JP2015112589A - トリチウム水の分離除去装置及び分離除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トリチウム水を含む軽水からトリチウム水を効率的に分離除去できるようにする。【解決手段】凍結槽2では、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶9を層状に析出させながら、同時に、その結晶の少なくとも一部をスクレーパー10で掻き取り除去し、除去した凍結トリチウム水の結晶9aを含む汚染水を、熟成槽3に供給し、凍結トリチウム水の結晶を成長させ、成長した凍結トリチウム水の結晶9bを含む汚染水を、固液分離装置4で凍結トリチウム水の結晶と汚染水とに分離し、汚染水は、循環ポンプ5を介して凍結槽2へ戻すようにしている。【選択図】図1
Description
本発明は、トリチウム水(三重水素水:HTO)を含む軽水、例えば、放射能によって汚染された汚染水からトリチウム水を分離除去するのに好適な装置及び方法に関する。
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故において、燃料の緊急冷却に利用した高線量の放射性物質を大量に含んだ海水を含む汚染水の処理が問題となっている。
この放射能によって汚染された汚染水の処理設備として、多核種除去設備(ALPS:Advanced Liquid Processing System)が用いられ、62種の放射性物質の除去が可能となっているが、放射性物質であるトリチウムを除くことはできず、多核種除去設備(ALPS)で処理された処理済水は、トリチウム水を含んだままタンク等に貯蔵されている。この汚染水は、1日に400トン〜500トンに上っており、多核種除去設備(ALPS)で処理された多量の処理済水から放射性物質であるトリチウムを効率的に除くことが喫緊の課題となっている。
従来、通常の水、いわゆる、軽水からトリチウム水を分離する技術として、例えば、特許文献1には、トリチウム水の凝固点である4.49℃に冷却された逆円錐形の収集容器の上部開口からトリチウム水を含む軽水を注ぎ、収集容器の内壁面でトリチウム水を凍結させて、凝固点が0℃である軽水と分離し、収集容器の内壁面に凍結したトリチウム水は、前記収集容器を加熱することによって融解させて取り除くようにしている。
上記特許文献1では、収集容器を冷却してトリチウム水を凍結させた後に、凍結したトリチウム水を取り除くために、収集容器を加熱して凍結したトリチウム水を融解させなければならない。このため、収集容器を冷却してトリチウム水を凍結させる処理と、前記収集容器を加熱して凍結したトリチウム水を融解させて取り除く処理とを切換えて行わねばならず、効率の悪いものである。
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、トリチウム水を含む軽水からトリチウム水を効率的に分離除去できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
(1)本発明に係るトリチウム水の分離除去装置は、トリチウム水を含む軽水から前記トリチウム水を分離除去する装置であって、前記トリチウム水を含む前記軽水を冷却して、前記トリチウム水を凍結させる凍結槽と、分離手段とを備え、前記凍結槽は、冷却されて凍結した凍結トリチウム水の結晶が層状に析出する冷却面を有すると共に、前記冷却面に析出した凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部の結晶を物理的に除去する除去手段を有し、前記分離手段は、前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶又は該結晶を成長させた結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離する。
前記除去手段は、冷却面に層状に析出した凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部を除去できればよく、析出した凍結トリチウム水の結晶の全てを除去するものであってもよい。この除去手段は、少なくとも一部の結晶を、物理的に、例えば、掻き取りや衝撃などによって除去する。
前記分離手段は、前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離するものであってもよいし、前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶を成長させた後に、成長させたトリチウム水の結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離するものであってもよい。
