JP3544270B2 - 水溶液の凍結方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、発酵、化学工業、製薬、廃水処理、排水処理、汚水の浄化、海水の淡水化等の分野に適用される水溶液の凍結方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
冷凍処理により水溶液中の容質を除去する、あるいは濃縮する方法は、食品工業におけるジュース、ワイン、ビール等の液状食品や飼料の濃縮、発酵、廃水中の汚染物質の除去、海水や塩水の淡水化等に広く利用されている。
【0003】
これは、水溶液を凍結させ、その中の水分を氷の結晶として分離することにより、水溶液から水を分離する方法である。
かかる方法は、水溶液中から水分を氷結晶として除去することから、気液間の物質移動が無く、香りの成分のように揮発し易い成分を保持したまま脱水することができる。
【0004】
また、かかる方法は操作が低温で行われるため、熱に対して不安定な水溶液や雑菌に汚染され易い成分を含む水溶液から水分を除去する方法に好適であるとともに、水の凝固潜熱が蒸発潜熱の1/7であることから、蒸発による方法よりも省エネルギとなる。
さらに、生成された氷結晶はこれを融解させる際に発生する潜熱を利用することにより、冷熱を得ることができるという利点もある。
【0005】
しかしながら、前記のような凍結による水分の分離方法にあっては、水溶液を凍結させて生成した氷結晶の表面には水溶液が付着するため、氷結晶を濃縮された水溶液から分離する際に溶質が該氷結晶に同伴されることにより、溶質の回収率及び氷融液の清澄度が低減するという問題点を抱えている。
【0006】
かかる問題点を解決するには、前記溶質の付着が氷結晶の比表面積の大きさに比例して多くなるため、比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させることが要件となる。
【0007】
前記要件に対処する手段としては、従来より、晶析槽において微細な氷を生成させた後、直ちに熟成槽に導き、この氷をオストワルドのライプニング効果を利用して、直径1mm程度の大粒径の氷結晶に成長させる方法が提供されている。しかしながら、この方法にあってはスタートアップ時間が長く、構成が複雑な装置を必要とし、また装置の制御管理が容易でなく、このため処理コストが高くなるという問題点がある。
【0008】
さらに、前記大粒径の氷結晶を得る他の方法として、水溶液の凍結開始時に種氷結晶を5重量%以上添加することによって、生成した氷結晶を凝集させ、直径2mm以上の大きな氷結晶を生成させる方法が提供されている。
【0009】
しかしながら、前記大粒径の氷結晶を晶析槽内に滞留せしめる方法では、槽内の氷の割合(濃縮率の逆数)を0.4以上に高めることは困難であるので、2倍を越える高い濃度にまで濃縮することはできない。このために、高い濃度にまで濃縮するためには、槽を多段に配置し、濃縮液を各段で2倍弱に濃縮し、全体として高い濃縮率得る必要がある。そのために、装置が複雑になり、制御管理が容易でなくなる。
【0010】
さらに、前記大粒径の氷結晶を利用する冷凍濃縮方法では、水溶液に大量の固形物が含まれる場合は、氷粒子間に封入され、これを氷結晶間から取り除きたい場合は、それを実施することは容易でない。このために、得られた氷結晶の清澄度を低下させる。
【0011】
かかる問題を解決する手段として、凍結濃縮装置内に大きな面積を持った冷却板を配置し、被濃縮液を冷却板上部より自然落下させ、あるいは、ポンプ駆動により冷却板上を強制的に流動せしめ、冷却板上に氷結晶を生成させる方法が提案されている。該方法においては、氷結晶の成長に伴って、水溶液の占める容積が急減するために、原理的には、1段での高い濃縮が可能である。また、固形物を含む水溶液については、固形物を氷間に封入されることなく、溶液を凍結濃縮することが可能である。
【0012】
しかしながら、これまでに開発された冷却板表面に氷結晶を生成せしめる装置では、高い生成速度で氷結晶を冷却板上に生成せしめるためには、冷却板温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させた場合は、清澄な氷結晶が得られないという問題点を抱えている。
【0013】
上述の事情に鑑み、発明の目的は、冷却板の温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させても、冷却板表面に清澄な氷結晶を生成せしめる方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に冷却された冷媒が流入出する冷却体の温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させても、冷却体表面に比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させる水溶液の凍結方法であって、
前記冷却体表面に予め氷結晶を凍結させておいた後、若しくは前記水溶液に氷核タンパクを混入し、前記冷却体上の温度が水溶液の凝固点よりも1℃以下に低下しないように前記水溶液の温度を凝固点以上にして冷却体に氷結晶生成域(タンク)内に導入するとともに、前記冷却体の近傍の氷結晶生成域内の水溶液の過冷却度を水溶液の凝固点温度より0.5℃以下にして、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴とする。
