憶部215の出力信号を入力し、それぞれでオア操作が実行される。
【0104】
読み出し許可(Read EN)信号生成部216が出力するイネーブル信号のひとつずつが小規模記憶部215の一つの領域と対応付けられている。第3実施例においては、小規模記憶部215は10個の領域を持っているので、10の異なるイネーブル信号が用意される。ここで、偶数番目の小規模記憶部用のイネーブル信号の5本すべてが同時にHIGHになることがないように、また奇数番目の小規模記憶部用のイネーブル信号の5本すべてが同時にHIGHになることがないように、制御されている。よって、偶数オア回路217に入力される信号は、1本だけがアドレス信号と重み付け平均データを入力し、他の4本は“0”を入力する。よって、偶数オア回路217が出力する信号は、偶数番目のイネーブル信号がHIGHの小規模記憶部215が出力するアドレス信号とその重み付け平均データである。同様に、奇数オア回路218に入力される信号は、1本だけがアドレス信号と重み付け平均データを入力し、他の4本は“0”を入力する。よって、奇数オア回路218が出力する信号は、奇数番目のイネーブル信号がHIGHの小規模記憶部215が出力するアドレス信号とその重み付け平均データである。
【0105】
アドレス生成部221は図18(B)の(3)に示したアドレス信号を出力する。アドレス信号(3)のタイミングはシンボル(2)のタイミングに同期している。詳述すると、シンボル(2)が次のシンボルに変わるときのアドレス信号は000hであり、これは3FFhまでインクリメントし、また、シンボルが変化したと同時に000hにクリアする。
【0106】
偶数用データ展開部219は偶数オア回路217の出力信号(1)とアドレス生成部221が出力するアドレス信号(3)を入力し、展開処理を実行する。具体的には、偶数用データ展開部219は偶数オア回路217の出力信号のアドレス部分とアドレス生成部221から入力したアドレス信号とを比較する。これらのアドレスが一致しないとき、偶数用データ展開部219は“0”の信号を出力し、一方両アドレス信号が一致した場合には偶数オア回路217の出力のうち重み付け平均データ部分を出力する。そして、小規模記憶部215が読み出すアドレスを一つアップさせる。
【0107】
展開偶数データ記憶部222は図18(B)に示した偶数用データ展開部219の出力信号(4)とアドレス生成部221のアドレス信号とを入力し、偶数用データ展開部219の出力信号を、入力したアドレス信号が指定するアドレスに記憶させる。また、展開偶数データ記憶部222からはアドレス生成部221が出力したアドレス信号が指定するアドレスのデータが読み出される。
【0108】
以下に、図18(B)を参照しながらデータ展開処理動作を詳細に説明する。
【0109】
(1)図18(B)に見られるように、シンボルがTに変わったとき、アドレス生成部221により生成された(3)のアドレス信号000hは、偶数オア回路217の出力信号の一部である(1)(a)のアドレス信号001hと比較される。図18(B)に見られるように、両アドレスは一致していないので、偶数用データ展開部219は0h信号を出力する。
(2)次に、アドレス生成部221が出力する信号001hと、偶数オア回路217が出力する信号の一部であるアドレス信号001hとが比較される。これらのアドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219の出力信号として、偶数オア回路217が出力する信号の一部であるアドレス001hに対応する(1)(b)の重み付け平均データ032hを出力する。また、偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に、アドレス001hで保持しているデータを読み出すよう指示信号を出力する。
(3)次に、小規模記憶部215に記憶されているアドレス001hのデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号002hが偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス003hと比較される。この場合には一致していないので、偶数用データ展開部219は0h信号を出力する。
(4)アドレス生成部221が出力するパート(3)におけるアドレス信号003hが偶数オア回路217の出力信号の一部である(1)(a)のアドレス003hと比較される。両アドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219は、小規模記憶部215により出力されたアドレス003hに対応する(1)(b)の重み付け平均データ0ABhを出力する。続けて偶数用データ展開部219は小規模記憶部215に指示信号を出力して、アドレス002hで記憶されたデータを出力する。
(5)次に、小規模記憶部215中のアドレス002hで格納されているデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号004hが、偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス004hと比較される。両アドレスは一致するので、偶数用データ展開部219は小規模記憶部215により出力されたアドレス004hに対応する(1)(b)での重み付け平均データ125hを出力する。続けて、偶数用データ展開部219は指示信号を小規模記憶部215に出力してアドレス003hに記憶されているデータを出力させる。
(6)小規模記憶部215のアドレス003h番地に記憶されているデータが偶数オア回路217に出力される。そして、アドレス生成部221の出力であるアドレス信号005hが偶数オア回路217の出力信号の一部であるアドレス005hと比較される。これらのアドレスは一致しているので、偶数用データ展開部219は、小規模記憶部215により出力されるアドレス005hに対応する(1)(b)での重み付け平均データ09Dhを出力する。さらに、偶数用データ展開部219は指示信号を小規模記憶部215に出力してアドレス004hに格納されているデータを出力させる。
