JP3542031B2 - 冷陰極形成方法、及び電子放出素子並びにその応用デバイス - Google Patents

冷陰極形成方法、及び電子放出素子並びにその応用デバイス Download PDF

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    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/025Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of field emission cathodes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面型の固体表示素子等への応用が期待される電子放出源に関し、特に、集積化及び低電圧化が実現可能な冷陰極型電子放出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出源としては熱陰極型電子放出素子が多く用いられていたが、熱電極を利用した電子放出は加熱によるエネルギーロスが大きく、予備加熱が必要等の問題を有していた。
【0003】
これに対し、真空マイクロエレクトロニクス技術の進展とともに、微小な冷陰極構造の形成が可能になったことから、冷陰極型電子放出素子が注目されている。その中でも、局部的に高電界を発生させ電界放出を行わせる、電界効果型の電子放出素子の開発が盛んになりつつある。
【0004】
第9図は、従来の電界効果型の電子放出素子の一例を示す概略的部分断面図である。本図において、91はシリコン(Si)等の基板、92は基板91上に形成されたSiO2 等の絶縁層、93は金属層から成る引き出し電極であり、94はモリブデン(Mo)等から成る円錐形状の電極である。
【0005】
以上の構造を有する電子放出素子において、基板91と引き出し電極93との間に電圧を印加すると、電界強度の強い電極94の尖頭部から電子が放出される。
【0006】
さらに、従来より低い駆動電圧で動作可能な高性能な電子源を実現するために、LSI技術を応用してゲート口径の縮小化や急峻な先端を有する陰極の作製等のアプローチが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の電子放出素子は、微少な径を持ちかつ急峻な先端部を有するコーン形状の陰極を備えているために低い電圧での動作は可能であるが、以下に説明するような問題を有している。
【0008】
まず、電子放出材料としては、電子放出しきい値が低い(電子親和力が小さい)物質が適しており、W、Mo等の金属や窒化物、酸化物等が検討されている。しかしながら、従来の作製方法では、高純度なコーン形状の加工が可能な材料は限られていた。
【0009】
また、電子源を実用化する上で要求される重要な性能の一つに、電子放出安定性、均一性がある。従来例では、陰極の放出電流は、動作時の真空雰囲気や陰極先端部の表面状態に強く影響を受け、電流放出中に電流放出部の表面の物性的性質、例えば仕事関数等が変化してしまい、結果的に動作電流が大幅に変化してしまい、前記要求性能を満たしていなかった。これは、動作中に放出電子が陰極近傍の残留ガスと衝突してイオンを発生させ、このイオンが陰極先端部に衝突することによって陰極先端部の表面状態を変化させて発生すると考えられている。
【0010】
これらの電流変動を抑制するために、陰極を複数個同時に配列したマルチ電子源として、個々の電子放出変動を平均化して放出電流を安定化させる方法等が提案されているが、従来の電子放出素子では、円錐形状を製造する工程が複雑であり、またその形状のバラツキが大きいため、実用上の大きな課題となっていた。
【0011】
さらに、このような電界放出型電子源をCRT用電子源として用いることが検討されているが、ハイビジョンでは、高精細のため電子線を細くしたいが、輝度が落ちるため、輝度と精細度はトレイドオフの関係になるという課題があった。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡単な工程で均一にかつ再現性よく陰極表面に微構造を形成し、放出電流値の増大と安定化を図るようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の冷陰極形成方法は、ターゲット材及び基板を反応室内に配置し、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより前記ターゲット材近傍に形成される高温高圧領域のサイズが最適となるように、前記反応室に導入する雰囲気ガスの圧力及び、前記基板と前記ターゲット材との間の距離を調整し、前記反応室に前記圧力で前記雰囲気ガスを導入しながら、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより励起し、脱離した前記ターゲット材に含まれる物質を前記基板上に堆積して冷陰極を形成する。この構成により、製造工程の簡略化と低コスト化を図ることができるだけでなく、自己整合型結晶構造を得ることができる。
【0014】
また、本発明の電子放出素子は、電子放出部が、上述の冷陰極形成方法により形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極から構成されている。この構成により、従来より簡単な構成で、電子放出しきい値の低下、放出電流値の増大と安定化を実現するとともに、低コスト化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ターゲット材及び基板を、予め決められた距離(D)だけ離して反応室内に配置する工程と、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより前記ターゲット材近傍に形成される高温高圧領域が前記基板に接するように、前記反応室に導入する雰囲気ガスの圧力(P)を調整する工程と、前記反応室に前記圧力で前記雰囲気ガスを導入しながら、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより励起し、脱離した前記ターゲット材に含まれる物質を前記基板上に堆積する工程と、を具備し、前記ターゲット材を構成する材料が、In 2 3 、SnO 2 、ITO、ZnO、TiO 2 、WO 3 、又はCuAlO 2 のいずれかの透明導電体であることを特徴とする冷陰極形成方法である。
【0016】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記雰囲気ガスの圧力(P)及び、前記基板と前記ターゲット材との間の距離(D)は、PDn =一定(nは2〜3程度)にしたがって調整される方法である。
【0017】