【0015】
一般的に、水溶液の凝固点とは、水溶液と氷結晶が熱力学的に共存出来る温度であり、多くの場合、凝固点では氷結晶の生成は開始されず、水溶液の凝固点以下の過冷却状態において生成が開始され、氷結晶の形状は、氷結晶の成長速度と核発生速度により決定され、これらは、水溶液の過冷却度に比例するので、氷結晶の生成開始時に大きな過冷却度がつけられると、冷却体表面には、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度を低下させる。
【0016】
本発明は、水溶液を冷却体(冷却板)によって凍結させて氷結晶を生成させる際に、前記水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させている。
従って、冷却体表面に氷結晶の生成開始時の冷却体近傍の水溶液過冷却度を小さく保つことができ、冷却体表面に微細な氷結晶が生成されることがなく、その微細な氷結晶により氷結晶の表面積が増大することによる該表面積に水溶液中の溶質の付着が回避され、氷結晶生成時の氷結晶構造を強固にせしめ、氷の清澄度を高めるとともに、水溶液中の溶質の回収率を向上することができる。
【0017】
また、前記冷却体表面に予め氷結晶を凍結させておき、前記水溶液から氷結晶を生成するように構成することにより、水溶液を冷却体で冷却しても予め前記冷却体表面に存在する前記氷結晶により、冷却体が温度を下げても前記氷結晶の表面は冷却体ほど下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記氷結晶の表面に微細な氷結晶が生成されない。
【0018】
これは、実験例(1)の結果から、生成した氷結晶中には、COD濃度が原水である水溶液中のCOD濃度の1/10以下しか取り込まれていないことにより理解される。
【0019】
また、水溶液の凝固点以上の温度の前記水溶液から氷結晶を生成するように構成することにより、冷却体の温度が凝固点よりも大きく下がっても前記水溶液は冷却体ほど下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生成されない。これは、実験例(3)の結果から、生成した氷結晶中には、COD濃度が原水である水溶液中のCOD濃度の1/10以下しか取り込まれていないことにより理解される。
【0020】
また、氷核タンパクを混入した水溶液から氷結晶を生成するように構成することにより、冷却体が凝固点よりも大きく温度を下げても前記水溶液は冷却体ほど下がらず、よって、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生成されない。
これは、実験例(2)の結果から、3.5%のNaCl水溶液に氷核タンパクを混入して生成した氷結晶中には、NaCl濃度が0.37%であったことにより理解される。
【0021】
また、前記冷却体の近傍の水溶液の過冷却度を抑制するように構成したり、
また、前記冷却体の近傍を、前記冷却体表面より5cm以内の領域に形成したり、また、前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より0.2℃以内に構成することも本発明の有効な手段である。
【0022】
本発明は、前記冷却体の近傍の水溶液の過冷却度を抑制するように構成しているので、冷却体による水溶液の冷却温度を凝固点より大きく下げることがなく、それにより、過冷却度が必要以上に大きくなり、冷却体表面に、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度を低下させることがない。
【0023】
そして、前記水溶液の過冷却度を抑制する冷却体の近傍を、前記冷却体表面より5cm以内の領域に形成することが望ましく、また、前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より0.5℃以上であると過冷却度が必要以上に大きくなり、冷却体表面に、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度を低下させるが、液体の凝固点温度より0,3℃以内が望ましく、0.2℃以内がさらに望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1は本発明に係る水溶液の凍結方法の実施のための凍結装置の構成図を示す。
同図において、冷凍濃縮装置1は、冷媒(エチレングリコール)を冷却するブラインクーラー2A,2Bと、内部に冷却された冷媒が流入出する広い表面を有する複数の板状体を備えた冷却板(冷却体)3と、内部に流入する水溶液を前記冷却板3により冷凍するタンク4を有している。
【0026】
ブラインクーラー2A,2Bで冷却された冷媒は図示しないモータにより送液管を介して冷却板3内を循環可能に構成されるとともに、図示しない熱電対により冷媒の温度が測定され図示しないレコーダに記録可能に構成されている。
【0027】
また、タンク4はモータ13、14に連結したスクリュー羽根により、送液管8を介して冷却板3により冷却される水溶液を撹拌するとともに、循環可能に構成され、さらに、循環される水溶液の温度が前記冷却板表面から5cmの位置に配置された図示しない熱電対により測定され図示しないレコーダに記録可能に構成されている。
【0028】
水溶液の循環経路には流量計12、弁16及び弁17とが配置されている。
