JP3543256B2 - 取外可能なハーネスクリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のエンジンルーム内に配線されるハーネスを結束して、パネルの所定位置に固定することのできる取外可能なハーネスクリップの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種取外可能なハーネスクリップとして、実開平7−10518号公報の図10から図16に示すものが存する。
該従来のハーネスクリップは、具体的には図示しないが、合成樹脂の一体成形品で、ハーネスを抱持する長尺なバンド体と、パネルの取付孔に固定される固定体とから成り、前者のバンド体は、その片面に連続する鋸歯状列歯を形成し、後者の固定体は、中空筒状を呈し、その上部側にバンド体を自由端部側から挿通する逆止爪付の挿通孔を固定体の軸線方向と直交する状態に形成する一方、挿通孔の貫通方向において対向する側壁に突出肩部を有する一対の係止脚片をスリットを介して撓み可能に設けると共に、一方の係止脚片の上端部と当該係止脚片の反対側に存する挿通孔の入口側孔縁とに互いに外方に延びる一対の操作片を一体に突設して、上記バンド体の基端部を当該挿通孔の出口側孔縁に連設する構成となっている。
【0003】
そして、実際の使用に際しては、バンド体でハーネスの外周を抱持する状態を得て、バンド体をその自由端部側から上記固定体の挿通孔内に横方向から挿通し、当該バンド体の鋸歯状列歯の所定部位を上記逆止爪に係合して、バンド体でハーネスを結束した後、固定体をパネルの取付孔に差し込んで、その各係止脚片の突出肩部を同取付孔の孔縁に弾性的に係止することにより、ハーネスが結束状態のままパネル側に固定されることとなる。
【0004】
逆に、このクリップをパネルから取り外す必要が生じた場合には、パネル面に当接している一対の操作片を把持して、当該各操作片を互いに接近する方向に押圧すると、これと連動して、操作片が設けられている一方の係止脚片が内方に変位して、自身の突出肩部の取付孔の孔縁に対する係止状態を解くので、斯る状態のまま、固定体をパネルの取付孔から引き抜けば、パネルから取り外すことが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来のハーネスクリップにあっては、固定体側を損傷・破損することなく、パネルから取り外せる利点を有することとなるが、その構造上、バンド体を挿通孔に挿通する方向の直下に一対の操作片が存在する関係で、クリップをパネルから取り外す場合には、各操作片の上位にあるバンド体の存在が邪魔となって、操作片を把持しずらくなるので、自ずと、クリップの取外作業が大変となってしまう嫌いがあった。
又、固定体の上部に固定体の軸線方向と直交する挿通孔を形成することは、上記取外作業の問題点に加えて、ハーネスの結束支持位置が自ずと高くなるので、周辺機器との関係では、使用に不向きとなる恐れも十分にあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯る従来の取外可能なハーネスクリップの課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、ハーネスを抱持するバンド体と、パネルの取付孔に係止脚片を介して固定される固定体とから成り、上記係止脚片を内方に変位させることにより、固定体の取付孔に対する固定状態を解いて、パネルから取り外すことのできるハーネスクリップにおいて、バンド体の基端部を内側に空所を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部を上記固定体に連設し、二叉状基端部の空所内に上記係止脚片を内方に変位させる操作片を設ける構成を採用した。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、固定体の内部軸線方向にバンド体を挿通する挿通孔を形成する一方、係止脚片の固定体に対する連結部に上記挿通孔内に臨む逆止爪を一体に設けて、当該逆止爪を挿通孔内に挿通されたバンド体の列歯に係合させる構成を採用した。
【0008】
依って、請求項1記載の発明にあっては、バンド体によるハーネスの結束状態の下では、バンド体の二叉状基端部が、ハーネスの結束に応じて、上方に持ち上げられて湾曲することとなるので、当該二叉状基端部の空所内に設けられた操作片は、二叉状基端部の空所から完全に脱して、パネル面に沿いながら外方に突出することとなる。従って、クリップをパネルから取り外すために、係止脚片を内方に変位させる場合には、バンド体の存在が邪魔となることがないので、クリップのパネルからの取外作業が頗る容易となる。