これらの方法によれば、レーザ照射によりターゲットから射出した物質(主に原子・イオン・クラスター)と不活性ガスとの相互作用(衝突、散乱、閉じ込め効果)の最適化により、化学量論組成の保たれた薄膜を自己整合型結晶構造として得ることができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記雰囲気ガスが、不活性ガスである方法である。この方法によれば、酸化性ガスを導入することなく冷陰極を形成することができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記雰囲気ガスの圧力が、0.1〜10Torrの範囲である方法である。この方法によれば、ターゲット材と同一組成の薄膜を好適に形成することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の冷陰極形成方法において、前記ターゲット材を構成する材料が、少なくても2種類以上の組成から成る方法である。
【0020】
ここで、ターゲット材を構成する材料は、請求項6記載のように、LaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物であることが好ましい。あるいは、請求項7記載のように、TiN、BN、SrN、ZrN、及びHfNに代表される窒化物であってもよい。
【0021】
本発明の請求項8に記載の発明は、電子放出部が、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極から構成されることを特徴とする電子放出素子である。この構成により、従来より簡単な構成で、電子放出しきい値の低下、放出電流値の増大と安定化を実現するとともに、低コスト化を図ることができる。
【0022】
本発明の請求項9に記載の発明は、電子放出部が、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成り、導電膜または抵抗膜から成る干渉層を介して基板上に形成されていることを特徴とする電子放出素子である。この構成により、従来より簡単な構成で、電子放出しきい値の低下、放出電流値の増大と安定化を実現するとともに、低コスト化を図ることができる。
【0023】
ここで、冷陰極を構成する結晶配向性薄膜は、請求項10記載のように、LaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物であることが好ましい。あるいは、請求項11記載のように、TiN、BN、SrN、ZrN、及びHfNに代表される窒化物であってもよい。
【0024】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項8から11のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とするCRTである。この構成により、高輝度かつ高精細なハイビジョン用CRTが可能となる。
【0025】
本発明の請求項13に記載の発明は、請求項8から11のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とする平面ディスプレイである。この構成により、平面ディスプレイの低コスト化を図ることができる。
【0026】
本発明の請求項14に記載の発明は、透明基板と、前記透明基板上に、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極とを備えている電子放出型素子である。
【0027】
本発明の請求項15に記載の発明は、透明基板と、前記透明基板上に、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成り、導電膜または抵抗膜から成る干渉層を介して基板上に形成されている電子放出型素子である。
【0028】
ここで、冷陰極を構成する結晶配向性薄膜は、請求項16記載のように、In2 3 、SnO2 、ITO、ZnO、TiO2 、WO3 、及びCuAlO2 からなる群より選ばれた透明導電体であることが望ましい。
【0029】
本発明の請求項17に記載の発明は、請求項14から16のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とする透過型平面ディスプレイである。この構成により、高輝度かつ高精細な透過型平面ディスプレイの実現が可能となる。
【0030】
(実施の形態1)
以下、本発明の電子放出素子及びその形成方法を、図1から図5を用いて詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の電子放出素子の構造を示す断面図である。図1において、11はSi等の基板、12は基板11上に形成されたSiO2 、Al2 3 等の酸化膜の絶縁層、13はMo等の金属層から成る引き出し電極であり、14は開口部の基板11の上に形成された結晶配向性薄膜である。この結晶配向性薄膜14は、電子放出性材料から構成することにより、基板11と引き出し電極13との間に電圧を印加することにより、容易に電子を放出する。この電子放出は、方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。この結果、電流密度を増大させるとともに、安定化することができ、たとえば、高輝度かつ高精細を要求されるハイビジョン用電子源等として用いることができる。
【0032】
次に、図1に示した電界放出素子において、冷陰極となる結晶配向性薄膜の形成方法について説明する。本実施の形態では、希ガス(Ar,He等)雰囲気中におけるレーザアブレーションを用いて基板上に酸化物透明導電体薄膜を堆積させる。なお、レーザアブレーション法とは、高いエネルギー密度(パルスエネルギー:1.0J/cm2 程度又はそれ以上)のレーザ光をターゲット材に照射し、被照射ターゲット材表面を溶融・脱離させる方法である。
【0033】
この方法の特徴は、非熱平衡性及び無質量性プロセスであることにある。非熱平衡性における具体的効果としては、空間的・時間的選択励起が可能であることが挙げられる。特に、空間的選択励起性を有することから、従来の熱プロセスやプラズマプロセスにおいては反応槽のかなり広い領域あるいは全体が熱やイオンに晒されるのに対し、必要な物質源のみを励起することができるので、不純物混入が抑制されたクリーンなプロセスとなる。また、無質量性とは、同じ非熱平衡性のイオンプロセスに比較して、格段な低ダメージ性であることを意味する。レーザアブレーションにおける脱離物質は、主にイオン及び中性粒子である原子・分子・クラスター(数個から数十個程度の原子から構成される)であり、その運動エネルギーは、イオンで数十eV、中性粒子の場合は数eVのレベルに達する。これは、加熱蒸発原子よりはるかに高エネルギーであるが、イオンビームよりはるかに低エネルギーの領域である。
【0034】