本発明によると、凍結槽では、トリチウム水を含む軽水を冷却して、凍結槽の冷却面に、凍結した凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させる、いわゆる、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶を析出させ、層状に析出した凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部を物理的に除去し、除去した凍結トリチウム水の結晶又は該結晶を成長させた結晶を含む軽水を、分離手段によって、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離することができる。
このように、凍結槽では、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させながら、同時に、その結晶の少なくとも一部の結晶を除去し、除去した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水から凍結トリチウム水の結晶を分離手段で分離するので、凍結槽における凍結トリチウム水の結晶の析出及び除去と、分離手段における除去した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水からの凍結トリチウム水の結晶の分離とを、同時並行的に行うことができるので、トリチウム水を含む軽水から、トリチウム水を凍結結晶として効率的に除去することができる。
しかも、従来例のように、凍結したトリチウム水を取り除くために、加熱して凍結したトリチウム水を融解させる必要がない。
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶を含む前記軽水が、前記凍結槽から供給されると共に、供給された凍結トリチウム水の結晶を成長させる熟成槽を備え、前記分離手段は、前記熟成槽から供給される成長した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離するものであり、前記除去手段は、前記冷却面に析出した前記凍結トリチウム水の結晶を掻き取る掻き取り部材を有する。
この実施態様によると、凍結槽では、除去手段の掻き取り部材によって、冷却面に層状に析出した凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部の結晶を掻き取って物理的に除去し、掻き取ったトリチウム水の結晶を含む軽水を、熟成槽に供給して結晶を成長させるので、分離手段による凍結トリチウム水の結晶の分離が容易になるとともに、一層効率的にトリチウム水を分離除去することができる。
(3)本発明の他の実施態様では、前記熟成槽は、真空断熱槽である。
この実施態様によると、凍結槽から凍結トリチウム水の結晶を含む軽水が供給される熟成槽は、真空断熱槽であるので、熟成槽を冷却することなく、凍結トリチウム水の結晶の成長に必要な温度に保持することが可能となり、省エネルギーを図ることができる。
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記分離手段によって前記凍結トリチウム水の結晶が分離された前記軽水を、前記凍結槽に戻して循環させる循環手段を備える。
この実施態様によると、分離手段で分離された軽水にトリチウム水が残存し、排出基準を上回るような場合には、前記軽水を凍結槽に戻して循環させることによって、軽水に残存するトリチウム水を更に除去して、前記排出基準以下とすることができる。
(5)本発明に係るトリチウム水の分離除去方法は、トリチウム水を含む軽水から前記トリチウム水を分離除去する方法であって、前記トリチウム水を含む前記軽水を冷却して、前記トリチウム水を凍結させる凍結工程と、分離工程とを備え、前記凍結工程は、冷却されて凍結した凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させる共に、析出する凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部の結晶を物理的に除去する除去工程を含み、前記分離工程は、前記除去工程で除去された凍結トリチウム水の結晶又は該結晶を成長させた結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離する。
