JPH1054629A - 溶液の凍結方法 - Google Patents

溶液の凍結方法

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JPH1054629A
JPH1054629A JP22733696A JP22733696A JPH1054629A JP H1054629 A JPH1054629 A JP H1054629A JP 22733696 A JP22733696 A JP 22733696A JP 22733696 A JP22733696 A JP 22733696A JP H1054629 A JPH1054629 A JP H1054629A
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ice
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義人 白井
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巧治 吉村
Akiyori Terasawa
顯頼 寺澤
Shigeru Sakashita
茂 坂下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却板の温度を水溶液の凝固点よりも大きく
低下させても、冷却板表面に清澄な氷結晶を生成さしめ
る方法を提供する。 【解決手段】 溶液を冷却体(冷却板)3によって凍結
させて、氷結晶を生成させる溶液の凍結方法において、
前記溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制
して氷結晶を生成させることを特徴とする。また、前記
冷却体3表面に予め氷結晶を凍結させておき、前記溶液
から氷結晶を生成するように構成したり、また、水溶液
の凝固点以上の温度に加熱された前記溶液から氷結晶を
生成するように構成したり、また、氷核タンパクを混入
した溶液から氷結晶を生成するように構成することも本
発明の有効な手段である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、発酵、化学
工業、製薬、廃水処理、排水処理、汚水の浄化、海水の
淡水化等の分野に適用される氷の凍結方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】冷凍処理により水溶液
中の容質を除去する、あるいは濃縮する方法は、食品工
業におけるジュース、ワイン、ビール等の液状食品や飼
料の濃縮、発酵、廃水中の汚染物質の除去、海水や塩水
の淡水化等に広く利用されている。
【0003】これは、水溶液を凍結させ、その中の水分
を氷の結晶として分離することにより、水溶液から水を
分離する方法である。かかる方法は、水溶液中から水分
を氷結晶として除去することから、気液間の物質移動が
無く、香りの成分のように揮発し易い成分を保持したま
ま脱水することができる。
【0004】また、かかる方法は操作が低温で行われる
ため、熱に対して不安定な水溶液や雑菌に汚染され易い
成分を含む水溶液から水分を除去する方法に好適である
とともに、水の凝固潜熱が蒸発潜熱の1/7であること
から、蒸発による方法よりも省エネルギとなる。さら
に、生成された氷結晶はこれを融解させる際に発生する
潜熱を利用することにより、冷熱を得ることができると
いう利点もある。
【0005】しかしながら、前記のような凍結による水
分の分離方法にあっては、水溶液を凍結させて生成した
氷結晶の表面には溶液が付着するため、氷結晶を濃縮さ
れた溶液から分離する際に溶質が該氷結晶に同伴される
ことにより、溶質の回収率及び氷融液の清澄度が低減す
るという問題点を抱えている。
【0006】かかる問題点を解決するには、前記溶質の
付着が氷結晶の比表面積の大きさに比例して多くなるた
め、比表面積が小さい大粒径の氷結晶を生成させること
が要件となる。
【0007】前記要件に対処する手段としては、従来よ
り、晶析槽において微細な氷を生成させた後、直ちに熟
成槽に導き、この氷をオストワルドのライプニング効果
を利用して、直径1mm程度の大粒径の氷結晶に成長させ
る方法が提供されている。しかしながら、この方法にあ
ってはスタートアップ時間が長く、構成が複雑な装置を
必要とし、また装置の制御管理が容易でなく、このため
処理コストが高くなるという問題点がある。
【0008】さらに、前記大粒径の氷結晶を得る他の方
法として、水溶液の凍結開始時に種氷結晶を5重量%以
上添加することによって、生成した氷結晶を凝集させ、
直径2mm以上の大きな氷結晶を生成させる方法が提供さ
れている。
【0009】しかしながら、前記大粒径の氷結晶を晶析
槽内に滞留せしめる方法では、槽内の氷の割合(濃縮率
の逆数)を0.4以上に高めることは困難であるので、
2倍を越える高い濃度にまで濃縮することはできない。
このために、高い濃度にまで濃縮するためには、槽を多
段に配置し、濃縮液を各段で2倍弱に濃縮し、全体とし
て高い濃縮率得る必要がある。そのために、装置が複雑