このようにクリーンでダメージの少ないレーザアブレーションプロセスは、不純物の混入・組成・結晶性等が制御された薄膜の作製に適している。また、このレーザアブレーションプロセスは、レーザ光の透過性により、種々のガス種、広い範囲のガス圧条件下での成膜が可能である。さらに、この特性は融点・蒸気圧にあまり依存しないので、レーザアブレーションプロセスは、従来の熱平衡プロセス技術では困難とされていた、融点・蒸気圧の異なる材料を同時に処理(蒸発・堆積)することによる多元系材料の成膜への適用が可能である。
【0035】
なお、レーザアブレーション法を用いて薄膜形成を行うためには、ターゲット材料が、光源であるレーザ光の波長域で吸収があることが望ましい。一般に、酸化物透明導電体材料は、バンドギャップエネルギーが3eV程度以上であるため、光源として、エキシマレーザあるいはYAGレーザの高調波を用いることが望ましい。
【0036】
図2は、本発明の冷陰極形成方法に使用する薄膜形成装置を示す図である。ここでは、酸化物透明導電体ターゲットを用いてレーザアブレーションを行うことにより、均質な酸化物透明導電体薄膜を形成する場合について説明する。
【0037】
図2(a)において、101はターゲットが配置される金属製の反応室を示す。反応室101の底部には、反応室101内の空気を排気して反応室101内を超真空にする超真空排気系102が設けられている。反応室101には、反応室101へ雰囲気ガスを供給するガス導入ライン104が取り付けられている。このガス導入ライン104には、反応室101へ供給する雰囲気ガスの流量を制御するマスフローコントローラ103が取り付けられている。また、反応室101の底部には、反応室101内の雰囲気ガスを排気するガス排気系105が設けられている。
【0038】
反応室101内には、ターゲット107を保持するターゲットホルダー106が配置されている。このターゲットホルダー106には、回転シャフトが取り付けられており、この回転シャフトが図示しない回転制御部の制御で回転することにより、ターゲット107が回転するようになっている。このターゲット107の表面に対向するようにして堆積基板109が配置されている。この堆積基板109には、レーザ光の照射により励起されたターゲット107から脱離・射出された物質が堆積される。なお、ここでは、ターゲットとして、In2 3 多結晶焼結体ターゲットを用いる。
【0039】
反応室101の外側には、ターゲット107にエネルギービームとしてのレーザ光を照射するパルスレーザ光源108が配置されている。反応室101の上部には、レーザ光を反応室101内に導入するレーザ導入窓110が取り付けられている。パルスレーザ光源108から出射したレーザ光の光路上には、レーザ光源108から近い順にスリット111,レンズ112,及び反射鏡113が配置されており、パルスレーザ光源108から出射したレーザ光がスリット111により整形され、レンズ112で集光され、反射鏡113で反射されて、レーザ導入窓110を通って反応室101内に設置されたターゲット107に照射されるようになっている。
【0040】
上記構成を有する薄膜製造装置における動作について説明する。反応室101の内部を、ターボ分子ポンプを主体とする超高真空排気系102により到達真空1.0×10-9Torr程度まで排気した後、マスフローコントローラ103を経由して、ガス導入ライン104より、Heガスの導入を行う。ここで、ドライロータリーポンプもしくは高圧用ターボ分子ポンプを主体としたガス排気系105の動作と連動することにより、反応室101内の希ガス圧力を、0.1〜10Torr程度の範囲の一圧力値に設定する。
【0041】
この状態で、自転機構を有するターゲットホルダー106に配置された、純度:4NのIn2 3 多結晶焼結体ターゲット107の表面に対して、パルスレーザ光源108からレーザ光を照射する。ここでは、アルゴン弗素(ArF)エキシマレーザ(波長:193nm、パルス幅:12ns、エネルギー密度:1J/cm2 、繰返し周波数:10Hz)を用いた。このとき、In2 3 ターゲット107表面では、レーザアブレーション現象が発生し、In,O,InO,In2 3 等のイオンあるいは中性粒子(原子、分子、クラスター)が脱離し、当初はイオンで50eV、中性粒子で5eVのオーダーの運動エネルギーを有し、主にターゲット法線方向に分子、クラスターレベルの大きさを維持して、射出して行く。そして、脱離物質は、雰囲気希ガス原子と衝突することにより、飛行方向が乱雑になるとともに、運動エネルギーが雰囲気に散逸され、約3cm離れて対向した堆積基板109上に均質な薄膜として堆積する。なお、基板、ターゲット温度とも積極的な制御は行っていない。
【0042】
ここでは、雰囲気ガスとして、Heガスを用いているが、Ar,Kr,Xe,N2 等の他の不活性ガスを用いてもよい。この場合、気体密度がHeガスの場合と同等になるように圧力を設定すればよい。例えば、雰囲気ガスとしてAr(気体密度:1.78g/l)を用いる場合には、He(気体密度:0.18g/l)を基準とすると0.1倍程度の圧力に設定すればよい。
【0043】
或いは、希ガス(Ar、He等)と酸化性ガス(O2 ,O3 ,N2 O,NO2 等)の混合ガスを用いてもよい。この場合、酸化性ガスの混入割合は、50容量%以下で希ガスに対して混入すればよく、雰囲気ガスの平均気体密度がHe希釈O2 ガスの場合と同等になるように圧力を設定すればよい。
上記の方法により雰囲気ガスであるHeガスの圧力を変えながら堆積基板に形成した酸化インジウム薄膜について、X線回折測定および電子顕微鏡観察による結晶性評価を行った。
【0044】
図3に、各堆積薄膜の電子顕微鏡観察写真を示す。(a)、(b)、(c)は、それぞれ、Heガス圧:0.5Torr、2.0Torr、5.0Torrで堆積した薄膜である。(a)では微粒子状になって堆積しているのに対し、(b)では突起部を有する自己整合型結晶構造が得られている。一方、(c)では、微結晶の集合体となっている。
【0045】
図4に、各堆積薄膜のX線回折測定結果を示す。Heガス圧:0.5Torr以下で形成したサンプルでは、回折角:33°付近にブロードなピークが観測される。このピーク位置はIn結晶の(101)面に対応するが、半値全幅が広いことから、アモルファス構造あるいは微粒子の凝集体となっていると考えられる。一方、Heガス圧:1.0Torr及び2.0Torrで形成したサンプルでは、In2 3 結晶構造に対応した4つの回折ピークが観測され、特に(400)配向性が高くなっている。また、Heガス圧:5.0Torrで形成したサンプルでは、7つの回折ピークが観測されており、各ピークの強度比が、粉末標準試料における各ピークの強度比と同様であることから、配向性の無い構造となっていることがわかる。
【0046】
以上の結果は、本実施の形態の薄膜形成方法による酸化物薄膜作製において、酸素を含有しない不活性ガスを用いても、その雰囲気ガス圧の制御により酸素欠損のない酸化物薄膜を形成できたことを示している。換言すれば、レーザ照射によりターゲットから射出した物質(主に原子・イオン・クラスター)と不活性ガスとの相互作用(衝突、散乱、閉じ込め効果)の最適化により、化学量論組成の保たれた結晶配向性酸化物薄膜の形成が可能であることを示している。
