JP3542209B2 - 耐候性に優れた溶接構造用鋼 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海岸地域に建設される橋梁や鉄塔などの塩水が関与した腐食環境で用いられる溶接構造物に適した、耐候性に優れた低合金鋼からなる溶接構造用鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
橋梁などの鋼構造物は、その実用期間が数十年にも及ぶため、厳重な塗装を施すなどの防食処置をとる必要がある。塗装は非常に効果の高い防食手段であるが、大気暴露環境においては劣化が著しいため、定期的な補修を必要とする。
【0003】
しかし、特に近年は人件費の高騰や塗装工の減少などにより、その補修が困難になるという問題が生じている。この問題を回避するため、橋梁などの鋼構造物に耐候性鋼が適用される例が増加している。
【0004】
耐候性鋼は、大気暴露環境において、銅、りん、クロムなどの有効元素が富化した防食性の高い安定錆が表面を覆うことにより、著しく腐食の進展が遅くなる性質を有するものである。その著しい耐候性の高さのため、耐候性鋼を仕様した橋梁は、しばしば無塗装のまま数十年間の使用に耐えることが知られている。
【0005】
しかし、海岸地域や船舶のバラストタンク内のように塩分が比較的に多い環境では、耐候性鋼の錆は安定化しにくく、実用的な耐食性が得難いことが知られている。
【0006】
このような環境下で実用に耐える鋼材を製造するため、銅、りん、クロム、タングステンなどの有効元素を多量に添加するなどの方法が、例えば特公昭51−28048号、特公昭57−10941号、特開平3−158436号の各公報に開示されている。
【0007】
ところで、近年、耐候性鋼を日本国内の各所に暴露試験した結果が、建設省により公表された。この試験結果から、建設省は、耐候性鋼を無塗装で使用することが可能な地域として、飛来する塩分量が0.05mdd未満の地域に限るという指針を提示している。すなわち、飛来塩分量が0.05mdd以上の地域においては、上記公報に開示された技術によっても、従来の耐候性鋼は無塗装で使用することができない。
【0008】
また、橋梁などの鋼構造物は、溶接することにより建設されるが、銅、りん、クロムなどの元素を多量に含有する鋼は、溶接性が著しく劣るので、溶接前の予備処理などにより、溶接割れの発生を防止する必要がある。
【0009】
すなわち、従来製造されてきた耐候性鋼は、飛来塩分が0.05mddを超える地域に建設される溶接鋼構造物に使用する場合、実用性に乏しいものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情にかんがみてなされたものであって、0.05mdd以上10mdd未満の塩分が飛来刷る環境において高い耐候性を有し、かつ実用的な溶接性を有する溶接構造用鋼を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋼材の成分組成について鋭意検討した。その結果、Moを適当な量のNi、Cuとともに添加することにより、鋼材の耐候性を著しく向上し得ること、およびMoの量を限定し、かつCrを極力減ずることにより、溶接割れ感受性を実用的な範囲に維持することができるとの知見を得、これにより高い耐候性と溶接性を両立した鋼材を製造することができることを見出した。
【0012】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、重量%で、C:0.15%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.1〜2%、P:0.03〜0.15%、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1%以下、Ni:0.4〜4%、Cu:0.11〜0.4%、Mo:0.26〜4%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
Ni,CuおよびMoが、Ni+Cu+3Mo≧1.2%を充たし、かつ以下に示す炭素当量Ceqが0.5%以下であることを特徴とする溶接性に優れた海岸耐候性鋼を提供するものである。
Ceq=C+{Si/24}+{Mn/6}+{Cr/5}+{Ni/40}+{Mo/4}+{V/14}
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明で成分組成を上記範囲に限定した理由、および本発明の成分の特徴について説明する。
【0015】
C: Cは所定の強度を確保するために添加するが、0.15%を超えると溶接性および靭性が劣化する。したがって、その上限を0.15%とする。
Si: Siは製鋼時の脱酸剤および強度向上元素として添加するが、過剰に添加すると靭性が著しく低下する。したがって、その上限を0.7%以下とする。
【0016】
Mn: Mnは所定の強度を確保するために0.1%以上添加するが、2%を超えると溶接性が劣化する。したがってMn量を0.1〜2%の範囲とする。
P: Pは本発明において重要な元素であり、鋼の強度を向上させる作用が有るとともに、耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.03%未満の添加では耐食性の向上に効果がなく、0.15%を超えると溶接性が劣化する。したがって、P量を0.03〜0.15%の範囲とする。
【0017】
S: Sは耐食性に有害な元素であるので、0.02%以下とする。
Al: Alは製鋼時の脱酸剤として0.01%以上添加するが、過剰に添加すると腐食の起点となる介在物が生じやすくなるので0.1%以下とする必要がある。したがって、Al量を0.01〜0.1%とする。
【0018】