本発明によると、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させながら、同時に、その結晶の少なくとも一部の結晶を除去し、除去した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水から凍結トリチウム水の結晶を分離するので、凍結工程おける凍結トリチウム水の結晶の析出及び除去と、分離工程における除去した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水からの、凍結トリチウム水の結晶の分離とを、同時並行的に行うことができるので、トリチウム水を含む軽水から、トリチウム水を凍結結晶として効率的に除去することできる。
しかも、従来例のように、凍結したトリチウム水を取り除くために、加熱して凍結したトリチウム水を融解させる必要がなく、トリチウム水を含む軽水から効率的にトリチウム水を分離除去することが可能となる。
このように、本発明によれば、凍結槽では、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させながら、同時に、その結晶の少なくとも一部を除去し、分離手段によって、除去した凍結トリチウム水と軽水とに分離することができるので、凍結槽における凍結トリチウム水の結晶の析出及び除去と、分離手段における除去した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水からの、凍結トリチウム水の結晶の分離とを、同時並行的に行うことができるので、トリチウム水を含む軽水から、トリチウム水を凍結結晶として効率的に除去することができる。しかも、従来例のように、凍結したトリチウム水を取り除くために、加熱して凍結したトリチウム水を融解させる必要がない。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトリチウム水の分離除去装置の概略構成図である。
この実施形態のトリチウム水の分離除去装置1は、トリチウム水を含む軽水として、例えば、多核種除去設備(ALPS)等の多核種除去手段によりトリチウム以外の放射性物質は除去された汚染水が、被処理水として供給される凍結槽2と、この凍結槽2で凍結した凍結トリチウム水の結晶を成長させる熟成槽3と、凍結した凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を、凍結トリチウム水の結晶と汚染水とに分離する分離手段としての固液分離装置4と、この固液分離装置4で分離された汚染水を前記凍結槽2に供給する循環ポンプ5とを備える。
大略円筒形の凍結槽2は、その外周面に冷却ジャケット2aが設けられており、図示しない冷却装置からの冷媒が循環供給される。これによって、凍結槽2内は、トリチウム水の凝固点よりも低い温度、例えば、4℃程度に冷却される。
凍結槽2の下部には、多核種除去手段によりトリチウム以外の放射性物質が除去された汚染水、すなわち、トリチウム水を含む汚染水を、当該凍結槽2へ供給するための供給管路6が接続され、この供給管路6の途中には、循環ポンプ5が設けられた循環管路12の戻り管路7が接続されている。多核種除去手段から凍結槽2に供給される汚染水に含まれるトリチウム水の濃度は、希薄であり、例えば、ppbオーダーである。
凍結槽2の上部には、凍結した凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を、熟成槽3へ供給するための循環管路12の往き管路8が接続されている。
凍結槽2では、汚染水を冷却する冷却ジャケット2aに対応する内壁面(冷却面)に、冷却されたトリチウム水が凍結し、層状に析出する。すなわち、冷却面である内壁面からトリチウム水の結晶を層状に成長させる、いわゆる、界面前進凍結法を用いて、汚染水と、それに含まれるトリチウム水とを分離するものである。
凍結槽2内には、凍結して内壁面に層状に析出した凍結トリチウム水の結晶部分9の表面から、その一部の結晶9aを物理的に除去する、この実施形態では、層状に析出したトリチウム水の結晶部分9の表面から、一部の結晶9aを掻き取る掻き取り部材としてのヘラ状のスクレーパー10が設けられており、このスクレーパー10が、掻き取りモータ11によって回転駆動される。スクレーパー10は、ヘラ状に限らず、スクリュー状、ブラシ状やその他の形状であってもよい。このスクレーパーの回転速度は、凍結トリチウム水の結晶の内壁面への析出を妨げないように適宜選択される。
このスクレーパー10によって前記結晶部分9から掻き取られた結晶9aを含む汚染水は、循環管路12の往き管路8を介して熟成槽3に供給される。大略円筒状の熟成槽3は、内槽3aと外槽3bとを備え、その間が真空とされた真空断熱槽である。熟成槽3には、攪拌羽根14と、この攪拌羽根14を回転駆動する攪拌モータ15とからなる攪拌機が装備されている。
