JP4208975B2 - 溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、発酵、化学工業、製薬、廃水処理、汚水の浄化、海水の淡水化等の分野に適用される凍結処理による溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法とその装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
冷凍処理により水溶液中の容質を除去あるいは濃縮する方法は、食品工業におけるジュース、ワイン、ビール等の液状食品や飼料の濃縮、発酵、廃水中の汚染物質の除去、海水や塩水の淡水化等に広く利用されている。
【0003】
これは、水溶液を凍結させ、その中の水分を氷の結晶として分離することにより、水溶液から水を分離する方法である。
かかる方法は、水溶液中から水分を氷結晶として除去することから、気液間の物質移動が無く、香りの成分のように揮発し易い成分を保持したまま脱水することができる。
【0004】
また、かかる方法は操作が低温で行われるため、熱に対して不安定な水溶液や雑菌に汚染され易い成分を含む水溶液から水分を除去する方法に好適であるとともに、水の凝固潜熱が蒸発潜熱の1/7であることから、蒸発による方法よりも省エネルギとなる。さらに、生成された氷結晶はこれを融解させる際に発生する潜熱を利用することにより、冷熱を得ることができるという利点もある。
【0005】
しかしながら前記のような凍結による水分の分離方法にあっては、水溶液を凍結させて生成した氷結晶の表面には溶液が付着するため、氷結晶を濃縮された溶液から分離する際に溶質が該氷結晶に同伴されることにより、溶質の回収率及び氷融液の清澄度が低減するという問題点を抱えている。
【0006】
かかる問題点を解決するには、前記溶質の付着が氷結晶の比表面積の大きさに比例して多くなるため、比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させることが要件となる。
【0007】
前記要件に対処する手段としては、従来より、晶析槽において微細な氷を生成させた後、直ちに熟成槽に導き、この氷をオストワルドのライプニング効果を利用して直径1mm程度の大粒径の氷結晶に成長させる方法が提供されている。しかしながら、この方法にあってはスタートアップ時間が長く、構成が複雑な装置を必要とし、また装置の制御管理が容易でなく、このため処理コストが高くなるという問題点がある。
【0008】
さらに、前記大粒径の氷結晶を得る他の方法として、水溶液の凍結開始時に種氷結晶を5重量%以上添加することによって、生成した氷結晶を凝集させ、直径2mm以上の大きな氷結晶を生成させる方法が提供されている。
【0009】
しかしながら、かかる方法にあっては、凍結開始時に5重量%以上の氷結晶を必要とすることから、このための格別な装置及び工数を要するため、これも処理コストが高くなるという問題点がある。またこれに加えて、高濃度の溶液では微小な氷が同時に生成され、これに溶質が付着するという問題点も抱えている。
【0010】
一方、前記凍結による水分の分離方法においては、上記清澄度の向上とともに、氷と濃縮溶液の分離を効率的に行うことが重要である。
これに対処するため、溶液が同伴される氷結晶をカラム下部に供給して氷のみを押し上げ、上部から洗浄液(水)を流下せしめて、上昇してくる氷結晶と対向流を形成し氷の表面を洗浄する手法が提供されている。
【0011】
しかしながら、かかる手法にあっては生成される氷が微細であることから、氷の表面を洗浄するための洗浄液(水)が大量に必要であり(氷流入量の約半分の洗浄液(水)を必要とすることもある)、このため濃縮効率が低下するという問題点を抱えている。
【0012】
発明の第一の目的は、多量の大粒径種結晶を必要とすることなく溶液の所要濃度までの濃縮を可能として、濃縮効率が向上された溶液の濃縮方法を提供することにある。
【0013】
また本発明の第二の目的は、氷粒を洗浄する際において洗浄液(水)を多量に使用することなく氷結晶の清澄度を上昇せしめ、濃縮コストを低減せしめることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
被濃縮溶液を晶析槽に導入し、該溶液中の水分を凍結させて氷結晶を生成することにより前記溶液を濃縮する溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法において、