【0047】
ここで、さらに、レーザアブレーションにおける雰囲気ガスの効果について考察を行う。レーザ照射によりターゲット表面から射出した物質は、ターゲット組成を保ったまま蒸気化されず、主に原子・イオンの状態で直進性を保って伝播していく。しかしながら、雰囲気ガスが存在すると、衝突により散乱したりエネルギーを奪われ、薄膜形成における空間分布、堆積速度、堆積物質の運動エネルギーの分布等に変化を生じさせる。これらの変化は射出物質の種類、運動エネルギーにより異なり、一般に、重い物質(ここではIn)の方が散乱を受けにくいため、ガス雰囲気中でのレーザアブレーションにおいても直進性を保つと考えられる。その結果、低ガス圧で薄膜形成を行った場合、散乱を受けやすく蒸気圧も高い酸素が欠損した状態で基板に到達する。
【0048】
ターゲットから射出された原子やイオンは、最初はそれぞれ異なる速度で進むが、雰囲気ガス圧が高くなると、雰囲気ガスとの衝突・散乱を多く受けることにより、その速度は均一化されつつ遅くなっていく。その結果、図2(b)に示すように、射出物質はプルーム114内に閉じ込められて、低ガス圧で生じていた酸素抜けが抑えられることになる。希ガス雰囲気中でのレーザアブレーションにおいては、堆積薄膜中の酸素はターゲットから射出された酸素のみから供給されるため、この効果は重要である。
【0049】
しかしながら、Heガス雰囲気中で堆積した薄膜における結晶構造の急激な変化は、酸素の空間的閉じ込めによる酸素供給量の増加だけでは説明できない。
【0050】
高圧ガス雰囲気中でレーザアブレーションを行うと、雰囲気ガスが圧縮され、その圧力と温度が上昇してショックフロントが形成される。そこで、酸化物形成におけるショックフロントの影響を考察する。圧力の増加は、体積及びモル数の減少をもたらす反応であるIn2 3 の形成を促進する。温度の上昇は、射出物質の励起を熱的に促進する。しかしながら、温度の上昇はIn2 3 の生成エネルギーを増加する方向にも働くため、In2 3 の形成が妨げられることになる。ショックフロントが前進してターゲットからの距離が増加するとともに、圧力と温度は減少していく。また、生成エネルギーは温度の減少とともに低くなる。以上の結果、高圧状態と、生成エネルギーが十分に低い条件が満たされる高温状態が同時に実現された領域が、ターゲットからある距離のところで形成され、この領域内で酸化反応が促進される。すなわち、この気相中の酸化促進領域で、化学量論組成の保たれたIn2 3 が形成され、基板上で透明薄膜が得られると考えられる。
【0051】
さらに、結晶性については、従来の製造方法で常温でガラス基板上に作製した薄膜は、アモルファス構造となっている。これに対し、本実施の形態では、常温で合成石英基板上に形成した薄膜において結晶性In2 3 薄膜が得られている。また、配向性については、Heガス圧:1.0〜2.0Torrでは強い配向性が見られたのに対し、5.0Torrでは配向性の無い構造となった。この結果は、ショックフロントにより形成された酸化促進領域と堆積基板の位置関係により以下のように説明できる(図5参照)。
【0052】
すなわち、気相中の酸化促進領域において、酸化反応が促進されてIn2 3 の結晶核が生成された後、さらなる飛行に伴い急激に冷やされて微結晶に成長する。この酸化促進領域に接するように堆積基板が配置されていると、基板表面が活性領域となり、気相で生成された結晶核が基板上でのマイグレーションを伴うことで配向して結晶化すると考えられる。一方、堆積基板がこの酸化促進領域の外に配置されていると、気相中で大きく成長した微結晶が凝集しつつ基板に到達するため、配向性を持たない構造になる。本実施の形態におけるプロセス条件では、Heガス圧:1.0〜2.0Torr程度の場合に、堆積基板がショックフロントにより形成された酸化促進領域に接するような配置になっていると考えられる。
【0053】
以上のように、レーザアブレーションにおいては、雰囲気ガス圧(P)とターゲット−基板間距離(D)の間に相関関係がある。レーザ照射によりターゲットから射出した物質はプルームと呼ばれるプラズマ状態を形成する。このプルームは雰囲気ガスとの衝突の影響を受けるため、プルームの大きさはガス圧依存性を有し、ガス圧が高いほどその大きさは小さくなる。
【0054】
一方、化学量論組成の保たれた配向性薄膜を得るには、プルーム内に形成される上述の酸化促進領域が基板に接するような条件とすることが望ましい。具体的には、本実施の形態では、D=3cmとしており、この場合にはP=1.0Torr程度で配向性薄膜が得られている。Dをさらに大きくする場合には、プルームを大きくする、すなわちガス圧を低くすればよい。さらに、堆積薄膜の膜質は、ターゲットからの射出物質が堆積基板に到達する時の速度に大きく依存する。このため、同様の膜質を得るには、上記速度が一定になるプロセス条件として、PDn =一定
という相関関係があり、このnの値は2〜3程度とされている。したがって、例えば、Dを2倍にした場合には、対応するガス圧を1/4〜1/8程度とすればよい。
【0055】
このように、本実施の形態の冷陰極形成方法では、蒸気圧が高い元素(ここでは酸素)を含む材料で構成されたターゲット材を用いてレーザアブレーションを行う場合において、蒸気圧が高い元素が抜けることにより化学量論組成がくずれてしまうことを防止するために、雰囲気ガスに蒸気圧が高い元素を含むガスを用いて蒸気圧が高い元素を補う方法ではなく、雰囲気ガス圧と、ターゲットと堆積基板との間の距離とを調整して適切な大きさのプルームを形成させることにより化学量論組成の保たれた結晶配向性薄膜を形成する。すなわち、適切な大きさのプルーム内で蒸気圧の高い元素の抜けを防止して、堆積基板上にターゲット材とほぼ同じ組成の薄膜を形成する。適切な大きさのプルームとは、上述したように、プルーム内に形成される酸化促進領域が堆積基板109の表面に接する程度の大きさである。したがって、本実施の形態に係る冷陰極形成方法では、このような適切な大きさのプルームが形成されるために十分な雰囲気ガス圧及びターゲット−堆積基板間距離を適宜設定する。
【0056】
この方法を利用すると、雰囲気ガスの圧力を調整して、すなわちターゲット材からの脱離物質と雰囲気ガス原子との間の衝突回数を調整して、プルーム内に形成される高温高圧領域に閉じ込められる蒸気圧の高い元素の割合を制御することにより、形成する薄膜の結晶状態や欠損等を制御することが可能となる。
【0057】
さらに、形成直後の薄膜は、結晶性が悪い、欠陥が存在する等の問題を生じることがある。このような場合には、結晶性、純度等の膜質向上のために、薄膜を酸素雰囲気中で酸化したり、窒素雰囲気中で熱処理をすることも有効である。
【0058】