になり、制御管理が容易でなくなる。
【0010】さらに、前記大粒径の氷結晶を利用する冷
凍濃縮方法では、水溶液に大量の固形物が含まれる場合
は、氷粒子間に封入され、これを氷結晶間から取り除き
たい場合は、それを実施することは容易でない。このた
めに、得られた氷結晶の清澄度を低下させる。
【0011】かかる問題を解決する手段として、凍結濃
縮装置内に大きな面積を持った冷却板を配置し、被濃縮
液を冷却板上部より自然落下させ、あるいは、ポンプ駆
動により冷却板上を強制的に流動せしめ、冷却板上に氷
結晶を生成させる方法が提案されている。該方法におい
ては、氷結晶の成長に伴って、水溶液の占める容積が急
減するために、原理的には、1段での高い濃縮が可能で
ある。また、固形物を含む水溶液については、固形物を
氷間に封入されることなく、溶液を凍結濃縮することが
可能である。
【0012】しかしながら、これまでに開発された冷却
板表面に氷結晶を生成せしめる装置では、高い生成速度
で氷結晶を冷却板上に生成せしめるためには、冷却板温
度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させた場合は、清
澄な氷結晶が得られないという問題点を抱えている。
【0013】上述の事情に鑑み、発明の目的は、冷却板
の温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させても、冷
却板表面に清澄な氷結晶を生成せしめる方法を提供する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶液を冷却体
によって凍結させて、氷結晶を生成させる溶液の凍結方
法において、前記溶液から分離して凍結する氷結時の過
冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴とす
る。
【0015】また、タンク内の前記冷却体表面に予め氷
結晶を凍結させておき、その後に、前記タンク内に前記
溶液を循環させ、前記溶液から氷結晶を生成するように
構成したり、また、水溶液の凝固点以上の温度に加熱さ
れた前記溶液をタンク内に循環させ、前記溶液から氷結
晶を生成するように構成したり、また、氷核タンパクを
混入した溶液をタンク内に循環させ、前記溶液から氷結
晶を生成するように構成することも本発明の有効な手段
である。
【0016】一般的に、水溶液の凝固点とは、水溶液と
氷結晶が熱力学的に共存出来る温度であり、多くの場
合、凝固点では氷結晶の生成は開始されず、水溶液の凝
固点以下の過冷却状態において生成が開始され、氷結晶
の形状は、氷結晶の成長速度と核発生速度により決定さ
れ、これらは、水溶液の過冷却度に比例するので、氷結
晶の生成開始時に大きな過冷却度がつけられると、冷却
体表面には、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的
な氷の清澄度を低下させる。
【0017】本発明は、溶液を冷却体(冷却板)によっ
て凍結させて氷結晶を生成させる際に、前記溶液から分
離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生
成させている。従って、冷却体表面に氷結晶の生成開始
時の冷却体近傍の水溶液過冷却度を小さく保つことがで
き、冷却体表面に微細な氷結晶が生成されることがな
く、その微細な氷結晶により氷結晶の表面積が増大する
ことによる該表面積に溶液中の溶質の付着が回避され、
氷結晶生成時の氷結晶構造を強固にせしめ、氷の清澄度
を高めるとともに、溶液中の溶質の回収率を向上するこ
とができる。
【0018】また、前記冷却体表面に予め氷結晶を凍結
させておき、前記溶液から氷結晶を生成するように構成
することにより、溶液を冷却体で冷却しても予め前記冷
却体表面に存在する前記氷結晶により、冷却体が温度を
下げても前記氷結晶の表面は冷却体ほど下がらず、よっ
て、過冷却度がつかず、前記氷結晶の表面に微細な氷結
晶が生成されない。
【0019】これは、実験例(1)の結果から、生成し
た氷結晶中には、COD濃度が原水である溶液中のCO
D濃度の1/10以下しか取り込まれていないことによ
り理解される。
【0020】また、水溶液の凝固点以上の温度に加熱さ
れた前記溶液から氷結晶を生成するように構成すること
により、冷却体が温度を下げても前記溶液は冷却体ほど
下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記冷却体の表
面に微細な氷結晶が生成されない。これは、実験例
(3)の結果から、生成した氷結晶中には、COD濃度
が原水である溶液中のCOD濃度の1/10以下しか取
り込まれていないことにより理解される。
【0021】また、氷核タンパクを混入した溶液から氷
結晶を生成するように構成することにより、冷却体が温
度を下げても前記溶液は冷却体ほど下がらず、よって、
過冷却度がつかず、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が
生成されない。これは、実験例(2)の結果から、3.