低濃度の被濃縮液を第1晶析槽に連続的に供給し、該被濃縮液中の水分を凍結せしめて氷結晶を生成しこれを分離し、第1段の濃縮がされた被濃縮液とするステップと、
前記第1段の濃縮がなされた被濃縮液を前記第1晶析槽と同様な水分の氷結晶化による濃縮がなされる第2晶析槽を経由して、高濃度に濃縮された被濃縮液が第3晶析槽に送られるステップと、
高濃度溶液が収容された第3の晶析槽内に種氷結晶を連続的に投入し、この種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を凝集させるステップと、
前記種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を生成させてなる氷結晶を、前記第3晶析槽より溶液の流れの上流側に位置する前記第1晶析槽に移送し、種氷結晶の周りに位置する微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶を成長させるとともに、前記第1若しくは第2の晶析槽において水分の凝固により生成される微粒径の氷結晶が生成されるステップと、
この氷結晶の一部を熱媒体と熱交換せしめて冷熱を回収するとともに、冷熱の回収により微粒化された氷結晶は再び種氷結晶として前記第3晶析槽に送られ、溶液中の水分の凍結に供されるステップと、
前記第1晶析槽中で生成された大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶とを洗浄容器に収容し、該洗浄容器上部より前記氷結晶を加熱して前記小粒径の氷結晶の全部又は一部を融解せしめ、この融解液により前記大粒径の氷結晶を洗浄するステップと、
前記大粒径の氷結晶を氷蓄熱槽にて熱媒体との熱交換によって粒径が小さくなった氷結晶は再び種結晶として前記第3晶析槽に投入されるステップを有することを特徴とする溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法にある。
【0015】
本発明は、溶液中の水分を凍結させて氷結晶を生成する晶析槽内に種氷結晶を連続的に投入し、この種氷結晶に水分を吸収させ、あるいは生成された小粒径の氷結晶を該種氷結晶に凝集させて、氷結晶を成長させる。
そしてこの成長した氷結晶を上流側即ち低濃度の溶液側に移送し、溶液中の微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶とし、この氷結晶の一部を熱媒体と熱交換せしめて冷熱を回収する。冷熱の回収により微粒化された氷結晶は再び種氷結晶として晶析槽に送られ、凍結に供される。
【0016】
これにより、従来のもののような多量の大粒径種結晶を必要とせず、小粒径の種氷結晶を成長せしめて大粒径の氷結晶とし、この氷結晶から冷熱を回収して小粒径化し、この小粒径の氷結晶を再び種氷結晶として使用することができ濃縮効率の向上が得られる。
【0017】
また、前記種氷結晶の粒径は、好ましくは0.5mmないし2mmとする。
【0018】
また本発明は、被濃縮溶液を晶析槽に導入し、該溶液中の水分を凍結させて氷結晶を生成することにより前記溶液を濃縮する溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄装置において、
低濃度の被濃縮液を連続的に供給し、該被濃縮液中の水分を凍結せしめて氷結晶を生成しこれを分離し、第1段の濃縮がおこなわれる第1晶析槽と、
前記第1段の濃縮がなされた被濃縮液を前記第1晶析槽と同様な水分の氷結晶化による濃縮がなされる第2晶析槽を経由して、高濃度に濃縮された被濃縮液が送られ収容される第3晶析槽とを具え、
前記第3晶析槽内に種氷結晶を連続的に投入し、この種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を生成させた氷結晶群を、前記第3晶析槽より溶液の流れの上流側に位置して低濃度溶液が収容された第1晶析槽内に移送させて、該第1晶析槽内で種氷結晶の周りに位置する微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶を成長させるとともに、前記第1若しくは第2の晶析槽において水分の凝固により生成される微粒径の氷結晶を生成せしめるとともに、該第1晶析槽の上部に、氷結晶を洗浄するための氷洗浄塔の下部を接続し、前記第1晶析槽で生成された大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶とを前記洗浄塔に収容し、該洗浄塔上部より前記氷結晶を加熱して前記小粒径の氷結晶の全部又は一部を融解せしめ、この融解液により前記大粒径の氷結晶を洗浄し、
