JP5797877B2 - 高湿潤環境下において耐食性に優れる耐候性鋼材 - Google Patents
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0.006≦[Ni]+[Co]+10×[REM]・・・(1)
ただし、[M]はさび層に含有される元素Mの量(質量%)を表し、含有されない元素の場合は[M]=0とする。
質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.05〜0.7%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.005〜0.03%、Al:0.01〜0.1%、S:0.0001〜0.02%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、V:0.01〜3.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の厚さ6mmの熱延鋼板を用い、以下のような橋梁の漏水部などの高湿潤環境下をシミュレートした腐食試験を行って耐食性を評価した。
腐食試験:熱延鋼板から35mm×35mmの試験片を採取し、表面をRa1.6μm以下となるよう研削加工する。続いて、試験片表面に付着する塩分が0.3mdd(mg/dm2/day)となるよう調整した人工海水溶液を試験片表面に塗布した。この試験片を、高湿潤環境をシミュレートした温度25℃、相対湿度95%RHの環境下に12週間暴露した。このとき、試験片表面に付着する塩分が0.3mdd(mg/dm2/day)となるよう調整した人工海水溶液を週に1回塗布した。そして、試験片を塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に浸漬して脱錆してから重量を測定し、初期重量との差から片面あたりの平均板厚減少量(μm)を求め、この平均板厚減少量が30μm未満であれば、耐食性が優れていると評価した。
1)の成分組成に、さらにNiが0.2質量%添加された熱延鋼板を用いて、1)と同様な腐食試験を行った。
以下に示す成分の含有量の単位である「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
Cは、強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.02%以上含有される必要がある。一方、C量が0.15%を超えると溶接性および靱性が劣化する。したがって、C量は0.02〜0.15%とする。
Siは、製鋼時の脱酸剤として用いられるのみならず、強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.05%以上含有させる必要がある。一方、Si量が0.7%を超えると靱性および溶接性が著しく劣化する。したがって、Si量は0.05〜0.7%とする。
Mnは、強度と靱性を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.2%以上含有させる必要がある。一方、Mn量が1.5%を超えると靱性および溶接性が劣化する。したがって、Mn量は0.2〜1.5%とする。
Pは、耐食性を向上させる元素であるが、0.005%未満ではその効果は認められない。一方、P量が0.03%を超えると溶接性が劣化する。したがって、P量は0.005〜0.03%とする。
S量が0.02%を超えると溶接性および靱性が劣化する。一方、S量を0.0001%未満まで低下させると生産コストが著しく増大する。したがって、S量は0.0001〜0.02%とする。
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素であるが、Al量として0.01%未満では十分な脱酸効果が期待できない。一方、Al量が0.1%を超えると溶接性に悪影響を及ぼす。したがって、Al量は0.01〜0.1%とする。
Cuは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.01%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Cu量が1.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、Cu量は0.01〜1.0%とする。
Crは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.01%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Cr量が1.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、Cr量は0.01〜1.0%とする。
Vは、鋼材の地鉄表面近傍に濃化層を形成し、腐食促進因子の酸素、水がさび層を透過して地鉄に到達するのを防止し、耐食性を向上させる効果を有する。こうした効果を得るには、V量を0.01%以上にする必要がある。一方、V量が3.0%を超えると靱性の低下を招く。したがって、V量は0.01〜3.0%、好ましくは0.1〜0.5%とする。
Moは、鋼材の地鉄表面近傍に濃化層を形成し、腐食促進因子の酸素、水がさび層を透過して地鉄に到達するのを防止し、耐食性を向上させる効果を有する。こうした効果を得るには、Mo量を0.01%以上にする必要がある。一方、Mo量が3.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、Mo量は0.01〜3.0%、好ましくは0.1〜0.5%とする。
Wは、鋼材の地鉄表面近傍に濃化層を形成し、腐食促進因子の酸素、水がさび層を透過して地鉄に到達するのを防止し、耐食性を向上させる効果を有する。こうした効果を得るには、W量を0.01%以上にする必要がある。一方、W量が3.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、W量は0.01〜3.0%、好ましくは0.1〜0.5%とする。
Niは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.01%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Ni量が1.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、Ni量は0.01〜1.0%とする。
Coは、さび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.01%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Co量が1.0%を超えるとコスト上昇を招く。したがって、Co量は0.01〜1.0%とする。
REMは、さび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.0001%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、REM量が0.5%を超えるとその効果は飽和する。したがって、REM量は0.0001〜0.5%とする
Sb:0.005〜0.2%
Sbは、鋼材の地鉄の溶解を抑制することによって耐食性を向上させる元素であるが、その量が0.005%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Sb量が0.2%を超えると靱性の劣化を招く。したがって、Sb量は0.005〜0.2%とする。
Tiは、強度を高めるために必要な元素であるが、その量が0.005%未満であるとその効果は十分に得られない。一方、Ti量が0.2%を超えると靱性の劣化を招く。したがって、Ti量は0.005〜0.2%とする。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.05〜0.7%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.005〜0.03%、Al:0.01〜0.039%、S:0.0001〜0.0042%、Cu:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、およびV:0.01〜3.0%、W:0.01〜3.0%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐候性鋼材であって、
高湿潤環境下にて、鋼材の地鉄表面とさび層との界面に、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素が濃化した最大厚さが7μm以上の濃化層が形成されることを特徴とする耐候性鋼材;ここで、濃化層とは、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素が、合計の量で鋼中における該当する元素の含有量の合計の2倍以上となるように、濃化した層のことをいう。高湿潤環境下とは、鋼材表面に付着する塩分が0.3mdd(mg/dm 2 /day)となるよう調整した人工海水溶液を週に1回塗布し、温度25℃、相対湿度95%RHの環境下に12週間暴露した環境をいう。 - さらに、質量%で、Ni:0.01〜1.0%、Co:0.01〜1.0%、REM:0.0001〜0.5%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素が含有される耐候性鋼材であって、
高湿潤環境下にて、Ni、Co、REMのうちから選ばれた少なくとも1種の元素が下記の式(1)を満足するように含有されるさび層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼材;
0.006≦[Ni]+[Co]+10×[REM]・・・(1)
ただし、[M]はさび層に含有される元素Mの量(質量%)を表し、含有されない元素の場合は0とする。 - さらに、質量%で、Sb:0.005〜0.2%、Ti:0.005〜0.2%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素が含有されることを特徴とする請求項1または2に記載の耐候性鋼材。但し、質量%で、Cが0.07%、Siが0.20%、Mnが0.98%、Pが0.021%、Sが0.004%、Alが0.036%、Cuが0.39%、Niが1.02%、Tiが0.025%、Nが0.0060%、Vが0.011%、Crが0.49%で、残部がFe及び不可避的不純物からなる耐候性鋼材を除く。
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