JP3543482B2 - 電極形成法 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
本発明は特定のメッキ用活性液又はメッキ用ペーストを用いて基材上に電子部品の電極を形成する方法に関する。
【0002】
セラミックや固体電解質、ガラス上に電極層を設けるには、例えば、未焼成の基材上に白金などからなるペーストを塗布して焼成する方法、あるいは基材上の電極予定部分に貴金属塩などで無電解メッキを施して電極を形成する方法などが知られている。このような方法で得られた電極は、使用雰囲気に被毒されやすかったり、絶縁層部分の絶縁性が損なわれることが多い。かかる欠点を解消する方法として、特開平4−95766号公報には、まず未焼成の固体電解質本体上に白金などの有機貴金属インク(活性液又は活性ペースト)からなる塗膜を形成し、ついで焼成を行って貴金属の核付け部を設け(シーディング)、更にその上にメッキ層を設けることにより固体電解質本体への電極の密着性を改善した電極形成法が開示されている。
【0003】
従来、このような方法では硫化バルサム白金、塩化白金などの活性液を用いてメッキが行われているが、活性液の分解温度が高く、また分解物の影響などにより、メッキされた貴金属電極の機械的物性や電気的特性が充分でない。
【0004】
【目的及び発明の概要】
本発明の目的はこのような従来技術の問題を解消するものである。本発明者らは従来の電極製造法について検討を行った結果、電極の核付部形成に新たな活性液を用いることにより、前記の欠点がなく優れた特性を有する電極を製造することができるとの知見を得て本発明を完成した。
【0005】
本発明は基材にビス[ジ ( 置換 ) ベンジリデンアセトン]白金、溶剤及び樹脂からなるメッキ用活性液を印刷し、これを焼成した後、貴金属の電極膜を形成する電極形成法を提供するものである。本発明で用いられるビス[ジ ( 置換 ) ベンジリデンアセトン]白金としては、ビス[ジ ( イソブチル ) ベンジリデンアセトン]白金、ビス[ジ ( イソプロピル ) ベンジリデンアセトン]白金及びビス[ジベンジリデンアセトン]白金が好ましい。
【0006】
なお、従来の活性液や活性ペーストは塩素あるいは硫黄を含み、焼成工程でこれらのガスが生じたり、あるいはこれらの成分が活性膜やメッキ膜に残留したりして、得られた電極の電気的、機械的な機能特性に悪影響を及ぼしていたと推定される。本発明の製造法にて用いられる活性液は、塩素、硫黄を含まず、電極の特性に悪影響を及ぼす懸念がないだけでなく比較的低温での焼成が可能となる。
【0007】
【発明の詳細な開示】
つぎに本発明のメッキ用活性液およびペーストについて詳しく説明する。
【0008】
(有機金属錯体)
本発明で用いられる代表的な有機貴金属錯体としては、下式(I):
【化1】
(式中、Mは貴金属原子、Rは水素、炭素数1〜8のアルキル又はアルコキシを意味する)
にて表されるビス[ジベンジリデンアセトン]貴金属及びビス[ジ(置換)ベンジリデンアセトン]貴金属(本明細書中、これらを併せてビス[ジ(置換)ベンジリデンアセトン]貴金属と表記する)が好ましい。
【0009】
ベンゼン環上の置換基Rとしては、水素のほか、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐鎖を有するアルコキシ基が挙げられる。これらのうち、炭素数3または4のアルキル、アルコキシが好ましい。また、金属としては白金、パラジウムなどの貴金属が好ましい。
【0010】
これらの代表的な好ましい化合物としては、ビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金、ビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金、ビス[ジベンジリデンアセトン]白金などが挙げられる。これらは単独で、あるいは混合して用いてもよい。
【0011】
なお、本発明にて使用されるビス[ジ(置換)ベンジリデンアセトン]貴金属は、つぎの方法により製造することができる。すなわち、所望の貴金属錯体に対応するジ(置換ベンジリデン)アセトンを例えばエタノール、メタノールなどの適宜の溶媒に溶解する。これに、還元剤として、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを加え、温度50℃〜還流下、好ましくは70〜80℃にて加熱、撹拌する。この混合液にジ(置換)ベンジリデンアセトンがH2PtCl6に対し、2〜5倍モル、好ましくは2.1〜2.5倍モルとなるようH2PtCl6を加えて反応を行う。反応は温度50℃〜還流下、好ましくは70〜80℃にて1〜24時間、好ましくは3〜10時間行う。反応終了後、結晶を分離し、洗浄を行う。
【0012】
(ビフィクル)
本発明のメッキ用活性液に用いられる溶剤としては、テルピネオール、ブチルカルビトール、ソルベントナフサなどが挙げられる。これらのうち特に、テルピネオールが好ましい。
【0013】
また、この活性液をペーストの形態で用いる場合に配合する樹脂としては、エチルセルロース、セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;アクリル樹脂などが挙げられる。これらのうち、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0014】
(調製法)
本発明の活性液を調製するには、ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン白金などのジ(置換)ベンジリデンアセトン貴金属1重量部に対して、前記溶剤30〜200重量部、好ましくは30〜50重量部、さらには必要により樹脂30重量部以下、好ましくは2〜18重量部を加えて常法により混合し、活性液、または適宜の粘度、例えば50〜10000csのペースト状の活性液を得る。
【0015】