凍結槽2から供給された凍結トリチウム水の結晶9aを含む汚染水は、真空断熱槽からなる熟成槽3によって、トリチウム水の凝固点近傍の温度、例えば、4℃程度に保持され、この熟成槽3において、凍結したトリチウム水の結晶9aが成長する。すなわち、熟成槽3では、凍結槽2から供給された凍結トリチウム水の結晶が、核となって結晶が成長し、サイズの大きな結晶9bとなる。
熟成槽3の下部は、排出管路13に接続され、この排出管路13は、上記の固液分離装置4が設けられている。この固液分離装置4は、例えば、濾過装置や遠心分離装置などの公知の装置である。
固液分離装置4では、熟成槽3から排出される凍結トリチウム水の結晶9bを含む汚染水を、凍結トリチウム水の結晶と汚染水とに分離する。凍結トリチウム水の結晶は、熟成槽3で粒径の大きな結晶に成長しているので、分離が容易である。
固液分離装置4で分離された凍結トリチウム水の結晶は、例えば、タンク等に貯蔵され、汚染水は、戻り管路7の循環ポンプ5を介して凍結槽2の下部へ戻される。
この循環ポンプ5と、往き管路8及び戻り管路7からなる循環管路12とによって、汚染水を、凍結槽2と熟成槽3との間で循環させる循環手段が構成される。
この実施形態のトリチウム水の分離除去装置1では、例えば、次のようにして汚染水からのトリチウム水の分離除去が行われる。先ず、凍結槽2に、供給管路6を介して多核種除去手段でトリチウム以外の放射性物質が除去された汚染水が、供給される。供給された汚染水は、トリチウム水の凝固点より低い4℃程度に冷却されている凍結槽2で冷却され、汚染水に含まれるトリチウム水が、凍結して冷却ジャケット2a近傍の内壁面に、凍結トリチウム水の結晶が層状に析出する。
層状に析出した凍結トリチウム水の結晶部分9が内方へ向かって成長すると、回転するスクレーパー10によって、その表面の結晶が掻き取られる。掻き取られた凍結トリチウム水の結晶9aを含む汚染水は、往き管路8を介して熟成槽3へ供給される。このとき、熟成槽3の下部の排出管路13の開閉弁(図示せず)が制御されて、熟成槽3は、汚染水で満たされ、その後、熟成槽3に汚染水が満たされた状態を維持しながら、固液分離装置4へ汚染水が排出される。
真空断熱槽である熟成槽3では、掻き取られたトリチウム水の結晶9aを含む汚染水は、4℃程度の温度に保持され、この間に、トリチウム水の結晶が成長し、サイズの大きな結晶9bとなる。
熟成槽3で成長した凍結トリチウム水の結晶9bを含む汚染水は、固液分離装置4へ排出され、固液分離装置4では、凍結トリチウム水の結晶を除去、つまり凍結トリチウム水の結晶と凍結トリチウム水の結晶が除去された汚染水とに分離される。除去されたトリチウム水の結晶は、タンク等に貯蔵される。凍結トリチウム水の結晶が除去された汚染水は、循環管路12の戻り管路7の循環ポンプ5を介して凍結槽2に戻される。
このよにうして凍結槽2、熟成槽3、及び、両者間の循環管路12に汚染水が満たされた後に、供給管路6の開閉弁(図示せず)が制御されて、多核種除去手段からの汚染水の新たな供給を一旦遮断し、汚染水を、凍結槽2と熟成槽3との間で循環管路12を介して循環させる。
これによって、凍結槽2では、汚染水に含まれるトリチウム水を凍結させて内壁面に層状に結晶を析出させ、その結晶の一部を掻き取って汚染水と共に、熟成槽3へ供給し、熟成槽3では、供給されたトリチウム水の結晶を成長させ、固液分離装置4では、トリチウム水の結晶を分離して回収とするというサイクルを、例えば、所要時間に亘って、あるいは、汚染水に残存するトリチウム水が排出基準以下となるまで繰り返す。
このようにして汚染水に含まれるトリチウム水を除去し、トリチウム水が除去された処理済水を、循環管路12の図示しない排出口から排出し、貯蔵タンクに貯蔵する。
その後、トリチウム以外の放射性物質が除去された汚染水を、再び、凍結槽2に供給して、上記と同様の処理を行い、汚染水に含まれるトリチウム水を除去する。
なお、汚染水を、凍結槽2と熟成槽3との間で循環管路12を介して循環させながら、トリチウム水が除去された一部の処理済水を循環管路12から排出する一方、排出した処理済水に対応する水量の汚染水を、多核種除去手段から凍結槽2に供給するようにしてもよい。
以上のように本実施形態によれば、凍結槽2では、界面前進凍結法によって凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させながら、同時に、その結晶の少なくとも一部の結晶を除去し、除去した凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を熟成槽3に供給し、熟成槽3で凍結トリチウム水の結晶を成長させた後、汚染水に含まれる凍結トリチウム水の結晶を分離除去するので、凍結槽2における凍結トリチウム水の結晶の析出、掻き取り、熟成槽3における凍結トリチウム水の結晶の成長、及び、固液分離装置4における汚染水からの凍結トリチウム水の分離とを、同時並行的に行うことができるので、トリチウム水を含む汚染水からトリチウム水を凍結結晶として効率的に除去することができる。