Cr: Crは、塩分の多い環境においては孔あき腐食を助長する効果がある。また、溶接性を著しく劣化させる。そのため、Cr量を0.1%以下とする。Ni: Niはこの発明において重要な元素であり、Moとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.4%未満の添加では効果がなく、4.0%を超えると経済性の点で不利である。したがって、Ni量を0.4〜4%とする。
【0019】
Cu: Cuもこの発明において重要な元素であり、Niと同様に、Moの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上させる。しかし、その量が0.1%未満ではその効果が十分でなく、0.4%を超えると効果が飽和し、かつ経済性の点で不利である。したがって、Cu量を0.1〜0.4%とする。
【0020】
Mo: Moもまたこの発明において重要な元素であり、Ni、Cuとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.1%未満の添加では効果がなく、4%を超える添加では経済性の点で不利である。したがって、Mo量を0.1〜4%の範囲とする。
【0021】
このように、本発明の特徴はCrを積極的には添加しないことにある。Crは、塩分の少ない環境においては、鋼の耐食性を向上させる効果を有するため、従来製造されて生きた耐候性鋼には、Crが積極的に添加されてきた。しかし、本発明者らの検討結果によると、Crは塩分の多い環境においてはむしろ孔あき腐食を助長する作用があることが判明した。また、Crは上述したように溶接性を著しく劣化させる元素である。したがって、上述したように、Cr量は0.1%以下に規定するが、上記趣旨からするとできるだけその含有量を減ずることが好ましい。
【0022】
本発明のもうひとつの特徴は、Moを適当な量のNiおよびCuとともに添加することにより、著しく耐候性を改善したことにある。NiとCuおよびMoの耐食性に与える効果の詳細は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、Moは錆の凋密性を高め、水分や塩分といった腐食因子が鋼表面に接触するのを妨げる効果があると考えられる。その一方、Moは錆を脆くする性質があり、クラックなどの欠陥が生じやすくなる。NiやCuは割れやすい錆の性質を改善し、クラックなどの欠陥を生じにくくする性質がある。これらMoならびにNiおよびCuの2つの異なる性質による相乗効果が発揮されるため、適当な量のMoを適当な量のNi、Cuとともに添加することにより、耐食性が著しく改善するものと考えられる。耐食性の観点からは、Moは0.1%以上のNi、Cuとともに添加すると効果が現れ、その効果はNi+Cu+3Mo≧1.2%で好ましいものとなる。
【0023】
一方、溶接性を実用水準とするためには、炭素当量Ceqを考慮する必要があり、このCeqの量が0.5%以下とすることが好ましい。
以上のような本発明鋼は、転炉または電気炉で溶製し、次いで連続鋳造または造塊→分塊法によってスラブとした後、圧延により鋼板または形鋼とする方法により製造するのに適しているが、他の方法によって製造することも可能である。また、圧延後、放冷または加速冷却する方法や、制御圧延により製造するこもできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
表1、2に示す成分組成の鋼塊を作製し、熱間圧延により厚さ3mmの鋼板とし、室温まで放冷したものについて、図1に示す複合サイクル腐食試験を実施した。この複合サイクル腐食試験は、0.5%塩水噴霧を1時間行った後、50℃湿度85%で10時間保持し、50℃湿度30%で5時間保持し、さらに25℃湿度60%で8時間保持で1サイクルとして行った。
その結果を、炭素当量とともに表1、2に示し、図2には複合サイクル腐食試験における炭素当量に対する供試材の最大穴空き深さの値を示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003542209
【0026】
【表2】
Figure 0003542209
【0027】
表1、2および図2から明らかなように、比較鋼a〜qは、最大孔あき深さが0.45mm以上あり、耐食性が劣っていた。比較鋼rは最大孔空き深さが比較的小さく、耐食性が優れるが、炭素当量が0.68%と高いため、溶接性がおとっていた。これに対して、本発明の範囲内である発明鋼A〜Vは、耐食性および溶接性がともに良好であることが確認された。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、0.05mdd以上10mdd未満の塩分が飛来刷る環境において、高い耐候性を有し、かつ実用的な溶接性を有する溶接構造用鋼を経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合サイクル腐食試験の試験条件を説明するための図。
【図2】複合サイクル腐食試験を行った後の各供試材における炭素当量と最大孔あき深さとの関係を示すグラフ。

Claims (1)

  1. 重量%で、C:0.15%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.1〜2%、P:0.03〜0.15%、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1%以下、Ni:0.4〜4%、Cu:0.11〜0.4%、Mo:0.26〜4%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    Ni,CuおよびMoが、Ni+Cu+3Mo≧1.2%を充たし、かつ以下に示す炭素当量Ceqが0.5%以下であることを特徴とする溶接性に優れた海岸耐候性鋼。
    Ceq=C+{Si/24}+{Mn/6}+{Cr/5}+{Ni/40}+{Mo/4}+{V/14}
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