このような本発明の活性液あるいは活性ペーストを用いて基材に貴金属電極のメッキを行うには、まずガラスやセラミック、固体電解質などの基材上に公知の方法により活性液又は活性ペーストを印刷し、これを焼成して核付け(シーディング)を行う。つぎに、これに無電解メッキによって白金、パラジウムなどの貴金属膜を形成する。
【0016】
このようにして基材に電極膜をメッキした電子部品は、酸素センサーや温度センサーなどとして用いられる。
【0017】
【実施例】
つぎに本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。実施例、比較例において部は重量部を意味する。
【0018】
[製造例1]
ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン1モルをエタノールに溶解した。精製水(800cc)に酢酸ナトリウム4モルを溶解し、これに先のエタノール溶液を加えて加熱撹拌した。この溶液に、H2PtCl6 0.4モルを水に溶解した溶液を投入し6時間還流した。この混合液を還流終了後、室温まで冷却し、濾過、洗浄し粉末を得た。この粉末はTG−DTAによりビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金であることが確認された。
【0019】
[実施例1]
製造例1にて得られたビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金2部、エチルセルロース溶液(エチルセルロース20%、ブチルカルビトール80%)60部およびテルピネオール38部を常法により混合し活性ペースト液を製造した。
【0020】
得られた活性液をスクリーン(300mesh)を用いて基材(ジルコニア)上に印刷し、これを300℃、400℃、500℃及び600℃の4種類の焼成温度で1時間焼成した。焼成温度の異なる各基材上に電極液としてPtメッキ液(DX-5010大研化学工業(株)製、Pt含有量1%)を印刷し1200℃にて熱処理し電極を得た。得られた電極表面の様子を顕微鏡により観察し、粘着テープを用いて剥離テストを行った。結果を表1に示す。
【0021】
[実施例2]
製造例1にて得られたビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金2部、アクリル溶液(アクリル20%、ソルベントナフサ80%)50部、可塑剤(ジエチルフタレート)およびテルピネオール43部を常法により混合し活性ペースト液を製造した。得られた活性液を用いて実施例1と同様に印刷、焼成を行い電極メッキを行った。結果を表1に示す。
【0022】
[比較例1]
硫化バルサム白金2部、石油系樹脂20部、セルロース溶液(セルロース20%、テルピネオール80%)30部及びテルピネオール48部を常法により混合し活性ペースト液を製造した。得られたペーストはビフィクルとの相溶性が悪かった。得られた活性液を用いて実施例1と同様に印刷、焼成を行い電極メッキを行った。結果を表1に示す。
【0023】
[実施例3]
製造例1にて得られたビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金2部及びテルピネオール98部を常法により混合し活性ペースト液を製造した。得られた活性液を実施例1と同様に用いて電極メッキを行った。
【0024】
[製造例2](ビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金の製造)
ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン79.5gを用いた以外は製造例1と同様にしてビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金を製造した。
【0025】
[実施例4]
製造例2にて得られたビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金2部、ニトロセルロース溶液(ニトロセルロース15%、ブチルカルビトール85%)20部、アクリル溶液(アクリル20%、テルピネオール80%)20部およびエステル系溶剤58部を常法により混合し活性ペースト液を製造した。得られた活性液を用いて実施例1と同様にして電極メッキを行った。
【0026】
【0027】
(溶解試験)
前記製造例1にて得られたビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金及び製造例2にて得られたビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金について、各種ビフィクルへの溶解性を試験した。溶解性試験はビーカー中、各ビフィクル(20%テルピネオール溶液)100ml対して有機貴金属化合物10gを溶解し、10分間充分に撹拌した後、溶液の状態を目視により観察した。結果を下記の表2に示す。
【0028】
【0029】
(印刷性試験)
実施例1〜4および比較例1にて用いたメッキ活性液の印刷性を試験した。印刷は市販のジルコニア基板上に300meshスクーンまたはシリコンパッドを用いて印刷を行い600℃で焼成した。結果を下記の基準に基づき目視で判定した。
【0030】
【発明の効果】
本発明の方法にて、メッキ用活性液により基材にシーディングを行い電極をメッキすると、高品質で均一なメッキ膜が形成され、電気的、機械的特性に優れた電子部品が得られる。また、比較的低温での焼成が可能である。
Claims (2)
- 基材にビス[ジ(置換)ベンジリデンアセトン]白金、溶剤及び樹脂からなるメッキ用活性液を印刷し、これを焼成して核付けを行った後、無電解メッキして貴金属の電極膜を形成する電極形成法。
- ビス[ジ(置換)ベンジリデンアセトン]白金が、ビス[ジ(イソブチル)ベンジリデンアセトン]白金、ビス[ジ(イソプロピル)ベンジリデンアセトン]白金及びビス[ジベンジリデンアセトン]白金から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1の電極形成法。
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