流量計12は送液管8内の水溶液の流量を検出するものであり、例えば、氷結晶を排除するようにフィルタの後に配置されるとともに、送液管8内の断面の一部分を通過する水溶液の流量を検出するように配置され、氷結晶の増大により水溶液の容量が低下し、その結果、水溶液の流量が低下し、該流量計の値が一定値を示すことで、氷結晶の分離完了を知ることができる。
この氷結晶の分離完了により、弁17を閉鎖し、モータ13、14を停止することにより氷結晶を含んだ水溶液の循環は停止する。
【0029】
弁16は、後述する実験用の人工排水を注入する注入口である。
また、弁17の入り口側に送液管9が接続され、該送液管9には弁18、19、及び20を介して、それぞれ氷室5、原水室6、及び濃縮水室7が接続されている。
そして、氷室5は図示しない扉が設けられ、氷結晶の取り出しが可能であり、また、弁21及び弁23を介して容器11に水溶液を排出可能であるとともに、モータ15を駆動して該モータ15に連結しているスクリューにより送液管9を介して原水室6及び濃縮水室7に氷室5内の水溶液を排出可能に構成されている。
【0030】
また、原水室6は、弁22及び弁23を介して容器11に水溶液を排出可能であり、濃縮水室7は弁24を介して容器11に水溶液を排出可能に構成されている。
【0031】
次に、本実施例による水溶液の氷結晶分離動作を説明する。
弁18及び弁20を閉鎖し、弁19及び弁17を開成し、モータ24を正転駆動すると、原水室6から原水が吸い出され、該原水は送液管9から弁17を介して送液管8内に送出される。
モータ13及び14が駆動すると、原水はタンク4内において、冷却板3により冷却され、氷結晶が生成され、原水は氷結晶を含んでタンク4及び送液管8を循環する。
【0032】
原水の循環は流量計12により観察され、氷結晶の粒径が増大するにつれて流量計の原水流量は減少し、その減少量が徐々に少なくなって、最低値で安定した時に弁17が閉鎖され、氷結晶を含んだ原水は送液管9に流入する。
【0033】
弁19及び20が閉鎖され、弁18が開成され、モータ15が逆転駆動すると、氷結晶を含む原水は弁18を介して氷室5に流入する。
氷結晶を含む原水の氷室5への流入が終了した段階で、弁19、24、及び弁18が閉鎖され、弁21及び弁20が開成されていると、モータ15の逆転駆動により、弁21を介して氷室5内の濃縮された原水が濃縮水として流出して、送液管10から送液管9を通って、弁20を介して濃縮水室7に該濃縮水が流入する。
【0034】
このような操作を繰り返して行うことにより、原水室6内の原水はタンク4内で氷結晶が生成され、氷室5内に原水から分離した氷結晶が集積され、濃縮水室7内に濃縮水が集積される。
【0035】
一般的に、水溶液の凝固点とは、水溶液と氷結晶が熱力学的に共存出来る温度であり、多くの場合、凝固点では氷結晶の生成は開始されず、水溶液の凝固点以下の過冷却状態において生成が開始される。
そして、氷結晶の形状は、氷結晶の成長速度と核発生速度により決定され、これらは、水溶液の過冷却度に比例するので、氷結晶の生成開始時に大きな過冷却度がつけられると、冷却体表面には、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度を低下させる。
【0036】
通常、前記冷凍濃縮装置1のような装置によって原水より氷結晶の分離を行うと、氷結晶生成開始時には概ね0.5℃以上の過冷却度がつく。これがために、冷却体表面には、微細な氷結晶が生成され、最終的な氷の清澄度を低下させる。よって、冷却板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下した場合でも、原水には少なくとも0.5℃未満の過冷却度におさめる必要があるものと考えられる。
【0037】
すなわち、冷却板の温度が水の凝固点から0.1〜0.3℃より低く、氷結晶が生成される温度より下回って直接に原水に伝達されないようにする必要があるものと考えられる。
そのためには、冷却板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下した場合でも、なんらかの媒体を介して原水に熱伝達が行えば、その媒体が熱を吸収して冷却板の温度が直接原水に伝達されることはない。
また、冷却板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下しないように、原水を加熱して原水の温度を高く設定し、冷却板により原水の温度を下げ、原水を凍結する。
【0038】
この観点に立つと、以下の三つの方法が考えられる。
(1)予め、冷却板表面に氷結晶を生成させておく。
(2)水溶液に氷核タンパクを混入して、冷却板の表面に直接原水が接触する率を少なくする。
(3)水の凝固点以上の温度の原水を導入する。
【0039】
次に、上記(1),(2),(3)の方法を説明する。
[上記(1)の方法]
図1において、弁16から、蒸留水を導入し、冷却板3の表面に氷結晶を生成させ冷却板3の表面に付着させておく。そして、弁25から残りの蒸留水を排出する。その後に、原水室6からの原水によって、氷結晶を分離する。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べると、後述する実験例(1)に示すように、原水中の不純物含有量に比べて1/10以下の不純物含有量しか見いだされず、良好な氷結晶分離を行うことができる。
【0040】