以上述べてきたように、本実施の形態の冷陰極形成方法により、O2 ガスの導入や基板加熱を必要とすることなく、化学量論組成の保たれた結晶配向性酸化物薄膜を形成することができた。したがって、この方法を用いれば、冷陰極を形成する基板材料が限定されることも無く、製造工程の簡略化と低コスト化を図ることができる。
【0059】
さらに、上記により形成された冷陰極において、真空度10-6TorrでMo金属層13と結晶配向性薄膜14の間で10V/μm程度の電圧を印可し、垂直方向3mm程度離した位置に被照射体を置いたところ、1mA/cm2 程度の安定な電子放出を確認した。この結果は、形成された冷陰極が、図3(b)に示したように、複数の突起体を自己整合的に形成しており、これに電圧を印加した結果、高電界強度がそれぞれの突起体にかかることにより、電子放出しきい値が低下するとともに、全体として放出電流値の増大と安定化を図ることができたと考えられる。
【0060】
なお、以上の説明では、二元系の酸化物透明導電体薄膜である、In2 3 薄膜を用いた冷陰極形成方法について述べたが、冷陰極材料としては、SnO2 、ITO、ZnO、TiO2 、WO3 、及びCuAlO2 のいずれかの透明導電体を用いることも可能である。
【0061】
また、本実施の形態に係る方法は、透明導電体に限らず、冷陰極材料に適している、電子放出しきい値が低い(電子親和力が小さい)物質にも同様に適用することができる。特に、従来の熱平衡プロセス技術では困難とされていた、融点・蒸気圧の異なる材料を同時に処理(蒸発・堆積)することによる多元系材料の成膜への適用が可能である。このような物質としては、LaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物や、TiN、BN、SrN、ZrN、及びHfNに代表される窒化物等がある。さらに、電子放出性材料として、従来プロセスでは酸化されやすく突起状の加工も難しい金属材料(W、Mo等)を用いる場合でも、高純度のターゲットを用いて、自己整合的に高純度の突起形状を形成することができる。
【0062】
以上のように、本実施の形態の電子放出素子において、電子放出は方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。したがって、CRT用電子源に応用した場合、従来のCRT用電子源において必要であった、電子を加速・集束させるための電子銃の構造を簡素化することもでき、CRTの薄型化を図ることができる。さらに、電子源の電流密度を増大させるとともに、安定化することができることから、高輝度かつ高精細を要求されるハイビジョン用CRTの電子源等として用いることもできる。
【0063】
(実施の形態2)
以下、本発明の他の電子放出素子及びその形成方法を、図6を用いて詳細に説明する。 図6は、本発明の電子放出素子の構造を示す断面図である。図6において、61はSi等の基板、62は基板61上に形成されたSiO2 、Al2 3 等の酸化膜の絶縁層、63はMo等の金属層から成る引き出し電極であり、64は開口部の基板61の上に形成された、導電膜あるいは抵抗膜から成る干渉層、65は干渉層64の上に形成された結晶配向性薄膜である。
【0064】
以上の構成において、結晶配向性薄膜65は、電子放出性材料から構成することにより、基板61と引き出し電極63との間に電圧を印加することにより、容易に電子を放出する。この電子放出は、方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。ここで、結晶配向性薄膜65を干渉層64を介して形成する際に、電子放出部先端が引き出し電極とほぼ同面位置になるように、それぞれの膜厚を調整することにより、電界強度を高くする、すなわち、電子放出開始電圧を低減することができる。また、干渉層を抵抗膜で構成することにより、より電流を安定化することが可能となる。さらに、結晶配向性薄膜を形成する下地である干渉層を、結晶配向性薄膜と同様の配向性を有する導電膜あるいは抵抗膜としておくことにより、その上に形成する薄膜の結晶化が促進され、電子放出部の先端形状を安定化することができる。
【0065】
以上の結果、電流密度を増大させるとともに、安定化することができ、たとえば、高輝度かつ高精細を要求されるハイビジョン用電子源等として用いることができる。
【0066】
次に、図6に示した電界放出素子において、冷陰極となる結晶配向性薄膜の形成方法について説明する。本実施の形態では、基板上に干渉層を形成した後、希ガス(Ar,He等)雰囲気中におけるレーザアブレーションを用いて、電子放出性材料である金属窒化物薄膜を堆積させる。
【0067】
ここでは、実施の形態1で述べた、図2に示した薄膜形成装置を用い、金属窒化物ターゲットを用いてレーザアブレーションを行うことにより、均質な金属窒化物薄膜を形成する場合について説明する。
【0068】
図2に示した薄膜製造装置において、まず、反応室101の内部を、ターボ分子ポンプを主体とする超高真空排気系102により到達真空1.0×10-9Torr程度まで排気した後、マスフローコントローラ103を経由して、ガス導入ライン104より、Heガスの導入を行う。ここで、ドライロータリーポンプもしくは高圧用ターボ分子ポンプを主体としたガス排気系105の動作と連動することにより、反応室101内の希ガス圧力を、0.1〜10Torr程度の範囲の一圧力値に設定する。
【0069】
この状態で、自転機構を有するターゲットホルダー106に配置された、純度:4NのTiN多結晶焼結体ターゲット107の表面に対して、パルスレーザ光源108からレーザ光を照射する。ここでは、アルゴン弗素(ArF)エキシマレーザ(波長:193nm、パルス幅:12ns、エネルギー密度:1J/cm2 、繰返し周波数:10Hz)を用いた。このとき、TiNターゲット107表面では、レーザアブレーション現象が発生し、Ti,N,TiN等のイオンあるいは中性粒子(原子、分子、クラスター)が脱離し、当初はイオンで50eV、中性粒子で5eVのオーダーの運動エネルギーを有し、主にターゲット法線方向に分子、クラスターレベルの大きさを維持して、射出して行く。そして、脱離物質は、雰囲気希ガス原子と衝突することにより、飛行方向が乱雑になるとともに、運動エネルギーが雰囲気に散逸され、約3cm離れて対向した堆積基板109上に均質な薄膜として堆積する。なお、基板、ターゲット温度とも積極的な制御は行っていない。
【0070】
ここでは雰囲気ガスとして、Heガスを用いているが、Ar,Kr,Xe等の他の不活性ガスを用いてもよい。この場合、気体密度がHeガスの場合と同等になるように圧力を設定すればよい。例えば、雰囲気ガスとしてAr(気体密度:1.78g/l)を用いる場合には、He(気体密度:0.18g/l)を基準とすると0.1倍程度の圧力に設定すればよい。
【0071】
あるいは、希ガス(Ar、He等)と窒化性ガス(N2 ,NH3 等)の混合ガスを用いてもよい。この場合、窒化性ガスの混入割合は、50容量%以下で希ガスに対して混入すればよく、雰囲気ガスの平均気体密度がHe希釈N2 ガスの場合と同等になるように圧力を設定すればよい。