【0009】
請求項2記載の発明にあっては、これに加えて、ハーネスの結束支持位置をできるだけ低くすることが可能となるので、周辺機器との干渉が回避できると共に、操作片の操作で、逆止爪とバンド体の列歯との係合状態を解いて、挿通孔からバンド体を引き抜くことも可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る取外可能なハーネスクリップも、合成樹脂の一体成形品で、図1乃至図3に示す如く、ハーネスを抱持する長尺なバンド体1と、パネルの取付孔に固定される固定体2とから成るものであるが、前者のバンド体1に対しては、その両面に連続する鋸歯状列歯3A・3Bを形成すると共に、その基端部1aを内側に空所4を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部1aを固定体2の上端一側縁に面一状態をもって連設する構成となしている。
【0011】
又、後者の固定体2に対しては、上下方向に貫通する先細りの中空楕円筒形状となして、その内部の軸線方向にバンド体1を自由端部1b側から挿通する挿通孔5を形成する一方、バンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの上部に、突出肩部6aを有する一対の係止脚片6を固定体2の上端に達する平行スリット7を介して撓み可能に設けて、該各係止脚片6の上端部に外方に水平状態をもって延びる一対の操作片8A・8Bを一体に突設する構成となっている。
従って、バンド体1が連設されていない側の操作片8Aは、そのままの露呈した状態で、固定体2から外方に突出することとなるが、バンド体1が連設されている側の操作片8Bは、逆に、上記した二叉状基端部1aの空所4内に突出することとなる。
【0012】
これに加えて、上記挿通孔5のバンド体1が連設されていない入口側孔縁に一対のテーパー突起9を一定の間隔をおいて立設すると共に、バンド体1が連設されていない方向において対向する側壁2bの上端縁に一対のフランジ片10を斜設し、且つ、バンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの下部に、挿通孔5内に傾斜する状態をもって臨む一対の逆止爪11を固定体2の下端に達する平行スリット12を介して撓み可能に設ける構成となしている。この為、各逆止爪11と係止脚片6との関係は、夫々の撓み支点となる連結部13を介して一体的に連続することとなる。
【0013】
依って、斯る構成のハーネスクリップを用いて、ハーネスHをパネルPの所定位置に固定する場合には、バンド体1の鋸歯状列歯3Aが形成されている片面でハーネスHの外周を抱持する状態を得て、バンド体1をその自由端部1b側から上記固定体2の挿通孔5内に縦方向から挿通しながら、当該自由端部1bを下方に引き出して、バンド体1の両面に形成されている鋸歯状列歯3A・3Bの所定部位に対応する逆止爪11を係合させれば、この両面に対する強固な係合状態の下で、ハーネスHがバンド体1により確実に結束される。
尚、この場合には、上記したテーパー突起9の存在によって、バンド体1の自由端部1bの挿通孔5内に対する挿通作業がスムーズに行なわれると共に、ハーネスHを結束したバンド体1の操作片8A方向への倒れをも有効に阻止できるので、当該操作片8Aがバンド体1によって隠されることは決してない。
【0014】
従って、後は、各フランジ片10のパネルP面に対する弾性当接作用を伴って、固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込むと、一対の係止脚片6が内方に撓みながら取付孔Paを通過した後、外方へ拡がった原形に復帰して、各自の突出肩部6aを取付孔Paの孔縁に弾性的に係止するので、これにより、図4に示す如く、ハーネスHが結束状態のままパネルP側に固定されることとなる。
【0015】
尚、斯る状態にあっては、バンド体1の二叉状基端部1aは、図示する如く、ハーネスHの結束に応じて、上方に持ち上げられて湾曲することとなるので、当該側の操作片8Bは、二叉状基端部1aの空所4から完全に脱して、逆側の操作片8Aと同様に、パネルP面に沿いながら露呈した状態で外方に突出することとなる。
又、固定体2の内部軸線方向に挿通孔5が形成されている関係で、従来のものと比較すると、ハーネスHの結束支持位置を低くすることが可能となるので、周辺機器との干渉も効果的に回避できることとなる。
【0016】
