JP3695354B2 - ワイヤハーネス用のクランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネス用のクランプに関し、特に、ワイヤハーネスにコルゲートチューブを取り付けた状態で、該コルゲートチューブに外嵌して車体に取り付けるものに好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車に配索されるワイヤハーネスには、外部材からの保護を目的としてコルゲートチューブを外装しており、コルゲートチューブを外装したワイヤハーネスを車体に取り付ける際には、コルゲートチューブ用のクランプを用いている。
【0003】
従来、この種のコルゲートチューブ用のクランプは、図8、図9に示す構成とされている。即ち、クランプ1は、一端がヒンジ部1Aで連結された第一半円環部2と第二半円環部3とからなる。第一半円環部2には、その開放端部の幅方向の両側にロック爪2bを突設したロック片2aを設けると共に、開放端部の中央部に係止ブラケット挿通用の貫通穴2cを穿設している。
第二半円環部3の開放端部に上記ロック片2aと車体の係止ブラケットBとを収納する枠部3aをボックス状に設け、該枠部3aの両側壁に上記ロック爪2bとロック結合する係止部3bを設けている。これら第一半円環部2と第二半円環部3の内周面には、コルゲートチューブKの谷部Kaにかみ合う突条2d、3dを設け、ワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブKに外嵌した状態でロック爪2bと係止ブラケッ3bとを係止させてロック結合している。
【0004】
上記枠部3a内には係止ブラケットBに係合する係止ロック片3eを設け、係止ロック片3eにはロック爪3fを設け、係止ブラケットBの係止穴にロック爪3fを挿入係止させて、クランプ1を車体に取り付けている。
上記係止ブラケットBの係止穴と係止するロック爪3fの背面側の枠部3aに開口3cを設け、開口3cを通して係止ロック片3dを引っ張るとロック爪3fが係止ブラケットの係止穴から離脱し、係止ブラケットBよりクランプ1を取り外せるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のクランプは、車体の係止用ブラケットに対しては取り外し可能としているが、ワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブKにクランプ1の第一半円環部2と第二半円環部3を外嵌して、第一半円環部2のロック爪2bを第二半円環部3の係止部3bに係止してロックすると、該ロックを解除することは出来ない構成となっている。
【0006】
よって、ワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブKへのクランプ1の取付位置を間違えた場合、あるいは、係止ブラケットとの位置ずれが生じてクランプ1を変更した場合など、コルゲートチューブKからクランプ1を取り外す場合にはクランプ1を破壊する必要がある。
また、ワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装して、該コルゲートチューブを介して車体に取り付ける場合のみに限らず、ワイヤハーネスの外周面に取り付けて、その係止部を車体の係止用ブラケットにロック固定する場合には、上記した問題が発生する。
【0007】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスに直接、あるいは、ワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブに外嵌してロック結合するクランプを取り外すことが可能な構成とすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ヒンジ部で連結された第一半側部と第二半側部の開放端をロック結合すると共に、車体より突設する係止ブラケットとの係合で車体へ取り付けるクランプにおいて、
上記第一半側部の開放端部に係止用ブラケットの貫通穴を設けると共に、該貫通穴の外側縁より可撓性のロック片を突設し、該ロック片の先端近傍の内面に車体の係止用ブラケットと係止する第1ロック爪を設けると共に、基端近傍の外面に第二半側部とロック結合させる第2ロック爪を突設する一方、
上記第二半側部の開放端部に、上記ロック片及び上記車体側の係止ブラケットを差し込む枠部を設け、該枠部の外側壁に、上記差し込まれるロック片を露出させる開口部を設けると共に上記第2ロック爪と係止する係止部を設け、