前記大粒径の氷結晶を氷蓄熱槽にて熱媒体との熱交換によって粒径が小さくなった氷結晶は再び種結晶として前記第3晶析槽に投入することを特徴とする溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄装置にある。
【0019】
前記発明によれば、大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶とを容器内に収容して加熱し、小粒径の氷結晶を融解させる。この融解液が大粒径の氷結晶に触れながらこれを洗浄する。従って従来の手段のように氷結晶の洗浄用としての多量の水が不要となり、低コストでの濃縮が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は本発明に係る溶液の濃縮方法の実施のための濃縮装置の構成図を示す。 図1において、1は氷結晶を洗浄するための氷洗浄塔、2は該氷洗浄塔1に設けられた氷惹起用ピストンである。
3は被濃縮液が原料供給ポンプ6により供給される第1晶析槽であり、該第1晶析槽3の上部が前記氷洗浄塔1の下部即ち氷惹起用ピストン2のストロークの下限部位に接続されている。
【0022】
この装置は、被濃縮液を5倍に濃縮するため3槽の晶析槽を備えている。これは1槽の晶析槽で生成可能な氷の濃度の上限は40%であることから、1槽では1.7倍の濃縮しかできないことによる。
【0023】
4は上記3槽の晶析槽のうちの第2晶析槽、5は第3晶析槽であり、該第3晶析槽5の上部と第2晶析槽4の上部との間、及び第2晶析槽4の上部と前記第1晶析槽3の上部との間には、氷輸送用スロープ11、10がそれぞれ設けられている。
【0024】
また、前記第1晶析槽3の底部と第2晶析槽4の底部との間、及び第2晶析槽4の底部と第3晶析槽5の底部との間には、両槽間を接続する送液管12及び13が夫々設けられ、各送液管12、13には送液ポンプ7及び8が夫々設けられている。
14は前記第3晶析槽5から最終的に5倍に濃縮された濃縮液を取り出すための送出管、9は該濃縮液を使用先に送出するための送液ポンプである。
【0025】
次に前記装置による溶液の濃縮動作について説明する。
被濃縮液は原料供給ポンプ6により第1晶析槽3に連続的に供給される。該第1晶析槽3においては、被濃縮液中の水分を凍結せしめて氷結晶を生成しこれを分離し、約1.7倍に濃縮された濃縮液とする。
【0026】
かかる第1段濃縮がなされた被濃縮液は送液ポンプ7にて送液管12を第2晶析槽4に送られ、ここで前記第1晶析槽3と同様な水分の氷結晶化による濃縮がなされ、さらに約1.7倍に濃縮された濃縮液とする。
【0027】
前記第2晶析槽4にて初期導入時から約2.9倍に濃縮された被濃縮液は送液ポンプ8により送液管13を第3晶析槽5に送られる。該第3晶析槽5においては種氷結晶を連続的に投入し、この種結晶に溶液中の水分を吸収し、あるいは生成された小粒径の氷結晶を該種氷結晶に凝集させて、大粒径化された氷結晶とする。
この種氷結晶の大きさは0.5mmないし2mmが好適である。
【0028】
前記第3晶析槽5にて成長した大粒径の種結晶は、氷輸送用スロープ10を通って前記溶液の流れとは逆方向に輸送されて第1晶析槽3に送られ(第2晶析槽4にも送られる)、該第1晶析槽3にて溶液中の水分を吸収して大粒径に成長した氷結晶となる。
【0029】
即ち、氷結晶の粒径が2倍になれば体積は8倍になるので、種氷結晶のみの成長でも水溶液の濃縮は十分可能であるが、この実施形態においては上記のように、高濃度溶液が収容された第3晶析槽5内に投入した種氷結晶の周りに微細な氷結晶が生成され、この氷結晶を低濃度溶液が収容された第1晶析槽3内に移送し投入することにより、該氷結晶に微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶を生成せしめる。
【0030】
従って、第3晶析槽5に投入され周りに氷粒が生成された種氷結晶は、溶液に対して向流となるように、第3晶析槽5→第2晶析槽4→第1晶析槽3のように流動せしめる。
【0031】