5%のNaCl溶液に氷核タンパクを混入して生成した
氷結晶中には、NaCl濃度が0.37%であったこと
により理解される。
【0022】また、前記冷却体の近傍の過冷却度を抑制
するように構成したり、また、前記冷却体の近傍を、前
記冷却体表面より5cm以内の領域に形成したり、ま
た、前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より0.2℃以
内に構成することも本発明の有効な手段である。
【0023】本発明は、前記冷却体の近傍の過冷却度を
抑制するように構成しているので、冷却体による溶液の
冷却温度を低温域に下げすぎることがなく、それによ
り、過冷却度が必要以上に大きくなり、冷却体表面に、
微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷の清澄度
を低下させることがない。
【0024】そして、前記冷却体の近傍を、前記冷却体
表面より5cm以内の領域に形成することが望ましく、
また、前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より0.5℃
以上であると過冷却度が必要以上に大きくなり、冷却体
表面に、微細な氷結晶が生成され、これらが最終的な氷
の清澄度を低下させるが、液体の凝固点温度より0,3
℃以内が望ましく、0.2℃以内がさらに望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例
に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相
対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発
明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例
にすぎない。
【0026】図1は本発明に係る溶液の凍結方法の実施
のための凍結装置の構成図を示す。同図において、冷凍
濃縮装置1は、冷媒(エチレングリコール)を冷却する
ブラインクーラー2A,2Bと、内部に冷却された冷媒
が流入出する広い表面を有する複数の板状体を備えた冷
却板(冷却体)3と、内部に流入する溶液を前記冷却板
3により冷凍するタンク4を有している。
【0027】ブラインクーラー2A,2Bで冷却された
冷媒は図示しないモータにより送液管を介して冷却板3
内を循環可能に構成されるとともに、図示しない熱電対
により冷媒の温度が測定され図示しないレコーダに記録
可能に構成されている。
【0028】また、タンク4はモータ13、14に連結
したスクリュー羽根により、送液管8を介して冷却板3
により冷却される溶液を攪拌するとともに、循環可能に
構成され、さらに、循環される溶液の温度が前記冷却板
表面から5cmの位置に配置された図示しない熱電対に
より測定され図示しないレコーダに記録可能に構成され
ている。
【0029】溶液の循環経路には流量計12、弁16及
び弁17とが配置されている。流量計12は送液管8内
の溶液の流量を検出するものであり、例えば、氷結晶を
排除するようにフィルタの後に配置されるとともに、送
液管8内の断面の一部分を通過する溶液の流量を検出す
るように配置され、氷結晶の増大により溶液のの容量が
低下し、その結果、溶液の流量が低下し、該流量計の値
が一定値を示すことで、氷結晶の分離完了を知ることが
できる。この氷結晶の分離完了により、弁17を閉鎖
し、モータ13、14を停止することにより氷結晶を含
んだ溶液の循環は停止する。
【0030】弁16は、後述する実験用の人工排水を注
入する注入口である。また、弁17の入り口側に送液管
9が接続され、該送液管9には弁18、19、及び20
を介して、それぞれ氷室5、原水室6、及び濃縮水室7
が接続されている。そして、氷室5は図示しない扉が設
けられ、氷結晶の取り出しが可能であり、また、弁21
及び弁23を介して容器11に溶液を排出可能であると
ともに、モータ15を駆動して該モータ15に連結して
いるスクリューにより送液管9を介して原水室6及び濃
縮水室7に氷室5内の溶液を排出可能に構成されてい
る。
【0031】また、原水室6は、弁22及び弁23を介
して容器11に溶液を排出可能であり、濃縮水室7は弁
24を介して容器11に溶液を排出可能に構成されてい
る。
【0032】次に、本実施例による溶液の氷結晶分離動
作を説明する。弁18及び弁20を閉鎖し、弁19及び
弁17を開成し、モータ24を正転駆動すると、原水室
6から原水が吸い出され、該原水は送液管9から弁17