【0072】
上記の方法により雰囲気ガスであるHeガスの圧力を変えながら堆積基板に形成した窒化チタン薄膜について、X線回折測定および電子顕微鏡観察による結晶性評価を行った結果、突起部を有する自己整合型結晶構造が得られていた。
【0073】
以上の結果は、本実施の形態の薄膜形成方法による窒化物薄膜作製において、窒素を含有しない不活性ガスを用いても、その雰囲気ガス圧の制御により組成ずれのない窒化物薄膜を形成できたことを示している。換言すれば、実施の形態1で図5を用いて説明したように、レーザ照射によりターゲットから射出した物質(主に原子・イオン・クラスター)と不活性ガスとの相互作用(衝突、散乱、閉じ込め効果)の最適化により、化学量論組成の保たれた結晶配向性窒化物薄膜が形成されたと考えられる。
【0074】
さらに、実施の形態1で述べたように、レーザアブレーションにおいては、雰囲気ガス圧(P)とターゲット−基板間距離(D)の間に相関関係がある。レーザ照射によりターゲットから射出した物質はプルームと呼ばれるプラズマ状態を形成する。このプルームは雰囲気ガスとの衝突の影響を受けるため、プルームの大きさはガス圧依存性を有し、ガス圧が高いほどその大きさは小さくなる。
【0075】
一方、化学量論組成の保たれた配向性薄膜を得るには、プルーム内に形成される上述の窒化促進領域が基板に接するような条件とすることが望ましい。具体的には、本実施の形態では、D=3cmとしており、この場合にはP=1.0Torr程度で配向性薄膜が得られている。Dをさらに大きくする場合には、プルームを大きくする、すなわちガス圧を低くすればよい。さらに、堆積薄膜の膜質は、ターゲットからの射出物質が堆積基板に到達する時の速度に大きく依存する。このため、同様の膜質を得るには、上記速度が一定になるプロセス条件として、PDn =一定
という相関関係があり、このnの値は2〜3程度とされている。したがって、例えば、Dを2倍にした場合には、対応するガス圧を1/4〜1/8程度とすればよい。
【0076】
このように、本実施の形態の冷陰極形成方法では、蒸気圧が高い元素(ここでは窒素)を含む材料で構成されたターゲット材を用いてレーザアブレーションを行う場合において、蒸気圧が高い元素が抜けることにより化学量論組成がくずれてしまうことを防止するために、雰囲気ガスに蒸気圧が高い元素を含むガスを用いて蒸気圧が高い元素を補う方法ではなく、雰囲気ガス圧と、ターゲットと堆積基板との間の距離とを調整して適切な大きさのプルームを形成させることにより化学量論組成の保たれた結晶配向性薄膜を形成する。すなわち、適切な大きさのプルーム内で蒸気圧の高い元素の抜けを防止して、堆積基板上にターゲット材とほぼ同じ組成の薄膜を形成する。適切な大きさのプルームとは、上述したように、プルーム内に形成される窒化促進領域が堆積基板109の表面に接する程度の大きさである。したがって、本実施の形態に係る冷陰極形成方法では、このような適切な大きさのプルームが形成されるために十分な雰囲気ガス圧及びターゲット−堆積基板間距離を適宜設定する。
【0077】
この方法を利用すると、雰囲気ガスの圧力を調整して、すなわちターゲット材からの脱離物質と雰囲気ガス原子との間の衝突回数を調整して、プルーム内に形成される高温高圧領域に閉じ込められる蒸気圧の高い元素の割合を制御することにより、形成する薄膜の結晶状態や欠損等を制御することが可能となる。
【0078】
さらに、形成直後の薄膜は、結晶性が悪い、欠陥が存在する等の問題を生じることがある。このような場合には、結晶性、純度等の膜質向上のために、薄膜を窒素雰囲気中で窒化したり、不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることも有効である。
【0079】
以上述べてきたように、本実施の形態の冷陰極形成方法により、反応性ガスの導入や基板加熱を必要とすることなく、化学量論組成の保たれた結晶配向性窒化物薄膜を形成することができた。したがって、この方法を用いれば、冷陰極を形成する基板材料が限定されることも無く、製造工程の簡略化と低コスト化を図ることができる。
【0080】
さらに、上記により形成された冷陰極において、真空度10-6TorrでMo金属層63と結晶配向性薄膜65の間で10V/μm程度の電圧を印可し、垂直方向3mm程度離した位置に被照射体を置いたところ、2mA/cm2 程度の安定な電子放出を確認した。この結果は、形成された冷陰極が複数の突起体を自己整合的に形成しており、さらに、電子放出部先端が引き出し電極とほぼ同面位置になるように調整されているため、これに電圧を印加した結果、高電界強度が効率的にそれぞれの突起体にかかることにより、電子放出しきい値が低下するとともに、全体として放出電流値の増大と安定化を図ることができたと考えられる。
【0081】
なお、以上の説明では、二元系の金属窒化物薄膜であるTiN薄膜を用いた冷陰極形成方法について述べたが、冷陰極材料としては、BN、SrN、ZrN、及びHfN等の他の窒化物を用いることも可能である。
【0082】
また、本実施の形態に係る方法は、窒化物に限らず、冷陰極材料に適している、電子放出しきい値が低い(電子親和力が小さい)物質にも同様に適用することができる。特に、従来の熱平衡プロセス技術では困難とされていた、融点・蒸気圧の異なる材料を同時に処理(蒸発・堆積)することによる多元系材料の成膜への適用が可能である。このような物質としてはLaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物や、In2 3 、SnO2 、ITO、ZnO、TiO2 、WO3 、及びCuAlO2 等の透明導電体等がある。さらに、電子放出性材料として、従来プロセスでは酸化されやすく突起状の加工も難しい金属材料(W、Mo等)を用いる場合でも、高純度のターゲットを用いて、自己整合的に高純度の突起形状を形成することができる。
【0083】
以上のように、本実施の形態の電子放出素子において、電子放出は方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。したがって、CRT用電子源に応用した場合、従来のCRT用電子源において必要であった、電子を加速・集束させるための電子銃の構造を簡素化することもでき、CRTの薄型化を図ることができる。さらに、電子源の電流密度を増大させるとともに、安定化することができることから、高輝度かつ高精細を要求されるハイビジョン用CRTの電子源等として用いることもできる。
【0084】
(実施の形態3)
以下、本発明の電子放出素子を電子源とした平面ディスプレイについて、図7を用いて詳細に説明する。
【0085】