この大粒径の氷結晶は氷洗浄塔1にて氷惹起用ピストン2を介して該氷結晶の一部を融解させて洗浄された後、図示しない氷蓄熱槽にて滞留される。そして該氷蓄熱槽において氷の一部が熱媒体との熱交換により融解して該熱媒体に冷熱を供給する一方、この熱交換によって粒径が小さくなった氷結晶は再び種結晶として前記第3晶析槽5に投入される。
かかる動作を繰り返し行うことにより、溶液中に大きな粒径の氷結晶を生成せしめることができる。
【0032】
次に前記氷洗浄塔1における氷の洗浄方法について、図2を参照して説明する。 上記第1、第2、あるいは第3晶析槽3、4、5で生成された大粒径の氷結晶51と微粒径の氷結晶52とをカラム50内に導入する。
【0033】
上記大粒径の氷結晶51及び微粒の氷結晶52は、前記実施形態において第3晶析槽5に投入された種氷結晶が成長して生成された氷結晶及び各晶析槽3、4、5において水分の凝固により生成される微粒径の氷結晶が夫々導入される。
上記のようにしてカラム50内に、大粒径の氷結晶51及び微粒径の氷結晶52が導入された状態を図2(A)に示す。
【0034】
次いで、カラム50の上部を加熱することにより上部寄りの一部の氷結晶を融解させる。この際において、体積当りの表面積即ち比表面積の大きい微粒径の氷結晶52の方が上記比表面積の小さい大粒径の氷結晶51よりも伝熱速度が速いので、微粒径の氷結晶52が先に融解する。
【0035】
この融解液は加熱部近傍のカラム上部に生成され、これが大粒径の氷結晶51を洗浄しながらカラム50の下部へと流下する。
これによって、図2の(B)に示されるように、カラム50の上部から順次大粒径の氷結晶51が洗浄され、洗浄された氷結晶をカラム上部から取り出せば、下部に在る大粒径の氷結晶51も順次上記と同様に微粒径の氷結晶の融解液により洗浄される。
【0036】
【実施例】
次に本発明を焼酎廃液中における氷結晶の生成による凍結処理についての実験例を説明する。
この実験においては、図3に示す種氷結晶作成装置によって種氷結晶を生成し、この種氷結晶を用いて図4に示す回分式壁面冷却型晶析装置により凍結濃縮を行った。
【0037】
図3において、まず、冷却タンク24内の冷媒35(エチレングリコール)の温度が均一(約−1.2度)になるように、温度制御器33で温度を調節しながらモーター27でタンク24内を撹拌し、クーラ28で冷却する。前記冷却タンク24内の温度はBeckmann式の温度計29で測定する。同時に、水を装置系内を晶析槽21→クッションタンク36→流量計32→蛇管25→冷却管40→晶析槽21のように循環させ、晶析槽21内を撹拌しながら、該晶析槽21に流れ込む水を過冷却状態にする。上記晶析槽21に流れ込む水の温度は熱電対で測定する。尚、23はモータ、22はモータにより駆動されるスクリュー羽根、31はポンプである。
【0038】
前記晶析槽21内の水の温度はサーミスタ34で測定し、レコーダ30に記録させる。前記のようにして過冷却状態になった時点で種氷結晶の核となる氷結晶を晶析槽21内に導入する。図3において、晶析槽21内の底部の網37は個々で発生した小さな氷結晶を系内に循環させないために設けられており、クッションタンク36は、この網37を通過した小さな氷結晶が、さらに系内を循環し氷結するのを防止するための安全装置である。
【0039】
この時生成される種氷結晶が実験後と同一の大きさになるよう、初期過冷却度を付与し過ぎないよう、実験毎の差がないように注意する。2次核が発生すると潜熱により晶析槽21内の温度が上昇する。温度がほぼ一定になった時点でサーミスタ34を取り外し、2時間種氷結晶を凝集させる。生成後、取り出した種氷結晶は凍結濃縮段階の種氷結晶導入時まで断熱瓶に入れ冷蔵庫で保存する。
【0040】
前記のようにして生成された種氷結晶を用い、図4に示される回分式壁面冷却型晶析装置により、焼酎廃液の凍結濃縮実験を行った。図4において、61は内部に被濃縮液72である焼酎廃液が導入、収容される晶析槽61は冷媒として使用するエチレングルコール溶液が収容された冷却タンク64は溶液搬送用のポンプである。68はクーラである。
【0041】
実験には冷蔵庫で保存している焼酎廃液を用いる。まず冷却タンク64内の温度が均一に焼酎廃液の凝固点に近づくようにモ−タ67及びファン66で撹拌しながら、温度制御器63で温度を調整する。冷却タンク64内の温度はBeckmann式の温度計69で測定する。冷媒65の温度が安定したら、ポンプ71により晶析槽61の壁面部に該冷媒65を循環させ、モ−タ63及びファン62で晶析槽61内を撹拌しながら焼酎廃液を冷却する。晶析槽61の壁面部を循環する冷媒65の温度は熱電対を用いて測定する。また前記晶析槽61内の溶液の温度はサーミスタ64で測定し、レコーダ70に記録する。