したがって、1日に400トン〜500トンといった多量の処理が必要な放射能汚染水からのトリチウム水の除去に好適である。しかも、汚染水からのトリチウム水の除去は、凍結槽2、熟成槽3、固液分離装置4及びそれらを連結する管路といった密閉した系内で行うことができるので、作業員の被爆の低減に有効である。
更に、従来例のように、凍結したトリチウム水を取り除くために、加熱して凍結したトリチウム水を融解させる必要がなく、一層効率的である。
なお、汚染水に、トリチウム水以外に重水が含まれている場合には、重水もトリチウム水の凝固点近傍の温度で凍結するので、トリチウム水と共に、重水も併せて除去することができる。
図2は、本発明の他の実施形態に係るトリチウム水の分離除去装置の概略構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
上記図1の実施形態では、汚染水を、凍結槽2と熟成槽3との間で循環管路12を介して循環させてトリチウム水を除去したけれども、この実施形態では、汚染水を循環させることなく、トリチウム水を除去するものである。
この実施形態のトリチウム水の分離除去装置11では、凍結槽21は、図1の凍結槽2に比べて縦長に構成され、その外周に設けられる冷却ジャケット2aも縦長に構成される。したがって、凍結槽21に供給されるトリチウム水を含む汚染水を冷却して、凍結した凍結トリチウム水が層状に析出する冷却面である内壁面は、図1の凍結槽2に比べて縦方向(上下方向)に長くなっている。これに応じて、内壁面に層状に析出する凍結トリチウム水の結晶部分9から結晶を掻き取るヘラ状のスクレーパー101も縦長となっている。
これによって、凍結槽21では、図1の凍結槽2に比べて、トリチウム水を含む汚染水から、より多くのトリチウム水を凍結させて凍結トリチウム水の結晶を層状に析出させることができる共に、スクレーパー10によって、より多くの凍結トリチウム水の結晶9aを掻き取ることができる。
凍結槽21で掻き取られた凍結トリチウム水の結晶9aを含む汚染水は、送液管路16の送液ポンプ17を介して熟成槽31に供給される。この実施形態の熟成槽31は、図1の熟成槽3に比べて容量が大きくなっている。この熟成槽3に、凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水がほぼ満たされた状態を保持しながら、下部の排出管路4を介して固液分離装置4へ排出する。
熟成槽31では、図1の熟成槽3に比べて、凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を、より多量に保持することができるので、この熟成槽31において、凍結トリチウム水の結晶を成長させる時間を長く確保することができ、より大きなサイズの凍結トリチウム水の結晶9bを生成することができる。
このように、凍結槽21では、より多くの凍結トリチウム水の結晶を析出させて、より多くの凍結トリチウム水の結晶を掻き取ることができ、熟成槽31では、掻き取った凍結トリチウム水の結晶を核として、結晶成長させる時間をより長く確保できることになる。
これによって、固液分離装置4において、熟成槽31の下部から排出される凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を、凍結トリチウム水の結晶と、トリチウム水が除去された汚染水とに分離したときに、分離した処理済水は、排出基準を満たすことができ、凍結槽21に戻す必要がない。
(その他の実施形態)
本発明の他の実施形態として、熟成槽の数を増やし、複数の熟成槽で結晶成長させた後に、固液分離装置によって、凍結トリチウム水の結晶と汚染水とを分離してもよい。
本発明の他の実施形態として、熟成槽の数を増やし、複数の熟成槽で結晶成長させた後に、固液分離装置によって、凍結トリチウム水の結晶と汚染水とを分離してもよい。
また、凍結槽、熟成槽及び固液分離装置からなる組を複数組備える構成とし、最初の組で分離された汚染水を、次の組の凍結槽に供給するといった多段構成としてもよい。
熟成槽は、真空断熱槽に代えて、トリチウム水の結晶が成長する温度に冷却するようにしてもよい。
熟成槽を省略し、凍結槽からの凍結トリチウム水の結晶を含む汚染水を、固液分離装置によって、凍結トリチウム水の結晶と汚染水とに分離するようにしてもよい。この場合、固液分離装置で分離した汚染水を、再び凍結槽に戻し、汚染水を、凍結槽と固液分離装置との間で循環させるようにしてもよいし、あるいは、凍結槽及び固液分離装置からなる組を複数組備える構成とし、最初の組で分離された汚染水を、次の組の凍結槽に供給するといった多段構成としてもよい。