(7)...(以下省略)
【0110】
上記したように、小規模記憶部215に記憶されている符号化データをもともとあった大きさに展開することができる。
【0111】
奇数用データ展開部220と展開奇数データ記憶部223の動作は偶数用データ展開部219と展開偶数データ記憶部222の動作と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0112】
選択部224は展開偶数データ記憶部222の出力信号と展開奇数データ記憶部223の出力信号を入力し、これらの出力信号の一つを選択する。
【0113】
次に、本発明第3実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置の回路動作について図16ないし図19を参照しながら説明する。
【0114】
図19は本発明第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の動作を示すタイミングチャートである。以下にスロットの変わり目における動作手順を順を追って説明する。
【0115】
(1)初めに、初期ステップとして、あらかじめスロット0のシンボル8において、小規模記憶部215の領域#0に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219において展開しておく。
(2)次に、0スロットのシンボル9において、予め小規模記憶部215の領域#1に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220にて展開しておく。
(3)続いて、スロット1のシンボル0において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#0のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均処理が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#0に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#2に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
(4)次に、スロット1のシンボル1において、予め小規模記憶部215の領域#1のデータを展開しておいた奇数用データ展開部220からの出力信号と、パワー抽出部32が出力するパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#1に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#3に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220により展開される。
(5)続いて、スロット1のシンボル2において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#2のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#2に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#4に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
(6)次に、スロット1のシンボル4において、予め小規模記憶部215の領域#3のデータを展開しておいた奇数用データ展開部220からの出力信号と、パワー抽出部32が出力するパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均動作が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#3に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#5に記憶されている符号化データが奇数用データ展開部220により展開される。
(7)続いて、スロット1のシンボル4において、あらかじめ小規模記憶部215の領域#4のデータを展開しておいた偶数用データ展開部219が出力する出力信号と、パワー抽出部32の出力信号であるパワーデータPとについて、重み付け平均化部240により重み付け平均処理が実行される。そして、第1しきい値よりも大きい重み付け平均データとそれに対応するアドレス信号とが小規模記憶部215の領域#4に記憶される。さらに同時に、小規模記憶部215の領域番号#6に記憶されている符号化データが偶数用データ展開部219により展開される。
...(以下省略)
【0116】
従来の装置においては、記憶部は10シンボル、すなわち102400ビットのメモリ容量を必要としていた。しかし、本発明による回路とその動作を用によれば、小規模記憶部215の一つの領域は640ビットのメモリ領域である場合、6400ビット(640ビット×10シンボル分)のメモリ領域で十分である。一方、偶数記憶部と奇数記憶部はそれぞれ1シンボル分、すなわち10240ビット×2=20480ビットが必要となる。よって、本発明回路によれば、記憶素子は6400に20480を足して26880ビットとなり、従来の回路と比較すると、大幅に記憶素子を小さくすることが可能となる。
【0117】
上記では本発明の実施例をいくつかの例にとって説明した。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、外にもさまざまな変形例や改善例が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0118】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、符号分割多重アクセス装置のメモリ容量と回路構成を小さくすることができる。また、データを符号化するために必要なメモリの容量を大幅に節約することができる。