を介して送液管8内に送出される。モータ13及び14
が駆動すると、原水はタンク4内において、冷却板3に
より冷却され、氷結晶が生成され、原水は氷結晶を含ん
でタンク4及び送液管8を循環する。
【0033】原水の循環は流量計12により観察され、
氷結晶の粒径が増大するにつれて流量計の原水流量は減
少し、その減少量が徐々に少なくなって、最低値で安定
した時に弁17が閉鎖され、氷結晶を含んだ原水は送液
管9に流入する。
【0034】弁19及び20が閉鎖され、弁18が開成
され、モータ15が逆転駆動すると、氷結晶を含む原水
は弁18を介して氷室5に流入する。氷結晶を含む原水
の氷室5への流入が終了した段階で、弁19、24、及
び弁18が閉鎖され、弁21及び弁20が開成されてい
ると、モータ15の逆転駆動により、弁21を介して氷
室5内の濃縮された原水が濃縮水として流出して、送液
管10から送液管9を通って、弁20を介して濃縮水室
7に該濃縮水が流入する。
【0035】このような操作を繰り返して行うことによ
り、原水室6内の原水はタンク4内で氷結晶が生成さ
れ、氷室5内に原水から分離した氷結晶が集積され、濃
縮水室7内に濃縮水が集積される。
【0036】一般的に、水溶液の凝固点とは、水溶液と
氷結晶が熱力学的に共存出来る温度であり、多くの場
合、凝固点では氷結晶の生成は開始されず、水溶液の凝
固点以下の過冷却状態において生成が開始される。そし
て、氷結晶の形状は、氷結晶の成長速度と核発生速度に
より決定され、これらは、水溶液の過冷却度に比例する
ので、氷結晶の生成開始時に大きな過冷却度がつけられ
ると、冷却体表面には、微細な氷結晶が生成され、これ
らが最終的な氷の清澄度を低下させる。
【0037】通常、前記冷凍濃縮装置1のような装置に
よって原水より氷結晶の分離を行うと、氷結晶生成開始
時には概ね0.5℃以上の過冷却度がつく。これがため
に、冷却体表面には、微細な氷結晶が生成され、最終的
な氷の清澄度を低下させる。よって、冷却板上の温度が
水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下した場合で
も、原水には少なくとも0.5℃未満の過冷却度におさ
める必要があるものと考えられる。
【0038】すなわち、冷却板の温度が水の凝固点から
0.1〜0.3℃より低く、氷結晶が生成される温度よ
り下回って直接に原水に伝達されないようにする必要が
あるものと考えられる。そのためには、冷却板上の温度
が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下した場合で
も、なんらかの媒体を介して原水に熱伝達が行えば、そ
の媒体が熱を吸収して冷却板の温度が直接原水に伝達さ
れることはない。また、冷却板上の温度が水溶液の凝固
点よりも概ね1℃以下に低下しないように、原水を加熱
して原水の温度を高く設定し、冷却板により原水の温度
を下げ、原水を凍結する。
【0039】この観点に立つと、以下の三つの方法が考
えられる。 (1)予め、冷却板表面に氷結晶を生成させておく。 (2)溶液に氷核タンパクを混入して、冷却板の表面に
直接原水が接触する率を少なくする。 (3)水の凝固点以上の温度の原水を注入する。
【0040】次に、上記(1),(2),(3)の方法
を説明する。 [上記(1)の方法]図1において、弁16から、蒸留
水を注入し、冷却板3の表面に氷結晶を生成させ冷却板
3の表面に付着させておく。そして、弁25から残りの
蒸留水を排出する。その後に、原水室6からの原水によ
って、氷結晶を分離する。この方法にて、採集した氷結
晶を解凍して不純物を調べると、後述する実験例(1)
に示すように、原水中の不純物含有量に比べて1/10
以下の不純物含有量しか見いだされず、良好な氷結晶分
離を行うことができる。
【0041】このように、前記冷却体表面に予め氷結晶
を凍結させておき、前記溶液から氷結晶を生成するよう
に構成することにより、溶液を冷却体で冷却しても予め
前記冷却体表面に存在する前記氷結晶により、冷却体が
温度を下げても前記氷結晶の表面は冷却体ほど下がら
ず、よって、過冷却度がつかず、前記氷結晶の表面に微
細な氷結晶が生成されることがない。
【0042】[上記(2)の方法]図1において、3.
5%のNaCl溶液を原水とし、該原水に氷核タンパク
を混入し、タンク4内において、氷結晶の分離を行っ
た。その結果、氷室5内には氷結晶と氷核タンパクが集
積され、濃縮水室には原水が濃縮して集積された。この
方法にて、採集した氷結晶を解凍してNaClの含有率
を調べると、後述する実験例(2)に示すように、0.