【0042】
そして、前記焼酎廃液(被濃縮液)の凍結濃縮実験は次の四つのケースについて行った。
【0043】
(1)実験1
晶析槽61内における焼酎廃液が初期過冷却度を無くし、図3に示す種氷結晶作成装置で生成した種氷結晶を晶析槽61内に前記廃液重量の12.5重量%導入する。
【0044】
(2)実験2
晶析槽61内における焼酎廃液を過冷却状態に保持し、氷結晶を一粒導入する。
【0045】
(3)実験3
実験1で生成された凝集氷結晶を、大粒径の種氷結晶として、前記廃液中に初期過冷却度が無いように廃液重量の12.5重量%導入する。
【0046】
(4)実験4
予め凍結濃縮によって、COD比(化学的酸素消費量比)で1.6倍濃縮した濃廃液に対し、種氷結晶を初期過冷却度が無いように廃液重量の12.5重量%導入する。
上記実験1〜4全ての実施時において、晶析槽61内はモ−タ63駆動のファン62で撹拌する。操作時間は2時間とする。
【0047】
前記実験の結果を図5〜図8に示す。
図5〜図8は前記実験結果であり、これらの図の(A)は晶析槽61内で生成された凝集氷結晶の粒径分布図、(B)は体積分布図を夫々示す。
【0048】
図5は実験1の結果、図6は実験2の結果である。
図5、図6に明らかなように、実験1即ち廃液の初期過冷却度が無く種氷結晶を導入した場合は、実験2即ち従来の手法と同様に廃液の初期過冷却度を大きく保持した場合に較べ大粒径の凝集氷結晶が多く生成される。
【0049】
また、図7は実験3の結果、図8は実験4の結果を示す。
図7に明らかなように、実験3即ち粒径の大きな種氷結晶を実験1と同様な初期過冷却度無しで導入した場合には、大粒径の凝集氷結晶が得られ、かつ実験1の場合よりも体積増加が大きくなる。
【0050】
また図8に明らかなように、小さい氷結晶のかずが多く生成されるが、その体積の割合は小さく、この小粒径の氷結晶を融解せしめることによって大粒径の氷結晶が残留する。
【0051】
(5)実験5
実験3の方法に従って生成した大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶を同一の容器に収容し、加熱・融解後、氷結晶を経時的に写真撮影する。
図9〜図11は前記実験5の結果であり晶析槽61内で生成された氷結晶の粒径分布図を示す。図9は晶析槽から取り出した直後、図10から図11は加熱・融解後の粒径分布の5分毎の経時変化を示す。
図9〜図11に明らかなように、加熱により先ず小粒径の氷結晶が融解し、大粒径の氷結晶が洗浄され残留する。
【0052】
以上の実験結果より、晶析槽内廃液の初期過冷却度を無くし、種氷結晶を廃液中に導入すれば、初期冷却度を大きくして種氷結晶を導入しない従来の方法に較べ、格段に大粒径の凝集氷結晶が得られることが確認できた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、高濃度晶析槽に投入した種氷結晶を該高濃度側から低濃度の晶析槽へと移送して、水分吸収あるいは微細氷の凝固付着により大粒径に成長せしめてこれを冷熱の供給に使用し、小粒化した種氷結晶を再び晶析槽にて濃縮用として使用するので、従来の方法のような多量の大粒径種氷結晶を必要とせず、濃縮効率が向上し、冷熱エネルギの有効利用をなすことができる。
【0054】
また本発明によれば、小粒径の氷結晶の融解液により大粒径の氷結晶を洗浄するので、従来の方法のように多量の洗浄水を必要とせず、低コストでの濃縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る溶液の濃縮装置の構成図である。
【図2】 上記実施形態における氷結晶の洗浄要領を示す構成図である。
【図3】 本発明の実施例に係る種氷結晶作成装置の構成図である。
【図4】 本発明の実施例に係る回分式壁面冷却型晶析実験装置の構成図である。
【図5】 上記実験装置による実験結果(その1)を示す線図である。
【図6】 上記実験装置による実験結果(その2)を示す線図である。
【図7】 上記実験装置による実験結果(その3)を示す線図である。
【図8】 上記実験装置による実験結果(その4)を示す線図である。