上記貫通穴を通して枠部に差し込まれる上記車体の係止ブラケットの係止穴に上記ロック片の第1ロック爪を係止して車体に取り付ける一方、上記枠部から露出するロック片を引くと第1ロック爪による係止ブラケットの係止が解除される一方、上記ロック片を押すと上記第2ロック爪と上記係止部とのロックが解除されて第一半側部と第二半側部とのロックが解除される構成としているワイヤハーネス用のクランプを提供している。
【0009】
上記構成からなる本発明のクランプは、第一半側部の開放端部に突設するロック片に、第二半側部とのロック結合用の第2ロック爪と車体側の係止ブラケットとの係合用の第1ロック爪とを設け、第二半側部の枠部の開口部より外部に露出させていることにより、開口部を通してロック片を内側へと押すと第2ロック爪を第二半側部の係止部より離脱させることができ、その結果、クランプをワイヤハーネスより取り外すことができる。
【0010】
このように、ワイヤハーネスに取り付けたクランプを取り外すことができるため、クランプの取付位置を間違えた場合等のクランプ位置の変更を行う場合に、クランプを壊す必要がなくなる。
なお、ワイヤハーネスに対するクランプ位置の変更を行う場合には、クランプ内に車体側の係止ブラケットが挿入されていない段階であるため、ロック片の第1ロック爪は係止ブラケットと係止されておらず、よって、ロック片を押すと第2ロック爪が係止部と離脱する方向に傾斜させることができる。
また、双方の半側部同士を係合するロック爪は、ロック片の外側面に設けているので、次工程として車体に取り付ける際の係止ブラケットの挿入を邪魔するものではない。
【0011】
一方、車体側の係止ブラケットに取り付けたクランプを取り外す場合には、開口部を通してロック片を外側へと引くことにより、従来と同様に、第1ロック爪と車体側の係止ブラケットとのロックを解除することができる。この時、第1ロック爪はロック片の先端にあり、第2ロック爪はロック片の基部にあるため、ロック片を先端を引くことにより第1ロック爪を係止ブラケットの係止穴から離脱させることができる。
【0012】
上記クランプを車体ブラケットに係止する時は、互いにロックされて連通状態となっている第一半側部の貫通穴と第二半側部の枠部を通して係止ブラケットを挿入し、ロック片の先端側に設けた第1ロック爪を係止ブラケットの係止穴に挿入係止する。
この状態でロック片は係止ブラケット側の内側へ傾斜することはできず、ロック片に押圧力が作用してもロック片は傾斜せず、第2ロック爪が係止部より離脱せず、クランプの第一、第二半側部のロックが解除されない。
【0013】
また、車体ブラケットからクランプを取り外したのち、該クランプのロック片を押すことにより、クランプの半側部同士のロック結合も容易に解除でき、クランプを再使用可能となる。
【0014】
上記第二半側部に設ける枠部はボックス形状とし、その外側壁の中央の上側に上記係止部を残して下部を切り欠いて上記開口部を設け、該開放部の幅は上記ロック片の幅より大としている。
さらに、上記ロック片の第1ロック爪の上面は、基部側への傾斜面とする一方、上記第2ロック爪の下面は先端側への傾斜面とし、かつ、傾斜面からエッジを介して平坦面を切り落とし、係止面としている。
上記のように第1、第2ロック爪を傾斜させると、ロックされやすいと共にロックが外れにく形状とすることができる。
【0015】
上記クランプはワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブに取り付けるもので、上記第一半側部は第一半円環部とし、第二半側部は第二円環部とし、かつ、 上記第一半円環部および第二半円環部の内周面には突条を設け、ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブの谷部に嵌合係止する構成としている。
なお、本発明のクランプはコルゲートチューブに取り付けるクランプに限定されず、車体から突出する係止ブラケットをクランプに設けた係止部に差し込みでロックするタイプのクランプに適用できるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1乃至図6を参照して説明する。
第1実施形態はワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装し、該コルゲートチューブに取り付けるコルゲートチューブ用のクランプ10である。該クランプ10は、一端がヒンジ部11で連結された第一半円環部20と第二半円環部30とからなる樹脂成形品で、開放端においてロック結合される。
クランプ10は、コルゲートチューブに第一半円環部20と第二半円環部30とをロックさせて外嵌し、この状態で車体より突設する係止ブラケットBに係合して車体へ取り付けられる。