37%しか見いだされず、良好な氷結晶分離を行うこと
ができる。
【0043】このように、氷核タンパクを混入した溶液
から氷結晶を生成するように構成すると、冷却体が温度
を下げても前記溶液は冷却体ほど下がらず、よって、過
冷却度がつかず、前記冷却体の表面に微細な氷結晶が生
成されることがない。
【0044】[上記(3)の方法]図1において、冷却
板上の温度が水溶液の凝固点よりも概ね1℃以下に低下
しないように、即ち、冷却板上の温度が−1℃以下にな
らないように、冷却板表面から5cmの位置に−0.2
℃に成るように原水を加熱し、タンク4内において、氷
結晶の分離を行った。その結果、氷室5内には氷結晶が
集積され、濃縮水室には原水が濃縮して集積された。こ
の方法にて、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べる
と、後述する実験例(3)に示すように、原水中の不純
物含有量に比べて1/10以下の不純物含有量しか見い
だされず、良好な氷結晶分離を行うことができる。
【0045】このように、水溶液の凝固点以上の温度に
加熱された前記溶液から氷結晶を生成するように構成す
ることにより、冷却体が温度を下げても前記溶液は冷却
体ほど下がらず、よって、過冷却度がつかず、前記冷却
体の表面に微細な氷結晶が生成されない、良好な氷結晶
分離を行うことができる。
【0046】以上詳述したように、本実施例は、溶液を
冷却体によって凍結させて、氷結晶を生成させる溶液の
凍結方法において、前記溶液から分離して凍結する氷結
時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることを特徴
としているので、溶液を冷却体によって凍結させて氷結
晶を生成させる際に、前記溶液から分離して凍結する氷
結時の過冷却度を抑制して氷結晶を生成させることがで
きる。
【0047】従って、冷却体表面に氷結晶の生成開始時
の冷却体近傍の水溶液過冷却度を小さく保つことがで
き、冷却体表面に微細な氷結晶が生成されることがな
く、その微細な氷結晶により氷結晶の表面積が増大し
て、該表面積に溶液中の溶質の付着が回避され、氷結晶
生成時の氷結晶構造を強固にせしめ、氷の清澄度を高め
るとともに、溶液中の溶質の回収率を向上することがで
きる。
【0048】また、本実施例は、前記冷却体の近傍を、
前記冷却体表面より5cm以内の領域に形成することが
望ましく、また、前記過冷却度は溶液の凝固点温度より
0.5℃以上であると過冷却度が必要以上に大きくな
り、冷却体表面に、微細な氷結晶が生成され、これらが
最終的な氷の清澄度を低下させるが、液体の凝固点温度
より0.3℃以内が望ましく、0.2℃以内がさらに望
ましい。
【0049】
【実施例】次に、前記(1)、(2)、(3)の実験例
を説明する。 実験例(1) 冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内フ
ァンの攪拌速度を1000rpm、原水を(a)有機成
分濃度:2000ppm中390ppmのCODを含
む、(b)有機成分濃度:5000ppm中1020p
pmのCODを含む、(c)有機成分濃度:10000
ppm中3440ppmのCODを含む、の3種類の人
工排水を調合して用意した。
【0050】予め図1の弁16から蒸留水を注入して、
冷却板3の表面に氷結晶を生成させ冷却板3の表面に付
着させておく。そして、弁25から残りの蒸留水を排出
する。その後に、前記3種類の人工排水を用いて、氷結
晶を分離した。この方法にて、採集した氷結晶を解凍し
て不純物を調べると、上記(a)の人工排水において
は、氷結晶中には29ppmのCODが、上記(b)の
人工排水においては、氷結晶中には23ppmのCOD
が、上記(c)の人工排水においては、氷結晶中には3
7ppmのCODが見いだされた。
【0051】この結果から、原水中の不純物含有量に比
べて、生成した氷中には1/10以下のCODしか取り
込まれないことがわかる。これは、冷却板表面にすでに
氷結晶が存在するために、冷却体が温度を下げても前記
氷結晶の表面は冷却体ほど下がらず、よって、氷結晶生
成時に過冷却度がつかず、氷表面に微細な氷結晶が生成
されなかったためと考えられる。
【0052】実験例(2) 冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内フ
ァンの攪拌速度を1000rpm、原水に3.5%Na
Cl溶液を用い、氷核タンパクを混入して人工排水を用
意した。
【0053】図1において、3.5%のNaCl溶液を
原水とし、該原水に氷核タンパクを混入した人工排水
を、タンク4内において、氷結晶の分離を行った。その
結果、氷室5内には氷結晶と氷核タンパクが集積され、
濃縮水室には原水が濃縮して集積された。この方法に
て、採集した氷結晶を解凍してNaClの濃度を調べる
と、0.37%であった。