図7は、本発明の平面ディスプレイの構造を示す断面図である。図7において、71はSi基板、72は基板71上に形成された冷陰極であり、実施の形態1で述べた、図1に示した電子放出性材料から成る結晶配向性薄膜で構成されている。73は第一絶縁膜、74は第一ゲート電極、75は第二絶縁膜、76は第二ゲート電極である。第一ゲート電極74と第2ゲート電極76はそれぞれ直交するラインとなるようなマトリクスに形成され、端部はフリットシールを通って外部回路とつながれており、このラインの交点が画素を構成する。77は蛍光体層、78はアノードとなる透明導電膜、79は透明な面板である。面板79とSi基板71は、不図示の隔壁板によって例えば200μmのギャップを確保し、端部でフリットガラスにより接着され、内部が高真空に保たれる構造となっている。
【0086】
以上の構成において、その動作について説明する。透明導電膜78に、Si基板71に対して例えば400V程度の電圧を加えてアノードとする。そして、第一ゲート電極74と第二ゲート電極76の両方に例えば60V程度の電圧を加えると、冷陰極72が電子放出性材料の結晶配向性薄膜から構成されているため、図7に示すように電子を放出する。放出された電子は、透明導電膜78の電圧による電界により透明導電膜78に向かって真空に保持された内部を進行し、対向して設置された蛍光体層77の蛍光体を励起し、可視発光を生じさせる。この光は、面板79を通して外部に放出されることになる。
【0087】
一方、第一ゲート電極74と第二ゲート電極76の電圧のいずれか一方が60Vで他方が0Vの時には、電界の打ち消しあいにより電子は放出されない。これを利用して、マトリックス状に配置された画素のうちの任意の画素を発光させることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、冷陰極72は、実施の形態1で述べた冷陰極構造としたが、実施の形態2で述べた冷陰極構造としてもよい。すなわち、冷陰極72は、図6に示したように、開口部の基板71の上に形成された、導電膜あるいは抵抗膜から成る干渉層と、その上に形成された結晶配向性薄膜から構成される。ここで、結晶配向性薄膜の電子放出部先端が引き出し電極とほぼ同面位置になるように、それぞれの膜厚を調整することにより、電界強度を高くする、すなわち、電子放出開始電圧を低減することができる。また、干渉層を抵抗膜で構成することにより、より電流を安定化することが可能となる。さらに、結晶配向性薄膜を形成する下地である干渉層を、結晶配向性薄膜と同様の配向性を有する導電膜あるいは抵抗膜としておくことにより、その上に形成する薄膜の結晶化が促進され、電子放出部の先端形状を安定化することができる。
【0089】
以上のように、本実施の形態の平面ディスプレイにおいて、電子源からの電子放出は方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。この構成により、従来より簡単な構成で、電子源の電子放出しきい値の低下、放出電流値の増大と安定化を実現でき、平面ディスプレイの低電圧化、低コスト化を図ることができる。
【0090】
(実施の形態4)
以下、本発明の電子放出素子を電子源とした透過型平面ディスプレイについて、図8を用いて詳細に説明する。
【0091】
図8は、本発明の透過型平面ディスプレイの構造を示す断面図である。図8において、81は透明基板、82は透明基板81上に形成された冷陰極であり、図1に示した透明導電体材料から成る結晶配向性薄膜で構成されている。83は第一絶縁膜、84は第一ゲート電極、85は第二絶縁膜、86は第二ゲート電極である。第一ゲート電極84と第2ゲート電極86はそれぞれ直交するラインとなるようなマトリクスに形成され、端部はフリットシールを通って外部回路とつながれており、このラインの交点が画素を構成する。87は蛍光体層、88はアノード電極層、89は面板である。面板89と透明基板81は、不図示の隔壁板によって例えば200μmのギャップを確保し、端部でフリットガラスにより接着され、内部が高真空に保たれる構造となっている。
【0092】
以上の構成において、その動作について説明する。アノード電極層88に、透明基板81に対して例えば400V程度の電圧を加えてアノードとする。そして、第一ゲート電極84と第二ゲート電極86の両方に例えば60V程度の電圧を加えると、冷陰極82が電子放出性材料の結晶配向性薄膜から構成されているため、図8に示すように電子を放出する。放出された電子は、アノード電極層88の電圧による電界によりアノード電極層88に向かって真空に保持された内部を進行し、対向して設置された蛍光体層87の蛍光体を励起し、可視発光を生じさせる。この光は、透明な冷陰極82および透明基板81を介して外部から見ることができる。
【0093】
一方、第一ゲート電極84と第二ゲート電極86の電圧のいずれか一方が60Vで他方が0Vの時には、電界の打ち消しあいにより電子は放出されない。これを利用して、マトリックス状に配置された画素のうちの任意の画素を発光させることができる。
【0094】
なお、本実施の形態では、冷陰極82は、実施の形態1で述べた冷陰極構造としたが、実施の形態2で述べた冷陰極構造としてもよい。すなわち、冷陰極82は、図6に示したように、開口部の基板81の上に形成された、導電膜あるいは抵抗膜から成る干渉層と、その上に形成された結晶配向性薄膜から構成される。ここで、結晶配向性薄膜の電子放出部先端が引き出し電極とほぼ同面位置になるように、それぞれの膜厚を調整することにより、電界強度を高くする、すなわち、電子放出開始電圧を低減することができる。また、干渉層を抵抗膜で構成することにより、より電流を安定化することが可能となる。さらに、結晶配向性薄膜を形成する下地である干渉層を、結晶配向性薄膜と同様の配向性を有する導電膜あるいは抵抗膜としておくことにより、その上に形成する薄膜の結晶化が促進され、電子放出部の先端形状を安定化することができる。
【0095】
以上のように、平面ディスプレイにおいて、本発明のように、透明導電体結晶薄膜からなる冷陰極を用いることにより、透過型平面ディスプレイを実現することができる。さらに、電子源からの電子放出は方向の揃った微細構造部分から行われるため、マルチソースでありかつ電子の方向性が揃った冷陰極となる。この構成により、従来より簡単な構成で、電子源の電子放出しきい値の低下、放出電流値の増大と安定化を実現でき、平面ディスプレイの低電圧化、低コスト化を図ることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上のように、本発明の冷陰極形成方法は、ターゲット材及び基板を予め決められた距離(D)だけ離して反応室内に配置し、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより前記ターゲット材近傍に形成される高温高圧領域が前記基板に接するように、前記反応室に導入する雰囲気ガスの圧力(P)を調整し、前記反応室に前記圧力で前記雰囲気ガスを導入しながら、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより励起し、脱離した前記ターゲット材に含まれる物質を前記基板上に堆積して冷陰極を形成するものであり、前記ターゲット材を構成する材料が、In 2 3 、SnO 2 、ITO、ZnO、TiO 2 、WO 3 、又はCuAlO 2 のいずれかの透明導電体であることを特徴とする。この構成により、従来の形成方法より容易に、自己整合型結晶構造を得ることができる。