【0017】
第一半円環部20は、開放端部に可撓性のロック片21を、その両面がコルゲートチューブの軸線方向と平行に突設しており、ロック片21の突設個所の内側には係止ブラケットBを挿通するための貫通穴22を穿設している。ロック片21は、内側面の先端近傍に係止ブラケットBとの結合用の第1ロック爪21bを突設し、外側面の突設基部の上方近傍に第一、第二円環部をロックするための第2ロック爪21aを突設している。
【0018】
上記第1ロック爪21b、第2ロック爪21aとも図4(B)に示すように、外面を傾斜面21b−1、21a−1として係止しやすくする一方、第1ロック爪21bの下端係合面と、第2ロック爪21aの上端係合面とは上記傾斜面より鋭角に切り落とした平坦面21b−2、21a−2として、ロックを外れにくくしている。
【0019】
第二半円環部30は、開放端部に、ロック片21と係止ブラケットBとを収納するための枠部31をボックス状に設けている。この枠部31は、外側の壁部の中央個所の上部に第2ロック爪21aと係止する係止部31aを残して、ロック片21より大きい幅で切り欠いて開口部31bを設けている。
第一半円環部20と第二半円環部30の内面にはコルゲートチューブKの凹溝Kaに噛み合う突条12を設けている。
【0020】
クランプ10をワイヤハーネス(図示せず)に外嵌したコルゲートチューブKに取付ける際には、第一半円環部20と第二半円環部30とヒンジ11とによって形成される円環状の部分にコルゲートチューブKを挟んで、双方の半円環部を開放端部でロック結合する。
詳しくは、図4の要部断面図に示すように、第一半円環部のロック片21を第二半円環部の枠部31に挿入する。枠部31に挿入するロック片21は可撓性を有するため、第2ロック爪21aの部分が係止部31aに接して傾斜しながら枠部31内を進み、係止部31aを越えた所で第2ロック爪21aが係止部31aに係合してロック状態となる。ロック片21はロック後は真っ直ぐな状態に戻る。
【0021】
コルゲートチューブKへのクランプ取付位置を間違えた場合等において、クランプ10をコルゲートチューブKから取り外す必要がある場合、未だクランプ10内には係止ブラケットBが挿入されておらず、ロック片21を内側方向に傾斜させることは可能である。よって、図5に示すように、開口部31bから指先を入れてロック片21の先端を内側方向へ押して傾斜させると、第2ロック爪21aは係止部31aから外れて、第一、第二半円環部20と30とのロック結合を解除することができる。このようにロックを解除するとコルゲートチューブKからクランプ10を取り外すことができ、コルゲートチューブKの正規位置にクランプ10を取付直すことができる。
【0022】
コルゲートチューブKに外嵌したクランプ10を車体に取り付ける際には、図6(A)に示すように、互いにロックされて連通状態となっている第一半円環部20の貫通穴と22と第二半円環部30の枠部31を通して係止ブラケットBを挿入し、ロック片21の先端側に設けた第1ロック爪21bを係止ブラケットBの係止穴Baに挿入係止する。
【0023】
この車体取付状態でロック片21の内側に係止ブラケットBが位置するため、ロック片21は内側に傾斜することはできず、ロック片21に外部押圧力が作用してもロック片21は傾斜せず、第2ロック爪21aが係止部31aより離脱せず、クランプ10の第一、第二半円環部20、30のロックが解除されない。
【0024】
車体側の係止ブラケットBに取り付けたクランプ10を取り外す場合には、図6(B)に示すように、開口部を通してロック片21の先端を外方へ引くことにより、従来と同様に、第1ロック爪21bと車体側の係止ブラケットとのロックを解除することができる。この時、第1ロック爪21bはロック片21の先端にあり、第2ロック爪21aはロック片21の基部にあるため、ロック片21の先端を引くことにより第1ロック爪21bを係止ブラケットBの係止穴Baから容易に離脱させることができる。
【0025】
図7は第2実施形態を示し、コルゲートチューブを外装していないワイヤハーネスW/Hにクランプ10’を取り付けている。このクランプ10’は第1実施形態のクランプに対して、第一半円環部20’と第二半円環部30’の内周面に、コルゲートチューブの谷部に嵌合する突条を設けていない点が相違する。また、第一半円環部20’と第二半円環部30’とをワイヤハーネスW/Hに外嵌してロック結合した状態でワイヤハーネスW/Hの外周面に密着する径となるように設定している。
他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0026】