このように、前記冷却体表面に予め氷結晶を凍結させておいた後、前記水溶液から氷結晶を生成するように構成することにより、水溶液を冷却体で冷却しても予め前記冷却体表面に存在する前記氷結晶により、冷却体が温度を下げても前記氷結晶の表面は冷却体ほど下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記氷結晶の表面に微細な氷結晶が生成されることがない。
【0041】
[上記(2)の方法]
図1において、3.5%のNaCl水溶液を原水とし、該原水に氷核タンパクを混入し、タンク4内において、氷結晶の分離を行った。その結果、氷室5内には氷結晶と氷核タンパクが集積され、濃縮水室には原水が濃縮して集積された。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍してNaClの含有率を調べると、後述する実験例(2)に示すように、0.37%しか見いだされず、良好な氷結晶分離を行うことができる。
【0042】
このように、氷核タンパクを混入した水溶液から氷結晶を生成するように構成すると、冷却体が温度を下げても前記水溶液は冷却体ほど下がらず、よって、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度が抑制されて、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生成されることがない。
【0043】
[上記(3)の方法]
図1において、冷却板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下しないように、即ち、冷却板上の温度が−1℃以下にならないように、冷却板表面から5cmの位置に−0.2℃に成るように原水を加熱し、タンク4内において、氷結晶の分離を行った。その結果、氷室5内には氷結晶が集積され、濃縮水室には原水が濃縮して集積された。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べると、後述する実験例(3)に示すように、原水中の不純物含有量に比べて1/10以下の不純物含有量しか見いだされず、良好な氷結晶分離を行うことができる。
【0044】
このように、水溶液の凝固点以上の温度に加熱された前記水溶液から氷結晶を生成するように構成することにより、冷却体が温度を下げても前記水溶液は冷却体ほど下がらず、よって、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度が抑制されて、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生成されない、良好な氷結晶分離を行うことができる。
【0045】
以上詳述したように、本実施例は、水溶液を冷却体によって凍結させて、氷結晶を生成させる水溶液の凍結方法において、前記水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴としているので、水溶液を冷却体によって凍結させて氷結晶を生成させる際に、前記水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることができる。
【0046】
従って、冷却体表面に氷結晶の生成開始時の冷却体近傍の水溶液過冷却度を小さく保つことができ、冷却体表面に微細な氷結晶が生成されることがなく、その微細な氷結晶により氷結晶の表面積が増大して、該表面積に水溶液中の溶質の付着が回避され、氷結晶生成時の氷結晶構造を強固にせしめ、氷の清澄度を高めるとともに、水溶液中の溶質の回収率を向上することができる。
【0047】
また、本実施例は、前記冷却体の近傍を、前記冷却体表面より5cm以内の領域に形成することが望ましく、また、前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より0.5℃以上であると過冷却度が必要以上に大きくなり、冷却体表面に、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度を低下させるが、液体の凝固点温度より0.3℃以内が望ましく、0.2℃以内がさらに望ましい。
【0048】
【実施例】
次に、前記(1)、(2)、(3)の実験例を説明する。
実験例(1)
冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内ファンの撹拌速度を1000rpm、原水を(a)有機成分濃度:2000ppm中390ppmのCODを含む、(b)有機成分濃度:5000ppm中1020ppmのCODを含む、(c)有機成分濃度:10000ppm中3440ppmのCODを含む、の3種類の人工排水を調合して用意した。
【0049】
予め図1の弁16から蒸留水を導入して、冷却板3の表面に氷結晶を生成させ冷却板3の表面に付着させておく。そして、弁25から残りの蒸留水を排出する。その後に、前記3種類の人工排水を用いて、氷結晶を分離した。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べると、上記(a)の人工排水においては、氷結晶中には29ppmのCODが、上記(b)の人工排水においては、氷結晶中には23ppmのCODが、上記(c)の人工排水においては、氷結晶中には37ppmのCODが見いだされた。
【0050】
この結果から、原水中の不純物含有量に比べて、生成した氷中には1/10以下のCODしか取り込まれないことがわかる。これは、冷却板表面にすでに氷結晶が存在するために、冷却体が温度を下げても前記氷結晶の表面は冷却体ほど下がらず、よって、氷結晶生成時に過冷却度が抑制されて、氷表面に微細な氷結晶が生成されなかったためと考えられる。