そして、クリップ自体をパネルPから取り外す必要が生じた場合には、ハーネスHの上方から上記一対の操作片8A・8Bを把持して、当該一対の操作片8A・8Bを各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向に押圧すると、図5に示す如く、これと連動して、各係止脚片6が上記連結部13を支点として内方に変位して、各自の突出肩部6aの取付孔Paの孔縁に対する係止状態を解くので、斯る状態のまま、固定体2をパネルPの取付孔Paから引き抜けば、固定体2側を損傷・破損することなく、パネルPから取り外すことが可能となる。
【0017】
しかも、この場合には、既述した如く、バンド体1が連設されている側の操作片8Bは、二叉状基端部1aの空所4から完全に脱して外部に露呈し、バンド体1が連設されていない側の操作片8Aは、テーパー突起9の倒れ込み防止作用で、やはり、バンド体1に隠されることなく外部に露呈しているので、一対の操作片8A・8Bの把持・押圧作業は極めて容易となる。
【0018】
又、これに続いて、ハーネスHの結束状態をも併せて解除したい場合には、一対の操作片8A・8Bを前記以上の力で押圧すると、図6に示す如く、今度は、上記連結部13を支点として、一対の逆止爪11が対応する係止脚片6の内方への変位と連動して外方に変位して、バンド体1の鋸歯状列歯3A・3Bから外れるので、後は、斯る状態のまま、挿通孔5からバンド体1を引き抜けば、操作片8A・8Bを利用するだけで、ハーネスHの結束状態をも極めて容易に解除できることとなる。
【0019】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1にあっては、バンド体によるハーネスの結束状態の下では、バンド体の二叉状基端部が、ハーネスの結束に応じて、上方に持ち上げられて湾曲することとなるので、当該二叉状基端部の空所内に設けられた操作片は、二叉状基端部の空所から完全に脱して、パネル面に沿いながら外方に突出することとなる。この結果、クリップを取り外すために、係止脚片を内方に変位させる場合には、バンド体の存在が邪魔となることがないので、クリップのパネルからの取外作業が頗る容易となる。
【0020】
請求項2にあっては、これに加えて、ハーネスの結束支持位置をできるだけ低くすることが可能となるので、周辺機器との干渉を回避できると共に、操作片の操作で、逆止爪とバンド体の列歯との係合状態を解いて、挿通孔からバンド体を引き抜くことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の実施の形態に係るハーネスクリップの平面図、(B)は同ハーネスクリップの底面図である。
【図2】(A)は同ハーネスクリップの正面図、(B)は同ハーネスクリップの側面図である。
【図3】(A)は図1AのA−A線断面図、(B)は図1AのB−B線断面図である。
【図4】ハーネスを結束してパネルに固定した状態を示す断面図である。
【図5】突出肩部がパネルの取付孔の孔縁から外れた状態を示す要部断面図である。
【図6】逆止爪がバンド体の鋸歯状列歯から外れた状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 バンド体
1a バンド体の二叉状基端部
1b バンド体の自由端部
2 固定体
2a 固定体の側壁
2b 固定体の側壁
3A 鋸歯状列歯
3B 鋸歯状列歯
4 空所
5 挿通孔
6 係止脚片
6a 突出肩部
7 平行スリット
8A 操作片
8B 操作片
9 テーパー突起
10 フランジ片
11 逆止爪
12 平行スリット
13 連結部
H ハーネス
P パネル
Pa パネルの取付孔
Claims (2)
- ハーネスを抱持するバンド体と、パネルの取付孔に係止脚片を介して固定される固定体とから成り、上記係止脚片を内方に変位させることにより、固定体の取付孔に対する固定状態を解いて、パネルから取り外すことのできるハーネスクリップにおいて、バンド体の基端部を内側に空所を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部を上記固定体に連設し、二叉状基端部の空所内に上記係止脚片を内方に変位させる操作片を設けることを特徴とする取外可能なハーネスクリップ。
- 固定体の内部軸線方向にバンド体を挿通する挿通孔を形成する一方、係止脚片の固定体に対する連結部に上記挿通孔内に臨む逆止爪を一体に設けて、当該逆止爪を挿通孔内に挿通されたバンド体の列歯に係合させることを特徴とする請求項1記載の取外可能なハーネスクリップ。
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