【図9】 図9〜図11は夫々上記実験結果(その5)を示す線図であり、
図9は0分後の状態を示す。
【図10】 図10は図9の5分後の状態を示す。
【図11】 図11は図9の10分後の状態を示す。
【符号の説明】
1 氷洗浄塔
3 第1晶析槽
4 第2晶析槽
5 第3晶析槽
6 原料供給ポンプ
7、8、9 送液ポンプ
10 氷輸送用スロープ
21、61 晶析槽
24、64 冷却タンク
Claims (2)
- 被濃縮溶液を晶析槽に導入し、該溶液中の水分を凍結させて氷結晶を生成することにより前記溶液を濃縮する溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法において、
低濃度の被濃縮液を第1晶析槽に連続的に供給し、該被濃縮液中の水分を凍結せしめて氷結晶を生成しこれを分離し、第1段の濃縮がされた被濃縮液とするステップと、
前記第1段の濃縮がなされた被濃縮液を前記第1晶析槽と同様な水分の氷結晶化による濃縮がなされる第2晶析槽を経由して、高濃度に濃縮された被濃縮液が第3晶析槽に送られるステップと、
高濃度溶液が収容された第3の晶析槽内に種氷結晶を連続的に投入し、この種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を凝集させるステップと、
前記種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を生成させてなる氷結晶を、前記第3晶析槽より溶液の流れの上流側に位置する前記第1晶析槽に移送し、種氷結晶の周りに位置する微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶を成長させるとともに、前記第1若しくは第2の晶析槽において水分の凝固により生成される微粒径の氷結晶が生成されるステップと、
この氷結晶の一部を熱媒体と熱交換せしめて冷熱を回収するとともに、冷熱の回収により微粒化された氷結晶は再び種氷結晶として前記第3晶析槽に送られ、溶液中の水分の凍結に供されるステップと、
前記第1晶析槽中で生成された大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶とを洗浄容器に収容し、該洗浄容器上部より前記氷結晶を加熱して前記小粒径の氷結晶の全部又は一部を融解せしめ、この融解液により前記大粒径の氷結晶を洗浄するステップと、
前記大粒径の氷結晶を氷蓄熱槽にて熱媒体との熱交換によって粒径が小さくなった氷結晶は再び種結晶として前記第3晶析槽に投入されるステップを有することを特徴とする溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄方法。 - 被濃縮溶液を晶析槽に導入し、該溶液中の水分を凍結させて氷結晶を生成することにより前記溶液を濃縮する溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄装置において、
低濃度の被濃縮液を連続的に供給し、該被濃縮液中の水分を凍結せしめて氷結晶を生成しこれを分離し、第1段の濃縮がおこなわれる第1晶析槽と、
前記第1段の濃縮がなされた被濃縮液を前記第1晶析槽と同様な水分の氷結晶化による濃縮がなされる第2晶析槽を経由して、高濃度に濃縮された被濃縮液が送られ収容される第3晶析槽とを具え、
前記第3晶析槽内に種氷結晶を連続的に投入し、この種氷結晶の周りに微細な小粒径氷結晶を生成させた氷結晶群を、前記第3晶析槽より溶液の流れの上流側に位置して低濃度溶液が収容された第1晶析槽内に移送させて、該第1晶析槽内で種氷結晶の周りに位置する微細な氷粒を凝縮させて大粒径の氷結晶を成長させるとともに、前記第1若しくは第2の晶析槽において水分の凝固により生成される微粒径の氷結晶を生成せしめるとともに、該第1晶析槽の上部に、氷結晶を洗浄するための氷洗浄塔の下部を接続し、前記第1晶析槽で生成された大粒径の氷結晶と小粒径の氷結晶とを前記洗浄塔に収容し、該洗浄塔上部より前記氷結晶を加熱して前記小粒径の氷結晶の全部又は一部を融解せしめ、この融解液により前記大粒径の氷結晶を洗浄し、
前記大粒径の氷結晶を氷蓄熱槽にて熱媒体との熱交換によって粒径が小さくなった氷結晶は再び種結晶として前記第3晶析槽に投入することを特徴とする溶液の濃縮及び氷結晶の洗浄装置。
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