【0054】この結果から、氷核タンパクの添加により
冷却体が温度を下げても前記人工排水は冷却体ほど下が
らず、よって、初期過冷却度がつかず、冷却板表面に氷
結晶が生成されなかったためと考える。
【0055】実験例(3) 冷却板に流入出する冷媒の温度を−10℃、タンク内フ
ァンの攪拌速度を1000rpm、原水を(a)有機成
分濃度:2000ppm中390ppmのCODを含
む、(b)有機成分濃度:5000ppm中1020p
pmのCODを含む、(c)有機成分濃度:10000
ppm中3440ppmのCODを含む、の3種類の人
工排水を調合して用意した。
【0056】図1において、冷却板上の温度が水溶液の
凝固点よりも概ね1℃以下に低下しないように、即ち、
冷却板上の温度が−1℃以下にならないように、冷却板
表面から5cmの位置に−0.2℃に成るように前記人
工排水を加熱し、タンク4内において、氷結晶の分離を
行った。その結果、氷室5内には氷結晶が集積され、濃
縮水室には人工排水が濃縮して集積された。この方法に
て、採集した氷結晶を解凍して不純物を調べると、上記
(a)の人工排水においては、氷結晶中には11ppm
のCODが、上記(b)の人工排水においては、氷結晶
中には14ppmのCODが、上記(c)の人工排水に
おいては、氷結晶中には38ppmのCODが見いださ
れた。
【0057】この結果から、原水中の不純物含有量に比
べて、生成した氷中には1/10以下のCODしか取り
込まれないことがわかる。これは、水溶液の凝固点以上
の温度に加熱された前記人工排水を冷却するために、冷
却体が温度を下げても前記人工排水は冷却体ほど下がら
ず、よって、過冷却度がつかず、前記冷却体の表面に微
細な氷結晶が生成されなかったためと考えられる。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、冷却板
の温度を水溶液の凝固点よりも大きく低下させても、冷
却板表面に清澄な氷結晶を生成さしめる方法を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶液の凍結方法の実施のための凍
結装置の構成図である。
【符号の説明】
1 冷凍濃縮装置 2 ブレインクーラー(2A,2B) 3 冷却板(冷却体) 4 タンク 5 氷室 6 原水室 7 濃縮水室 8、9、10 送液管 11 容器 12 流量計 13、14、15 モータ 16〜25 弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂下 茂 東京都江東区牡丹2丁目13番1号 株式会 社前川製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液を冷却体によって凍結させて、氷結
    晶を生成させる溶液の凍結方法において、 前記溶液から分離して凍結する氷結時の過冷却度を抑制
    して氷結晶を生成させることを特徴とする溶液の凍結方
    法。
  2. 【請求項2】 タンク内の前記冷却体表面に予め氷結晶
    を凍結させておき、その後に、前記タンク内に前記溶液
    を循環させ、前記溶液から氷結晶を生成することを特徴
    とする請求項1記載の溶液の凍結方法。
  3. 【請求項3】 水溶液の凝固点以上の温度に加熱された
    前記溶液をタンク内に循環させ、前記溶液から氷結晶を
    生成することを特徴とする請求項1記載の溶液の凍結方
    法。
  4. 【請求項4】 氷核タンパクを混入した溶液をタンク内
    に循環させ、前記溶液から氷結晶を生成することを特徴
    とする請求項1記載の溶液の凍結方法。
  5. 【請求項5】 前記冷却体の近傍の過冷却度を抑制する
    ことを特徴とする請求項1記載の溶液の凍結方法。
  6. 【請求項6】 前記冷却体の近傍とは、前記冷却体表面
    より5cm以内の領域であることを特徴とする請求項5
    記載の溶液の凍結方法。
  7. 【請求項7】 前記過冷却度は水溶液の凝固点温度より
    0.2℃以内であることを特徴とする請求項1、及び5
    記載の溶液の凍結方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003968A1 (ja) * 2004-07-02 2006-01-12 Ijimadensetsu Co., Ltd. 凍結融解による濃縮物及び懸濁固形分分離装置
US7824725B2 (en) 2007-03-30 2010-11-02 The Coca-Cola Company Methods for extending the shelf life of partially solidified flowable compositions

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