上記実施形態では、トリチウム水を含む軽水として、多核種除去設備(ALPS)等の多核種除去手段でトリチウム以外の放射性物質が除去された汚染水に適用して説明したが、この汚染水に限らず、トリチウム水を含む軽水であればよい。
1,11 トリチウム水の分離除去装置
2,21 凍結槽
3,31 熟成槽
4 固液分離装置
5 循環ポンプ
7 戻り管路
8 往き管路
9a,9b 凍結トリチウム水の結晶
10 スクレーパー
12 循環管路
2,21 凍結槽
3,31 熟成槽
4 固液分離装置
5 循環ポンプ
7 戻り管路
8 往き管路
9a,9b 凍結トリチウム水の結晶
10 スクレーパー
12 循環管路
Claims (5)
- トリチウム水を含む軽水から前記トリチウム水を分離除去する装置であって、
前記トリチウム水を含む前記軽水を冷却して、前記トリチウム水を凍結させる凍結槽と、分離手段とを備え、
前記凍結槽は、冷却されて凍結した凍結トリチウム水の結晶が層状に析出する冷却面を有すると共に、前記冷却面に析出した凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部の結晶を物理的に除去する除去手段を有し、
前記分離手段は、前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶又は該結晶を成長させた結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離する、
ことを特徴とするトリチウム水の分離除去装置。 - 前記除去手段によって除去された凍結トリチウム水の結晶を含む前記軽水が、前記凍結槽から供給されると共に、供給された凍結トリチウム水の結晶を成長させる熟成槽を備え、
前記分離手段は、前記熟成槽から供給される成長した凍結トリチウム水の結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とを分離するものであり、
前記除去手段は、前記冷却面に析出した前記凍結トリチウム水の結晶を掻き取る掻き取り部材を有する、
請求項1に記載のトリチウム水の分離除去装置。 - 前記熟成槽は、真空断熱槽である、
請求項2に記載のトリチウム水の分離除去装置。 - 前記分離手段によって前記凍結トリチウム水の結晶が分離された前記軽水を、前記凍結槽に戻して循環させる循環手段を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載のトリチウム水の分離除去装置。 - トリチウム水を含む軽水から前記トリチウム水を分離除去する方法であって、 前記トリチウム水を含む前記軽水を冷却して、前記トリチウム水を凍結させる凍結 工程と、分離工程とを備え、
前記凍結工程は、冷却されて凍結した凍結トリチウム水の結晶を層状に析出さ せる共に、析出する凍結トリチウム水の結晶の少なくとも一部の結晶を物理的に除 去する除去工程を含み、
前記分離工程は、前記除去工程で除去された凍結トリチウム水の結晶又は該結晶を成長させた結晶を含む軽水を、凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離する、
ことを特徴とするトリチウム水の分離除去方法。
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WO2020085046A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | 洋文 太田 | トリチウム含有水からのトリチウム水分離除去方法及び装置 |
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2013
- 2013-12-16 JP JP2013259020A patent/JP2015112589A/ja active Pending
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WO2020085046A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | 洋文 太田 | トリチウム含有水からのトリチウム水分離除去方法及び装置 |
JPWO2020085046A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2021-02-15 | 洋文 太田 | トリチウム含有水からのトリチウム水分離除去方法及び装置 |
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