さらに、ヒンジ部を介して設ける上記第一、第二半円環部を偏平な第一半側部と第二半側部として、フラットハーネスに取り付けるクランプとしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のクランプでは、第一半側部と第二半側部とのロックを、開口を通してロック片を内側に押すことにより簡単に解除でき、ワイヤハーネスから容易に取り外すことができる。よって、ワイヤハーネスへのクランプの取付位置を間違えた場合、あるいは、リサイクルのためにワイヤハーネスからクランプを取り外す時に、ワンタッチでロック解除できる。従った、従来のようにワイヤハーネスからの取り外し時にクランプが破損されず、クランプの有効利用を図ることができる。
【0028】
また、クランプを車体側の係止ブラケットに係止している状態では、ロック片が係止ブラケットにより内側に傾斜できず、外部押圧力がロック片に作用しても、不用意にロックが解除されることはない。
【0029】
さらに、本発明のクランプはワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装している場合において、該コルゲートチューブに取り付けるクランプとして特に好適に用いられるが、コルゲートチューブ用のクランプに限定されず、ワイヤハーネスに直接取り付けるクランプとしても用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のクランプを示し、ロック前の状態を示す斜視図である。
【図2】 上記クランプをロックした状態を示す斜視図である。
【図3】 図1の断面図である。
【図4】 ロック結合部の要部断面図である。
【図5】 クランプのロック解除作用を示す断面図である。
【図6】 (A)(B)は車体側の係止ブラケットとクランプのロックおよびアンロック作用を示す断面図である。
【図7】 本発明の第2実施形態を示す図面である。
【図8】 (A)は従来クランプを示す斜視図、(B)は断面図である。
【図9】 (A)(B)は従来クランプの車体への係止状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 クランプ
11 ヒンジ
12 突条
20 第一半円環部
21 ロック片
21a 第2ロック爪
21b 第1ロック爪
22 貫通穴
30 第二半円環部
31 枠部
31a 係止部
31b 開口部
B 係止ブラケット
K コルゲートチューブ

Claims (3)

  1. ヒンジ部で連結された第一半側部と第二半側部の開放端をロック結合すると共に、車体より突設する係止ブラケットとの係合で車体へ取り付けるクランプにおいて、
    上記第一半側部の開放端部に係止用ブラケットの貫通穴を設けると共に、該貫通穴の外側縁より可撓性のロック片を突設し、該ロック片の先端近傍の内面に車体の係止用ブラケットと係止する第1ロック爪を設けると共に、基端近傍の外面に第二半側部とロック結合させる第2ロック爪を突設する一方、
    上記第二半側部の開放端部に、上記ロック片及び上記車体側の係止ブラケットを差し込む枠部を設け、該枠部の外側壁に、上記差し込まれるロック片を露出させる開口部を設けると共に上記第2ロック爪と係止する係止部を設け、
    上記貫通穴を通して枠部に差し込まれる上記車体の係止ブラケットの係止穴に上記ロック片の第1ロック爪を係止して車体に取り付ける一方、上記枠部から露出するロック片を引くと第1ロック爪による係止ブラケットの係止が解除される一方、上記ロック片を押すと上記第2ロック爪と上記係止部とのロックが解除されて第一半側部と第二半側部とのロックが解除される構成としているワイヤハーネス用のクランプ。
  2. 上記第二半側部に設ける枠部はボックス形状とし、その外側壁の中央の上側に上記係止部を残して下部を切り欠いて上記開口部を設け、該開放部の幅は上記ロック片の幅より大としている請求項1に記載のワイヤハーネス用のクランプ。
  3. 上記クランプはワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブに取り付けるもので、上記第一半側部は第一半円環部とし、第二半側部は第二円環部とし、かつ、
    上記第一半円環部および第二半円環部の内周面には突条を設け、ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブの谷部に嵌合係止する構成としている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用のクランプ。
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