【0097】
また、本発明によれば、電子放出部を、上述の冷陰極形成方法により形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極から構成される薄膜状電子源とすることにより、従来より簡単な構成で低コスト化を図ることができる。この構成の電子放出素子は、素子の形成に際しその再現性が良く、素子間のバラツキも少ないことから、マルチソースとして電流密度がかせげるため、高輝度・高精細なCRT用電子源として用いることができる。さらに、基板を透明とし、結晶性配向膜を透明導電体とすることにより、透過型平面ディスプレイの実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子放出素子の構造を示す断面図
【図2】(a) 本発明の方法に使用する薄膜製造装置を示す構成図
(b) 堆積基板とターゲットとの間における現象を説明するための図
【図3】本発明の実施の形態1に係る方法により得られた薄膜の電子顕微鏡写真
【図4】本発明の実施の形態1に係る方法により得られた薄膜のX線回折測定結果を示す図
【図5】結晶構造制御のメカニズムを説明するための図
【図6】本発明の実施の形態2に係る電子放出素子の構造を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る平面ディスプレイの構造を示す断面図
【図8】本発明の実施の形態4に係る透過型平面ディスプレイの構造を示す断面図
【図9】従来の電界効果型電子放出素子の一例を示す概略的部分断面図
【符号の説明】
11、71 基板
12、62 絶縁層
13、63 金属層
14、65 結晶配向性薄膜
64 干渉層
72、82 冷陰極
73、83 第一絶縁膜
74、84 第一ゲート電極
75、85 第二絶縁膜
76、86 第二ゲート電極
77、87 蛍光体層
78 透明導電膜
79、89 面板
81 透明基板
88 アノード電極
101 反応室
102 超高真空排気系
103 マスフローコントローラ
104 ガス導入ライン
105 ガス排気系
106 ターゲットホルダ
107 ターゲット
108 パルスレーザ光源
109 堆積基板
110 レーザ導入窓
111 スリット
112 レンズ
113 反射鏡
114 プルーム

Claims (17)

  1. ターゲット材及び基板を、予め決められた距離(D)だけ離して反応室内に配置する工程と、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより前記ターゲット材近傍に形成される高温高圧領域が前記基板に接するように、前記反応室に導入する雰囲気ガスの圧力(P)を調整する工程と、前記反応室に前記圧力で前記雰囲気ガスを導入しながら、前記ターゲット材にビーム光を照射することにより励起し、脱離した前記ターゲット材に含まれる物質を前記基板上に堆積する工程と、を具備し、前記ターゲット材を構成する材料が、In 2 3 、SnO 2 、ITO、ZnO、TiO 2 、WO 3 、又はCuAlO 2 のいずれかの透明導電体であることを特徴とする冷陰極形成方法。
  2. 前記雰囲気ガスの圧力(P)及び、前記基板と前記ターゲット材との間の距離(D)は、PDn =一定(nは2〜3程度)にしたがって調整されることを特徴とする請求項1記載の冷陰極形成方法。
  3. 前記雰囲気ガスが、不活性ガスであることを特徴とする請求項1または2記載の冷陰極形成方法。
  4. 前記雰囲気ガスの圧力が、0.1〜10Torrの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷陰極形成方法。
  5. 前記ターゲット材を構成する材料が、少なくとも2種類以上の組成から成ることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷陰極形成方法。
  6. 前記ターゲット材を構成する材料が、LaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物であることを特徴とする請求項5記載の冷陰極形成方法。
  7. 前記ターゲット材を構成する材料が、TiN、BN、SrN、ZrN、及びHfNに代表される窒化物であることを特徴とする請求項5記載の冷陰極形成方法。
  8. 電子放出部が、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極から構成されることを特徴とする電子放出素子。
  9. 電子放出部が、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成り、導電膜または抵抗膜から成る干渉層を介して基板上に形成されていることを特徴とする電子放出素子。
  10. 冷陰極を構成する結晶配向性薄膜が、LaB6 、TiC、SiC、及びSnC等の化合物であることを特徴とする請求項8または9記載の電子放出素子。
  11. 冷陰極を構成する結晶配向性薄膜が、TiN、BN、SrN、ZrN、及びHfNに代表される窒化物であることを特徴とする請求項8または9記載の電子放出素子。
  12. 請求項8から11のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とするCRT。
  13. 請求項8から11のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とする平面ディスプレイ。
  14. 透明基板と、前記透明基板上に、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成る冷陰極とを備えていることを特徴とする電子放出素子。
  15. 透明基板と、前記透明基板上に、請求項1から7のいずれかに記載の方法で形成された、電子放出性材料の結晶配向性薄膜から成り、導電膜または抵抗膜から成る干渉層を介して基板上に形成されていることを特徴とする電子放出素子。
  16. 冷陰極を構成する結晶配向性薄膜が、In2 3 、SnO2 ITO、ZnO、TiO2 、WO3 、及びCuAlO2 からなる群より選ばれた透明導電体であることを特徴とする請求項14または15記載の電子放出素子。
  17. 請求項14から16のいずれかに記載の電子放出素子を電子源としたことを特徴とする透過型平面ディスプレイ。
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