【0051】
実験例(2)
冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内ファンの撹拌速度を1000rpm、原水に3.5%NaCl水溶液を用い、氷核タンパクを混入して人工排水を用意した。
【0052】
図1において、3.5%のNaCl水溶液を原水とし、該原水に氷核タンパクを混入した人工排水を、タンク4内において、氷結晶の分離を行った。その結果、氷室5内には氷結晶と氷核タンパクが集積され、濃縮水室には原水が濃縮して集積された。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍してNaClの濃度を調べると、0.37%であった。
【0053】
この結果から、氷核タンパクの添加により冷却体が温度を下げても前記人工排水は冷却体ほど下がらず、よって、初期過冷却度がつかず、冷却板表面に氷結晶が生成されなかったためと考える。
【0054】
実験例(3)
冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内ファンの撹拌速度を1000rpm、原水を(a)有機成分濃度:2000ppm中390ppmのCODを含む、(b)有機成分濃度:5000ppm中1020ppmのCODを含む、(c)有機成分濃度:10000ppm中3440ppmのCODを含む、の3種類の人工排水を調合して用意した。
【0055】
図1において、冷却板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下しないように、即ち、冷却板上の温度が−1℃以下にならないように、冷却板表面から5cmの位置に−0.2℃に成るように前記人工排水を加熱し、タンク4内において、氷結晶の分離を行った。その結果、氷室5内には氷結晶が集積され、濃縮水室には人工排水が濃縮して集積された。
この方法にて、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べると、上記(a)の人工排水においては、氷結晶中には11ppmのCODが、上記(b)の人工排水においては、氷結晶中には14ppmのCODが、上記(c)の人工排水においては、氷結晶中には38ppmのCODが見いだされた。
【0056】
この結果から、原水中の不純物含有量に比べて、生成した氷中には1/10以下のCODしか取り込まれないことがわかる。これは、水溶液の凝固点以上の温度に加熱された前記人工排水を冷却するために、冷却体が温度を下げても前記人工排水は冷却体ほど下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生成されなかったためと考えられる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、冷却板の温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させても、冷却板表面に清澄な氷結晶を生成さしめる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水溶液の凍結方法の実施のための凍結装置の構成図である。
【符号の説明】
1 冷凍濃縮装置
2 ブレインクーラー(2A,2B)
3 冷却板(冷却体)
4 タンク
5 氷室
6 原水室
7 濃縮水室
8、9、10 送液管
11 容器
12 流量計
13、14、15 モータ
16〜25 弁

Claims (3)

  1. 内部に冷却された冷媒が流入出する冷却体近傍の氷結晶生成域内に水溶液を導入して、冷却体表面に比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させる水溶液の凍結方法であって、
    前記冷却体表面に予め氷結晶を凍結させておいた後、前記冷却体上の温度が水溶液の凝固点よりも1℃以下に低下しないように前記水溶液の温度を凝固点以上にして冷却体に氷結晶生成域内に導入するとともに、前記冷却体の近傍の氷結晶生成域内の水溶液の過冷却度を水溶液の凝固点温度より0.5℃以下にして、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴とする水溶液の凍結方法。
  2. 内部に冷却された冷媒が流入出する冷却体近傍の氷結晶生成域内に水溶液を導入して、冷却体表面に比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させる水溶液の凍結方法であって、
    前記水溶液に氷核タンパクを混入し、前記冷却体上の温度が前記水溶液の凝固点よりも1℃以下に低下しないように前記水溶液の温度を凝固点以上にして冷却体に氷結晶生成域内に導入するとともに、前記冷却体の近傍の氷結晶生成域内の水溶液の過冷却度を水溶液の凝固点温度より0.5℃以下にして、水溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴とする水溶液の凍結方法。
  3. 前記水溶液が氷結晶生成域内より循環経路を介して循環するように構成するとともに、前記循環経路の水溶液の流量を検出する流量計を氷結晶を排除するフィルタの後に配置し、該流量計の水溶液の流量検知により、氷結晶の分離完了を知ることができることを特徴とする請求項1乃至2いずれか1記載の水溶液の凍結方法。
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