【0119】
さらに、本発明によれば、記憶部には第1しきい値よりも大きいデータとその対応アドレス信号だけを記憶しておくだけで良い。従って、メモリ容量を小さくすることが可能となる。
【0120】
またさらに、本発明によれば、符号データ記憶部には符号化された小さな容量のデータで記憶し、その後その符号化データを後に展開することで下もとの大きさのデータに戻すことが可能である。従って、ここでもメモリ容量の小規模化に貢献することができ、その結果としてデータを記憶させるための回路構成ひいては受信装置自体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される移動体電話システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に見られる無線基地局を示すブロック図である。
【図3】移動体端末、すなわち携帯電話に盛り込まれる回路の概念を示すブロック図である。
【図4】符号分割多重アクセス通信システムに用いられる従来の受信装置の概念を示すブロック図である。
【図5】図4に見られるパワー抽出部により抽出されたパワーデータを示すグラフである。
【図6】(1)ないし(4)は、抽出されたパワーデータと平均化されたパワーデータを示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施例にかかる符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。
【図8】(A)、(B)ともに平均データ記憶部を示すブロック図である。
【図9】図7に見られる本発明によるデータ符号化部を示すブロック図である。
【図10】図9に見られるデータ符号化部の動作を表すタイミングチャートである。
【図11】図9に見られる符号化データ記憶部に記憶された符号化データの内容を示すテーブルである。
【図12】図9に見られるデータ解凍部を示すブロック図である。
【図13】図12に見られるデータ解凍部の動作を表すタイミングチャートである。
【図14】データ解凍部により展開される前の符号化データ記憶部に記憶される符号化データの内容を示すテーブルである。
【図15】本発明の第2実施例による符号分割多重アクセス受信装置を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の要部を示す回路ブロック図である。
【図17】本発明第3実施例によるデータ符号化動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】(A)は本発明の第3実施例による展開動作を示すテーブル、(B)はそのタイミングチャートである。
【図19】本発明第3実施例による符号分割多重アクセス受信装置の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
P…パワーデータ
210…第1乗算器
211…第2乗算器
212…加算器
213…第1比較部
214…書き込み許可(Write EN)信号生成部
215…小規模記憶部
216…読み出し許可(Read EN)信号生成部
218…奇数オア回路
219…偶数用データ展開部
220…奇数用データ展開部
221…アドレス生成部
222…展開偶数データ記憶部
223…展開奇数データ記憶部
224…選択部
230…第2比較部
232…パワー抽出部
240…重み付け平均化部
241…符号化データ記憶部
242…偶数データ展開ブロック
243…奇数データ展開ブロック
Claims (3)
- 受信した拡散変調信号を相関演算し、相関演算した受信信号のパワーデータを複数シンボルの時間分入力して、各シンボル期間のパワーデータをシンボル期間内のサンプルごとに平均化処理を行って平均パワーデータを算出し、サンプルごとの平均パワーデータを平均データ記憶部に記憶し、平均化処理された平均パワーデータをサンプルごとに第1のしきい値と比較し、前記第1のしきい値より大きいデータのみをアドレスと共に複数のユーザ用の複数の領域のうち送信元のユーザに対応する領域に記憶し、前記第1のしきい値より小さいデータについては平均値を当該領域中の単一のアドレスに記憶することでデータの圧縮を行うことを特徴とする符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮方法。
- 請求項1に記載の符号分割多重アクセス受信信号のデータ圧縮方法により圧縮されたデータの展開を行う符号分割多重アクセス受信信号のデータ展開方法であって、
当該ユーザに対応する領域に記憶された第1のしきい値より大きいデータに対応するアドレスと生成したアドレスとを比較し、一致した場合はデータを出力し、一致しない場合は0を出力することでデータの展開を行って平均データ記憶部に格納することを特徴とする符号分割多重アクセス受信信号のデータ展開方法。 - 受信した拡散変調信号を相関演算し、相関演算した受信信号のパワーデータを複数シンボルの時間分入力して、各シンボル期間のパワーデータをシンボル期間内のサンプルごとに平均化処理を行って平均パワーデータを算出し、サンプルごとの平均パワーデータを平均データ記憶部に記憶し、平均化処理された平均パワーデータをサンプルごとに第1のしきい値と比較し、前記第1のしきい値より大きいデータのみをアドレスと共に複数のユーザ用の複数の領域のうち送信元のユーザに対応する領域に記憶し、前記第1のしきい値より小さいデータについては平均値を当該領域中の単一のアドレスに記憶したデータの展開を行う符号分割多重アクセス受信信号のデータ展開方法であって、
当該ユーザに対応する領域に記憶された第1のしきい値より大きいデータに対応するアドレスと生成したアドレスとを比較し、一致した場合はデータを出力し、一致しない場合は前記平均値を出力することでデータの展開を行って平均データ記憶部に格納することを特徴とする符号分割多重アクセス受信信号のデータ展開方法。
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